【課題を解決するための手段】
【0007】
添付の特許請求の範囲で提示されているように、本発明に係る方法は、V
IV及びV
V溶液の混合におけるV
IV又はV
Vの濃度を判定する方法であって、少なくとも一つの波長における溶液の吸光度(又は他の光学的性質)を判定するステップと、同吸光度(又は他の光学的性質)に基づき、V
IV及び/又はV
V溶液の濃度を算出するステップとを含む。
一の実施形態においては、溶液における全体のバナジウム濃度は既知であり、V
IVとV
V間の複合体の存在により、バナジウム種の濃度と吸光度間に非線形関係があり、同吸光度に基づくV
IV及び/又はV
V溶液の濃度の算出するステップは、吸光度を、全体のバナジウム濃度が同じものであって少なくとも一波長についてのV
Vの割合に対する吸光度の参照グラフと比較し、同比較により溶液におけるV
IV及び/又はV
Vの割合を算定することを含む。
一の実施形態において、同方法は、少なくとも一の別の波長における溶液の吸光度を判定し、吸光度を、全体のバナジウム濃度が同じものであって少なくとも一つの別の波長についてのV
Vの割合に対する吸光度の参照グラフと比較し、前記少なくとも一つの波長において行われた比較と前記少なくとも一の別の波長において行われた比較とから、溶液におけるV
IV及び/又はV
Vの割合を算定することを含む。
一の実施形態において、同方法は更に、前記少なくとも一つの波長において行われた比較と、正極の充電状態(SoC)、負極の充電状態(SoC)、電池電圧、電解液のチャージ又はディスチャージ時における吸光度の変化のうち一以上に基づき、溶液におけるV
IV及び/又はV
Vの割合を算定することを含む。
一の実施形態において、所定の波長についてのV
Vの割合に対する吸光度の参照グラフは、前記所定の波長における既知の濃度のV
IV溶液の吸光度を判定し、前記所定の波長において、既知の混合比と既知の濃度のV
IV/V
V溶液のキャリブレーションサンプルの吸光度を判定することにより構築される。
一の実施形態において、既知の濃度及び混合比のV
IV−V
V混合の二つのキャリブレーションサンプルは、参照グラフの構築に用いられる。
一の実施形態において、V
IV/V
V混合比が制御された方法で変更可能な溶液であって、キャリブレーションは、混合比を変更し、混合比の変化と溶液の吸光度と比較することを含む。
一の実施形態において、V
IV/V
V混合比は、半電池の電極に電流を流すことにより制御された方法で変更される。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は既知であり、V
IV及びV
V間の複合体(complex)の存在に因りバナジウム種の濃度と吸光度間に非比例的な関係が存在し、吸光度に基づきV
IV及び/又はV
V溶液の濃度を算定するステップは、一対の特定の波長についての過剰吸光度の割合を判定し、一対の特定の波長についての判定された過剰吸光度の割合に基づいて連立方程式を解くことにより、V
IV及び/又はV
Vの濃度を算定するステップを含む。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は未知であり、バナジウムの濃度又はV
IV及び/又はV
V溶液の濃度は、二対の特定の波長についての過剰吸光度の割合を判定し、同二対の特定の波長についての判定された過剰吸光度の割合に基づいて連立方程式を解くことにより、V
IV及び/又はV
Vのバナジウム濃度を算定するステップを含む。
一の実施形態において、連立方程式の数式は、以下を含む。
【0008】
【数2】
ただし、Aynmは、yナノメートルにおける吸光度であり、Axnmは、xナノメートルにおける吸光度であり、δは減衰係数に依存する定数であり、複合体ελ
VIVとελ
VVの濃度は、対象の波長(λ)におけるV
IV及びV
V種のそれぞれの減衰係数であり、[V
IV]及び[V
V]はそれぞれ、複合体形成前のV
IV及びV
Vの濃度であり、Lは溶液を通る光路長である。
一の実施形態において、特定の波長における過剰吸光度は、既知のバナジウム濃度の溶液の特定の波長における吸光度を測定し、複合体が存在しない場合に生じる特定の波長における予測吸光度を算出し、この算出された予測吸光度の値を測定された吸光度の値から引くことにより判定される。
