特許第6572335号(P6572335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6572335老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ及び関連器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572335
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ及び関連器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/013 20060101AFI20190826BHJP
   A61F 2/14 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61F9/013
   A61F2/14
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-22235(P2018-22235)
(22)【出願日】2018年2月9日
(62)【分割の表示】特願2016-77546(P2016-77546)の分割
【原出願日】2007年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-118055(P2018-118055A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2018年2月9日
(31)【優先権主張番号】60/819,995
(32)【優先日】2006年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509010849
【氏名又は名称】リフォーカス グループ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス、ジャック、シー.、ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】コックス、マーク、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン、ダグラス、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ズデネック、ジーン、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、ピーター、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スモレック、マイケル、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ソロウェイ、バリー、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ベア、レックス、オー.
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー、アンドリュー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペイン、ティモシー、ジェイ.
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−527142(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0161433(US,A1)
【文献】 特表2003−509090(JP,A)
【文献】 米国特許第07008396(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007,9/013
A61F 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強膜プロテーゼであって、前記強膜プロテーゼは、
眼球の強膜組織の中へ埋め込まれるように構成された細長い本体
を含み、
前記細長い本体は、反対方向の第1端部及び第2端部を含み、
前記本体の両側面の複数部分が、前記本体の前記第1端部、及び、前記第1端部と前記第2端部との間の前記本体の残りの部分の一部分を形成し、前記第1端部及び前記第2端部は、前記本体の前記残りの部分よりも幅広になっており、
前記本体の前記複数部分は、空きスペースによって、前記本体の全体長さの少なくとも半分にわたって分離されており、前記本体の前記複数部分同士が、前記1端部と前記第2端部との間の位置で出会い、前記位置と前記本体の前記第1端部との間で互いに接続されておらず、
前記本体の前記第2端部は、前記本体の前記残りの部分と一体になっており、複数の分離された部分に分割されていない、強膜プロテーゼ。
【請求項2】
前記第1端部及び前記第2端部よりも幅が小さい前記本体の前記残りの部分が、前記本体の前記全体長さの少なくとも約70%に沿って、前記第1端部と前記第2端部との間に延びている、請求項1記載の強膜プロテーゼ。
【請求項3】
前記本体の前記複数部分は、外部からの干渉なしに互いから離間したままの状態を維持するように付勢されているが、前記第1端部の幅を低減するために、互いに向かって押し合わせられるように構成されている、請求項1記載の強膜プロテーゼ。
【請求項4】
前記第1端部及び前記第2端部が、前記残りの部分の1つ以上の側面を越えて実質的に垂直方向に突出している、請求項1記載の強膜プロテーゼ。
【請求項5】
前記本体の前記残りの部分の両側面が、前記本体の前記全体長さの少なくともかなりの部分に沿って略平行に延びている、請求項1記載の強膜プロテーゼ。
【請求項6】
前記空きスペースは、前記第1端部に隣接する第1のより大きい幅からより小さい幅へテーパが付けられており、そして、前記本体の前記複数部分同士が出会う位置に隣接する第2のより大きい幅へ拡大する、請求項1記載の強膜プロテーゼ。
