特許第6572238号(P6572238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572238
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】波エネルギー変換器
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/20 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   F03B13/20
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-564402(P2016-564402)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公表番号】特表2017-503116(P2017-503116A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】EP2015050794
(87)【国際公開番号】WO2015107158
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2018年1月9日
(31)【優先権主張番号】1400906.2
(32)【優先日】2014年1月20日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512101187
【氏名又は名称】ノルウェージャン ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー(エヌティーエヌユー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トダルスハウグ, ヨルゲン ハルス
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−090750(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0117673(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋波からエネルギーを抽出するための波エネルギー変換器(1)であって、
平衡位置を中心として基準点に対して振動するように配置されたブイ(2)と、
前記ブイと前記基準点との間に接続され、機械式ばね(11)を含む負のばね装置(10)と、
を含み、
前記負のばね装置は、前記ブイが前記平衡位置から離れる際に正の力を変位の方向に印加するためのものである、波エネルギー変換器。
【請求項2】
前記負のばね装置は、前記ブイがその平衡位置にある場合には前記ブイの振動運動の方向に力を与えないように構成されている、請求項1に記載の波エネルギー変換器。
【請求項3】
前記負のばね装置は、前記ブイが前記平衡位置から離れる際に変位に従って初めのうちは増加する力を与えるように構成されている、請求項1または2に記載の波エネルギー変換器。
【請求項4】
前記ブイが使用中である場合に、前記負のばねを備えないブイと比較して前記平衡位置における前記ブイの全体剛性が低下するように、前記負のばね装置は、前記ブイの流体静力学的剛性に反作用するように作用し、
前記平衡位置における前記ブイの全体剛性は、前記負のばねを備えないブイと比較して少なくとも5倍低下し、
使用中に、前記ブイの共振振動の帯域幅を増加させるために、前記負のばね装置は、前記ブイの流体静力学的剛性に反作用するように作用する、請求項1、2または3に記載の波エネルギー変換器。
【請求項5】
前記負のばね装置は、閾値変位よりも大きな変位において、前記ブイのその平衡位置からの変位の方向とは反対の方向の成分を有する力を与えるように構成され、
前記閾値変位を超える前記ブイの変位が増加するにつれて前記ブイの変位の方向とは反対の方向の力の成分が増加するように前記負のばね装置が構成され、
前記機械式ばねは、コイルばねまたは気体ばねである、請求項1乃至4のいずれかに記載の波エネルギー変換器。
【請求項6】
複数の負のばね装置を含み、
前記複数の負のばね装置は、前記平衡位置において運動の方向に対して垂直な平面に沿って異なる方向に延び、
前記複数の負のばね装置は、対称的に配置されている、請求項1乃至5の何れかに記載の波エネルギー変換器。
【請求項7】
各負のばね装置は、ばねの組(14)を含み、
該ばねの組は、前記平衡位置において、運動の方向に対する垂線を中心として対称的に配置されており、且つ、運動の方向およびそれに対する前記垂線と同一平面内に位置する、V字型の角度をつけられた1対のばねを含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の波エネルギー変換器。
【請求項8】
前記基準点は、支持部材(5)上に設けられており、前記ブイは、前記支持部材に対して振動するように構成されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の波エネルギー変換器。
【請求項9】
前記ブイは、並進/直線運動振動を受けるように構成され、前記支持部材は、前記ブイの中心を貫通し、
前記支持部材は、前記ブイの直線振動の方向に配向されている、請求項8に記載の波エネルギー変換器。