一の実施形態において、既知のバナジウム濃度の溶液の特定の波長における過剰吸光度を測定するステップは更に、同特定の波長における吸光度とV
Vの割合との関係を示す第1の参照グラフを構築し、複合体が存在しない場合に生じる特定の波長における予測吸光度とV
Vの割合との関係を示す、第1の参照グラフに類似する第2のグラフを構築し、第1のグラフと第2のグラフ間の吸光度の差であって過剰吸光度に対応する差と、V
Vの割合との関係を示す参照グラフを構築することを含む。
一の実施形態において、既知の濃度の溶液の特定の波長における吸光度を測定するステップは、既知の濃度のキャリブレートされた溶液の特定の波長における吸光度を測定することを含む。
一の実施形態において、複合体が存在しない場合に生じる特定の波長における予測吸光度の算出ステップは、V
IVとV
Vの減衰係数に基づくものである。
一の実施形態において、一以上の別の波長における溶液の吸光度は、V
IV又はV
Vのいずれかの割合又は濃度を判定又は確認するために用いられる。
一の実施形態において、V
II−V
III溶液及びV
IV−V
V溶液を含むバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)の充電状態(SoC)を算出する方法は、上記方法によりV
IV−V
V溶液におけるV
Vの量を算出し、V
II−V
III溶液におけるV
IIの量を算出し、算出したV
Vの量又はV
IIの量のうち値が低い方を判定し、同低い方の値からVRFBの前記SoCを判定する。
一の実施形態において、電気化学電池であって、その半分に陰極電解液又は陽極電解液であるV
IVとV
Vの溶液を含み、他の半分が残りの充電の算定が可能である電気化学電池のSoCを算出する方法が提供される。
同方法は、直接又は並列のいずれかで接続された同じ型の電気化学電池群に対して使用してもよい。
同方法は、直接又は並列のいずれかで接続された異なる型の電気化学電池群であって、半電池の一部又は全てがV
IVとV
Vの溶液の混合を使用する電気化学電池群に対して使用してもよい。
一の実施形態においては、濃度は、全体のバナジウムに対するV
IV又はV
Vの割合が、全体のバナジウム濃度が低い場合において、吸光度に比例することに基づき算出される。吸光度を記載しているが、本発明の実施には他の光学的特性を用いることができることは明らかである。
本発明は、陰極電解液及び陽極電解液の双方の充電された種の残量を判定することにより、バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)又は同様の装置の充電状態(SoC)を判定する方法を提供する。
一の実施形態において、吸光度の値を測定し混合比を算出する前に、バナジウム溶液を希釈して濃度を低くするステップが提供される。
一の実施形態において、バナジウム溶液であって、第2の半電池又はグループが同一又は既知の割合で充放電される電気化学電池又は同様の装置の半電池によって充電及び/又は放電されるV
IVとV
Vの種を含むバナジウム溶液が、システムに設けられ、同システムの両半部とも充電状態は既知であり、その混合比は、同システムの第2の半部の溶液の一
以上の波長における吸光度を判定し、同システムの第2の半部の充電状態を推定し、先の時間からの充電量を判定し、V
IV−V
V溶液の充電状態又は残りのV
V濃度を判定することにより算出される。
一の実施形態において、第2溶液の吸光度を判定する以外の方法が提供され、第2溶液の充電状態における変化を判定するのに使用される。
一の実施形態において、システムの第2半部のクーロン効率を考慮することによって、同システムの第2半部の充電状態における変化から得られる充電量の算出において修正が
なされる。
一の実施形態において、充電状態の変化は、V
IV−V
V反応のクーロン効率を考慮して得られた充電量から判定される。
一の実施形態において、バナジウム溶液は、V
II及びV
III、又はV
III及びV
IV種を備え、同方法は、一以上の波長における溶液の吸光度を判定し、濃度が吸光度に比例することに基づいて対象となるバナジウム種の割合又は濃度を算出するステップを備える。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は既知であり、混合比は、一以上の波長における吸光度から、V
