(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、タイヤにおける一実施形態について、
図1〜
図12を参酌して説明する。なお、各図(
図13及び
図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビード2aを有する一対のビード部2と、各ビード部2からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部3のタイヤ径方向D2の外端部に連接され、トレッド面を構成するトレッド部4とを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤであって、リム100に装着される。
【0013】
図1において、タイヤ幅方向D1は、左右方向である。また、タイヤ径方向D2は、タイヤ1の直径方向であり、タイヤ周方向D3(
図1において図示していない)は、タイヤ回転軸周りの方向である。なお、
図1において、タイヤ径方向D2のうち、紙面と平行であるタイヤ径方向D2は、上下方向である。また、タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面は、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0014】
タイヤ1は、一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカス層5と、カーカス層5の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナー6とを備えている。カーカス層5及びインナーライナー6は、ビード部2、サイドウォール部3、及びトレッド部4に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0015】
カーカス層5は、本実施形態においては、1つのカーカスプライ5aで構成されている。該カーカスプライ5aは、ビード2aを巻き込むようにビード2aの周りで折り返されている。また、ビード部2は、外表面を構成すべく、カーカスプライ5aのタイヤ幅方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム2bを備えている。そして、サイドウォール部3は、外表面を構成すべく、カーカス層5のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム3aを備えている。
【0016】
トレッド部4は、地面と接するトレッド面(接地面)を構成すべく、カーカス層5の外周側に配置されるトレッドゴム7と、カーカス層5の外周側で且つトレッドゴム7の内周側に配置されるベルト層8とを備えている。本実施形態においては、ベルト層8は、二層のベルトプライ8a,8bを備えている。また、本実施形態においては、トレッドゴム7のタイヤ幅方向D1の端部は、サイドウォールゴム3aの端部に積層されている。即ち、本実施形態に係るタイヤ1は、サイド・オン・トレッドの構造である。
【0017】
ところで、タイヤ1は、タイヤ回転軸周りにタイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴムにより形成されるゴム部を備えている。本実施形態においては、当該ゴム部は、トレッドゴム7としている。そこで、まず、ゴム部を成形する成形装置50について、
図2を参酌して説明する。
【0018】
図2に示すように、成形装置50は、ゴムを押し出す押出部51と、押出部51から押し出されて形成される紐状のリボンゴム10が巻き付けられる巻付部52とを備えている。また、成形装置50は、押出部51及び巻付部52を制御する制御部53を備えている。
【0019】
押出部51は、リボンゴム10の断面形状が一定の形状となるように、ゴムを押し出している。例えば、リボンゴム10の断面形状は、幅方向中央部が最大の厚みで、該中央部から両側端に向かって厚みが次第に薄くなる略三角形状としてもよい。斯かる断面形状においては、幅寸法が5〜50mmであり、幅方向中央部の厚み寸法が0.5〜3.0mmであり、幅方向両側端の厚み寸法が0.05〜0.2mmであることが、好ましい。
【0020】
なお、リボンゴム10の断面形状は、成形対象となるゴム部(トレッドゴム7)の形態に応じた種々の断面形状とすることができる。例えば、リボンゴム10の断面形状は、略台形状としてもよく、また、平板形状としてもよい。
【0021】
巻付部52は、円柱状に形成されており、軸周り(回転方向D4)に回転可能である。これにより、巻付部52は、回転することで、外周部にリボンゴム10が巻き付けられる。また、巻付部52は、押出部51に対して、軸方向に相対変位可能である。本実施形態においては、巻付部52が、軸方向に移動可能である。
【0022】
制御部53は、押出部51を制御することにより、リボンゴム10の押し出し量や、リボンゴム10の状態(例えば、温度等)を制御している。また、制御部53は、巻付部52を制御することにより、巻付部52の回転速度や、押出部51に対する巻付部52の位置を制御している。
【0023】
次に、成形装置50で成形されるゴム部(トレッドゴム7)について、
図3〜
図5を参酌して説明する。
【0024】
まず、巻付部52が押出部51に対して位置を固定している場合には、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に平行となるように、巻付部52に巻き付けられる。そして、巻付部52が押出部51に対して巻付部52の軸方向(タイヤ幅方向D1)で移動している場合には、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差するように、巻付部52に巻き付けられる。
