(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーシングの前記出力軸が突出される側の面に、前記出力軸を回転可能に支持する筒状の出力軸支持部が突設されていると共に、該出力軸支持部と前記フレームとの接触を回避するように前記フレームを案内する接触回避リブが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のワイパ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、車体に搭載する電装品等の製品コストの低減化や配置スペースの省スペース化の要望がさらに強まっている。
【0006】
また、車両運転時の快適性の向上がさらに望まれている。しかしながら、上述の従来技術にあっては、ねじスリーブや出力軸支持部の外周面に取付けフレームが支持されているので、ワイパモータの出力軸が回転すると、この出力軸の振動が出力軸支持部および取付けフレームを介して車体に伝達されてしまい、車両運転時の快適性が阻害される可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、製品コストを低減でき、且つ小型化できるワイパ装置を提供するものである。
また、車両運転時の快適性を向上できるワイパ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るワイパ装置は、フレームと、前記フレームに支持されるケーシングを有するワイパモータと、前記フレームと前記ケーシングとを固定するための固定具と、
前記ケーシングと共に前記フレームを挟持することにより、前記フレームに対して前記ケーシングを固定するブラケットと、を備え、前記ケーシング
は、前記フレームを案内する複数のガイドリブ
と、
前記固定具と共に前記フレームを固定可能なフレーム固定部と、前記固定具と共に前記ブラケットを固定可能なブラケット固定部と、を備え、複数の前記ガイドリブは、前記フレームに対する前記ワイパモータの向きを少なくとも2方向に変更可能なように配置されて
おり、少なくとも1つの前記フレーム固定部と、少なくとも1つの前記ブラケット固定部と、が共用化されていることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、例えば、車種ごとにワイパ装置の取付け向きを変更する必要があっても、車種ごとにケーシングを用意する必要がない。そして、1つのケーシングで車種ごとにワイパ装置の取付け向きを変更することが可能になる。このため、ケーシングの汎用性を高めることができ、この結果、ワイパ装置の製品コストを低減することが可能になる。
また、固定具を用いてケーシングに直接フレームを固定する場合の他に、ブラケットを用いてケーシングにフレームを固定することも可能になる。このため、ケーシングに対するフレームの固定強度を高めることができる。また、ケーシングに対するフレームの固定方法のバリエーションを増大させることができ、ワイパ装置の汎用性を、さらに向上させることができる。
また、ケーシングとブラケットとでフレームを挟持するようにして、ケーシングにフレームを固定するので、フレームに対するワイパモータの向きの設定自由度がさらに高まる。このため、ケーシングの汎用性をさらに高めることができ、ワイパ装置の製品コストをさらに低減することが可能になる。
また、ケーシングに設けるフレーム固定部やブラケット固定部の数を少なくとも1つ減少させることができる。このため、ケーシングをさらに小型化できる。
【0010】
本発明に係るワイパ装置は、前記フレームに、前記固定具を挿通可能な貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、ケーシングのフレームが配置される箇所を避けた位置に、固定具を取り付けるための箇所を設ける必要がない。そして、ケーシングのフレームが配置される箇所の真下に、固定具を取り付けるための箇所を設けることができる。このため、ケーシングを小型化でき、この結果、ワイパ装置を小型化できる。
【0012】
本発明に係るワイパ装置は、前記ケーシングには、前記ワイパモータの出力軸が突出されており、前記ケーシングの前記出力軸が突出される側の面に、前記
フレーム固定部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、フレーム周りのデッドスペースを極力減らすことができ、ワイパ装置の設置スペースを極力省スペース化できる。
【0014】
