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特許6572261人体形状の2次元画像を利用した衣服パターン工学
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572261
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】人体形状の2次元画像を利用した衣服パターン工学
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20190826BHJP
   A41H 1/02 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G06F17/50 680H
   G06F17/50 634A
   A41H1/02 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-105755(P2017-105755)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-28898(P2018-28898A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】15/169,544
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517189124
【氏名又は名称】レゾナンス カンパニーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーゼフ フェッラーラ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス レニハン
【審査官】 田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−121134(JP,A)
【文献】 特開2005−187952(JP,A)
【文献】 特開2001−249957(JP,A)
【文献】 特開平9−273017(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0106475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
A41H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体形状の異なる複数の2次元スライス画像を取得して、コンピュータのメモリに入れることと、
前記コンピュータのプロセッサが、衣服のパターンの一部のパネルを選択することと、
前記コンピュータの前記プロセッサが、前記複数の2次元スライス画像のうちの1枚の計測値を取得することと、
前記コンピュータの前記プロセッサが、前記取得された計測値を前記選択されたパネルに対応づけすることと、
前記コンピュータの前記プロセッサが、前記計測値と前記選択されたパネル両方に適したメトリック(計量)計算規則を検索することと、
前記コンピュータの前記プロセッサが、前記取得された計測値を使用して前記検索されたメトリック(計量)計算規則を適用し、前記選択されたパネルの寸法を生成することと、
前記生成された寸法を有する前記選択されたパネルを印刷可能な形式のパネルにすることと
を含むパターン製作の方法。
【請求項2】
前記パネルは前記衣服のサドルの部分を形成すること
を特徴とする請求項1に記載のパターン製作の方法。
【請求項3】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の曲がりの角度であって、前記曲がりの角度は前記外周部の接線と前記2次元スライス画像の基準軸との間の角度であることを特徴とする請求項1に記載のパターン製作の方法。
【請求項4】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の長さであること
を特徴とする請求項1に記載のパターン製作の方法。
【請求項5】
前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の前記曲がりの角度の変化をモニタし、前記曲がりの角度の変化率に対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚を選択することと、
前記選択されたパネル用の別のメトリック(計量)計算規則を、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚に対応づけすることと、
前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の計測値を取得することと、
前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の前記取得され計測値を使用して前記対応づけされた別のメトリック(計量)計算規則を適用し、前記選択されたパネルの別の寸法を生成することと
をさらに含む請求項3に記載のパターン製作の方法。
【請求項6】
メモリと少なくとも1つのプロセッサを備える1または複数のコンピュータを備えるホスト計算システムと、
前記ホスト計算システムに連結され、人体形状の異なる複数の2次元スライス画像を記憶するデータストアと、
前記ホスト計算システムの前記メモリ内で実行されるパターン生成モジュールであって、前記パターン生成モジュールはプログラムコードを含み、前記プログラムコードが実行されると、前記プログラムコードは、衣服のパターンの一部のパネルを選択し、前記複数の2次元スライス画像のうちの1枚の計測値を取得し、前記取得された計測値を前記選択されたパネルに対応づけし、前記計測値と前記選択されたパネル両方に適したメトリック計算規則を検索し、前記取得された計測値を使用して前記検索されたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記選択されたパネルの寸法を生成し、前記生成された寸法を有する前記選択されたパネルを印刷可能な形式のパネルにすることができる
