(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、実施形態では、特に断らない限り、n
+形、n形の順でn形(第1導電形)の不純物濃度が低くなることを表す。また、p
+形、p形の順でp形(第2導電形)の不純物濃度が低くなることを表す。また、以下に表す図には、三次元座標(X軸、Y軸、およびZ軸)を導入する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図1(c)のA−A’線に沿った位置での模式的断面図である。
図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図1(c)のB−B’線に沿った位置での模式的断面図である。
図1(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を表す模式的平面図である。
図1(b)は、
図1(a)の破線B''の線に沿った位置での模式的断面図にも対応している。
図1(a)には、第1実施形態に係る半導体装置1AのY−Z平面における断面が表され、
図1(b)には、半導体装置1AのX−Z平面における断面が表されている。
【0009】
半導体装置1Aは、上下電極構造のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。半導体装置1Aは、例えば、素子(例えば、トランジスタ等)が配置された素子領域90と、素子領域90の外側において素子領域90を囲む終端領域91と、を有している。ここで、トランジスタは、例えば、ソース領域、ドレイン領域、ベース領域、ゲート電極、およびゲート絶縁膜を含むMOSFETである。素子領域90は、活性領域90とも称する。
【0010】
半導体装置1Aは、例えば、第1半導体領域(以下、例えば、半導体領域20)と、第2半導体領域(以下、例えば、ベース領域30)と、第3半導体領域(以下、例えば、ソース領域40)と、第1電極(以下、例えば、ドレイン電極10)と、第2電極(以下、例えば、ソース電極11)と、複数の第3電極(以下、例えば、ゲート電極50)と、複数の第4電極(以下、例えば、ゲート電極52)と、コンタクト領域35と、を備える。
【0011】
ここで、ドレイン電極10からソース電極11に向かう方向を、例えば、Z方向とし、Z方向に交差する方向を、例えば、X方向とし、Z方向およびX方向に交差する方向を、例えば、Y方向とする。実施形態では、複数のゲート電極50が隣接する方向を、例えば、Y方向としている。
【0012】
半導体領域20は、n形のドリフト領域21と、n
+形のドレイン領域22と、を有する。ドリフト領域21は、ドレイン領域22の上に設けられている。ドレイン領域22の不純物濃度は、ドリフト領域21の不純物濃度よりも高い。ドリフト領域21は、例えば、エピタキシャル成長層である。
【0013】
ドレイン領域22の下には、ドレイン電極10が設けられている。ドレイン電極10は、半導体領域20のドレイン領域22に接している。ドレイン電極10は、ドレイン領域22に電気的に接続されている。
【0014】
ベース領域30は、半導体領域20の上に設けられている。ベース領域30は、ドリフト領域21の表面に選択的に設けられている。ベース領域30の導電形は、p形である。ベース領域30は、素子領域90と、終端領域91の一部とに設けられている。終端領域91においては、ベース領域30の上および半導体領域20の上に、層間絶縁膜70が設けられている。
【0015】
ソース領域40は、ベース領域30の上に設けられている。ソース領域40は、ベース領域30の表面に選択的に設けられている。ソース領域40の導電形は、n
+形である。ソース領域40の不純物濃度は、ドリフト領域21の不純物濃度よりも高い。
【0016】
ソース領域40の上には、ソース電極11が設けられている。ソース電極11は、ソース領域40に接している。ソース電極11は、ソース領域40に電気的に接続されている。
【0017】
コンタクト領域35は、ベース領域30の表面に選択的に設けられている。コンタクト領域35は、ソース電極11と、ソース領域40と、に接している。コンタクト領域35の導電形は、p
+形である。コンタクト領域35の不純物濃度は、ベース領域30の不純物濃度よりも高い。
【0018】
また、半導体装置1Aにおいては、複数のゲート電極50が半導体領域20のドリフト領域21、ベース領域30、およびソース領域40に第1絶縁膜(以下、例えば、絶縁膜51)を介して向かい合うように設けられている。ゲート電極50に接する絶縁膜51は、ゲート絶縁膜と称される。複数のゲート電極50は、ゲートパッド50pに電気的に接続されている。
【0019】
また、半導体装置1Aにおいては、素子領域90に複数のゲート電極50が設けられている。複数のゲート電極50は、例えば、Y方向に並んでいる。複数のゲート電極50のそれぞれは、例えば、略平行にX方向に延在している。ゲート電極50の上端50uは、ベース領域30の上側に位置し、ゲート電極50の下端50dは、ドリフト領域21内に位置している。すなわち、ゲート電極50は、トレンチ構造を有している。複数のゲート電極50のそれぞれの下端50dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離は、略同じである。
【0020】