本発明に係るワイパ装置は、前記ケーシングの前記出力軸が突出される側の面に、前記出力軸を回転可能に支持する筒状の出力軸支持部が突設されていると共に、該出力軸支持部と前記フレームとの接触を回避するように前記フレームを案内する接触回避リブが設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、出力軸支持部とフレームとが接触してしまうことを防止できる。このため、出力軸が回転した際、この出力軸の振動が出力軸支持部を介してフレームに伝達されてしまうことを防止できる。よって、ワイパ装置を駆動させることに起因する振動が車体に伝達されてしまうことを抑制でき、車両運転時の快適性を向上できる。
【0016】
本発明に係るワイパ装置において、前記接触回避リブは、前記出力軸支持部に近接配置されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、接触回避リブによって、出力軸支持部とフレームとが接触してしまうことを、より確実に防止できる。このため、車両運転時の快適性を、より確実に向上できる。
【0018】
本発明に係るワイパ装置において、前記ガイドリブは、前記フレームを挟んで前記出力軸支持部とは反対側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、ガイドリブだけでなく、接触回避リブも利用してケーシングに対するフレームの向きを決定させることができる。このため、ケーシングに対するフレームの位置決めを、より確実に行うことが可能になる。
【0024】
本発明に係るワイパ装置は、前記ケーシングと前記フレームとの間に、防振部材が介装されていることを特徴とする。
【0025】
このように構成することで、ワイパモータを駆動させた際の振動をフレームに伝達しにくくすることができる。このため、車両運転時の快適性をさらに向上できる。
【0026】
本発明に係るワイパ装置は、前記ケーシングに、前記防振部材の移動を規制する防振部材移動規制リブが設けられていることを特徴とする。
【0027】
このように構成することで、ケーシングに防振部材を確実に固定できる。このため、ワイパモータを駆動させた際の振動を、確実にフレームに伝達しにくくすることができる。
【0028】
本発明に係るワイパ装置において、前記防振部材移動規制リブのリブ高さは、前記ケーシングに配置された
前記防振部材が前記防振部材移動規制リブの端面から突出する高さに設定されていることを特徴とする。
【0029】
このように構成することで、防振部材移動規制リブを設けた場合であってもケーシングとフレームとの両者に確実に防振部材を密着させることができ、さらに、防振部材を圧縮変形させることができる。このため、ワイパモータを駆動させた際の振動を、より確実にフレームに伝達しにくくすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、例えば、車種ごとにワイパ装置の取付け向きを変更する必要があっても、車種ごとにケーシングを用意する必要がなく、1つのケーシングで車種ごとにワイパ装置の取付け向きを変更することが可能になる。このため、ケーシングの汎用性を高めることができ、この結果、ワイパ装置の製品コストを低減することが可能になる。
【0031】
また、ケーシングのフレームが配置される箇所を避けた位置に、固定具を取り付けるための箇所を設ける必要がない。そして、ケーシングのフレームが配置される箇所の真下に、固定具を取り付けるための箇所を設けることができる。このため、ケーシングを小型化でき、この結果、ワイパ装置を小型化できる。
【0032】
さらに、出力軸支持部とフレームとが接触してしまうことを防止できる。このため、出力軸が回転した際、この出力軸の振動が出力軸支持部を介してフレームに伝達されてしまうことを防止できる。このため、ワイパ装置を駆動させることに起因する振動が車体に伝達されてしまうことを抑制でき、車両運転時の快適性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(ワイパ装置)
図1は、ワイパ装置1を下側からみた斜視図である。なお、上下方向は、重力方向上下方向をいうものとする。
同図に示すように、ワイパ装置1は、例えば車体のフロントガラスの下に配置されているダッシュパネル(何れも不図示)の進行方向前方に固定されている。ワイパ装置1は、フロントガラスを払拭する不図示のワイパブレードを払拭動作させる。ワイパ装置1によるワイパブレードの払拭パターンは、いわゆるタンデム式である。すなわち、ワイパ装置1は、ワイパモータ40と、車幅方向に所定間隔をあけて配置された第1ピボット軸6a、および第2ピボット軸6bと、ワイパモータ40の駆動力を各ピボット軸6a,6bに伝達するリンク機構60と、を備えている。
【0036】