【0025】
これにより、
図3及び
図4に示すように、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に平行となるように、巻付部52に巻き付けられる状態と、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差するように、巻付部52に巻き付けられる状態とを繰り返される。その結果、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の一方側に向けて、螺旋状に巻かれる。
【0026】
このとき、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に対しで傾斜して交差するように、巻付部52に巻付けられることで、タイヤ幅方向D1に所定のピッチで送られている。該ピッチは、リボンゴム10の幅寸法よりも小さく設定されている。これにより、リボンゴム10同士がタイヤ幅方向D1で重なり合う。
【0027】
なお、該重なり量は、押出部51と巻付部52とのタイヤ幅方向D1における相対変位量を変更することで、変更できる。また、リボンゴム10(傾斜部)のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、例えば、巻付部52の回転速度や、押出部51と巻付部52とのタイヤ幅方向D1における相対変位速度を変更することで、変更できる。
【0028】
そして、
図5に示すように、リボンゴム10は、トレッドゴム7のうち、タイヤ径方向D2の外側に配置されるキャップ部7aを形成している。なお、トレッドゴム7のうち、タイヤ径方向D2の内側に配置されるベース部7bは、キャップ部7aを形成する前に、巻付部52の外周面に形成されている。
【0029】
図示していないが、ベルト層8も、予め、巻付部52の外周面に巻付けられており、ベース部7bは、ベルト層8の上に形成される。そして、ベース部7bは、キャップ部7aと同様にリボン工法で形成されてもよく、また、所謂、押出成形法で形成されてもよい。なお、押出成形法は、所望の断面形状を有する未加硫の帯状ゴム部材を押出成形し、そのタイヤ周方向D3の端部同士をジョイントして環状に成形する工法である。
【0030】
そして、リボンゴム10は、タイヤ子午面の断面において、タイヤ幅方向D1の中央の始点P1からタイヤ幅方向D1の一方側(
図5における左側)に向けて、巻付部52に巻き付けられる。その後、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の一方側の端部で、タイヤ幅方向D1の他方側(
図5における右側)に折り返され、タイヤ幅方向D1の他方側の端部に向けて、巻付部52に巻き付けられる。
【0031】
さらに、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の他方側の端部で、タイヤ幅方向D1の一方側に折り返され、タイヤ幅方向D1の中央の終点P2に向けて、巻付部52に巻付けられる。このようにして、リボンゴム10は、トレッドゴム7のキャップ部7aを形成するために、タイヤ径方向D2で下層と上層との2層となるように、巻付部52に巻き付けられている。
【0032】
ここで、巻き方向D31について、
図3〜
図4及び
図6を参酌して説明する。
【0033】
巻き方向D31は、
図3及び
図4に示すように、タイヤ周方向D3のうち、リボンゴム10が巻かれて進む方向をいう。本実施形態においては、巻き方向D31は、タイヤ周方向D3のうち、巻付部52の回転方向D4と反対方向である。そして、
図6に示すように、基準位置P0に対して巻き方向D31側は、基準位置P0から巻き方向D31に半周分の領域A1をいい、基準位置P0に対して巻き方向D31と反対側は、基準位置P0から巻き方向D31と反対側に半周分の領域A2をいう。
【0034】
なお、基準位置P0に対して巻き方向D31側は、好ましくは、基準位置P0から巻き方向D31に1/4周分の領域をいい、さらに好ましくは、基準位置P0から巻き方向D31に1/8周分の領域をいう。また、基準位置P0に対して巻き方向D31と反対側は、好ましくは、基準位置P0から巻き方向D31と反対側に1/4周分の領域をいい、さらに好ましくは、基準位置P0から巻き方向D31と反対側に1/8周分の領域をいう。
【0035】
次に、ゴム部(トレッドゴム7のキャップ部7a)におけるリボンゴム10の巻き付け状態について、比較例と比較しつつ、
図7〜
図12を参酌して説明する。なお、リボンゴム10がタイヤ幅方向D1の一方側(
図7〜
図12における左側)の端部で折り返される部分について説明する。また、
図7〜
図12においては、リボンゴム10同士のタイヤ幅方向D1での重なりは、無視して図示されている。
【0036】
まず、
図7に示すように、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の一方側に向けて、巻かれている。なお、リボンゴム10で形成される下層の各列L2,L3
,…においては、タイヤ周方向D3に平行に巻かれる状態と傾斜して巻かれる状態との切り替え位置とは、タイヤ周方向D3で同じ位置である。
【0037】
これにより、下層のうち、少なくとも外側から2列目L2及び3列目L3は、タイヤ周方向D3において、均一なゴム量となっている。なお、リボンゴム10のうち、タイヤ周方向D3に平行な部分は、平行部といい、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差する部分は、傾斜部という。
