(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の靴底用部材及び靴の一実施形態について説明する。ただし、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0015】
図1は、本実施形態の靴底用部材を備えた靴を示したものである。
該靴1は、足の上面を覆うアッパー材2と、アッパー材2の下側に配置されて靴底をなす靴底用部材3,4とを有している。
該靴1は、前記靴底用部材として、地面と接する位置に配されたアウターソール4と、アッパー材2とアウターソール4との間に配されたミッドソール3とを有している。
【0016】
本実施形態の靴底用部材では、該靴底用部材の一部又は全部が、複数の樹脂発泡粒子を一体化させてなる樹脂発泡体で形成されている。
例えば、本実施形態の靴1では、ミッドソール3及びアウターソール4の両方が前記樹脂発泡体で形成されていてもよく、ミッドソール3またはアウターソール4のいずれか一方が前記樹脂発泡体で形成されていてもよい。また、ミッドソール3の一部またはアウターソール4の一部が前記樹脂発泡体で形成されていてもよい。
好ましくは、本実施形態の靴1では、少なくともミッドソール3の一部または全部が、前記樹脂発泡体で形成されていてもよい。
【0017】
前記樹脂発泡体を構成する樹脂発泡粒子は、ポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物からなる。斯かる構成により、本実施形態の靴底用部材は、靴底用部材としての好適な剛性及び好適な軽量性を有し得る。
【0018】
前記樹脂組成物に含まれるポリアミド系エラストマーは、特に限定されないが、ポリアミド単位からなるハードセグメントと、ポリエーテル単位からなるソフトセグメントとから構成されるポリエーテルブロックアミド
(PEBA)が好ましい。
前記ハードセグメントを構成するポリアミド単位は、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などであってもよく、ポリアミド11、ポリアミド12がより好ましい。これらのポリアミド単位は、単独で使用されてもよく、2種以上組み合わせて使用されてもよい。
前記ソフトセグメントを構成するポリエーテル単位は、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどであってもよく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールがより好ましい。これらのポリエーテル単位は、単独で使用されてもよく、2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0019】
また、前記樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタンなど他の樹脂材料、または色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの薬品をさらに含んでいてもよい。
【0020】
前記樹脂発泡粒子は、樹脂発泡粒子を作製するための従来公知の方法を用いて、前記樹脂組成物より作製され得る。このような方法は、例えば、発泡剤を含有していない樹脂粒子を作製した後に発泡剤を含浸させる含浸法であってもよく、発泡剤を含んだ樹脂組成物を冷却水中に押し出して造粒する押出法であってもよい。
前記含浸法では、まず、前記樹脂組成物を成形して樹脂粒子を作製する。次に、前記樹脂粒子、発泡剤及び水系分散剤をオートクレーブ内に導入し、熱及び圧力を加えて撹拌することにより、前記樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。この含浸させた発泡剤を発泡させることにより、前記樹脂発泡粒子が得られる。
前記押出法では、例えば、先端に多数の小孔を有するダイが装着された押出機内に、前記樹脂組成物及び発泡剤を添加して溶融混練する。この溶融混練物を前記ダイからストランド状に押出した後、直ちに冷却水中に導入して硬化させる。このようにして得られた硬化物を所定の長さに切断することにより、前記樹脂発泡粒子が得られる。
