特許第6572230号(P6572230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6572230-毛髪ケア感覚剤 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572230
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】毛髪ケア感覚剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20190826BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20190826BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61K8/31
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61K8/36
   A61K8/60
   A61K8/55
   A61K8/89
   A61Q5/12
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-555717(P2016-555717)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2017-507957(P2017-507957A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】US2015018918
(87)【国際公開番号】WO2015138210
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/950,447
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ピー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】キンジャルバーヘン・ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ケラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダブリュ・クレイマー
(72)【発明者】
【氏名】イン・オコナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エイチ・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】チーチュン・ワン
【審査官】 星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−272697(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/047102(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0064683(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0031361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪ケア組成物であって、
(a)(i)0.90g/cmを超える密度を有する、少なくとも1つの高密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、(ii)0.90g/cm以下の密度を有する、少なくとも1つの低密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、(iii)美容的に許容される炭化水素油と、を含むポリオレフィン油ブレンドと、
(b)多糖類、セルロースポリマー及び疎水性修飾された架橋アクリレートコポリマーからなる群から選択される増粘剤と、
(c)グリセリン、ソルビトール、モノグリセリド、レシチン、糖脂質、脂肪アルコール、脂肪酸、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ジオール、ジオール類似体、トリオール、トリオール類似体及びこれらの混合物からなる群から選択される湿潤剤と、
を含み、前記高密度及び低密度ポリオレフィンのブレンドが、7を超える平均メルトインデックスを有し、前記ポリオレフィンブレンドが、前記組成物の重量を基準にして0.1〜1.4重量%の範囲内で存在し、前記組成物が、エチレン−アクリル酸コポリマーを実質的に含まない、前記毛髪ケア組成物。
【請求項2】
前記組成物のpHが、5〜7である、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項3】
シリコーン油またはシリコーンエラストマーを更に含む、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項4】
炭化水素油、天然油またはシリコーンからなる群から選択される軟化薬を更に含む、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項5】
前記高密度メタロセン触媒ポリオレフィン対前記低密度メタロセン触媒ポリオレフィンの比が、1:1である、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項6】
前記高密度メタロセン触媒ポリオレフィン対前記低密度メタロセン触媒ポリオレフィンの比が、2:1である、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項7】
前記美容的に許容される炭化水素油が、C14−C22炭化水素油である、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項8】
