【実施例】
【0074】
カプセル懸濁液の調製
カプセル懸濁液を調製するための成分の重量百分率を表Iに要約する。総バッチサイズは、通常およそ25g使用されるニトラピリンの重量に基づく。乳化剤および架橋アミンは、指示濃度の水溶液として添加する。マイクロカプセル懸濁製剤化技術は、当技術分野において公知である。更に、マイクロカプセル懸濁製剤を生成するための添加および対応する手順の順序により、粘度などの変動する物理的特性を有する製剤を生成する場合があることもまた、当該技術分野において周知である。以下の調製手順は、調製手順の1つの例示的実施形態であり、本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。
【0075】
油溶性モノマーPAPI27(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)(Dow Chemical)を広口ジャーに添加する。次に、ニトラピリン(Dow AgroSciences)およびAromatic 200(Exxon)を50%ニトラピリン原液の形態で添加する。得られた有機相を、表Iに記載の乳化剤の水溶液と合わせる。得られた2相混合物を、Silverson製の3/4インチ混合チューブおよび汎用乳化ヘッドを取り付けたL4RT−A高速ミキサーを使用して乳化する。乳化は、最初に水相に位置する混合チューブの末端部で比較的低速(約1000rpm)で混合して、十分に乳化するまで有機相を吸引することによって達成する。次に、速度を別個の増分で増加させ、それぞれの増加後に粒径を測定する。本プロセスは、所望の粒径が得られるまで続ける。次に、水溶性アミン(ジエチレントリアミン(DETA、Aldrich))またはエチレンジアミン(EDA、Aldrich)溶液(水中10wt.%)を減速して撹拌しながら滴下添加する。添加完了後、得られたカプセル懸濁液を更に少しの時間撹拌する。カプセル形成後、Kelzan S(1.5%水溶液として)、Veegum(5%水溶液として)、Proxel GXLおよび残部の水を表Iに記載の通りに添加し、Silverson製ミキサーで最終的な均一化を実施した。
【0076】
【表1】
【0077】
カプセルの粒径測定
カプセル懸濁液の粒径分布は、低容量のサンプルユニットを取り付けたMalvern製Mastersizer 2000光散乱粒径測定装置を使用して測定する。体積中央分布(VMD:volume median distribution)を、表IIの各製剤について記録する。
【0078】
【表2】
【0079】
壁厚の計算
目標の壁厚を達成するために必要なカプセル壁成分の量の計算は、球の体積をその半径に関連付ける幾何公式に基づく。コアが壁を形成しない不水溶性成分(ニトラピリン、溶媒)からなり、シェルが重合性材料(油溶性モノマーおよび水溶性モノマー)から構成されるコア−シェル形態をとる場合、コアの体積(V
c)とコアの体積プラスシェルの体積(V
s)との比をそれらの各々の半径と関連付ける等式(1)が成り立ち、式中、r
sは、シェルを含むカプセルの半径であり、l
sは、シェル厚である。
【0080】
【数1】
【0081】
シェルの体積について等式(1)を解くことによって次式が得られる。
【0082】
【数2】
【0083】
それらの各々の体積に質量(m
i)および密度(d
i)を代入し(m
s/d
s=V
sおよびm
c/d
c=V
c、式中、下付き文字sまたはcは、それぞれシェルまたはコアを指す)、シェルの質量について解くことによって次式が得られる。
【0084】
【数3】
【0085】
等式(2)および(3)を比較することによって、所望のサイズおよび壁厚のカプセルを生成するために必要な壁成分の量を計算するために質量を使用する場合、密度比d
s/d
cの効果は定数補正係数を適用することであることを示すことができる。したがって、m
sの計算に厳密であるためには、コアおよびシェルの密度は既知であるか、または各成分の密度の加重平均から少なくとも推定しなければならない。しかしながら、これらの計算の第1の目的は、カプセルの性能挙動を理解し、それにより、新しいカプセル製剤を設計することにできれば役立つであろう便利な概念ツールとしてカプセル壁厚を使用することである。近似値はこの目的のために十分であるとみなされる。このことを考慮して、d
s/d
cの値を1に設定するという簡略化を行って、等式(4)が得られる。
【0086】
【数4】
【0087】
m
c=m
o−m
OSM、m
s=m
o+(f
WSM/OSM))m
OSM−m
c、およびf
