(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細孔充填ポリマーが、少なくとも20℃〜最高90℃までの範囲の供給温度、少なくとも20トール(2.67kPa)〜最高760トール(101kPa)までの範囲の透過減圧、少なくとも10psi(69kPa)〜最高100psi(690kPa)までの範囲の供給圧力、及び少なくとも2%〜最高20%までの範囲の供給混合物のアルコール濃度を用いて、少なくとも310g/m2/時〜最高30kg/m2/時までの範囲の平均アルコール透過流束を呈する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非対称複合膜。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の代表的な多孔質基材10及び非対称複合膜30の概略断面図である。
【
図2】本開示の代表的な複合膜を含むモジュールの斜視側面図である。
【
図3】本開示の代表的な複合膜を含む代表的な燃料分離システムの例証である。
【
図5】GC応答面積対エタノール濃度(y=45948x;R
2=0.9988)のグラフである。
【
図6】実施例1の複合膜の作製に用いられた多孔質基材における小さい細孔側面のSEM写真(3000倍率)である。
【
図7】実施例1の複合膜の作製に用いられた多孔質基材における大きい細孔側面のSEM写真(3000倍率)である。
【
図8】実施例1による照射した複合膜の細孔充填側面のSEM写真(3000倍率)である。
【
図9】実施例1による非照射の複合膜の側面のSEM写真(3000倍率)である。
【
図10】実施例6による多孔質基材の断面のTEM画像である。
【
図11】実施例6による非対称複合膜の断面のTEM画像である。
【
図12】実施例23に従って調製された、本開示の非対称複合膜の断面画像を示す。
【0019】
[例示的実施形態の詳細な説明]
本開示は、多孔質基材及び細孔充填ポリマーを含む、複合膜(好ましくは、非対称複合膜)を提供する。多孔質基材は、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を有する。細孔充填ポリマーは、少なくとも幾つかの細孔の内部に配設されている。
【0020】
特定の実施形態において、複合膜が非対称複合膜である場合、第1の主表面における又は該主表面に隣接する細孔充填ポリマーの量は、第2の主表面における又は該主表面に隣接する細孔充填ポリマーの量よりも多い。故に、細孔充填ポリマーの量に関し、複合膜は多孔質基材の厚さ全体を通して非対称である。
【0021】
そのような複合膜は、浸透気化、ガス分離、蒸気透過、及び有機溶剤ナノ濾過を含む様々な分離方法において使用できる。本開示の好ましい非対称複合膜は、浸透気化法において特に有用である。
【0022】
浸透気化は、供給側又は上流側にある液体及び「透過物」側又は下流側にある蒸気に接触した膜を含む、プロセスである。通常は、膜の蒸気側に適用された減圧及び/又は不活性ガスによって、プロセスの駆動力が提供される。典型的に、下流圧力は透過物の飽和圧力よりも低い。
【0023】
蒸気透過は、膜の供給側に液体の代わりに蒸気が接触していること以外は、浸透気化と全く同様である。浸透気化分離に適した膜は、典型的に、蒸気透過分離にも適するため、用語「浸透気化」が用いられた場合は、「浸透気化」及び「蒸気透過」の両方が包含される。
【0024】
浸透気化は、ガソリンの脱硫、有機溶剤の脱水、芳香性化合物又は芳香成分の単離、及び水溶液からの揮発性有機化合物の除去に用いることができる。本開示の特定の実施形態において、非対称複合膜は、アルコール及びガソリンの混合物からアルコールを浸透気化させるために使用される。
【0025】
高選択性の膜に対するニーズが存在する。従来の複合膜は、下層の多孔質支持体上に支持された選択性のある薄いポリマーコーティングを備える。そのような選択的な層は、分離される混合物中の1種以上の成分を吸収した結果、膨潤する。前記膨潤は、機械的強度を低下させるだけでなく、膜性能にも影響する。化学的架橋密度又は不浸透性物理的領域を導入すれば、材料の膨潤が或る程度まで抑制することができるが、そうすることにより透過性の低下を招く可能性もある。それ故、効率的な浸透気化性能及び機械的強度を有する膜を作製することに対する課題が存在する。また、欠陥又はピンホールを生ずることなしに極薄のコーティングを塗布することは困難でもある。これらの問題のうちの1つ以上が、本開示の1種以上の複合膜によって解決されてきており、これらの複合膜は複数特性の適切なバランスを提供する。
【0026】
一般的に、本開示の複合膜は、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を含む多孔質基材(すなわち、1つ以上の多孔質層の形態であり得る支持基材)と、複数の細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、前記多孔質基材の内部に厚さを有する層を形成する細孔充填ポリマーと、を含む。特定の実施形態において、細孔充填ポリマー層は、好ましくは、連続した層である。非対称複合膜において、第1の主表面における又は該主表面に隣接するポリマーの量は、第2の主表面における又は該主表面に隣接するポリマーの量よりも多い。
【0027】
図1を参照すると、代表的な多孔質基材10(
図1A)、及び代表的な非対称複合膜30(
図1C)の例証が、中間体20及び25(
図1B)と共に、垂直断面図で図示してある。代表的な多孔質基材10は、ナノ多孔質層12、ミクロ多孔質層14、並びに第1の主表面18及び第2の主表面19を有するマクロ多孔質層16(
図1A)を含めた3つの層を含む。加工中には、様々な中間体が形成され得る。中間体の2つの例を、
図1Bに20及び25として図示してある。多孔質基材10を硬化性細孔充填ポリマー組成物24で完全に飽和させることによって、中間体20(
図1Bの上部パネル)を生ずることが可能であるし、又は多孔質基材10を単に硬化性細孔充填ポリマー組成物24で部分的に充填することによって、中間体25(
図1Bの下部パネル)を生ずることも可能である。つまり、硬化性細孔充填ポリマー組成物24は、複数の細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され得る。いったん硬化性(すなわち、重合性及び/又は架橋性)細孔充填ポリマー組成物24を、紫外線照射源のような照射源に曝露して、硬化(すなわち、重合及び/又は架橋)させ、かつ未硬化の細孔充填ポリマー組成物(存在する場合)を洗い流すと、細孔充填ポリマー層26が形成される。つまり、多孔質基材が当初完全に飽和されていたか(中間体20と同様)それとも単に部分的に充填されていたか(中間体25と同様)に関係なく、硬化を行い未硬化部分を洗い流した際に、細孔充填ポリマーによりポリマー層26が形成される。特定の実施形態において、前記ポリマー層26は、厚さを有して多孔質基材10の内部に形成される。第1の主表面18における又は該主表面に隣接するポリマーの量は、第2の主表面19における又は該主表面に隣接するポリマーの量よりも多い。これにより、本開示の代表的な非対称複合膜30が形成される(
図1C)。
【0028】
多孔質基材10において、細孔は、垂直に(すなわち、多孔質基材10(
図1Aを参照)の厚さ「T」全体を通して)相互接続されている。特定の好ましい実施形態において、多孔質基材10の細孔は、水平に(例えば、ミクロ濾過膜と同様)寸法「H」に沿って相互接続されている(
図1Aを参照)。そのような実施形態において、細孔充填ポリマー24で形成される細孔充填ポリマー層26(
図1C)は、好ましくは連続した層である。多孔質基材10の細孔の全てが水平に(寸法「H」に沿って)相互接続されていない場合、層26は不連続になる(すなわち、細孔充填ポリマーによって多孔質基材の内部に複数の離散領域が形成される)。当然のことながら、寸法「H」は概して、多孔質基材の平面を指し、基材の水平薄片内部の全ての多様な水平寸法の代表である(垂直断面図で図示してある)。非対称複合膜の層26が連続しているかそれとも不連続であるかには関係なく、第1の主表面18における又は該主表面に隣接する細孔充填ポリマーの量は、第2の主表面19における又は該主表面に隣接するポリマーの量よりも多い。
【0029】
具体例として、
図12を参照する。該図には、実施例23によって調製された本開示の非対称複合膜240の断面画像が図示してある。本実施形態において、非対称複合膜240は、ナノ多孔質基材242の1つの層を含む。細孔充填ポリマーは連続した層244で示してある。
【0030】
本明細書において、連続した層とは、実質的に連続した層だけでなく、完全に連続した層のことも指す。実質的に連続した層とは、非対称複合膜が、第1の液体及び第2の液体(例えば、ガソリン)の混合物から所望の量の第1の液体(例えば、アルコール)を選択的に浸透気化することが可能な、十分に連続した層である。具体的には、複合膜(細孔充填ポリマーの「連続した層」を有する)の流束及び選択性は、膜が使用されている特定のシステム向けに十分である。
【0031】
そのような膜が、第1の液体及び第2の液体の混合物から第1の液体を選択的に浸透気化させるうえで特に有用である理由は、一般的に細孔充填ポリマーが第2の液体よりも第1の液体に対してより透過性であることであり、しかも、前記細孔充填ポリマーは、第1の液体
及び第2の液体に溶解されない。
【0032】
特定の実施形態において、第1の液体は、水、アルコール(エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール若しくはブタノール等)、又は有機イオウ含有化合物(チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ベンゾチオフェン、2−メチルチオフェン若しくは2,5−ジメチルチオフェン等)であり得る。
【0033】
特定の実施形態において、第2の液体は、ガソリン、ベンゼン、
エーテル(メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル等)、又はヘキサン、シクロヘキサンであり得る。
【0034】
特定の実施形態において、第1の液体はアルコールであり、第2の液体はガソリンである。故に、本開示の一実施形態では、アルコール及びガソリンの混合物からアルコールを選択的に浸透気化させるための非対称複合膜が提供されている。この非対称複合膜は、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を有する多孔質基材と、前記細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、厚さを有する連続した層を形成する細孔充填ポリマーと、を有する多孔質基材を含み、前記第1の主表面における又は該主表面に隣接する前記ポリマーの量は、第2の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量よりも多く、前記ポリマーは、ガソリンよりもアルコールに対してより透過性である一方、アルコール
及びガソリン
に溶解しない。
【0035】
多孔質基材
多孔質基材自体は、非対称又は対称であり得る。多孔質基材は、1つの層又は複数の層を含み得る。例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の層が存在し得る。幾つかの実施形態では、多孔質基材は疎水性である。他の実施形態において、多孔質基材は親水性である。
【0036】
(細孔充填ポリマーと結合する前に)多孔質基材が非対称的である場合、第1及び第2の主表面は、細孔モルホロジーの異なる多孔質構造を有する。例えば、多孔質基材は、その厚さ全体を通して異なるサイズの細孔を有し得る。同様に、(細孔充填ポリマーと結合する前に)多孔質基材が対称な場合、主表面は、細孔モルホロジーが同じである多孔質構造を有する。例えば、多孔質基材は、その厚さ全体を通して同じサイズの細孔を有し得る。
【0037】
図1Aを参照すると、第1の主表面18及び第2の主表面19にそれぞれ異なった細孔モルホロジーを有する非対称の基材が示してある。より具体的には、各細孔径の異なる3つの層が存在し、その結果、基材全体は、基材の厚さ「T」にわたって異なるサイズの細孔を有する。特定の実施形態において、ナノ多孔質層12は単独で多孔質基材として機能し得る。そのような実施形態において、多孔質基材は対称的である。
【0038】
