(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572319
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおけるコンテンションウィンドウサイズを決定するための通信機器及び通信機器における方法
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20190826BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20190826BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20190826BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W28/04 110
H04W16/14
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-548290(P2017-548290)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-512795(P2018-512795A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】SE2016050038
(87)【国際公開番号】WO2016148622
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/134,340
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジュン−フー
(72)【発明者】
【氏名】ファラハティ, ソロール
(72)【発明者】
【氏名】カン, ドゥ ホー
(72)【発明者】
【氏名】コオラパティ, ハヴィッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラーション, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー, アミタヴ
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
ALCATEL-LUCENT SHANGHAI BELL, ALCATEL-LUCENT,Considerations on LBT Enhancements for Licensed-Assisted Access,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #78bis R1-144083,3GPP,2014年 8月10日,p.1-6,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_78b/Docs/R1-144083.zip
【文献】
SHARP,Evaluation results for coexistence of LAA and WiFi,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #80 R1-150694,3GPP,2015年 2月13日,p.1-14,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80/Docs/R1-150694.zip
【文献】
INTEL CORPORATION,LBT design for LAA downlink,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #80 R1-150089,3GPP,2015年 2月13日,p.1-8,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80/Docs/R1-150089.zip
【文献】
CABLELABS,LBT with Exponential Backoff Process for Fair Channel Access,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #80 R1-150269,3GPP,2015年 2月13日,p.1-3,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80/Docs/R1-150269.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信機器(1200)によって実行される、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを適合又は決定する方法であって、
−少なくとも1つのサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを、少なくとも1つの第2の通信機器へ送信すること(1101)と、
−前記少なくとも1つのサブフレームに対して、前記第2の通信機器から、複合自動再送要求(HARQ)フィードバック値を受信すること(1102)と、
−前記受信したHARQフィードバック値に基づくと共に、いずれかの以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定又は適合すること(1103)と、
を有する方法。
【請求項2】
前記決定又は適合すること(1103)は、プライマリセル及び1つ以上のセカンダリセルを含んだライセンス・アシステッド・アクセス(LAA)システムにおいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信すること(1101)より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、前記第1の通信機器によってチャネルが前記少なくとも1つのバーストの前記送信を自由に実行することができると判定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを前記決定又は適合すること(1103)は、前記受信したHARQフィードバック値に基づくと共に前記チャネルにアクセスするために前記LBT手順が実行される際に前記第1の通信機器において利用可能ないずれかの以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を決定又は適合すること(1103)は、以下に従って実行される:
−CWは、過去のHARQフィードバック値の順序付けされたリストのうちのHARQ1;HARQ2,HARQkである前記HARQフィードバック値の、
CW=f(HARQ1,HARQ2,...,HARQk)
に従う関数であり、ここで、kは前記リストにおける最新のHARQフィードバック値の数である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を決定又は適合すること(1103)は、i番目のLBTに対して、
NACK_ratio<T0の場合、CW(i)=CWmin、
NACK_ratio≧T0の場合、CW(i)=CW(i−1)×ax、
のように定義されるCW(i)=f(HARQ ACK/NACK)に従って実行され、
ここで、倍数因子aは2であり、NACK_ratio=(HARQ NACKの数)/(利用可能な使用されていないHARQフィードバック値の総数)であり、T0は0から1まで変動可能な閾値であり、xはNACK_ratioの関数である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を決定又は適合すること(1103)は、
CW=CWmin×an
に従って実行され、ここで、倍数因子aは2であり、nは最後に受信されたACKの後に受信されたNACKの数であり、nは、
n=floor((最後に受信されたACKの後に受信されたNACKの数)/N)
であり、ここで、関数floor()は入力n以下の整数値を返し、すなわち、前記ウィンドウ・サイズCWは平均してN個のNACKフィードバック値ごとに倍数因子aによって増加され、ここで、Nは、LBTのアルゴリズムの積極性を制御するのに用いられるパラメータである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを適合又は決定するための第1の通信機器(1200)の形式の装置であって、前記装置(1200)はプロセッサ(1240)とメモリ(1250)とを有し、前記メモリ(1250)は、前記プロセッサ(1240)によって実行可能な命令を収容し、当該命令によって、
少なくとも1つのサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを、少なくとも1つの第2の通信機器へ送信し、
前記少なくとも1つのサブフレームに対して、前記第2の通信機器から、複合自動再送要求(HARQ)フィードバック値を受信し、
−前記受信したHARQフィードバック値に基づくと共に、いずれかの以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定又は適合する、
ように動作する装置。
【請求項9】
プライマリセル及び1つ以上のセカンダリセルを含んだライセンス・アシステッド・アクセス(LAA)システムにおいて前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定又は適合するように動作する、請求項8に記載の装置(1200)。
【請求項10】
前記送信より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、前記第1の通信機器によってチャネルが前記少なくとも1つのバーストの前記送信を自由に実行することができると判定される、請求項8又は請求項9に記載の装置(1200)。
【請求項11】
前記受信したHARQフィードバック値に基づくと共に前記チャネルにアクセスするために前記LBT手順が実行される際に前記第1の通信機器において利用可能ないずれかの以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定又は適合するように動作する、請求項10に記載の装置(1200)。
【請求項12】
