特許第6572325号(P6572325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572325
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】アルミニウム溶解炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 3/04 20060101AFI20190826BHJP
   F27B 3/18 20060101ALI20190826BHJP
   F27D 25/00 20100101ALI20190826BHJP
   F27D 27/00 20100101ALI20190826BHJP
   C22B 21/06 20060101ALN20190826BHJP
   C22B 7/00 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   F27B3/04
   F27B3/18
   F27D25/00
   F27D27/00
   !C22B21/06
   !C22B7/00 F
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-563906(P2017-563906)
(86)(22)【出願日】2016年3月2日
(65)【公表番号】特表2018-511776(P2018-511776A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】KR2016002073
(87)【国際公開番号】WO2016140503
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年8月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0029943
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517299087
【氏名又は名称】ディーエス リキッド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DS LIQUID CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン スヒョン
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭63−014055(JP,B2)
【文献】 特開昭51−076111(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/158607(WO,A1)
【文献】 特開昭57−194220(JP,A)
【文献】 米国特許第04128415(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0262825(US,A1)
【文献】 特表2015−514954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 25/00
F27D 27/00
F27B 3/00
C22B 7/00
C22B 9/00
C22B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム溶湯を加熱する加熱ユニットを備える加熱室;
前記溶湯を加速して前記溶湯に流動力を与える加速ユニットを備える流動力付与室;及び
前記溶湯に旋回下降する渦流を生成する渦流ユニット、フラックスを前記渦流に投入するフラックス供給ユニット、及びアルミニウムスクラップを前記渦流に投入する原材料供給ユニットを備える溶解室を含み、
前記加速ユニットは、前記溶湯をポンピングして前記流動力を与える溶湯ポンプを有し、
前記渦流ユニットは、一端が前記溶湯に浸漬されるように設けられる回転軸、及び前記回転軸の前記一端に結合され、前記溶湯を撹拌して前記渦流を形成する撹拌インペラーを有することを特徴とするアルミニウム溶解炉。
【請求項2】
前記フラックス供給ユニットは、前記原材料供給ユニットが前記渦流に前記アルミニウムスクラップを投入する以前に、前記フラックスを前記渦流に予め投入して前記溶湯の表面に溶融フラックス層を形成し、
前記原材料供給ユニットは、前記溶融フラックス層が形成された以後に、前記溶融フラックス層を通過するように前記アルミニウムスクラップを前記渦流に投入することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項3】
前記フラックス供給ユニットと前記原材料供給ユニットは、前記溶融フラックス層が形成された以後、前記フラックスと前記アルミニウムスクラップを前記渦流に同時または異時にそれぞれ投入することを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項4】