前記高密度及び低密度ポリオレフィンブレンドが、8.0を超える平均メルトインデックスを有する、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【請求項9】
前記高密度及び低密度ポリオレフィンのブレンドが、8.5を超える平均メルトインデックスを有する、請求項1に記載の前記毛髪ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、毛髪ケア配合物における感覚剤として有用である組成物に関する。本組成物は、ポリオレフィンブレンドを含有する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア製品、特に洗い流さないコンディショナーなどの毛髪ケア製品は、消費者を満足させるために、皮膚に対する滑らかかつ柔らかな感触を要求する。実際、美容効果は、消費者満足において最も重要な要因の1つである。したがって、毛髪ケア技術は、良好な美容効果を与えるために、シリコーン油、硬質粒子(ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)粒子及びポリエチレン(PE)粒子など)、ならびにシリコーンエラストマーゲルなどの感覚剤を開発してきた。しかしながら、前述のもののそれぞれは、不十分な感覚性能、不良なコンディショニング、安定性、及び手触り、または比較的高い費用などの特定の欠点と関連している。
【0003】
そのような感覚剤に関連する問題を克服するための1つの試みは、液体脂肪相中に分散した最大で50%に等しい結晶化度を有する結晶性オレフィンコポリマーを含有し、かつ少なくとも2重量%のオレフィンコポリマーを含有する組成物の形態で、米国特許第6,180,123号に開示される。しかしながら、そのような組成物は、結合剤または鋳造製品などのケラチン物質における使用のために開示されるため、不十分な感覚性能から、洗い流さないコンディショナーとしての使用には好適ではない。
【0004】
したがって、毛髪ケア配合物において、好ましくは良好な管理性、抗縮毛特性、及び光沢プロファイルを有する、費用効果的な高性能感覚剤のための継続する必要性が当該技術分野において存在する。
発明の概要
【0005】
我々は現在、0.90g/cmを超える密度を有する第1のメタロセン触媒ポリオレフィンと、0.90g/cm以下の密度を有する第2のメタロセン触媒ポリオレフィンとを含有するポリオレフィンブレンドが、毛髪ケア配合物において非常に有効な感覚剤であり、従来知られている毛髪ケア組成物の感覚剤と比較して著しくより良好な感覚的特性を呈することを見出した。
【0006】
したがって、本発明の一態様は、(a)(i)0.90g/cmを超える密度を有する、少なくとも1つの高密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、(ii)0.90g/cm以下の密度を有する、少なくとも1つの低密度マテロセン(matellocene)触媒ポリオレフィンと、(iii)美容的に許容される炭化水素油と、を含むポリオレフィン油ブレンドと、(b)増粘剤と、(c)湿潤剤と、を含有する毛髪ケア組成物を提供する。特定の実施形態において、ポリオレフィン油ブレンドは、組成物中に、組成物の重量を基準にして0.1〜1.4重量%の量で存在する。特定の実施形態において、ポリオレフィン油ブレンド中の高密度及び低密度ポリオレフィンは、7を超える平均メルトインデックスを有する。特定の実施形態において、本組成物は、エチレン−アクリル酸コポリマーを実質的に含まない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に従うポリオレフィン油ブレンドを含有する洗い流さないコンディショナーで処理したもの、及びポリオレフィン油ブレンドを含有しない対照の洗い流さないコンディショナーで処理したものの、2つの異なる毛髪見本の光沢プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
理論によって拘束されることを望むものではないが、我々は、中密度または高密度メタロセン触媒ポリオレフィン(すなわち、ASTM D792によって測定される0.90g/cmを超える密度を有するポリオレフィン)が、良好な美容特性を与えるが、不安定なゲルを形成することを開示している。対照的に、低密度メタロセン触媒ポリオレフィン(すなわち、0.86〜0.90g/cmの密度を有するポリオレフィン)は、安定したゲルを形成するが、不良な美容特性を与える。更に、低分子量メタロセン触媒ポリオレフィン(すなわち、ASTM D1238によって測定される8以上のメルトインデックスを有するポリオレフィン)は、炭化水素媒体中で非常に良好な溶解性を実証し、相均一性を維持する。対照的に、高分子量メタロセン触媒ポリオレフィン(すなわち、ASTM D1238によって測定される8未満のメルトインデックスを有するポリオレフィン)は、パーソナルケア配合物において容易には機能し得ない硬質ゲルにつながる。我々はここで、驚くべきことに、ポリオレフィン油ブレンドを含む組成物が、毛髪ケア調合物において、良好な管理性、抗縮毛特性、及び光沢プロファイルを実証する改善された感覚及び美容特性を与えることを見出した。
【0009】