【請求項10】
前記ブイは、前記ブイの外部にあるピボット点(A)を中心とする角変位での回転振動を受けるように構成され、
前記基準点は、前記平衡位置と前記ピボット点とをつなぐ線に沿った任意の位置にあるか、近接する、請求項8に記載の波エネルギー変換器。
【請求項11】
海洋波からエネルギーを抽出する方法であって、
波動によって、平衡位置を中心として基準点に対してブイ(2)を振動させることと、
機械式ばね(11)を含む負のばね装置を使用して、前記ブイが前記平衡位置から離れる際に前記ブイと前記基準点との間に正の力を与えることと、
を含み、前記正の力は、前記ブイと前記平衡位置との間の変位の方向である、方法。
【請求項12】
前記変位が閾値変位よりも大きい場合に、前記ブイとその平衡位置との間の変位の方向とは反対の方向で、前記ブイと前記基準点との間に正の力を与えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記負のばねを備えないブイと比較して前記平衡位置における前記ブイの全体剛性が低下するように、前記負のばね装置は、前記ブイの流体静力学的剛性に反作用するように使用され、
前記平衡位置における前記ブイの全体剛性は、前記負のばねを備えないブイと比較して少なくとも5倍低下し、
前記ブイの共振振動の帯域幅を増加させるために、前記負のばね装置は、前記ブイの流体静力学的剛性に反作用するように使用される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ブイと前記基準点との間の力は、請求項1乃至10のいずれかに記載の波エネルギー変換器(1)の負のばね装置(10)によって与えられる、請求項11乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載の方法における使用のための波エネルギー変換器であって、機械式ばねを含む負のばね装置(10)によって基準点に接続されたブイ(2)を含む、波エネルギー変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋波からエネルギーを抽出するための波エネルギー変換器、および海洋波からエネルギーを抽出する方法に関する。抽出されたエネルギーは、例えば、電力を生成するために使用されてよい。
【背景技術】
【0002】
エネルギーは、海洋波によって運ばれる。低カーボンフットプリントのエネルギー源を求めて、電気など、エネルギーの有用な形態への海洋波のエネルギーの変換に関して多くの研究がなされている。このような研究の一分野では、いわゆるポイントアブソーバーに焦点が置かれている。ポイントアブソーバーは、実際上は、入射海洋波によって変位する海洋表面に浮かぶ個々のブイである。波エネルギーをエネルギーの有用な形態に変換するために、この変位を利用することができる。国際公開第99/22137号では、このようなポイントアブソーバーの例が提示されている。
【0003】
さらに、波エネルギー変換の分野では、予張ブイ(pre−tensioned buoys)を使用することが知られている。(例えば、何らかの方法でブイを、その通常の浮動深度よりも深い深度まで沈ませることによる)ブイの予張(pre−tensioning)は、振動系に負の質量を与える効果を有し、従って、ブイの慣性を効果的に低減し、入射波に対するその応答を増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の態様から示すと、本発明は、海洋波からエネルギーを抽出するための波エネルギー変換器であって、
平衡位置を中心として基準点に対して振動するように配置されたブイと、
ブイと基準点との間に接続された負のばね装置(negative spring device)と、
を含み、負のばね装置は、ブイが平衡位置から離れる際に正の力を変位の方向に印加するためのものである、波エネルギー変換器を提供する。
【0005】
負のばねを使用することによってブイの運動の範囲を増加させることが可能であり、これは、負のばね効果がブイの流体静力学的剛性および、例えば浮力と重力との間の均衡に起因する、振動に対するブイ本来の抵抗に対抗することになるためである。負のばねを使用することで、所与の範囲の運動に関してブイの見かけの剛性を非常に低いものとすることができ、これは、従来技術のブイに作用するよりも広い範囲の振動数にわたる波動によって加振された場合に従来技術のブイよりも大きな運動振幅で振動するようにブイを設計できることを意味する(すなわち、ブイの共振振動を促すであろう波振動数の帯域幅が増加する)。この結果、より広い範囲の波振動数にわたって、上述の負のばねを備えたブイをエネルギー変換のためのソースとして、より容易かつより効果的に使用できる。負のばねの使用によって上下動ブイシステム(heaving buoy system)の供給エネルギーを少なくとも100%増加させることができるということが見出されている。すなわち、負のばねを備えた上下動ブイと(負のばねを備えない)標準的な上下動ブイとの実験比較において、従って、平均電力出力は、標準的システムと比較して少なくとも倍となる。また、ブイの運動の範囲がより広いことで、ブイをエネルギー変換のための他の装置に、例えば機械式装置または電気機械式装置に、連結することを簡易化することもできる。予張ブイ用に、または非予張ブイ用に本発明を使用してよい。しかし、予張ブイの使用は、入射波に対するブイの応答をさらに増加させる可能性がある。
