(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572305
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ワイヤレス通信ネットワークにおいて信号を受信し及び送信するための、アクセスノード及びビーム形成方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20190826BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20190826BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
H04B7/06 952
H04W16/28
H04B7/06 956
H04B7/08 802
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-517077(P2017-517077)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-535149(P2017-535149A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2014087888
(87)【国際公開番号】WO2016049840
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年4月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】リ、ゲン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジンファ
【審査官】
吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/124237(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0254515(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04B 7/08
H04W 16/28
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信ネットワーク(100)においてクライアント無線ノード(120)から信号を受信するための、サーバ無線ノード(110)において実行される方法であって、
ビーコンスイープパターンのビーコンビームのインデックスを基準として、あるインデックスオフセットを伴って、前記サーバ無線ノード(110)についての受信側時空間スイープパターンを決定すること(201)と、
前記受信側時空間スイープパターンに基づいて、前記クライアント無線ノード(120)から少なくとも1つの信号を受信すること(203)と、
前記少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいて前記クライアント無線ノード(120)により決定される送信側時空間パターンに従って、前記クライアント無線ノード(120)により送信されることと、含み、
前記インデックスオフセットは、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介して前記クライアント無線ノード(120)へ指示される、方法。
【請求項2】
前記予め定義されるルールは、前記クライアント無線ノード(120)の前記送信側時空間パターンの各ビームについての、前記送信側時空間パターンを、前記ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビーム上で前記サーバ無線ノード(110)により前記クライアント無線ノード(120)へ指示すること、に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め定義されるルールは、前記サーバ無線ノード(110)の前記受信側時空間スイープパターンに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定義されるルールは、前記クライアント無線ノード(120)が位置しているエリアに向けて前記サーバ無線ノード(110)の前記受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられるタイミングに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ワイヤレス通信ネットワーク(100)においてサーバ無線ノード(110)へ信号を送信するための、クライアント無線ノード(120)において実行される方法であって、
予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定すること(401)と、
決定された前記送信側時空間パターンに従って、前記サーバ無線ノード(110)へ少なくとも1つの信号を送信すること(402)と、
を含み、
前記予め定義されるルールは、前記サーバ無線ノード(110)のビーコンスイープパターンのビーコンビームのインデックスを基準としてあるインデックスオフセットを伴うように決定される受信側時空間スイープパターンに基づくルールであり、
前記インデックスオフセットは、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介して前記クライアント無線ノード(120)へ指示される、方法。
【請求項6】
前記予め定義されるルールは、前記サーバ無線ノード(110)により前記クライアント無線ノード(120)へ指示される情報に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サーバ無線ノード(110)により前記クライアント無線ノード(120)へ指示される前記情報は、前記クライアント無線ノード(120)の前記送信側時空間パターンの各ビームについての、前記送信側時空間パターンに関する情報を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クライアント無線ノード(120)から前記サーバ無線ノード(110)へ送信される前記少なくとも1つの信号は、ランダムアクセスプリアンブル、制御情報又はデータ情報、スケジューリング要求、バッファステータスレポート、競合メッセージ、及びトラッキングエリア更新情報のうちの1つ以上を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ワイヤレス通信ネットワーク(100)においてクライアント無線ノード(120)から信号を受信するためのサーバ無線ノード(110)であって、
ビーコンスイープパターンのビーコンビームのインデックスを基準として、あるインデックスオフセットを伴って、前記サーバ無線ノード(110)についての受信側時空間スイープパターンを決定し、
前記受信側時空間スイープパターンに基づいて、前記クライアント無線ノード(120)から少なくとも1つの信号を受信する、
ように構成され、