【0021】
上記の方法において使用される発泡剤は、特に限定されず、例えば、化学発泡剤であってもよく、物理発泡剤であってもよい。
前記化学発泡剤は、化学反応または熱分解により気体を発生する発泡剤である。このような化学発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミドなどの有機系化学発泡剤が挙げられる。
前記物理発泡剤は、液化ガスや超臨界流体などであり、圧力低下または加熱により発泡する。このような物理発泡剤としては、例えば、ブタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタンなどの脂環式炭化水素類、炭酸ガス、窒素、空気などの無機ガスが挙げられる。
【0022】
本実施形態において、前記樹脂組成物を発泡させるために超臨界流体を用いた含浸法を用いることが特に好ましい。その場合には、ポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物を、比較的低い温度にて超臨界流体に溶解させることができるため、ポリアミド系エラストマーを溶融するための高温が不要となる。また、化学発泡剤を使用しないため、化学発泡剤の発泡に由来する有害ガスの発生が抑制されるという利点も有する。
【0023】
前記樹脂発泡粒子の形状や大きさは、特に限定されない。前記樹脂発泡粒子の形状は、好ましくは球状である。その場合、前記樹脂発泡粒子の体積平均粒径D
50(メディアン径)は、好ましくは、直径1〜20mmの範囲であってもよく、より好ましくは、直径2〜10mmの範囲であってもよい。
なお、本明細書では、樹脂発泡粒子の粒径は、マイクロスコープにて粒子の長径を測定した値をいう。
【0024】
前記樹脂発泡体は、上記のようにして形成された前記樹脂発泡粒子を一体化させることにより得られる。
前記樹脂発泡粒子を一体化させる方法は、例えば、前記樹脂発泡粒子を熱プレス機により成形型内で熱プレスする、あるいは、蒸気法にて前記樹脂発泡粒子同士を溶着させることにより行われ得る。
前記樹脂発泡粒子を熱プレスする際の温度は、前記樹脂発泡粒子を構成する前記樹脂組成物の種類に応じて、適宜調整される。例えば、前記樹脂組成物がPEBAを含む場合には、前記樹脂発泡粒子は、100〜180℃の範囲で適宜加圧して熱プレスされ得る。
【0025】
本実施形態では、前記樹脂発泡粒子を一体化させるために、結合剤を適宜用いてもよい。前記結合剤としては、例えば、表面改質剤やウレタン等の前記発泡樹脂以外のバインダーなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で使用されてもよく、2種以上組み合わせて使用されてもよい。
好ましくは、前記樹脂発泡粒子を熱プレスする際に、前記結合剤を用いてもよい。
【0026】
また、前記樹脂発泡粒子を一体化させる前に、粒子径や剛性の異なる複数種の樹脂発泡粒子を、粒子径や剛性に応じて別々の領域に位置決めしておき、その後一体化させて樹脂発泡体としてもよい。例えば、前記樹脂発泡粒子を熱プレスにより一体化する場合には、粒子径の小さい樹脂発泡粒子を、成形型内の成形後に足の内側となる位置に配置してもよく、粒子径の大きい樹脂発泡粒子を、成形型内の成形後に足の内側となる位置に配置してもよい。
樹脂発泡粒子の粒子径や剛性に応じて樹脂発泡体内における配置を調整することにより、領域により異なる剛性を有する樹脂発泡体を形成することができる。
【0027】
本実施形態の前記樹脂発泡体は、従来の靴底用部材に用いられる発泡体に比べて比重が小さく、靴底用部材として優れた軽量性を有する。本実施形態の前記樹脂発泡体の比重は、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.15以下である。
【0028】
本実施形態の前記樹脂発泡体は、従来の靴底用部材に用いられる発泡体に比べて圧縮永久ひずみが小さい。そのため、該樹脂発泡体で形成された本実施形態の靴底用部材は、弾性回復性に優れているという利点を有する。