パターン製作用に構成されたデータ処理装置。
【請求項7】
前記パネルは、前記衣服のサドルの部分を形成すること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の曲がりの角度であって、前記曲がりの角度は前記外周部の接線と前記2次元スライス画像の基準軸との間の角度であること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の長さであること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記プログラムコードは実行されると、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の前記曲がりの角度の変化をモニタし、前記曲がりの角度の変化率に対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚を選択し、前記選択されたパネル用の別のメトリック(計量)計算規則を前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚に対応づけし、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の計測値を取得し、前記複数の2次元スライス画像の前記別の1枚の前記取得された計測値を使用して前記対応づけされた別のメトリック(計量)計算規則を適用して、前記選択されたパネルの別の寸法を生成することがさらにできること
を特徴とする請求項8に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
パターン製作用のコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラム装置によって実行可能で、前記装置に
人体形状の異なる複数の2次元スライス画像を取得することと、
衣服のパターンの一部のパネルを選択することと、
前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の計測値を取得することと、
前記取得された計測値を前記選択されたパネルに対応づけすることと、
前記計測値と前記選択されたパネル両方に適したメトリック(計量)計算規則を検索することと、
前記取得された計測値を使用して前記検索されたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記選択されたパネルの寸法を生成することと、
前記生成された寸法を有する前記選択されたパネルを印刷可能な形式のパネルにすること を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記パネルは前記衣服のサドルの部分を形成すること
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の曲がりの角度であって、前記曲がりの角度は前記外周部の接線と前記2次元スライス画像の基準軸との間の角度であること
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記取得された計測値は、前記2次元スライス画像の外周部の長さであること
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記方法は、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の前記曲がりの角度の変化をモニタし、前記曲がりの角度の変化率に対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚を選択し、前記選択されたパネル用の別のメトリック(計量)計算規則を前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚に対応づけし、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の計測値を取得し、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の前記取得された計測値を使用して前記対応づけされた別のメトリック(計量)計算規則を適用して、前記選択されたパネルの別の寸法を生成することをさらに含むこと
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援による衣服開発に関し、より詳細には、衣服開発におけるパターンドラフティング(平面製図)に関する。
【背景技術】
【0002】
縫製および服飾設計において、パターンとは型紙のことであり、前記型紙を生地に置いて、前記型紙の周縁を生地上でなぞり、生地のなぞられた部分を切断し、生地の切断部分を組み合わせて衣服にすることによって、衣服の複数の部分が作られる。パターンは通常、紙で形成され、繰り返しの使用に耐えるように、板紙や厚紙等のより剛性の高い材料で形成されることもある。パターンを製作または切断するプロセスは、「パターンメーキング(patternmaking)」として知られ、パターンを起こす2つの方法のうちの一方を通常用いるパタンナーによって、従来行われてきた。1つ目の方法は、平面作図法として知られ、定規、カーブ定規、直定規を用いて複数の計測値からパターン全体を平面に製図する方法である。2つ目の方法は、ドレーピング(立体裁断法)として知られ、生地を直接、人体形状にピン止めすることによって、モスリンの原寸模型のパターンを起こし、続いてモスリンの輪郭線およびマーキングを紙のパターン上に転写、またはモスリンをパターンそのものとして用いる。