各ピボット軸6a,6bの先端に、それぞれワイパブレードの基端が取り付けられる。第1ピボット軸6aの軸方向中央から基端側は、第1ピボットホルダ7に回転自在に支持されている。一方、第2ピボット軸6bの軸方向中央から基端側は、第2ピボットホルダ8に回転自在に支持されている。
【0037】
各ピボットホルダ7,8は、例えばアルミダイキャストにより形成されている。第1ピボットホルダ7には、この第1ピボットホルダ7を車体に固定するための第1取付ステー11が、車幅方向外側に向かって突出形成されている。一方、第2ピボットホルダ8には、この第2ピボットホルダ8を車体に固定するための第2取付ステー24が、車幅方向外側に向かって突出形成されている。
各取付ステー11,24には、それぞれゴム製のマウント14が取り付けられている。そして、このマウント14を介し、車体に各取付ステー11,24が固定されている。これにより、ワイパ装置1の振動が各取付ステー11,24を介して車体に伝達されてしまうことを抑制できる。
【0038】
また、第1ピボットホルダ7には、第2ピボットホルダ8側に向かって第1パイプ取付部19が突出形成されている。一方、第2ピボットホルダ8には、第1ピボットホルダ7側に向かって第2パイプ取付部22が突出形成されている。これらパイプ取付部19,22に、パイプフレーム20の両端が外嵌固定されている。
【0039】
パイプフレーム20は、第1ピボットホルダ7と第2ピボットホルダ8とを連結すると共に、ワイパモータ40を支持するためのものであって、僅かに屈曲しながら車幅方向に沿って延在している。パイプフレーム20の両端には、それぞれカシメ部20a,20bが形成されている。これらカシメ部20a,20bは、各パイプ取付部19,22にパイプフレーム20の両端を外嵌させた後、これら両端をカシメることにより形成される。このように構成することで、各ピボットホルダ7,8の各パイプ取付部19,22に、パイプフレーム20の両端を確実に外嵌固定できる。
【0040】
また、第1ピボット軸6aの基端には、板状の第1レバー31の一端が固定されている。一方、第2ピボット軸6bの基端には、板状の第2レバー32の一端が固定されている。
第1レバー31は、第1ピボット軸6aの軸方向に対して略直交するように延出しており、第1ピボット軸6aと一体となって回動する。一方、第2レバー32も第2ピボット軸6bの軸方向に対して略直交するように延出しており、第2ピボット軸6bと一体となって回動する。また、これら第1レバー31と第2レバー32は、共に同一方向に向かって延出している。
【0041】
さらに、第1レバー31の他端、および第2レバー32の他端には、それぞれ連結ロッド33の両端が、ボールジョイント34a,34bを介して回動自在に連結されている。すなわち、第1レバー31、および第2レバー32は、連結ロッド33により連結されている。そして、各レバー31,32と一体となって回動する第1ピボット軸6aと第2ピボット軸6bとが、同期して動作する。
【0042】
また、第2レバー32の他端には、ボールジョイント48を介して駆動ロッド47の一端が回動自在に連結されている。一方、駆動ロッド47の他端は、ボールジョイント49を介して出力アーム45の一端に回動自在に連結されている。この出力アーム45は、ワイパモータ40の後述の出力軸44と一体となって回動するものである。
【0043】
このように構成された第1レバー31、第2レバー32、連結ロッド33、出力アーム45、および駆動ロッド47は、ワイパモータ40の回転力を伝達するリンク機構60として機能する。すなわち、ワイパモータ40が駆動して出力軸44が回転すると、第1レバー31、第2レバー32、連結ロッド33、出力アーム45、および駆動ロッド47が連動する。そして、第1ピボット軸6aと第2ピボット軸6bとが同期して回動し、不図示のワイパブレードが払拭動作を行う。
【0044】
(第1実施形態)
(ワイパモータ)
図2は、ワイパモータ40の斜視図である。
図1、
図2に示すように、ワイパモータ40は、パイプフレーム20の長手方向略中央に支持されている。ワイパモータ40は、モータ部42と、減速機構部43と、により構成されている。
【0045】
モータ部42は、バッテリ等の外部電源に制御装置(何れも不図示)を介して接続されている。そして、車室内に設けられる不図示のワイパスイッチが操作されると、その操作信号に応じて制御装置からモータ部42に駆動電流が供給され、モータ部42が作動する。モータ部42の出力は、減速機構部43の出力軸44に伝達される。
なお、モータ部42としては、例えばブラシ付き直流モータが用いられる。また、制御装置としては、例えばCPU(中央演算処理装置)やメモリ等を備えたマイクロコンピュータが用いられる。