その理由は定かではないが、以下のように推測される。本実施形態の前記樹脂発泡体は、前記樹脂組成物からなる前記樹脂発泡粒子が一体化されたものであるため、前記樹脂発泡体内で溶着された樹脂発泡粒子間のそれぞれの粒子界面にスキン層が形成されている。このように形成されたスキン層は、前記樹脂発泡体内の微細セル部分よりも厚みがあるため、優れた弾性回復性が得られると考えられる。
前記樹脂発泡体の圧縮永久ひずみは、好ましくは20%以下であってもよい。より好ましくは、前記樹脂発泡体の圧縮永久ひずみは、15%以下であってもよく、10%以下であってもよい。
なお、本明細書では、樹脂発泡体の圧縮永久ひずみは、ASTM D
395Aに基づく定荷重圧縮永久ひずみ試験により測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された方法により測定して得られた値をいう。
【0029】
本実施形態の樹脂発泡体は、靴の使用温度領域での動的粘弾性の変化が小さい。具体的には、動的粘弾性測定における−20℃での損失係数をtanδ[−20℃]、25℃での損失係数をtanδ[25℃]としたとき、以下の(1)の式を満たす。
1 ≦ tanδ[−20℃]/tanδ[25℃] ≦ 5 ・・・ (1)
本実施形態の樹脂発泡体は、上記式(1)を満たすため、当該温度範囲における動的粘弾性の変化が小さい。そのため、靴の使用温度領域での緩衝性能特性の変化が小さいという利点を有する。
好ましくは、tanδ[−20℃]/tanδ[25℃]の値は、1以上かつ3以下であってもよい。
なお、本明細書では、樹脂発泡体の損失係数は、JIS K 7244−4:1999に基づき、測定モード「正弦波歪みの引張モード」にて周波数
10Hzで測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された条件により測定して得られた値をいう。
【0030】
本実施形態の樹脂組成物は、前記樹脂組成物の25℃での貯蔵弾性率を
E’[25℃]としたとき、以下の(2)の式を満たす。
50MPa ≦ E’[25℃] ≦ 400MPa ・・・ (2)
本実施形態の樹脂組成物は、上記式(2)を満たすため、前記樹脂発泡体に含まれる樹脂組成物の前記樹脂発泡粒子の発泡倍率が、良好なものになり得る。そのため、前記樹脂発泡粒子からなる本実施形態の靴底用部材は、靴底用部材として優れた軽量性を有する。
好ましくは、前記樹脂組成物の25℃での貯蔵弾性率E’[25℃]は、150MPa以上であってもよい。その場合には、靴底用部材をより軽量化することができる。
好ましくは、前記樹脂組成物の25℃での貯蔵弾性率E’[25℃]は、300MPa以下であってもよく、より好ましくは280MPa以下であってもよい。
なお、本明細書では、樹脂組成物の貯蔵弾性率は、JIS K 7244−4:1999に基づき、測定モード「正弦波歪みの引張モード」にて周波数10Hzで測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された条件により測定して得られた値をいう。
【0031】
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物の100℃〜130℃における複素粘度の最小値をηminとしたとき、以下の(3)の式を満たす。
0.05MPa・s ≦ ηmin ・・・ (3)
また、本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物の100℃〜130℃における複素粘度の最大値をηmaxとしたとき、以下の(4)の式を満たす。
ηmax ≦ 0.6MPa・s ・・・ (4)
本実施形態の樹脂組成物は、上記式(3)及び(4)を満たすため、樹脂発泡体に含まれる樹脂発泡粒子の樹脂組成物の発泡倍率が、良好なものになり得る。そのため、前記樹脂発泡粒子からなる本実施形態の靴底用部材は、靴底用部材として優れた軽量性を有する。該樹脂組成物の発泡倍率は、好ましくは、3.0以上であってもよく、より好ましくは、5.0以上であってもよい。該樹脂組成物の発泡倍率が3.0未満の場合には、樹脂発泡体の比重が大きくなり、靴底用部材に求められる軽量性や緩衝性が十分でなくなることがある。
ηminが0.05MPa・sより低いと、発泡後において過収縮が生じ、靴底用部材に用いられるための十分な発泡倍率とならない。ηmaxが
