(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態を、以下に図面を用いて説明する。
図1は、インクジェットプリンターの全体の概要を説明する図である。インクジェットプリンター1は、記録媒体を支持するプラテン6が、装置の長手方向に沿って配置されている。また、記録媒体は、長手方向に沿って配置された複数の搬送ローラー8によって搬送される。プラテン6は表面が平らな板であり、その板に細孔が設けられている。裏側に配置された吸引室によって、その細孔から、空気を引き込み、その力で記録媒体を吸着する。プラテン6に吸着された記録媒体の上方を、キャリッジ2が往復移動する。往復移動の方向は、記録媒体の搬送方向に対して、交差する方向である。この例では、直行する方向である。キャリッジ2に搭載された記録ヘッドからインクを吐出して、記録媒体に画像を記録する。プラテン6と、プラテン6の記録媒体の搬送方向の下流側に配置されたペーパーガイド5には、記録媒体を加熱し、インクの乾燥、定着を促進させるヒーターが備わる。また、ペーパーガイド5に対向した位置に、送風ヒーター7が備わり、記録媒体を加熱しながら送風し、インクの乾燥、定着を促進させる。
【0013】
キャリッジ2には、カメラユニット3が搭載され、記録媒体に記録された画像やテストパターンを撮影し、デジタルの撮像データを生成することができる。また、カメラユニット3は、キャリッジ2の移動範囲の任意の位置で撮影することができる。プラテン6に吸引されて支持された記録媒体上の画像を、キャリッジ2を所望の位置に移動して撮影する。そのため、ほぼ一定の角度、ほぼ一定の距離からの撮影となり、歪みや影などが、極端に悪いものになることは無い。そのため、安定した撮像データを取得でき、好適な解析結果を得ることができる。
【0014】
プラテン6の側方には、キャリッジ2に搭載されている記録ヘッドを清掃するワイプユニット4が備えられている。キャリッジ2をワイプユニット4の位置に移動させ、ワイプユニット4に備えられたワイパーによって、記録ヘッドのノズル面をワイプして付着物を取り除く。
【0015】
また、キャリッジ2に固定されている記録ヘッドのノズルは、インク色毎に別れている。例えば、記録ヘッド毎に異なる色のインクを吐出する。カラー記録する場合にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを夫々の記録ヘッドから吐出する。各記録ヘッドのノズル位置を、キャリッジ2に固定するときに合わせる。その各記録ヘッドのノズルは、副走査方向に列状に並んでいる。そのノズルを、主走査方向の同一ライン上に位置するように配置する。これにより、同一画素に、各色のインクを吐出することができる。
【0016】
図2は、インクジェットプリンターのブロック図である。制御回路10はインクジェットプリンター1の全体を制御する。例えばCPUを備える制御回路である。制御回路10は予め記憶されているプログラムに従って動作し、インクジェットプリンターの全体の各種制御を行う制御回路である。ROM11は不揮発性メモリーであり、制御回路10のプログラム、初期設定値等の情報が記憶されている。また、ROM11には予めテストパターンのデータが記憶されている。RAM12は制御回路10の演算等に用いるワークメモリーや一時的な情報の記憶を行うメモリーである。
【0017】
操作パネル13は、ユーザーによる設定値、コマンド、選択などの入力と、インクジェットプリンターの状態や指示などの表示を行う。
【0018】
キャリッジモーター駆動回路14は、キャリッジ2を往復走査させるためのモーターを駆動する。キャリッジモーター駆動回路14は、制御回路10によって制御される。例えば、キャリッジ2は、無端ベルトに固定され、レールに沿って移動する構成である。無端ベルトを回転させるモーターを駆動することで、キャリッジ2が移動する。
【0019】
キャリッジ位置検出センサー15は、キャリッジ2の移動方向に沿って直線状に配置されたリニアスケールの目盛を光学的に検出する。キャリッジ位置検出センサー15は制御回路10からの制御信号に基づいて動作し、検出結果をAD変換して、その信号を制御回路10に出力する。制御回路10は、この信号をカウントすることで、キャリッジ2の位置が特定でき、位置を取得し、その位置に応じた制御ができる。キャリッジ2における各記録ヘッドの位置は予めROM12に記憶しておく。キャリッジ2の位置に応じて、各記録ヘッドの位置を演算し、その結果に応じて、記録ヘッドを駆動し、インクを吐出することで、記録媒体の所望の位置に画像を記録することができる。