前記少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいて前記クライアント無線ノード(120)により決定される送信側時空間パターンに従って、前記クライアント無線ノード(120)により送信され、
前記サーバ無線ノード(110)は、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介して前記クライアント無線ノード(120)へ前記インデックスオフセットを指示する、ように構成される、
サーバ無線ノード(110)。
【請求項10】
ワイヤレス通信ネットワーク(100)においてサーバ無線ノード(110)へ信号を送信するためのクライアント無線ノード(120)であって、
予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定し、
決定された前記送信側時空間パターンに従って、前記サーバ無線ノード(110)へ少なくとも1つの信号を送信するように構成され、
前記予め定義されるルールは、前記サーバ無線ノード(110)のビーコンスイープパターンのビーコンビームのインデックスを基準としてあるインデックスオフセットを伴うように決定される受信側時空間スイープパターンに基づくルールであり、
前記インデックスオフセットは、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介して前記クライアント無線ノード(120)へ指示される、
クライアント無線ノード(120)。
【請求項11】
前記予め定義されるルールは、ビーコンスイープパターンからの、前記クライアント無線ノード(120)により決定される好ましいビーコンビームのインデックスに基づく、
請求項10に記載のクライアント無線ノード(120)。
【請求項12】
前記予め定義されるルールは、前記クライアント無線ノード(120)が位置しているエリアに向けて前記サーバ無線ノード(110)の受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられるタイミングに基づく、請求項10に記載のクライアント無線ノード(120)。
【請求項13】
前記クライアント無線ノード(120)は、前記クライアント無線ノード(120)についての前記送信側時空間パターンにおける、反復される送信の回数を決定するようにさらに構成されることにより、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定する、ように構成される、請求項10〜12のいずれか1項に記載のクライアント無線ノード(120)。
【請求項14】
前記クライアント無線ノード(120)は、前記クライアント無線ノード(120)が位置しているエリアに向けて前記サーバ無線ノード(110)の受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられる時間において、前記サーバ無線ノード(110)へ前記少なくとも1つの信号を送信するように構成されることにより、決定された前記送信側時空間パターンに従って、前記サーバ無線ノード(110)へ少なくとも1つの信号を送信する、ように構成される、請求項10に記載のクライアント無線ノード(120)。
【請求項15】
前記クライアント無線ノード(120)は、反復的に、前記サーバ無線ノード(110)の受信側時空間スイープパターンの、決定されたビーム生起時に及び前記決定されたビーム生起に空間的に隣接するビーム生起時において、前記少なくとも1つの信号を送信するように構成されることにより、決定された前記送信側時空間パターンに従って、前記サーバ無線ノード(110)へ少なくとも1つの信号を送信する、ように構成される、請求項10に記載のクライアント無線ノード(120)。
【請求項16】
前記クライアント無線ノードは、さらに、前記サーバ無線ノード(110)から応答が受信されない場合に、予備送信側時空間パターンに従って、前記サーバ無線ノード(110)へ前記少なくとも1つの信号を再送信する、ように構成される、請求項10〜15のいずれか1項に記載のクライアント無線ノード(120)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここでの実施形態は、サーバ無線ノード、クライアント無線ノード、ワイヤレス通信ネットワーク、及びそれらにおける方法に関する。具体的には、それらは、ワイヤレス通信ネットワークにおいてクライアント無線ノードからの信号を検出するための、サーバ無線ノードにおけるビーム形成に関する。
【背景技術】
【0002】
30〜300GHzの高い周波数で動作する、MMW(Millimeter-Wave)ワイヤレスシステムなどのワイヤレス通信ネットワーク又はシステムが、マルチギガビット毎秒のスピードを可能とすることにより急拡大する帯域幅要件を充足するための、有望な技術として現れつつある。例えば、第5世代(5G)を指向するLTE(Long Term Evolution)又はUDN(Ultra-Dense-Networks)は、MMW帯域に配備される可能性が最も高い。そうした高い周波数では、多数のアンテナが送信機、受信機又は双方において利用可能であり得る。典型的に発生する大きい伝播ロスを埋め合わせる目的で、MMWシステムにおいては、ビーム形成が非常に重要な特徴となる。ビーム形成は、指向性信号の送信又は受信のために使用される信号処理技法である。これは、特定の角度の信号が建設的な干渉を経験する一方で他の信号が破壊的な干渉を経験するという形で、フェーズドアレイ内のアンテナ素子を組み合わせることにより達成される。空間選択性を達成する目的で、送信側及び受信側の双方において、ビーム形成を使用することができる。全方向的な受信/送信と比較した場合の改善度は、ビーム形成利得として知られている。送信機、受信機又は双方で複数のアンテナが利用可能である場合、従って、対応するワイヤレスチャネルの空間選択性をより良好に活用するために、それらアンテナへ効率的なビームパターンを適用することが重要である。
【0003】
ワイヤレス通信ネットワーク又はシステムにおいて動作する、ユーザ機器(UE)などの通信デバイスは、例えば、ワイヤレス端末、モバイル端末、及び/又は移動局としても知られており、以降はクライアント無線ノードと称される。クライアント無線ノードは、通常、アクセスノードを有する複数のネットワークを備えるワイヤレス通信ネットワーク/システムにおいて、ワイヤレスで通信することが可能とされる。これら複数のネットワークの例は、ワイヤレスローカルネットワーク、例えば、アクセスポイントを有するワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)及びワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)に加え、第2/第3世代(2G/3G)ネットワークアクセスノード、3G LTEネットワークアクセスノード、及びWiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)ネットワークアクセスノードなどを有するセルラー通信ネットワークである。通信は、例えば、2つのクライアント無線ノード間で、又は、1つのクライアント無線ノードと様々なアクセスノード若しくはアクセスポイントとの間で、実行され得る。