また、半導体装置1Aにおいては、素子領域90に複数のゲート電極52が設けられている。ゲート電極52は、例えば、ゲート電極50よりも、終端領域91の側に設けられている。複数のゲート電極50中の最外に配置されたゲート電極50eの外側に、複数のゲート電極52が設けられている。複数のゲート電極52は、終端領域91近傍の素子領域90に配置されている。複数のゲート電極52は、半導体領域20のドリフト領域21、ベース領域30、およびソース領域40に第2絶縁膜(以下、例えば、絶縁膜53)を介して向かい合うように設けられている。ゲート電極52に接する絶縁膜53は、ゲート絶縁膜と称される。複数のゲート電極52は、ゲートパッド50pに電気的に接続されている。
【0021】
複数のゲート電極52は、例えば、Y方向に並んでいる。また、複数のゲート電極52のそれぞれは、例えば、略平行にX方向に延在している。ゲート電極52の上端52uは、ベース領域30の上側に位置し、ゲート電極52の下端52dは、ドリフト領域21内に位置している。すなわち、ゲート電極52は、トレンチ構造を有している。複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離(第1距離)は、略同じである。
【0022】
但し、複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離は、複数のゲート電極50のそれぞれの下端50dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離(第2距離)よりも長い。また、Y方向において、複数のゲート電極52のそれぞれの幅W52は、複数のゲート電極50のそれぞれの幅W50よりも狭い。
【0023】
つまり、終端領域91近傍の素子領域90bに設けられたゲート電極52の下端52dは、終端領域91近傍以外の素子領域90aに設けられたゲート電極50の下端50dよりもソース電極11の側に位置している。また、終端領域91近傍の素子領域90bに設けられたゲート電極52の幅W52は、終端領域91近傍以外の素子領域90aに設けられたゲート電極50の幅W50よりも狭くなっている。
【0024】
なお、ゲート電極52の数は、
図1(a)において、3個を示したが、この数は特に限定されない。
【0025】
ドレイン電極10とソース電極11との間に設けられた各半導体領域の主成分は、例えば、ケイ素(Si)である。各半導体領域の主成分は、シリコン炭化物(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等であってもよい。例えば、各半導体領域の主成分がケイ素(Si)の場合、n形の不純物元素としては、例えば、リン(P)、ヒ素(As)等が適用される。p形の不純物元素としては、例えば、ホウ素(B)等が適用される。また、実施形態に係る半導体装置において、p形とn形の導電形を入れ替えても同様な効果が得られる。
【0026】
ドレイン電極10の材料およびソース電極11の材料は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)等の群から選ばれる少なくとも1つを含む金属である。ゲート電極50、52の材料は、例えば、ポリシリコン、タングステン(W)等を含む。また、実施形態に係る絶縁膜の材料は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物等を含む。
【0027】
半導体装置1Aの製造過程について説明する。
【0028】
図2(a)〜
図4(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造過程を表す模式的断面図である。
【0029】
例えば、
図2(a)に表すように、半導体領域20の上に、マスク層80を形成する。ここで、マスク層80には、開口80h1、80h2が設けられている。開口80h1、80h2は、素子領域90に形成されている。開口80h1、80h2のそれぞれにおいて、ドリフト領域21の上面21uが露出している。
【0030】
但し、終端領域91近傍の素子領域90bに設けられた開口80h2の幅W2は、終端領域91近傍以外の素子領域90aに設けられた開口80h1の幅W1よりも狭くなっている。
【0031】
次に、
図2(b)に表すように、マスク層80から露出されたドリフト領域21にエッチング処理を施す。エッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)である。これにより、ドリフト領域21にトレンチ21t1、21t2が形成される。
【0032】
ここで、ドリフト領域21に形成されたトレンチの幅には、マスク層80の開口80h1、80h2の幅が転写される。すなわち、終端領域91近傍の素子領域90bに設けられたトレンチ21t2の幅W2は、終端領域91近傍以外の素子領域90aに設けられたトレンチ21t1の幅W1よりも狭くなる。
【0033】
さらに、ローディング効果によって、幅が狭いトレンチ21t2の深さは、幅が広いトレンチ21t1の深さに比べて浅くなる。つまり、複数のトレンチ21t2のそれぞれの底部21b2とドレイン領域22の下面22dとの間の距離は、複数のトレンチ21t1のそれぞれの底部21b1とドレイン領域22の下面22dとの間の距離よりも長くなっている。
【0034】
次に、
図3(a)に表すように、トレンチ21t1の内壁に絶縁膜51を形成するとともに、トレンチ21t2の内壁に絶縁膜53を形成する。絶縁膜51、53は、例えば、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって形成される。
【0035】
次に、