【0020】
ヘッド駆動回路16は、記録ヘッドを駆動する。記録ヘッドは、ヘッド駆動回路16からの駆動信号に基づいてインクの吐出動作を行う。ヘッド駆動回路16は制御回路10からの制御信号に基づいて動作する。記録する画像データとキャリッジ2の位置に基づき、所望の位置にインクを吐出することができる。
【0021】
搬送モーター駆動回路17は、モーターを駆動し、そのモーターに接続された搬送ローラー8を駆動する。搬送モーター駆動回路17は、制御回路10によって制御される。
【0022】
電子カメラ駆動回路18は、カメラユニット3に備わる電子カメラを駆動する。電子カメラ駆動回路18は、制御回路10によって制御される。電子カメラによって取得した画像データは、RAM12に格納される。制御回路10によって、RAM12に格納された撮像データを、解析など、演算することができる。
【0023】
制御回路10は、ROM11、RAM12などに記憶された画像データと、キャリッジ位置検出センサー15の取得したキャリッジ2の位置と、記録ヘッドの位置とに基づいて、ヘッド駆動回路16を駆動し記録媒体に画像を記録する。また、制御回路10は、搬送モーター駆動回路17を制御して、記録媒体を搬送し、記録と搬送を交互に行い所望の画像を完成させる。また、キャリッジ2の位置に基づき、所望の位置で撮影することができる。また、撮影して得た撮像テータを、制御回路10によって解析し、解析結果をメモリーに記憶することができる。テストパターンは、1回の走査によって記録することができる。
【0024】
次に、
図3から
図5を用いてテストパターンについて説明する。
図3は、テストパターンを説明する概略図である。
図4は、テストパターンの位置を検出するパターンを説明する図である。
図5は、記録ヘッドのノズルに対応するパターンを説明する図である。
【0025】
記録ヘッドのノズルの状態を検出するために、記録媒体にテストパターンを記録する。このテストパターンは、第1パターン検出マーク20、第2パターン検出マーク21と、この2つのマークに挟まれた位置に記録するノズル検出マーク22が含まれる。第1パターン検出マーク20と第2パターン検出マーク21は、テストパターンの記録されている場所を特定するための領域検出マークとなっている。少なくとも複数色のインクで記録されることが好ましく、さらに好ましくは全色のインクで記録する。1つや2つの不良ノズルがあったとしても複数色で記録することで、記録漏れなく領域検出マークを記録できる。同一画素を記録する色違いのノズルが全て吐出不良となる可能性は低いので、このようなことが言える。第1パターン検出マーク20および第2パターン検出マーク21は、中央バー31と左サイドバー32、右サイドバー30を含む。ノズル検出マーク22は、記録ヘッドに備わるノズル夫々に対応した位置を示すマーク部24と、各ノズルの状態を示すライン部23を含む。
【0026】
第1パターン検出マーク20と第2パターン検出マーク21はテストパターンの記録された領域を特定するためのマークである。第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21の画像データは、同じパターンのデータである。左サイドバー32と右サイドバー30の幅は、夫々La33、Le37であり、等しいドット数の幅である。中央バー31は、左サイドバー32、右サイドバー30よりも広い幅Lc35で構成されている。3倍の幅である。左サイドバー32と中央バー31の間には無記録部分Lb34、右サイドバー30と中央バー31の間には無記録部分Ld36があり、その幅は、La33、Le37と同じである。これらの幅は、1:1:3:1:1の比となるっている。
【0027】
第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21のX軸方向の長さ、すなわちノズル列の方向の長さは、検出するノズル列の長さとなる。また、マークの形状は長方形の組み合わせであり、塗りつぶされている。カメラユニット3によって撮影して得た撮像データのテストパターンに、歪みがある場合でも、第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21で囲まれる範囲にノズル検出マーク22が含まれる。