【0006】
波エネルギー変換に妥当な入射海洋波は通常、4秒〜14秒の範囲の波周期を有し、通常5m以下の波高、および一部の極端な条件では10m以下または10m超の波高を有する。
【0007】
ブイの平衡位置は、振動時にブイが受ける復元力/加速が存在しない位置である。これは通常、波エネルギーが存在しない場合に、すなわち静止時に、および負のばね装置から発生する可能性のある如何なる作用も存在しない場合に、基準点に対してブイが存在するであろう位置である。ブイは海洋表面上に浮かんでいてよく、あるいは、半沈しているか、沈んでいてよい。
【0008】
基準点は、それを中心としてブイが振動する点である。基準点に対してブイが移動するとばね装置がエネルギーを放出または蓄積するように、負のばね装置はブイと基準点との間に連結されている。基準点は固定点であってよい。基準点は、海底に対して固定されていてよく、あるいは構造体、例えばブイよりも遥かに動きの少ない構造体に対して固定されていてよい。このような構造体は、桟橋または大きな浮動/沈下/半沈構造体(すなわち、浮動ブイよりも遥かに大きな構造体)であってよい。ブイが構造体に対して入射波エネルギーによって振動できるように、構造体は、ブイと同じ振動数で入射波エネルギーによって大きく振動すべきではない。固定点が海底に接合されている場合には、それを絶対的固定点とみなすことができる。
【0009】
振動は、直線運動振動、または回転振動、または前記2つの組み合わせであってよい。全体的な運動は、いくつかの並進(translatory)運動および/または振動運動の重ね合わせであってよい。同様に、ばね装置は、直線および/または振動運動が存在する際にエネルギーを放出または蓄積するばね要素を含んでよい。例えば、つる巻きばね、竹の子ばねまたはガスピストンばねを直線運動で圧縮して、それらが伸張する際に放出されるエネルギーを蓄積することができる。スパイラルトーションばねまたはトーションバーは、回転運動を受けると変形してエネルギーを蓄積することになる。
【0010】
負のばね装置は、ブイがその平衡位置から変位する際にブイの変位方向の力を生成することが可能なばね装置であってよい。負のばね装置は、ブイがその平衡位置にある場合にはブイの振動運動の方向に力を与えなくてよい。負のばね装置によってブイの変位方向に与えられる力の大きさは、ブイがその平衡位置から離れるにつれて変化してよい。この力の変化は、システムのジオメトリに起因してよい。この力の変化は、ブイがその平衡位置から変位すると作用し始めてよい。負のばね装置によって生成される力は、振動の変位の方向に沿ってブイを押すように作用してよい。負のばね装置を慎重に設計することで、ばねからの力をシステム内の他の力と、例えばブイの浮力および重力に起因する力と、釣り合わせることが可能となる。1つの例示的配置では、負のばねは、ブイが平衡位置から離れる際に変位に従って初めのうちは増加する力を与えてよい。
【0011】
負のばね装置は、ブイがその平衡位置にある場合に圧縮状態であることによって、およびブイが平衡位置から変位すると伸張できるようになることによって、このような力を与えてよい。負のばねは、ブイがその平衡位置にある場合に最大圧縮状態であってよく、例えば線形ばねについては、基準点と負のばねがブイに接続する点との間の距離が、ブイがその平衡位置にある場合に最小であってよい。負のばね装置は、ブイがその平衡位置から変位するにつれて固定点に対してブイを押すことによって作用してよい。
【0012】
負のばね装置は、ブイの流体静力学的剛性に対して作用する負の剛性を付与するように構成されてよい。負のばね装置は、(負のばねを備えない場合の)流体静力学的剛性よりも低い、平衡点付近の全体剛性(total stiffness)を生み出してよい。流体静力学的剛性は通常、ブイシステムの他の特性に応じて、約5倍または5倍超低下してよい。流体静力学的剛性は、10倍または10倍超低下してよい。剛性は、平衡点付近の運動の所与の範囲については、このように低下してよい。直線運動振動子に関しては、剛性は、およそ±1〜5mの変位については実質的に低下してよい。剛性は、ブイの有効ストロークを通じて低下してよい。回転振動子に関しては、剛性は通常、およそ±0.1〜0.5ラジアン(rad)の変位については実質的に低下してよい。平衡点付近のものではない変位に関しては、システムの剛性を増加させてよい。
【0013】
平衡点付近での剛性の低下は、存在している全体的な復元力の大幅な低下を導く。剛性の低下は、振動するブイの帯域幅の増加を導き、これは、より広い範囲の入射波振動数について、より大きなブイの振動振幅を導く。これは、波振動数のより広い範囲にわたって、より多くの波エネルギーを変換することを可能にするため、波エネルギー変換器の効率を増大させる。
【0014】