【請求項7】
システムであって、前記システムは、
強膜プロテーゼであって、前記強膜プロテーゼは、
眼球の強膜組織の中へ埋め込まれるように構成された細長い本体
を含み、
前記細長い本体は、反対方向の第1端部及び第2端部を含み、
前記本体の両側面の複数部分が、前記本体の前記第1端部、及び、前記第1端部と前記第2端部との間の前記本体の残りの部分の一部分を形成し、前記第1端部及び前記第2端部は、前記本体の前記残りの部分よりも幅広になっており、
前記本体の前記複数部分は、空きスペースによって、前記本体の全体長さの少なくとも半分にわたって分離されており、前記本体の前記複数部分同士が、前記1端部と前記第2端部との間の位置で出会い、前記位置と前記本体の前記第1端部との間で互いに接続されておらず、
前記本体の前記第2端部は、前記本体の前記残りの部分と一体になっており、複数の分離された部分に分割されていない、強膜プロテーゼと、
前記本体の前記複数部分同士の間に設置されるように構成されているインサートと
を含む、システム。
【請求項8】
前記第1端部及び前記第2端部よりも幅が小さい前記本体の前記残りの部分が、前記本体の前記全体長さの少なくとも約70%に沿って、前記第1端部と前記第2端部との間に延びている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記本体の前記複数部分は、外部からの干渉なしに互いから離間したままの状態を維持するように付勢されているが、前記第1端部の幅を低減するために、互いに向かって押し合わせられるように構成されている、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記第1端部及び前記第2端部が、前記残りの部分の1つ以上の側面を越えて実質的に垂直方向に突出している、請求項7記載のシステム。
【請求項11】
前記本体の前記残りの部分の両側面が、前記本体の前記全体長さの少なくともかなりの部分に沿って略平行に延びている、請求項7記載のシステム。
【請求項12】
前記空きスペースは、前記第1端部に隣接する第1のより大きい幅からより小さい幅へテーパが付けられており、そして、前記本体の前記複数部分同士が出会う位置に隣接する第2のより大きい幅へ拡大する、請求項7記載のシステム。
【請求項13】
前記インサートは、前記第1端部に隣接して設置されるように構成されている第1のより大きい幅からより小さい幅へテーパが付けられており、そして、前記本体の前記複数部分同士が出会う位置に隣接して設置されるように構成されている第2のより大きい幅へ拡大する、請求項7記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のより大きい幅が、前記第2のより大きい幅よりも幅広になっている、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記本体の前記複数部分が、右側の部分及び左側の部分を含み、
前記右側の部分が、前記右側の部分から前記左側の部分へ向かって内方へ延びる第1突出部を含み、
前記左側の部分が、前記左側の部分から前記右側の部分へ向かって内方へ延びる第2突出部を含み、
前記第1突出部及び前記第2突出部が、前記インサートのスロットと係合するように構成されている、請求項7記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許文献のクロスリファレンス
本出願は、2006年6月11日に提出された米国特許仮出願第60/819,995号に対し、U.S.C.§119(e)の35号により優先権を請求するものである。該仮出願を、ここに引用することにより本明細書に取り入れるものとする。
【0002】
本出願は、以下の米国特許出願及び発行された特許に関わるものである:
(1)1999年12月28日に発行された「老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ」と称する米国特許第6,007,578号、
(2)2001年8月28日に発行された「老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ」と称する米国特許第6,280,468号、
(3)2001年10月9日に発行された「老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ」と称する米国特許第6,299,640号、
(4)1994年10月11日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,354,331号、
(5)1995年11月14日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,465,737号、
(6)1996年2月6日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,489,299号、
(7)1996年4月2日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,503,165号、
(8)1996年6月25日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,529,076号、
(9)1998年3月3日に発行された「老視その他の眼の障害の治療」と称する米国特許第5,722,952号、
(10)2001年3月6日に発行された「老視その他の眼の障害を治療するための分節強膜バンド」と称する米国特許第6,197,056号、
(11)2003年6月17日に発行された「老視その他の眼の障害を治療するための分節強膜バンド」と称する米国特許第6,579,316号、
(12)2005年8月9日に発行された「眼の強膜インプラント用の切開用外科器具に使用する外科用メス」と称する米国特許第6,926,727号、