【0028】
また、第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21で囲まれる範囲は、記録媒体上では本来長方形である。撮像データと元の形状を比較することで、歪みの状態を知ることができる。歪みの状態から、撮影して得た撮像データのテストパターンの各画素の座標(Xi、Yj)の、本来のテストパターンの各画素の座標(X0i、Y0j)からの変位を取得することができる。歪みがあっても、記録された部分と、非記録部分のY軸方向の比によって、第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21であることが検出できる。第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21は、記録部、非記録部、記録部、非記録部、記録部が、主走査方向に1:1:3:1:1の比で記録されている。取得された撮像データに多少の歪みがあってもこの比率から、領域検出マークを判断することができる。撮像データの中から第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21を推定して取得できる。その取得した形状を、本来の長方形に変換することで、本来の形状に補正することができる。
【0029】
ノズル検出マーク22は、記録ヘッドに備わるノズル夫々に対応した位置を示すマーク部24を含む。記録されたテストパターンのマーク部24の位置から、ノズル列の何番目のノズルに対応しているか判断することができる。例えば、
図3中の左上のノズル検出マーク22が、ノズル列の副走査方向の最上流のノズルに対応し、左から2列目の上端のノズル検出マーク22がノズル列の副走査方向の最上流から2番目のノズルに対応する。右に向かって順番に次のノズルが対応する。右端まで到達すると、左端の次の段から右に向かって順番に次のノズルが対応する。最下段の右端のノズル検出マーク22がノズル列の副走査方向の最下流のノズルが対応する。
【0030】
各ノズル検出マーク22に対応するノズルによってライン部23を記録する。マーク部24は、ライン部23を記録するノズルを含み、その前後の複数のノズルによって記録する。
図5の例では、当該ノズルを含む5ノズルで記録している。また、マーク部を、例えば全色など、複数のインク色で記録しても良い。そうすることで、当該ノズルが不吐出ノズルであっても、マーク部は多色のインクで記録でき、ノズルの位置を正確に特定できる。
【0031】
また、ライン部23を記録するノズルが不吐出であっても、その前後の複数のノズルによって記録することで、このマーク部24が記録されないという状態を避けることができる。
【0032】
第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21で囲まれる範囲内で、マーク部24を探すことで、そのマーク部24に対応するノズルの記録ヘッド上の位置を取得することができる。これにより、ライン部23が記録されていなく、テストパターンの画像が歪んでいても正確に、ノズル検出マーク22に対応するノズルを特定することができる。
【0033】
ノズル検出マーク22のマーク部24は、主走査方向すなわちY方向の長さがLg41であり、副走査方向すなわちX方向の長さがLi43である。ノズル検出マーク22の端間のY方向の距離がLf40である。ノズル検出マーク22間のX方向の距離がLj44である。ライン部23の長さは、Lh42である。ノズル検出マーク22は、同じ形状をしているが、不吐出など、ノズルの不良があるとライン部23が記録されないなどの症状が現れる。
【0034】
次に、テストパターンの例とその検出について説明する。
図6は、テストパターンの例を説明する図である。
図7は、ノズルの状態を判断するデータを説明する図である。
【0035】
画像50は、テストパターンを記録媒体に記録して、それをカメラユニット3で撮影して得た撮像データである。
図6の左右方向をY座標、上下方向をX座標で表す。左下端を座標の基準(0,0)として表す。Y座標がnドット、X座標がmドットで構成された画像データである。記録媒体が歪み、光の状態により、影ができている。点線で示したエリア51内の検出データを