【0038】
そして、リボンゴム10は、外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第1傾斜部21は、巻き方向D31において外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0039】
なお、第1傾斜部21の巻き始端(巻かれる際の始点となる端部)21a側は、下層の外側2列目L2を構成し、第1傾斜部21の巻き終端(巻かれる際の終点となる端部)21b側は、外側1列目L1を構成する。
図7(
図8〜
図12も同様)において、位置P21a,P21bは、第1傾斜部21の巻き始端21a、巻き終端21bのタイヤ周方向D3のそれぞれの位置を示している。
【0040】
その後、
図8に示すように、リボンゴム10は、外側1列目L1において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第1平行部31は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
図8(
図9〜
図12も同様)において、位置P31aは、第1平行部31の巻き始端31aのタイヤ周方向D3の位置を示している。
【0041】
なお、
図8(
図9〜
図12も同様)において、リボンゴム10で形成される下層は、図示していない(但し、
図8においては、第1傾斜部21の巻き始端21a側のみ2点鎖線で図示している)。また、以下の説明において、下層については言及しない。
【0042】
まず、比較例に係るリボンゴム10の巻き付け状態について、
図9を参酌して説明する。
【0043】
図9に示すように、リボンゴム10は、外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第2傾斜部22は、巻き方向D31において外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0044】
これにより、外側1列目L1は、第1傾斜部21の巻き終端21b側と、第1平行部31と、第2傾斜部22の巻き始端22a側とで構成される。
図9において、位置P31b,P22aは、第1平行部31の巻き終端31b、第2傾斜部22の巻き始端22aのタイヤ周方向D3のそれぞれの位置を示している。このとき、第1平行部31の巻き終端31bは、巻き方向31において、第1傾斜部21の巻き始端21aと同じ位置である。
【0045】
したがって、トレッドゴム7のタイヤ幅方向D1の端部に、ゴムの不足箇所(具体的には、ゴムが存在しない箇所)A3が、発生している。これにより、ゴムの不足箇所A3に起因して、トレッドゴム7のタイヤ幅方向D1の端部、例えば、トレッドゴム7とサイドウォールゴム3aとの間に、エアが混入した加硫タイヤが形成され易くなる。
【0046】
次に、本実施形態に係るリボンゴム10の巻き付け状態について、
図10〜
図12を参酌して説明する。
【0047】
本実施形態においても、
図8のようなリボンゴム10の巻き付け状態から、
図10に示すように、リボンゴム10は、外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第2傾斜部22は、巻き方向D31において外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0048】
そして、外側1列目L1は、第1傾斜部21の巻き終端21b側と、第1平行部31と、第2傾斜部22の巻き始端22a側とで構成される。
図10(
図11及び
図12も同様)において、位置P31b,P22a,P22bは、第1平行部31の巻き終端31b、第2傾斜部22の巻き始端22a、巻き終端22bのタイヤ周方向D3のそれぞれの位置を示している。このとき、第1平行部31の巻き終端31bは、巻き方向31において、第1傾斜部21の巻き終端21bと同じ位置である。
【0049】
したがって、トレッドゴム7のタイヤ幅方向D1の端部に、比較例のようなゴムの不足箇所が発生することを防止している。なお、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1においては、第1平行部31が第1傾斜部21の巻き終端21b側に重なる箇所A4と、第2傾斜部22の巻き始端22a側が第1平行部31に重なる箇所A5とが、ゴムの余剰箇所となる。
【0050】
その後、リボンゴム10は、外側2列目L2において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれた後、
図11に示すように、外側2列目L2から外側3列目L3に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第2平行部32は、タイヤ周方向D3と平行に配置され、第3傾斜部23は、巻き方向D31において外側2列目L2から外側3列目L3に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0051】
そして、外側2列目L2は、第2傾斜部22の巻き終端22b側と、第2平行部32と、第3傾斜部23の巻き始端23a側とで構成される。
図11(
図12も同様)において、位置P32a,P32b,P23a,P23bは、第2平行部32の巻き始端32a,巻き終端32b、第3傾斜部23の巻き始端23a、巻き終端23bのタイヤ周方向D3のそれぞれの位置を示している。
【0052】