図3(b)に表すように、トレンチ21t1の中に、絶縁膜51を介して導電層55を形成するとともに、トレンチ21t2の中に、絶縁膜53を介して導電層55を形成する。導電層55は、ドリフト領域21の上面21uの上側にも設けられる。導電層55の形成は、例えば、CVDによる。
【0036】
続いて、ドリフト領域21の上面21uから上側に設けられた絶縁膜、および導電層55は、例えば、CMP(Chemical Vapor Deposition)によって除去される。これにより、導電層55がゲート電極50とゲート電極52とに分離される。この状態を、
図4(a)に示す。
【0037】
さらに、
図4(a)に表すように、ドリフト領域21の上面21uの側に、選択的にp形の不純物元素を注入し、ドリフト領域21の上面21uの側にベース領域30を形成する。
【0038】
次に、
図4(b)に表すように、ベース領域30の上面の側に、選択的にn形の不純物元素を注入し、ベース領域30の上面の側にソース領域40を形成する。続いて、ソース領域40の上面の側に、選択的にp形の不純物元素を注入し、ソース領域40の上面の側にコンタクト領域35を形成する。さらに、注入した不純物元素の活性化を図るために、ベース領域30、ソース領域40、およびコンタクト領域35に加熱処理を行う。
【0039】
この後、
図1(a)に表すように、ゲート電極50、52のそれぞれの上端を絶縁膜で覆い、さらに終端領域91のベース領域30の上、およびドリフト領域21の上に層間絶縁膜70を形成する。さらに、ドレイン電極10、ソース電極11を形成する。
【0040】
半導体装置1Aの作用を説明する。なお、素子領域90と、ソース電極11が配置された領域と、は必ずしも一致していなくてもよい。本実施形態では、ソース電極11が配置された領域が素子領域90にほぼ一致していると仮定して、半導体装置1Aの作用について説明する。
【0041】
半導体装置1Aの作用を説明する前に、参考例に係る半導体装置100の作用について説明する。
【0042】
図5(a)は、参考例に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図5(b)は、参考例に係る半導体装置を表す模式的平面図である。
【0043】
図5(a)には、参考例に係る半導体装置100のY−Z平面における断面が表されている。半導体装置100においては、ゲート電極52が設けられておらず、ゲートとして、複数のゲート電極50が設けられている。半導体装置100においては、複数のゲート電極50のそれぞれの下端50dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が全て同じになっている。
【0044】
半導体装置100には、オン・オフ状態で、ソース電極11よりもドレイン電極10に高い電位が印加されている。
【0045】
ゲート電極50に閾値電位(Vth)以上の電位が印加されると、ゲート絶縁膜である絶縁膜51に沿ってベース領域30にチャネル(反転層)が形成されて、ソース領域40、チャネル、ドリフト領域21、およびドレイン領域22に電子電流が流れる。すなわち、半導体装置100はオン状態にある。
【0046】
ゲート電極50に閾値電位より小さい電位が印加されると、絶縁膜51に沿ってベース領域30にチャネルは形成されず、上述した電子電流は流れない。すなわち、半導体装置100はオフ状態にある。
【0047】
但し、オフ状態で、サージ電圧がソース・ドレイン間に印加されると、絶縁膜51の角部51c近傍に電界が集中する。そして、電界の集中により、絶縁膜51の角部51c近傍のドリフト領域21内でアバランシェ降伏が起きる場合がある。このアバランシェ降伏が起きる箇所を、ホットスポットと呼ぶ。
図5(a)、(b)では、ホットスポットを模式的に星印で表している。
【0048】
また、オフ状態では、終端領域91のベース領域30の角部30c近傍にも電界が集中する。従って、この集中した電界によって、終端領域91のpn接合部(p形ベース領域30/n形ドリフト領域21)でも、ホットスポットが発生する場合がある。
【0049】
ここで、アバランシェ降伏に対する耐性は、ドリフト領域21内に拡がる空乏層の延びの程度に依存している。すなわち、空乏層がより延びるほど、その耐性は高くなる。また、空乏層が延びる程度は、ドリフト領域21の温度にも依存している。すなわち、ドリフト領域21の温度が高いほど、空乏層は延び易くなる。
【0050】
例えば、ホットスポットは、半導体装置100の動作当初において、電子電流が流れる素子領域90で優先的に発生する。しかし、素子領域90において優先的にホットスポットが動作当初に発生しても、素子領域90におけるブレークダウン電流によって、素子領域90におけるドリフト領域21の温度が相対的に上昇する。これにより、素子領域90におけるドリフト領域21の耐性が相対的に向上する。これにより、ホットスポットは、素子領域90よりも、相対的に耐性が低くなった終端領域91で発生し易くなる。
【0051】
一方、終端領域91において、ホットスポットの発生が続くと、終端領域91におけるドリフト領域21の温度が相対的に上昇する。これにより、終端領域91におけるドリフト領域21の耐性が相対的に向上する。つまり、ホットスポットが終端領域91よりも素子領域90で発生し易くなる。
【0052】
つまり、素子領域90で発生するホットスポットと、終端領域91で発生するホットスポットと、が素子領域90と終端領域91との間において繰り返し行き来する現象が起きる(
図5(a)、(b)の矢印)。
【0053】