図7に示している。
図7のX軸であるノズル位置軸56は、撮像データ上のノズルの位置の座標を示している。
図7のY軸であるレベル軸55は、対応する画素の値である。撮像された輝度レベルを示している。下方が明るく、上方が暗いレベルとなる。
図6の上端のノズル検出マーク52と下端のノズル検出マーク53は、夫々
図7では右方端側、左方端側の端部のデータに対応する。
図6のライン部23の無いノズル検出マーク54のノズルは、
図7のノズル位置60に対応する。
【0036】
閾値57は、ライン部23の有無を判断するレベルである。マーク部検出レベル59は、
図6のノズル検出マーク53からノズル検出マーク52までのマーク部24に対応した位置の輝度を示した線である。下地が影などで暗い部分と、影の無い明るい部分があり、その下地のデータも含む線である。ライン部検出レベル58は、
図6のノズル検出マーク53からノズル検出マーク52までのライン部23に対応した位置の輝度を示した線である。下地が影などで暗い部分と明るい部分があり、その下地のデータも含む線である。下地のデータに応じて閾値57を変化させることで、下地部分のデータの影響による誤検出を防ぐことができる。この例では、ノズル位置60のライン部が閾値57未満なので、ライン部が記録されていないと判断される。閾値を一定にしないことで、下地色によらずに判断が可能となる。例えば、閾値は、当該ライン部とその前2ノズル、後2ノズルの5ノズル分の間隔のデータを平均した値を下地のデータとし、この下地データと最も明るいデータの差の明るい方から4分の1の位置の値を閾値とすることができる。また、全体的に暗い場合もあるので、閾値の最大値を決めてある。例えば、閾値の最大値をレンジの4分の3の位置の値を閾値にする。これらに限らず、閾値を決めてもよい。
【0037】
次に、検出動作について説明する。
図8は、不良ノズルの特定のための動作を説明するフローチャートである。
【0038】
まず、ステップS1では、記録媒体にテストパターンを記録する。テストパターンの描画データ、記録位置は、予めROM11に記憶されており、そのデータに基づいて記録媒体の所定の位置に記録する。カラー印刷のための全ての記録ヘッドのノズルをテストする。例えば4色ならば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクに対応した記録ヘッドを備えているので、各色の記録ヘッドでテストパターンを記録する。各色のテストパターンのライン部23は重ねずに記録する。
【0039】
次に、ステップS2では、記録したテストパターンの位置をメモリーに記憶する。例えばRAM12に記憶する。これは、記録されたテストパターンを撮影するために、テストパターンを記録したときのキャリッジの位置を特定するためである。
【0040】
次に、ステップS3では、記憶されたテストパターンの位置に応じてキャリッジ2を移動する。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順にテストパターンを記録したとすると、まずシアンのテストパターンが撮影できる位置にカメラを移動する。順次撮影することになる。
【0041】
次に、ステップS4では、カメラユニット3によってテストパターンを撮影し、その撮像データをRAM12に記憶する。
【0042】
ここで、フローチャートは、1色分の撮影の動作についての記載になっているが、説明を単純にするためであり、本来各色のテストパターンを撮影し、撮影した夫々の色のテストパターンの撮像データをRAM12に記憶する。また次のステップからも1色分の動作について説明しているが、説明を単純にするためであり、同様の動作を各色について行うことになる。
【0043】
次に、ステップS5では、取得したテストパターンの画像データから、第1のパターン検出マーク20および第2のパターン検出マーク21を抽出し、その四隅の座標を取得する。詳しくは後述する。四隅の座標を取得することで、X軸Y軸双方の方向で変化率を演算することができる。また、キャリッジに搭載されたカメラユニット3からの撮影なので、斜め上方からの撮影となるので、歪みが生じるので、その歪みを補正する必要がある。
【0044】