このとき、第3傾斜部23の巻き始端23aは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置されている。さらに、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き終端22bよりも巻き方向31と反対側の位置に配置されている。具体的には、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置されている。
【0053】
したがって、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2においては、第2傾斜部22と第3傾斜部23とが離間しているため、第2傾斜部22と第3傾斜部23との間の箇所A6がゴムの不足箇所となる。このように、外側1列目L1のゴムの余剰箇所A4,A5と、外側2列目L2のゴム不足箇所A6とは、隣接している。
【0054】
その後、リボンゴム10は、外側3列目L3において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれた後、
図12に示すように、外側3列目L3から外側4列目L4に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第3平行部33は、タイヤ周方向D3と平行に配置され、第4傾斜部24は、巻き方向D31において外側3列目L3から外側4列目L4に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0055】
そして、外側3列目L3は、第3傾斜部23の巻き終端23b側と、第3平行部33と、第4傾斜部24の巻き始端24a側とで構成される。
図12において、位置P33a,P33b,P24a,P24bは、第3平行部33の巻き始端33a,巻き終端33b、第4傾斜部24の巻き始端24a、巻き終端24bのタイヤ周方向D3のそれぞれの位置を示している。
【0056】
このとき、第3平行部33の巻き終端33bは、巻き方向D31において、第3傾斜部23の巻き終端23bと同じ位置に配置されている。さらに、第4傾斜部24の巻き終端24bは、巻き方向D31において、第2傾斜部22の巻き始端22aと同じ位置に配置されている。
【0057】
したがって、タイヤ幅方向D1の外側3列目L3においては、第3平行部33が第3傾斜部23の巻き終端23b側に重なる箇所A7と、第4傾斜部24の巻き始端24a側が第3平行部33に重なる箇所A8とが、ゴムの余剰箇所となる。このように、外側1列目L1のゴムの余剰箇所A4,A5と、外側3列目L3のゴム余剰箇所A7,A8とは、タイヤ幅方向D1だけでなくタイヤ周方向D3においても、外側2列目L2のゴム不足箇所A6を挟んでいる。しかも、斯かるゴム余剰箇所A4,A5,A7,A8のゴム余剰量の和は、ゴム不足箇所A6のゴム不足量と略同じである。
【0058】
その後、リボンゴム10は、外側4列目L4において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれた後、外側4列目L4から外側5列目L5に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。そして、外側5列目L5以降においては、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3において同じ位置で、タイヤ周方向D3に平行に巻かれる状態と傾斜して巻かれる状態とを切り替えられる。
【0059】
なお、各傾斜部21〜24のタイヤ周方向D3の長さ(各傾斜部21〜24のタイヤ周方向D3の全周に対する割合)は、全て同じに設定されている。例えば、各傾斜部21〜24は、1/18周〜1/12周の長さ(巻付部52の回転角度が20°〜30°に相当する長さ)に設定されている。
【0060】
これにより、各傾斜部21〜24のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、全て同じに設定している。例えば、傾斜角度は、45°以下に設定されている。なお、各傾斜部21〜24のタイヤ周方向D3の長さや、各傾斜部21〜24のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、それぞれ異なっていてもよい。
【0061】
以上より、本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部(具体的には、トレッドゴム7のキャップ部7a)を備えるタイヤ1であって、前記リボンゴム10は、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される第1傾斜部21と、巻き始端31aが前記第1傾斜部21の巻き終端21bと連結され、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置される第1平行部31と、を備え、前記第1平行部31の巻き終端31bは、前記第1傾斜部21の巻き終端21bよりも巻き方向D31側の位置、又は、当該巻き終端21bと同じ位置(具体的には、当該巻き終端21bと同じ位置)に配置される。
【0062】
斯かる構成によれば、第1傾斜部21は、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置されている。また、第1平行部31は、巻き始端31aが第1傾斜部21の巻き終端21bと連結され、タイヤ周方向D3と平行に配置されている。これにより、第1平行部31は、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1の一部を構成している。
【0063】