【0004】
クライアント無線ノードの位置が、ネットワーク又はシステムに一旦知得されると、当該クライアント無線ノードへのデータの送信用に使用される物理チャネルに対し、ビーム形成が適用され得る。ネットワークにとって未知のクライアント無線ノード又はその位置がネットワークにとって不明なクライアント無線ノードを対象とするシステム情報、ページング、共通リファレンス信号、及び同期信号などのブロードキャスト送信については、ビーム形成の使用はより困難であり得る。単純なビーム形成の適用は不可能であるが、その理由は、ビーム形成をどの方向に適用すべきかが分からないためである。この問題に対処する1つの一般的な方式が、それらの信号を、1回のみではなく複数回にわたり、各回で異なる方向に、ビーム形成を使用して送信することである。この手続きは、ビームスイープとも呼ばれる。ビームスイープを適用するシステムの例が、IEEE 802.11ad、即ち、免許不要の60GHz帯で動作するWi−Fi標準規格である。
【0005】
ワイヤレス通信ネットワークは、複数のセルエリアに分割される地理的エリアをカバーし、各セルエリアは、以降においてサーバ無線ノードと称される、アクセスノード(AN)、又は基地局(BS)、又はアクセスポイント(AP)によってサービスされる。ワイヤレス通信ネットワークは、複数のUE、即ちクライアント無線ノードのための通信をサポートすることが可能な、複数のセルを含み得る。いずれのワイヤレスシステムについても、その基本要件は、一般にランダムアクセス(RA)と称される、UE又はクライアント無線ノードが接続セットアップを要求する可能性である。
【0006】
従来のLTEシステムにおけるランダムアクセスの方法について、サーバ無線ノードは、全方向的な受信方向により、ランダムアクセスシーケンスを検出する。このことは、MMWシステムにとって実用的ではない。その理由は、高周波数帯においては大きな伝播ロスが生じ、よって、ビーム形成を使用しなければ、ランダムアクセス信号の信頼可能な検出が不可能であるためである。サーバ無線ノード側における多数のアンテナ素子を考慮すると、アップリンク送信におけるランダムアクセスプリアンブルの検出は、受信ビーム形成利得を効果的に利用しなければ、明らかに悪影響を受ける恐れがある。
【0007】
WO2010027865は、802.11adシステムについて使用されるビーム形成のための方法を開示しており、当該方法では、各ユーザ機器又はクライアント無線ノードについて、受信ビームスイープが実行され、このことが幾つかの不利益を生じる。第一に、この方法は、大きなオーバーヘッドを生じる。この受信ビームスイープを完了するために、例えばN*Mのリソースブロックが必要とされ、ここでNは、サーバ無線ノードにおけるスイープビームの数であり、Mは、クライアント無線ノードの数である。このような受信ビームスイープは、衝突率をある容認可能なレベルよりも低く制限するために、より多くのリソースブロックの割り当てさえも必要とし得る。第二に、この方法は干渉を生じる。このような干渉は、他のノード、例えば、他のサーバ無線ノード又はクライアント無線ノードの信号品質を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、ここでの実施形態の目的は、ワイヤレス通信ネットワークにおいて、サーバ無線ノードがクライアント無線ノードからランダムアクセス要求又は任意の他の信号を受信するための、改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここでの実施形態の第1の態様によると、この目的は、ワイヤレス通信ネットワークにおいてクライアント無線ノードから信号を受信するための、サーバ無線ノードにおいて実行される方法により達成される。サーバ無線ノードは、当該サーバ無線ノードについての受信側時空間スイープパターン(receiving time-spatial sweeping pattern)を決定し、当該受信側時空間スイープパターンに基づいて、当該クライアント無線ノードから少なくとも1つの信号を受信する。当該少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいて当該クライアント無線ノードにより決定される送信側時空間パターン(transmitting time-spatial pattern)に従って、当該クライアント無線ノードにより送信される。
【0010】
ここでの実施形態の第2の態様によると、この目的は、ワイヤレス通信ネットワークにおいてサーバ無線ノードへ信号を送信するための、クライアント無線ノードにおいて実行される方法により達成される。当該クライアント無線ノードは、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定し、当該決定された送信側時空間パターンに従って、当該サーバ無線ノードへ少なくとも1つの信号を送信する。
【0011】
ここでの実施形態の第3の態様によると、この目的は、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間で信号を受信し及び送信するための、ワイヤレス通信ネットワークにおける方法により達成される。当該第1の無線ノードはサーバ無線ノードであってよく、当該第2の無線ノードはクライアント無線ノードであってよく、又は、その逆であり得る。当該第1の無線ノードは、サーバ無線ノードとして動作する場合に、受信側時空間スイープパターンを決定する。当該第2の無線ノードは、クライアント無線ノードとして動作する場合に、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定する。当該第2の無線ノードは、当該決定された送信側時空間パターンに従って、信号を送信する。当該第1の無線ノードは、当該第1の無線ノードの当該定義された受信側時空間スイープパターンに従って、当該信号を検出し、当該信号が検出されたときに、当該第2の無線ノードへ応答を送信する。
【0012】
ここでの実施形態の第4の態様によると、この目的は、ワイヤレス通信ネットワークにおいてクライアント無線ノードから信号を受信するためのサーバ無線ノードにより達成される。当該サーバ無線ノードは、受信側時空間スイープパターンを決定し、当該受信側時空間スイープパターンに基づいて、当該クライアント無線ノードから少なくとも1つの信号を受信する、ように構成される。当該少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいて当該クライアント無線ノードにより決定される送信側時空間パターンに従って、当該クライアント無線ノードにより送信される。
【0013】
ここでの実施形態の第5の態様によると、この目的は、ワイヤレス通信ネットワークにおいてサーバ無線ノードへ信号を送信するためのクライアント無線ノードにより達成される。当該クライアント無線ノードは、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定し、当該決定された送信側時空間パターンに従って、当該サーバ無線ノードへ少なくとも1つの信号を送信する、ように構成される。
【発明の効果】
【0014】