次に、ステップS6では、四隅の座標から、各座標の本来の位置と実際の位置との変位量を演算する。すなわち現実の画像データの歪み量が分かる。現実の画像データの第1パターン検出マーク20と第2パターン検出マーク21による長方形の四隅すなわち各頂点が、本来のマスクパターンの形状である長方形と相似になるように現実の画像データを伸縮させる演算を行う。本来長方形の領域となっているはずの領域に対して、実際に撮影して得た撮像データのテストパターンが、X軸、Y軸方向にどの程度の率で伸縮しているかを演算する。さらにこの率に基づき、領域が元の長方形に相似になるように各軸方向に伸縮させることで、補正する。
【0045】
次に、ステップS7では、画像データの中からノズル検出マーク22の内の先頭のノズルに対応するものの位置を探す。すなわち、マーク部24を抽出し、先頭のノズルに対応するものを探し出す。詳細は後述する。
【0046】
次に、ステップS8では、ライン部23を順に検出し、不吐出ノズルか否かを判断する。全てのテストパターンを対象に解析する。詳細は後述する。
【0047】
次に、ステップS9では、全てのノズル検出マーク22について検出が終了したら、不吐出である不良ノズルをRAM12に記憶する。不良ノズルを他のノズルで代替するために、RAM12に記憶された情報に基づいて制御がされる。また、記録媒体に不良ノズルの番号を記録することで、ユーザーに告知する。また、操作パネル13に不良ノズルの番号を表示することでユーザーに告知する。不良ノズルを特定できれば、複数パス方式で記録する場合に、不良ノズルを他のノズルで代替することができる。
【0048】
次に、ステップS5の処理について詳述する。
図9は、テストパターンの検出範囲の特定のための動作を説明するフローチャートである。
【0049】
先ず、ステップS10では、指定されたX座標が同じY軸方向のラインについて、解析する。原点座標(0,0)から画素値を取得する。画素値は電子カメラで取得した階調のデータである。座標(0,0)から(m,n)まである撮像データの、Y軸方向に順に画素値を取得し演算する。Y座標の最後まで取得完了したら、X座標を1進め、X座標の0からmまでY軸方向のラインの画素値を取得し、演算することになる。まずは初期値のX軸の座標が0のときからはじめ、後続の処理でX軸の位置を設定した状態で再びこのステップの処理をする。
【0050】
次に、ステップS11では、取得したY軸方向に1ライン分の画素値について、所定の閾値を用いて2値化する。例えば、階調の中央の値を用いる。
【0051】
次に、ステップS12では、Y軸方向に連続する同色、すなわち2値化された同値の個数をカウントし、記憶する。その際、カウントの最初の座標と関連付けて記憶する。
【0052】
次に、ステップS13では、隣り合う黒と白の数が所定の比率のものがあるか否かを判断する。無ければ、X軸方向に1進めた位置のラインを設定して、ステップS10へ移行する。あれば、ステップS14へ移行する。
【0053】
次に、ステップS14では、領域検出のためのパターンである第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21を特定する。例えば、Y軸方向の半分より小さい側であれば第1パターン検出マーク、大きい側であれば第2パターン検出マーク21とする。
【0054】
次に、ステップS15では、第1パターン検出マーク20、第2パターン検出マーク21の内の、最大のX軸方向の値を持つものを上端座標として求める。上端座標は右サイドバー30の図中の右端、すなわち最大のY座標の値を持つものの座標である。前回検出した第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21の座標と、今回検出した座標とを比較して、X軸方向の値を比較して判断する。
【0055】
次に、ステップS16では、第1パターン検出マーク20、第2パターン検出マーク21の内の、最小のX軸方向の値を持つものを下端座標として求める。下端座標は右サイドバー30の図中の右端、すなわち最大のY座標の値を持つものの座標である。前回検出した第1パターン検出マーク20及び第2パターン検出マーク21の座標と、今回検出した座標とを比較して、X軸方向の値を比較して判断する。
【0056】
次に、ステップS17では、領域を検出するマークを全て検出したか否かを判断し、否なら、X軸の設定値を次の値にして、ステップS10へ移行する。検出が終了した場合は終了となる。すなわち、画像データのX軸Y軸双方の最後の座標まで終了していれば処理完了する。