【0003】
計算機の登場により、パターン製作は一新した。今日では、パタンナーが、計算によりパターンが生成される元となる種々の計測値を、データ処理装置内でデータ入力として種々のコンピュータアプリケーションに与えることが可能となることによって、パターンを起こす作業が容易になっている。パターン製作を対象とするほとんどのコンピュータ支援設計(CAD)アプリケーションによって、さらに、パタンナーがとりわけ個人の計測値にフィットさせることが可能となり、以前は裁縫室でよく見られた仮縫いのトライアンドエラーの多くがなくなった。実際のところ、計算機の計算能力により、衣服の設計方法が大幅に容易になることで、大量生産の衣料品だけでなく、「注文仕立て(bespoke)」品として知られる顧客の個別の特別注文の衣服の製作もより容易に支援されるようになった。とりわけ、コンピュータ支援製造(CAM)の技術を利用することで、CADアプリケーションによって、織り機または縫製機を直接的に駆動させ複数のパネルを組み立てることができるのと同様に、機械的またはレーザー切断装置を直接駆動させ、正確に生地を切断し縫製される複数のパネルを生成することができる。
【0004】
コンピュータによるパターン製作という背景の中で、コンピュータにより自動化されたパターン生成の近年の進歩は、3次元画像処理におけるコンセプトとして表現されている。具体的には、今日、3次元ボディスキャニングを利用して、個人の複数の計測値を取得することが知られている。通常、3次元ボディスキャニングは、スキャンされた人体形状をコンピュータ上で表示するために、レーザーイメージングを利用して行われる。スキャンされた人体形状を利用すると、衣服の表面が、コンピュータ表示内に映し出された人体形状の複数の寸法に関して画定される。いったん衣服の表面が画定されると、従来の大判プリンターを使用して紙媒体に印刷するための2次元パターンを生成することが、計算マッピングの課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、3次元ボディスキャニングは人体形状の表面に関して正確な外周計測値のような特定の細部の情報を欠いていることに留意すべきである。同様に、3次元ボディスキャニングでは、人体形状の外周の曲がりに関する角度変化を容易に明らかにすることができない。それゆえ、3次元ボディスキャニングから生成されるパターンは、最適寸法の衣服を製造するのに望ましいとされる精度を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の種々の実施形態は、コンピュータ支援による衣服製作に関する従来技術の欠陥に対処し、衣服開発におけるコンピュータ支援によるパターン製図のための新規で進歩性のある方法、装置およびコンピュータプログラム製品を提供するものである。本発明の一つの実施形態において、パターン製作の方法は、データストアに記憶された人体形状の異なる複数の2次元スライス画像を最初に取得する。その後、データ処理装置での処理のために衣服のパターンの一部のパネルが選択され、前記選択されたパネル用のメトリック(計量)計算規則が、前記複数の2次元スライス画像のうちの1枚に対応づけされる。次に、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の計測値が取得され、前記取得された計測値を用いて、前記対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用することで、前記選択されたパネルの寸法が生成される。
【0007】
本実施形態の一態様では、前記パネルは衣服のサドルまたは股の部分を形成する。他の種々の実施形態では、前記パネルは、衣服のパンツの脚、袖、襟、袖ぐり、袖口、ひじ、大腿または臀の部分を形成する。本実施形態の別の態様では、前記取得された計測値は前記2次元スライス画像の外周部の曲がりの角度である(この曲がり角度は、外周部の接線と前記2次元スライス画像の基準軸との間の角度である)。本実施形態のさらに別の態様では、前記取得された計測値は前記2次元スライス画像の外周部の長さである。本実施形態のさらにまた別の態様では、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の前記曲がりの角度の変化をモニタし、前記曲がりの角度の変化率に対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用して、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚が選択され、前記選択されたパネルに対する別のメトリック(計量)計算規則が、前記複数の2次元スライス画像のうちの別の1枚に対応づけされ、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の計測値が取得され、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記別の1枚の前記取得された計測値を使用して、前記対応づけされた別のメトリック(計量)計算規則を適用することで、前記選択されたパネルに対する別の寸法が生成される。
【0008】