WSM/OSM=m
WSM/m
OSM(油溶性モノマーに対する水溶性モノマーの比)の代入を行い(式中、m
oは、油成分(ニトラピリン、溶媒、油溶性モノマー)の総質量であり、m
OSMは、油溶性モノマーの質量であり、m
WSMは、水溶性モノマーの質量である)、m
OSMについて解くことによって、次式が得られる。
【0088】
【数5】
【0089】
m
OSMを決定するために、mWSMの全量を計算に使用する。本研究において、水溶性モノマーを、カプセル懸濁調製物の全てについて油溶性モノマーに対して1:1の当量で使用する。
【0090】
逆に、カプセル壁厚lsは、r
sおよび等式(6)の値に対するVMD粒径を使用して、それぞれのカプセル懸濁調製物について計算される。これらの値は、表IIに含まれる。
【0091】
【数6】
【0092】
例示組成物1、2、3、4および5の有効性試験
Drummerシルト質粘土ローム(sicl)土壌のバルクサンプルを採取し、空気乾燥させ、2mmのふるいを通過できるよう粉砕する。土壌調製後、処理した土壌のおよそ25gをビーカー内に置き、実施例製剤1〜5のそれぞれを使用して、10mgのN((NH
4)
2SO
4として)および0.0、0.25または0.50ppmのニトラピリン(土壌サンプルの重量に対して)を含有する7.5mLの水で処理する。次に、処理した土壌を土壌表面にわたって均一に分布させ、直ちに別の25gの土壌で覆う。各割合について3つの複製、ならびに肥料も阻害剤も添加していない3つの50gの土壌サンプル、およびN−Serve24(Dow AgroSciences)で処理した土壌の3つの複製を用意する。液体が土壌中に吸収されると、肥料/実施例製剤を均一に分布させるために材料を混合する。混合後、土壌が圃場容水量になるように水を添加する。ビーカーは密閉しないが、蒸発を減少させるために覆い、およそ25℃の室温に維持する。各ビーカーから損失した水量を5日間隔で測定し、損失が2.5mLを超える場合は置き換える。
【0093】
インキュベーションを開始して7、14、21、28、35,42、49および56日後に、それぞれ個々のビーカー内に入れた土壌を乾燥、粉砕および混合する。D.L. Sparks (ed.) Methods of soil analysis: Part 3/ SSSA Book Ser.5.SSSA, Madison, WI.におけるMulvaney, R.L. 1996; "Nitrogen-Inorganic Forms", pp. 1123-1184に記載されているように、副サンプルをNH4−Nについて分析する。任意の処理の全ての複製中にNの30%未満がアンモニアとして残留すると、その処理の分析を終了する。複製の平均値を表IIIおよび表IVに示す。
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
マイクロカプセル化製剤を同一の割合のニトラピリンN−Serve24(Dow AgroSciencesから入手可能)製剤と比較する。5週目において、0.5ppmニトラピリンを使用して試験した全ての5つのカプセル化製剤は、N−Serve24よりも性能が優れ、同一の割合でそれらは優れた残留窒素安定化性能をもたらすことを実証する。
【0097】
イオン性安定剤を含む例示組成物6および7
例示組成物6および7の水相はイオン性安定剤を更に含む。これらの組成物では、イオン性安定剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(Geropon SDS、Rhodiaから入手可能)を使用した。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの代わりにまたはそれに加えて、任意の他の適したイオン性安定剤を使用してもよい。
【0098】
例示製剤6および7ならびに尿素硝酸アンモニウム(UAN)(160lb/acre;181.5kg/ヘクタール)と組み合わせたN−Serve24(0.5lb a.i./acre;0.58kg/ヘクタール)の4つの複製、ならびに硝化阻害剤で処理をしていない尿素硝酸アンモニウム(160lb N/acre;181.5kg/ヘクタール)の4つの複製を、植生を除去したDrummer siclサンプルに施用する。
【0099】
実施例製剤の施用後、製剤は直ちに水分が組み込まれる。組み込みが発生すると、処理は本来の降雨および環境影響を受ける。
【0100】
土壌サンプルを各処理から採取し、組み込みの21、28、35、42、49および56日後に、上記で参照したMulvaneyによる報告の通りに、NH