前記渦流ユニットは、前記溶湯の介在物が前記フラックスに捕獲されて形成されたブラックドロスを、前記渦流を利用して反復的に下降及び浮上させ、前記ブラックドロスが球形に結集された球形のブラックドロスを形成することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項5】
前記溶解室は、前記球形のブラックドロスを前記渦流から分離する分離ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項6】
前記加熱室は、前記溶湯を前記流動力付与室に伝達する第1流動通路をさらに備え、
前記溶解室は、前記溶湯を前記加熱室に伝達する第2流動通路をさらに備え、
前記流動力付与室は、前記溶湯を前記溶解室に伝達する第3流動通路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項7】
前記加熱室は、前記第1流動通路及び前記第2流動通路と連結された部分を除いた残りの部分が外部と遮断された密閉構造を有することを特徴とする請求項6に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項8】
前記アルミニウムスクラップは、少なくとも一部が予め定められた大きさを有するアルミニウムチップであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項9】
前記アルミニウムスクラップは、少なくとも一部がアルミニウム廃缶スクラップ(UBCs)であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【請求項10】
前記フラックスは、塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)が同一の重量部で混合された混合物93-97重量部及び氷晶石類(Cryolite、Potassium Cryolite)3-7重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム溶解炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムスクラップを溶解することができるアルミニウム溶解炉に関する。
【0002】
本出願は、2015年3月3日付韓国特許出願第10-2015-0029943号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
自動車、家電製品及び建築用資材などに用いられている多くのアルミニウム部品は、アルミニウム鋳造装置を利用して製造する。このようなアルミニウム鋳造装置にアルミニウム溶湯を供給するのがアルミニウム溶解炉である。アルミニウム溶解炉は、一定の大きさに成形されたアルミニウムスクラップを高熱で溶解させる装置である。
【0004】
従来のアルミニウム溶解炉は、アルミニウム溶湯を加熱するバーナーを備える昇温室、昇温室から排出されたアルミニウム溶湯をポンピングする溶湯ポンプを備える溶湯撹拌室、及び前記溶湯撹拌室から排出されたアルミニウム溶湯にアルミニウム圧縮チップの塊りを装入させる装入室を含む(韓国登録特許公報第10-1425572号、2014.07.31.公告)。
【0005】
ここで、アルミニウム圧縮チップの塊りは、アルミニウム塊ともいい、アルミニウム製品の生産や加工時に多く発生する多数のアルミニウムチップを圧縮したものである。ところが、アルミニウム圧縮チップの塊りは、アルミニウムチップを圧縮する過程で多数の空隙を含有することになる。よって、従来のアルミニウム溶解炉は、アルミニウム溶湯に投入されたアルミニウム圧縮チップの塊りの中心部まで熱がよく伝達できないので溶解効率が低下し、アルミニウム圧縮チップの塊りがアルミニウム溶湯の表面に浮上されて大気と接触されることにより、アルミニウム酸化物が生成されるという問題点がある。
【0006】
さらに、従来のアルミニウム溶解炉は、前述した問題点を解決するため、溶湯撹拌室でポンピングされたあと、装入室に伝達されたアルミニウム溶湯にアルミニウム圧縮チップの塊りを投入するところ、このような場合も、アルミニウム圧縮チップの塊りの低い比重により、依然としてアルミニウム圧縮チップの塊りがアルミニウム溶湯に浮遊された状態で溶解が進められる。よって、従来のアルミニウム溶解炉は、溶湯撹拌室でポンピングされたアルミニウム溶湯にアルミニウム圧縮チップの塊りを投入しても依然として溶解効率が低下し、アルミニウム酸化物の発生量が多いため、純粋アルミニウムの溶解回収率が低下するという問題点がある。
【0007】
一方、一般にアルミニウム溶湯に投入されるアルミニウム塊には塗料及びその他の介在物が介在される。このような介在物が増加すれば、アルミニウムの純度が減少する。このような介在物と前述したアルミニウム酸化物による問題点を解決すべく、アルミニウムの酸化を防止し、かつ、介在物の捕獲が可能なフラックスをアルミニウム溶湯に投入している。このようにアルミニウム溶湯をフラックス処理して発生したドロスをブラックドロスという。