前記装置は、前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を以下に従って決定又は適合するように動作し、
−CWは、過去のHARQフィードバック値の順序付けされたリストのうちのHARQ1;HARQ2,HARQkである前記HARQフィードバック値の、
CW=f(HARQ1,HARQ2,...,HARQk)
に従う関数であり、ここで、kは前記リストにおける最新のHARQフィードバック値の数である、
請求項8から11のいずれか1項に記載の装置(1200)。
【請求項13】
前記装置は、前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を、
i番目のLBTに対して、
NACK_ratio<T0の場合、CW(i)=CWmin、
NACK_ratio≧T0の場合、CW(i)=CW(i−1)×ax、
のように定義されるCW(i)=f(HARQ ACK/NACK)に従って決定又は適合するように動作し、
ここで、倍数因子aは2であり、NACK_ratio=(HARQ NACKの数)/(利用可能な使用されていないHARQフィードバック値の総数)であり、T0は0から1まで変動可能な閾値であり、xはNACK_ratioの関数である、
請求項8から11のいずれか1項に記載の装置(1200)。
【請求項14】
前記装置は、前記ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(ここではCW)を、
CW=CWmin×an
に従って決定又は適合するように動作し、
ここで、倍数因子aは2であり、nは最後に受信されたACKの後に受信されたNACKの数であり、nは、例えば、
n=floor((最後に受信されたACKの後に受信されたNACKの数)/N)
であってもよく、ここで、関数floor()は入力n以下の整数値を返し、すなわち、前記ウィンドウ・サイズCWは平均してN個のNACKフィードバック値ごとに倍数因子aによって増加され、ここで、Nは、LBTのアルゴリズムの積極性を制御するのに用いられるパラメータである、
請求項8から11のいずれか1項に記載の装置(1200)。
【請求項15】
装置(1200)において実行されるときに、プロセッサ(1240)を用いて、前記装置に、方法の請求項1から7の主題のいずれかを実行させる、コンピュータ可読コードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、スペクトルが共有されるライセンス・アシステッド・アクセス・システムにおけるチャネルアクセスに関する。特に、通信ネットワークにおけるランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定/適合するための方法及び第1の通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
「ライセンス・アシステッド・アクセス」(LAA)と呼ばれる第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の発議は、ユーザ端末(UE)又はeNB基地局などのロングタームエボリューション(LTE)機器が非ライセンス5GHz無線スペクトラムにおいても動作可能とすることを目的としている。非ライセンス5GHzスペクトルは、ライセンススペクトルを補うものとして使用される。したがって、機器は、プライマリセル(PCell)を用いてライセンススペクトルにおいて接続し、1つ以上のセカンダリセル(SCell)を用いて、非ライセンススペクトルにおける追加の送信キャパシティから利益を得るために、キャリアアグリゲーション(CA)を使用する。ライセンススペクトル及び非ライセンススペクトルを統合するのに必要な変更を減らすために、PCellにおけるLTEフレームタイミングが、SCellにおいて同時に使用される。
【0003】
しかしながら、規制上の要件が、先行のチャネルセンシングを伴わない非ライセンススペクトルにおける送信を許可しないかもしれない。非ライセンススペクトルは、同様の又は異なる無線技術の他の無線器と共用されなければならないため、いわゆるリスン・ビフォア・トーク(LBT)の方法が適用される。今日、非ライセンス5GHzスペクトルが、IEEE802.11無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)標準を実装する端末によって、主として使用されている。この標準は、「Wi−Fi」としても知られている。
【0004】
規制は、各地域によって変動しうる。例えば、欧州では、LBT手順が、欧州電気通信標準化機構(ETSI)によって導入されたEN301.893とも呼ばれる、いわゆる欧州整合規格(EN)規制の範囲下にある。LAAが5GHzで動作するために、LAAのLBT手順が、EN301.893で説明される要求及び最小限の挙動に適合すべきである。しかしながら、追加のシステム設計及びステップが、EN301.893のLBT手順を用いて、Wi−FiとLAAの共存を保証するために必要とされる。
【0005】
以下では、ここでの実施形態の背景を理解するために、スペクトルがライセンスされるLTE、及び、LBT手順、例えばWiFi又はWLANを用いるシステムを含んだ、LAAに関係する技術の大まかな説明が与えられる。
【0006】
LTEは、下りリンクにおいてOFDM(直交周波数分割多重)、上りリンクにおいてシングルキャリアFDMA(周波数分割多元接続)を用いる。基本的なLTE下りリンク物理リソースを、
図1に図解されるように時間周波数グリッドとして見ることができ、ここで、各リソースエレメントは、1つのOFDMシンボル区間の間の1つのサブキャリアに対応する。上りリンクサブフレームは、下りリンクと同じサブキャリア間隔と、下りリンクにおけるOFDMシンボルと同数の時間領域における(シングルキャリア)SC−FDMAシンボルを有する。また、OFDMシンボルは、サイクリックプリフィックス(CP)及び15kHzのサブキャリア間間隔を含んで示されている。リソースエレメントも示されている。
【0007】
時間領域において、LTE下りリンク伝送が10msの無線フレームに編成され、各無線フレームは、
図2に示すように、10個の等しいサイズの長さTsubframe=1msのサブフレームからなる。通常のCPに対し、1つのサブフレームは14OFDMシンボルからなる。各シンボルの区間は約71.4μsである。
【0008】
さらに、LTEにおけるリソース割り当ては、リソースブロックに関して説明され、ここで、リソースブロックは、時間領域における1つのスロット(0.5ms)と周波数領域における12個の連続するサブキャリアに対応する。時間領域において隣接する2つのリソースブロックのペア(1.0ms)は、リソースブロックペアとして知られる。リソースブロックは、周波数領域において番号付けされ、システム帯域幅の1つの端から0で始まる。
【0009】
下りリンク伝送は動的にスケジューリングされ、すなわち、各サブフレームにおいて、基地局又はeNodeBが、どの端末(またはUE)のデータ送信されるか及びそのデータが現在の下りリンクサブフレームにおけるどの無線下りリンクリソースブロックで送信されるかについて情報提供する制御情報を送信する。この制御シグナリングは、通常、各サブフレームにおける最初の1、2、3又は4OFDMシンボルにおいて送信され、その数n=1、2、3又は4は、制御フォーマットインジケータ(CFI)として知られる。下りリンクサブフレームは、受信機に知られていると共に例えば制御情報のコヒーレント復調に用いられる、共通参照信号をも含む。制御(制御領域)としてCFI=3OFDMシンボルを用いる下りリンクシステムを
図3に示す。
【0010】
図3に示される参照シンボルは、セル固有参照信号(CRS)として知られ、精緻な時間及び周波数同期及び所定の伝送モードのためのチャネル推定を含む複数の機能をサポートするために用いられる。
【0011】
LTEでは、物理個別制御チャネル(PDCCH)及びエンハンスドPDCCH(EPDCCH)として知られるチャネルがある。
【0012】
PDCCH/EPDCCHの両方が、スケジューリング決定及び電力制御コマンドなどの下りリンク制御情報(DCI)を運ぶのに用いられる。DCIは、以下を含む:
−物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)リソース表示、トランスポートフォーマット、ハイブリッドARQ情報、及び(適用可能であれば)空間多重に関する制御情報を含んだ下りリンクスケジューリング割り当て。下りリンクスケジューリング割り当ては、下りリンクスケジューリング割り当てに応じたハイブリッドARQの確認応答の送信に用いられる物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)の電力制御のためのコマンドをも含む。
−物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)リソース表示、トランスポートフォーマット、及びハイブリッドARQ関連情報を含んだ上りリンクスケジューリンググラント。上りリンクスケジューリンググラントは、PUSCHの電力制御のためのコマンドをも含む。
−スケジューリング割り当て/グラントに含まれるコマンドを補うものとしての、端末(UE)の集合のための電力制御コマンド。
【0013】
PDCCH/EPDCCHは、上記の情報群の1つを含んだ1つのDCIメッセージを運ぶ。複数の端末(UE)が同時にスケジューリングされうるため、そして、各端末が下りリンクと上りリンクとの両方でスケジューリングされうるため、各サブフレーム内で複数のスケジューリングメッセージを送信することができる。各スケジューリングメッセージは、別個のPDCCH/EPDCCHリソースで送信され、その結果、通常は、各セルにおいて各サブフレーム内に複数の同時のPDCCH/EPDCCH伝送がある。さらに、異なる無線チャネル条件をサポートするために、リンクアダプテーションを使用することができ、そこでは、無線チャネル条件に整合するように、PDCCH/EPDCCHのためのリソース使用量を適合させることによって、PDCCH/EPDCCHの符号化率が選択される。
【0014】
さらに、LTEシステムにおいて、UEには、PDCCHを用いて、ネットワークによって下りリンクデータ伝送が通知される。サブフレームnにおけるPDCCHの受信に応じて、UE(