【0057】
図10は、各ノズルとテストパターンとの対応関係の特定のための動作を説明するフローチャートである。ステップS7の処理である画像データの中からノズル検出マーク22の座標を検出する詳細の動作を示している。ステップS5で検出範囲を特定し、ステップS6で歪みを補正した後の画像データを用いて、ステップS7の処理が実行される。
【0058】
まず、ステップS20では、歪み補正後の第1パターン検出マーク20、第2パターン検出マーク21の上端座標、下端座標で示される範囲から、起点となるY座標を取得し、検出範囲の設定値としてこのY座標の値をセットする。例えば、第1パターン検出マーク20の下端座標のY座標である。
【0059】
次に、ステップS21では、検出範囲の設定値で示されるY座標に対して、X座標方向に走査して、画素値を取得する。
【0060】
次に、ステップS22では、画素値から、暗か明を判定し、連続する同色のドット数をカウントする。画素値の明暗は、所定の閾値よって判断する。
【0061】
次に、ステップS23では、明から暗に変わる座標を記憶する。この明から暗に変わる座標が、マークのエッジを示す候補となる。
【0062】
次に、ステップS24では、明から暗に変わる座標が等間隔に複数回連続するか判断する。明から暗に変わる座標が、等間隔で、複数回連続することが、ノズル検出マーク22のマーク部24であることの条件である。マーク部24は、複数のノズルにより記録されるので、一つのノズルが不吐出であっても、マーク部24が記録されるので判断が可能である。複数回連続する場合は、ステップS25へ移行し、連続しないと判断された場合はステップS28へ移行する。
【0063】
次に、ステップS25では、等間隔でノズル検出マーク22のマーク部24の検出をした場合の、空白区間後の最初のノズル検出マーク22であるか判断する。空白区間後の最初の場合は、ステップS26へ移行し、そうで無い場合はステップS32へ移行する。
【0064】
ノズル検出マーク22は、Y軸方向に空白区間とノズル検出マーク22の配置された部分が交互にあるので、この空白区間の有無を判断することによって、最初のノズル検出マーク22のマーク部24を判断できる。
【0065】
次に、ステップS26では、連続した最初のノズル検出マーク22のマーク部24が、列の起点となるマークであるので、その座標を記憶する。
【0066】
次に、ステップS27では、Y座標の最後の列まで処理が終了したか否かを判断する。終了していれば、処理を終了する。終了していなければ、ステップS32へ移行する。
【0067】
次に、ステップS28では、Y軸方向に連続する空白区間をカウントし、空白区間であることを示す値をリセットする。すなわち、Y軸方向のノズル検出マーク22間の空白部分を検出する。
【0068】
次に、ステップS29では、空白部分が所定の数連続したか否かを判断する。所定の数連続していなければ、ステップS31へ、連続していれば、ステップS30へ移行する。
【0069】
次に、ステップS30では、Y軸方向に空白区間が所定数連続しているので、Y軸方向に連続した空白であることを示す値をセットする。すなわち、ノズル検出マーク22間の空白部分であることを示す値をセットする。この値がセットされていることが、空白区間が存在していることを示す。ステップS25では、この値がセットされていることが条件となる。
【0070】
次に、ステップS31では、Y軸方向の最後の座標まで到達したか否かを判断する。到達していれば、処理を終了する。到達していなければ、ステップS32へ移行する。
【0071】
次に、ステップS32では、調査するY軸方向の、Y座標を次のY座標にセットし、ステップS21へ移行する。
【0072】
このようにすることで、ノズル検出マーク22の各列の起点となる座標を取得することができる。
【0073】
図11は、各ノズルの状態の特定のための動作を説明するフローチャートである。ステップS8の処理の詳細である。ライン部23を順に検出し、不吐出ノズルか否かを判断する。また、全てのテストパターンを対象に解析することになる。
【0074】
検出するノズル検出マーク22の先頭座標と、次のノズル検出マーク22の先頭座標をセットし、処理が開始される。また、最後のノズル検出マーク22の列の先頭は、第2パターン検出マーク21を変わりとして用い、その端部の座標が設定される。