【0008】
ところが、アルミニウム溶湯をフラックス処理する場合、ブラックドロスの形成過程で多量のアルミニウムがブラックドロスの内部に含まれる。よって、従来のアルミニウム溶解炉は、フラックス処理をしても相変らず純粋アルミニウムの溶解回収率が低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1425572号、2014.07.31.公告
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、アルミニウムスクラップの溶解効率を高めることができるように構造を改善したアルミニウム溶解炉の提供にその目的がある。
【0011】
さらに、本発明は、アルミニウム酸化物の発生量を低減させることができるように構造を改善したアルミニウム溶解炉の提供にその目的がある。
【0012】
さらに、本発明は、純粋アルミニウムの溶解回収率を高めることができるように構造を改善したアルミニウム溶解炉の提供にその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するための本発明の好ましい実施形態に係るアルミニウム溶解炉は、アルミニウム溶湯を加熱する加熱ユニットを備える加熱室;及び前記溶湯に旋回下降する渦流を生成する渦流ユニット、フラックスを前記渦流に投入するフラックス供給ユニット、及びアルミニウムスクラップを前記渦流に投入する原材料供給ユニットを備える溶解室を含む。
【0014】
好ましく、前記フラックス供給ユニットは、前記原材料供給ユニットが前記渦流に前記アルミニウムスクラップを投入する以前に、前記フラックスを前記渦流に予め投入して前記溶湯の表面に溶融フラックス層を形成し、前記原材料供給ユニットは、前記溶融フラックス層が形成された以後に、前記溶融フラックス層を通過するように前記アルミニウムスクラップを前記渦流に投入する。
【0015】
好ましく、前記フラックス供給ユニットと前記原材料供給ユニットは、前記溶融フラックス層が形成された以後、前記フラックスと前記アルミニウムスクラップを前記渦流に同時または異時にそれぞれ投入する。
【0016】
好ましく、前記渦流ユニットは、前記溶湯の介在物が前記フラックスに捕獲されて形成されたブラックドロスを、前記渦流を利用して反復的に下降及び浮上させ、前記ブラックドロスが球形に結集された球形のブラックドロスを形成する。
【0017】
好ましく、前記溶解室は、球形のブラックドロスを前記渦流から分離する分離ユニットをさらに備える。
【0018】
好ましく、前記渦流ユニットは、前記溶湯に浸漬される一端、及び前記溶湯の外部に延長される他端を有する回転軸;及び前記一端に結合される撹拌インペラーを備える。
【0019】
好ましく、前記溶湯を加速して前記溶湯に流動力を与える加速ユニットを備え、前記加熱室と前記溶解室の間に設けられる流動力付与室をさらに含む。
【0020】
好ましく、前記加速ユニットは、前記溶湯をポンピングする溶湯ポンプを備える。
【0021】
好ましく、前記加熱室は、前記溶湯を前記流動力付与室に伝達する第1流動通路をさらに備え、前記溶解室は、前記溶湯を前記加熱室に伝達する第2流動通路をさらに備え、前記流動力付与室は、前記溶湯を前記溶解室に伝達する第3流動通路をさらに備える。
【0022】
好ましく、前記加熱室は、前記第1流動通路及び前記第2流動通路と連結された部分を除いた残りの部分が外部と遮断された密閉構造を有する。
【0023】
好ましく、前記アルミニウムスクラップは、少なくとも一部が予め定められた大きさを有するアルミニウムチップである。
【0024】
好ましく、アルミニウムスクラップは、少なくとも一部がアルミニウム廃缶スクラップ(UBCs)である。
【0025】
好ましく、前記フラックスは、塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)が同一の重量部で混合された混合物93-97重量部及び氷晶石類(Cryolite、Potassium Cryolite)3-7重量部を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るアルミニウム溶解炉は、次のような効果を有する。
【0027】
第一、本発明は、渦流を利用してアルミニウムスクラップをアルミニウム溶湯に迅速に装入させることにより、アルミニウム酸化物の発生量を減少させることができる。
【0028】
第二、本発明は、フラックスが非金属介在物(Inclusion)を選択的に捕獲して生成されたブラックドロスを、渦流を利用し球形に結集して球形のブラックドロスを形成することにより、ブラックドロスに含まれているアルミニウムメタルの量を低減させて純粋アルミニウムの溶解回収率を増大させることができる。さらに、本発明は、ドロスに含有されているアルミニウムを回収するための別途のドロスの灰絞り過程が不要なので、ドロスの灰絞りに必要となる費用を節減することができる。