図4における受信機)は、対応する物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)を復号することが要求されると共に、その後のサブフレームn+kにおいてACK/NACKフィードバックを送信することが要求される。これを
図4に示す。
【0015】
UEからのACK/NACKフィードバックは、eNodeB又はeNB(
図4における送信機)に、対応するPDSCHが正しく復号されたかを通知する。eNodeBは、ACKフィードバックを検出すると、次に、UEへ、新しいデータブロック(TX)を送信することができる。NACKがeNodeBによって検出されると、元のデータブロックに対応する符号化ビットが再送される。再送(reTX)が先に送信された符号化ビットの繰り返しに基づく場合、チェイス合成HARQプロトコルで動作していると言われる。再送が先の送信試行において使用されていない符号化ビットを含む場合、インクリメンタルリダンダンシHARQプロトコルで動作していると言われる。
【0016】
ACK/NACKフィードバックは、UEが同時に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)を送信しているかに応じた以下の2つの取りうるアプローチのうちの1つを用いて、そのUEによって送信される:
UEがPUSCHを同時に送信していない場合、ACK/NACKフィードバックは物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を介して送信される。
UEがPUSCHを同時に送信している場合、ACK/NACKフィードバックはPUSCHを介して送信される。
【0017】
LTEは、20MHzより大きい帯域幅をサポートする。LTE Rel−10での1つの重要な要求は、LTE リリース8(RL−8)との公報互換性を保証することである。これは、スペクトルの互換性も含むべきである。それは、20MHzより広いLTE Rel−10のキャリアが、LTE Rel−8端末に対して複数のLTEキャリアと見えるべきであることを意味を含むだろう。このようなキャリアのそれぞれは、コンポーネントキャリア(CC)と呼ばれうる。特に、初期のLTE Rel−10展開に対して、多くのLTEレガシー端末と比して少数のLTE Rel−10対応可能端末が存在することが予定されうる。
【0018】
したがって、レガシー端末に対しても、広いキャリアの効果的な使用を、すなわち、レガシー端末(Rel−8端末)が広帯域のLTE Rel−10キャリアの全部分においてスケジューリングされうるキャリアを実装することができることを、確実にすることが必要である。これを得るための単純な方法は、キャリアアグリゲーション(CA)を用いることだろう。CAは、LTE Rel−10端末が複数のCCを受信することができるという意味を含み、ここで、CCは、Rel−8キャリアと同じ構成を有する又は少なくとも有する可能性を有する。CAを
図5に図解する。CA可能なUEには、常にアクティブ化されるプライマリセル(PCell)と、動的にアクティブ化又はデアクティブ化されうる1つ以上のセカンダリセル(SCell)が割り当てられる。
【0019】
集約されるコンポーネントキャリア(CC)の数及び個別のCCの帯域幅は、上りリンクと下りリンクとで異なりうる。対称構成は下りリンク及び上りリンクにおけるCCの数が同じである場合を呼ぶ一方で、非対称構成は、そのCCの数が異なる場合を呼ぶ。セルにおいて構成されるCCの数は、端末によって見えるCCの数と異なりうることに留意することが重要である:セルが同数の上りリンクCC及び下りリンクCCを用いて構成されていても、端末(例えばUE)は、例えば、上りリンクCCより多くの下りリンクCCをサポートしうる。
【0020】
さらに、キャリアアグリゲーションの特徴は、クロスキャリアスケジューリングを行う能力である。この機構は、1つのCCにおける(E)PDCCHが、その(E)PDCCHメッセージの最初に挿入される3ビットのキャリアインジケータフィールド(CIF)を用いて、他のCCでのデータ送信をスケジューリングすることを可能とする。所与のCCでのデータ送信に対して、UEは、−同一のCCと、クロスキャリアスケジューリングを介した異なるCCとのいずれにおいても−1つのCCのみでの(E)PDCCHにおけるスケジューリングメッセージを受信することを予定し;(E)PDCCHからPDSCHへのこのマッピングは、準静的に構成される。
【0021】
先に述べたように、LAAシステムでは、スペクトルの共用が行われ、そこでは、LTEがライセンススペクトルで動作し、WLAN又はWiFiが非ライセンススペクトルで動作する。以下では、WLAN又はWiFiシステムについて、特にWLANシステムにおいてチャネルにどのようにアクセスするかについて、簡単に説明する。
【0022】
WLANの通常の展開において、衝突回避を伴うキャリアセンス多元接続(CSMA/CA)が媒体アクセスに用いられる。これは、クリアチャネル評価(CCA)を実行するためにチャネルをセンシングし、チャネルがアイドルと示される場合にのみ送信が開始されることを意味する。チャネルがビジーと示される場合は、チャネルがアイドルであると判断されるまで送信が原則的に保留される。いくつかの同一の周波数を使用するアクセスポイント(AP)の範囲が重なる場合、これは、1つのAPに関する全ての送信が、範囲内の別のAPへの又は別のAPからの同じ周波数での送信が検出されうる場合に、保留されるかもしれないことを意味する。事実上、これは、いくつかのAPが範囲内にある場合に、チャネルを時間で共有しなければならず、個別のAPに対するスループットが大幅に劣化しうることを意味する。リスン・ビフォア・トーク(LBT)機構又は手順の大まかな説明を
図6に示す。
【0023】
WLANステーションAがステーションBにデータフレームを送信した後には、ステーションBは、16μsだけ遅延させてACKフレームをステーションAに返送しなければならない。このようなACKフレームは、LBT動作を実行することなく、ステーションBによって送信される。別のステーションがこのようなACKフレーム送信に干渉することを防ぐため、ステーションは、チャネルが占有されているかを再度評価する前に、チャネルが占有されていることを観測した後の(DIFSと呼ばれる)34μsの期間の間、保留しなければならない。
【0024】
したがって、送信することを望むステーションは、まず、固定の期間DIFSの間媒体をセンシングすることによってCCAを実行する。媒体がアイドルである場合、ステーションは、その媒体の所有権を取り、フレーム交換シーケンスを開始してもよいと推測する。媒体がビジーである場合、ステーションは、媒体がアイドルになるのを待機し、DIFSの間保留し、さらなるランダムバックオフ期間の間待機する。
【0025】
さらに、ステーションが連続してチャネルを占有し、それによって他のステーションがチャネルにアクセスするのを妨害するのを防ぐために、送信が完了した後に再度送信することを望むステーションに対して、ランダムバックオフを実行することが要求される。
【0026】
PIFSは、媒体への優先アクセスを得るために用いられ、DIFS期間より短い。特に、PCF下で動作しているステーションによって、優先してビーコンフレームを送信するのに用いられうる。通常の各コンテンションフリー期間(CFP)の初めに、APは媒体をセンシングしなければならない。媒体が1つのPIFS期間(一般的に25μs)の間アイドルであると判定された場合、APは、CFパラメータセット及び伝送トラフィック表示メッセージ要素を含んだビーコンフレームを送信しなければならない。
【0027】
媒体が利用可能となる場合、複数のWLANステーションが送信する用意を開始する可能性があり、結果として衝突が生じうることに言及すべきである。衝突を減らすため、送信を意図するステーションは、ランダムバックオフカウンタを選択し、そのスロットチャネルがアイドルの回数だけ保留する。ランダムバックオフカウンタは、[0,CW]の区間にわたる一様分布から引き出されたランダム整数として選択される。ランダムバックオフコンテンションウィンドウのデフォルトサイズ(CWmin)は、IEEE規格において設定されている。なお、このランダムバックオフプロトコルを用いても、チャネルアクセスを意図する多くのステーションがある場合は、衝突がなおも起こりうる。したがって、連続する衝突を減らすため、バックオフコンテンションウィンドウのサイズCWは、ステーションが自身の送信の衝突を検出する度に、これもIEEE規格で設定されている限界(CWmax)に至るまで、倍にされる。ステーションは、衝突のない送信に成功すると、自身のランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを、元のデフォルト値CWminにリセットする。
【0028】
Wi−Fi(WLAN)プロトコルを利用しない機器に対して、EN301.893は、負荷に基づくクリアチャネル評価のための以下の要求及び最小限の挙動を与えていることにも言及すべきである。
【0029】
1)動作チャネルにおける送信またはバースト送信の前に、装置(AP又はUE)は、「エネルギー検出」を用いたCCAチェックを実行しなければならない。装置は、20μs以上でなければならないCCA観測時間の持続時間の間、動作チャネルを観測しなければならない。装置によって使用されるCCA観測時間は、製造者によって公表されなければならない。動作チャネルは、そのチャネルにおけるエネルギーレベルが以下のポイント5で与えられる電力レベルに対応する閾値を超える場合、占有されているとみなされなければならない。装置は、チャネルがクリアであることを見出した場合、即時に送信してもよい(以下のポイント3参照)。
【0030】
2)装置は、動作周波数が占有されていることを見出した場合、そのチャネルで送信をしてはならない。装置は、動作チャネルがランダム係数NにCCA観測時間を乗じた持続期間の間観測される、拡張CCAチェックを実行しなければならない。Nは、送信の開始前に観測される必要がある全体のアイドル期間をもたらすクリアアイドルスロットの数を定める。Nの値は、拡張CCAが要求される度に範囲1...qでランダムに選択され、その値がカウンタ内に格納されなければならない。qの値は、範囲4...32で、製造者によって選択される。この選択された番号は、製造者によって公表されなければならない。カウンタは、CCAスロットが「占有されていない」と考えられるたびにデクリメントされる。カウンタが0に達したときに、装置は送信することができる。