上述のように、ポリオレフィン油ブレンドと、湿潤剤と、増粘剤とを含む、毛髪ケア組成物、好ましくは洗い流さない毛髪コンディショナーが提供される。ポリオレフィン油ブレンドは、0.90g/cmを超える密度を有する、少なくとも1つの高密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、0.90g/cm以下、好ましくは0.86〜0.90g/cmの密度を有する、少なくとも1つの低密度度メタロセン触媒ポリオレフィンと、美容的に許容される炭化水素油とを含む。特定の実施形態において、ポリオレフィン油ブレンド中の高密度及び低密度ポリオレフィンの平均メルトインデックスは、7を超え、好ましくは8を超え、より好ましくは8.5を超える。特定の実施形態において、高密度ポリオレフィンは、5,000〜40,000、好ましくは10,000〜30,000、及びより好ましくは20,000〜28,000の範囲内の重量平均分子量を有する。特定の実施形態において、低密度ポリオレフィンは、41,000〜500,000、好ましくは70,000〜90,000、及びより好ましくは75,000〜85,000の範囲内の重量平均分子量を有する。特定の好ましい実施形態において、毛髪ケア組成物は、エチレン−アクリル酸コポリマーを実質的に含まない。
【0010】
本明細書で使用される場合、別段文脈が明らかに示さない限り、以下の用語は指定された定義を有する。「毛髪ケア」は、人、特に人の毛髪に局所的に適用される組成物に関する。毛髪ケア組成物の例としては、シャンプー、洗い流さない及び洗い流すコンディショナー、スタイリングゲル、ならびに毛髪スプレーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態において、毛髪ケア組成物は、コンディショナー、好ましくは洗い流さない毛髪コンディショナーである。「美容的に許容される」は、パーソナルケア組成物中に典型的に使用される成分を指し、パーソナルケア組成物中に典型的に見出される量で存在する場合に有毒である材料は、本発明の一部としては企図されないことを強調することが意図される。
【0011】
「メタロセン触媒ポリオレフィン」は、メタロセン触媒を用いて生成されるポリオレフィンである。メタロセン触媒作用は、例えば、結晶化度、ポリマー鎖長、及びポリマー鎖単位の分布均一性に関連するポリオレフィン特性の制御を可能にする。メタロセン触媒作用はまた、ポリマー鎖密度及びポリマー鎖長の一様性に有利である。好適なメタロセン触媒としては、例えば、米国特許第4,701,432号、同第5,322,728号、及び同第5,272,236号に記載されるものが挙げられる。本発明の特定の実施形態において、メタロセン触媒ポリオレフィンは、メタロセン触媒を用いて生成されるポリエチレンである。好適なメタロセン触媒ポリエチレンは、例えば、The Dow Chemical CompanyからAFFINITYまたはENGAGE(エチレン/オクテンコポリマー)の商標の下で、及びExxon Chemical CompanyからEXACT(エチレン/ブタンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、またはエチレン/ブタン/ヘキセンターポリマー)の商標の下で入手可能である。一実施形態において、メタロセン触媒ポリオレフィンは、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ブタンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/プロピレン、またはエチレン/ブタン/ヘキセンターポリマーのうちの少なくとも1つ、好ましくはエチレンオクテンコポリマーである。別の実施形態において、メタロセン触媒ポリオレフィンは、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。好適なプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーとしては、例えば、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号に詳細に記載されるものが挙げられる。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFYの商標の下で、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXXの商標の下で市販されている。他の好適なポリオレフィンは、The Dow Chemical CompanyによってAMPLITY、ATTANE、INFUSE、NORDEL、及びVLDPEの商標の下で販売される。市販のメタロセン触媒ポリエチレンの他の好適な非限定的な例、ならびにそれぞれのメルトインデックス及び密度は、表1に示す通りである。
【0012】
【表1】
【0013】
エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーはパーソナルケア組成物における使用について知られているものの、我々は驚くべきことに、EAAコポリマーが、比較的低いpH及び低い界面活性剤レベルのために、本発明の組成物を有害に凝結させ、その安定性に悪影響を与えることを見出した。したがって、特定の好ましい実施形態において、本明細書に記載される本発明の組成物は、EAAを実質的に含まない。この文脈において、「実質的に含まない」とは、3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、及び更により好ましくはゼロ重量%、組成物中に存在することを意味する。
【0014】
一実施形態において、少なくとも1つの高密度メタロセン触媒ポリオレフィンは、ポリオレフィン油ブレンドの固体重量の1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%、及びより好ましくは5〜10重量%の量で存在する。一実施形態において、少なくとも1つの低密度メタロセン触媒ポリオレフィンは、ポリオレフィン油ブレンドの固体重量の1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%、及びより好ましくは5〜10重量%の量で存在する。一実施形態において、0.90g/cmを超える密度を有する少なくとも1つのメタロセン触媒ポリオレフィン対0.90g/cm以下の密度を有する少なくとも1つのメタロセン触媒ポリオレフィンの比は、1:95〜95:1、好ましくは10:50〜60:10、及びより好ましくは10:40〜40:10である。特定の好ましい実施形態において、この比は、1:1、1.5:1、2:1、または3:1である。
