特許第6572285号(P6572285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572285
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】綴じ具
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/06 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   B42F13/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-204713(P2017-204713)
(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公開番号】特開2019-77082(P2019-77082A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2018年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】岩本 真一
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−202850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する長辺及び短辺を有する板状をなし、表紙に固定される基材と、
該基材の二つの短辺それぞれから、前記基材の長手方向に突出し、被綴物の孔に挿入される帯状片と、
前記基材に対向し、前記基材との間において、前記被綴物を押さえる押さえ板と、
前記基材の長辺及び前記押さえ板を連結し、前記基材の長手方向に沿ってび、前記長手方向を回転軸方向とした複数のヒンジと、
前記帯状片の先端部に形成された係合部と、
前記押さえ板に形成され、前記係合部が係合する被係合部と
を備え、
前記複数のヒンジは、前記基材の短辺に沿う方向において、前記帯状片それぞれの基端部の真横に配置されたヒンジを含み、
前記基端部の真横に配置されたヒンジの間に開口が形成されており、
前記基材を前記表紙に固定する為の補強部が、前記開口の内側にて、前記基材の前記長辺に設けられている
綴じ具。
【請求項2】
基端部の真横に配置されたヒンジは前記長手方向に延び、
基端部の真横に配置されたヒンジの両端部の間の部分と、各基端部、前記基材の短辺に沿う方向にて対向する
請求項1に記載の綴じ具。
【請求項3】
前記係合部は凸部を有し、
前記被係合部は、互いに対向し、可撓性を有する複数の壁体を有し、
前記凸部は前記複数の壁体の間に挿入される
請求項1又は2に記載の綴じ具。
【請求項4】
互いに交差する長辺及び短辺を有する板状をなし、表紙に固定される基材と、
該基材の二つの短辺それぞれから、前記基材の長手方向に突出し、被綴物の孔に挿入す
る為の帯状片と、
前記基材に対向し、前記基材との間において、対象物を押さえる押さえ板と、
前記基材の長辺及び前記押さえ板を連結し、前記基材の長手方向に沿って並び、前記長手方向を回転軸方向とした複数のヒンジと、
前記帯状片の先端部に形成された凸部と、
前記押さえ板に形成された貫通孔と、
該貫通孔の縁部に形成され、前記貫通孔を挟んで互いに対向する可撓性を有する複数の壁体と
を備え、
前記凸部は前記複数の壁体の間に挿入され、前記凸部及び壁体が係合する
綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類、クリアシート等を綴じる綴じ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形状をなし、表紙に固定される基材と、該基材の短辺それぞれから突出しており、書類等の被綴物の孔に挿入される帯状片と、基材の長辺にヒンジ部材を介して連結した狭持部材(押さえ板)とを備える綴じ具が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
狭持部材には切欠が形成されており、狭持部材が基材に対向した場合、被綴物の孔に挿入された帯状片は切欠に挿入される。帯状片の先端部に凹部が形成され、該凹部に係合する凸部が基材に形成されている。狭持部材と基材との間に被綴物は狭持され、凸部及び凹部を係合させることによって、狭持部材は被綴物を押さえることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2814369号公報