【0046】
減速機構部43は、ギヤケーシング70内に不図示の減速部を備えたものである。減速部は、例えばウォームギヤにより構成されている。
ギヤケーシング70は、内部に不図示の減速部を収納可能なように略箱状に形成されている。ギヤケーシング70の側面70aには、このギヤケーシング70とモータ部42とを固定するためのモータ取付けフランジ71が一体成形されている。モータ取付けフランジ71は、ギヤケーシング70の内外が連通するように形成されている。そして、モータ取付けフランジ71を介し、モータ部42の不図示の回転軸とギヤケーシング70内の不図示の減速部とが連結されている。
【0047】
また、ギヤケーシング70の側面70aには、2つのパイプ固定部78a,78b(第1パイプ固定部78a、第2パイプ固定部78b)が突設されている。各パイプ固定部78a,78bは、パイプフレーム20にギヤケーシング70(ワイパモータ40)を支持させるためのものである。これらパイプ固定部78a,78bは、モータ部42を避けた位置で任意の直線上に並ぶように配置されている(詳細は後述する)。各パイプ固定部78a,78bには、ボルト77(
図3参照)を螺入可能な雌ネジ部79が刻設されている。
【0048】
さらに、ギヤケーシング70の側面70aとは直交する一面70bには、ギヤケーシング70内に収納された不図示の減速部の出力軸44が突出されている。また、ギヤケーシング70の一面70bには、出力軸44を回転自在に支持する筒状の出力軸支持部72が突設されている。出力軸支持部72の外周面72aには、この外周面72aと一面70bとに跨る複数の補強リブ74が一体形成されている。これら補強リブ74により、出力軸支持部72の剛性が確保されている。そして、このように回転自在に支持された出力軸44の突出した先端に、出力アーム45の他端が取り付けられる。
【0049】
また、ギヤケーシング70の一面70bには、この一面70bの外周部寄りに、円柱状の3つのブラケット固定部73a,73b,73c(第1ブラケット固定部73a、第2ブラケット固定部73b、第3ブラケット固定部73c)が出力軸支持部72と同じ方向に突設されている。各ブラケット固定部73a,73b,73cには、それぞれ雌ネジ部75が刻設されている。これらブラケット固定部73a,73b,73cの上に、ブラケット76がボルト77によって締結固定される。
【0050】
そして、ギヤケーシング70の一面70bとブラケット76との間にパイプフレーム20を通し、このパイプフレーム20を、ギヤケーシング70の一面70bと、ブラケット76と、により挟持するようにして、パイプフレーム20にギヤケーシング70(ワイパモータ40)が支持される。
また、ギヤケーシング70の一面70bには、出力軸支持部72と第3ブラケット固定部73cとの間に、第1接触回避リブ82aが突設されている。さらに、ギヤケーシング70の一面70bには、第2ブラケット固定部73bと第3ブラケット固定部73cとの間で、且つ出力軸支持部72寄りに、第2接触回避リブ82bが突設されている。これら接触回避リブ82a,82bは、出力軸支持部72にパイプフレーム20が接触してしまうことを回避するためのものである。
【0051】
また、ギヤケーシング70の一面70bには、第1ブラケット固定部73aの近傍に、第1ガイドリブ83aが突設されている。さらに、ギヤケーシング70の一面70bには、第2ブラケット固定部73bの近傍に、第2ガイドリブ83bが突設されている。これらガイドリブ83a,83bは、ギヤケーシング70に対するパイプフレーム20の姿勢を規制するためのものである。
【0052】
ここで、パイプフレーム20へのギヤケーシング70(ワイパモータ40)の支持方法として、複数の方法がある。以下、これについて詳述する。
【0053】
(パイプフレームへのギヤケーシングの支持方法)
図3は、パイプフレーム20へのギヤケーシング70(ワイパモータ40)の支持方法(以下、単に支持方法という)のパターンを示す説明図である。
同図に示すように、まず、第1の支持方法として、ギヤケーシング70の第1ブラケット固定部73aと出力軸支持部72との間で、且つ第1ブラケット固定部73aと第3ブラケット固定部73cとの間にパイプフレーム20を通す方法がある(
図3において、パイプフレーム20を実線で示した状態)。
【0054】
ここで、ギヤケーシング70に設けられた第1パイプ固定部78aと第2パイプ固定部78bは、それぞれ第1の支持方法におけるパイプフレーム20の真下に位置するように配置されている。また、パイプフレーム20には、各パイプ固定部78a,78bに対応する位置に、それぞれボルト77を挿通可能なボルト挿通孔81a,81b(第1ボルト挿通孔81a、第2ボルト挿通孔81b)が形成されている。