流体静力学的剛性Sは、ブイの受ける復元力とブイのその平衡点からの変位との間の比例係数(または定数)である。それは、大きな上下運動を伴う半沈システムおよび平均海洋面レベルに近接した軸を中心に回転する任意のシステムの振動にのみ関連する概念である。流体静力学的剛性は、標準的な質量/ばね機械振動子におけるばね定数kの類似物である。直線運動振動子については、流体静力学的剛性Sは、S=F/zという関係で復元力におおよそ関連付けられ、ここでFは復元力であり、zは平衡からの変位である。回転振動子については、流体静力学的剛性は、S=τ/θという関係で復元力におおよそ関連付けられ、ここでτは復元トルクであり、θは平衡からの角変位である。従って、流体静力学的剛性を低下させることは、ブイが受ける復元力またはトルク(以下ではまとめて「復元力」と呼称する)を低下させることと同様に考えてよい。ブイがその平衡位置から変位するにつれて、負のばね装置からの合力(total force)が減少してよい。一定の変位において、負のばね装置からの合力(および、従って、ブイの変位方向の力の成分)がゼロとなってよい。本明細書においては、この変位を閾値変位(threshold displacement)と呼称する。閾値変位よりも大きな変位において、ブイのその平衡位置からの変位の方向とは反対の方向に負のばね装置が力を与えてよい。このような場合、負のばね装置は、一定の変位の後に正のばねとして作用する。
【0015】
このような正のばね機能は、エンドストップの使用への依存を避けるか低減するのに役立ち得る。エンドストップは通常、ブイのその平衡点からの最大変位を制限するのに必要とされる。負のばねから正のばねへの転換は、エンドストップとして作用してよく、これは、追加的なエンドストップ要素が必要とされないことを意味する。あるいは、正のばね効果は、より弱いエンドストップを使用できることを意味し得る。従って、正のばね機能は、システムに存在する要素の数を減少させ、システム内の損耗を低減し得る。これは、ブイの変位を制限するためにブイがエンドストップに当たる必要が最早ないか、より弱い力でエンドストップにブイが当たるためである。
【0016】
ばね装置によって与えられる合力は、変位が増加するにつれて初めのうちは増加してよく、その後、閾値変位において正となる前に減少してよい。ブイの変位の方向とは反対方向のばね装置由来の力の成分は、システムのジオメトリに起因して、および、閾値変位を越えると、負のばね装置によって生成される合力はそれが伸張するにつれて増加してよいため、さらに増加してよい。
【0017】
ブイが閾値変位を越えて移動し、負のばね装置が正の合力で作用し始めると、波エネルギー変換器はエネルギーを蓄積してよい。このエネルギーを、ブイの運動エネルギーおよび/またはブイの流体静力学的位置エネルギーの変換から生じる、波エネルギー変換器に蓄積された位置エネルギーとみなしてよい。エネルギーは、負のばね装置に蓄積されてよい。蓄積されたエネルギーは、後に使用されてよい。エネルギーは、1つ以上の流体(例えば気体または液体)アキュムレータに蓄積されてよい。加圧流体がアキュムレータに格納されていてよく、当該流体は、ブイの運動エネルギーおよび/または流体静力学的エネルギーを用いて加圧されている。アキュムレータは、負のばね装置に付属していてよく、負のばね装置に接続されていてよい。しかし、負のばね装置が油圧/空気/気体ばねを含む場合には(以下を参照のこと)、アキュムレータが負のばね装置の一部を形成してよく、すなわち、アキュムレータが負のばね装置のばね特性に直接寄与してよい。この場合には、エネルギー蓄積能力を増大させるために、さらなるアキュムレータが設けられてもよい。
【0018】
任意の好適な連結によって負のばね装置がブイと基準点との間に接続されてよい。この連結により、ブイの振動運動中の、ブイおよび基準点に対する負のばね装置のヒンジ式回転(hinged rotation)が可能となってよい。連結は、このような目的に好適な当技術分野において公知の形態のうちのいずれかのものであってよい。波エネルギー変換器の稼働中に、負のばね装置は、平衡にあるばね装置の位置に対して−90°〜+90°の、基準点を中心とした最大回転を有する。好ましくは、この間隔は、−70°〜+70°、−50°〜+50°、または−30°〜+30°である。
【0019】
負のばね装置は、機械式ばねを含んでよい。負のばね装置は、複数の機械式ばねを含んでよい。機械式ばねは、コイルばね、気体/空気ばねまたは油圧ばねであってよい。気体/空気ばねまたは油圧ばねは、負のばね効果を生み出すのに特に有効である可能性がある。機械式ばねは、好ましくは、油圧シリンダー/ラムおよび気体アキュムレータを含んでよい。この場合には、負のばね装置によって、より広い圧力範囲を処理できる。
【0020】
気体/空気ばねまたは油圧ばねは流体シリンダーを含んでよい。
【0021】
負のばね装置は、制御されるバルブまたはパッシブバルブを含んでよい。油圧/空気/気体ばね内の圧力を調整および/または調節するためにバルブが使用されてよい。従って、負のばね装置の稼働を変更、適合および/または最適化することが可能であってよい。例えば、負のばね装置によって与えられる負のばねの力/トルク;選択可能な閾値変位;および/または負のばね装置によって与えられる選択可能な正のばねの力/トルクを変更、適合および/または最適化することが可能であってよい。
【0022】
バルブは、ソレノイドバルブ、油圧バルブ、気体駆動式バルブまたは空気バルブであってよい。バルブは、制御器によって制御されてよい。波エネルギー変換器の状態および/または波エネルギー変換器周囲の水の状態の測定値が取られるか、推定値が作成されてよい。測定値/推定値は、波エネルギー変換器および/または周囲の水の瞬間的な状態のものであってよい。例えば、測定値/推定値は、ブイの運動、動力取り出しの動的変数および/または波の動的変数のうちの1つ以上である可能性がある。バルブを制御するために、測定値/推定値が制御器によって使用されてよい。