そして、第1平行部31の巻き終端31bは、第1傾斜部21の巻き終端21bよりも巻き方向D31側の位置、又は、当該巻き終端21bと同じ位置(具体的には、当該巻き終端21bと同じ位置)に配置されている。これにより、第1平行部31は、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1において、第1傾斜部21の全体と重なっている。これにより、リボンゴム10により形成されるゴム部(具体的には、トレッドゴム7のキャップ部7a)のタイヤ幅方向D1の端部、具体的には、第1傾斜部21の箇所に、ゴムの不足箇所が発生することを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態に係るタイヤ1においては、前記リボンゴム10は、巻き始端22aが前記第1平行部31の巻き終端31bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される第2傾斜部22と、巻き始端32aが前記第2傾斜部22の巻き終端22bと連結され、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置される第2平行部32と、巻き始端23aが前記第2平行部32の巻き終端32bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側2列目L2から外側3列目L3に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される第3傾斜部23と、をさらに備え、前記第3傾斜部23の巻き始端23aは、前記第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置され、前記第3傾斜部23の巻き終端23bは、前記第2傾斜部22の巻き終端22bよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置される、という構成である。
【0065】
斯かる構成によれば、第2傾斜部22は、巻き始端22aが第1平行部31の巻き終端31bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置されている。これにより、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1は、第1傾斜部21の巻き終端21b側と、第1平行部31と、第2傾斜部22の巻き始端22a側とで構成されている。
【0066】
なお、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1においては、第1平行部31が、第1傾斜部21の巻き終端21b側に重なっており、また、第2傾斜部22の巻き始端22a側が、第1平行部31に重なっている。したがって、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1においては、当該箇所A4,A5がゴムの余剰箇所となる。
【0067】
また、第2平行部32は、巻き始端32aが第2傾斜部22の巻き終端22bと連結され、タイヤ周方向D3と平行に配置されている。そして、第3傾斜部23は、巻き始端23aが第2平行部32の巻き終端32bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側2列目L2から外側3列目L3に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置されている。これにより、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2は、第2傾斜部22の巻き終端22b側と、第2平行部32と、第3傾斜部23の巻き始端23a側とで構成されている。
【0068】
そして、第3傾斜部23の巻き始端23aは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置され、さらに、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き終端22bよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置されている。これにより、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2においては、第2傾斜部22と第3傾斜部23とが離間しているため、第2傾斜部22と第3傾斜部23との間の箇所A6がゴムの不足箇所となる。
【0069】
このように、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1のゴムの余剰箇所A4,A5は、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2のゴム不足箇所A6と隣接している。これにより、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを抑制しているため、例えば、RFV(Radial Force Variation)が大きくなることを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るタイヤ1においては、前記リボンゴム10は、巻き始端33aが前記第3傾斜部23の巻き終端23bと連結され、タイヤ幅方向D1の外側3列目L3を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置される第3平行部33と、巻き始端24aが前記第3平行部33の巻き終端33bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側3列目L3から外側4列目L4に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される第4傾斜部24と、をさらに備え、前記第3傾斜部23の巻き終端23bは、前記第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置、又は当該巻き始端22aと同じ位置(具体的には、当該巻き始端22a