【0029】
第三、本発明は、球形のブラックドロスが溶解室のアルミニウム溶湯を覆った状態でアルミニウムスクラップの溶解作業を行うことができるので、溶解室のアルミニウム溶湯が球形のブラックドロスにより覆われていない状態でアルミニウムスクラップの溶解作業を行う場合に比べて保温効果に優れるため、アルミニウム溶湯の温度を上昇させることができる。よって、本発明は、アルミニウム溶湯の温度が上昇された状態でアルミニウムスクラップの溶解作業を行うことができるので、アルミニウムスクラップの溶解効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好ましい実施形態に係るアルミニウム溶解炉の概念図である。
図2図1の溶解室と流動力付与室の断面図である。
図3図1の溶解室で球形のブラックドロスが形成される過程を説明するための図である。
図4図3の過程を介して形成された球形のブラックドロスの断面を概略的に示した断面図である。
図5図1の溶解室に収容されたアルミニウム溶湯の表面に球形のブラックドロスが浮遊された状態を示す溶解室の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。よって、本明細書に記載されている実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点において、これらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0032】
図面において各構成要素またはその構成要素をなす特定部分の大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張または省略されるか、或いは概略的に示された。よって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連した公知の機能或いは構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に濁し得ると判断される場合、かかる説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るアルミニウム溶解炉の概念図である。
【0034】
図1に示す通り、本発明の好ましい実施形態に係るアルミニウム溶解炉1は、アルミニウム溶湯(M)が加熱される加熱室10、アルミニウムスクラップ(A)とフラックス(F)がそれぞれアルミニウム溶湯(M)に投入される溶解室20、及びアルミニウム溶湯(M)に流動力を与える流動力付与室30を含む。
【0035】
アルミニウム溶解炉1は、図1に示されているところのように、耐火物材質を有する壁体等によって区切られた多数の空間を備える。加熱室10、溶解室20及び流動力付与室30はそれぞれ、アルミニウム溶解炉1の多数の空間のうちいずれか一つの空間に、他の空間と独立された状態で設けられる。
【0036】
加熱室10は、アルミニウム溶湯(M)を予め定められた温度に加熱するための空間であり、後述する溶解室20の第2流動通路29と連通されて溶解室20からアルミニウム溶湯(M)の伝達を受ける。
【0037】
加熱室10は、熱損失の最小化ができるよう、後述する第1流動通路16及び第2流動通路29と連結された部分を除いた残りの部分は、外部と遮断された密閉構造で形成される。
【0038】
加熱室10は、図1に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)を加熱する加熱ユニット12、アルミニウム溶湯(M)をアルミニウム溶解炉1の外部へ排出するための出湯口14、及び加熱室10に収容されたアルミニウム溶湯(M)を流動力付与室30に伝達するための第1流動通路16を含む。
【0039】
加熱ユニット12は、アルミニウム溶湯(M)を予め定められた温度に加熱するための装置である。加熱ユニット12の構造は特に限定されない。例えば、図1に示されているところのように、加熱ユニット12は、加熱室10を区切る壁体等に設けられるバーナーであってよい。
【0040】
アルミニウム溶湯(M)の加熱温度は特に限定されない。アルミニウム溶湯(M)の温度は、加熱室10に設けられた温度センサー(図示省略)によって測定されてよい。加熱ユニット12は、温度センサーからアルミニウム溶湯(M)の温度の入力を受け、アルミニウム溶湯(M)を予め定められた加熱温度に加熱することができる。
【0041】
出湯口14は、加熱室10で加熱されたアルミニウム溶湯(M)をアルミニウム溶解炉1の外部へ排出するための出口を提供する。出湯口14は、アルミニウム鋳造物を製造するためのアルミニウム鋳造装置と連結されるか、またはアルミニウム溶湯(M)を移送するための溶湯移送容器と連結されてよい。出湯口14には、出湯口14を選択的に開閉する開閉バルブ18が設けられてよい。