好適な多孔質基材には例えば、フィルム、多孔質膜、織布ウェブ、不織布ウェブ、中空繊維などが挙げられる。例えば、多孔質基材は、フィルム、多孔質フィルム、ミクロ濾過膜、限界濾過膜、ナノ濾過膜、織布材料、及び不織布材料を含む、1つ以上の層から作製することが可能である。上述の支持体のそれぞれに使用できる材料は、天然の有機物(後述する有機ポリマー等)、天然の無機物(アルミニウム、スチール、並びに焼結金属、及び/又はセラミックス及びガラス等)、又はこれらの組み合わせであり得る。例えば、多孔質基材は、ポリマー材料、セラミック及びガラス材料、金属等、又はこれらの組み合わせ(すなわち、混合物及びコポリマー)から形成され得る。
【0039】
本開示の複合膜において、材料は、高温のガソリン環境に耐え、かつ複合膜に対し十分な機械的強度を提供するものであることが好ましい。互いに良好な接着力を有する材料は、特に望ましい。特定の実施形態において、多孔質基材は、好ましくは、ポリマー多孔質基材である。
【0040】
好適なポリマー材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、フッ化ポリマー(例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、エチレン−co−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド(例えば、種々のナイロン)、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリ(フェニレンスルホン)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(ビニルアセテート)、ビニルアセテートのコポリマー、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリカルボネート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、セルロース及びその誘導体(セルロースアセテート及び硝酸セルロース等)など、又はこれらの組み合わせ(すなわち、混合物又はコポリマー)が挙げられる。
【0041】
好適なポリオレフィンとしては、例えば、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(1−ブテン)、エチレン及びプロピレンのコポリマー、αオレフィンコポリマー(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−デセンのコポリマー等)、ポリ(エチレン−co−1−ブテン)、ポリ(エチレン−co−1−ブテン−co−1−ヘキセン)など、又はこれらの組み合わせ(すなわち、混合物又はコポリマー)が挙げられる。
【0042】
好適なフッ化ポリマーとしては、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンのコポリマー(ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロピレン)等)、クロロトリフルオロエチレンのコポリマー(エチレン−co−クロロトリフルオロエチレンコポリマー等)、ポリテトラフルオロエチレンなど、又はこれらの組み合わせ(すなわち、混合物又はコポリマー)が挙げられる。
【0043】
好適なポリアミドとしては、例えば、ポリ(イミノ(1−オキソヘキサメチレン))、ポリ(イミノアジポイルイミノヘキサメチレン)、ポリ(イミノアジポイルイミノデカメチレン)、ポリカプロラクタムなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
好適なポリイミドとしては、例えば、ポリ(ピロメリットイミド)、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
【0045】
好適なポリ(エーテルスルホン)としては、例えば、ポリ(ジフェニルエーテルスルホン)、ポリ(ジフェニルスルホン−co−ジフェニレンオキシドスルホン)など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
好適なポリエーテル類としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0047】
そのような材料は、感光性又は非感光性であり得る。感光性多孔質基材材料は、光開始剤として作用し、紫外線照射のような照射源の下で重合を開始するラジカルを生成するため、結果として、充填ポリマーが多孔質基材に共有結合することが可能になる。故に、細孔充填ポリマー内部での架橋は、充填ポリマーを基材に強く保持するのには必要ではない。なぜなら、架橋により、ポリマーが基材壁部に結合される又はつなぎ留められる結果になる可能性があるためである。好適な感光性材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PEEK、ポリイミド、及びPPSが挙げられる。感光性材料は、ナノ多孔質層に用いられることが好ましい。
【0048】
好適な多孔質基材は、幅広い種類のサイズの細孔を有し得る。例えば、好適な多孔質基材としては、ナノ多孔質膜、ミクロ多孔質膜、ミクロ多孔質不織布/織布ウェブ、ミクロ多孔質織布ウェブ、ミクロ多孔質繊維、ナノ繊維ウェブなどを挙げることができる。幾つかの実施形態では、多孔質基材は、それぞれ異なった細孔径(例えば、ミクロ細孔、ナノ細孔など)の組み合わせを有し得る。一実施形態において、多孔質基材はミクロ多孔質である。
【0049】
幾つかの実施形態において、多孔質基材は、平均細孔径が10マイクロメートル(μm)未満であり得る細孔を含む。他の実施形態において、多孔質基材の平均細孔径は、5μm未満、又は2μm未満、又は1μm未満であり得る。
【0050】
他の実施形態において、多孔質基材の平均細孔径は、10nm(ナノメートル)超であり得る。幾つかの実施形態において、多孔質基材の平均細孔径は、50nm超、又は100nm超、又は200nm超である。
【0051】
特定の実施形態において、多孔質基材は、0.5nm〜最大1000μmまでの範囲の平均径を有する細孔を含む。幾つかの実施形態では、多孔質基材は、10nm〜10μmの範囲、又は50nm〜5μmの範囲、又は100nm〜2μmの範囲、又は200nm〜1μmの範囲の平均細孔径を有し得る。
【0052】
特定の実施形態において、多孔質基材は、ナノ多孔質層を含む。特定の実施形態において、ナノ多孔質層は多孔質基材の第1の主表面に隣接するか又は該第1主表面を画定する。特定の実施形態において、ナノ多孔質層は、0.5ナノメートル(nm)〜最大100nmまでの範囲のサイズを有する細孔を含む。本開示によれば、ナノ多孔質層内の細孔径は、1nmの増分で、0.5nm〜100nmの任意の範囲を含み得る。例えば、ナノ多孔質層における細孔径は、0.5nm〜50nm、又は1nm〜25nm、又は2nm〜10nmなどの範囲であり得る。分画分子量(MWCO)は典型的に、細孔径に相関させる目的で使用されるつまり、ナノ細孔の場合、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、タンパク質、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリマー標準の分子量(90%超が保持される)を使用して、細孔径を特徴付けることができる。例えば、多孔質基材の或る供給元は、ポリビニルアルコールを用いたASTM E1343−90−2001のような標準試験を使用して、細孔径を評価している。
【0053】
特定の実施形態において、多孔質基材は、ミクロ多孔質層を含む。特定の実施形態において、ミクロ多孔質層は、多孔質基材の第1の主表面に隣接するか又は該第1の主表面を画定する。特定の実施形態において、ミクロ多孔質層は、0.01μm〜最大20μmまでの範囲のサイズの細孔を含む。本開示によれば、ミクロ多孔質層の細孔径は、0.05μmの増分で、0.01μm〜20μmの任意の範囲を含み得る。例えば、ミクロ多孔質層の細孔径は、0.05μm〜10μm、又は0.1μm〜5μm、又は0.2μm〜1μmなどの範囲であり得る。典型的に、ミクロ多孔質層内にある平均又は最大の細孔径の細孔は水銀ポロシメトリ−により、最大の細孔はバブルポイント法細孔径測定により、平均/最大の細孔径は走査型電子顕微鏡検査(SEM)及び/又は原子間力顕微鏡検査(AFM)により、測定することが可能である。
【0054】
特定の実施形態において、多孔質基材は、マクロ多孔質層を含む。特定の実施形態において、マクロ多孔質層は、多孔質基材の第1の主表面に隣接するか又は該第1の主表面を画定する。特定の実施形態において、マクロ多孔質層は、2つミクロ多孔質層、例えば、3M Purification Incから入手されるBLA020膜の間に埋め込まれている。
【0055】
特定の実施形態において、マクロ多孔質層は、1μm〜1000μmの範囲のサイズを有する細孔を含む。本開示によれば、マクロ多孔質層の細孔径は、1μmの増分で、1μm〜最大1000μmまでの任意の範囲を含み得る。例えば、マクロ多孔質基材の細孔径は、1μm〜500μm、又は5μm〜300μm、又は10μm〜100μmなどの範囲であり得る。典型的に、マクロ多孔質層の細孔径は、走査型電子顕微鏡検査若しくは光学顕微鏡検査により、又は不織布に対しては細孔径メーターを使用して測定できる。
【0056】
マクロ多孔質層が典型的に好ましいとされる理由は少なくとも、ミクロ多孔質又はナノ多孔質構造体と比べてマクロ細孔が蒸気輸送抵抗を低く抑えるだけでなく、マクロ多孔質層が剛性及び機械的強度を増加させることも可能なためである。
【0057】
選択される多孔質基材の厚さは、膜の意図される用途によって異なっていてよい。一般的に、多孔質基材の厚さ(
図1Aの「T」)は、10マイクロメートル(μm)超であり得る。幾つかの実施形態において、多孔質基材の厚さは、1,000μm超、又は5,000μm超であり得る。最大厚さは使用目的によっても異なるが、10,000μm以下であることが多い。
【0058】
特定の実施形態において、多孔質基材は、第1及び第2の対向する主表面を有し、一方の対向する主表面から他方の対向する主表面まで測定したときに5μm〜最大500μmまでの範囲の厚さを有する。本開示によれば、多孔質基材の厚さは、25μmの増分で、5μm〜500μmの任意の範囲を含み得る。例えば、多孔質基材の厚さは、50μm〜400μm、又は100μm〜300μm、又は150μm〜250μmなどの範囲であり得る。
【0059】
特定の実施形態において、ナノ多孔質層は、0.01μm〜最大10μmまでの範囲の厚さを有する。本開示によれば、ナノ多孔質層の厚さは、50nmの増分で、0.01μm〜10μmの任意の範囲を含み得る。例えば、ナノ多孔質層の厚さは、50nm〜5000nm、又は100nm〜3000nm、又は500nm〜2000nmなどの範囲であり得る。
【0060】
特定の実施形態において、ミクロ多孔質層は、5μm〜最大300μmまでの範囲の厚さを有する。本開示によれば、ミクロ多孔質層の厚さは、5μmの増分で、5μm〜300μmの任意の範囲を含み得る。例えば、ミクロ多孔質層の厚さは、5μm〜200μm、又は10μm〜200μm、又は20μm〜100μmなどの範囲であり得る。
【0061】
特定の実施形態において、マクロ多孔質層は、25μm〜最大500μmまでの範囲の厚さを有する。本開示によれば、マクロ多孔質層の厚さは、25μmの増分で、25μm〜500μmの任意の範囲を含み得る。例えば、マクロ多孔質基材の厚さは、25μm〜300μm、又は25μm〜200μm、又は50μm〜150μmなどの範囲であり得る。
【0062】
特定の実施形態では、多孔質基材内部の任意の場所に1〜4つの層が任意の組み合わせで存在し得る。各層の個々の厚さは、5nm〜1500μm厚の範囲であり得る。
【0063】
特定の実施形態において、各層は、0.5%〜最高95%までの範囲の気孔率を有し得る。
【0064】
細孔充填ポリマー
一般的に、細孔充填ポリマーは、使用中に接触する液体に不溶性である。より具体的には、細孔充填ポリマーは、第2の液体よりも第1の液体に対してより透過性である一方、第1の液体
及び第2の液体に溶解しない。本明細書において、ポリマーは、僅かな量のポリマーがそれらの液体に溶解する場合でさえも、第1の液体(特に、アルコール)又は第2の液体(特に、ガソリン)に不溶であるとみなされる。
