(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572280
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】害虫駆除装置用構造物
(51)【国際特許分類】
A01M 13/00 20060101AFI20190826BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
A01M13/00
A01M1/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-188502(P2017-188502)
(22)【出願日】2017年9月28日
(62)【分割の表示】特願2014-19977(P2014-19977)の分割
【原出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2017-221227(P2017-221227A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】309035062
【氏名又は名称】日立エーアイシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 吉栄
(72)【発明者】
【氏名】武貞 道夫
(72)【発明者】
【氏名】梅田 旬宏
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第02867411(FR,A1)
【文献】
特開2003−304789(JP,A)
【文献】
特開2004−201505(JP,A)
【文献】
実開昭54−123378(JP,U)
【文献】
実開昭55−113082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組み部材を結合して組み立てた骨組み構造物と、前記骨組み構造物を囲むように覆う袋体とを有し、
前記袋体に駆除用ガスを導入するガス導入部を有し、
前記袋体の内部空間は、前記駆除用ガスを気密に保持する気密空間となっており、前記袋体が一体又は別体の底面部分を含むことにより前記骨組み構造物の全体が前記袋体の前記内部空間に位置している害虫駆除装置用構造物。
【請求項2】
前記駆除用ガスは、炭酸ガスであり、
前記袋体の前記気密空間は、前記駆除用ガスの濃度を35%以上に保持する請求項1記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項3】
前記骨組み構造物は、前記骨組み部材で囲まれた空間部分を有する一方、前記空間部分を高さ方向に区切る骨組み部材を有しない請求項1又は2記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項4】
前記骨組み構造物は、側面の少なくとも一部の底部において、水平方向又は前記側面の面内方向に延びる骨組み部材を有しない請求項1〜3のいずれか一項記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項5】
前記骨組み構造物は、頂部において枠体を形成する骨組み部材と、前記枠体から鉛直方向に垂下して脚体を形成する骨組み部材とによって構成されている請求項1〜4のいずれか一項記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項6】
前記骨組み構造物は、骨組み部材と、それらを結合するジョイント部品とを有する請求項1〜5のいずれか一項記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項7】
前記骨組み構造物の上面部分とその上面部分の前記袋体の中央部分が周辺部分より盛り上がっている請求項1〜6のいずれか一項記載の害虫駆除装置用構造物。
【請求項8】
前記骨組み構造物は、複数の柱を有し、
前記複数の柱に近接する前記袋体は、固定用治具により前記柱にそれぞれ固定されている請求項1〜7のいずれか一項記載の害虫駆除装置用構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫駆除装置に関するもので、特に駆除用ガスを使用して、作物に対して薬剤を使用しないで害虫の駆除ができる害虫駆除装置に関するものある。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培している作物に付着している害虫の駆除は、薬剤を作物に散布して行っていた。
【0003】
しかしながら、薬剤による散布は、害虫に薬剤耐性をもたらし、年々劇薬化しやすく、薬剤を散布する生産者にとって有害であり、また薬剤が作物に残留しやすいので消費者にとても有害となる。