サーバ無線ノード向けには受信側時空間スイープパターンが予め決定され、送信側時空間パターンは予め定義されるルールに基づいてクライアント無線ノードにより決定されることから、それらの時空間関係がクライアント無線ノードに分かることになり、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンのビームが当該クライアント無線ノードが位置しているエリアに向けられる時に、少なくとも1つの信号、例えばランダムアクセスプリアンブルを送信し得る。つまり、予め決定されるこのような受信側時空間スイープパターンにより、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンのビームがいつ当該クライアント無線ノードの方へ向けられるのかを知得することができ、それにより、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードの受信ビームが他の方向へ向けられる時にランダムアクセスプリアンブルを反復的に送信する必要がなくなる。その結果、アソシエーション又は接続のセットアップ中における、クライアント無線ノード側からのランダムアクセスプリアンブル、少量のデータ及びレポートの送信における反復回数が、有意に低減され又は回避され得る。このことは、802.11adシステムにおける受信ビームスイープに比べ、オーバーヘッドを有意に低減するであろう。オーバーヘッドが低減された結果、干渉も減少する。
【0015】
よって、ここでの実施形態は、ワイヤレス通信ネットワークにおける高利得ビーム形成を用いて、サーバ無線ノード及びクライアント無線ノードのための改善された方法を提供する。ここでの実施形態は、ワイヤレス通信ネットワークの容量及び信号品質も増大し及び改善する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図を含む添付の図面を参照して、ここでの実施形態の例についてより詳細に説明する。
【0017】
【
図1】ワイヤレス通信ネットワークにおけるサーバ無線ノードとクライアント無線ノードとの間の通信を例示するシナリオである。
【
図2】可能性のある幾つかの実施形態による、サーバ無線ノードにおける方法を描くフローチャートである。
【
図3】Fig.3aは、ビーコンスイープパターンの例を示す。Fig.3bは、受信側時空間スイープパターンの例を示す。
【
図4】可能性のあるさらなる実施形態による、クライアント無線ノードにおける方法を描くフローチャートである。
【
図5】可能性のあるさらなる実施形態による、サーバ/クライアント無線ノードを例示するブロック図である。
【
図6】可能性のあるさらなる実施形態による、ワイヤレス通信ネットワークにおける方法を描くフローチャートである。
【
図7】サーバ無線ノードについてのビーム固有のランダムアクセス構成の例を示す。
【
図8】ランダムアクセス構成に関するビーコン情報の例を示す。
【
図9】ランダムアクセス構成に関するビーム固有のビーコン情報の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ここでの実施形態が実装され得るワイヤレス通信ネットワーク100の例を描いている。ワイヤレス通信ネットワーク100は、複数のネットワークアクセスノードを備え、そのうちの2つであるサーバ無線ノード110及びクライアント無線ノード120が、
図1に描かれている。サーバ無線ノード110は、LTEネットワーク、任意の3GPP(3
rd Generation Partnership Project)セルラーネットワーク、MWVネットワーク、Wimaxネットワーク、WLAN/Wi−Fi、WPANなどといった、任意のワイヤレスシステム又はセルラーネットワークにおいて、クライアント無線ノードにサービスすることが可能な、ノードB、基地局(BS)、eNB、eNodeB、ホームノードB、ホームeNodeB、アクセスポイント、又は、任意の他のネットワークノードであり得る。クライアント無線ノード120は、ワイヤレス通信ネットワークにおいて無線リンク上で通信することが可能な、例えば、ワイヤレスデバイス、モバイルワイヤレス端末若しくはワイヤレス端末、モバイルフォン、ワイヤレスケイパビリティを有するコンピュータ、例えばラップトップ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、若しくは時としてファブレットと称されるタブレットコンピュータ、ワイヤレスケイパビリティを有するセンサ若しくはアクチュエータ、又は、任意の他の無線ネットワークユニットであってよい。留意すべきことは、この文書で使用されるクライアント無線ノードという用語が、マシン型通信(MTC)デバイスとも表記されるマシンツーマシン(M2M)デバイスなどの他のワイヤレスデバイスも包含するという点である。
【0019】
サーバ無線ノードが複数のクライアント無線ノードからのランダムアクセス要求/プリアンブル、又は任意の他の信号を受信し又は監視する、ここでの実施形態の特徴とは、受信側時空間スイープパターンが、サーバ無線ノード110について予め定義され又は予め決定されるように事前に獲得され又は決定されること、及び、クライアント無線ノード120が位置しているエリアに向けてサーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられるときに、当該クライアント無線ノードがランダムアクセスプリアンブルを送信することである。つまり、予め定義されるこのような受信側時空間スイープパターンにより、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンのビームがいつ当該クライアント無線ノードの方へ向けられるのかを知得することができ、それにより、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードが自身のビームを他の方向に向けた時に、ランダムアクセスプリアンブルを反復的に送信する必要がなくなる。
【0020】
さらに、予め定義されるこのような受信側時空間スイープパターンに基づいたビーム形成方法は、クライアント無線ノード120から他の制御情報及びデータ情報を受信するために使用されてもよい。例えば、当該ビーム形成方法は、以降においてクライアント無線ノードからサーバ無線ノードへ送信される信号と称される、クライアント無線ノードからの、競合メッセージ、トラッキングエリア更新などに加え、スケジューリング要求、バッファステータスレポート、及び少量のデータ、を受信するために使用されてもよい。
【0021】
次に、
図2を参照して、ワイヤレス通信ネットワーク100においてクライアント無線ノード120から信号を受信するための、サーバ無線ノード110において実行される方法の、可能性のある幾つかの実施形態について説明する。この方法は、以下のアクションを含む。
【0022】
アクション201
サーバ無線ノード110は、受信側時空間スイープパターンを決定する。サーバ無線ノード110は、ある実施形態においては、ネットワーク内の別のノードから受信側時空間スイープパターンを受信すること、又はそうでなければ当該受信側時空間スイープパターンを用いて構成されることにより、受信側時空間スイープパターンを決定することがあってよく、その一方で、またある実施形態においては、この決定が、サーバノード110が当該サーバ無線ノード110において利用可能な情報か、又はそうでなければ当該サーバ無線ノード110により獲得可能な情報を使用して、受信側時空間スイープパターンを定義することを含んでもよい。