【0042】
第1流動通路16は、加熱室10に収容されたアルミニウム溶湯(M)を流動力付与室30に伝達するための通路を提供する。図1に示されているところのように、第1流動通路16は加熱室10と流動力付与室30を区切る壁体が貫通されて形成され、アルミニウム溶湯(M)は第1流動通路16を通って流動力付与室30に流入される。
【0043】
図2は、図1の溶解室と流動力付与室の断面図である。図3は、図1の溶解室で球形のブラックドロスが形成される過程を説明するための図である。図4は、図3の過程を介して形成された球形のブラックドロスの断面を概略的に示した断面図である。
【0044】
溶解室20は、フラックス(F)とアルミニウムスクラップ(A)をアルミニウム溶湯(M)に投入するための空間であり、後述する流動力付与室30の第3流動通路34と連通されて流動力付与室30からアルミニウム溶湯(M)の伝達を受ける。
【0045】
溶解室20は、フラックス(F)とアルミニウムスクラップ(A)をアルミニウム溶湯(M)に投入することができるよう、上面の少なくとも一部分が開放された開放構造で形成され、ただし、加熱室10より相対的に小さい容積を有するように形成される。つまり、溶解室20は、アルミニウムスクラップ(A)を溶解室20に投入して溶解作業を行うことができるように開放構造で形成され、ただし、熱損失を低減させることができるよう、加熱室10より相対的に小さい容積を有するように形成されるのである。
【0046】
溶解室20は、図1及び図2に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)に旋回下降する渦流(V)を生成する渦流ユニット21、フラックス(F)を渦流(V)に投入するフラックス供給ユニット23、アルミニウムスクラップ(A)を渦流(V)に投入する原材料供給ユニット25、及び溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)を加熱室10に伝達するための第2流動通路29を含む。
【0047】
渦流ユニット21は、溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)に旋回下降する渦流(V)を形成するための部材であり、少なくとも一部分がアルミニウム溶湯(M)に浸漬されるよう溶解室20に設けられる。渦流ユニット21によって生成された渦流(V)と、第3流動通路34を通って溶解室20に流入されるアルミニウム溶湯(M)との流動が直接的に対面する場合は、アルミニウム溶湯(M)の流動が妨げられる恐れがある。これを防止するため、図1に示されているところのように、渦流ユニット21は、第3流動通路34と一直線上に位置しないように溶解室20の一側に設けられるのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
渦流ユニット21は、図2に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)に浸漬される下端と、アルミニウム溶湯(M)の外部に延長されて駆動モーター(図示省略)と軸結合される上端とを有する回転軸21a、及び回転軸21aの下端に軸結合される撹拌インペラー21bを含む。駆動モーターが駆動されると、図1及び図2に示されているところのように、撹拌インペラー21bが回転軸21aを中心に回転されることにより、溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)には回転軸21aを中心に旋回下降する渦流(V)が生成される。
【0049】
フラックス供給ユニット23は、外部のフラックス供給源(図示省略)から供給されたフラックス(F)を、溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)に投入するための装置である。フラックス(F)は、アルミニウムより比重が小さな混合塩であって、アルミニウムスクラップ(A)の非金属介在物との親和力が高い材質で形成される。
【0050】
フラックス供給ユニット23は、図2に示されているところのように、渦流ユニット21によって生成された渦流(V)にフラックス(F)を投入する。そうすると、フラックス(F)は、渦流(V)によってアルミニウム溶湯(M)に速かに挿入されて溶解されたあと、溶解室20に均等に広がることができる。ただし、これに限定されるのではなく、フラックス供給ユニット23は、渦流(V)ではないアルミニウム溶湯(M)の他の部分にフラックス(F)を投入することもできる。
【0051】