【0065】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、多孔質基材の第1の主表面18の少なくとも一部を形成する細孔充填ポリマー層26(
図1C)の形態である。特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、露出した主表面を有する細孔充填ポリマー層の形態であり、該露出した主表面によって、多孔質基材の第1の主表面、並びに多孔質基材の対向する第1及び第2の主表面間に配設された対向する主表面が被覆される。特定の実施形態では、多孔質基材の第1の主表面全部が、細孔充填ポリマー層の露出した主表面で被覆される。
【0066】
特定の実施形態では、基材の細孔の内部だけでなく、基材の上面にも(すなわち、該上面を覆う)コーティングが、細孔充填ポリマーによって形成される。このコーティング層は、1ミクロンの厚さであり得る。この上部コーティング層は、連続していてもよいし又は不連続であってもよい。
【0067】
つまり、本明細書において多孔質基材の第1の主表面をコーティングする又は覆う細孔充填ポリマー層に言及している場合、該細孔充填ポリマー層には、細孔充填ポリマー層のコーティング全部、実質的に全部、又は多孔質基材の第1の主表面の一部分のみが含まれる。多孔質基材の第1の主表面が十分に被覆されていて、複合膜が第1の液体及び第2の液体(例えば、ガソリン)の混合物から所望の量の第1の液体(例えば、アルコール)を選択的に浸透気化できるときには、多孔質基材の第1の主表面が実質的に全部(すなわち、実質的に連続して)細孔充填ポリマー層で被覆されていると考えられる。
【0068】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマー層は、10nm〜最大20,000nmまでの範囲の厚さを有する。より具体的には、細孔充填ポリマー層の厚さは、1nmの増分で、10nm〜20,000nmの任意の範囲を含み得る。例えば、細孔充填ポリマー層の厚さは、11nm〜5999nm、又は20nm〜6000nm、又は50nm〜5000nmなどの範囲であり得る。
【0069】
細孔充填ポリマーは、架橋可能であり、(例えば、ナノ多孔質層の形態であってもよい)多孔質(基材)膜にグラフトされる場合もあれば、又は多孔質基材(例えば、ナノ多孔質層)に架橋及びグラフトされる場合もある。
【0070】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、アルコール(例えば、エタノール)の存在下で膨潤し得るが、ガソリンの存在下では膨潤し得ない。細孔充填ポリマーがアルコールの存在下で膨潤したときに、結果として得られたアルコール膨潤したポリマーはゲルと呼ばれ得る。
【0071】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーのための出発物質には、エチレン性不飽和モノマー及び/又はオリゴマーのような重合性材料が挙げられる。
【0072】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーのための出発物質には、(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーが挙げられる。好適な(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサ−アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヒドロキシルジアクリレート、ウレタンジアクリレート、ウレタンヘキサ−アクリレート、ウレタントリアクリレート、ポリマー型四官能性アクリレート、ポリエステルペンタ−アクリレート、エポキシジアクリレート、ポリエステルトリアクリレート、ポリエステルテトラ−アクリレート、アミン変性ポリエステルトリアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリアクリレート、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)からなる群から選択され得る。そのようなモノマー及び/又はオリゴマーの様々な組み合わせを使用して、細孔充填ポリマーを形成できる。
【0073】
特定の実施形態において、(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサ−アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヒドロキシルジアクリレート、及びポリエステルテトラ−アクリレートからなる群から選択され得る。そのようなモノマー及び/又はオリゴマーの様々な組み合わせを使用して、細孔充填ポリマーを形成できる。
【0074】
特定の実施形態において、開始モノマー及び/又はオリゴマーには、下記のうちの1つ以上が包含される。
(a)例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、及びトリプロピレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル含有化合物;
(b)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、及びトリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル含有化合物;
(c)高官能価の(すなわち、三官能性より高い官能価の)(メタ)アクリル含有化合物、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
(d)例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、前述のもののポリアクリルアミドの類似体及びこれらの組み合わせ(そのような化合物は、例えば、Sartomer Company,Exton,PA,UCB Chemicals Corporation,Smyrna,GA、及びAldrich Chemical Company,Milwaukee,WIのようなベンダーから広く入手可能である)等のオリゴマー(メタ)アクリル化合物; (e)1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヒドロキシルジアクリレート、1H,1H−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート及びペルフルオロシクロヘキシルメチルアクリレートのようなペルフルオロアルキルメタ(アクリル)含有化合物;
(f)アクリル酸2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、及び[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液のような荷電したメタ(アクリル)含有化合物;並びに
(g)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、N−ビニルアセタミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド及びグリセロールメタアクリレートのような極
性含有化合物。
【0075】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)ポリマー又はコポリマーである。
【0076】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、主要量の架橋した多官能性(メタ)アクリレートを含む。例えば、本開示の非対称複合膜は、対向する第1及び第2の主表面、並びに複数の細孔と、細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、厚さを有する連続した層を形成する細孔充填ポリマーと、を有する多孔質基材を含んでいてもよく、第1の主表面における又は該主表面に隣接する細孔充填ポリマーの量は、第2の主表面における又は該主表面に隣接する細孔充填ポリマーの量よりも多く、該細孔充填ポリマーの主要量は架橋した多官能性(メタ)アクリレートで構成される。
【0077】
特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、ポリマー添加剤、微粒子、光開始剤、又はこれらの組み合わせ等の添加剤を含み得る。
【0078】
幾つかの実施形態において、細孔充填ポリマーは、1種以上のポリマー添加剤(すなわち、ポリマーであってそれ以上は重合可能でない添加剤)を含み得る。そのようなポリマー添加剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド又はそのコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、及びこれらの組み合わせ(すなわち、混合物又はこれらのコポリマー)が挙げられる。任意選択的なポリマー添加剤が細孔充填ポリマーとの強い親和性を有していて、後者が前者により補強されることが好ましい。ポリマー添加剤は、重合性出発物質を含む細孔に入ることにより、相互侵入高分子網目を形成することが好ましい。細孔充填ポリマーの膨潤は、そのような相互侵入高分子網目の形成(ポリマー単位で或るポリマーが別のポリマー網状組織と絡み合うこと)によって更に制約されると考えられる。ポリマー添加剤の分子量(重量平均)は典型的に、1,000〜500,000と多様である。ポリマー添加剤の量は、細孔充填ポリマーにポリマー添加剤を加えた総量を基準にして、少なくとも0.20重量%、又は少なくとも1%、又は少なくとも2.5%であり得る。ポリマー添加剤の量、細孔充填ポリマーにポリマー添加剤を加えた総量を基準にして、最大5重量%、又は最大25%、又は最大75%であり得る。
【0079】
幾つかの実施形態では、細孔充填ポリマーは、1種又は複数種の微粒子を含む場合がある。好適な微粒子の例としては、コロイドシリカ、コロイドチタニア、コロイドジルコニア、コロイドアルミナ、コロイドバナジア、コロイドクロミア、コロイド酸化鉄、コロイド酸化アンチモン、コロイド酸化スズ、及びこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態において、そのような微粒子は、2nm〜50nmの粒径を有し得る。これら微粒子は、充填ポリマーの崩壊を防ぐブリッジとして使用される場合もあれば及び/又は特定の液体(例えば、エタノール)に対して選択的である場合もある。
【0080】
他の任意選択的な添加剤で、細孔充填ポリマー内に含めることの可能なものとしては、光開始剤が挙げられる。(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合を開始するための代表的な光開始剤としては、例えば、ベンゾイン及びその誘導体(α−メチルベンゾイン;α−フェニルベンゾイン;α−アリルベンゾイン;α−ベンジルベンゾエート;ベンジルジメチルケタール(例えば、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NYからIRGACURE 651という商品名で入手可能)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテルのようなベンゾインエーテル類;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからDAROCUR 1173という商品名で入手可能)、及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルフェニルケトン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 184という商品名で入手可能)のようなアセトフェノン及びその誘導体;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 907という商品名で入手可能);2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 369として入手可能)が挙げられる。他の有用な光開始剤としては、ピバロインエチルエーテル、アニソインエチルエーテル;アントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−メトキシアントラキノン、ベンズアントラキノンハロメチルトリアジンのようなアントラキノン;ベンゾフェノン及びその誘導体;ヨードニウム塩及びスルホニウム塩;ビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム(CGI 784という商品名で入手した)のようなチタニウム複合体;4−ブロモメチルニトロベンゼン;モノ−及びビス−アシルホスフィン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 1700、IRGACURE 1800、IRGACURE 1850、及びDAROCUR 4265として入手可能)が挙げられる。