4−Nについて分析する。サンプルは、8週間、0〜3インチ(0〜7.6cm)の深さから採取し、追加のサンプルは最初の処理が組み込まれて7または8週間後に深さ3〜6インチ(7.6〜15.2cm)で採取する。NH
4−N分析のために、施用日にサンプルを0〜3インチ(0〜7.6cm)の深さから採取する。
【0101】
窒素をアンモニア形態に保持する硝化阻害剤の有効性は、アンモニア分子(NH
4)の存在について土壌サンプルを分析することによって測定する。複製の平均値を表Vに示す。
【0102】
【表5】
【0103】
更なる分析では、例示製剤6および7の硝化阻害剤は、それらの製剤の表面安定性と連動する。UAN単独およびUAN+N−Serve処理は、土壌への施用日に水分が組み込まれるが、2つの例示製剤は、組み込み前に1週間土壌表面上に置く。水分の組み込みを待つプロットは、降雨事象の恐れがある場合、水分から保護される。結果を表VIに示す。
【0104】
【表6】
【0105】
ここで表VおよびVIを参照する。例示組成物6および7は共にN−Serve24よりも効果的な硝化阻害剤である。
【0106】
例示組成物8および9の調製および成分
例示組成物のカプセル懸濁液を調製するために使用される成分の重量百分率を表VIIに示す。総バッチサイズは、2.1kg(例示組成物8)または185g(例示組成物9)である。油溶性モノマーPAPI27(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、Dow Chemical)を広口ジャーに添加する。次に、N−ServeTG(Dow AgroSciences、90重量%ニトラピリン)およびAromatic 200(Exxon)をニトラピリン工業用濃縮原液の形態で添加する。得られた均一有機相をKraftsperse 25M、Tergitol 15−S−7、Geropon SDSおよびProxel GXLで構成される水溶液と合わせる。
【0107】
得られた2相混合物を、Silverson製の%インチ(% in.)混合チューブおよび汎用乳化ヘッドを取り付けたL4RT−A高速ミキサーを使用して乳化する。乳化は、最初に水相に位置する混合チューブの末端部で比較的低速(約1000rpm)で混合して、十分に乳化するまで有機相を吸引することによって達成される。次に、速度を別個の増分で増加させ、それぞれの増加後に粒径を測定する。本プロセスは、所望の粒径(2.5ミクロン)が得られるまで続ける。
【0108】
次に、水溶性アミンエチレンジアミン水溶液(実施例8中20wt%、例示組成物9、10および11中30wt%)は滴下添加するが、混合物は減速で撹拌する。水溶性アミンの添加後、ポリ尿素シェル形成反応が更に完了に向けて進むように、得られたカプセル懸濁液を更にしばらくの間撹拌する。カプセル形成後、仕上げ相は、Avicel(5wt%水溶液として)、KELZAN(1.5wt%水溶液として)、Proxel GXLおよび残部の水を表VIIに記載の通りに添加することを含み、Silverson製ミキサーで最終的な均一化を実施した。ニトラピリン、Aromatic 200、PAPI27、およびエチレンジアミンを含む分散相は、49.55wt%(例示製剤8)または55.94wt%(例示製剤9)である。
【0109】
例示組成物10の調製および成分
カプセル懸濁液を調製するための成分の重量百分率を表VIIに示す。総バッチサイズは100キログラムである。N−ServeTG(Dow AgroSciences、90wt%ニトラピリン)およびAromatic 200(Exxon)の均一溶液は、N−ServeTGを溶解しそれを溶媒に添加することにより調製する。この溶液に油溶性モノマーPAPI27を添加し、混合して油相を作製する。水相は、Kraftsperse 25M、Tergitol 15−S−7、Geropon SDS、Proxel GXL、Antifoam 100 INDおよび水を均一溶液中に混合することによって調製する。
【0110】
ローター/ステーター式ホモジナイザーセルを通して、油相および水相を1.25:1.0の比で共に計算して、所望の粒径(2.5ミクロン)のエマルションを作製する。油相がなくなるまで本プロセスを続ける。アミンを添加する前に、バッチを15℃未満に冷却する。30重量%のアミンを撹拌下でバッチ中に添加する。粘性成分を添加する前、反応槽を最低2時間撹拌する。粘性相は、5w/w%のAvicel、1.5w/w%のKelzan S、1%のProxel GXLおよび水からなる。ターゲットアッセイを達成するために、必要に応じて追加の水を添加し、次に最終的に使用するためにバッチを包装する。