本発明の別の実施形態では、データ処理装置がパターン製作のために構成される。前記データ処理装置はホスト計算システムを含み、前記ホスト計算システムは1または複数のコンピュータを有し、各コンピュータはメモリと少なくとも1つのプロセッサを備える。前記データ処理装置はまた、データストアを含み、前記データストアは前記ホスト計算システムに連結され、断層画像によって直接的に、3次元画像を変換することによって間接的に、あるいは人体形状の特定の計測基準の規格を用いて完全に計算的に、のいずれかによって取得された人体形状の前記複数の2次元スライス画像を記憶する。最後に、前記データ処理装置は前記ホスト計算システムの前記メモリ内で実行されるパターン生成モジュールを有する。前記パターン生成モジュールはプログラムコード有し、前記プログラムコードは実行されると、衣服のパターンの一部のパネルを選択し、複数の2次元スライス画像のうちの1枚に前記選択されたパネルのメトリック(計量)計算規則を対応づけし、前記複数の2次元スライス画像のうちの前記1枚の計測値を取得し、前記取得された計測値を用いて前記対応づけされたメトリック(計量)計算規則を適用することができ、前記選択されたパネルの寸法が生成される。
【0009】
本発明の他の種々の態様が、以下の説明において部分的に記載され、その記載から部分的に明らかとなる、あるいは本発明の実施によって習得されても良い。添付のクレームで特に示された構成要素および組み合わせを用いることで、本発明の種々の態様が実現および達成される。以上の概要および以下の詳細な説明はいずれも、例示的および説明的に過ぎず、クレームされている通りであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の種々の実施形態を示し、明細書とともに、本発明の原理を説明する助けとなる。本明細書で示した種々の実施形態は、現在のところ望ましいが、本発明は図示されたとおりの配置や手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【0011】
図1図1は、複数の2次元スライス画像からパターンを生成するプロセスを絵で示すものである。
図2図2は、1枚の2次元断層スライス画像を衣服のパターンに対応づけするプロセスを絵で示すものである。
図3図3は、複数の2次元スライス画像からパターンを生成するために構成された衣服製造データ処理装置の模式図である。
図4図4は、複数の2次元スライス画像からパターンを生成するプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の種々の実施形態は、複数の2次元スライス画像からパターンを生成する方法を提供する。本発明の1つの実施形態によると、人体形状の複数の2次元(2D)スライス画像の1セットがデータストアから検索される。その後、前記複数の2次元スライス画像のうちの1枚が処理のために選択され、1または複数の計測値が前記選択された2次元スライス画像から取得される。前記1または複数の計測値とは、前記選択された2次元スライス画像の外周の長さ、前記選択された2次元スライス画像の外周の曲がりの角度(外周の接線と前記2次元スライス画像の基準軸との間の角度)、または前記選択された2次元スライス画像の外周の一部から前記外周の隣接部までの曲がりの角度の変化などである。衣服のパターンに対する対応するパネルの1または複数の寸法を決定するために、次に1または複数の規則が前記複数の計測値に適用される。以降、他の複数の2次元スライス画像または前記パターンの他の複数のパネルに対して前記プロセスを繰り返すことができる。かくして、前記パターンの前記対応する複数のパネルの寸法が、前記選択された複数の2次元スライス画像によって部分的に示される人体形状に対して、適正化される。
【0013】
さらに説明すると、図1は複数の2次元スライス画像からパターンを生成するプロセスを絵で示すものである。図1に示すように、人体形状110が磁気共鳴画像法(MRI)スキャニング装置、コンピュータ支援断層撮影(CT)スキャニング装置等の、例えば、2次元断層画像装置などの画像装置120によって画像される。画像装置120による断層撮像の結果、複数の2次元スライス画像130の1セットが得られる。または、人体形状110が3次元画像装置によって撮像され、得られた3次元画像が計算的に処理され、複数の2次元スライス画像130の1セットが生成される。いずれの場合においても、次にパターン製作論理回路170が、1または複数の2次元スライス画像130を分析することで、1または複数の計測値が生成される。前記1または複数の計測値とは、2次元スライス画像130の外周部の一部の長さ、2次元スライス画像130の外周部の曲がりの角度、または2次元スライス画像130の外周部の曲がりの変化に対応する角度の変化などである。
【0014】
次に、パターン製作論理回路170は、衣服160を画定する1または複数のパネル160A、160B、160C、160Nの複数のパネル寸法150を生成するために、パネル160A、160B、160C、160Nに対する複数の2次元スライス画像130のうちの対応する1枚の複数の計測値の各セットに、1または複数の規則140を適用する。その際、パネル160A、160B、160C、160Nはそれぞれ、衣服160のサドルまたは股の部分を形成することができる、またはパネル160A、160B、160C、160Nはそれぞれ、衣服160のパンツの脚、袖、襟、袖ぐり、袖口、ひじ、大腿もしくは臀の部分を形成することができる。規則140により、対応するパネル160A、160B、160C、160Nの異なる複数の寸法が具体的に決定される。例えば、図2に示すように、2次元画像210の外周220の長さΛ、外周220の曲がりの角度Θ、曲がりの角度Θと外周220の隣接部の曲がりの角度Φとの差、または外周220に沿った角度ΘとΦの変化率の何れをも、複数の規則を用いて、パネル200の1または複数の寸法200A、200B、200C、200Dに対応づけすることができる。
【0015】
かくして、図1に戻り、いったん複数のパネル寸法150が規則140に基づいて決定されると、パターン製作論理回路170は、人体形状120またはその一部分を覆う衣服160の適正なパターンになるように適用されたそれぞれのパネル寸法150を使って、印刷可能な形式の対応するパネル160A、160B、160C、160Nで生成する。図1に示されるプロセスが、衣服製造データ処理装置で実行できることが重要である。さらなる説明において、図3は複数の2次元スライス画像からパターン生成のために構成される衣服製造データ処理装置を模式的に示すものである。