【0081】
複合膜の製造方法
本開示の非対称複合膜の製造には、周知の技術を利用できる。
【0082】
典型的に、硬化性細孔充填ポリマー組成物(すなわち、「細孔充填ポリマーコーティング溶液」又は単に「細孔充填コーティング溶液」)は、1つ以上のモノマー及び/又はオリゴマーを好適な量の液体(例えば、脱イオン水又は有機溶剤)中の任意選択的な添加剤と合わせて調製することが可能である。使用される有機溶剤としては、セバシン酸ジブチル、グリセロールトリアセテート、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)を挙げることができ、細孔内への溶液の飽和又は拡散が容易になるよう、揮発性有機溶剤とすることが好ましい。
【0083】
細孔充填コーティング溶液は、ディップコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、スロットコーティングなどのような多様な技術により選択された多孔質基材に塗布できる。モノマー及び/又はオリゴマーの濃度は、0.5%〜100%の範囲であり得る。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のような極性基又は荷電基を有するモノマーを、コーティング溶液に添加すると、エタノール選択性を高くすることができる。
【0084】
例えば、多孔質基材は、細孔充填ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートなど)のモノマー及び/又はオリゴマーを脱イオン水に溶かした、細孔充填コーティング溶液に滲み込ませることができる。基材は、典型的に、照射の前又は後に液体(例えば、揮発性有機溶剤)から分離され得る。好ましくは、基材は、溶液から取り出した後に、紫外線照射のような照射を受けることができる。この照射は、例えば、移動ベルト上で行うことが可能である。未硬化の細孔充填コーティング溶液を全て洗い流してから、その複合膜を乾燥させてもよい。
【0085】
市販の多孔質基材によっては、基材の細孔を充填しかつ/又は被覆するグリセロールのような保湿剤付きで供給される場合もある。これは一般的に、例えば、乾燥プロセス及び保管中に小さい細孔が崩壊するのを防ぐ目的で為される。使用前に、この保湿剤を洗い流してもよいし又は洗い流さなくても差し支えないが、保湿剤は典型的には、細孔を細孔充填コーティング溶液で充填するプロセスで、洗い流される。
【0086】
本開示の好ましい非対称複合膜を調製するための好適な方法は、国際公開第WO 2010/002501号(Zhouら)に記載されている。
【0087】
用途
複合膜、特に、本開示の非対称複合膜は、浸透気化、蒸気透過、ガス分離、ナノ濾過及び有機溶剤ナノ濾過を含む様々な分離方法において使用できる。複合膜、特に、本開示の非対称複合膜は、浸透気化法において特に有用である。浸透気化を使用して、ガソリンの脱硫、有機溶剤の脱水、芳香成分の単離、及び水溶液からの揮発性有機化合物の除去を行うことができる。
【0088】
本開示の好ましい方法は、複合膜、特に、非対称複合膜を、浸透気化、特に、アルコール及びガソリンの混合物からのアルコールの浸透気化において使用することを含む。
【0089】
周知の分離技術は本開示の複合膜と共に使用され得る。例えば、ナノ濾過技術は、米国特許出願公開第2013/0118983号(Linvingstonら)、米国特許第7,247,370号(Childsら)、及び米国特許出願公開第2002/0161066号(Remigyら)に記載されている。浸透気化技術は、米国特許第7,604,746号(Childsら)、及び欧州特許第0811420号(Apostelら)に記載されている。ガス分離技術は、Journal of Membrane Sciences,vol.186,pages 97〜107(2001)に記載されている。
【0090】
枯渇分離(depletion separation)中には、浸透気化分離速度が、一定でないのが一般的である。選択された材料(この場合はエタノール)の供給濃度が分離終了間際より高ければ浸透気化速度が迅速になるが、選択された材料の供給濃度が低ければこの速度は濃度に対して直線的にはならないのが一般的である。高い供給濃度では分離速度が迅速なため、選択された材料の供給濃度及び流束の低下が急激になり、しかし枯渇限度に達するにつれて、この濃度及び流束の変化がきわめてゆっくりになる。
【0091】
本開示の分離方法に用いられる典型的な条件は、室温〜最高95℃の燃料温度、10ポンド/平方インチ(psi)(69kPa)〜100psi(690kPa)の燃料圧力、0.1リットル/min(L/min)〜20L/minの燃料流速、及び20トール(2.67kPa)〜周囲圧力(すなわち760トール(101kPa))の減圧を含む。
【0092】
複合膜の性能は主に、多孔質(支持)膜の細孔内部に固定された細孔充填ポリマーの特性によって決定される。
【0093】
浸透気化膜の効率は、その選択性及びその特定の流束の関数として表すことができる。選択性は通常、透過物中の透過性の高い成分の濃度と透過性の低い成分の濃度との比率を、分離される供給混合物における対応する濃度比で除算した値として与えられる。
α=(y
w/y
i)/(x
w/x
i)
式中、y
w及びy
iは透過物中の各成分の含有率であり、x
w及びx
iは供給物中の各成分の含有率である。時には、供給物成分に比較的一貫性がある場合、透過物濃度は分離効率として定義されることもある。
【0094】
膜貫通流束は、供給物組成の関数であり、通常、例えば、キログラム/平方メートル/時間(kg/m
2/hr)のように、透過物の量/膜面積/単位時間として与えられる。
【0095】
本開示の特定の実施形態において、細孔充填ポリマーは、少なくとも30%〜最高100%までの範囲のアルコール選択性を呈する。この文脈において、「アルコール選択性」は、非対称複合膜の出力側までに通過して拡散される、ガソリン/アルコール混合物中のアルコールの量を意味する。本開示によれば、細孔充填ポリマーのアルコール選択性は、1%の増分で、30%〜100%の任意の範囲を含み得る。例えば、アルコール選択性は、31%以上、最高99%、又は40%〜100%、又は50%〜95%などの範囲であり得る。
【0096】
特定の実施形態において、複合膜中の細孔充填ポリマーは、(例えば、アルコール/ガソリン混合物からの)平均アルコール透過流束が、少なくとも0.3kg/m
2/hrから、10g/m
2/hrの増分で、最高30kg/m
2/hrまでの範囲となる。E10(10%エタノール)〜E2(2%エタノール)標準液からの平均エタノール流束は、0.2kg/m
2/hr〜20kg/m
2/hrの範囲を含む。そのような流束の測定に用いられる好ましい処理条件としては、供給温度が20℃〜95℃、透過減圧が20トール(2.67kPa)〜760トール(101kPa)、供給圧力が10psi(69kPa)〜100psi(690kPa)、及び供給ガソリン中のエタノール濃度が2%〜20%であることが挙げられる。
【0097】
本開示の特定の実施形態において、複合膜中の細孔充填ポリマーは、10g/m
2/時の増分で、下掲の上限〜下限(実施例の節の方法1及び/又は方法2による)平均エタノール透過物流束を呈し得る。特定の実施形態において、平均エタノール透過物流束は、少なくとも310g/m
2/時、又は少なくとも350g/m
2/時、又は少なくとも500g/m
2/時であり得る。特定の実施形態において、平均透過物流束は、最高30kg/m
2/時、又は最高20kg/m
2/時、又は最高10kg/m
2/時であり得る。例えば、平均透過物流束は、310g/m
2/時〜最高20kg/m
2/時、又は350g/m
2/時〜最高30kg/m
2/時、又は500g/m
2/時〜最高10kg/m
2/時などの範囲であり得る。非対称複合膜が0.3〜5リットル容積のカートリッジにアセンブルされたときに、カートリッジによって、システム要件を満たす所望の量の流束が生成され、細孔充填ポリマーが320g/m
2/時の平均透過物流束を呈することが所望され得る。システム要件は、エタノール流束を要する内燃機関によって定義される。一例は、「Research Engine System Making Effective Use of Bio−ethanol−blended Fuels」と題されたJapan Society of Automotive Engineers technical paper JSAE 20135048である。
【0098】
そのような流束の測定に用いられる好ましい処理条件としては、供給温度が20℃〜95℃、透過減圧が20トール(2.67kPa)〜760トール(101kPa)、供給圧力が10psi(69kPa)〜100psi(690kPa)、及び供給ガソリン中のエタノール濃度が2%〜20%であることが挙げられる。
【0099】
本開示の複合膜は、カートリッジ(すなわち、モジュール)、特に、アルコール及びガソリンの混合物からアルコールを分離するためのカートリッジに組み込むことが可能である。好適なカートリッジとしては、例えば、スパイラル巻きモジュール、プレート及びフレームモジュール、管状モジュール、中空繊維モジュール、プリーツカートリッジなどが挙げられる。
【0100】
図2は、支持管122を具備し、該支持管122に本開示の代表的な複合膜124が巻き付けられている、代表的なモジュール120(具体的には、スパイラル巻きモジュール)の例証である。使用中に、分離される液体の混合物(例えば、アルコール及びガソリンの混合物)がモジュール120に進入し、矢印126の方向に沿って複合膜124の中に流入する。混合物が複合膜層を通過して流れたときに、細孔充填ポリマーに溶解し難い液体(例えば、ガソリン)は、細孔充填ポリマーに吸収されないのに対して、透過性の高い液体(例えば、アルコール)は細孔充填ポリマーに吸収され該ポリマーを通過し、続いて、矢印128の方向に沿って、支持管122の中心から流れる。例えば、高濃度のアルコール(典型的に、少量のガソリンを含む)が、アルコール/ガソリン混合物から分離され、蒸気及び/又は液体として支持管122の中心から矢印128の方向に沿って流れ出て、結果として得られた混合物(混合物中に存在するよりも低濃度のアルコールを含む)は、複合膜内に進入して、該複合膜から矢印129の方向に沿って流れ出る。
【0101】
特定の実施形態において、代表的なカートリッジは、200ミリリットル(mL)、又は500mL〜最高5.000リットル(L)までの範囲の容積を有する。本開示によれば、カートリッジの容積は、10mLの増分で、200mL又は500mL〜5.000Lの任意の範囲を含み得る。例えば、カートリッジ容積は、210mL〜最高4.990L、又は510mL〜最高4.990L、又は300mL〜最高5.000L、又は600mL〜最高5.000L、又は1.000L〜最高3.000Lなどの範囲であり得る。特定の実施形態において、カートリッジの容積は1.000Lであり、特定の実施形態において、カートリッジの容積は0.800Lである。
【0102】
本開示の非対称複合膜を含むカートリッジは、フレックス燃料機関のような機関において又は該機関と共に使用できる燃料分離システムに組み込むことが可能である。
図3に、膜浸透気化方法(PV方法)を用いてエタノール含有のガソリンから高エタノール画分のガソリンを分離する、代表的な燃料分離システムが示してある。典型的に、主燃料貯蔵タンク133から熱交換器131(エンジン冷却液132連結されているもの)に通した後、ガソリンを膜分離ユニット130の入口に導入する。低エタノール画分の燃料を、放熱器134に通して冷却した後、膜分離ユニット130から主燃料貯蔵タンク133に戻す。典型的には、膜分離ユニット130から出てきたエタノールに富む蒸気を、コンデンサー136に通して、真空ポンプ138によって生成された負圧下で凝縮させ、続いて、エタノールタンク139内に集める。
【0103】
[例示的実施形態]