ここで、半導体装置100は、複数のゲート電極50のそれぞれの下端50dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が全て同じ構造を有している。従って、ホットスポットは、その発生当初、任意の絶縁膜51の角部51c近傍で発生すると考えられる。
【0054】
しかし、終端領域91近傍のゲート電極50と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離は、素子領域90の中央部におけるゲート電極50と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離に比べて短い。
【0055】
従って、ホットスポットの移動の繰り返しは、終端領域91近傍の絶縁膜51の角部51cと、終端領域91のpn接合部と、の間で発生し易くなる。つまり、ブレークダウン電流が終端領域91近傍と終端領域91との間で局所的に流れる。そして、ホットスポットの移動の繰り返しが同じ2つの場所の間で続き、この場所間で、ドリフト領域21がドリフト領域21の臨界耐圧を超える程度まで劣化すると、ドリフト領域21が破壊、すなわち、素子破壊に至ってしまう。つまり、終端領域91近傍の素子領域90bと終端領域91との間において、ドリフト領域21が優先的に破壊してしまう。
【0056】
この素子破壊を抑制するために、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の厚さを相対的に厚くする手法がある。この手法によれば、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の厚さが相対的に厚くなる分、この部分の空乏層の延びが促進し、この部分における耐性が優先的に向上する。
【0057】
しかし、この手法は、例えば、ドリフト領域21がエピタキシャル成長層である場合、エピタキシャル成長層の膜厚を選択的に厚くする手法である。従って、製造工程が複雑になる。
【0058】
一方、絶縁膜51の角部51c近傍またはベース領域30の角部30c近傍への電界集中を緩和する専用のフィールドプレート電極を設ける手法がある。例えば、このフィールドプレート電極は、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の上、または、終端領域91のpn接合部の上に設けられる。しかし、この手法は、製造工程数が多数になり、且つ製造工程も複雑になってしまう。
【0059】
このように、いずれの手法も半導体装置の低コスト化に限界が生じてしまう。
【0060】
図6(a)は、第1実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図6(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的平面図である。
【0061】
半導体装置1Aにおいても、半導体装置1Aの動作当初において、ホットスポットが素子領域90で優先的に発生する。素子領域90において優先的にホットスポットが動作当初に発生しても、素子領域90におけるブレークダウン電流によって、素子領域90におけるドリフト領域21の温度が相対的に上昇する。これにより、素子領域90におけるドリフト領域21の耐性が相対的に向上する。これにより、ホットスポットは、素子領域90よりも、相対的に耐性が低くなった終端領域91で発生し易くなる。
【0062】
一方、終端領域91において、ホットスポットの発生が続くと、終端領域91におけるドリフト領域21の温度が相対的に上昇する。これにより、終端領域91におけるドリフト領域21の耐性が相対的に向上する。つまり、ホットスポットが終端領域91よりも素子領域90で発生し易くなる。従って、半導体装置1Aにおいても、参考例のように、終端領域91近傍の素子領域90bと終端領域91との間でホットスポットの移動の繰り返しが起きるとも、考えられる。
【0063】
しかし、半導体装置1Aにおいては、複数のゲート電極50の外側に複数のゲート電極52を備えている。ここで、ゲート電極52の下端52dは、ゲート電極50の下端50dよりもソース電極11側に位置している。つまり、ゲート電極52の下端52dは、ゲート電極50の下端50dよりもドレイン電極10からより離れている。換言すれば、半導体装置1Aでは、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。
従って、絶縁膜53の角部53cに集中する電界は、絶縁膜51の角部51cに集中する電界に比べて緩和される。これにより、アバランシェ降伏は、絶縁膜53の角部53c近傍よりも、ゲート電極50に接した絶縁膜51の角部51c近傍で起き易くなる。
【0064】
ここで、ゲート電極50と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離は、ゲート電極52と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離に比べて長い。従って、ホットスポットは、素子領域90aと終端領域91との間において行き来し難くなる。
【0065】
すなわち、半導体装置1Aによれば、ホットスポットの移動が繰り返し起きる現象が抑制され、ドリフト領域21が破壊し難くなる。すなわち、半導体装置1Aの耐圧は、半導体装置100の耐圧に比べて向上する。
【0066】