【0016】
図3に示す装置は、ホスト計算システム310を含む。ホスト計算システム310は、1または複数のコンピュータを含み、それぞれのコンピュータはメモリと少なくとも1つのプロセッサ(説明の簡略のために単一のコンピュータのみ示している)を有する。ホスト計算システム310は、3次元レーザースキャナ、または2次元断層画像MRIスキャナもしくはCTスキャナ等の画像取得装置320に連結されている。画像処理プログラム330は、画像取得装置320およびホスト計算システム310と接続された状態で、ホスト計算システム310に連結された2次元画像データストア340中の種々の2次元画像スライスを生成し記憶するために実行される。その際、2次元断層画像装置が使用される限りにおいて、得られた複数の2次元スライス画像は2次元画像データストア340に直接、記憶される。それ以外の場合、つまり3次元画像装置が使用される限りにおいて、得られた3次元画像がホスト計算システム310によって計算的に処理され、複数の2次元スライス画像が得られ、その後、前記得られた複数の2次元スライス画像が2次元画像データストア340に記憶される。
【0017】
パターン生成モジュール400は、ホスト計算システム310のメモリ内で実行される。パターン生成モジュール400は、プログラムコードを含み、前記プログラムコードが、ホスト計算システム310のプロセッサによってホスト計算システム310のメモリで実行されると、前記プログラムコードは、2次元画像データストア340から別の複数の2次元スライス画像を選択し、選択された2次元スライス画像それぞれに対し、1または複数の対応するパネルの1または複数の寸法を計算するよう、規則テーブル360の中の1または複数の規則を、選択された2次元スライス画像それぞれの複数の計測値に適用し、そして前記複数のパネルを有する生成されたパターンをパターン・データストア350に記憶することができる。なお、パターン生成モジュール400の前記プログラムコードが、対応する2次元スライス画像の外周の一部分の長さの関数、対応する2次元スライス画像の外周の一部分の曲がりの角度の関数、または対応する2次元スライス画像の外周の一部分の曲がりの角度の変化の関数として、パターンのパネルの寸法を計算できるようにしてもよい。
【0018】
パターン生成モジュールの400の作動に関してさらに説明すると、図4は複数の2次元スライス画像からパターンを生成するプロセスを示すフローチャートである。ブロック410から始まり、パンツ、シャツ、またはジャケット等の衣服のタイプが指定されて、たった数個の例が示される。ブロック420では、1または複数のパネルから成るパターンが前記指定された衣服のタイプに基づいて選択される。ブロック430では、データストアに配置された複数の2次元スライス画像が処理のために検索され、ブロック450で、複数の2次元スライス画像のうちの最初の1枚が処理のために選択される。
【0019】
その後、ブロック450で、選択された2次元スライス画像に対して第一の計測値がコンピュータ処理され、ブロック460で、前記計測値は前記パターンの特定のパネルに対応づけされる。ブロック470で、前記特定のパネルの寸法に関する前記特定の計測値を処理するための規則が検索され、ブロック480で、前記特定のパネルの寸法を計算するために、前記検索された規則が前記計測値に適用される。最後に、判定ブロック490において、前記選択された2次元スライス画像の他の計測値がコンピュータ処理されずに残っている場合、前記選択された2次元スライス画像の別の1つの計測値がコンピュータ処理されて前記プロセスがブロック450で繰り返される。
【0020】
判定ブロック490において、前記選択された2次元スライス画像についてコンピュータ処理されないで残っている計測値がそれ以上ない場合、判定ブロック500において、他の2次元スライス画像が処理されないで残っているか否かが判定される。処理すべき他の2次元スライス画像が残っている場合、ブロック510で次の2次元スライス画像が1枚、処理のために選択され、前記新たに選択された2次元スライス画像の新たな計測値がコンピュータ処理されてブロック450で前記プロセスが繰り返される。しかしながら、判定ブロック500で、処理すべき他の2次元スライス画像が残っていないと判定されると、ブロック520で、確定された複数の寸法を有する複数のパネルの前記パターンがパターン・データストアに記憶され、前記プロセスが終了する。
【0021】
本発明は、装置、方法、コンピュータプログラム製品、またはそれらの任意の組み合わせにおいて具現化することができる。前記コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の複数の態様を実行させるための複数のコンピュータ読取可能プログラム命令を有する1つ又は複数のコンピュータ読取可能記憶媒体を含むことができる。前記コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実行装置によって使用される複数の命令を保持し記憶することが可能な有形の装置とすることができる。しかしながら、前記コンピュータ読取可能記憶媒体は、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置または前記の装置の任意の適切な組み合わせとすることができるが、場合によってはそれらに限定されない。
【0022】