フラックス(F)の投入時期は特に限定されない。例えば、フラックス供給ユニット23は、原材料供給ユニット25が渦流(V)にアルミニウムスクラップ(A)を投入する以前に、フラックス(F)を渦流(V)に予め投入することができる。そうすると、フラックス(F)は渦流(V)によって旋回下降しながら、アルミニウム溶湯(M)に浸漬されて溶解される。ところが、フラックス(F)はアルミニウムに比べて相対的に小さな比重を有するので、アルミニウム溶湯(M)に溶解されたフラックス(F)はアルミニウム溶湯(M)の表面に浮上し、アルミニウム溶湯(M)の表面に溶融フラックス層、即ち、塩溶層を形成する。このような溶融フラックス層は、アルミニウム溶湯(M)及びアルミニウム溶湯(M)に投入されたアルミニウムスクリップ(A)が大気中の酸素と接触されることを遮断し、アルミニウム酸化物の発生量を減らすことができる。
【0052】
このようなフラックス(F)は、介在物を選択的に捕獲可能であるとともに、アルミニウム溶湯(M)の表面に溶融フラックス層を形成可能な組成を有する。好ましく、フラックス(F)は、塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)が同一の重量部で混合された混合物93-97重量部及び氷晶石類(Cryolite、Potassium Cryolite)3-7重量部を含むことができる。さらに好ましく、フラックス(F)は、塩化ナトリウム(NaCl)47.5重量部、塩化カリウム(KCl)47.5重量部、及びフッ化カリウムアルミニウム(KAlF4)5重量部を含むことができる。
【0053】
一方、原材料供給ユニット25によってアルミニウムスクラップ(A)の投入が始まった以後は、フラックス供給ユニット23は、原材料供給ユニット25と同時または異時にフラックス(F)を渦流(V)に投入することができる。つまり、アルミニウムスクラップ(A)の投入が始まった以後も、フラックス(F)はアルミニウムスクラップ(A)の供給推移に合わせて継続的または断続的に供給されるのである。
【0054】
フラックス(F)は、これを利用して捕獲しようとする非金属介在物の量と同一の量が供給されることが好ましいが、これに限定されるものではない。したがって、フラックス(F)の供給量は、アルミニウムスクラップ(A)の供給量とアルミニウムスクラップ(A)の種類により調節され得る。つまり、アルミニウム廃缶スクラップ(UBCsスクラップ)のように塗料及びその他の多量の非金属介在物を含むアルミニウムスクラップ(A)が供給される場合は、フラックス(F)の供給量が増加し、純度が高いアルミニウムスクラップ(A)が供給される場合は、フラックス(F)の供給量が減少し得る。
【0055】
原材料供給ユニット25は、外部の原材料供給源(図示省略)から供給されたアルミニウムフラックス(F)を、溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)に投入するための装置である。
【0056】
原材料供給ユニット25は、図2に示されているところのように、渦流ユニット21によって生成された渦流(V)にアルミニウムスクラップ(A)を投入する。そうすると、アルミニウムスクラップ(A)は渦流(V)によって旋回下降しながら、アルミニウム溶湯(M)に迅速に装入されて溶解され得る。これを介し、アルミニウム溶湯(M)に装入されたアルミニウムスクラップ(A)と大気の接触をさらに効果的に遮断させることにより、アルミニウム酸化物の発生量をさらに減らすことができる。
【0057】
アルミニウムスクラップ(A)の投入時期は特に限定されない。例えば、原材料供給ユニット25は、アルミニウム溶湯(M)の表面に溶融フラックス層が形成された以後にアルミニウムスクラップ(A)の供給を始めることができる。そうすると、アルミニウムスクラップ(A)は、アルミニウム溶湯(M)の表面に溶融フラックス層が形成された状態でアルミニウム溶湯(M)に装入され得る。これにより、アルミニウム溶湯(M)に装入されたアルミニウムスクラップ(A)と大気の接触がさらに効果的に遮断されるので、アルミニウム酸化物の発生量をさらに減らすことができる。
【0058】
アルミニウムスクラップ(A)の直径が大きい場合は、熱伝達率が低下するという問題点がある。よって、アルミニウムスクラップ(A)は、少なくとも一部が5cm以下の直径を有するアルミニウムチップであることが好ましい。アルミニウムスクラップ(A)の直径が大きい場合は熱伝達率が低下するので、相対的に直径が小さいアルミニウムチップが供給されるのである。このようなアルミニウムチップは、例えば、アルミニウム圧縮物のようなアルミニウムスクラップ等を破砕するか加工して製造することができる。
【0059】
アルミニウムスクラップ(A)の種類は特に限定されない。例えば、アルミニウムスクラップ(A)は、少なくとも一部がアルミニウム、マグネシウム及びアルミニウム合金を主に含むアルミニウム廃缶スクラップ(UBCs、A 3XXX系列、A 5XXXX系列)であってよい。このようなアルミニウム廃缶スクラップの化学組成は表1の通りである。
【表1】
【0060】