【特許文献2】特許第3456940号公報
【特許文献3】特許第3670264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の綴じ具にあっては、帯状片を引き上げて、凹部及び凸部の係合を解除させる場合に、凸部に摩擦力が集中し、凸部に連なる狭持部材及び基材に、表紙から離れる向きの力が作用し易い。新たな被綴物の追加、又は被綴物の取り出しを行う都度、凹部及び凸部の係合が解除され、表紙から離れる向きの力が繰り返し基材に作用するので、基材が表紙から剥がれ易くなる。
【0006】
特許文献2に記載の綴じ具にあっては、基材の長辺に三つのヒンジが間隔をあけて、基材の長手方向に並設されている。基材の長辺の中央部分に一つのヒンジが設けられており、基材の長辺の両端部に、中央部分に設けたヒンジよりも短寸の二つのヒンジがそれぞれ設けられている。帯状辺の基端部は、前記長辺の中央部分に設けたヒンジと、前記長辺の端部に設けたヒンジとの間の間隔、即ち貫通孔の隣に位置する。貫通孔の内側にて、補強部が基材の長辺に設けられている。補強部が配置してあるものの、帯状片の基端部の隣には貫通孔が設けられており、また長辺の端部のヒンジは短いので、狭持部材の両端部分は容易に撓む。そのため、凹部及び凸部の係合を解除する場合、狭持部材の両端部分が撓んで、凹部及び凸部が共に同方向(表紙から離れる向き)に移動し、凹部及び凸部の係合を解除し難い。
【0007】
特許文献3に記載の綴じ具にあっては、基材の長手方向に沿って、二つのヒンジ部が基材の中央部分に並設されている。二つのヒンジ部は、いずれも、二つの帯状片の間に配置されている。即ち、基材及び狭持部材を連結するヒンジ部は短く、狭持部材の両端部分は自由端になっている。そのため、凹部及び凸部の係合が解除される場合に、狭持部材の両端部分は容易に引き上げられて撓み、凹部及び凸部が共に同方向(表紙から離れる向き)に移動し、凹部及び凸部の係合を解除し難い。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、帯状片と、被綴物を押さえる押さえ板との係合を解除する場合に、帯状片及び押さえ板の係合が解除され易く、基材が表紙から剥がれ難くなる綴じ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る綴じ具は、一方向に延びた板状をなし、表紙に固定される基材と、該基材の二つの短辺それぞれから、前記基材の長手方向に突出し、被綴物の孔に挿入される帯状片と、前記基材に対向し、前記基材との間において、前記被綴物を押さえる押さえ板と、前記基材の長辺及び前記押さえ板を連結し、前記基材の長手方向に並ぶ複数のヒンジと、前記帯状片の先端部に形成された係合部と、前記押さえ板に形成され、前記係合部が係合する被係合部とを備え、前記複数のヒンジは、前記基材の一方向に交差する他方向において、前記帯状片それぞれの基端部の隣に配置されたヒンジを含み、前記複数のヒンジの間に開口が形成されており、前記基材を前記表紙に固定する為の補強部が、前記開口の内側にて、前記基材の前記長辺に設けられている。
【0010】
本発明に係る綴じ具は、前記基端部の隣に配置されたヒンジは前記基材の一方向に延び、前記一方向において、前記基端部の隣に配置されたヒンジの両端部の間に前記基端部は配置されている。
【0011】
本発明に係る綴じ具は、前記係合部は凸部を有し、前記被係合部は、互いに対向し、可撓性を有する複数の壁体を有し、前記凸部は前記複数の壁体の間に挿入される。
【0012】
本発明に係る綴じ具は、一方向に延びた板状をなし、表紙に固定される基材と、該基材の二つの短辺それぞれから、前記基材の長手方向に突出し、被綴物の孔に挿入する為の帯状片と、前記基材に対向し、前記基材との間において、対象物を押さえる押さえ板と、前記基材の長辺及び前記押さえ板を連結し、前記基材の長手方向に並ぶ複数のヒンジと、前記帯状片の先端部に形成された凸部と、前記押さえ板に形成され、互いに対向し、可撓性を有する複数の壁体とを備え、前記凸部は前記複数の壁体の間に挿入され、前記凸部及び壁体が係合する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る綴じ具にあっては、二つの帯状片の基端部それぞれに対向する位置にヒンジが配されている。そのため、押さえ板の自由な移動を規制し、押さえ板の撓みを抑制することができ、帯状片及び押さえ板の係合を容易に解除させることができる。また押さえ板の撓みによるモーメントが基材に作用し難くなり、基材が表紙から剥がれ難くなる。また複数のヒンジの間に開口を形成し、開口の内側にて、基材に補強部が設けられているので、より一層、基材が表紙から剥がれ難くなる。