【0031】
3)装置が動作チャネルを使用する全体の時間は、上のポイント2で定められるqを用いて(13/32)×qより小さくなければならない最大チャネル占有時間であり、その後に、機器は、上のポイント2で説明した拡張CCAを実行しなければならない。
【0032】
4)装置は、この装置に宛てられたパケットを正しく受信したことに応じて、CCAをスキップし、管理及び制御フレーム(例えばACK及びブロックACKフレーム)の送信に即時に移ることができる。装置による、新たなCCAを実行することのない、送信の連続的なシーケンスは、最大チャネル占有時間を超えてはならない。
(注意)マルチキャストのために、個別の機器の(同一のデータパケットに関連する)ACK送信は、順に生じることが許容される。
【0033】
5)CCAに対するエネルギー検出閾値は、送信機の最大送信電力(PH)に比例しなければならない:23dBmのe.i.r.p.送信機に対して、CCA閾値レベル(TL)は、(0dBi受信アンテナを仮定した)受信機への入力において、−73dBm/MHz以下でなければならない。他の送信レベルに対して、CCA閾値レベルTLは、(0dBi受信アンテナおよびdBmのe.i.r.p.において指定されるPHを仮定して)式TL=−73dBm/MHz+23−PHを用いて計算されなければならない。
【0034】
EN301.893におけるLBT機構の例を、
図7に描写する。
【0035】
LAAシステムに関して、今まで、LTEによって使用されるスペクトルは、LTE専用である。これは、LTEシステムが、同じ周波数において他の非3GPP無線アクセス技術との共存に注意する必要がなく、スペクトル効率を最大化することができるという利点を有する。しかしながら、LTEに割り当てられたスペクトルは限られており、これは、アプリケーション/サービスからのより大きなスループットのなおも増加している要求にこたえることができない。したがって、ライセンススペクトルに加えて、非ライセンススペクトルを利用するためにLTEを拡張する新たな検討事項が3GPPにおいて開始されている。
【0036】
図8に示すように、非ライセンススペクトルに対するLAAを用いて、UEは、ライセンススペクトルで動作するPCellと、非ライセンススペクトルで動作する1つ以上のSCellとに接続される。この用途において、非ライセンススペクトルにおけるSCellをLAAセカンダリセル(LAA SCell)と表記する。LAA SCellは、DLオンリーモードで動作してもよいし、UL及びDLの両方のトラフィックで動作してもよい。さらに、将来のシナリオにおいて、LTEノードは、ライセンスドセルからの補助なしに、ライセンス免除チャネルにおけるスタンドアローンモードで動作しうる。非ライセンススペクトルは、本質的に、複数の異なる技術によって同時に使用されうる。したがって、上述のLAAは、IEEE802.11(Wi−Fi又はWLAN)などの他のシステムと共存しうる。
【0037】
Wi−Fi(WLAN)システムと公平に共存するために、SCellでの送信は、衝突、及び、継続中の送信に対する深刻な干渉を引き起こすことをを避けるため、LBTプロトコルに適合しなければならない。これは、送信を開始する前のLBTを実行することと、単一の送信バーストの最大持続期間を制限することとの両方を含む。単一の送信バーストは、チャネルコンテンションの成功の後に実行されるノードによる送信を示す。最大送信バースト持続時間は、国固有および/または地域固有である。例えば、最大バースト持続時間は日本において4msであり、EN301.893に従う欧州において13msである。キャリアアグリゲーション及びLBTを使用するLAAの文脈における例を、例として、4msの最大許容送信持続期間によって制限されるLAA SCellでの送信バーストの持続期間に対する異なる例を用いて、
図9に示す。
【0038】
ETSI EN301.893に規定されているような、固定のランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを用いる基本のLAA共存プロトコルは、チャネルアクセスを競っている少数の又はあまり多くない数のノードを有するネットワークに対処しうる。追加の測定が、同じチャネルで動作している多数のノードがネットワーク内に存在する場合に対処するために必要でありうる。
【0039】
既存のランダムバックオフコンテンションウィンドウプロトコルは、データのバーストの送信後に受信される単一のARQフィードバック値の受信に基づく。LTEの場合、単なるARQプロトコルに代えて、第1のハイブリッドARQ(HARQ)プロトコルに従う。したがって、上位レイヤにおける単一のARQフィードバック値が生成される前に、HARQフィードバックに基づく複数の再送が必要となりうる。
【0040】
加えて、複数のUEが、単一のサブフレームにおいてeNodeBと通信しうる。さらに、単一のLAA送信が、複数のサブフレームからなってもよい。さらに、単一のUEへの又は単一のUEからの送信は、複数のHARQフィードバック値を有してもよい。これは、例えば送信が複数符号語送信の場合である。したがって、チャネルコンテンションの成功に続く単一の送信バーストに対応した複数のフィードバック値が受信されうる複数の方法がある。既存のランダムバックオフコンテンションウィンドウプロトコルは、複数のHARQフィードバックを取り扱うのに適していない。
【0041】
また、LTEの特徴が、HARQフィードバックが複数のサブフレームに対応する固定所定時間、例えば4msの遅延の後にのみ利用可能である一方で、他のシステムにおいて、フィードバックが送信の終了後の非常に短い時間間隔の後に利用可能であり、この非常に短い時間間隔がLTEにおいて定められる上述の遅延より短くてもよいことが想定されることに言及すべきである。これらのシステムは、フィードバック遅延が非常に大きいLTE等のシステムを効果的に対処しない。
【発明の概要】
【0042】
ここでの実施形態による目的は、1つ以上のHARQフィードバック値に基づく、次のチャネルコンテンションに対するランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの決定を可能とする第1の通信機器における方法及び構成又は第1の通信機器を提供することである。したがって、多数の機器又は装置がチャネルアクセスを競う場合であっても、同一チャネルのLAAとWi−Fiとの間の公平な共存動作を可能とする、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの適合/変動を達成することができる。
【0043】
このように、例示の実施形態の態様によれば、プライマリセル及び1つ以上のセカンダリセルを有するライセンス・アシステッド・アクセスシステムにおける、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの適合と決定との少なくともいずれかのための、第1の通信機器により実行される方法又は第1の通信機器における構成が提供される。本方法は、1つ以上の第2の通信機器に対して1つ以上のサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを送信することを有し、少なくとも1つのバーストの送信より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、第1の通信機器によって、チャネルが少なくとも1つのバーストを自由に送信することができると判定される。方法は、さらに、バーストにおける少なくとも1つのサブフレームに対して、対応するHARQフィードバック値を受信することを有する。HARQフィードバックは、少なくとも1つまたはそれ以上の第2の通信機器から受信される。方法は、さらに、受信したHARQフィードバック値のそれぞれに基づいて、かつ、チャネルにアクセスするためにLBT手順を実行する際に第1の通信機器において利用可能な、以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定することを有する。
【0044】
例示の実施形態の別の態様によれば、プライマリセルと1つ以上のセカンダリセルとを含んだライセンス・アシステッド・アクセスシステムにおける、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの適合と決定との少なくともいずれかのための、第1の通信機器又は第1の通信機器における構成が提供される。第1の通信機器は、1つ以上の第2の通信機器に対して1つ以上のサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを送信するように構成された送信器モジュール又は送信器回路を有し、少なくとも1つのバーストの送信より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、第1の通信機器によって、チャネルが少なくとも1つのバーストを自由に送信することができると判定される。第1の通信機器は、さらに、バーストにおける少なくとも1つのサブフレームに対して、対応するHARQフィードバック値を受信するように構成された受信機モジュール又は受信機回路を有する。HARQフィードバックは、少なくとも1つまたはそれ以上の第2の通信機器から受信される。第1の通信機器は、さらに、受信したHARQフィードバック値のそれぞれに基づいて、かつ、チャネルにアクセスするためにLBT手順を実行する際に第1の通信機器において利用可能な、以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するように構成された処理モジュール又は処理回路又はプロセッサを有する。
【0045】
本実施形態に伴う利点は、同一チャネルのLAAとWi−Fiとの間の公平な共存動作が可能となることである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、既知のLTEの下りリンク物理リソースを説明する図である。
【
図2】