【0015】
ポリオレフィン油ブレンドは、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、炭酸塩、シリコーン、グリコールエーテルを含む、100℃超、好ましくは120℃〜150℃の高温の分散媒中で前述のポリオレフィンを剪断することによって調製される。一実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、粉末、ペレット/ビーズ、油ゲル/油ペースト、または水分散体であり得るものの、ポリオレフィン油ブレンドは「油ゲル」と称される。
【0016】
様々な美容的に許容される炭化水素油が本発明における使用に好適であり、様々な炭素鎖長の油から選択される。特定の実施形態において、炭化水素油としては、C14−C22炭化水素油が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、炭化水素油は、14炭素長未満である。特定の実施形態において、炭化水素油は、22炭素長を超える。好適な炭化水素油としては、例えば、LILAC、GEMSEAL 25、GEMSEAL 40、PERMETHYL 101A、PERMETHYL 99A、SILKFLO 364 NF、SILKFLO 366 NF、FANCOL POLYISO 200−CG、FANCOL POLYISO 300−CG、FANCOL POLYISO 450−CG、FANCOL POLYISO 800−CG、PANALANE L−14E、PURESYN 2、PURESYN 4 、またはRITADECENE 20の商標の下で販売されるものが挙げられる。特定の実施形態において、炭化水素油は、ポリオレフィン油ブレンドの重量を基準にして40〜98重量%、好ましくは60〜94重量%、及びより好ましくは80〜90重量%の量で存在する。
【0017】
特定の実施形態において、(少なくとも1つの高密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、少なくとも1つの低密度メタロセン触媒ポリオレフィンと、少なくとも1つの美容的に許容される炭化水素油とを含有する)ポリオレフィン油ブレンドは、毛髪ケア組成物の重量を基準にして0.1〜1.4重量%、好ましくは0.3〜1.2重量%、及びより好ましくは0.5〜1.0重量%の量で存在する。
【0018】
ポリオレフィン油ブレンドに加えて、本発明の毛髪ケア組成物は、増粘剤/レオロジー改質剤を含む。増粘剤は、その他の特性を実質的に変更することなく、溶液または液体/固体混合物の粘度を増大させる物質である。好適な増粘剤としては、例えば、多糖類(例えば、キサンタンガム、グアーガム、デンプン、及び植物ガム)ならびにセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))が挙げられる。特定の好ましい増粘剤としては、例えば、疎水性修飾された架橋アクリレートコポリマー(例えば、LubrizolによってCARBOPOL ULTREZ21の商標の下で販売されるもの)が挙げられる。特定の実施形態において、増粘剤は、毛髪ケア組成物の重量を基準にして0.1〜1.0重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%、及びより好ましくは0.3〜0.5重量%の量で存在する。
【0019】
本発明の毛髪ケア組成物はまた、水分の損失を防ぐための湿潤剤も含む。好適な湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、モノグリセリド、レシチン、糖脂質、脂肪アルコール、脂肪酸、多糖類、ソルビタンエステル、ポリソルベート(例えば、Polysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 80)、ジオール(例えば、プロピレングリコール)、ジオール類似体、トリオール、トリオール類似体、ポリマーポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態において、湿潤剤は、毛髪ケア組成物の重量を基準にして1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、及びより好ましくは5〜10重量%の量で存在する。
【0020】
ポリオレフィンブレンド、増粘剤、及び湿潤剤に加えて、毛髪ケア組成物はまた、85〜95重量%、好ましくは60〜80重量%、及びより好ましくは50〜70重量%の量の水を含有する。
【0021】
特定の実施形態において、毛髪ケア組成物は、賦形剤、例えば、追加の軟化薬(例えば、炭化水素油、エステル、天然油、またはシリコーン)、ワックス、感覚改質剤、防腐剤/酸化防止剤/キレート剤、pH調整剤/緩衝剤/中和剤、日焼け止め活性物質、ビタミン、タンパク質/アミノ酸、植物抽出物、天然成分、生理活性物質、芳香剤/香料、浸透剤、ポリマー/樹脂/毛髪固定剤/フィルム形成剤、界面活性剤/洗浄剤/乳化剤/不透明化剤、揮発剤/噴霧剤/溶媒/担体、液体ビヒクル/溶媒/担体、塩、帯電防止剤、抗縮毛剤、抗フケ剤、毛髪ウェーブ/縮毛矯正剤、吸収剤、着色剤、硬質粒子、コンディショニング剤、及び他のシリコーンを含有する。
【0022】
本発明の実施形態のうちのいくつかが、これより以下の実施例において詳細に記載される。
【実施例】
【0023】
実施例1
例示的ポリオレフィン油ブレンド1の調製