【0075】
まず、ステップS40では、検出するノズル検出マーク22の列の先頭座標と、次の座標を取得する。
【0076】
次に、ステップS41では、Lf40の長さから、Lg41、Lh42の長さを演算する。Lf40の長さは、ノズル検出マーク22の列の先頭座標のY軸の座標の差の値である。また、Lg41とLh42の比の値と、先に求めたLf40の値とからLg41とLh42の長さを演算する。このLg41とLh42の長さから、マーク部24とライン部23のY軸方向の座標を決めることができる。これらの長さは、画素のドット数であらわすことができる。
【0077】
次に、ステップS42からステップS44では、一つのノズル検出マーク22に関してのデータを収集する。ステップS42では、一つのX座標におけるY軸方向のLG41とLh42の長さに対応した座標の画素値を積算する演算をする。
【0078】
次に、ステップS43では、積算した値の最大値をLg41とLh42の区間夫々で記憶する。
【0079】
次に、ステップS44では、X軸方向にk回の走査において、積算値が所定の値より小さいか判断する。すなわち、ここでは、ノズル検出マーク22のX軸方向の空白部分があることを確認する。k回はLj44に相当する空白を判断できる値である。Lj44に対応するドット数を演算し、kの値を求めることができる。k回の走査において、積算値が小さければステップS45、そうでなければステップS42に戻り、X軸方向に一つ座標を進めて、積算する走査を行う。
【0080】
次にステップS45では、ステップS42からステップS44で求めた、Lg41とLh42の各区間の積算値の最大値から、Lh42の区間の最大値が、Lg41の区間の最大値の所定の割合以上か判断する。ここで、所定の割合より少なければ、ステップS48へ移行し、多ければステップS46へ移行する。所定の割合は、ノズルが吐出不良でライン部23が記録されないことを判断できる値である。また、Lh42の区間は地肌部分のデータを積算しており、ライン部23を含め、その最大値となる。また、Lg41の区間は、地肌部分のデータと、マーク部24を含め、その最大値となる。しかし、マーク部24では、複数のノズルによって記録されるので、最大値は、マーク部24の記録されている部分となる。このマーク部24の値に対して、例えば、75%の濃度以上のLh42の区間の値があれば、ライン部23が記録されていると判断する。このように、予め閾値をどのように設定するかが、決められている。
【0081】
ステップS48では、ライン部23が記録されていないと判断され、それに応じた処理を行う。何番目のノズル検出マーク22であるかは、列を順に処理しているので取得できる。それに応じたノズル番号を取得し、そのノズル番号に関連付けて、不吐出であることをRAM12に記憶する。
【0082】
ステップS46では、列の最後のノズル検出マーク22の処理であったか否かが判断される。最後ならステップS47、最後でなければ、次のノズル検出マーク22で示されるノズルの状態を検出するために、ステップS42へ移行する。
【0083】
ステップS47では、全ノズル列の処理が終わったか判断する。終わっていれば、処理を終了し、終わっていなければ、ステップS49へ移行する。
【0084】
ステップS49では、次の検出するノズル列を指定して、処理をステップ40へ移行する。
【0085】
このように、全ノズル検出マーク22に関して、マーク部24とライン部23との画素値を積算し、下地の値を考慮しながら、ライン部23の記録状態を判断し、ノズルからインクが正常に吐出されたか、非吐出であったかを判断し、ノズルの状態を記憶する。
【0086】
非吐出のノズルがあった場合は、そのノズルを代替するノズルによりインクを吐出する処理を行うことで、画質の悪化を防止できる。
【0087】
記録媒体に記録したテストパターンを撮影し、撮像データを用いてノズルの状態を判断する。そのため、撮像データのテストパターン構成する多数の画素から、ノズル位置の特定をすることが可能なように、テストパターンを構成している。撮像データを用いることで、個々のマーク部24、ライン部23を構成する画素数を多くすることができる。そのため、多少の汚れや影や歪みなどのノイズが混じったとしても、正確に判断が可能となる。