そのため、作物に対して薬剤を使用しないで害虫の駆除をする方法として、特許文献1では、炭酸ガスを使用して、害虫を駆除する方法が記載されていて、具体的には、地面に植わっている作物の上面をビニールシート等のような被覆体で覆い、内部に炭酸ガス等の駆除用ガスを導入し、内部の空気を被覆体に設けた排気口から逃がして炭酸ガスの濃度を調節して害虫を駆除する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−4880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作物の上面をビニールシート等のような被覆体で覆い、内部に炭酸ガス等の駆除用ガスを導入する方法では、大量に処理するには不向きである。作物が苗のような場合には特に不向きとなる。この点を改善させるために、大きな袋状のものを用意すると、こんどは、風、雨などの影響も受け、袋状のものの形状が安定せず、内部圧力を一定にするために排気口から内部ガスがぬけると、炭酸ガス等のガスの濃度も不安定となりやすい。
【0006】
本発明は、駆除用ガスを使用して作物に付着している害虫の駆除ができる害虫駆除装置において、上記の課題を解決させるためになされたもので、風、雨などの影響も受けず、袋状のものの形状を安定させて、炭酸ガス等の駆除用ガスの濃度も安定させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記の害虫駆除装置を提供するものである。
(1) 骨組み部材を結合して組み立てた骨組み構造物と、その骨組み構造物を囲むように覆う袋体と、その袋体内に導入される駆除用ガスとを有する害虫駆除装置。
(2) 前記骨組み構造物は、骨組み部材と、それらを結合するジョイント部品とを有することを特徴とした(1)の害虫駆除装置。
(3)前記骨組み構造物の上面部分とその上面部分の前記袋体の中央部分が周辺部分より盛り上がっていることを特徴とした(1)または(2)の害虫駆除装置。
(4)前記骨組み構造物が複数の柱を有していて、その柱の近接する前記袋体が固定用治具によりそれぞれ固定されていることを特徴とした(1)、(2)または(3)の害虫駆除装置。
【発明の効果】
【0008】
駆除用ガスを使用して作物に付着している害虫の駆除ができる害虫駆除装置を得る場合において、上記の課題を解決するためになされたもので、風、雨などの影響も受けず、袋状のものの形状を安定させて、内部圧力を安定させ、炭酸ガス等の駆除用ガスの濃度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】本発明において固定用治具を設けたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の骨組み構造物は、骨組み部材を結合して組み合わせて骨組みを形成する構造物で、柱、はり、または筋かいなどを必要に応じて設ける。また、骨組み部材の端部を加工して骨組み部材どうしを結合してもよいが、別部材である結合部材を介してもよい。
骨組み部材は、形状が線状の細長い部材で、木材、金属または紙を材料に、断面が円形、角形などで、中心部分が空洞の管のほうが軽量の点で好ましい。
結合部材としては、ボルトとナットでの結合、上記の線状の細長い部材を差し込んで固定するジョイント部品などが使用できる。
また、骨組み構造物の上面部分の中央部分が周辺部分より盛り上がっていると、雨水等の水滴が下に流れやすくなり好ましい。
【0011】
本発明の駆除用ガスは、害虫にたいして駆除効果のあるガスで、窒息させるガスまたは炭酸ガス等が使用できる。
窒息させるガスとしては、空気中の酸素と置換することで、酸素の濃度を致死濃度以下に下げる希釈気体で、窒素ガス、またはアルゴンガスなどの希ガスが使用される。窒素ガス、または希ガスの致死濃度のガス濃度としては、ほぼ100%空気と置換する必要とする場合が多い。
炭酸ガスの場合は、濃度が35%以上に高まると顕著な致死作用がみられる場合が多いし、処理する時間も短くてすむ場合が多いので好ましい。
【0012】
本発明の袋体とは、作物と駆除用ガスを入れる柔軟なシートで作られた容器で、内容物の無いときは折りたたむなどして小さくまとめることができる。
袋体の形状は、上面と底面と側面とからなるが、地面と接触して使用する場合または底面が別部材の場合には、底面部分が開口部分となる。また、一時的に開口し、作物を入れ替え、再び閉口する部分を設けてもよい。
【0013】