【0023】
アクション201a
1つの実施形態によると、サーバ無線ノード110は、ビーコンスイープパターンに基づいて受信側時空間スイープパターンを決定する。このことは、ビーコンスイープパターンのビーコンビームのインデックスを基準として、あるインデックスオフセットを伴って受信側時空間スイープパターンを決定することにより行われ得る。ビーコン送信インターバル(BTI)においてサーバ無線ノード110によりビーコンスイープが実行されてよく、BTIにおいて、サーバ無線ノード110は、新たなクライアント無線ノードにワイヤレス通信ネットワーク100に参加させるために複数のDMG(Directional Multi-Gigabit)ビーコンを異なる方向で実行し得る。即ち、サーバ無線ノードは、ビーコンスイープパターンに従って送信されるビーコンビームを介して、システム情報をブロードキャストする。
【0024】
図3は、ビーコンスイープパターンのビーコンビームを基準として2というインデックスオフセットを伴った受信側時空間スイープパターンの例を示す。
図3は、このことを2つの部分、即ち、Fig.3a及びFig.3bにおいて例示している。Fig.3aは、ビーコンスイープパターンを示し、ここで、左側には、各々が異なる方向へ向けられる、インデックス番号0、1、…7を有するビーコンビームが示されており、右側には、各々が異なる時間に送信される、インデックス番号0、1…7を有するビーコンビームについての送信時間が示されている。Fig.3bは、受信側時空間スイープパターンを示しており、受信側時空間スイープパターン内の受信ビーム2が、ビーコンスイープパターン内のビーコンビーム0に対応すること、即ち、受信側時空間スイープパターン内の受信ビーム2が、ビーコンビーム0のインデックスを基準として2というインデックスオフセットを有すること、を視認することができる。このような、ビーコンスイープパターンと受信側時空間スイープパターンとの間のマッピング、即ち、上記のインデックスオフセットは、当該インデックスオフセットをクライアント無線ノード120へ通知するためにサーバ無線ノード110からシグナリングが必要とされないように、予め定義されてもよい。代替的に、インデックスオフセットは、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介してクライアント無線ノード120へ指示されてもよい。
【0025】
アクション201b
別の実施形態によると、サーバ無線ノード110は、受信側時空間スイープパターン候補のセットを決定する。この方式において、サーバ無線ノード110は、受信側時空間スイープパターン候補のセットから1つの受信側時空間スイープパターンを選択し得る。
【0026】
アクション202
幾つかの実施形態によると、サーバ無線ノード110は、上記アクション201bにおいて、受信側時空間スイープパターン候補のセットを定義し又は決定し、サーバ無線ノード110は、幾つかの実施形態において、受信側時空間スイープパターン候補のセットからの、選択された受信側時空間スイープパターンを、クライアント無線ノード120へ通知するアクションを、さらに行い得る。
【0027】
1つの実施形態によると、サーバ無線ノードは、選択された受信側時空間スイープパターンのインデックスをクライアント無線ノード120へ送信する。このことは、ブロードキャスト又は専用のシグナリングを介して行われ得る。
【0028】
アクション203
サーバ無線ノード110は、受信側時空間スイープパターンに基づいて、クライアント無線ノード120から少なくとも1つの信号を受信する。少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいてクライアント無線ノード120により決定される送信側時空間パターンに従って、クライアント無線ノード120により送信される。クライアント無線ノード120からの少なくとも1つの信号は、よって、サーバ無線ノード110が受信側時空間スイープパターンを使用することにより、検出され及び/又は受信される。
【0029】
1つの実施形態によると、予め定義されるルールは、サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンに基づく。アクション201において、サーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンが予め定義され又は予め決定されているため、クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンは、サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンに基づいて決定され得る。従って、サーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンとクライアント無線ノード120の送信側時空間パターンとの間の時空間関係が、クライアント無線ノード120に分かることになる。
【0030】
1つの実施形態によると、予め定義されるルールは、クライアント無線ノード120が位置しているエリアに向けてサーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられるタイミングに基づく。この手法で、クライアント無線ノード120が当該クライアント無線ノード120、決定された送信側時空間パターンに従って信号を送信する都度、サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンのビームが、当該クライアント無線ノードの方向へ向けられる。
【0031】
1つの実施形態によると、予め定義されるルールは、クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンの各ビームについての、当該送信側時空間パターンを、ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビーム上で、サーバ無線ノード110によりクライアント無線ノード120へ指示すること、に基づく。換言すると、送信側時空間パターンに関する情報は、送信側時空間パターンの各ビームについての情報を、ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビーム上で指示することにより、サーバ無線ノード110によりクライアント無線ノード120へ指示される。この方式において、クライアントノード120は、自身が検出する最強のビーコンビームのうちの1つ以上により、RAプリアンブル又は信号をいつ送信すべきかを決定することができる。この指示は、ビーム固有のものであり、例えば、ビーコンスイープパターンの1つのビーコンビームにおけるものであり、サーバ無線ノード110は、クライアント無線ノード120についての送信側時空間パターンの対応するビームのみを指示することができる。
【0032】
アクション204