また、半導体装置1Aによれば、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。このため、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の厚さを相対的に厚くする必要がない。さらに、絶縁膜51の角部51c近傍またはベース領域30の角部30c近傍への電界集中を緩和する専用のフィールドプレート電極を設ける必要もない。従って、半導体装置1Aによれば、低コスト化が実現する。また、半導体装置1Aによれば、素子領域90bに設けられたゲート電極52が通電を制御する制御電極として機能する。従って、オン時において、半導体装置1Aのオン抵抗は低減することなく、且つ、大電流が確保される。
【0067】
(第1実施形態の変形例)
図7は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
【0068】
半導体装置1Bにおいては、複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10との間の距離が素子領域90から終端領域91に向かうにつれ、長くなっている。例えば、複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10との間の距離が複数のゲート電極50から複数のゲート電極52に向かう方向において、複数のゲート電極50から遠ざかるにつれ長くなっている。例えば、ゲート電極52の下端52d1〜52d4のそれぞれと、ドレイン電極10と、の間の距離は、複数のゲート電極50中の最外に配置されたゲート電極50eから遠ざかるにつれ長くなっている。
【0069】
半導体装置1Bにおいても、複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が複数のゲート電極50のそれぞれの下端50dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離よりも長くなっている。従って、半導体装置1Bの耐圧は、半導体装置100の耐圧に比べて向上する。
【0070】
さらに、半導体装置1Bでは、複数のゲート電極50中の最外に配置されたゲート電極50eの下端50dと、ゲート電極50eに隣り合うゲート電極52の下端52d1との高低差が半導体装置1Aに比べて短くなっている。
【0071】
従って、複数のゲート電極50中の最外に配置されたゲート電極50eの下端50d近傍への電界集中が半導体装置1Aに比べて緩和される。すなわち、半導体装置1Bの耐圧は、半導体装置1Aの耐圧に比べてさらに向上している。
【0072】
(第2実施形態)
図8(a)は、第2実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図8(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
図8(b)は、
図8(a)の破線B''の線に沿った位置での模式的断面図に対応している。
【0073】
第2実施形態に係る半導体装置2Aは、例えば、半導体領域20と、ベース領域30と、ソース領域40と、ドレイン電極10と、ソース電極11と、複数のゲート電極50と、複数のゲート電極52と、コンタクト領域35と、を備える。このほか、半導体装置2Aは、例えば、複数の第5電極(以下、例えば、フィールドプレート電極56)と、複数の第6電極(以下、例えば、フィールドプレート電極57)と、を備える。フィールドプレート電極56、57の材料は、例えば、ゲート電極50、52の材料と同じである。
【0074】
半導体装置2Aにおいては、フィールドプレート電極56がゲート電極50の下側に設けられている。複数のフィールドプレート電極56のそれぞれは、半導体領域20のドリフト領域21および複数のゲート電極50のいずれかに、絶縁膜51を介して向かい合うように設けられている。複数のフィールドプレート電極56のそれぞれは、ソース電極11に電気的に接続されている。フィールドプレート電極56が接する絶縁膜51は、フィールドプレート絶縁膜と称される。
【0075】
フィールドプレート電極56は、ソース電極11の側からドレイン電極10の側に延び、トレンチ構造になっている。フィールドプレート電極56は、例えば、Y方向において、周期的に配列されている。また、半導体装置2Aのゲート電極50とフィールドプレート電極56は、例えば、Z方向において並んでいる。フィールドプレート電極56は、ゲート電極50と略平行に、例えば、X方向に延在している。
【0076】
また、半導体装置2Aにおいては、フィールドプレート電極57がゲート電極52の下側に設けられている。複数のフィールドプレート電極57のそれぞれは、半導体領域20のドリフト領域21および複数のゲート電極52のいずれかに、絶縁膜53を介して向かい合うように設けられている。複数のフィールドプレート電極57は、複数のフィールドプレート電極56中の最外に配置されたフィールドプレート電極56eの外側に設けられている。複数のフィールドプレート電極57のそれぞれは、ソース電極11に電気的に接続されている。フィールドプレート電極57が接する絶縁膜53は、フィールドプレート絶縁膜と称される。
【0077】
フィールドプレート電極57は、ソース電極11の側からドレイン電極10の側に延び、トレンチ構造になっている。フィールドプレート電極57は、Y方向において、例えば、周期的に配列されている。また、半導体装置2Aのゲート電極52とフィールドプレート電極57は、例えば、Z方向において並んでいる。フィールドプレート電極57は、ゲート電極52と略平行に、例えば、X方向に延在している。