【0055】
また、第1接触回避リブ82aによって、パイプフレーム20のギヤケーシング70に対する姿勢が規制されており、出力軸支持部72へのパイプフレーム20の接触が回避されている。
さらに、第1ガイドリブ83aは、第1ブラケット固定部73aの近傍に突設されているが、換言すると、第1の支持方法によってパイプフレーム20が通されているものとして、このパイプフレーム20を挟んで第1接触回避リブ82aとは反対側に突設された状態になっている。すなわち、第1ガイドリブ83aと第1接触回避リブ82aとによってパイプフレーム20を挟持した形になっている。そして、第1接触回避リブ82aと第1ガイドリブ83aとが協働して、パイプフレーム20のギヤケーシング70に対する姿勢を規制している。
【0056】
このように、ギヤケーシング70の一面70b上にパイプフレーム20を配置した上から、ブラケット76が配置される。ブラケット76は、少なくとも第1パイプ固定部78a(パイプフレーム20の第1ボルト挿通孔81a)、第2ブラケット固定部73b、および第3ブラケット固定部73cを覆うように形成されている。そして、ブラケット76には、第1パイプ固定部78a(パイプフレーム20の第1ボルト挿通孔81a)、第2ブラケット固定部73b、および第3ブラケット固定部73cに対応する位置に、それぞれボルト77を挿通可能な貫通孔84が形成されている。
【0057】
このような構成のもと、ブラケット76の上から各貫通孔84にボルト77を挿入する。この後、第1パイプ固定部78aに対応するボルト77は、さらにパイプフレーム20の第1ボルト挿通孔81aに挿入される。そして、第1パイプ固定部78aの雌ネジ部79に、第1パイプ固定部78aに対応するボルト77が螺入される。つまり、第1パイプ固定部78a上では、ギヤケーシング70にパイプフレーム20とブラケット76とが、ボルト77によって共締めされる。
このように、第1パイプ固定部78aは、ギヤケーシング70にパイプフレーム20を固定する他に、ギヤケーシング70にブラケット76を固定するための第4ブラケット固定部73dとしても機能している。換言すれば、第1パイプ固定部78aと、第4ブラケット固定部73dは、共有化されている。
【0058】
また、第2ブラケット固定部73bの雌ネジ部79に、第2ブラケット固定部73bに対応するボルト77が螺入される。さらに、第3ブラケット固定部73cの雌ネジ部79に、第3ブラケット固定部73cに対応するボルト77が螺入される。これにより、ブラケット76は、ギヤケーシング70の一面70bと協働してパイプフレーム20を挟持しつつ、ギヤケーシング70にボルト77によって締結固定される。
【0059】
なお、上記第1の支持方法によるパイプフレーム20へのギヤケーシング70(ワイパモータ40)の支持強度が不足する場合、以下のようにボルト77を追加することも可能である。すなわち、パイプフレーム20の上から第2ボルト挿通孔81bにボルト77を挿入し、このボルト77を第2パイプ固定部78bの雌ネジ部79に螺入する。これにより、さらに支持強度を高めることができる。但し、この場合、ブラケット76は、このブラケット76をギヤケーシング70に取り付けた状態で、パイプフレーム20の第2ボルト挿通孔81bが露出するように形成されている必要がある。
【0060】
次に、第2の支持方法について説明する。
第2の支持方法としては、ギヤケーシング70の第2ブラケット固定部73bと出力軸支持部72との間に、パイプフレーム20を通す方法である(
図3において、パイプフレーム20を2点鎖線で示した状態)。
【0061】
ここで、第2の支持方法でも第1パイプ固定部78a(第4ブラケット固定部73d)を用いて、パイプフレーム20にギヤケーシング70を締結固定する。すなわち、第1の支持方法におけるパイプフレーム20の位置から第2の支持方法に変更するにあたり、パイプフレーム20の第1ボルト挿通孔81aを中心にギヤケーシング70を回動させる。そして、第2の支持方法では、ギヤケーシング70の第2ブラケット固定部73bと出力軸支持部72との間に、パイプフレーム20を通した形になっている。このため、第2の支持方法でも第1パイプ固定部78a上で、ギヤケーシング70にパイプフレーム20とブラケット76とが、ボルト77によって共締めされる。
【0062】
また、第2接触回避リブ82bによって、パイプフレーム20のギヤケーシング70に対する姿勢が規制されており、出力軸支持部72へのパイプフレーム20の接触が回避されている。
