【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、糖アルコールを配合すると、良好な服用感(味、匂い、風味)が得られることが判明したが、アズレンスルホン酸Naの安定性を著しく損なう結果となった。そこで、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する水性製剤において、アズレンスルホン酸ナトリウムに、糖アルコールを含有し、アルコールおよび第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を配合することにより、十分な安定性(アズレンスルホン酸ナトリウムとして、配合量に対して95%以上)を保証でき、かつ、服用感が良好なアズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記記載の発明を提供することにより、上記課題を解決したものである。
[1]
0.02〜0.5%アズレンスルホン酸ナトリウム、および20〜40%のマルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールおよびラクチトールから選ばれる少なくとも1種類の糖アルコールを含有する水性製剤。
[2]さらに、10〜19%のエタノールおよび10〜19%のグリセリンから選ばれるすくなくとも1種のアルコールを含有する、[1]に記載の水性製剤。
[3]
さらに、0.05〜0.5%の塩化セチルピリジニウムを含有する、[1]に記載の水性製剤。
[4]
含水量が、15〜65%である、[1]に記載の水性製剤。
[5]
pHが、6〜9である、[1]に記載の水性製剤。
[6]
さらに、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムから選ばれるすくなくとも1種のpH調製剤を含有する、[1]に記載の水性製剤。
[7]
6〜9のpHを有する水性製剤であって、
(a)該組成物の全重量に基づき、0.02〜0.5%のアズレンスルホン酸ナトリウム
(b)20〜40%のマルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ラクチトールから選ばれる少なくとも1種類の糖アルコール、
(c)15〜65%の水、
(d)10〜19%のエタノールおよび10〜19%のグリセリンから選ばれるすくなくとも1種のアルコール
(e)0.05〜0.5%の塩化セチルピリジニウムを含有する水性製剤。
[8]
スプレーの形態である、[1]〜[7]のいずれかに記載の水性製剤。
[9]
口腔用剤形態である、[1]〜[7]のいずれかに記載の水性製剤。
[10]
のど炎症を治療するか、予防するか又は改善するのに適している、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性製剤。
[11]
のどの炎症によるのどあれ、のどの痛み、のどのはれ、のどの不快感および声がれ、または口内炎を治療するか、予防するか又は改善するのに適している、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性製剤。
[12]
アズレンスルホン酸ナトリウムおよび、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ラクチトールから選ばれる少なくとも1種類の糖アルコールを均質な物理的混合物にすることを含んでなる、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性製剤を製造する方法。
[13]
のど炎症を治療するための医薬品の製造における、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性製剤の使用。
【0008】
本発明に用いる「%」は、すべて、w/v%である。
本発明に用いる「アズレンスルホン酸ナトリウム」は、消化器、口腔咽喉、耳鼻科、眼科などの領域における炎症性疾患の予防及び治療剤として、知られている
アズレンスルホン酸ナトリウムは公知物質であり、市場において容易に入手することができる。
アズレンスルホン酸ナトリウムの配合量は、液剤の全容量に対して、0.02w/v%以上〜0.5w/v%未満、好ましくは 0.02w/v%以上〜0.4 w/v%以下、特に好ましくは 0.02w/v%以上〜 0.1w/v%以下である。
尚、配合量の単位「w/v%」とは、質量対容量百分率(液剤(100mL)中の成分含量(g))をいう(以下、他の成分についても同様)。
【0009】
本発明のアズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤は、糖アルコールを含有する。
服用感が良好で長期服用可能なアズレンスルホン酸ナトリウムを提供するために、味がよく、匂いがなく、吐出するために粘性が少ない添加剤をアズレンスルホン酸ナトリウムに配合することができる。該添加物としては、糖アルコールが用いられる。
該糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール等が挙げられ、マルチトールが好ましい。また、マルチトールの代わりに、マルチトール液(マルチトールとして75〜80%を含有する)を用いてもよい。
アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する水性製剤を糖アルコールにより配合することにより、アズレンスルホン酸ナトリウムの服用感がよくなる。
該糖アルコールの含有量は、液剤の全容量に対して、20w/v%以上〜40w/v%未満、好ましくは25w/v%以上〜40w/v%以下、特に好ましくは 25w/v%以上〜35w/v%以下である。
【0010】
本発明のアズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤は、第4級アンモニウム塩を含有することができる。
第4級アンモニウム塩、例えば塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。これらから選ばれる1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて配合することができる。好ましくは塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
該第4級アンモニウム塩の含有量は、液剤の全容量に対して、0.05w/v%以上〜0.5w/v%未満、好ましくは0.05w/v%以上〜0.3w/v%以下、特に好ましくは 0.1w/v%以上〜0.3w/v%以下である。
アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する水性製剤を第4級アンモニウム塩により配合することにより、アズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤の安定性を改善できる。
【0011】
本発明のアズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤は、1価アルコールおよび多価アルコールのようなアルコールを含有することができる。
該1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられ、これらから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に、エタノールが好適である。
該多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上が好適である。グリセリンが好ましい。
該アルコールの含有量は、液剤の全容量に対して、40w/v%未満である。
【0012】
本発明のアズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤は、pH調製剤を含有することができる。
pH調製剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性製剤のp Hは、約6〜9程度、好ましくは約7.0〜8.5程度、特に 好ましくは約7.0〜8.0程度に調整される。
【0013】
本発明のアズレンスルホン酸ナトリウムの水性製剤の含水量が、15〜65%であり、好ましくは15〜45%である。
【0014】
本発明の水性製剤においては、本発明の目的に反しない限り、通常の医薬製剤に配合される矯味剤、緩衝剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤等を配合することができる。
【0015】
矯味剤は薬効成分特有の味を緩和する作用を有し、例えば、エリスリトールとL−メントールは矯味剤として作用する。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
また、本発明に用いられる水性製剤の保存剤としてパラベン類を使うことも可能である。
安定化剤としては、例えば、界面活性剤(例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、ラウロマクロゴール、マクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム等)、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸又はその塩等が挙げられる。
【0016】
本発明の水性製剤は、自体公知の調製法、例えば、第 1 4改正日本薬局方及び製剤総則の液剤に記載された方法で製造することができる。例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ラクチトールから選ばれる少なくとも1種類の糖アルコール並びにその他の添加物を均質な物理的混合することにより、本発明の水性製剤を調製することができる。
本発明の水性製剤は、温血動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、 ゥシ、ブ夕、ィヌ、ネコなど)に使用することができる。
【0017】
本発明の水性製剤は、上記した成分を例えば蒸留水、滅菌精製水に溶解させることにより容易に製造される。例えば、口腔用剤として使用する場合は、口腔の炎症性疾患、具体的には例えば、のどの炎症によるのどあれ、のどの痛み、のどのはれ、のどの不快感および声がれ、または口内炎等に用いることができる。その投与量は、例えば アズレンスルホン酸ナトリウム含有する本発明の水性製剤を成人に使用する場合は、1日数回適量を患部に噴射塗布すればよい。なお、適応症状の程度などにより、適宜投与回数を増減する。