【0078】
また、半導体装置2Aにおいては、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの下端57dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離(第3距離)が複数のフィールドプレート電極56の下端56dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離(第4距離)よりも短くなっている。
【0079】
また、半導体装置2Aにおいては、例えば、Y方向において、複数のゲート電極52のそれぞれの幅W52は、複数のゲート電極50のそれぞれの幅W50よりも広くなっている。また、Y方向において、例えば、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの幅W57は、複数のフィールドプレート電極56のそれぞれの幅W56よりも広くなっている。
【0080】
半導体装置2Aにおいて、このような深さまたは幅が異なるフィールドプレート電極は、上述したローディング効果を利用して形成される。
【0081】
半導体装置2Aの作用について説明する。
半導体装置2Aにおいても、終端領域91近傍の素子領域90bと終端領域91との間でホットスポットの移動の繰り返しが起こり得る。
【0082】
しかし、半導体装置2Aにおいては、複数のフィールドプレート電極56の外側に複数のフィールドプレート電極57を備えている。ここで、フィールドプレート電極57の下端57dは、フィールドプレート電極56の下端56dよりもドレイン電極10側に位置している。つまり、半導体装置2Aでは、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の空乏層が終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21の空乏層よりも延び易くなっている。
【0083】
従って、半導体装置2Aでは、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21の耐圧よりも増加する。
【0084】
これにより、アバランシェ降伏は、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21よりも、終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21で起き易くなる。さらに、ゲート電極50と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離は、ゲート電極52と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離に比べて長い。従って、半導体装置2Aにおいても、ホットスポットが素子領域90aと終端領域91との間において行き来し難くなる。
【0085】
このように、半導体装置2Aにおいても、ホットスポットの移動が繰り返し起きる現象が抑制され、ドリフト領域21が破壊し難くなる。すなわち、半導体装置2Aの耐圧は、半導体装置100の耐圧に比べて向上する。
【0086】
また、半導体装置2Aによれば、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。このため、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の厚さを相対的に厚くする必要がない。さらに、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の電界強度を緩和する専用のフィールドプレート電極を設ける必要もない。従って、半導体装置2Aによれば、低コスト化が実現する。
【0087】
(第2実施形態の変形例)
図9は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
【0088】
半導体装置2Bにおいては、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの下端57dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が素子領域90から終端領域91に向かうにつれ、短くなっている。例えば、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの下端57dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が複数のゲート電極50から複数のゲート電極52に向かう方向において、複数のゲート電極50から遠ざかるにつれ短くなっている。例えば、フィールドプレート電極57の下端57d1〜52d4のそれぞれと、ドレイン電極10と、の間の距離は、複数のゲート電極50中の最外に配置されたゲート電極50eから遠ざかるにつれ短くなっている。
【0089】
半導体装置2Bにおいても、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの下端57dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が複数のフィールドプレート電極56のそれぞれの下端56dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離よりも短くなっている。従って、半導体装置2Bの耐圧は、半導体装置100の耐圧に比べて向上する。