実施形態1は、第1の液体及び第2の液体を含む混合物から第1の液体を選択的に浸透気化させるための複合膜であって、該非対称複合膜は、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を含む多孔質基材と、前記細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、前記多孔質基材の内部に厚さを有する層を形成する細孔充填ポリマーと、を含み、前記細孔充填ポリマーは、第2の液体よりも第1の液体に対してより透過性である一方、第1の液体
及び第2の液体に溶解しない。前記複合膜は、多孔質基材の厚さ全体を通して細孔充填ポリマーの量に関して、非対称的な場合もあれば又は対称的な場合もある。
【0104】
実施形態2は、非対称複合膜であって、前記第1の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量が、前記第2の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量よりも多い、実施形態1に記載の複合膜である。
【0105】
実施形態3は、前記第1の液体がアルコールである、実施形態1又は2に記載の複合膜である。
【0106】
実施形態4は、前記第2の液体がガソリン、ベンゼン、
エーテル又はヘキサンである、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0107】
実施形態5は、前記第1の液体がアルコールであり、前記第2の液体がガソリンである、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0108】
実施形態6は、前記細孔充填ポリマー層が連続した層である、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0109】
実施形態7は、アルコール及びガソリンの混合物から選択的にアルコールを浸透気化させるための非対称複合膜であって、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を含む多孔質基材と、前記細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、前記多孔質基材の内部に厚さを有する層を形成する細孔充填ポリマーと、を含み、前記第1の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量が、前記第2の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量よりも多く、前記細孔充填ポリマーがガソリンよりもアルコールに対してより透過性である一方、アルコール又はガソリンには溶解しない、非対称複合膜。
【0110】
実施形態8は、前記細孔充填ポリマー層が連続した層である、実施形態7に記載の非対称複合膜である。
【0111】
実施形態9は、前記多孔質基材がポリマー多孔質基材である、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0112】
実施形態10は、前記多孔質基材が、(例えば、基材の厚さ全体の細孔径に関して)非対称的又は対称的である、実施形態9に記載の複合膜である。
【0113】
実施形態11は、前記多孔質基材がナノ多孔質層を含む、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0114】
実施形態12は、前記ナノ多孔質層が前記多孔質基材の前記第1の主表面に隣接するか又は該主表面を画定する、実施形態11に記載の複合膜である。
【0115】
実施形態13は、前記多孔質基材がミクロ多孔質層を含む、実施形態1〜12のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0116】
実施形態14は、前記ミクロ多孔質層が前記多孔質基材の前記第2の主表面に隣接するか又該主表面を画定する、実施形態13に記載の複合膜である。
【0117】
実施形態15は、前記多孔質基材がマクロ多孔質層を含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0118】
実施形態16は、前記マクロ多孔質層が前記多孔質基材の前記第2の主表面に隣接するか又は該主表面を画定する、実施形態15に記載の複合膜である。
【0119】
実施形態17は、前記多孔質基材が、一方の対向する主表面から他方の対向する主表面まで測定したときに5μm〜最高500μmまでの範囲の厚さを有する、実施形態1〜16のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0120】
実施形態18は、前記ナノ多孔質層が、0.01μm〜最高10μmまでの範囲の厚さを有する、実施形態11又は12に記載の複合膜である。
【0121】
実施形態19は、前記ミクロ多孔質層が、5μm〜最高300μmまでの範囲の厚さを有する、実施形態13又は14に記載の複合膜である。
【0122】
実施形態20は、前記マクロ多孔質層が25μm〜最高500μmまでの範囲の厚さを有する、実施形態15又は16に記載の複合膜である。
【0123】
実施形態21は、前記多孔質基材が、0.5ナノメートル(nm)〜最高1000μmまでの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1〜20のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0124】
実施形態22は、前記ナノ多孔質層が、0.5ナノメートル(nm)〜最高100nmまでの範囲のサイズを有する細孔を含む、実施形態11、12及び21のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0125】
実施形態23は、前記ミクロ多孔質層が0.01μm〜最高20μmまでの範囲のサイズを有する細孔を含む、実施形態13、14及び21のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0126】
実施形態24は、前記マクロ多孔質層が1μm〜最高1000μmまでの範囲のサイズズを有する細孔を含む、実施形態15、16及び21のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0127】
実施形態25は、前記細孔充填ポリマーが前記多孔質基材に架橋されているか、グラフトされている、又はその両方が行われている、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0128】
実施形態26は、前記細孔充填ポリマーがナノ多孔質基材に架橋及び/又はグラフトされている、実施形態1〜25のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0129】
実施形態27は、前記細孔充填ポリマーの出発物質が、エチレン性不飽和モノマー及び/又はオリゴマーを含む、実施形態1〜26のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0130】
実施形態28は、前記ポリマーの前記出発物質が(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーを含む、実施形態27に記載の複合膜である。
【0131】
実施形態29は、前記(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーが、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサ−アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヒドロキシルジアクリレート、ウレタンジアクリレート、ウレタンヘキサ−アクリレート、ウレタントリアクリレート、ポリマー性四官能性アクリレート、ポリエステルペンタ−アクリレート、エポキシジアクリレート、ポリエステルトリアクリレート、ポリエステルテトラ−アクリレート、アミン変性ポリエステルトリアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリアクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルメチルプロパンスルホン酸(AMPS)、並びにそのようなモノマー及び/又はオリゴマーの組み合わせからなる群から選択される、実施形態28に記載の複合膜である。
【0132】
実施形態30は、(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーが、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサ−アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヒドロキシルジアクリレート、ポリエステルテトラ−アクリレート、並びにそのようなモノマー及び/又はオリゴマーの組み合わせからなる群から選択される、実施形態29に記載の複合膜である。
【0133】
実施形態31は、(メタ)アクリレート含有のモノマー及び/又はオリゴマーは、下記:
(a)ジ(メタ)アクリル含有化合物;
(b)トリ(メタ)アクリル含有化合物;
(c)高官能価の(メタ)アクリル含有化合物;
(d)オリゴマー(メタ)アクリル化合物;
(e)ペルフルオロアルキルメタ(アクリル)含有化合物;
(f)帯電性メタ(アクリル)含有化合物;及び
(g)極性メタ(アクリル)含有化合物
のうちの1種以上から選択される、実施形態28に記載の複合膜である。
【0134】
実施形態32は、前記細孔充填ポリマーが、アルコールの存在下で膨潤するが、ガソリンの存在下では膨潤しない、実施形態1〜31のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0135】
実施形態33は、前記細孔充填ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)ポリマー又はコポリマーである、実施形態1〜30のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0136】
実施形態34は、前記細孔充填ポリマーが主要量の架橋多官能性(メタ)アクリレートを含む、実施形態1〜30のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0137】
実施形態35は、前記細孔充填ポリマーが前記多孔質基材の前記第1の主表面の少なくとも一部を形成する細孔充填ポリマー層の形態である、実施形態1〜34のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0138】
実施形態36は、前記細孔充填ポリマーが露出した主表面を有する細孔充填ポリマー層の形態であり、該露出した主表面によって、前記多孔質基材の第1の主表面、並びに前記多孔質基材の前記対向する第1及び第2の主表面間に配設された対向する主表面が被覆されている、実施形態1〜35のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0139】
実施形態37は、前記細孔充填ポリマー層の前記露出した主表面によって前記多孔質基材の前記第1の主表面全部が被覆されている、実施形態36に記載の複合膜である。
【0140】
実施形態38は、前記細孔充填ポリマー層が10nm〜最高20,000nmまでの範囲の厚さを有する、実施形態1〜37のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0141】
実施形態39は、前記細孔充填ポリマーが、少なくとも30%〜最高100%までの範囲のアルコール選択性を呈する、実施形態1〜38のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0142】
実施形態40は、前記細孔充填ポリマーが、少なくとも20℃〜最高95℃までの範囲の供給温度、少なくとも20トール(2.67kPa)〜最高760トール(101kPa)までの範囲の透過減圧、少なくとも10psi(69kPa)〜最高100psi(690kPa)までの範囲の供給圧力、及び少なくとも2%〜最高20%までの範囲の供給ガソリン/アルコール混合物中のアルコール濃度を用いて、少なくとも310g/m