【0111】
例示11の調製および成分
例示組成物において、カプセル懸濁液を調製するために使用する成分の重量百分率を表VIIに示す。総バッチサイズは400キログラムである。N−ServeTG(Dow AgroSciences、90重量%ニトラピリン)およびAromatic 200(Exxon)の均一溶液は、N−ServeTGを溶解しそれを溶媒に添加することにより調製する。この溶液に油溶性モノマーPAPI27を添加し、混合して油相を作製する。水相は、Kraftsperse 25M、Tergitol 15−S−7、Geropon SDS、Proxel GXL、Antifoam 100 INDおよび水を均一溶液中に混合することによって調製する。
【0112】
ローター/ステーター式ホモジナイザーセルを通して、油相および水相を1.25:1.0の比で共に計算して、所望の粒径(2.5ミクロン)のエマルションを作製する。油相がなくなるまで本プロセスを続ける。アミンを添加する前に、バッチを15℃未満に冷却する。100L/分の割合でエマルションをポンピングする側流循環流(side stream circulation stream)を使用することによって、30重量%のアミンをバッチに添加する。アミンは10分未満、好ましくは5分未満添加し、カプセル壁を設置する。粘性成分を添加する前、反応槽を最低2時間撹拌する。粘性相は、5w/w%のAvicel、1.5w/w%のKelzan S、1%のProxel GXLおよび水からなる。ターゲットアッセイを達成するために、必要に応じて追加の水を添加し、次に最終的に使用するためにバッチを包装する。
【0113】
【表7】
【0114】
懸濁液中にマイクロカプセルを形成後、懸濁液の水相に芳香族溶媒を添加することによる効果の決定
本開示のマイクロカプセル懸濁製剤の一部(約195gの懸濁製剤)を250mLガラス瓶内に量り取った。様々な芳香族溶媒の特定の量(重量パーセントに基づく)をマイクロカプセル懸濁製剤の入ったガラス瓶に直接添加した。
【0115】
瓶をリニアシェーカーで30〜40分間撹拌して、均一なマイクロカプセル懸濁製剤を調製した。すなわち、後添加した芳香族溶媒がマイクロカプセル懸濁製剤の全体にわたって溶解または分散した。均一製剤が得られたら、サンプル瓶を約0℃または約10℃の冷蔵庫内に置いた。各瓶を様々な時点で採取し、水相中の結晶の存在についてサンプルを試験した。
【0116】
10℃と0℃保存サンプル中の全マイクロカプセル懸濁製剤の重量百分率として結晶形成を決定するために湿式ふるい法を実施した。個々の各マイクロカプセル懸濁製剤サンプルのおよそ20gを、100から200gの間の水道水の入ったガラスビーカーに添加した。ガラス撹拌棒を使用して溶液を撹拌し、次に75μmのメッシュふるいを通して注いだ。ビーカーを追加の水ですすぎ、すすいだ水もふるいを通して注いだ。ふるいのサンプルの上方から水道水をおよそ30秒間注ぎ、フィルターを通して弱い凝集物をすすいだ。スクリーン上に残った残留物を風袋濾紙上ですすぎ、真空濾過した。サンプルが付着したこの濾紙を真空フード中で少なくとも4時間乾燥させ、次に重さを量り直した。残留物の百分率は、以下の等式を使用して計算した:残留物の百分率(%)=(乾燥後の濾紙および残留物の重量(g)−濾紙の重量(g))/(ふるいを通過した全サンプル(g))。マイクロカプセル懸濁製剤から単離されたニトラピリン結晶は、内部標準法を使用したガスクロマトグラフィーによって、化学的同定および純度について分析した。
【0117】
10℃または0℃で2週間および4週間の時間間隔で保存した各サンプルについてプロセスを繰り返し、残留物の重量百分率を以下の表VIII中にリストとして記録した。表VIIIに示すスクリーニング結果は、結晶阻害剤を未添加の対照と比較して、Aromatic 200ND(ナフタレンを除く)は結晶形成を有意に減少させ、10℃および0℃で4週間保存後の結晶化安定性を改善したことを示す。
【0118】
【表8】
【0119】
表VIIIを参照すると、水相中の結晶の欠如によって明示されるように、0℃および10℃で保存して4週間保存後のAromatic 200NDが最良の結果を示した。シクロヘキサノンおよびハルコミドM−8−10は、Aromatic 200NDほどの効果を発揮しなかった。実際に、表VIIIは0℃で4週間保存後、ニトラピリン(重量パーセントに基づく)の結晶量は、懸濁液の水相に追加の溶媒を添加することを含まない対照群と比較して、想定される結晶化阻害剤であるシクロヘキサノンおよびハルコミドM−8−10を使用して調製したサンプルにおいて増加したことを示す。