一方、アルミニウムスクラップ(A)の介在物(Inclusions)は、アルミニウムスクラップ(A)がアルミニウム溶湯(M)に装入されて溶解されるとき、溶融アルミニウムと凝集される性質を有する。ところが、溶溶フラックス層、即ち、フラックス(F)は、介在物と溶融アルミニウムの凝集力を弱化させて介在物と溶融アルミニウムを解離させ、溶融アルミニウムと解離された介在物を選択的に捕獲してブラックドロス(B1)を形成する。ブラックドロス(B1)は、前述した形成過程で体積が増加し、溶融アルミニウムより低い比重を有することになることでアルミニウム溶湯(M)の表面に浮上される。
【0061】
さらに、ブラックドロス(B1)は、図2及び図3に示されているところのように、渦流(V)によって旋回下降する途中、渦流(V)の下端に到達すれば渦流(V)から離脱され、その後はアルミニウム溶湯(M)の表面に浮上されてから、再度渦流(V)の吸入力によって渦流(V)に合流される。よって、ブラックドロス(B1)は、このような過程を介し、アルミニウム溶湯(M)の表面で生成された他のブラックドロス(B1)と結合される。このような過程が繰り返されると、図4に示されているところのように、多数のブラックドロス(B1)が球形に結集された球形のブラックドロス(B2)が形成される。つまり、渦流ユニット21は、渦流(V)を介してブラックドロス(B1)を反復的に下降及び浮上させることにより、多数のブラックドロス(B1)が球形に結集された球形のブラックドロス(B2)を形成するのである。このような球形のブラックドロス(B2)の化学組成は特に限定されない。例えば、前述したところのように、アルミニウムスクラップ(A)はアルミニウム廃缶スクラップ(UBCsスクラップ)であり、また、フラックス(F)は塩化ナトリウム(NaCl)47.5重量部、塩化カリウム(KCl)47.5重量部、及びフッ化カリウムアルミニウム(KAlF4)5重量部を含む場合、球形ドロス(B2)の化学組成は表2の通りである。
【表2】
【0062】
球形のブラックドロス(B2)は、ブラックドロス(B1)がアルミニウム溶湯(M)の下降及び浮上を繰り返しながら漸進的に形成されるので、このような下降及び浮上の過程なしで一回的に形成される一般的なブラックドロスに比べて非金属介在物の除去性能に優れる。これにより、球形のブラックドロス(B2)を形成する場合は、一般的なブラックドロスを形成する場合に比べてドロスのアルミニウム含有率を低減させることができる。つまり、一般的なブラックドロス、例えば、従来のアルミニウム廃缶の溶解工程でホワイトドロスがフラックス処理されて形成されたブラックドロスは約50%以上のアルミニウム含有率を有するが、球形のブラックドロス(B2)は約10%以下のアルミニウムの含有率を有する。したがって、球形のブラックドロス(B2)を形成することにより、純粋アルミニウムの溶解回収率を向上させることができる。さらに、球形のブラックドロス(B2)を形成することにより、発熱剤フラックス及び灰絞り押込器を利用してドロスの灰絞りを行い、ドロスに捕獲されたアルミニウムを回収するドロスの灰絞り過程を省略可能なので、このようなドロスの灰絞りに必要となる費用を節減することができる。
【0063】
第2流動通路29は、アルミニウムスクラップ(A)が溶解されたアルミニウム溶湯(M)を加熱室10に伝達するための通路を提供する。図1に示されているところのように、第2流動通路29は溶解室20と加熱室10を区切る壁体が貫通されて形成され、アルミニウム溶湯(M)は第2流動通路29を通って加熱室10に流入される。
【0064】
次に、流動力付与室30は、アルミニウム溶湯(M)が加熱室10と溶解室20の間を循環することができるよう、アルミニウム溶湯(M)に流動力を与えるための空間であり、加熱室10の第1流動通路16と連通されて加熱室10からアルミニウム溶湯(M)の伝達を受ける。
【0065】
流動力付与室30は、図1に示されているところのように、加熱室10の第1流動通路16と溶解室20の間に設けられる。ただし、これに限定されるのではなく、流動力付与室30は、溶解室20の第2流動通路29と加熱室10の間に設けられてもよい。
【0066】
流動力付与室30は、図1及び図2に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)を加速してアルミニウム溶湯(M)に流動力を与える加速ユニット32、及び流動力が与えられたアルミニウム溶湯(M)を溶解室20に伝達する第3流動通路34を含む。
【0067】
加速ユニット32は、少なくとも一部分がアルミニウム溶湯(M)に浸漬されるように流動力付与室30に設けられる。加速ユニット32の構造は特に限定されない。例えば、加速ユニット32は、図2に示されているところのように、流動力付与室30の外部に設けられた駆動モーター(図示省略)から駆動力の提供を受け、流動力付与室30に収容されたアルミニウム溶湯(M)をポンピングすることができる溶湯ポンプであってよい。
【0068】