【0014】
本発明に係る綴じ具にあっては、凸部は複数の壁体の間に挿入され、係合する。係合を解除する場合、複数の壁体は互いに離れる方向に撓み、円滑に凸部が抜き出される。そのため、凸部及び壁体の係合を解除する場合に、凸部及び壁体の間に発生する摩擦力を低減させて、押さえ板の撓みを抑制することができ、帯状片及び押さえ板の係合を容易に解除させることができ、また基材が表紙から剥がれ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ファイルを略示する平面図である。
図2】展開した綴じ具を略示する拡大平面図である。
図3図2に示すIII―III線を切断線とした略示断面図である。
図4図2に示すIV―IV線を切断線とした略示断面図である。
図5図2に示すV―V線を切断線とした略示断面図である。
図6図2に示すVI―VI線を切断線とした略示断面図である。
図7】展開した綴じ具を略示する拡大左側面図である。
図8】展開した綴じ具を略示する拡大正面図である。
図9】押さえ板と基材とを対向させて、帯状片を凹部に挿入した状態を略示する斜視図である。
図10図1のX−X線を切断線とした、0枚又は数枚の書類を綴じた状態を略示する綴じ具の断面図である。
図11】多数の書類を綴じた状態を略示する綴じ具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を、実施の形態に係るファイル1を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、各図に示す上下前後左右を使用する。図1は、ファイル1を略示する平面図である。ファイル1は、矩形の表表紙2と、矩形の裏表紙3と、綴じ具4とを備える。表表紙2及び裏表紙3それぞれの長辺は前後方向に延び、表表紙2及び裏表紙3それぞれの短辺は左右方向に延びる。表表紙2の右側の長辺と、裏表紙3の左側の長辺とは折り曲げ可能に連結している。綴じ具4は、裏表紙3の左縁部の前後方向中央部分に設けられている。なお図1の綴じ具4は、閉じた状態を示している。
【0017】
図2は、展開した綴じ具4を略示する拡大平面図、図3は、図2に示すIII―III線を切断線とした略示断面図、図4は、図2に示すIV―IV線を切断線とした略示断面図、図5は、図2に示すV―V線を切断線とした略示断面図、図6は、図2に示すVI―VI線を切断線とした略示断面図、図7は、展開した綴じ具4を略示する拡大左側面図、図8は、展開した綴じ具4を略示する拡大正面図である。
【0018】
図2に示すように、綴じ具4は、矩形板状の基材5を有する。基材5の各長辺は前後方向に延び、各短辺は左右方向に延びる。基材5の左後隅部には、後方に向けて突出した突出部6が形成されており、左前隅部には、前方に向けて突出した突出部6が形成されている。基材5及び突出部6は、裏表紙3に固定されている。
【0019】
基材5の前側短辺には、前方且つ上方に突出した帯状片7が形成されており、後側短辺には、後方且つ上方に突出した帯状片7が形成されている。前後方向において、帯状片7の先端は突出部6の先端よりも外側に配置されている。帯状片7は裏表紙3に固定されていない。
【0020】
図5に示すように、帯状片7の先端部には、下方に突出した二つの凸部7a、7aが形成されている。二つの凸部7a、7aは左右に並ぶ。二つの凸部7a、7aの間には前後に延びた溝7cが形成されている。二つの凸部7a、7aそれぞれに、左右方向において外向きに突出した外側突起7bが形成されている。
【0021】
基材5の左辺には、二つのヒンジ8、8を介して押さえ板9が連結している。押さえ板9は、第一板部91、第二板部92、及び二つの第三板部93、93を有する。第一板部91は細長い矩形板状をなし、前後方向に延びている。第一板部91の短辺は左右方向に延びている。図3図5に示すように、第一板部91は断面円弧状に湾曲しており、展開した状態において、下方に突出するように湾曲している。