IV、V
V又は複合体に因る吸光度を判定し、演算によりV
IV及び/又はV
Vのバナジウム全体の濃度及び/又は割合を判定することにより算出される。
一の実施形態において、V
IV(又はV
V)の濃度は既知であり、混合比は、一以上の波長における吸光度から、(V
IV)、V
V又は複合体に因る吸光度を判定し、演算によりV
IV及び/又はV
Vの全体のバナジウムの濃度及び/又は割合を判定することにより算出される。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は既知であり、V
IV又はV
Vの濃度又は割合は、一以上の波長における溶液の吸光度を判定し、同吸光度を、V
IV又はV
Vのいずれかの割合に対する吸光度の参照グラフ又は算出され調整された傾向線と比較し、V
IV又はV
Vの濃度を算定することにより算出される。
一の実施形態において、一以上の別の波長における溶液の吸光度は、V
IV又はV
Vの割合又は濃度を判定又は確認するのに用いられる。
一の実施形態において、V
IV又はV
Vの割合又は濃度は、二つの波長における溶液の過剰吸光度の比を判定し、V
IV又はV
Vのいずれかにより形成される複合体が存在しない場合の吸光度を、複合体の存在に因る過剰吸光度を相殺することにより算定し、V
IV又はV
Vの濃度を算定することにより算出される。
一の実施形態において、所定の波長における過剰吸光度は、同所定の波長における溶液についての吸光度の値からV
IV及びV
Vの吸光度の値の合計を引くことにより判定される。
一の実施形態において、所定の波長における過剰吸光度は、別の波長における過剰吸光度に過剰吸光度の特性比をそれぞれ掛けることにより算定される。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は既知であり又は算定可能であり、混合比は、一以上の波長における吸光度又は過剰吸光度を判定することにより算出される。
一の実施形態において、吸光度又は過剰吸光度は、V
IV、V
V、複合体又はバナジウム全体の濃度を判定するのに使用される。
一の実施形態において、全体のバナジウム濃度は未知であり、バナジウム種の割合又は濃度は、一以上の対の波長における溶液の過剰吸光度の割合を判定し、過剰吸光度の割合に基づいて溶液中に形成された複合体が存在しない場合のV
IV及びV
V双方の濃度を算定し、及び/又は算定されたV
IV及びV
Vの濃度に基づきV
IV及びV
Vの割合を判定する、ことにより算出される。
一の実施形態においては、算定されたV
IV又はV
Vの濃度に基づき全体のバナジウム濃度を判定するステップを更に含む。
一の実施形態においては、得られた充電に対する吸光度又は過剰吸光度の変化は、V
IV、V
V及び/又は混合体の割合、及び/又はV
IV、V
V、混合体、及び/又は全体のバナジウム濃度を判定するのに使用される。
一の実施形態においては、陽極電解液であるV
II−V
III溶液及び陰極電解液であるV
IV−V
V溶液を含むバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)の充電状態(SoC)を算出するステップが提供され、同方法は、上記方法により溶液中のV
Vの割合又は濃度を算出し、V
II−V
III溶液におけるV
IIの割合又は濃度を算出し、これらの割合及びV
II−V
IIIの溶液及びV
IV−V
Vの溶液の充電容量から、或いは同溶液の濃度及び体積からVRFBのSoCを判定するステップを含む。
一の実施形態において、V
II−V
IIIの溶液の混合比を算出するステップは、一の波長における溶液の吸光度を判定し、同吸光度に基づきV
II−V
IIIの溶液におけるV
IIの濃
度又は割合を算出することを含む。
一の実施形態において、陰極電解液又は陽極電解液としてV
IV及びV
Vの溶液と、残りの充電が算定可能な第2半電池とを備える電気化学電池の充電状態(SoC)を算出するステップが提供される。
一の実施形態において、同方法は、直接又は並列のいずれかで接続された同じ型の電気化学電池群に対して使用される。
一の実施形態において、同方法は、直接又は並列のいずれかで接続された異なる型の電気化学電池群であって、半電池の一部又は全てがV
IVとV
Vの溶液の混合を使用する電気化学電池群に対して使用することができる。