図2は、既知のLTEの時間領域構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、LTEにおける下りリンクサブフレームの単純化した図である。
【
図4】
図4は、LTEにおけるHARQ動作の例を説明する図である。
【
図5】
図5は、LTEにおけるキャリアアグリゲーションの例を説明する図である。
【
図6】
図6は、Wi−FiシステムにおけるLBT手順を説明する図である。
【
図7】
図7は、EN301.893におけるLBTを説明する図である。
【
図8】
図8は、1つのPCell及び1つのLAA SCellを用いて構成される、キャリアアグリゲーション可能なUEを説明する図である。
【
図9】
図9は、キャリアアグリゲーション及びLBTを用いた、非ライセンススペクトルに対するLAAを説明する図である。
【
図10】
図10は、ここでの例示の実施形態による、LBT手順の間にランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するための複数HARQフィードバック値の使用を描画した図である。
【
図11】
図11は、本実施形態による、第1の通信機器によって実行される主たる方法ステップを図解するフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態による、第1の通信機器を図解するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
簡潔に説明すると、プライマリセル及び1つ以上のセカンダリセルを含んだライセンス・アシステッド・アクセスシステムにおいてランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの適合と決定との少なくともいずれかのための第1の通信機器とそれにおける方法の例示の実施形態を提供する。第1の通信機器は、ネットワークノード、例えばセカンダリセル(SCell)及びPCellを供給する基地局、であってもよいし、第1の通信機器は、1つのプライマリセルと少なくとも1つのSCellとを用いて構成されるユーザ端末(UE)であってもよい。
【0048】
ここでの実施形態は、LTE規格と互換性があると共にLTE規格に最小の影響を有するパラメータ、メトリック、信号、及び手順を用いた、LAA SCellのための可変のランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズの決定を教示する。ソリューションは、それによってコンテンションウィンドウサイズが1つ以上のHARQフィードバック値に基づいて変動しうる実施形態について説明する。本実施形態は、また、どのように、サブフレーム又はさらに送信バーストの長さより潜在的に大きい可能性のあるHARQフィードバック遅延を計上しながら、この方法において、コンテンションウィンドウサイズが変動されうるかについても説明する。
【0049】
ここで、LBTプロトコルに対する、提案するランダムバックオフ・コンテンションウィンドウの変動技術の説明について述べる。これは、一般的に、FDD及びTDDの両システムに対して、DL及びULの両方の送信に適用可能である。以下では、そこからランダムバックオフカウンタが新しいLBT試行のために引き出されうるコンテンションウィンドウは引き出されるカウンタが[0,CW]の範囲内にあるように、CWによって表される。デフォルトのランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズは、CWminによって表される。
【0050】
実施形態は、例えばPDSCH又はPUSCHで運ばれるデータ(バースト)送信のためのLBTを検討する。データ送信の受信機は、LTE規格に従って、データの受信に成功した(ACK)か否(NACK)かを示すために、送信機へHARQフィードバックを提供するように構成される。ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(CW)は、HARQフィードバックに基づいて、送信機(第1の通信機器)によって修正される。修正は、チャネルにアクセスするためにLBT動作が実行される際に利用可能である、以前に使用されていない受信されたHARQフィードバックの全てに基づく。受信機は、送信機機器、すなわち、バーストを送信した第1の通信機器へHARQフィードバックを提供する1つ以上の第2の通信機器を意味する。
【0051】
上述のように、送信バーストは、チャネルコンテンションの成功の後に実行される第1の通信機器(UE又はeNB)による送信を示す。送信バーストは、1つ以上の第2の通信機器(UE又はeNB)への送信を有する各サブフレームを伴う1つ以上のサブフレームを含みうる。サブフレームの送信は、1つ以上の符号語を含み、これに基づいて、1つ以上のHARQフィードバックが第1の通信機器へ送信される。各送信バーストは、チャネルが自由に送信することができると第1の通信機器が判定するLBT手順の成功に先行される。
【0052】
図10を参照して、LBT手順の間のランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するために用いられる複数のHARQフィードバック値の使用を示すシナリオについて説明する。
【0053】
特定のサブフレームにおける送信に対するHARQフィードバック値は、そのサブフレームが少なくとも(x+1)サブフレーム後に生じる場合、LBT手順での使用のために第1の通信機器において利用可能であると想定される。これは、フィードバックに利用可能な時間x msプラス処理遅延のための1msより少ないことが想定されるギャップを含む。例えば、LTEにおいて、xは、4msでありえ、したがって、この場合、特定のサブフレームにおける送信に対するHARQフィードバック値は、そのサブフレームが少なくとも5サブフレーム後である場合に、第1の通信機器によってLBT手順のために利用可能であると仮定される。
【0054】
図10は、サブフレーム0からのHARQフィードバック値を用いた、サブフレーム番号6で開始する送信バーストに対して生じる(ダッシュを引いた)LBT手順に対するコンテンションウィンドウを示している。サブフレーム0の範囲内で、単一のHARQフィードバックがユーザ1(U1)に対して受信される一方で、複数のHARQフィードバック値がユーザ2(U2)に送信される複数の符号語に対して受信される。サブフレーム1に対するHARQフィードバック値は、この例においては、利用可能ではなく、したがって、同一の送信バーストに属しているが、使用されない。図のように、HARQフィードバック値は、次のLBT手順のためのランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(Out1)を決定するように構成されたブロック1001への入力として使用される。
【0055】
本図は、この例において先のバースト送信に利用可能で、以前に使用されていないHARQフィードバック値及びそれに続くバースト送信に対するHARQフィードバック値を使用する、次の送信バーストに対する(点を付された)LBT手順をも示している。ここで、フィードバック値は、複数の符号語、ユーザ、サブフレーム、及び送信バーストにわたる。ここで、以前の送信に対する以前に使用されていないHARQフィードバック値及びそれに続くバースト送信に対するHARQフィードバック値は、次のLBT手順のためのランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(Out2)を決定するためにブロック1002への入力として使用される。
【0056】
以下では、第1の通信機器によって実行されうる複数のHARQ値の合成について、ここでのいくつかの例示の実施形態に従って説明する。
【0057】
例示の実施形態によれば、複数のHARQ値は、単一のフィードバック値へと合成されうる。例えば、受信したHARQフィードバック値が全てNACKである場合に、(有効な)HARQ値が合成されて単一の(有効な)NACKを形成する。代わりに、全てのフィードバック値が全てACKである場合、そのACKの合成によって、単一のACK値が生成される。
【0058】
別の例示の実施形態では、受信したHARQ値のうちの単一のHARQ値がNACKである場合、合成が、単一のNACK値をもたらす。
【0059】
別の例示の実施形態では、複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値が合成され、NACKである受信HARQフィードバック値の割合が所定の閾値を超える場合に、単一の(有効な)NACKを形成する。このような閾値は設計パラメータである。
【0060】
別の例示の実施形態では、複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値が合成され、ACKである受信したHARQフィードバック値の割合が所定の閾値を超える場合に、単一の有効なACKを形成する。このような閾値も設計パラメータである。
【0061】
複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値がコンテンションウィンドウサイズを決定するのに用いられる前に、リスト内で順序付けされうることに言及すべきである。例えば、1つのサブフレームにおける1つのユーザ(UE)又は複数のユーザ(UE)に対する複数の符号語に対応するHARQフィードバック値が、第1の通信機器による送信に用いられる変調及び符号化方式によって定まる送信レートが高い順に順序付けされる。異なるサブフレームかつ異なる送信バーストに対するHARQフィードバック値は、時間順に順序付けされてもよい。
【0062】
別の例示の実施形態において、1つのサブフレームにおける1つのユーザ(UE)又は複数のユーザ(UE)に対する複数の符号語に対応するHARQフィードバック値は、第1の通信機器による送信に用いられる変調及び符号化方式によって定まる送信レートが低い順に順序付けされる。送信機(第1の通信機器)において利用可能な場合、信号対雑音比(SNR)値が、リスト内でHARQ値を順序付けるのに用いられてもよい。
【0063】