さらに、第2ガイドリブ83bは、第2ブラケット固定部73bの近傍に突設されているが、換言すると、第2の支持方法によってパイプフレーム20が通されているものとして、このパイプフレーム20を挟んで第2接触回避リブ82bとは反対側に突設された状態になっている。すなわち、第2ガイドリブ83bと第2接触回避リブ82bとによってパイプフレーム20を挟持した形になっている。そして、第2接触回避リブ82bと第2ガイドリブ83bとが協働して、パイプフレーム20のギヤケーシング70に対する姿勢を規制している。
【0063】
このような構成のもと、ブラケット76は、ギヤケーシング70の一面70bと協働してパイプフレーム20を挟持しつつ、ギヤケーシング70にボルト77によって締結固定される。
【0064】
次に、第3の支持方法について説明する。
図4は、第3の支持方法を示す説明図である。
同図に示すように、第3の支持方法では、ギヤケーシング70に対するパイプフレーム20の姿勢が、第1の支持方法と同様である。
【0065】
ここで、第1の支持方法と第3の支持方法の相違点は、第1の支持方法におけるブラケット76と、第3の支持方法におけるブラケット376の形状が異なる点にある。すなわち、第3の支持方法におけるブラケット376は、少なくとも第1ブラケット固定部73a、第2ブラケット固定部73b、および第3ブラケット固定部73cを覆うように形成されている。そして、ブラケット376には、第1ブラケット固定部73a、第2ブラケット固定部73b、および第3ブラケット固定部73cに対応する位置に、それぞれボルト77を挿通可能な貫通孔384が形成されている。
【0066】
このような構成のもと、ブラケット376の上から各貫通孔384にボルト77を挿入する。そして、各ボルト77を、各々ブラケット固定部73a,73b,73cの雌ネジ部79に螺入する。これにより、ブラケット376は、ギヤケーシング70の一面70bと協働してパイプフレーム20を挟持しつつ、ギヤケーシング70にボルト77によって締結固定される。
【0067】
このように第3の支持方法では、パイプフレーム20を必要としない。このため、パイプフレーム20を有さないワイパ装置1で、直接車体にワイパ装置1を固定するような場合に有効である。
なお、パイプフレーム20を有するワイパ装置1であっても、第3の支持方法を採用することができる(
図4における2点鎖線で示すパイプフレーム20参照)。このような場合、ブラケット376に加え、ボルト77によってギヤケーシング70にパイプフレーム20を締結固定することにより、ワイパモータ40の支持強度を確実に高めることができる。
【0068】
上述したように、第1実施形態におけるワイパモータ40のギヤケーシング70は、パイプフレーム20に対し、第1ボルト挿通孔81a(第1パイプ固定部78a、第4ブラケット固定部73d)を中心に回動自在に支持されている。そして、ギヤケーシング70に、パイプフレーム20に対するワイパモータ40(ギヤケーシング70)の姿勢を規制するガイドリブ83a,83bを設けている。これにより、パイプフレーム20に対するワイパモータ40の向きを、2方向(第1の支持方法の向き、第2の支持方法の向き(
図3参照))に変更することができる。
このため、例えば、車種ごとにワイパ装置1(ワイパモータ40)の取付け向きを変更する必要があっても、車種ごとにギヤケーシング70を用意する必要がない。そして、1つのギヤケーシング70で車種ごとにワイパ装置1(ワイパモータ40)の取付け向きを変更することが可能になる。よって、ギヤケーシング70の汎用性を高めることができ、この結果、ワイパ装置1の製品コストを低減することが可能になる。
【0069】
また、パイプフレーム20に、第1ボルト挿通孔81aや第2ボルト挿通孔81bを形成している。このため、ギヤケーシング70のパイプフレーム20の真下に相当する位置に、第1パイプ固定部78aや第2パイプ固定部78bを設けることができる。換言すれば、ギヤケーシング70のパイプフレーム20が配置される箇所を避けた位置に、第1パイプ固定部78aや第2パイプ固定部78bを設ける必要がない。このため、ギヤケーシング70を小型化でき、この結果、ワイパ装置1を小型化できる。
【0070】
さらに、ギヤケーシング70の一面70bに、出力軸44を突出させると共に、パイプフレーム20を配置させている。このため、出力軸44の突出方向とパイプフレーム20の配置面とが異なる場合と比較して、パイプフレーム20周りのデッドスペースを極力減らすことができる。よって、ワイパ装置1の設置スペースを極力省スペース化できる。
【0071】