幾つかの実施形態によると、サーバ無線ノード110は、少なくとも1つの信号が受信され及び検出された場合に、クライアント無線ノード120が信号を再送信しなくてもよくなるように、クライアント無線ノード120へ応答を送信する。
【0033】
次に、
図4を参照して、ワイヤレス通信ネットワーク100においてサーバ無線ノード110へ信号を送信するための、クライアント無線ノード120において実行される方法の、可能性のある幾つかの実施形態について説明する。この例における方法は、以下のアクションを含む。
【0034】
アクション401
クライアント無線ノード120は、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定する。
【0035】
予め定義されるルールは、以下の実施形態のうちのいずれかに従って実現されてよい。
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンに基づいて、送信側時空間パターンを決定する。
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、サーバ無線ノード110によりクライアント無線ノード120へ指示される情報に基づいて、送信側時空間パターンを決定する。サーバ無線ノード110は、クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンの各ビームについての、当該送信側時空間パターンに関する情報を、ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビーム上で、クライアント無線ノード120へ指示し得る。
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、ビーコンスイープパターンから好ましいビーコンビームのインデックスを決定する。好ましいビーコンビームとは、クライアント無線ノード120が検出する最強の信号強度を有する最良のビーコンビームであってよい。その後、クライアントノード120は、最良のビーコンビームのインデックスに基づいて、送信側時空間パターンを決定する。
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、クライアント無線ノード110が位置しているエリアに向けてサーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられるタイミングに基づいて、送信側時空間パターンを決定する。さらなる実施形態において、クライアント無線ノード120は、当該クライアント無線ノード120についての送信側時空間パターンにおける、反復される送信の回数を決定する。これは、クライアントノード120が、決定された送信側時空間パターンに従って少なくとも1つの信号をある時間に送信し、決定された回数にわたって当該送信を反復すること、を意味する。
【0036】
アクション402
クライアント無線ノード120は、決定された送信側時空間パターンに従って、サーバ無線ノード110へ少なくとも1つの信号を送信する。
【0037】
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、当該クライアント無線ノード(120)が位置しているエリアに向けてサーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンのビームが方向付けられる時間において、サーバ無線ノード110へ少なくとも1つの信号を送信する。
【0038】
1つの実施形態によると、クライアント無線ノード120は、反復的に、サーバノード110の受信側時空間スイープパターンの、決定されたビーム生起(beam occurrence)時に及び当該決定されたビーム生起に空間的に隣接するビーム生起時において、少なくとも1つの信号を送信する。サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンの、決定されたビーム生起のビームは、好ましいビーコンビームのインデックスを基準として、あるインデックスオフセットを有し得る。そして、決定されたビーム生起に空間的に隣接するビーム生起のビームは、決定されたビーム生起のビームのインデックスオフセットに対してそれぞれ+1というインデックスオフセット及び−1というインデックスオフセットを有する。このことについて、以下のセクションで例を用いてさらに解説する。
【0039】
アクション403
例えば、受信方向と送信方向との間に、即ちサーバ無線ノード110の受信ビームと送信ビームとの間にミスマッチが存在するケースにおいて、クライアント無線ノード120は、決定された時空間送信側パターンを使用して送信される少なくとも1つの信号について、サーバノード110から何ら応答を得ないことがあり得る。この応答の欠如は、ミスマッチの結果であり得るが、その理由は、サーバ無線ノード110が、決定された時空間送信側パターンを使用してクライアント無線ノード120から送信される少なくとも1つの信号を検出できないことがあり得るためである。クライアント無線120はその後、幾つかの実施形態において、予備(fall-back)送信側時空間パターンに従って、サーバ無線ノード110へ少なくとも1つの信号を再送信してもよい。
【0040】
1つの実施形態によると、予備時空間送信側パターンにおける、少なくとも1つの信号の、反復される送信の回数は、決定された送信側時空間パターンにおける、少なくとも1つの信号の、反復される送信の回数よりも大きい。
【0041】
1つの実施形態によると、予備時空間送信側パターンは、サーバ無線ノード110の受信ビームと送信ビームとの間の空間的ミスマッチに基づいて、サーバ無線ノード110により構成される。この構成は、幾つかの実施形態において、ブロードキャストを介して行われ得る。
【0042】
この予備的な手続き及び予備送信側時空間パターンは、予め定義されてもよい。
【0043】
ここでの実施形態によると、クライアント無線ノード120からサーバ無線ノード110へ送信される少なくとも1つの信号は、ランダムアクセスプリアンブル、制御情報又はデータ情報、スケジューリング要求、バッファステータスレポート、競合メッセージ、及びトラッキングエリア更新情報などのうちの1つ以上であり得る。
【0044】
次に、上記の実施形態のうちの幾つかをさらに解説する目的で、クライアント無線ノードにより送信される少なくとも1つの信号がランダムアクセスプリアンブルであるという例を挙げ、
図3を参照して例について説明する。