本明細書に記載の複数のコンピュータ読取可能プログラム命令は、コンピュータ読取可能記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置に、またはネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部の記憶装置にダウンロードすることができる。前記複数のコンピュータ読取可能プログラム命令はユーザのコンピュータ上で完全に実行してもよいし、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行してもよい。あるいは、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で部分的に、遠隔コンピュータ上で部分的に、または遠隔コンピュータもしくはサーバ上で完全に実行してもよい。本発明の種々の態様が、本発明の種々の実施形態に係る方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図のそれぞれのブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図中のブロックの組み合わせが、コンピュータ読取可能プログラム命令によって実行され得ることが理解されよう。
【0023】
これらのコンピュータ読取可能プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてコンピュータ機器となる。その結果、コンピュータのプロセッサまたは他のプログラム可能データ処理装置を介して実行される複数の命令によって、フローチャートおよび/もしくはブロック図、または複数のブロック中に記載された複数の機能/作用を実行するための手段が作られる。これらのコンピュータ読取可能プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、および/または他の複数の装置に対し、特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ読取可能記憶媒体に記憶することができる。その結果、命令が記憶されている前記コンピュータ読取可能記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図、または複数のブロック中に記載された機能/作用の種々の態様を実行する複数の命令を有する製品を含む。
【0024】
前記コンピュータ読取可能プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置または他の装置にロードされることで、一連の操作手順が前記コンピュータ、他のプログラム可能装置または他の装置で行われて、コンピュータにより実行されるプロセスが生じる。その結果、コンピュータ、他のプログラム可能装置または他の装置で実行される複数の命令によって、フローチャートおよび/またはブロック図または複数のブロック中に記載された複数の機能/作用が実行される。
【0025】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の種々の実施形態に係る装置、方法およびコンピュータプログラム製品について考えられる実施形態における構造、機能および操作を示すものである。ここで、フローチャートまたはブロック図中のそれぞれのブロックは、モジュール、セグメントまたは複数の命令の一部を示し、それらは特定の論理関数を実行する1または複数の実行可能な命令を含む。いくつかの代替実施形態においては、ブロック中に記された機能が、図に記された順番通りに生じなくてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際は、ほぼ同時に実行してもよいし、または関連する機能によっては、前記2つのブロックが時には逆順で実行されてもよい。ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート中のブロックの組み合わせは、特定の機能もしくは作用を実行、または専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用のハードウェアベースの装置によって実行され得ることを留意されたい。
【0026】
最後に、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上、単数形に限定することが明確に示されていない限り、複数形も含むものとする。用語「comprises」および/または 「comprising」は、本明細書で使用される場合、記載されている特徴、整数、手順、操作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、1または複数の他の特徴、整数、手順、操作、要素、構成要素および/またはそれらの集合の存在または追加を排除しないことが、さらに理解されよう。
【0027】
下記のクレーム中のすべての手段またはステップに機能を書き加えたクレーム要素の対応する構造、材料、作用および同等物は、特定してクレームされた他のクレーム要素と組み合わせて前記機能を実行するための任意の構造、材料または作用を含むものとする。本発明の明細書は、図解および説明のために提示されたが、網羅することを意図するものではなく、また開示された形態の発明に限定されない。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者に明らかとなろう。本発明の原理および実際の応用を最も良く説明するために、また、他の当業者が本発明を理解することができるように、特定の用途に適するように様々な変更が施された種々の実施形態の代わりに、本実施形態を選択して説明した。
【0028】
このように本願の発明について詳細に、かつ本発明の種々の実施形態を参照して説明がされたので、以下の添付のクレームに規定された本発明の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることが明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4