【0023】
一実施形態において、基準点は、海底または構造体に対して固定された支持部材上に設けられてよく、ブイは支持部材に対して振動するように構成されており、ばね装置はブイの内部と支持部材との間に連結されている。
【0024】
支持部材は、剛体支持部材(例えばロッドまたはポール)であってよい。支持部材は、海底または構造体に取り付けられてよい。
【0025】
支持部材は、可撓性支持部材(例えば、ケーブルまたは可撓性チューブ)であってよい。支持部材は、例えば海底と構造体との間で、張力下に保たれてよい。
【0026】
ブイは、並進/直線運動振動を受けるように構成されてよい。ブイがその平衡位置から変位する際、負のばね装置からの力は直線変位の方向の成分を有してよい。基準点は、振動するブイの平衡位置にあってよい。
【0027】
代替的または追加的に、ブイは、回転振動を受けるように構成されてよい。ブイは、ピボット点を中心とする角変位で振動してよい。ピボット点はブイの外部にあってよい。ブイは、接続部材を介してピボット点に接続されてよい。接続部材は、剛体であってよく、ブイの中心に接続してよい。負のばね装置は、ブイの中心と基準点との間に連結されてよい。基準点がブイの平衡位置に近くなるほど、ばねによってもたらされる接線力は大きくなるであろう。あるいは、負のばね装置としてトーションばね装置が使用されてよい。ブイがその平衡位置から変位する際、負のばね装置からの力は、振動するブイの接線方向の成分を有する。
【0028】
基準点は、平衡位置とピボット点とをつなぐ線に沿った任意の位置にあるか、近接してよく、および好ましくは平衡位置とピボット点との間の位置にあってよく、さらに好ましくはブイがその平衡位置にある場合のブイの中心とピボット点との間の位置にあってよい。基準点は、ピボット点に対して固定された位置にあってよい。
【0029】
波エネルギー変換器は複数の負のばね装置を含んでよい。例えば、ブイが直線運動を受けるように構成されている場合には、並進運動の方向によって画定される軸から半径方向に沿って延びており、且つ、軸の周囲では離間されているばね装置(複数)が存在してよい。ブイが回転振動運動を受けるように構成されている場合には、平衡位置においてブイの運動の円弧に対する接線に垂直な平面に沿って延びる複数のばね装置が存在してよい。従って、それぞれの場合において複数の負のばね装置は、平衡位置において運動の方向に対して垂直な平面に沿って異なる方向に延びるように配置されてよい。好ましくは、複数のばね装置は対称的に配置される。好ましくは、全てのばね装置が、ブイと同一基準点との間に接続される。
【0030】
複数の気体ばね、空気ばねまたは油圧ばねが使用される場合、複数のばね装置のうちの少なくとも2つは、それぞれの負のばね装置内の流体の圧力が等しいままであるように、互いに流体接続(fluidly connected)されてよい。このような流体接続は、ブイと基準点との間の不均一な負荷を防止する可能性がある。流体接続は永続的であってよい。流体接続は、例えばバルブを介して、少なくとも2つの複数のばね装置を選択的に接続してよい。流体接続は、少なくとも2つの複数のばね装置を選択的に接続するための手段、例えばバルブ、を含んでよい。流体接続は、パイプ接続またはホース接続を含んでよく、バルブをさらに含んでよい。流体接続は、ばねのシリンダー間にあってよい。
【0031】
直線システムに関しては、負のばね装置が、運動の方向に沿った軸を中心とした星型配置(例えば2、3または5頂点の星型)で配列されてよい。このタイプの対称的配置がある場合には、有利にも、支持部材の方向に対して垂直な方向の負のばね装置に起因するブイと支持部材との間の正味の力が存在しなくてよい。これは、同一特性を備える対称的に離間された負のばね(複数)を用いて達成することができる。この場合には、ばねからの全ての力が、運動の方向に沿ったものとなり、当該方向は、支持部材の方向であってよい。例えば、120°ずつ離された3つのばね装置が存在してよく、これらは全て、ブイと支持部材との間に実質的に等しい力を与える。
【0032】
支持部材は、ブイの中心を貫通してよい。支持部材は、ブイの浮力に起因する振動の方向に配向されてよく、当該方向は、上述の並進運動の方向であってよい。この方向は、実質的に垂直であってよい。
【0033】
それぞれの負のばね装置が、ばねを1つのみ含んでよい。これは最も単純な配置であり、例えば、平衡位置において、圧縮状態にあり且つ並進運動の方向に対して、あるいは回転運動の円弧に対する接線に対して垂直である1つのばねによって提供される可能性がある。
【0034】
あるいは、1つ以上の負のばね装置またはそれぞれの負のばね装置が、ばねの組を含んでよく、例えば、平衡位置において、平衡位置における運動方向に対する垂線を中心として対称的に配置される、V字型の角度をつけられた1対のばねを含んでよく、この方向は、例えば、並進運動の方向または回転運動の円弧に対する接線の方向である。それぞれの負のばね装置のばねは、垂線および運動方向の両方と同一平面内に位置してよい。この場合には、ばねの組は、(V字の先端にある)基準点への接続部から(V字の2つの端部にある)ブイの内面上のそれぞれの点まで延びてよい。それぞれの点は、運動方向と実質的に一致する方向に分離されてよい。平衡位置から離れる運動の間に、ばね(またはばねの組)は、運動方向に沿った成分を有する力を与えることになり、従って、負の剛性が付加されることとなる。垂線からのばね装置の角度は運動中に増加することとなり、これは、力が運動方向とより一致するようになるため、運動方向に沿った力の成分が増加するであろうことを意味するということが理解されるであろう。