【0022】
第二板部92は細長い矩形板状をなし、前後方向に延びている。第二板部92の短辺は左右方向に延びている。第二板部92の前後寸法は第一板部91の前後寸法の半分程度であり、第二板部92の右辺は、第一板部91の左辺の前後方向中央部に連なっている。
【0023】
二つの第三板部93、93は、第二板部92の前後にそれぞれ配置されている。平面視において、第三板部93は台形状をなし、その上底が下底よりも短く、且つ一方の脚が斜辺93dを形成し、他方の脚は上底及び下底に対して略直角をなしている。前側に配置された第三板部93において、その下底は、第二板部92の左辺に連なる。第三板部93の斜辺93dは後側、即ち第二板部92側に配置され、第二板部92に対向している。斜辺93dと第二板部92との間には空間が設けられており、斜辺93d、第二板部92の前辺、及び第一板部91の左辺による凹部94が形成されている。
【0024】
後側に配置された第三板部93において、その下底は、第二板部92の左辺に連なる。第三板部93の斜辺93dは前側、即ち第二板部92側に配置され、第二板部92に対向している。斜辺93dと第二板部92との間には空間が設けられており、斜辺93d、第二板部92の後辺、及び第一板部91の左辺による凹部94が形成されている。
【0025】
第三板部93の左右寸法は第二板部92の左右寸法と略同じである。第三板部93には、平面視矩形状の貫通孔93aが形成されている。貫通孔93aは前後方向に延びる。貫通孔93aの左右縁部それぞれに、第三板部93に直角な壁体93bが形成されている。二つの壁体93b、93bは可撓性を有し、左右方向において互いに対向する。図5及び図8に示すように、展開した状態において、壁体93bは下方に突出している。右側の壁体93bの左面と、左側の壁体93bの右面とに、内側突起93cがそれぞれ形成されている。内側突起93cは、前述した凸部7aの外側突起7bに係止する。
【0026】
第一板部91の右辺と、基材5の左辺とは、二つのヒンジ8、8を介して連結されている。二つのヒンジ8、8は前後に配置されており、二つのヒンジ8、8の間には空間が設けられている。前記空間は、前後方向において、基材5の中央に位置する。
【0027】
ヒンジ8は、第一連結部8a、第二連結部8b、及び第一折り曲げ部8c〜第三折り曲げ部8eを有する。第一連結部8aは細長い矩形板状をなし、前後方向に延びている。第一連結部8aの短辺は左右方向に延びる。第二連結部8bは細長い矩形板状をなし、前後方向に延びている。第二連結部8bの短辺は左右方向に延びる。第一折り曲げ部8c〜第三折り曲げ部8eは薄い層状をなし、可撓性を有する。
【0028】
第一連結部8aの右辺は、第一折り曲げ部8cを介して、基材5の左辺に連なる。第一連結部8aの左辺は、第二折り曲げ部8dを介して、第二連結部8bの右辺に連なる。第二連結部8bの左辺は、第三折り曲げ部8eを介して、第一板部91の右辺に連なる。
【0029】
前側のヒンジ8、後側のヒンジ8、及び二つのヒンジ8、8の間に設けられた空間の前後寸法の合計は、第一板部91の上下寸法に略等しい。
【0030】
図2及び図4に示すように、前記空間には、二つのヒンジ8、8、基材5、及び第一板部91に囲まれた矩形の開口80が形成されている。開口80の内側には、平面視矩形板状をなす補強部81が配置されている。補強部81は前後方向に延びており、その右辺は基材5の左辺に連なる。補強部81の左右寸法は、第一連結部8aの左右寸法に略等しい。補強部81は裏表紙3に固定される。補強部81によって、基材5は裏表紙3から剥がれ難くなる。
【0031】
図2に示すように、帯状片7の基端部7dの左隣にヒンジ8が配置されている。基端部7dは、左右方向において、第一連結部8aの前後方向中央部分に対向する。換言すれば、前後方向において、前後方向に延びたヒンジ8の両端部の間に、基端部7dは配置されている。突出部6の先端部分は、前後方向において、ヒンジ8よりも外側に位置する。帯状片7の基端部7dから先端までの寸法は、突出部6の前後寸法よりも長い。
【0032】