また、ギヤケーシング70に出力軸支持部72を設けることにより、出力軸44を確実に支持できる。さらに、ギヤケーシング70に出力軸支持部72とパイプフレーム20との接触を回避するための接触回避リブ82a,82bを、パイプフレーム20に対するギヤケーシング70の向きに応じて設けている。
このため、出力軸支持部72とパイプフレーム20とが接触してしまうことを確実に防止できる。この結果、出力軸44が回転した際、この出力軸44の振動が出力軸支持部72を介してパイプフレーム20に伝達されてしまうことを防止できる。よって、ワイパ装置1を駆動させることに起因する振動が車体に伝達されてしまうことを抑制でき、車両運転時の快適性を向上できる。
【0072】
しかも、各接触回避リブ82a,82bは、それぞれ出力軸支持部72に近接配置されている。このため、出力軸支持部72とパイプフレーム20とが接触してしまうことを、接触回避リブ82a,82bによって、より確実に防止でき、車両運転時の快適性を、より確実に向上できる。
【0073】
また、ギヤケーシング70に設けられた各ガイドリブ83a,83bは、それぞれパイプフレーム20を挟んで対応する接触回避リブ82a,82bとは反対側に配置されている。このため、各ガイドリブ83a,83bだけでなく、各接触回避リブ82a,82bも利用してパイプフレーム20に対するギヤケーシング70の位置決めを、より確実に行うことが可能になる。
【0074】
さらに、ワイパ装置1では、ギヤケーシング70にブラケット固定部73a〜73dを設けると共に、これらブラケット固定部73a〜73dに締結固定されるブラケット76,376を設けた。これにより、ボルト77だけを用いてパイプフレーム20に直接ギヤケーシング70を締結固定する場合の他に、ブラケット76,376を用いてパイプフレーム20に直接ギヤケーシング70を締結固定することも可能になる。
このため、パイプフレーム20に対するワイパモータ40の支持強度を高めることができる。また、パイプフレーム20に対するワイパモータ40の支持方法のバリエーションを増大させることができ、ワイパ装置1の汎用性を、さらに向上させることができる。
【0075】
また、ギヤケーシング70に設けられた第1パイプ固定部78aと第4ブラケット固定部73dとが共有化されている。このため、ギヤケーシング70に第1パイプ固定部78aと第4ブラケット固定部73dとをそれぞれ別々に設ける場合と比較して、ギヤケーシング70を小型化できる。
【0076】
(第2実施形態)
(ワイパモータ)
次に、
図5に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
図5は、第2実施形態におけるパイプフレーム20へのワイパモータ240の支持方法を示す説明図である。
第2実施形態のワイパモータ240では、ギヤケーシング270に防振ゴム90が設けられている。この点、前述の第1実施形態のワイパモータ40と相違する。
【0077】
より詳しくは、ギヤケーシング270の一面270bには、第1パイプ固定部78aと第2パイプ固定部78bとの間に、防振ゴム収納部91が一体成形されている。防振ゴム収納部91は、パイプフレーム20の延在方向に長い額縁状の周壁91aを有している。この周壁91aとギヤケーシング270の一面270bとにより、防振ゴム収納部91が構成される。この防振ゴム収納部91に、防振ゴム90が収納されている。
【0078】
防振ゴム90は、防振ゴム収納部91の周壁91aの形状に対応するように、直方体状に形成されている。防振ゴム90の厚さT1、および防振ゴム収納部91の周壁91aの高さH1は、それぞれ以下のように設定されている。すなわち、防振ゴム収納部91に防振ゴム90を収納した状態で、周壁91aの端面から防振ゴム90が突出するような厚さT1、および高さH1に設定されている。
【0079】
このような構成のもと、防振ゴム収納部91に防振ゴム90を収納した上からパイプフレーム20が配置される。さらに、ギヤケーシング270の各ブラケット固定部73a,73b,73cに、ブラケット376がボルト77によって締結固定される(前述の第1実施形態における第3の支持方法(
図4)であって、パイプフレーム20が介在されている場合を参照)。
このとき、防振ゴム90が圧縮変形され、防振ゴム収納部91の周壁91aの端面にパイプフレーム20が当接する。これにより、パイプフレーム20にワイパモータ40が支持される。
【0080】
このように、上述の第2実施形態では、ギヤケーシング270の一面270bとパイプフレーム20との間に、防振ゴム90を介在させる。このため、ワイパモータ40を駆動させた際の振動をパイプフレーム20に伝達しにくくすることができ、車両運転時の快適性をさらに向上できる。