【0035】
気体ばね、空気ばねまたは油圧ばねが使用される場合、ばねの組のうちの少なくとも2つのばねが、ばねの組のうちのそれぞれのばね内の流体の圧力が等しいままであるように、互いに流体接続されてよい。このような流体接続は、システム内の摩擦を低減する可能性がある。流体接続は永続的であってよい。流体接続は、例えばバルブを介して、少なくとも2つのばねを選択的に接続してよい。流体接続は、少なくとも2つのばねを選択的に接続するための手段、例えばバルブ、を含んでよい。流体接続は、パイプ接続またはホース接続を含んでよく、バルブをさらに含んでよい。流体接続は、ばねのシリンダー間にあってよい。
【0036】
使用されるばねの例としては、The Sheffer Corporation(シンシナティ、オハイオ、米国)、Parker Hydraulics(ノーウィッチ、イングランド)およびBosch Rexroth(シャーロット、ノースカロライナ、米国)によって製造されるばねが挙げられる。空気ばねについては、それらが耐えるように設計されている最大圧力が約100bar以下、好ましくは150bar以下であってよく、円筒穴は10cm〜100cmであってよい。空気ばねが耐えることのできる最大圧力は約10bar以下、好ましくは15bar以下、および、さらに好ましくは20bar以下であってよく、円筒穴は30cm〜100cmであってよい。油圧ばねについては、それらが耐えるように設計されている最大圧力が200bar以下であってよく、円筒穴は約50cmであってよい。
【0037】
本発明において、ブイは、任意の公知の形状を有してよい。例えば、ブイは、略円筒形または略球形であってよい。
【0038】
波エネルギー変換器は、ポンプとして、または電気エネルギー発生器として使用されてよい。ポンプとして働く場合、振動ブイは、エネルギーを利用するために油圧システムまたは空気圧システムを駆動してよい。油圧システムまたは空気圧システムは、次に、発電機に接続されてよい。あるいは、振動ブイは、当技術分野において公知のように必要な磁石および回路を組み込んだ電気機械式配置によって電気を直接生成してよい。このような電気機械式配置はブイの一部であってよく、あるいはブイが外部の装置に機械的に連結されてよい。
【0039】
別の態様では、本発明は、海洋波からエネルギーを抽出する方法であって、
波動によって、平衡位置を中心として基準点に対してブイを振動させることと、
負のばね装置を使用して、ブイが平衡位置から離れる際にブイと基準点との間に正の力を与えることと、
を含み、上記正の力は、ブイと平衡位置との間の変位の方向である、方法を提供する。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、海洋波からエネルギーを抽出する方法であって、
波動によって、平衡位置を中心として基準点に対してブイを振動させることと、
ブイと基準点との間に正の力を与えることと、
を含み、上記正の力は、ブイと平衡位置との間の変位の方向である、方法を提供する。
【0041】
上記の方法(複数可)は、変位が閾値よりも大きい場合に、ブイとその平衡位置との間の変位の方向とは反対の方向でブイと基準点との間に正の力を与えることを含んでよい。
【0042】
ブイと基準点との間の力は、上述されたような負のばね装置によって与えられてよい。上記方法は、上述された特徴のいずれかまたは全てを備えた器具を使用することを含んでよい。振動は、直線運動振動、または回転振動、またはこれら2つの組み合わせであってよい。
【0043】
上記方法(複数可)において使用される負のばね装置は、本発明の第一の態様に関連して上述されたような負のばね装置であってよい。
【0044】
第四の態様において、本発明は、前述の方法における使用のための波エネルギー変換器を提供し、当該波エネルギー変換器は、負のばね装置によって基準点に接続されたブイを含む。この波エネルギー変換器は、本発明の第一の態様に関連して上述された特徴のいずれかまたは全てを備えてよい。
【0045】
添付の図面を参照して特定の好ましい実施形態が以下で説明されるが、これらは例として説明されるに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明による波エネルギー変換器の種々の実施形態を示す。
図2図2は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
図3図3は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
図4図4は、本発明による波エネルギー変換器の種々の実施形態を示す。
図5図5は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
図6図6は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
図7図7は、本発明による波エネルギー変換器の種々の実施形態を示す。