2/時〜最高30kg/m
2/時までの範囲の平均アルコール透過(例えば、アルコール/ガソリン混合物からのアルコール)流束を呈する、実施形態1〜37のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0143】
実施形態41は、対向する第1及び第2の主表面並びに複数の細孔を含む多孔質基材と、前記細孔のうちの少なくとも幾つかの内部に配設され、厚さを有する連続した層を形成する細孔充填ポリマーと、
を含み、該細孔充填ポリマーが主要量の架橋多官能性(メタ)アクリレート(すなわち、メタアクリレート及びアクリレート)を含む、複合膜である。前記複合膜は、前記第1の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量が、前記第2の主表面における又は該主表面に隣接する前記細孔充填ポリマーの量よりも多い、非対称膜であり得る。
【0144】
実施形態42は、前記細孔充填ポリマーが、ポリマー添加剤、微粒子及び光開始剤から選択される1つ以上の添加剤を含む、実施形態1〜41のいずれか一項に記載の複合膜である。
【0145】
実施形態43は、前記細孔充填ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド又はそのコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)、ポリ(N−ビニルピロリドン)及びこれらの組み合わせから選択されるポリマー添加剤を含む、実施形態42に記載の複合膜である。
【0146】
実施形態44は、アルコール及びガソリンの混合物からアルコールを分離させるためのカートリッジであって、該カートリッジは、実施形態1〜43のいずれか一項に記載の非対称複合膜を備える、カートリッジである。
【0147】
実施形態45は、200ミリリットル(mL)以上であり、又は500mL以上であり、かつ最高5.000リットル(L)までの範囲の容積を有する、実施形態44に記載のカートリッジである。
【0148】
実施形態46は、1.000リットルの容積を有する、実施形態45に記載のカートリッジである。
【0149】
実施形態47は、実施形態44〜46のいずれか一項に記載のカートリッジを含む、燃料分離システムである。
【0150】
実施形態48は、混合物を実施形態1〜43のいずれか一項に記載の非対称複合膜に接触させることを含む、第1の液体及び第2の液体混合物から前記第1の液体を分離させるための方法である。
【0151】
実施形態49は、前記第1の液体がアルコールであり、前記第2の液体がガソリンである、実施形態48に記載の方法である。
【0152】
実施形態50は、以下の条件:
供給温度が少なくとも20℃〜最高95℃までの範囲であり、透過減圧が少なくとも20トール(2.67kPa)〜最高760トール(101kPa)までの範囲であり、供給圧力が少なくとも10psi(69kPa)〜最高100psi(690kPa)までの範囲であり、及び供給ガソリン/アルコール混合物中のアルコール濃度が少なくとも2%〜最高20%までの範囲であるという条件の下で実行される、実施形態49に記載の方法である。
【実施例】
【0153】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を不当に制限するように解釈すべきではない。これら実施例は単に例示のためのものに過ぎず、添付の「特許請求の範囲」の範囲を限定することを意図するものではない。
【0154】
試験手順
方法1
膜がエタノール/ガソリン混合物からエタノール及びガソリンを分離できるかどうかを、
図4に描写されている試験装置及び下記の技術を使用して決定した。膜試料をステンレススチールセル(General Electric Co.,Fairfield,CTから入手したSepa CF II)に装着した。有効膜表面積は140cm
2である。E10ガソリンの原料(Marathon Oil Co.,Houston,TXから入手した10%エタノール)を熱交換器で加熱し、膜セルを通して300〜500mL/minの流量でポンプ輸送した。膜セルの入口及び出口における原料の入口温度並びに出口温度を、温度計で測定した。透過物を液体窒素で冷却されたコールドトラップ内に集めた。膜セルの減圧は、真空ポンプに連結された調整器で制御した。70℃の原料温度及び200トール(26.7kPa)の減圧、50℃の原料温度及び85トール(11.3kPa)の減圧、並びに21〜22℃で20トール(2.67kPa)の減圧の3つの条件で、試験を実施した。透過物の総質量流束は、次式として計算した。
流束m/(A×t)式中、mは透過物の質量のキログラム(kg)数であり、Aは有効膜面積の平方メートル(m
2)数であり、かつtは透過物の捕集持続時間の時間(h)数である。Hewlett Packard Model 5890A又は7890Cガスクロマトグラフを用い、ガスクロマトグラフィ(GC)で透過物及び原料中のエタノール含有率を測定した。アルコール含有率は、GCを介したエタノールの既知濃度の実験及びGC応答面積の測定で得られた
図5に示す検量線を用いて定量した。続いて、GCからの透過物及び原料応答面積の測定を得た後、検量線を使用してエタノールの割合(%)を定量した。エタノール質量流束は、透過物中のエタノール濃度で乗算した膜質量流束として算出した。
【0155】
方法2
当初の試験容器を1.1リットルのガソリンで充填した後、試験装置を連続モードで稼動させたこと以外は上記の方法1と同様にして、エタノール/ガソリン混合物からエタノールを分離する膜の能力を定量した。膜セルの入口におけるガソリンの供給流れが2.0重量%未満になるまで、試験を実施した。供給流れの流速は、500mL/minに維持された。膜透過物側の減圧を200トール(26.7kPa)に設定し、膜セルの入口及び出口における平均ガソリン温度を70℃に維持して、透過物の試料を5〜10分毎に集めた。平均総質量流束は、総試験時間を通じて集められた全ての透過物試料から得られるエタノールを基準にして計算した。
【0156】
(実施例1)
ミクロ多孔質ナイロン基材(3M Purification Inc.,Meriden,CTから入手したBLA020)を用いて、非対称の細孔充填膜を調製した。この多孔質基材は、一側面上に0.2ミクロンの平均細孔径を有する目の詰まった/小さい表面を有し、対向する側面上に0.65ミクロンの平均細孔径を有する目の粗い/大きい表面を有するものとして記述されている。
図6は、膜における小さい細孔表面のSEM顕微鏡写真である。
図7は、膜における大きい細孔表面のSEM顕微鏡写真である。
【0157】
20.0重量%のポリエチレングリコール400ジアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したSR344)を80.0重量%の脱イオン水に混合して、細孔充填ポリマー溶液を調製した。BLA020多孔質基材(15cm×25cm)を前記細孔充填ポリマー溶液含有のポリエチレンバッグに入れ、完全に飽和させて、多孔質基材を含浸させた。細孔充填基材をバッグから取り出し、目の詰まった/小さい細孔側面を上に向けてアルミニウムパネル(厚さ32mm×幅38cm×長さ51cm)上にテーピで固定した。前記パネルは、ライン速度6.1メートル/分(m/min)で運行する移動ベルト上で紫外線(UV)チャンバに給送した。不活性な窒素雰囲気を有し、アルミニウムリフレクターを用いたFusion HランプをUV源として装備したチャンバを運転して、SR344アクリレートを重合し架橋させた。紫外線硬化細孔充填基材をプレートから取り出し、脱イオン水で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去し、続いて、室温で乾燥させた。
図8は、結果として得られた複合膜における照射した細孔充填部の小さい細孔表面のSEM顕微鏡写真である。
図9は、複合膜における照射してない大きい細孔表面のSEM顕微鏡写真である。
【0158】
ガソリン供給温度を20トール(2.67kPa)の減圧にて約27〜31℃に維持したこと以外は上記の方法1を用いて、複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0159】
(実施例2)
非対称の細孔充填膜を上記の実施例1と同様に調製した。ガソリン供給温度を20トール(2.67kPa)の減圧にて約21〜22℃に維持したことを以外は上記の方法1を用いて、結果として得られた複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0160】
(実施例3)
30.0重量%のポリエチレングリコール400ジアクリレート(SR344)、2.0重量%の酸化チタン(IV)(APS粉末、32ナノメートルの粒径Alfa Aesar,MAから入手)を68.0重量%の脱イオン水中に超音波浴を用いて30分混合して細孔充填ポリマー溶液を調製したことを以外は上記の実施例2と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。UVチャンバへのライン速度は、3.05メートル/分(m/min)に設定した。ガソリン供給温度を20トール(2.67kPa)の減圧にて約21〜22℃に維持したことを以外は上記の方法1を用いて、結果として得られた複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0161】
(実施例4)
30重量%のポリエチレングリコール400ジアクリレート(SR344)を、Nalco 2326(アンモニア安定化コロイドシリカ、14.5%コロイドシリカ(SiO
2);粒径5nm;Nalco Chemical Company,Naperville,ILから入手)と脱イオン水に混合して細孔充填ポリマー溶液を調製したこと以外は上記の実施例1と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。前記溶液は、30.0重量%のSR344、5.0重量%のシリカナノ粒子、及び65.0重量%の脱イオン水を含有した。
【0162】
UVチャンバへのライン速度は、12.2m/minに設定した。ガソリン供給度を20トール(2.67kPa)の減圧にて約21〜22℃に維持したこと以外は上記の方法1を用いて結果として得られた複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0163】
(実施例5)
30.0重量%のポリエチレングリコール400ジアクリレート(SR344)を、Nalco 2326(アンモニア安定化コロイドシリカ、14.5%コロイドシリカ(SiO
2);粒径5nm;Nalco Chemical Company,Naperville,ILから入手)と脱イオン水に混合して細孔充填ポリマー溶液を調製したこと以外は上記の実施例1と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。前記溶液は、30.0重量%のSR344、10.0重量%のシリカナノ粒子、及び60重量%の脱イオン水を含有した。
【0164】
UVチャンバへのライン速度は、12.2m/minに設定した。ガソリン供給温度を20トール(2.67kPa)の減圧にて約21〜22℃に維持したことを以外は上記の方法1を用いて、結果として得られた複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0165】
(実施例6A)
ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(Sepro Membranes Inc.Oceanside,CAから入手したPES900C/D)を基材として使用したことを以外は上記の実施例1と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。40重量%のSR344を60重量%の脱イオン水に混合して、細孔充填ポリマー溶液を調製した。ライン速度は、12.2m/minに設定した。ガソリン供給温度を20トール(2.67kPa)の減圧、原料の流量300mL/minにて約21〜22℃に維持したこと以外は上記の方法1を用いて、結果として得られた複合膜を試験した。結果は、下表1にレポートされている。
図10及び
図11は、ナノ多孔質基材の断面(
図10)、及び結果として得られた複合膜の断面(
図11)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)である。