図3が示すように、受信側時空間スイープパターンは、ビーコンビームのインデックスを基準として2というインデックスオフセットを有する。インデックスオフセットは、クライアント無線ノード120が当該インデックスオフセットを事前に知得するように予め定義され若しくは予め決定されてもよく、又は、インデックスオフセットは、ブロードキャスト若しくは専用のシグナリングを介してクライアント無線ノード120へ指示されてもよい。クライアント無線ノード120が、好ましい又は「最良の」ビーコンビームがビーコンビーム3であると決定する場合、クライアント無線ノード120は、ランダムアクセスプリアンブル検出について、自身のロケーションの方向を向くサーバ無線ノード110の受信ビームが、受信ビームスイープ期間中の5番目の受信ビーム生起の受信ビームであろうと決定することができる。その結果、クライアント無線ノード120は、第5の受信ビーム生起時においてのみ、ランダムアクセスプリアンブルを送信し得る。このことは、表1の左列と中央列との間のマッピングを介して例示されている。表1は、最良のビーコンビームのインデックスと、クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンにおける送信ビームのインデックスとの間のマッピングテーブルであり、ここで、左列は、最良のビーコンビームのインデックスを示し、中央列は、クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンにおける最良のアップリンク(UL)送信(TX)ビームのみのインデックスを示し、右列は、送信側時空間パターンにおける、最良のUL TXビーム(太字で強調表示された番号)に加え、空間的に隣接するUL TXビームのインデックスを示す。この手法で、クライアント無線ノード120は、サーバ無線ノード110の受信ビームがクライアント無線ノード120へ直接的に向けられる時にランダムアクセスプリアンブルを1回だけ送信する。よって、ランダムアクセスプリアンブルの送信は802.11ADにおけるような8回の反復の代わりに1回のみ実行され、即ち、7/8のオーバーヘッドの低減が達成される。
【0045】
ここでの実施形態の別の例において、クライアント無線ノード120は、少なくとも1つの信号、例えばランダムアクセスプリアンブルを、反復的に、決定された受信ビーム生起時に及び当該決定された受信ビーム生起に空間的に隣接する受信ビーム生起時において送信し得る。これにより、ランダムアクセスプリアンブル検出について、ビーコンビームと、対応する決定された受信ビームとの間に方向のずれが存在する場合に、ランダムアクセスプリアンブルの誤検出率を引き下げることができる。
図3に例示される受信側時空間スイープパターンによると、上で述べたように、最良のビーコンビームがビーコンビーム3であるとクライアント無線ノード120が決定すると、当該クライアント無線ノード120は、自身のロケーションの方向を向くサーバ無線ノード110の受信ビームが、5番目の受信ビーム生起のビームであろうと決定することができる。すると、5番目の受信ビーム生起の決定された受信ビームに空間的に隣接する受信ビームは、4番目及び6番目の受信ビーム生起の受信ビームとなり、即ち、空間的に隣接する受信ビームは、決定された受信ビームのインデックスオフセットに対してそれぞれ+1というインデックスオフセット及び−1というインデックスオフセットを有する。その結果、クライアント無線ノード120は、4番目から6番目までの受信ビーム生起の間、ランダムアクセスプリアンブルを反復的に送信し得る。このことは、表1の左列と右列との間のマッピングを介して例示されている。この手法で、ランダムアクセスプリアンブルの送信が、802.11ADにおけるような8回の反復の代わりに3回だけ反復され、即ち、5/8のオーバーヘッドの低減が達成される。
【0047】
図2及び
図4に関連して上記ワイヤレス通信ネットワーク100において信号を受信し及び送信するための、サーバ無線ノード110及びクライアント無線ノード120における方法のアクションを実行するために、サーバ無線ノード110及びクライアント無線ノード120は、
図5に描くような回路又はモジュールを備え得る。サーバ無線ノード110及びクライアント無線ノード120は、基本的に同じ構造を有してよく、各々が、受信モジュール502、決定モジュール504、送信モジュール506、プロセッサ508、及びメモリ510などの類似した回路、ユニット、又はモジュールを備え、ここで各モジュールは、実行される固有の機能に依存して、様々な態様で構成されてよい。
【0048】
サーバ無線ノード110は、例えば、決定モジュール504により、サーバ無線ノード(110)についての受信側時空間スイープパターンを決定するように構成される。サーバ無線ノード110は、さらに、例えば、受信モジュール502により、受信側時空間スイープパターンに基づいて、クライアント無線ノード120から少なくとも1つの信号を受信するように構成される。少なくとも1つの信号は、予め定義されるルールに基づいてクライアント無線ノード120により決定される送信側時空間パターンに従って、クライアント無線ノード120により送信される。サーバ無線ノード110は、よって、受信側時空間スイープパターンを使用して、クライアント無線ノード120から少なくとも1つの信号を検出し及び/又は受信するように構成される。サーバ無線ノード110は、さらに、例えば、送信モジュール506により、クライアント無線ノード120へ応答を送信するように構成される。
【0049】
クライアント無線ノード120は、例えば、決定モジュール504により、予め定義されるルールに基づいて、送信側時空間パターンを決定するように構成される。クライアント無線ノード120は、さらに、例えば、送信モジュール506により、決定された送信側時空間パターンに従って、サーバ無線ノード110へ少なくとも1つの信号を送信するように構成される。
【0050】
次に、
図6を参照して、第1の無線ノード110と第2の無線ノード120との間で信号を受信し及び送信するための、ワイヤレス通信ネットワーク100における方法の実施形態の例について説明する。第1のノード110及び第2のノード120はアクセスノードであり、各ノードは、サーバ無線ノード又はクライアント無線ノードであり得る。この例における方法は、以下のアクションを含む。
【0051】
アクション601
第1の無線ノード110が、信号を受信するためのサーバ無線ノードとして動作するものと想定すると、第1の無線ノード110について、受信側時空間スイープパターンが定義され又は決定される。受信側時空間スイープパターンは、第1の無線ノード110において決定され得る。
【0052】
アクション602
第2の無線ノード120が信号を送信するためのクライアント無線ノードとして動作するものと想定すると、第2の無線ノード120について、送信側時空間パターンが、予め定義されるルールに基づいて決定される。送信側時空間パターンは、第2の無線ノード120において決定され得る。
【0053】
アクション603
第2の無線ノード120は、決定された送信側時空間パターンに従って、信号を送信する。
【0054】
アクション604
第1の無線ノード110は、第1の無線ノード110の受信側時空間スイープパターンに従って、信号を検出する。
【0055】
アクション605
第1の無線ノード110は、信号が検出された場合に、第2の無線ノード120へ応答を送信する。
【0056】
アクション606
第1の無線ノード110から応答が受信されない場合、第2の無線ノード120は、予備送信側時空間パターンに従って、信号を再送信する。
【0057】
一例として、ここでの実施形態は、10〜30GHzの高周波数で動作する次世代又は5GのLTEワイヤレス通信システムにおいて実装されてもよい。
図7は、BS、即ちサーバ無線ノード110についての受信側時空間スイープパターンを定義し又は決定する例を示している。