袋体を形成するシートは、樹脂材を主体としたもので、厚さが0.05〜0.8mm程度で、好ましくは、0.1〜0.5mm程度の、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の連続製膜性に優れた透明なプラスチックフィルムが使用できる。特に、一軸配向または二軸配向フィルムは、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、透明性、電気的性質などに優れた性質を有することから好ましい。また、必要に応じ本発明の趣旨を損なわない範囲で他の粒子、例えばカオリン、タルク、二酸化ケイ素、ゼオライト、酸化アルミニウム等を少量配合してもよい。また、耐光性という点では、紫外線吸収剤、光安定化剤がシートに含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどが使用できる。光安定化剤としては、ヒンダードアミンなどが使用できる。また、帯電防止剤、潤滑剤等を配合してもよい。
【0014】
強度、保温性などの点から、複数の機能を有する層を積層した積層シートにしたり、機能物質を添加したりして用いることが好ましい。
シートに積層するものとしては、織布、不織布等のクロスを張り合わせるとシートに強度が得られ裂けにくくなり好ましい。クロスの原料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられるが、成形性、廉価性などの点でポリオレフィンが好ましく、具体的には、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましい。
また、樹脂フィルムの表面に、アルミニウム等の金属を蒸着等により形成させ、直接またはラミ材を介してシートに圧着して張り合わせることで、太陽光を反射し袋体内の温度上昇を抑制したり、熱線を反射して袋体内から外に熱が逃げないようにしたりすることができる。張り合わせには、ドライラミネート、押出しラミネート、ホットメルトラミネート、サーマルラミネートなど通常の方法が利用できる。溶液、ホットメルト、溶融したポリエチレンなどの接着材をラミ材とする方法のほか、サーマルラミネートのようにラミ材なしで熱をかけて圧着する方法が利用できる。
添加する機能物質としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウムなどの粒子を用いるとシートが白色化し、太陽光を反射し袋体内の温度上昇を抑制することができる。
【0015】
本発明の固定用治具は、骨組み構造物に設けた複数の柱に、その柱に近接する袋体部分を柱に固定するための固定用の治具で、柱を挟み込む構造になっている。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の害虫駆除装置を示している。骨組み部材1aを結合して組み立てた骨組み構造物1と、その骨組み構造物1を囲むように覆う袋体2と、その袋体2内に導入される駆除用ガスとを有している。
袋体2は、上面と底面と側面とが一体となっているものを示している。駆除用ガスボンベ3に連通する供給ホース4を袋体2内に導入し、駆除用ガスを袋体内に導入している。また、袋体2内の空気は、袋体2の上方側面に設けた排気孔5により排出される。
【0018】
図2は、本発明の別の害虫駆除装置を示している。
図1との違いは、袋体2において、底面部分が別部材になっている点で、袋体2は、側面下部端部周辺部分と、底面の周辺部分が、害虫駆除時に一時的に接触して、袋体2が気密空間になるように封止部6を設けている。
【0019】
図3は、本発明の骨組み構造物を示している。
骨組み部材1aとして、断面が角形のものを使用していて、骨組み部材1aの端部を加工して骨組み部材1aどうしを直接結合した構造となっている。この場合の骨組み部材1aとして、木材が加工の点で好ましい。
【0020】
図4は、本発明の別の骨組み構造物を示している。骨組み部材1aどうしを別部材である結合部材1bを介している場合を示して、特に結合部材1bとして、細長い部材を差し込んで固定するジョイント部品を使用した場合を示している。差し込み式のジョイント部品は取り外しが容易で、骨組み構造物1の保管も小体積ですみ好ましい。
【0021】
図5は、本発明の別の骨組み構造物を示している。
図4との違いは、骨組み構造物1の上面部分の中央部分が周辺部分より盛り上がっている点で、骨組み構造物1の上面部分の中央部分が周辺部分より盛り上がっていると、雨水等の水滴が下に流れやすくなり好ましい。
【0022】
図6は、本発明において固定用治具を設けたことを示している。
図2のような底面が別部材の袋体2を使用した場合に、害虫駆除時に、袋体2の側面部分がもち上がらないようにするのに、それと接する骨組み構造物1の柱に固定することができ、底部から子どもやペット等の侵入防止ができ安全上も好ましい。また、固定治具7を上部、中央部等複数設置することで、風に対する影響をより、受けにくくすることができる。
【符号の説明】
【0023】
1…骨組み構造物、2…袋体、3…駆除用ガスボンベ、4…供給ホース、5…排気孔、6…封止部、7…固定治具