【0166】
(実施例6B)
20トール(2.67kPa)の減圧にてガソリン供給温度を約53℃に維持したこと以外は上記の実施例6Aと同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。結果は、下表1にレポートされている。
【0167】
(実施例7A)
ライン速度を6.1m/minに設定したこと以外は上記の実施例6Aと同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。結果は、下表1にレポートされている。
【0168】
(実施例7B)
ライン速度を6.1m/minに設定したこと以外は上記の実施例6Bと同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。結果は、下表1にレポートされている。
【0169】
(実施例8A)
ポリアクリロニトリルナノ多孔質基材(Sepro Membranes Inc.Oceanside,CAから入手したPAN450)を基材として使用したこと以外は上記の実施例6Aと同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。結果は、下表1にレポートされている。
【0170】
(実施例8B)
20トール(2.67kPa)の減圧にてガソリン供給温度を約53℃に維持したこと以外は上記の実施例8Aと同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。結果は、下表1にレポートされている。
【0171】
(実施例9)
ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(Sepro Membranes Inc.,Oceanside,CAから入手したPES2)を基材として使用したこと以外は上記の実施例1と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。22.0重量%のポリエチレングリコール600ジアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したSR610)を10.0重量%の塩化ナトリウム(NaCl)脱イオン水溶液中で混合して、細孔充填溶液を調製した。ダイクロイックリフレクターをアルミニウムリフレクターの代わりに使用した。ライン速度は、6.1m/minに設定した。結果として得られた複合膜を、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0172】
(実施例10)
標準空気雰囲気中で紫外線照射を遂行したこと以外は上記の実施例9と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。雰囲気中に、約20%の酸素が存在していた。結果として得られた複合膜を、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0173】
(実施例11)
ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(Sepro Membranes Inc.Oceanside,CAから入手したPES5)を基材として用い、非対称の細孔充填膜を調製した。シリコーンジアクリレート(Cytec Industries,Smyrna,GAから入手したEBECRYL 350(「EB350」))を細孔充填ポリマーとして使用した。過剰量のEB350を基材表面に塗布し、ロッドを使用して均一に広げた。3分間の拡散時間を与えた後で、ペーパータオルを使用して過剰な表面溶液を吸い取った。ダイクロイックリフレクターを使用したこと以外は実施例1と同様にして、細孔充填基材の紫外線照射を行った。ライン速度は、6.1m/minに設定した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、ガソリン供給温度を約50℃に維持したこと以外は上記の方法1を用い試験を行った。結果は、下表1にレポートされている。
【0174】
(実施例12)
10.0重量%のトリアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したSR454、エトキシル化3−トリメチロールプロパントリアクリレート)を90.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。また、結果として得られた複合膜を方法2を用いて試験した。結果は、下表2にレポートされている。
【0175】
(実施例13)
20.0重量%のトリメチロールプロパントリアクリレート(Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手したTMPTA)を80.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。また、結果として得られた複合膜を方法2を用いて試験した。結果は、下表2にレポートされている。
【0176】
(実施例14)
20.0重量%のポリエチレングリコール200ジアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したSR259)を80.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0177】
(実施例15)
20.0重量%のSR344を80.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0178】
(実施例16)
20.0重量%のSR610を80.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0179】
(実施例17)
30.0重量%のグリセロールトリアセテート(GTA、Univar USA,Redmond,WAから入手した)を、TMPTA(20.0%)及びEB350(80.0%)の配合物70.0重量%と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0180】
(実施例18)
30.0重量%のGTAを、SR259(20.0%)及びEB350(80.0%)の配合物70.0重量%と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0181】
(実施例19)
50.0重量%のGTAを、SR259(20%)及びEBアクリルE350(80%)の配合物50.0重量%と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0182】
(実施例20)
50.0重量%のセバシン酸ジブチル(Vertellus Performance Materials,Inc.,Greensboro,NCから入手したDBS)を50.0重量%のEB350と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0183】
(実施例21)
ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(PES2)を基材として使用したこと以外は上記の実施例1と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。40.0重量%のポリエチレングリコール400ジメタクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したSR603OP)を60.0重量%の脱イオン水と混合して、細孔充填ポリマー溶液を調製した。ダイクロイックリフレクターをアルミニウムリフレクターの代わりに使用した。ライン速度は、12.2m/minに設定した。紫外線硬化細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0184】
(実施例22)
40.0重量%のSR603OPを60.0重量%のDBSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例21と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ライン速度は、12.2m/minに設定した。紫外線硬化細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0185】
(実施例23)
40.0重量%のメトキシポリエチレングリコール550モノアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したCD553)を60.0重量%のDBSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例22と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ライン速度は、12.2m/minに設定した。UVチャンバ内にアルミニウムリフレクターを使用した。紫外線硬化細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
図12は、結果として得られた複合膜における照射した細孔充填部の断面のSEM顕微鏡写真である。上部の照射/硬化層の厚さは、約200ナノメートルと計測された。
【0186】
(実施例24)
40.0重量%のメトキシポリエチレングリコール550モノアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したCD552)を60.0重量%のDBSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例23と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0187】
(実施例25)
ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(PES5)を基材として使用したこと以外は上記の実施例21と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。40.0重量%の2−ヒドロキシルメタアクリレート(Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手したHEMA)を60.0重量%の脱イオン水と混合して、細孔充填溶液を調製した。ライン速度は、6.1m/minに設定した。ダイクロイックリフレクターを使用した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0188】
(実施例26)
20.0重量%のSR344を80.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例25と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(PES5)を基材として使用した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0189】
(実施例27)
20.0重量%のSR344を79.9重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例26と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。0.1重量%の光開始剤1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(BASF Corp.,Florham Park,NJから入手したIRGACURE(登録商標)2959)を、ポリマー溶液に加えた。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0190】
(実施例28)
10.0重量%のSR454を90.0重量%のGTAと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例11と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。3分間の拡散時間を与えた後で、ペーパータオルを使用して過剰な表面溶液を吸い取った。細孔充填基材の紫外線照射を、実施例11と同様に行った。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0191】