図7の上部は、決定される受信側時空間スイープパターンを、ランダムアクセスリソースブロック構成として示している。ランダムアクセスリソースブロックは、サーバ無線ノード110が、ランダムアクセスを実行するクライアント無線ノードからプリアンブルを受信することを予期するリソースブロックである。
図7の右下部に示されるビーム1〜4は、BS側からの受信ビームID(Identity)、例えば方向である。各ビーム(例えばビーム1)又はビームグループ(例えばビーム1+2)について、固有のランダムアクセスリソースブロックが構成される。特に、固有の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースブロック(連続的又は非連続的)を、様々なビームについて構成することができる。時分割及び周波数分割多重化(TDM/FDM)システムについて、あるリソースブロックは、
図7が示すように、あるビームの使用についてのみ構成される。
【0058】
この受信側時空間スイープパターンは、クライアント無線ノード及びサーバ無線ノードの双方にとって既知とされる。クライアント無線ノード側から言うと、クライアント無線ノードは、サーバ無線ノードが当該クライアント無線ノードの信号をどのビーム方向から受信するのかを知っている。そして、クライアント無線ノードは、受信ビームIDに対応するビームIDを有するリソースブロックにおいてランダムアクセスプリアンブルを送信する。サーバ無線ノード側から言うと、サーバ無線ノードは、様々なランダムアクセスリソースブロックについて、どの受信ビーム方向が使用されるのかを知っている。
【0059】
5G LTEシステムにおいて、サーバ無線ノード110によりクライアント無線ノード120へ指示される情報に基づいて送信側時空間パターンを決定する実施形態についての例として、BSは、
図8に例示するように、全ての受信ビームについてのランダムアクセスリソースブロック構成を、ビーコンスイープパターンの各ビーコンビームにおいて送信してもよい。代替的に、BSは、
図9に例示するように、ある受信ビームについてのランダムアクセスリソースブロック構成のみを、ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビームにおいて送信する。即ち、受信ビームiについてのランダムアクセスリソースブロック構成は、ビーコンビームiにおいて指示され及び送信される。
【0060】
上記のように、ここでの実施形態の原理は、サーバ無線ノード110が、予め定義され又は予め決定される受信側時空間スイープパターンを使用して、少なくとも1つの信号、例えばRAプリアンブルを検出し及び/又は受信すること、並びに、クライアント無線ノード120が、決定された送信側時空間パターンに従ってRAプリアンブルを送信すること、である。クライアント無線ノード120の送信側時空間パターンは、受信側時空間スイープパターンに基づいて、又は、クライアント無線ノードが位置しているエリアへサーバ無線ノードの受信側時空間スイープパターンのビームが向けられるタイミングに基づいて、又は、クライアント無線ノードへ指示される情報に基づいて、のいずれかで決定され、例えば、各ビームについてのクライアント無線ノードの送信側時空間パターンの情報は、ビーコンスイープパターンの対応するビーコンビーム上で、サーバ無線ノード110によりクライアント無線ノードへ指示される。このようなパターン定義により、クライアント無線ノード120は、サーバ無線ノード110の受信側時空間スイープパターンの1つ以上のビームが、当該クライアント無線ノード120が位置しているエリアへいつ向けられるかを知得することができ、クライアント無線ノード120は、少なくとも1つの信号、例えばRAプリアンブルを、これらのビーム生起中にのみ送信し得る。その結果、アソシエーション又は接続のセットアップ中にクライアント無線ノード120から送信される、反復される信号又はRAプリアンブルの数を、有意に低減し又は回避することができる。反復されるこれらの送信により生じる干渉もまた、低減される。よって、ワイヤレス通信ネットワークのスループット及び信号品質が増大され及び改善される。
【0061】
当業者らは、サーバ無線ノード110又はクライアント無線ノード120についての上記の受信モジュール502、決定モジュール504、及び送信モジュール506が、1つの回路又は1つのモジュール、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせ、各モジュールの機能を実行するソフトウェア、ファームウェア、及び/又は任意の他のデジタルハードウェアを用いて構成される1つ以上のプロセッサ、として言及されてもよいことを認識するであろう。これらのプロセッサ、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせ、並びに他のデジタルハードウェアのうちの1つ以上が単一の特定用途向け集積回路(ASIC)内に含まれてもよく、又は、個々にパッケージ化されるかシステムオンチップ(SoC)へと組み立てられるかに関わらず、幾つかのプロセッサ及び異なる複数のアナログ/デジタルハードウェアが幾つかの別個のコンポーネント間で分散されてもよい。
【0062】
ワイヤレス通信ネットワーク100における、サーバ無線ノード110及び/又はクライアント無線ノード120についてのここでの実施形態は、サーバ/クライアント無線ノードにおけるプロセッサ508などの1つ以上のプロセッサを通じて、ここでの実施形態の機能及びアクションを実行するためのコンピュータプログラムコードと共に実装されてもよい。上述のプログラムコードは、例えば、サーバ/クライアント無線ノード110/120内にロードされた場合にここでの実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコード、を搬送するデータキャリアの形で、コンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。1つのこのようなキャリアは、CD ROMディスクの形であり得る。但し、このようなキャリアは、メモリスティックなどの他のデータキャリアを用いて実現可能である。コンピュータプログラムコードは、さらに、サーバ上の純粋なプログラムコードとして提供されて、サーバ/クライアント無線ノード110/120にダウンロードされてもよい。
【0063】
サーバ/クライアント無線ノード110/120内のメモリ510は、1つ以上のメモリユニットを含んでよく、サーバ/クライアント無線ノード110/120において実行された場合にここでの方法を実行する目的で、受信された情報、測定値、データ、構成を格納するために配置されて使用されてもよい。
【0064】
「含む/備える(comprise or comprising)」という語が使用される場合、この語は非限定的に、即ち、「少なくとも…からなる(consist at least of)」の意味として解釈されるものとする。
【0065】
ここでの実施形態は、上記の好適な実施形態には限定されない。多様な変形例、修正例、及び均等物が使用されてもよい。よって、上記の実施形態は、この発明の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、この発明は、添付の特許請求の範囲により定義される。