別の例示の実施形態において、上の例に従って順序付けされた複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値が合成され、複数のHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値の順序付けされたリスト内の最初のM個のフレームのみに適用される上の基準のいずれかに基づいて、単一の有効なNACKを形成する。これは、合成された有効なHARQフィードバック値がリスト内の最初のHARQフィードバック又は有効なフィードバック値の値と同じとなるように、M=1の場合を含む。
【0064】
例示の実施形態によれば、複数のHARQフィードバック値が、どのようにコンテンションウィンドウサイズが変更されるかを決定するために、パケットの異なるグループに対して異なって用いられうる。例えば、多入力多出力(MIMO)送信における符号語、1つのサブフレームにおける異なるユーザ、異なるサブフレームにおけるユーザ、及び、異なる送信バーストにおけるユーザ、に対応するHARQフィードバック値に対して、HARQフィードバック値は、どのようにコンテンションウィンドウサイズが変更するかを決定する際に、全て、異なるように用いられうる。この実施形態のいくつかの例示の実装について、後述する。
【0065】
1)第1の通信機器によって単一のユーザ(UE)に送信される異なる符号語に対するHARQフィードバック値は、ユーザごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように合成されて、上述のように単一の(有効な)HARQフィードバック値を形成する。サブフレーム内の全てのユーザに対するHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値は、さらに合成されて、サブフレームに対して単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。説明するように、全送信バーストにわたる全サブフレームに対するHARQフィードバック値は、上述のように時間順でリストにおいて順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0066】
2)別の例において、あるユーザに対する異なる符号語に対するHARQフィードバック値がまず合成され、その後、サブフレーム内のユーザごとのHARQ又は有効なHARQフィードバック値が合成されて、上の実施形態において説明したように、サブフレームごとの単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。そして、上述のように、サブフレームごとに単一の値がさらに合成されて、送信バーストごとに単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。その後、送信バーストごとのHARQフィードバック値又は有効値の一覧が、リスト内で時間順に順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。
【0067】
3)上述の例示の実施形態のバリエーションにおいて、HARQフィードバック値のリスト内のHARQフィードバック値又は送信バーストごとの有効値は、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するのに用いられる単一の有効HARQフィードバック値を生成するために合成されうる。
【0068】
4)別の例によれば、単一のユーザ(UE)へ送信される異なる符号語に対するHARQフィードバック値は合成されて、ユーザごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように、上述のように単一の有効なHARQフィードバック値を形成しうる。全サブフレーム及び全送信バーストにわたる全ユーザ(UE)からのHARQフィードバック値は、さらなる合成なく、リスト内で順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0069】
5)別の例では、サブフレームにおける全ユーザ(UE)に属する全符号語に対してHARQフィードバック値が合成され、サブフレームごとに1つのHARQフィードバックまたは有効なHARQフィードバック値が存在するように、説明されたような単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。全送信バーストにわたる全サブフレームに対するHARQフィードバック値はリスト内で時間順に順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。
【0070】
6)別の例によれば、1つのサブフレーム及び送信バーストにおける全サブフレームにおける全ユーザ(UE)に属する全符号語に対するHARQフィードバック値が合成され、送信バーストごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように、上述のように単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。全送信バーストに対するHARQフィードバック値はリスト内で時間順に順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムに対する入力として使用される。
【0071】
7)別の例では、1つのサブフレーム、1つの送信バースト内の及び複数の送信バーストにわたって全サブフレームにおける全ユーザに属する全符号語に対するHARQフィードバック値は、全て合成され、1つのHARQフィードバックまたは有効なHARQフィードバック値が生成されるように、説明したような単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。この単一のHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値は、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。
【0072】
8)別の例では、全ての利用可能なHARQ値が、合成や順序付けを行うことなく、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として、直接使用されてもよい。
【0073】
上述のように、HARQフィードバック値は、第1の通信機器のランダムコンテンションウィンドウサイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。以下では、このようなアルゴリズムの例について説明する。
【0074】
例示の実施形態によれば、1つ以上のサブフレーム含んだ送信バーストの開始の際にLBT動作が実行される場合に、上述のように、過去のHARQフィードバック値の順序付きリストに応じて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズが決定される。したがって、CWと表されるウィンドウサイズは、順序付きリストのHARQフィードバック値HARQ
2、HARQ
2、…、HARQ
Kの、
CW=f(HARQ
2,HARQ
2,…,HARQ
K)
に従う関数と見なされうる。ここで、kは、リストにおける最新のHARQフィードバック値の数である。
【0075】
第1の非限定的なランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ適合実施形態において、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(CW)は、NACKフィードバックが受信される度に、最大値のCWmaxに至るまで2の係数が乗じられうる;そして、ACKフィードバックが受信される度にCWminにリセットされる。LBTを実行するためのコンテンションウィンドウのサイズは、この場合、
CW=CWmin×a
n
と表現されうる。ここで、倍数因子aは2であり、nは、最後に受信されたACKの後に受信されたNACKの数を表す。
【0076】
例によれば、nは、
n=floor((最後にACKを受信した後に受信したNACKの数)/N)
のように設定され、ここで、関数floor()は入力nより大きくない整数値を返す。すなわち、ウィンドウサイズCWは、平均してN個のNACKフィードバック値ごとに倍数因子aによって増加され、ここで、Nは、LBTアルゴリズムの積極性を制御するのに用いられうるパラメータである。
【0077】
別の例では、ウィンドウサイズCWは、指数関数ではない形式、例えば、
CW=CWmin×g(n)
をとってもよく、ここで、g(n)は、m次多項式:
g(n)=c
mn
m+c
m-1n
m-1+…+c
1n+c
0
である。
【0078】
別の例では、受信したHARQフィードバック値に対して、順序付けも合成も行われない。例えば、複数のHARQフィードバック値が、コンテンションウィンドウサイズ決定/変動アルゴリズムにおいて等しく取り扱われる。すなわち、複数のHARQ値が同一ユーザに、複数のユーザに、複数のサブフレーム等に属するかに応じて、その値をどのように処理されるかについて違いはない。例えば、i番目のLBT動作に対するコンテンションウィンドウ、CW(i)=f(HARQ ACK/NACK)が、以下のように定められうる:
CW(i)=CWmin、 NACK_ratio<T0の場合
CW(i)=CW(i−1)×a
x、NACK_ratio≧T0の場合
ここで、倍数因子aは2であり、NACK_ratio=(HARQ NACKの数)/(利用可能で使用されていないHARQフィードバック値の総数)、T0は0から1まで変動可能な閾値であり、xはNACK_ratioの関数である。xのための1つの例示の実装は、以下のように与えられる。
x=1、NACK_ratio≧T0の場合。
xのための別の例示の実装は、以下の通りである。
x=0、T0≦NACK_ratio<T1の場合
x=1、T1≦NACK_ratio<T2の場合
…
x=m、Tm≦NACK_ratio≦1の場合。
【0079】
異なるランダムバックオフウィンドウサイズが、データ送信と管理及び制御情報の送信とのために維持され、適合されてもよいことに言及すべきである。管理及び制御情報送信の非限定的な例は、ディスカバリ参照信号(DRS)送信;第1の通信機器によって送信される、マスターインフォメーションブロック(MIB)とシステムインフォメーションブロック(SIB)との少なくともいずれかの信号である。
【0080】