よりも巻き方向D31と反対側の位置)に配置され、前記第3平行部33の巻き終端33bは、前記第3傾斜部23の巻き終端23bよりも巻き方向D31側の位置、又は、当該巻き終端23bと同じ位置(具体的には、当該巻き終端23bと同じ位置)に配置され、前記第4傾斜部24の巻き終端24bは、前記第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置、又は、当該巻き始端22aと同じ位置(具体的には、当該巻き始端22aと同じ位置)に配置される、という構成である。
【0071】
斯かる構成によれば、第3平行部33は、巻き始端33aが第3傾斜部23の巻き終端23bと連結され、タイヤ周方向D3と平行に配置されている。そして、第4傾斜部24は、巻き始端24aが第3平行部33の巻き終端33bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の外側3列目L3から外側4列目L4に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置されている。これにより、タイヤ幅方向D1の外側3列目L3は、第3傾斜部23の巻き終端23b側と、第3平行部33と、第4傾斜部24の巻き始端24a側とで構成されている。
【0072】
そして、第3平行部33の巻き終端33bは、第3傾斜部23の巻き終端23bよりも巻き方向D31側の位置、又は、当該巻き終端23bと同じ位置(具体的には、当該巻き終端23bと同じ位置)に配置されている。これにより、タイヤ幅方向D1の外側3列目L3においては、第3平行部33が第3傾斜部23の巻き終端23b側に重なっており、また、第4傾斜部24の巻き始端24a側が第3平行部33と重なっているため、当該箇所A7,A8がゴムの余剰箇所となる。
【0073】
また、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置、又は当該巻き始端22aと同じ位置(具体的には、当該巻き始端22a
よりも巻き方向D31と反対側の位置)に配置されている。さらに、第4傾斜部24の巻き終端24bは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置、又は、当該巻き始端22aと同じ位置(具体的には、当該巻き始端22aと同じ位置)に配置されている。
【0074】
これにより、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1のゴムの余剰箇所A4,A5と、タイヤ幅方向D1の外側3列目L3のゴム余剰箇所A7,A8とは、タイヤ幅方向D1だけでなくタイヤ周方向D3においても、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2のゴム不足箇所A6を挟むことになる。これにより、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを効果的に抑制しているため、例えば、RFV(Radial Force Variation)が大きくなることを効果的に抑制することができる。
【0075】
なお、タイヤは、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、タイヤは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0076】
上記実施形態に係るタイヤ1においては、リボンゴム10は、タイヤ径方向D2で2層となるように、そして、タイヤ幅方向D1の両側の端部でそれぞれ折り返す(2回折り返す)ように、巻かれている、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、リボンゴム10は、タイヤ径方向D2における層数に限定されず、また、タイヤ幅方向D1の端部での折り返し回数にも限定されない。
【0077】
要するに、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の少なくとも一方の端部で折り返されている構成であればよい。例えば、
図13に示すように、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の一方側の端部のみで折り返されている、という構成でもよい。
【0078】
図13においては、リボンゴム10は、タイヤ子午面の断面において、タイヤ幅方向D1の他方側(
図13における右端)の端部の始点P1から、タイヤ幅方向D1の一方側(
図13における左側)に向けて、巻付部52に巻き付けられる。その後、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の一方側の端部で、タイヤ幅方向D1の他方側に折り返され、タイヤ幅方向D1の他方側の端部の終点P2に向けて、巻付部52に巻き付けられる。
【0079】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、ゴム部(トレッドゴム7のキャップ部7a)を成形する成形装置50は、一つの巻付部52に対して、一つの押出部51を備えている、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。
【0080】
例えば、タイヤにおいては、