6.25グラムのAFFINITY GA 1950と、6.25グラムのAFFINITY PL1840 Gと、87.5グラムのLILAC油(C14−C22炭化水素油)とを、ガラス容器中で組み合わせることによって、ポリオレフィン油ゲルの形態のポリオレフィン油ブレンドを調製した。ガラス容器を熱板上に定置し、表面上に窒素を充填した閉鎖系として設定した。混合物を、約100〜200rpmの速度で、約150℃の温度で約1時間、固体の全てが融解するまでオーバーヘッド撹拌器で混合した。その後、混合物が約85℃の温度に達するまで、混合物を混合しながら冷却した。
【0024】
実施例2
例示的ポリオレフィン油ブレンド2の調製
4.17グラムのAFFINITY GA 1950と、4.17グラムのLDPE 955Iと、4.17グラムのATTANE 4404Gと、87.5グラムのLILAC油(C14−C22炭化水素油)とを、ガラス容器中で組み合わせることによって、ポリオレフィン油ゲルの形態のポリオレフィン油ブレンドを調製した。ガラス容器を熱板上に定置し、表面上に窒素を充填した閉鎖系として設定した。混合物を、約100〜200rpmの速度で、約150℃の温度で約1時間、固体の全てが融解するまでオーバーヘッド撹拌器で混合した。その後、混合物が約85℃の温度に達するまで、混合物を混合しながら冷却した。
【0025】
実施例3
ポリオレフィン油ブレンドを含む洗い流さない毛髪コンディショナーの調製
上の実施例1において調製されたポリオレフィン油ブレンドを含む洗い流さない毛髪コンディショナーを、表2の配合に従って調製した。
【0026】
【表2】
【0027】
相Aを約40℃まで加熱し、300rpmで10分間撹拌した。その後、相A及びBを組み合わせ、300rpmで連続的に撹拌しながら85〜90℃まで加熱した。相Cを85〜95℃まで別個に加熱し、その後、相A及びBに添加した。その後、相A、B、及びCを、500rpmで10分間撹拌しながら85〜90℃で加熱した。その後、この混合物を、300rpmで撹拌しながら冷却した。混合物が45℃まで冷却したところで、相Dを添加した。
【0028】
実施例4
対照の洗い流さない毛髪コンディショナーの調製
ポリオレフィン油ブレンドを含まない洗い流さない毛髪コンディショナーを、表3の配合に従って調製した。
【0029】
【表3】
【0030】
相Aを約40℃まで加熱し、300rpmで10分間撹拌した。その後、相A及びBを組み合わせ、300rpmで連続的に撹拌しながら85〜90℃まで加熱した。相Cを85〜95℃まで別個に加熱し、その後、相A及びBに添加した。その後、相A、B、及びCを、500rpmで10分間撹拌しながら85〜90℃で加熱した。その後、この混合物を、300rpmで撹拌しながら冷却した。混合物が45℃まで冷却したところで、相Dを添加した。
【0031】
実施例5
毛髪管理性パネル研究−湿潤/乾燥梳き
International Hair Importers&Products Inc.から、ブラジル人の巻き毛の毛髪の4つの見本を得た。この見本をTergitol15S−9の10%溶液で洗浄し、タオル乾燥して、毛髪から過剰な水を取り除いた。最初の2つの見本のそれぞれに、0.5グラムの異なる洗い流さないコンディショニング組成物、(1)上の実施例3において調製された本発明の洗い流さないコンディショナー、及び(2)上の実施例4において調製された対照の洗い流さないコンディショナーを適用した。30秒間毛髪に擦り込むことによって、各コンディショナーをそのそれぞれの見本に適用した。第4の見本には、コンディショナーは適用しなかった。
その後、毛髪の各見本を、湿潤及び乾燥梳きについて、5人からなるパネルが評価した。湿潤梳き試験において、1人のパネリストが、毛髪が湿潤している間に、櫛の細かい歯で各見本を梳いた。+(重い引きずり/梳きが困難であることを示す)から++++(軽い引きずり/梳きが容易であることを示す)の性能順位付けを、各パネリストが割り当てた。その後、毛髪を乾燥させ、同一の順位付けシステムを使用して、乾燥梳き試験を実行した。各試験についてパネリストが割り当てた平均順位付けを、表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
上の結果は、本発明の洗い流さない毛髪コンディショナーが、コンディショナーの不在におけるよりも劇的に良好に機能したことを実証する。
【0034】
実施例6
抗縮毛/湿度研究
上の実施例5に記載される乾燥/湿潤梳き試験を行った後、毛髪見本を、25℃で85%の相対湿度を有する環境チャンバ内に4時間定置した。その後、毛髪の各見本を、抗縮毛制御及び管理性について、5人からなるパネルが評価した。+(高度な縮毛/困難な管理性を示す)から++++(滑らかさ/良好な管理性を示す)の性能順位付けを、各パネリストが割り当てた。パネリストが割り当てた平均順位付けを、表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】
上の結果は、本発明の洗い流さない毛髪コンディショナーが、比較的厳しい湿度条件への曝露後、対照の組成物よりもずっと良好な縮毛制御及び管理性を毛髪見本に与えたことを実証する。
【0037】
実施例7
光沢プロファイル
最初の3つの見本の光沢プロファイルを、Bossa Nova Technologiesから入手可能なSAMBA Hair systemを使用して評価した。見本は幅1インチであり、数百本の毛髪繊維を同時に分析し、統計的信号及びスペクトル信号平均化を可能にした。偏光色カメラは、画像の各画素として鏡面反射光または拡散光として見本から反射する散乱光を検出する。光沢プロファイルの結果を、図1に示し、これは、非常に低い濃度のポリオレフィン油ブレンドですら、上の実施例3において調製された本発明の組成物が、上の実施例4において調製された対照の組成物よりも良好に機能した(すなわち、より低い正規化単位を有した)ことを実証する。
図1