0.6MPa・sを超えると、発泡が不十分となり、靴底用部材に用いられるための十分な発泡倍率とならない。
好ましくは、該樹脂組成物の複素粘度の最小値ηminは、0.15
MPa・s以上であってもよい。好ましくは、該樹脂組成物の複素粘度の
最大値ηmaxは、0.55MPa・s以下であってもよい。
なお、本明細書では、樹脂組成物の複素粘度は、JIS K 7244−4:1999に基づき、測定モード「正弦波歪みの引張モード」にて周波数
10Hzで測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された条件により測定して得られた値をいう。
【0032】
本実施形態の靴底用部材、及び該靴底用部材を備えた靴は、従来公知の靴の製造方法と同様にして製造することができる。
例えば、本実施形態の靴底用部材を備えた靴底用部材の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)ポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物より、上述の含浸法、押出法等により樹脂発泡粒子を製造する第1工程、
(b)前記第1工程で得られた樹脂発泡粒子を成形型内に導入し、熱プレス機により該成形型を熱プレスすることにより該樹脂発泡粒子が一体化された樹脂発泡体を得る第2工程、
(c)前記第2工程で得られた樹脂発泡体で一部又は全部が形成された靴底用部材を作製する第3工程。
なお、前記第2工程では、成形型を用いた熱プレスにより、靴底用部材の形状を直接成形してもよい。その場合、前記樹脂発泡体で全部が形成された靴底用部材を直接製造することができるため、前記第3工程を省略できる。
【0033】
本実施形態の靴底用部材は、複数の樹脂発泡粒子を一体化させてなる樹脂発泡体で一部又は全部が形成され、前記複数の樹脂発泡粒子がポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物からなり、下記式(1)〜(4)の全てを満足する靴底用部材であるため、靴底用部材として好適な剛性及び軽量性を兼ね備えていると共に、優れた耐久性を有し、かつ、靴の使用温度領域での特性変化が小さいという利点を有する。
また、本実施形態の靴は、前記靴底用部材を備えているため、靴底が好適な剛性及び軽量性を兼ね備えていると共に、優れた耐久性を有し、かつ、靴の使用温度領域での特性変化が小さいという利点を有する。
1 ≦ tanδ[−20℃]/tanδ[25℃] ≦ 5 ・・・ (1)
50MPa ≦ E’[25℃] ≦ 400MPa ・・・ (2)
0.05MPa・s ≦ ηmin ・・・ (3)
ηmax ≦ 0.6MPa・s ・・・ (4)
【0034】
なお、ここではこれ以上の詳細な説明を繰り返して行うことをしないが、上記に直接的に記載がされていない事項であっても、靴底用部材について従来公知の技術事項については、本発明においても適宜採用可能である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0036】
(樹脂組成物の物性試験)
実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂組成物として、以下のポリアミド系ポリエーテルブロックアミドからなる粒子状の原料を用いた。
アルケマ社製「PEBAX」2533,4033,5533,7033
宇部興産社製「UBESTA」9048X,9055X
ダイセル社製「ベスタミド」E58−S4
ダイセル社製「ダイアミド」E55K1W2,E73K2
【0037】
これらの樹脂組成物からなる原料を溶融固化して平板状に成形した後、長さ33±3mm、幅5±1mm、厚さ2±1mmの短冊状に切断し、試験片を得た。
各試験片の25℃における貯蔵弾性率E’[25℃]を、測定装置として(株)ユービーエム製動的粘弾性測定装置「Rheogel−E4000」を下記の条件で用い、JIS K 7244−4:1999に従い測定した。結果を表1に示す。
測定モード :正弦波歪みの引張モード
周波数 :10Hz
チャック間距離:20mm
荷重 :自動静荷重
動歪み :5μm
昇温速度 :2℃/min
【0038】