例示の実施形態によれば、データ送信のためのウィンドウサイズが上述の実施形態のいずれかに基づいて第1の通信機器によって決定され/適合される一方で、管理及び制御情報の送信のためのランダムバックオフ・ウィンドウサイズは、第1の通信機器によって固定されてもよい。
【0081】
別の非限定的な実施形態では、管理及び制御情報の送信のためのランダムバックオフ・ウィンドウサイズは、データ送信のものより低い増加率で決定され/適合されてもよい非限定的な例として、管理及び制御情報の送信のための倍数因子は、データ送信のためのものより小さい値に設定される。第2の非限定的な例として、管理及び制御情報の送信のためのランダムバックオフ・ウィンドウサイズは、データ送信のためのものが(上述のように)指数関数形式で適合される一方で、(上述のように)多項式関数形式で適合される。
【0082】
図11は、上述の実施形態による第1の通信機器によって実行される主たる方法ステップを図解するフローチャートである。
【0083】
図のように、方法は、
(1101)少なくとも1つのサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを、1つ以上の通信機器へ送信すること;ここで、少なくとも1つのバーストの送信より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、第1の通信機器によってチャネルが少なくとも1つのバーストを自由に送信することができると判定される;
(1102)バーストの少なくとも1つのサブフレームについて、対応するHARQフィードバック値を受信すること。HARQフィードバックは、少なくとも1つの第2の通信機器から受信される;及び、
(1103)受信したHARQフィードバックのそれぞれに基づいて、かつ、チャネルにアクセスするためにLBT手順が実行される際に第1の通信機器において利用可能な以前に使用されていないHARQフィードバック値にさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定すること、
を有する。
【0084】
上述のように、第1の通信機器によって実行される方法は、さらに、複数のHARQ値を合成することを有する。例えば、方法は、受信したHARQフィードバック値が全てNACKである場合に、単一の(有効な)NACKを形成するように、(有効な)HARQ値を合成する。代わりに、全てのフィードバック値がACKである場合、方法は、そのACKを合成して単一のACK値を生成する。
【0085】
別の例示の実施形態では、方法は、受信したHARQ値のうちの1つのHARQ値がNACKである場合に、結果的に単一のNACK値を得る合成を有する。
【0086】
別の例示の実施形態において、方法は、NACKである受信HARQフィードバック値の割合が所定の閾値を超える場合に、単一の有効なNACKを形成するために、複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値を合成することを有する。
【0087】
別の例示の実施形態では、方法は、ACKである受信HARQフィードバック値の割合が所定の閾値を超える場合に、単一のACK値を形成するために、複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値を合成することを有する。このような閾値も、設計パラメータである。
【0088】
コンテンションウィンドウサイズを決定するのに使用される前に、複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値が、第1の通信機器によって、リスト内に順序付けられうることに言及されるべきである。例えば、方法は、サブフレームにおける1つのユーザ(UE)及び複数のユーザ(UE)に対する複数の符号語に対応するHARQフィードバック値の送信に用いられる変調及び符号化方式によって定められる送信レートの多い順に順序付けすることを有する。代わりに、異なるサブフレームに対するまた異なる送信バーストに対するHARQフィードバック値は、第1の通信機器によって、時間順に順序付けられてもよい。
【0089】
別の例示の実施形態において、方法は、サブフレームにおける1つのユーザ(UE)及び複数のユーザ(UE)に対する複数の符号語に対応するHARQフィードバック値の送信に用いられる変調及び符号化方式によって決定される送信レートが小さい方から順序付けることを有する。送信機(第1の通信機器)において利用可能な場合の信号対雑音比の値が、リストにおいてHARQ値を順序付けるのに用いられてもよい。
【0090】
別の例示の実施形態において、上の例に従って順序付けられた複数のHARQフィードバック値又は有効なHARQフィードバック値は、第1の通信機器によって合成され、複数のHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値の順序付けされたリストの最初のM個のサブフレームのみに適用される上の基準のいずれかに基づいて、単一の有効なNACKを形成する。これは、合成された有効なHARQフィードバック値が、リストにおける最初のHARQフィードバック又は有効なフィードバック値と同じであるように、M=1の場合を含む。
【0091】
例示の実施形態によれば、複数のHARQフィードバック値が、パケットの異なるグループに対して異なって用いられ/どのようにコンテンションウィンドウサイズが変更されるかを決定するために用いられうる。例えば、多入力多出力(MIMO)送信における符号語、サブフレームにおける異なるユーザ、異なるサブフレームにおけるユーザ、及び異なる送信バーストにおけるユーザに対応するHARQフィードバック値に対して、HARQフィードバック値が、すべて、どのようにコンテンションウィンドウサイズが変動するかを決定するのに別々に用いられうる。この実施形態のいくつかの例示の実装について後述する。
【0092】
1)単一のユーザに送信される異なる符号語に対するHARQフィードバック値が第1の通信機器によって合成され、ユーザごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように、先述のような単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。サブフレーム内の全ユーザに対するHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値は、さらに合成され、サブフレームに対する単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。全送信バーストにわたるサブフレームの全てに対するHARQフィードバック値が、先述のように、リスト内で時間順に順序付けられ、説明するように、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0093】
2)別の例では、1つのユーザに対する異なる符号語に対するHARQフィードバック値が、まず、第1の通信機器によって合成され、その後、サブフレームにおけるユーザごとのHARQ又は有効なHARQフィードバック値が第1の通信機器によって合成され、上の実施形態で説明したように、サブフレームごとの単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。そして、複数のサブフレームごとの単一値は、上述のように、さらに合成され、送信バーストごとの単一の有効なHARQフィードバック値を生成する。その後、送信バーストごとのHARQフィードバック値又は有効値の一覧が、時間順にリスト内で順序付けされ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。
【0094】
3)上述の例示の実施形態のバリエーションにおいて、送信バーストごとのHARQフィードバック値又は有効値のリスト内のHARQフィードバック値は、第1の通信機器によって合成され、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するのに用いられる単一の有効なHARQフィードバック値を生成しうる。
【0095】
4)別の例によれば、単一のユーザ(UE)に送信される異なる符号語に対するHARQフィードバック値は、ユーザごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように、第1の通信機器によって合成され、上述のような単一の有効なHARQフィードバック値を形成しうる。全サブフレーム及び前送信バーストにわたる全ユーザ(UE)に対するHARQフィードバック値は、さらなる合成なくリスト内で順序付けされ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。
【0096】
5)別の例では、サブフレームごとに1つのHARQフィードバックまたは有効なHARQフィードバック値が存在するように、サブフレームにおける全ユーザ(UE)に属する全符号語に対するHARQフィードバック値が第1の通信機器によって合成され、説明した単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。全送信バーストにわたる全サブフレームに対するHARQフィードバック値は、リスト内で時間順に順序付けされ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0097】
6)別の例によれば、送信バーストごとに1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が存在するように、1つのサブフレーム及び1つの送信バースト内の全サブフレームにおける全ユーザ(UE)に属する全符号語に対するHARQフィードバック値は、第1の通信機器によって合成され、先に述べたような単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。全送信バーストに対するHARQフィードバック値は、リスト内で時間順に順序付けられ、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0098】