【0090】
さらに、半導体装置2Bでは、複数のフィールドプレート電極56中の最外に配置されたフィールドプレート電極56eの下端56dと、フィールドプレート電極56eに隣り合うフィールドプレート電極57の下端57d1との高低差が半導体装置2Aに比べて短くなっている。
【0091】
従って、フィールドプレート電極56eに隣り合うフィールドプレート電極57の下端50d近傍への電界集中は、半導体装置2Aに比べて緩和される。すなわち、半導体装置2Bの耐圧は、半導体装置2Aの耐圧に比べてさらに向上している。
【0092】
(第3実施形態)
図10(a)は、第3実施形態の第1例に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図であり、
図10(b)は、第3実施形態の第2例に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
【0093】
図10(a)に表す半導体装置3Aにおいては、半導体装置1Aと同じ構成要素を備え、さらに半導体領域20のドレイン領域22とドレイン電極10との間に、p
+形の第4半導体領域(以下、例えば、コレクタ領域23)を備えている。
【0094】
また、
図10(b)に表す半導体装置3Bにおいては、半導体装置2Aと同じ構成要素を備え、さらに半導体領域20のドレイン領域22とドレイン電極10との間に、p
+形のコレクタ領域23を備えている。
【0095】
すなわち、半導体装置3A、3Bは、上下電極構造のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ここで、第3実施形態では、半導体装置2A、2Bで用いた名称の「ソース」を「エミッタ」、「ドレイン」を「コレクタ」、「ドリフト」を「ベース」にそれぞれ読み替える。
【0096】
なお、半導体装置3Aにおいては、複数のゲート電極52のそれぞれの下端52dとドレイン電極10との間の距離が複数のゲート電極50から複数のゲート電極52に向かう方向において、複数のゲート電極50から遠ざかるにつれ長くなってもよい。
【0097】
また、半導体装置3Bにおいては、複数のフィールドプレート電極57のそれぞれの下端57dとドレイン電極10の上面10uとの間の距離が複数のゲート電極50から複数のゲート電極52に向かう方向において、複数のゲート電極50から遠ざかるにつれ短くなってもよい。
【0098】
(第4実施形態)
図11(a)は、第4実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
図11(b)は、
図11(a)のC−C’線に沿った位置での模式的平面図である。
【0099】
図11(a)には、X−Z平面における半導体装置4の断面が表されている。複数のゲート電極50は、複数のゲート電極50が並ぶ方向(例えば、Y方向)に対して交差する方向(例えば、X方向)に延在している。半導体装置4のゲート電極50においては、Z方向におけるゲート電極50の長さが端部50tにおいて選択的に短くなっている。つまり、複数のゲート電極50において、そのいずれかと半導体領域20の下面20dとの間の距離は、その端部50tにおいて選択的に長くなっている(
図11(a))。
【0100】
また、半導体装置4においては、Y方向におけるゲート電極50の幅が端部50tにおいて選択的に狭くなっている(
図11(b))。第4実施形態においては、ゲート電極50が設けられる前に形成されるトレンチが端部50tにおいて選択的に狭く形成される。そして、ローディング効果が利用され、Z方向におけるゲート電極50の長さが端部50tにおいて選択的に短くなるように、ゲート電極50が形成される。
【0101】
半導体装置4によれば、Z方向におけるゲート電極50の長さが端部50tにおいて選択的に短くなっている。従って、端部50tに接する絶縁膜51の角部51tcに集中する電界は、端部50t以外の部分の絶縁膜51の角部51cに集中する電界に比べて緩和される。これにより、アバランシェ降伏は、絶縁膜51の角部51tc近傍よりも、角部51c近傍で起き易くなる。換言すれば、半導体装置4では、X−Z切断面においても、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。
【0102】
また、端部50t以外のゲート電極50と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離は、ゲート電極50の端部50tと、終端領域91のpn接合部と、の間の距離に比べて長くなっている。従って、X−Z切断面においても、ホットスポットは、素子領域90aと終端領域91との間において行き来し難くなる。すなわち、半導体装置4によれば、X−Z切断面においても、ホットスポットの移動が繰り返し起きる現象が抑制され、ドリフト領域21が破壊し難くなる。
【0103】
また、半導体装置4によれば、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。このため、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の厚さを相対的に厚くする必要がない。さらに、X−Z切断面において、ゲート電極50の端部50tに接する絶縁膜51の角部51tcへの電界集中を緩和する専用のフィールドプレート電極を設ける必要もない。従って、半導体装置4によれば、低コスト化が実現する。
【0104】