また、ギヤケーシング270に防振ゴム収納部91を設け、この防振ゴム収納部91に防振ゴム90を収納するようにしている。このため、ギヤケーシング270に対する防振ゴム90の位置がずれることがなく、ギヤケーシング270とパイプフレーム20との間に、防振ゴム90を確実に介在させることができる。
【0081】
さらに、防振ゴム90の厚さT1、および防振ゴム収納部91の周壁91aの高さH1は、防振ゴム収納部91に防振ゴム90を収納した状態で、周壁91aの端面から防振ゴム90が突出するように設定されている。このため、パイプフレーム20にワイパモータ40を取り付けた際、防振ゴム90を確実に圧縮変形させることができる。よって、ワイパモータ40を駆動させた際の振動を、より確実にパイプフレーム20に伝達しにくくすることができる。
【0082】
なお、上述の第2実施形態では、パイプフレーム20へのワイパモータ240の支持方法として、第3の支持方法を採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1の支持方法や第2の支持方法を採用することも可能である。第2の支持方法を採用する場合、パイプフレーム20の位置に応じて防振ゴム収納部91および防振ゴム90の位置を変更する。
【0083】
また、上述の第2実施形態では、防振ゴム収納部91が額縁状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、防振ゴム収納部91の形状は、ギヤケーシング270に対する防振ゴム90の移動を規制できるような形状であればよい。例えば、額縁状ではなく、防振ゴム90の4辺に対応する箇所にピン等を立設させ、これを防振ゴム収納部91としてもよい。
【0084】
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、第3の支持方法において、ギヤケーシング70の第2ブラケット固定部73bと出力軸支持部72との間に(第2の支持方法のように)、パイプフレーム20を通してもよい。
【0085】
さらに、上述の実施形態では、ワイパ装置1は、リンク機構60を備えたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、2つのワイパモータ40を設け、それぞれのワイパモータ40に不図示のワイパブレードを直接取り付けるように構成してもよい。この場合、ワイパ装置1にパイプフレーム20を設ける必要なくなる。このため、車体へのワイパ装置1の支持方法としては、上記の第3の支持方法を採用することが可能である。
【0086】
また、上述の実施形態では、ギヤケーシング70,270と、パイプフレーム20やブラケット76,376と、を固定するために、ボルト77を用いた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ピン等を用いて固定してもよい。
さらに、上述の実施形態では、パイプフレーム20に対するワイパモータ40,240(ギヤケーシング70,270)の向きを、2方向に変更できる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、2方向以上の複数方向に変更できるように構成してもよい。この場合、変更する方向の数に応じて、ギヤケーシング70,270にガイドリブ83a,83bや接触回避リブ82a,82bを設ければよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、ワイパモータ40,240を支持するフレームがパイプフレーム20である場合について説明した。しかしながら、フレームの形状はパイプフレーム20に限られるものではなく、さまざまな形状のフレームを適用することができる。例えば、フレームが板状であってもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、パイプフレーム20とギヤケーシング70,270とをボルト77によって締結固定される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ギヤケーシング70,270の各パイプ固定部78a,78bから各ブラケット固定部73a,73b,73cのような円環状のフレーム位置決め突部を少なくとも1つ突出させ、パイプフレーム20を位置決めさせてもよい。これにより、組み付け時における、パイプフレーム20とギヤケーシング70,270との相対的な移動を規制することができる。
さらに、ギヤケーシング70,270上のパイプフレーム20と接触する箇所に、少なくとも1つの円柱状のフレーム位置決め突起を設け、パイプフレーム20に、フレーム位置決め突起の形状に対応する位置決め孔を設けてもよい。