7)別の例では、サブフレームにおける全ユーザ、送信バーストにおける全サブフレームに属する、及び複数の送信バーストにわたる、全ての符号語に対するHARQフィードバック値が、1つのHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値が生成されるように、全て、第1の通信機器によって合成され、説明したような単一の有効なHARQフィードバック値を形成する。この単一のHARQフィードバック又は有効なHARQフィードバック値は、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として用いられる。
【0099】
8)別の例では、全ての利用可能なHARQ値が、合成や順序付けを行うことなく、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ決定アルゴリズムへの入力として、第1の通信機器によって直接使用されうる。
【0100】
上で言及したように、HARQフィードバック値は、第1の通信機器によって、ウィンドウサイズCWを決定するための第1の通信機器のランダムコンテンションウィンドウサイズ決定アルゴリズムへの入力として使用される。以下は、第1の通信機器によって実行されるCWを決定する方法の例である:
例示の実施形態によれば、1つ以上のサブフレームを含んだ送信バーストの開始時にLBT動作が実行される際のランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズは、上述のような過去のHARQフィードバック値の順序付けられたリストに応じて決定される。このように、ウィンドウサイズCWは、
CW=f(HARQ
2,HARQ
2,…,HARQ
K)
に従って、順序付けられたリストのHARQフィードバック値HARQ
2、HARQ
2、…、HARQ
Kの関数fと見做されうる。ここで、kは、リスト内の最新のHARQフィードバック値の数である。
【0101】
ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ適合実施形態の別の例において、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズ(CW)は、NACKフィードバックが受信されて最大値のCWmaxに達する度に、2の係数が乗じられうる;そしてACKフィードバックが受信される度にリセットされる。LBTを実行するためのコンテンションウィンドウのサイズは、この場合、
CW=CWmin×a
n
のように表現されうる。ここで、倍数因子aは2であり、nは、最後に受信したACKの後に受信したNACKの数を表す。
【0102】
例によれば、nは、
n=floor((最後に受信したACKの後に受信したNACKの数)/N)
に設定され、ここで、関数floor()は入力nより大きくない整数値を返す。すなわち、ウィンドウサイズCWは、平均してN個のNACKフィードバック値ごとに倍数因子aによって増加され、ここで、Nは、LBTアルゴリズムの積極性を制御するのに用いられうるパラメータである。
【0103】
別の例では、ウィンドウサイズ適合の関数形式は、指数関数ではない形式、例えば、
CW=CWmin×g(n)
をとってもよく、ここで、g(n)は、m次多項式:
g(n)=c
mn
m+c
m-1n
m-1+…+c
1n+c
0
である。
【0104】
別の例では、受信したHARQフィードバック値に対して、第1の通信機器によって順序付けも合成も行われない。例えば、複数のHARQフィードバック値が、コンテンションウィンドウサイズ決定/変動アルゴリズムにおいて等しく取り扱われる。すなわち、複数のHARQ値が同一ユーザに、複数のユーザに、複数のサブフレーム等に属するかに応じて、その値をどのように処理されるかについて違いはない。例えば、i番目のLBT動作に対するコンテンションウィンドウ、CW(i)=f(HARQ ACK/NACK)が、以下のように定められうる:
CW(i)=CWmin、 NACK_ratio<T0の場合
CW(i)=CW(i−1)×a
x、NACK_ratio≧T0の場合
ここで、倍数因子aは2であり、NACK_ratio=(HARQ NACKの数)/(利用可能で使用されていないHARQフィードバック値の総数)、T0は0から1まで変動しうる閾値であり、xはNACK_ratioの関数である。xのための1つの例示の実装は、以下のように与えられる。
x=1、NACK_ratio≧T0の場合。
xのための別の例示の実装は、以下の通りである。
x=0、T0≦NACK_ratio<T1の場合
x=1、T1≦NACK_ratio<T2の場合
…
x=m、Tm≦NACK_ratio≦1の場合。
【0105】
図12を参照すると、上述の実施形態に従う第1の通信機器1200の例示のコンポーネントのブロック図を図解している。第1の通信機器1200は、少なくとも1つのアンテナ1210;送信器回路又は送信器モジュール1220;受信器回路又は受信器モジュール1230;プロセッサ1240又は処理モジュール又は処理回路、及びメモリ1250を有する。図のように、送信器回路及び受信器回路は、送受信器回路又は送受信器モジュール1260に含まれうる。
【0106】
アンテナ1210は、エアインタフェースを介して無線周波数(RF)信号の送信と受信との少なくともいずれかを行うための1つ以上のアンテナを含む。アンテナ1210は、例えば、送受信器/送信器回路1260からRF信号を受信し、1つ以上の第2の通信機器、例えばUE、又は無線ネットワークノード、すなわち無線基地局、例えばeNodeB若しくはeNBへ、エアインタフェースを介してRF信号を送信し、1つ以上の第2の通信機器、例えば、無線基地局又はUEからエアインタフェースを介してRF信号を受信し、送受信器回路1260へRF信号を提供する。
【0107】
処理モジュール/回路1240は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む。プロセッサ1240は、第1の通信機器1200の動作及びそのコンポーネントを制御する。メモリ(回路又はモジュール)1250は、プロセッサ1240によって使用されうるデータ及び命令を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読み出し専用メモリ(ROM)と、別の種類のメモリと、の少なくともいずれかを含む。第1の通信機器1200は、
図12示されていない追加のコンポーネントを有してもよい。
【0108】
先述のように、第1の通信機器1200は、送信器回路/モジュール1230を用いて、1つ以上のサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを、1つ以上の第2の通信機器へ送信するように構成され;ここで、その少なくとも1つのバーストの送信より先に、リスン・ビフォア・トーク(LBT)手順の成功、すなわち、チャネルが第1の通信機器1200によってその少なくとも1つのバーストを自由に送信することができると判定される。受信器モジュール又は受信器回路1220は、バースト内の少なくとも1つのサブフレームに対して、対応するHARQフィードバック値を受信するように構成される。HARQフィードバックは、少なくとも1つまたはそれ以上の第2の通信機器から受信される。処理モジュール又は処理回路又はプロセッサ1240は、受信したHARQフィードバックのそれぞれに基づいて、かつ、チャネルにアクセスするためにLBT手順が実行される際に第1の通信機器1200において利用可能な、以前に使用されていないHARQフィードバックにさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するように構成される。
【0109】
メモリ1250は、プロセッサ1240によって実行可能な命令を含んでもよく、それにより、第1の通信機器1200は、上述の方法ステップを実行するように動作する。第1の通信機器1200において例えばプロセッサ1240を用いて実行される際に第1の通信機器に、1つ以上のサブフレームを含んだ少なくとも1つのバーストを、1つ以上の受信する第2の通信機器へ送信させることと;バースト内の少なくとも1つのサブフレームに対して、対応するHARQフィードバック値を受信させることと;受信したHARQフィードバックのそれぞれに基づいて、かつ、チャネルにアクセスするためにLBT手順が実行される際に第1の通信機器1200において利用可能な、以前に使用されていないHARQフィードバックにさらに基づいて、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定させることと、を含んだ、上述の方法ステップを実行させる、コンピュータ可読コードを含んだコンピュータプログラムをも提供する。
【0110】
コンピュータ可読コード手段は、また、第1の通信機器において実行されるときに、プロセッサ1240を用いて、上述のように受信したHARQ値を第1の通信機器1200に合成させ、また、プロセッサ1240を用いて、上述のように、ランダムバックオフ・コンテンションウィンドウ・サイズを決定するものである。
【0111】
この開示を通じて、用語「comprise」又は「comprising」は、非限定的な意味で、すなわち、「consist at least of」の意味で用いられている。特定の用語がここで用いられうるが、それらは一般的かつ説明的な意味で用いられ、限定の目的ではない。特に、3GPP LTEからの専門用語が本発明を例示するためのこの開示において用いられていたが、これは、上述のシステムのみに本発明の範囲を限定するように見られるべきでないことに留意すべきである。LTE−A(又はLTE−Advanced)、UMTS、WiMax、及びWILANを含んだ他の無線システムも、本開示の範囲内でカバーされる概念を利用することによって利益を享受しうる。
【0112】
略語 説明
CCA クリアチャネル評価
DCF 分散協調機能
DIFS DCFフレーム間スペーシング
DL 下りリンク
DRS ディスカバリ参照信号
eNB エボルブドNodeB、基地局
LAA ライセンス・アシステッド・アクセス
LBT リスン・ビフォア・トーク
PDCCH 物理下りリンク制御チャネル
PIFS PCFフレーム間スペーシング
PCell プライマリセル
PUSCH 物理上りリンク共有チャネル
QoS サービス品質
SCell セカンダリセル
SIFS ショート・フレーム間スペーシング
UE ユーザ端末
UL 上りリンク