図9は、押さえ板9と基材5とを対向させて、帯状片7を凹部94に挿入した状態を略示する斜視図である。書類20(被綴物)を綴じる場合、ユーザは綴じ具4を展開させて書類20の孔に帯状片7を挿入させる。そして、ヒンジ8を介して押さえ板9を右側に折り返し、基材5に対向させ、帯状片7を凹部94に挿入する。このとき、第三板部93は帯状片7の下側に配置され、第三板部93の壁体93bは上向きに突出する。第三板部93の壁体93b及び貫通孔93aと、帯状片7の凸部7aとは上下に対向する。
【0033】
図10は、図1のX−X線を切断線とした、0枚又は数枚の書類20を綴じた状態を略示する綴じ具4の断面図、図11は、多数の書類20を綴じた状態を略示する綴じ具4の断面図である。ユーザは、帯状片7の凸部7aを壁体93b、93bの間に挿入する。凸部7aの外側突起7bは、壁体93bを外側に押し、壁体93bは外側に撓む。外側突起7bは更に挿入され、外側突起7bは、壁体93bの内側突起93cの下側に配置され、外側突起7b及び内側突起93cが係合する。
【0034】
図10に示すように、0枚又は数枚の書類20を綴じた場合、例えば第二折り曲げ部8dを起点にして、押さえ板9は折り曲げられる。図11に示すように、多数の書類20を綴じた場合、例えば第一折り曲げ部8cを起点にして、押さえ板9は折り曲げられる。
【0035】
綴じた書類20を取り出すか、新しい書類20を綴じる場合、ユーザは、綴じ具4を展開させる。ユーザは、帯状片7を上側に引き上げて、壁体93b、93bの間に挿入された凸部7aを引き抜く。凸部7aを引き抜く場合、押さえ板9にも力が作用するが、ヒンジ8によって押さえ板9の撓みは抑制される。凸部7aを壁体93b、93bの間から引き抜く場合、二つの壁体93b、93bは外側に、即ち互いに離れる方向に撓み、凸部7aは円滑に引き抜かれる。
【0036】
実施の形態にあっては、帯状片7の基端部7dの隣にヒンジ8が配されている。そのため、押さえ板9の自由な移動を規制し、押さえ板9の撓みを抑制することができ、帯状片7及び押さえ板9の係合を容易に解除させることができる。また押さえ板9の撓みによるモーメントが基材5に作用し難くなり、基材5が表紙から剥がれ難くなる。また二つのヒンジ8、8の間に開口80を形成し、開口80の内側において、基材5の長辺に補強部81が設けられているので、より一層、基材5が表紙から剥がれ難くなる。即ち、長いヒンジ8及び補強部81の相乗効果によって、基材5の表紙からの剥がれを効果的に防止することができる。
【0037】
基材5の長手方向において、帯状片7の基端部7dは、前記長手方向に延びたヒンジ8の両端部の間に配されている。即ち、ヒンジ8は長く形成されている。そのため、押さえ板9の前端部及び後端部の自由な移動をより一層規制し、押さえ板9の撓みを抑制することができ、帯状片7及び押さえ板9の係合を容易に解除させることができ、また基材5が表紙から剥がれ難くなる。
【0038】
また凸部7aは二つの壁体93b、93bの間に挿入され、係合する。係合を解除する場合、二つの壁体93b、93bは互いに離れる方向に撓み、円滑に凸部7aが抜き出される。そのため、凸部7a及び壁体93bの係合を解除する場合に、凸部7a及び壁体93bの間に発生する摩擦力を低減させて、押さえ板9の撓みを抑制することができる。その結果、帯状片7及び押さえ板9の係合を容易に解除させることができ、また押さえ板9の撓みによるモーメントが基材5に作用し難くなり、基材5は表紙から剥がれ難くなる。
【0039】
上述した実施の形態においては、ヒンジ8は二つであるが、三つ以上であってもよい。また壁体93bは二つであるが三つ以上であってもよい。例えば、貫通孔93aの左縁部又は右縁部に二つの壁体93bを設けてもよく、貫通孔93aの前縁部又は後縁部に壁体93bを設けてもよい。また貫通孔93aに代えて、第三板部93に凹部を設けてもよく、また貫通孔93aを設けなくてもよい。書類20は被綴物の一例に過ぎず、綴じ具4は、袋状のクリアシート等他の被綴物を綴じてもよい。
【0040】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
1 ファイル
2 表表紙
3 裏表紙
4 綴じ具
5 基材
7 帯状片
7a 凸部(係合部)
9 押さえ板
93b 壁体(被係合部)
8 ヒンジ
20 書類(被綴物)
80 開口
81 補強部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11