図8図8は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
図9図9は、図1図4および図7の波エネルギー変換器の変位の関数として様々な力/トルクを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
波エネルギー変換器は、入射波と弱め合う干渉を生み出す波を発することによって海洋波からエネルギーを吸収する動的システムである。上記システムは、特定の帯域幅を有する、その動的応答によって特徴付けられてよい。これは、入射波からの加振に対して上記システムが適切に応答する振動数の範囲を上記システムが有することを意味する。この範囲外では、上記システムが入射波からエネルギーを大幅には吸収できないという意味で応答が弱くなる。通常、応答帯域幅は、自然に生じる海洋波の帯域幅よりも狭い。これは、小規模なシステム、いわゆるポイントアブソーバー(ブイなど)に特に当てはまる。
【0048】
信頼性および耐久性を確保するとともに、力の吸収のために十分な帯域幅を達成することは、波エネルギー変換器の発展にとって最重要課題である。
【0049】
また、帯域幅は、加振力に対するシステムの速度応答の観点から考慮されてもよい。加振力と応答速度との間の関係は、波エネルギーの吸収に重要である。応答と加振との間の位相差が0である時、加振力は最大である。最大吸収のためには、速度振幅が、入射波の振幅に対して最適な比率でなければならない。好ましい実施形態は、位相差を0にしようとするか、0に近づけようとするものである。
【0050】
図1は、本発明の波エネルギー変換器1の例示的実施形態を示す。波エネルギー変換器1は、平衡位置4を中心として基準点3に対して振動してよいブイ2を含む。波エネルギー変換器は、ブイ2と基準点3との間に接続された負のばね装置10をさらに含む。負のばね装置10は、ブイが平衡位置4から離れる際に、変位(z)の方向に正の力を印加する。図1の実施形態では、変位(z)の方向は垂直方向である。
【0051】
図1の実施形態において、ブイ2は球状であり、一般的には球殻の形状である密閉され空気で充填された外殻6を備える。外殻6は、ブイ2に浮力を与える。外殻6の内面7は、中空の内部空洞8を画定する。また、空洞8は、ブイ2に浮力を与えてもよい。ブイ2は約4mの半径を有してよいが、その他の半径も可能である。
【0052】
支持部材5(例えば、ロッド、ポール、ケーブル)は、外殻6の対向穴9(opposing holes 9)を、およびブイ2の中心を貫通し、概してブイ2の変位(z)の方向に配向されている。基準点3は支持部材5に固定され、ブイ2の中心に配置される。
【0053】
負のばね装置10は、機械式つる巻きばね11を含み、ブイ2がその平衡位置4にある場合に負のばね装置10が支持部材5および変位方向(z)に対して垂直となるように、基準点3と外殻6の内面7との間に固定される。ブイ2がその平衡位置にある場合、負のばね装置10は最大圧縮状態にある。接続部12および13は、内面7および基準点3に対する負のばね装置10のヒンジ式回転を可能にする。
【0054】
図1には示されていないが、波エネルギー変換器1は複数の負のばね装置10を含み、当該ばね装置10(複数)は、上述されるように基準点3と内面7との間に延びており、実質的に同一の機械的特性を有する。複数の負のばね装置10は、支持部材5の軸を中心にして対称的に離間されている。従って、負のばね装置10は、支持部材5の軸を中心とした星型配置(例えば2、3または5頂点の星型)で配列されている。例えば、120°ずつ離された3つの負のばね装置10が存在してよく、これらは全て、ブイ2と支持部材5との間に実質的に等しい力を与える。
【0055】
図1の実施形態のブイ2が、入射波エネルギーに起因して並進/直線運動振動を受けてよいことは明らかである。ブイ2がその平衡位置4から変位する際、負のばね装置10からの力は直線変位(z)の方向の成分を有する。従って、ブイ2がその平衡位置から離れる際、負のばね装置10は、その蓄積エネルギーを放出する。
【0056】
負のばね装置10によってブイ2の変位(z)の方向に与えられる力の大きさは、ブイ2がその平衡位置4から離れるにつれて変化する。この力の変化は、システムのジオメトリに部分的に起因しており、これは、ブイ2の変位が平衡位置4から離れて増加するにつれて、負のばね装置10によって印加される合力のz−方向の成分が、z−方向に対して垂直な成分に対して増加するためである。さらに、負のばね装置10の長さが変化するにつれて、負のばね装置10によって生成される合力が変化するため、上記力は変化する。従って、この力の変化は、ブイがその平衡位置から変位する際に作用し始める。負のばね装置によって生成される力は、振動の変位(z)の方向に沿ってブイを押すように作用する。1つの例示的配置では、負のばね装置10は、ブイ2が平衡位置4から離れる際に変位に従って初めのうちは増加する力を与えてよい。
【0057】
負のばね装置10は、ブイ2の流体静力学的剛性に対して作用する負の剛性を付与し、従って、システムの流体静力学的剛性を低減する。しかし、平衡点付近の閾値変位内にない変位(z)では、システムの剛性は増加してよい。これは、図2に示される例で見ることができ、図2では、破線が、平衡4からの変位(z)の関数としてのブイ2の流体静力学的剛性力(F(z))であり、実線が、平衡4からの変位(z)の関数としての負のばね装置10に起因する力(F(z))である。