図14に示すように、成形装置50は、一つの巻付部52に対して、複数(
図14においては二つ)の押出部51を備えている、という構成でもよい。なお、
図14に係る成形装置50において成形されたトレッドゴム7のキャップ部7aは、例えば、タイヤ幅方向D1の外側から1列目L1においては、第1傾斜部21及び第2傾斜部22は、それぞれ二つ備えられることになる。
【0081】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、第1平行部31の巻き終端31bは、巻き方向D31において、第1傾斜部21の巻き終端21bと同じ位置に配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、第1平行部31の巻き終端31bは、第1傾斜部21の巻き終端21bよりも巻き方向D31側の位置に配置される、という構成でもよい。但し、外側1列目L1のゴムの余剰箇所を小さくするために、上記実施形態に係るタイヤ1の構成を採用することが好ましい。
【0082】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、第3傾斜部23の巻き始端23aは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置され、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き終端22bよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。
【0083】
例えば、第3傾斜部23の巻き始端23aは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31側の位置に配置される、という構成でもよい。また、例えば、第3傾斜部23の巻き終端23bは、第2傾斜部22の巻き終端22bよりも巻き方向D31側の位置に配置される、という構成でもよい。そして、第3傾斜部23は、第2傾斜部22や第2平行部32と重なるように、配置されている、という構成でもよい。但し、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを抑制するために、上記実施形態に係るタイヤ1の構成を採用することが好ましい。
【0084】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、第3平行部33の巻き終端33bは、巻き方向D31において、第3傾斜部23の巻き終端23bと同じ位置に配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、第3平行部33の巻き終端33bは、第3傾斜部23の巻き終端23bよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置される、という構成でもよい。
【0085】
但し、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを抑制するために、第3平行部33の巻き終端33bは、第3傾斜部23の巻き終端23bよりも巻き方向D31側の位置に配置される、という構成が好ましい。また、さらに、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを効果的に抑制するために、上記実施形態に係るタイヤ1の構成を採用することがより好ましい。
【0086】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、第4傾斜部24の巻き終端24bは、第2傾斜部22の巻き始端22aと同じ位置に配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、第4傾斜部24の巻き終端24bは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31側の位置に配置される、という構成でもよい。
【0087】
但し、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを抑制するために、第4傾斜部24の巻き終端24bは、第2傾斜部22の巻き始端22aよりも巻き方向D31と反対側の位置に配置される、という構成が好ましい。また、さらに、タイヤ1のゴム重量が不均一になることを効果的に抑制するために、上記実施形態に係るタイヤ1の構成を採用することがより好ましい。
【0088】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部は、トレッドゴム7のキャップ部7aである、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、リボンゴム10により形成されるゴム部は、トレッドゴム7全体(キャップ部7a及びベース部7b)でもよい。要するに、リボンゴム10により形成されるゴム部は、限定されない。
【0089】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、第1平行部31は、タイヤ周方向D3を1周分だけ配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、第1平行部31は、タイヤ周方向D3を複数周分だけ配置される、という構成でもよい。
【0090】
また、タイヤ1は、加硫前のタイヤ(未加硫タイヤ)も、加硫後のタイヤ(加硫タイヤ)も含まれる。なお、加硫後のタイヤにおいては、タイヤ1を鋭利な刃物で切断し、その断面により、リボンゴム10の境界面を観察することができる。これにより、リボンゴム10の巻き状態の特定は、可能である