また、上記装置を用いて、各試験片の100〜130℃における複素粘度ηを、JIS K 7244−4:1999に従い、上記と同様の条件にて測定した。その最小値と最大値を表1に示す。このとき、実施例及び比較例の全ての試験片において、複素粘度ηは、130℃の時に最小値ηminを、100℃の際に最大値ηmaxを示した。
【0039】
(樹脂発泡粒子の作製)
実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂組成物のそれぞれについて、以下のようにして樹脂発泡粒子を製造した。
【0040】
樹脂粒子の作製
まず、前記樹脂組成物を下記の装置を用いて粒子化することにより、
粒径1.3mmの樹脂粒子を製造した。得られた樹脂粒子を、後の発泡に
用いた。
押出機:口径65mm−50mmのタンデム型。
造粒用ダイス:直径0.8mm、ランド長さ3.0mmのノズルを40個備えており、押出機の押出し出口に連接されている。
水中ホットカット機:円周方向に8枚の刃を有する毎分3000回転の高速回転カッターを備えており、造粒用ダイスのノズル出口に該高速回転カッターが密着されている。該水中ホットカット機のダイバーター樹脂排出口には、ダイバーター樹脂排出口口径変更冶具(口径:3mm、ランド長:
15mm)が装備されている。
【0041】
具体的には、以下のようにして前記樹脂組成物を粒子化した。まず、前記樹脂組成物を50kg/時間の割合で押出機内に供給し、前記樹脂組成物を加熱して溶融混練した。該押出機の押出し出口側では、樹脂組成物の温度が175℃となるように、樹脂組成物を冷却した。続いて、押出機内の樹脂組成物を、ヒーターにより300℃に保持された造粒用ダイスを通して、水圧0.4MPa、40℃の冷却水が循環しているチャンバー内に押出した。この押出しと同時に、ダイスより押し出された樹脂組成物を、水中ホットカット機の高速回転カッターにより切断した。このようにして切断された樹脂粒子をチャンバー内から取り出した後、脱水乾燥することにより、粒径1.3mmの球形の樹脂粒子を得た。
【0042】
樹脂粒子の発泡
後の発泡倍率算出のため、樹脂発泡粒子製造に用いる樹脂粒子の比重を、JIS K 7311:1995(水中置換法)に準拠して測定した。
続いて、内容積5Lの攪拌機付オートクレーブに、上記樹脂粒子2.3
kgと、蒸留水2.3kgと、分散安定剤としてのピロリン酸マグネシウム6.0g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3gと、気泡調整剤としてのエチレンビスステアリン酸アミド2.3gとを導入した後、該オートクレーブ内を320rpmで攪拌することにより懸濁させた。続いて、該オートクレーブ内を110℃まで昇温した後、該オートクレーブ内に発泡剤であるブタン(イソブタン:ノルマルブタン=35:65(質量比))
460gを圧入して、該オートクレーブ内を110℃で6時間保持した。
その後、該オートクレーブ内を20℃まで冷却した後、該オートクレーブ内の上記樹脂粒子を取り出した。取り出した上記樹脂粒子を130℃の水蒸気存在下に置くことにより、上記樹脂粒子に含浸したブタン発泡剤を発泡させて、樹脂発泡粒子を得た。
【0043】
その後、得られた樹脂発泡粒子のかさ密度を測定した。該樹脂発泡粒子のかさ密度を、発泡前の樹脂組成物の比重と比較することにより、樹脂組成物の発泡倍率を算出した。結果を表1に示す。表1では、樹脂組成物の発泡倍率が3倍以上であった場合には○を、樹脂組成物の発泡倍率が3倍未満であった場合には×を表示している。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1〜5及び比較例1〜4から明らかなように、25℃における貯蔵弾性率E’[25℃]が50〜400MPaの範囲であると共に、100〜130℃における複素粘度ηの最小値ηminが0.05MPa・s以上、最大値ηmaxが0.6MPa・s以下である実施例1〜5の樹脂組成物は、3倍以上の発泡倍率を示している。
これに対し、貯蔵弾性率及び複素粘度が上記範囲を満たしていない比較例1〜4の樹脂組成物は、3倍未満の発泡倍率しか示していない。
【0046】
(靴底用部材の製造)
実施例6