(実施例29)
10.0重量%の1H,1H,6H,6H−ペルフルオロヘキシルジアクリレート(Oakwood Products,West Columbia,SCから入手したFHDA)を90.0重量%のGTAと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例28と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。1分間の拡散時間を与えた後で、ペーパータオルを使用して過剰な表面溶液を吸い取ってから、紫外線照射を行った。ライン速度は、6.1m/minに設定した。ダイクロイックリフレクターを使用した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0192】
(実施例30)
50.0重量%のFHDAを50.0重量%のGTAと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例29と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0193】
(実施例31)
80.0重量%のポリプロピレングリコール900ジアクリレート(Sigma Aldrich,Milwaukee,WIから入手したPPG900DA)を20.0重量%のGTAと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例29と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0194】
(実施例32)
80.0重量%のPPG900DAを20.0重量%のSR344と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例31と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0195】
(実施例33)
20.0重量%のSR610を80.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例25と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0196】
(実施例34)
20.0重量%のSR610を78.0重量%の脱イオン水、及び2.0重量%の塩化ナトリウム(NaCl)と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例33と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0197】
(実施例35)
20.0重量%のSR610を、77.8重量%の脱イオン水、2.0重量%の塩化ナトリウム(NaCl)、及び0.2重量%のN,N’−メチレンビスアクリルアミド(BIS、Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手した)と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例34と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0198】
(実施例36)
15.0重量%のSR610を78.4重量%の脱イオン水、6.0%のNaCl、及び0.6重量%のBISと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例34と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。また、結果として得られた複合膜を方法2(70℃)を用いて試験した。結果は、下表2にレポートされている。
【0199】
(実施例37)
15.0重量%のSR415(Sartomer,Exton,PAから入手したエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)を78.4重量%の脱イオン水、6%のNaCl、及び0.6重量%のBISと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例34と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0200】
(実施例38)
10.0重量%ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(Sigma Aldrich,Milwaukee,WIから入手したPEGMMA,Mn≒2080)を89.2重量%の脱イオン水、及び0.8重量%のBISと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例34と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(50℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0201】
(実施例39)
20.0重量%ポリエステルアクリレート(Sartomer,Exton,PAから入手したCN2622)を80.0重量%のGTAと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例33と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0202】
(実施例40)
20.0重量%のSR610を77.4重量%の脱イオン水、2.5重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma Aldrich,Milwaukee,WIから入手したAMPS)、及び0.1重量%のIRGACURE 2959と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例38と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ポリエーテルスルホンナノ多孔質基材(PES2)を基材として使用した。ライン速度は、12.2m/minに設定した。紫外線照射は、標準空気雰囲気中で行った。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0203】
(実施例41)
20.0重量%のSR610を77.5重量%の脱イオン水及び2.5重量%のAMPSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外アは上記の実施例40と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0204】
(実施例42)
10重量%のSR610を84.5重量%の脱イオン水、5.0重量%のAMPS、及び0.1重量%のIRGACURE 2959と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例40と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ライン速度は18.3m/minであった。紫外線硬化した細孔充填基材をエタノール中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0205】
(実施例43)
20.0重量%のSR610を75.0重量%の脱イオン水、及び5.0重量%のAMPSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例40と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0206】
(実施例44)
5.0重量%のSR344を90.0重量%の脱イオン水、及び5.0重量%のAMPSと混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例40と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。ライン速度は、6.1m/minであった。紫外線硬化した細孔充填基材を脱イオン水中で洗浄し、未硬化ポリマー溶液を全て除去してから、乾燥させて、上記の方法1(70℃)を用いて試験した。結果は、下表1にレポートされている。
【0207】
(実施例45)
非対称の細孔充填膜を調製した。基材としてポリエーテルスルホンナノ多孔質膜(PES5)を用いた。60.0重量%のSR415(Sartomer,Exton,PAから入手した)を40.0重量%の脱イオン水と混合して、細孔充填溶液を調製した。上記過剰量の溶液を基材表面に塗布し、メイヤーロッド#8を用いて均一に広げた。1分間の拡散時間を与えた後で、ペーパータオルを使用して過剰な表面溶液を吸い取った。細孔充填基材の紫外線照射を実施例1と同様に行った。ライン速度は、12.2m/minに設定した。紫外線硬化した細孔充填基材を50℃の脱イオン水中で少なくとも2時間洗浄してから、乾燥させて、70℃の原料温度で方法1を用いて試験した。結果は、表1にレポートされている。
【0208】
(実施例46)
60.0重量%のSR415、5.0重量%のポリアクリル酸(重量平均分子量(MW)約1800,Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手した)を35.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例45と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を50℃の脱イオン水中で少なくとも2時間洗浄してから、乾燥させて、70℃の原料温度で方法1を用いて試験した。結果は、表1にレポートされている。ポリアクリル酸の存在下で、透過物のエタノール濃度及びエタノール質量流束の両方が増加した。
【0209】
(実施例47)
60.0重量%のSR610を40.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例45と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を50℃の脱イオン水中で少なくとも2時間洗浄してから、乾燥させて、70℃の原料温度で方法1を用いて試験した。結果は、表1にレポートされている。
【0210】
(実施例48)
60.0重量%のSR610、5.0重量%のポリアクリル酸(重量平均MW約1800)を35.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例45と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を50℃の脱イオン水中で少なくとも2時間洗浄してから、乾燥させて、70℃の原料温度で方法1を用いて試験した。結果は、表1にレポートされている。ポリアクリル酸の存在下で、再び透過物のエタノール濃度及びエタノール質量流束の両方が増加した。
【0211】
(実施例49)
60.0重量%のSR610、5.0重量%のポリアクリル酸(重量平均MW約5000,Alfa Aesar,Ward Hill,MAら入手した)を35.0重量%の脱イオン水と混合して細孔充填溶液を調製したこと以外は上記の実施例45と同様にして、非対称の細孔充填膜を調製した。紫外線硬化した細孔充填基材を50℃の脱イオン水中で少なくとも2時間洗浄してから、乾燥させて、70℃の原料温度で方法1を用いて試験した。結果は、表1にレポートされている。
【0212】
【表1-1】
【0213】
【表1-2】
【0214】
【表2】
【0215】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれているかのように、その全体が本明細書において参照により援用されている。本開示の範囲及び趣旨に逸脱することなしに、本開示に対し様々な修正及び変更を施すことが可能であることは、当業者に明らかであろう。本開示を本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限する意図はない点、更にこうした実施例及び実施形態はあくまで例として示されるものであって、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている点は理解されるべきである。