第3流動通路34は、加速ユニット32によって流動力が与えられたアルミニウム溶湯(M)を流動室に伝達するための通路を提供する。図1及び図2に示されているところのように、第3流動通路34は、流動力付与室30と溶解室20を区切る壁体の下部が加速ユニット32のインペラーと対面するように貫通されて形成され、アルミニウム溶湯(M)は第3流動通路34を通って溶解室20に流入される。
【0069】
一方、本明細書では、加熱室10と溶解室20の間に加速ユニット32を備えた流動力付与室30が設けられるものと説明したが、これに限定されるものではない。つまり、溶解室20の渦流ユニット21は、渦流(V)を形成することによってアルミニウム溶湯(M)を上昇/下降させるとともに、アルミニウム溶解炉1を循環するための流動力をアルミニウム溶湯(M)に与えることができるので、流動力付与室30とこれに設けられた加速ユニット32は省略可能である。
【0070】
図5は、図1の溶解室に収容されたアルミニウム溶湯の表面に球形のブラックドロスが浮遊された状態を示す溶解室の平面図である。
【0071】
多くの個数の球形のブラックドロス(B2)が渦流(V)に密集されると、渦流(V)による球形のブラックドロス(B2)の下降及び浮上作用が弱化され、球形のブラックドロス(B2)の形成効率が減少する恐れがある。よって、予め定められた基準直径ほど成長した球形のブラックドロス(B2)は渦流(V)から離脱させ、渦流(V)に位置した球形のブラックドロス(B2)の密度を適正の水準に調節することが好ましい。
【0072】
球形のブラックドロス(B2)の基準直径は特に限定されない。例えば、アルミニウムスクラップ(A)はアルミニウム廃缶スクラップ(UBCsスクラップ)であり、また、フラックス(F)は塩化ナトリウム(NaCl)47.5重量部、塩化カリウム(KCl)47.5重量部、フッ化カリウムアルミニウム(KAlF4)5重量部を含む場合、球形のブラックドロス(B2)の基準直径は2cmから5cmである。
【0073】
このように基準直径ほど成長した球形のブラックドロス(B2)を渦流(V)から離脱させるため、溶解室20は、球形のブラックドロス(B2)を渦流(V)から分離する分離ユニット27をさらに含むことができる。
【0074】
分離ユニット27は、図2に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)の表面に浮遊された球形のブラックドロス(B2)を渦流(V)から遠い方へ引き寄せることができる形状を有する分離板27a、及び分離板27aを移動させるための駆動装置(図示省略)と分離板27aを連結する連結棒27bを含む。ここで、駆動装置は、溶解室20の外部に設けられた作業車であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0075】
このように分離ユニット27が設けられることにより、予め定められた基準値以上に大きくなった球形のブラックドロス(B2)を、分離板27aを利用して渦流(V)から遠い方に引き寄せて渦流(V)から離脱させることができる。したがって、球形のブラックドロス(B2)が渦流(V)に密集されることによって球形のブラックドロス(B2)の形成効率が低下することを防止することができる。ここで、分離ユニット27は、球形のブラックドロス(B2)を汲み出して外部に排出する機能もともに行うことができる。
【0076】
一方、分離ユニット27を利用して球形のブラックドロス(B2)を渦流(V)から遠い方に引き出した場合は、図5に示されているところのように、アルミニウム溶湯(M)の表面は少なくとも一部分が渦流(V)から離脱された球形のブラックドロス(B2)で覆われる。よって、溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)は、その表面を覆った球形のブラックドロス(B2)によって大気と遮断され、球形のブラックドロス(B2)は開放構造を有する溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)に対する保温効果を有することになる。したがって、球形のブラックドロス(B2)によってアルミニウム溶湯(M)の熱損失が最小化されることから、アルミニウム溶湯(M)が球形のブラックドロス(B2)により覆われていない場合に比べてアルミニウム溶湯(M)の温度が上昇される。
【0077】
例えば、従来のアルミニウム溶解炉は、一般に溶解室に収容されたアルミニウム溶湯の温度が約700℃以下であるのに対し、アルミニウム溶解炉1は溶解室20に収容されたアルミニウム溶湯(M)の温度が約730℃以上に上昇され得る。これにより、アルミニウム溶解炉1は、従来のアルミニウム溶解炉に比べてアルミニウムスクラップ(A)の溶解効率がさらに向上され得る。
【0078】
以上で、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されることなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5