【0058】
システムの合成剛性力が図3に実線で示される(この場合も、破線はブイ2の流体静力学的剛性力である)。図から分かるように、平衡点付近で剛性は低下する。図2および3(ならびに図5、6、8および9)の軸上に示される正確な数値は、説明のための例としてのものに過ぎないことが留意されるべきである。より大きな、またはより小さな変位および力が生じてよい。これらの数値は、入射波のエネルギーおよびブイのサイズを含め、多くの要因に依存する。
【0059】
ブイ2がその平衡位置4から変位するにつれて、負のばね装置からの合力は減少する。閾値変位(図2ではzと記載)では、合力(および、従ってブイの変位の方向の力の成分)は0である。図2から分かるように、閾値変位(z)よりも大きな変位では、負のばね装置10は、ブイ2のその平衡位置4からの変位(z)の方向とは反対の方向に力を与える。従って、負のばね装置10は、一定の変位(z)の後に正のばね装置として作用し、システムの全体剛性を増加させる。
【0060】
図2を参照すると、負のばね装置10によって与えられる合力は、変位(z)が増加するにつれて初めのうちは増加し、その後、閾値変位(z)にて正のばねとなる(および、従って変位方向に対向する力を印加する)前に減少する。ブイの変位の方向とは反対方向のばね装置からの力の成分は、(上述のものと同様の理由で)システムのジオメトリに起因して、および、閾値変位(z)を越えると、ばね装置によって生成される合力はそれが伸張するにつれて増加してよいため、さらに増加してよい。大きな変位における正のばね効果は、ブイの最大変位を制限するための「エンドストップ」システムの一部として利用できる。
【0061】
図4を参照すると、図4は、図1に示されるものと大部分において同様の波エネルギー変換器を示す。しかし、この実施形態では、並進運動(z)の方向に対して垂直な平面を中心として対称的に配置されるV字型の角度をつけられた1対のばねを含むばねの組14を負のばね装置10のそれぞれが含んでよい。ばねの組14は、固定点3への接続部13から、ブイ2の内面7上のそれぞれの点12まで延びてよい。それぞれの点12は、支持部材5の方向と実質的に一致する方向に分離されてよい。この例示的実施形態では、気体ばねが示されている。
【0062】
図5から分かるように、ばねの組14の使用は、負のばね装置10の力特性の適合を可能にする。図5では、ばねの組中の各ばねからのz−方向のブイに対する力が、F1およびF2で示されている(実線)。合成力は、Ftotで示されている(破線)。各組におけるばね間の角度、および各ばねによって生成される全体の力(sum F)は、負のばね装置からの合成力(Fz pneumatic)が平衡付近でブイの流体静力学的剛性(Fz sphere)を最も低下させるように選択される。これは図6に示されている。角度は、最も効果的な剛性の低下を生み出すことにおいて技術者の助けとなる別の制御可能な因子をもたらす。
【0063】
図7は、ブイ2が回転振動を受ける本発明の例示的実施形態を示す。ブイ2は、前述の実施形態に関連して説明されたものと実質的に同様であってよい。しかし、図8の実施形態のブイ2は、接続部材15がブイ2の中心をピボット点(A)に接続することを可能にする穴9を1つだけ含み、および、それを通って負のばね装置10が延びてよいスロット(図示せず)を含む。ブイ2は、ピボット点(A)を中心とする角変位で振動し、当該ピボット点(A)はブイ2の外部にある。負のばね装置10は、ブイの中心と基準点3との間に連結されてよい。ブイ2がその平衡位置から変位する際、負のばね装置からの力は、振動するブイの接線方向の成分を有する。
【0064】
基準点3は、ブイの平衡角度においてピボット点(A)から延びる線に沿って配置される。さらに、基準点3は、その平衡位置4にある場合のブイ2の中心とピボット点(A)との間に配置される。
【0065】
図7の波エネルギー変換器1の負のばねアセンブリ10は、図1および4の負のばねアセンブリ10と同様に作用して、システムの流体静力学的剛性を低下させ、従って、波エネルギー変換器の帯域幅を増加させる。流体静力学的剛性の低下を図8および9に見ることができ、図8および9は、図2および3と同様の効果を示す。従って、図8では、破線が、平衡4からの角変位(θ)の関数としてのブイ2の流体静力学的剛性トルク(τ(θ))であり、実線が、平衡4からの角変位(θ)の関数としての負のばね装置10に起因するトルク(τ(θ))である。システムの合成剛性トルク(τ(θ))が図9に実線で示される(この場合も、破線はブイ2の流体静力学的剛性トルクである)。図から分かるように、平衡点付近で剛性は低下する。
【0066】
上述の通り、負のばねの効果は、システムが供給できるエネルギーを大幅に向上させることである。図4に示されるタイプの直線振動タイプのブイについては、標準的なブイ設計との実験による比較がなされており、これにより、エネルギー供給の増加が少なくとも100%であることが見出された。上記実験では、エネルギー供給を測定するために従来の抵抗負荷設定が使用された。本明細書に記載される波エネルギー変換器がもたらす重要な利点は、従って、公知の設計と比較して少なくとも倍の平均電力出力である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9