また、半導体装置4によれば、素子領域90bに設けられたゲート電極50の端部50tが通電を制御する制御電極として機能する。従って、オン時において、半導体装置4のオン抵抗は低減することなく、且つ、大電流が確保される。
また、半導体装置4は、半導体領域20とドレイン電極10との間にp
+形のコレクタ領域23を設け、IGBTとしてもよい。
【0105】
(第5実施形態)
図12(a)は、第5実施形態に係る半導体装置の要部を表す模式的断面図である。
図12(b)は、
図12(a)のC−C’線に沿った位置での模式的平面図である。
【0106】
図12(a)には、X−Z平面における半導体装置5の断面が表されている。複数のフィールドプレート電極56は、複数のフィールドプレート電極56が並ぶ方向(例えば、Y方向)に対して交差する方向(例えば、X方向)に延在している。
【0107】
半導体装置5のフィールドプレート電極56においては、Z方向におけるフィールドプレート電極56の長さが端部56tにおいて選択的に長くなっている。つまり、複数のフィールドプレート電極56において、そのいずれかと半導体領域20の下面20dとの間の距離は、複数のフィールドプレート電極56のいずれかの端部56tにおいて選択的に短くなっている(
図12(a))。
【0108】
また、半導体装置5においては、Y方向におけるフィールドプレート電極56の幅が端部56tにおいて選択的に広くなっている(
図12(b))。第5実施形態では、フィールドプレート電極56が設けられる前に形成されるトレンチが端部56tにおいて選択的に広く形成される。そして、ローディング効果が利用され、Z方向におけるフィールドプレート電極56の長さが端部56tにおいて選択的に長くなるように、フィールドプレート電極56が形成される。
【0109】
半導体装置5においては、Z方向におけるフィールドプレート電極56の長さが端部56tにおいて選択的に長くなっている。つまり、半導体装置5では、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の空乏層が終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21の空乏層よりも延び易くなっている。
【0110】
従って、半導体装置5では、X−Z切断面においても、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21の耐圧が終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21の耐圧よりも増加する。これにより、X−Z切断面において、アバランシェ降伏は、終端領域91近傍の素子領域90bにおけるドリフト領域21よりも、終端領域91近傍以外の素子領域90aにおけるドリフト領域21で起き易くなる。
【0111】
ここで、端部56t以外のフィールドプレート電極56と、終端領域91のpn接合部と、の間の距離は、フィールドプレート電極56の端部56tと、終端領域91のpn接合部と、の間の距離に比べて長い。従って、半導体装置5においては、X−Z切断面においても、ホットスポットが素子領域90aと終端領域91との間において行き来し難くなる。このように、半導体装置5によれば、X−Z切断面においても、ホットスポットの移動が繰り返し起きる現象が抑制され、ドリフト領域21が破壊し難くなる。
【0112】
また、半導体装置5によれば、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の耐圧が相対的に向上している。このため、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の厚さを相対的に厚くする必要がない。さらに、X−Z切断面において、終端領域91近傍の素子領域90におけるドリフト領域21の電界強度を緩和する専用のフィールドプレート電極を設ける必要もない。従って、半導体装置5によれば、低コスト化が実現する。
【0113】
上記の実施形態では、「部位Aは部位Bの上に設けられている」と表現された場合の「の上に」とは、部位Aが部位Bに接触して、部位Aが部位Bの上に設けられている場合の他に、部位Aが部位Bに接触せず、部位Aが部位Bの上方に設けられている場合との意味で用いられる場合がある。また、「部位Aは部位Bの上に設けられている」は、部位Aと部位Bとを反転させて部位Aが部位Bの下に位置した場合や、部位Aと部位Bとが横に並んだ場合にも適用される場合がある。これは、実施形態に係る半導体装置を回転しても、回転前後において半導体装置の構造は変わらないからである。
【0114】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、実施形態はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、実施形態の特徴を備えている限り、実施形態の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0115】
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも実施形態の特徴を含む限り実施形態の範囲に包含される。その他、実施形態の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても実施形態の範囲に属するものと了解される。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。