【0120】
シクロヘキサノンはニトラピリンに対して特に有効である溶媒として公知である(周囲温度(24℃)で約60wt%のニトラピリンを溶解する)ことを考慮すると、これらの結果は驚くべきことである。シクロヘキサノンは、Aromatic 100よりも周囲温度(24℃)でニトラピリンを溶解し、Aromatic 100は周囲温度(24℃)で約51重量パーセントのニトラピリンしか溶解しないことも公知である。
【0121】
更に、ハルコミドM−8−10は、周囲温度で約50重量パーセント、0℃で約40重量パーセント、および−10℃で約35重量パーセントのニトラピリンを溶解することが公知である一方、Aromatic 150は、周囲温度で約43重量パーセント、0℃で約25重量パーセント、および−10℃で約29重量パーセントのニトラピリンしか溶解しない。
【0122】
Aromatic 200NDは、Aromatic 100およびAromatic 150との類似性に基づいて、ニトラピリン結晶を溶解または減少させる限り、他の芳香族溶媒とほぼ同等レベルの効果を発揮する(すなわち、シクロヘキサノンまたはハルコミドM−8−10のいずれかよりも効果を発揮しない)と予想された。表VIIIの指示でまとめた結果のように、Aromatic 200NDは、本実験で試験した他の溶媒よりも予想外に良好な結晶形成阻害剤であると判明した。
【0123】
Aromatic 200がマイクロカプセル懸濁液の水相中におけるニトラピリンの結晶形成を妨げる能力についての試験
Aromatic 200中に44.7%、47.1%および49.1%のニトラピリンを含有する油相を有するマイクロカプセル懸濁製剤を調製した。表9の各製剤中の成分のリストを参照されたい。各製剤由来のサンプルを瓶中に入れ、瓶を冷蔵庫内で保存し、冷蔵庫を約10℃で維持した。各瓶を異なる時間でサンプリングし、湿式ふるい試験を使用して各サンプルの結晶形成の存在について試験した。
【0124】
【表9-1】
【0125】
【表9-2】
【0126】
油相マイクロカプセル中にAromatic 200を添加することにより調製したマイクロカプセル製剤(油相中47.1%ニトラピリンにより調製した製剤と比較して2%のAromatic 200を添加した油相中44.7%ニトラピリン)は、10℃で6週間保存後、ニトラピリン結晶を生成した。油相中47.1%ニトラピリンにより調製したマイクロカプセル製剤と比較して、2.00%Aromatic 200をカプセル化後に添加されたマイクロカプセル製剤は、10℃で12週間保存後、ニトラピリン結晶を形成しないことを示した。
【0127】
水相中に既にニトラピリン結晶の存在を示すマイクロカプセル化ニトラピリン懸濁液へのAromatic 200添加による効果の決定
表IXの列3または列5の成分を反応させることにより形成された製剤と類似する、市販製剤のInstinct(商標)(Dow AgroSciencesから入手可能)と同一でないとしても類似する、水相中ニトラピリンの内包結晶を示したマイクロカプセル懸濁製剤を、約2重量%Aromatic 200を水相に添加することにより処理した。得られた混合物を周囲温度で30分間〜5時間撹拌した。混合後、ニトラピリン結晶は製剤の水相中に存在しなかった。これらの結果は、Aromatic 200のほんの一部をInstinct(商標)などのマイクロカプセル化ニトラピリン懸濁液の水相に添加することにより、水相中におけるニトラピリン結晶の形成を妨げることができ、更にこのような懸濁液の水相中に存在する事前に形成したニトラピリン結晶を大幅に減少またはさらには除去するために使用することも可能であることを示した。
【0128】
新規の技術が、図面および前述の説明で例示され、詳細に説明されたが、新規の技術は、例示的であり、特徴を限定するものではないとみなされるべきであり、好ましい実施形態のみが示され、記載されたこと、ならびに新規の技術の精神の範囲内の全ての変更および修正は、保護されることが望まれることは理解されるであろう。同様に、新規の技術が、具体例、理論的な要旨、説明、および例証を使用して例示されたが、これらの例証および付随する考察は、決して技術を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願において参照された全ての特許、特許出願、および本文、科学書、刊行物などの参照は、それら全体が参照として本明細書に組み込まれる。