実施例2の樹脂組成物より上述のようにして作製した前記樹脂発泡粒子を密閉容器内に導入した。この密閉容器内に窒素を0.5MPaGの圧力で圧入した後、該密閉容器内を常温にて6時間に亘って放置した。このようにして、前記樹脂発泡粒子に窒素を含浸させた。
前記樹脂発泡粒子を該密閉容器から取り出した後、靴底用部材と同形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填した。この成形型を
0.24MPaの水蒸気で35秒間加熱することにより、靴底用部材を一体化して成形した。
【0047】
実施例7
実施例6で使用した樹脂発泡粒子の代わりに、実施例5の樹脂組成物より上記のようにして作製した上記樹脂発泡粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、靴底用部材を製造した。
【0048】
比較例5
ZOTEFOAMS社製のZOTEK(R)PEBA foamをそのまま用いて、比較例5の板状の樹脂発泡体からなる靴底用部材とした。
【0049】
比較例6
アディダス社製の靴「energy boost」(2013年モデル)に使用されている靴底から、熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるフォーム部分を直接切り出し、比較例6の靴底用部材とした。
【0050】
比較例7
樹脂組成物として直鎖状低密度ポリエチレンのコンパウンド材料を用いて、板状の樹脂発泡体からなる靴底用部材を製造した。
【0051】
(靴底用部材の物性試験)
比重
実施例6,7及び比較例5〜7により得られた靴底用部材の比重をJIS K 7311:1995(水中置換法)に準拠して測定した。結果を表2に示す。
【0052】
硬度
実施例6,7及び比較例5〜7により得られた靴底用部材の硬度を、アスカーC型硬度計として高分子計測器(株)社製「C型硬度計」を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0053】
圧縮永久ひずみ
実施例6,7及び比較例5〜7により得られた靴底用部材を、直径29±1mm、厚さ4±1mmの円盤状に切断し、試験片を得た。
各試験片の圧縮永久ひずみを、測定装置として東洋精機(株)社製「定荷重圧縮試験機」を用い、ASTM D 395Aに基づく定荷重圧縮永久ひずみ試験に従い測定した。具体的には、20±3℃の環境温度下で、各試験片に0.59MPaの応力を22時間付与し、除荷後24時間の残留歪を測定した。
【0054】
動的粘弾性の温度依存性
実施例6,7及び比較例5〜7により得られた靴底用部材を、長さ33±3mm、幅5±1mm、厚さ3±1mmの短冊状に切断し、試験片を得た。
各試験片の−20℃及び25℃における損失係数tanδ[−20℃]及びtanδ[25℃]を、測定装置として(株)ユービーエム製動的粘弾性測定装置「Rheogel−E4000」を下記の条件で用い、JIS K 7244−4:1999に従い測定した。結果を表2に示す。
測定モード :正弦波歪みの引張モード
周波数 :10Hz
チャック間距離:20mm
荷重 :自動静荷重
動歪み :5μm
昇温速度 :2℃/min
【0055】
【表2】
【0056】
実施例6,7及び比較例5〜7から明らかなように、良好な発泡性を示す実施例2,5のポリアミド系エラストマー樹脂組成物より作製された樹脂発泡粒子が一体化されてなる実施例6,7の靴底用部材は、その硬度、比重及び圧縮永久ひずみの全てにおいて優れており、動的粘弾性の温度依存性も小さいことがわかる。
これに対し、樹脂発泡粒子を一体化して形成されていない比較例5,7の靴底用部材は、圧縮永久ひずみが大きい。そのため、復元性が悪くへたりやすいことがわかる。
また、樹脂組成物としてポリアミド系エラストマーを用いていない比較例6,7の靴底用部材は、比重が大きく、靴底に求められる軽量性が十分でないことがわかる。
さらに、熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂組成物より作製された樹脂発泡粒子が一体化されてなる比較例6の靴底用部材は、−20℃及び25℃における動的粘弾性の温度依存性が大きいことがわかる。すなわち、靴の使用温度領域での特性変化が大きいことがわかる。