(13)2006年1月31日に発行された「アヒルのくちばし形状を有する強膜拡張器具」と称する米国特許第6,991,650号、
(14)2002年2月22日に提出された「眼の強膜インプラント用の切開システムと方法」と称する米国特許出願第10/080,877号、
(15)2003年5月20日に提出された「強膜プロテーゼ用の強膜ポケットの位置を決定するシステムと方法」と称する米国特許出願第10/443,122号、
(16)2005年5月24日に提出された「老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼ」と称する米国特許出願第11/137,085号、
(17)2005年8月8日に提出された「眼の強膜インプラント用の切開外科器具に使用する外科用メス」と称する米国特許出願第11/199,591号、
(18)2005年10月17日に提出された「アヒルのくちばし形状を有する強膜拡張器具」と称する米国特許出願第11/252,369号、
(19)2005年12月30日に提出された「眼の強膜インプラント用の切開用外科器具に使用する外科用メス」と称する米国特許出願第11/323,283号、
(20)2005年12月30日に提出された「眼の強膜インプラント用の切開システムと方法」と称する米国特許出願第11/323,284号、
(21)2005年12月30日に提出された「老視その他の眼の障害を治療するための分節強膜バンド」と称する米国特許出願第11/322,728号、
(22)2005年12月30日に提出された「老視その他の眼の障害を治療するための分節強膜バンド」と称する米国特許出願第11/323,752号。
以上の米国特許及び特許出願は、すべてここに引用することで本明細書に取り入れられるものである。
【0003】
本発明は、広くは、眼のインプラント及び関連器具に係わり、より具体的には、老視その他の眼の障害を治療する強膜プロテーゼ及び関連器具と方法に関するものである。
【背景技術】
【0004】
ヒトの眼が、異なる距離の(特に、近い位置の)対象を明瞭に見るには、眼の水晶体の有効焦点距離が調節されることで、網膜上にできるだけ明確に焦点を合わされた対象の映像が得られなければならない。有効焦点距離のこのような変更は、「調節作用」(accomodation)として知られ、眼の水晶体の形状を変えることによって達せられる。一般に、無調節の正視眼の場合、水晶体の曲率によって、離れた対象が網膜上に明確な像を結ぶ。無調節の眼では、近い対象は、網膜上に明確には焦点を結ばない。なぜなら、それらの映像が網膜後方に位置するからである。近い対象を明確に見えるようにするには、水晶体の曲率を増すことで、屈折力を高め、近い対象の映像が網膜上に結ばれるようにする。
【0005】
水晶体の形状変更は、眼「球」内の一定の筋肉及び構造の動きによって実現される。水晶体は、瞳孔の直ぐ後方の眼球前部に位置している。水晶体は、古典的な光学両凸レンズの形状を有しており、このことは、水晶体が、2つの凸状屈折面を有する概して円形の断面を有することを意味している。水晶体は、概して眼の視軸上に位置し、眼の視軸は、通常、角膜中心から、眼球後部の網膜内の黄斑に達する直線である。無調節の眼では、水晶体の後面(硝子体に隣接する面)の曲率は、前面の曲率より幾分大きい。
【0006】
水晶体は膜状水晶体包によって密に被覆され、この被膜が、水晶体の支持と動きの中間構造物として役立っている。水晶体と水晶体包とは、「小帯」と呼ばれる半径方向弾性繊維の円形集成体によって、瞳孔後方の視軸上に懸吊されている。該小帯は、内端が水晶体包に、外端が毛様体に結合され、間接的に毛様筋に結合されている。毛様筋は、強膜内に位置する組織の筋状リングであり、眼の外側支持構造物である。
【0007】
ヘルムホルツによる古典的調節理論によれば、毛様筋は、無調節の眼では弛緩しており、したがって直径が最大値となる。この状態での毛様筋の直径は比較的大きいため、小帯に張力が作用し、小帯は水晶体包を半径方向外方へ引張する。これによって、水晶体赤道の直径が僅かに増大し、視軸上での水晶体の前後の寸法が減少する。換言すれば、水晶体包に作用する張力により、水晶体は平らにされた状態になり、その場合、前面の曲率が、また或る程度まで後面の曲率も、張力を受けない場合より小さくなる。この状態では、水晶体の屈折力は、相対的に低くなり、眼は、離れた対象が明確に見えるように焦点を結ぶ。
【0008】
古典的な理論によれば、眼が近い対象に焦点を結ぼうとする場合には、毛様筋が収縮する。この収縮により、毛様筋は前方へ、かつ内方へ移動し、それによって、水晶体包の赤道に作用する小帯の、外方への引張力が弛緩する。小帯の張力のこの減少により、弾力的な水晶体包が収縮でき、それによって視軸上での水晶体の前後寸法が増大する(これは水晶体が、より球状になることを意味する)。その結果、水晶体の光パワーが増す。水晶体包の厚さが局所的に異なるため、前面の曲率中心半径は、後面の曲率中心半径より変化が大きくなる。これが眼の調節された状態であり、その場合、近くの対象の映像が網膜上に明確に映し出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
老視では、調節の幅が全般的に減少するが、この現象は、通常、40歳を超えた人々に認められる。正常な視力、つまり「正視」眼を有するヒトの場合、近い対象に焦点を結ぶ能力が、徐々に失われてゆく。一つの結果として、近くを見る必要のある仕事、たとえば読む作業の場合、めがねが必要になる。
【0010】
従来の見方によれば、加齢によって眼の調節幅が減少するのは、加齢に伴う水晶体包の弾性喪失及び/又は水晶体の硬化による。このため、小帯に作用する半径方向張力が毛様筋の収縮によって緩められても、水晶体の曲率は大きくはならない。この従来の見方によれば、老眼の調節力は、どのような治療を施しても回復は不可能である。水晶体と水晶体包の弾性喪失は不可逆と見なされる。老視の諸問題の一つの解決策は、近くを見る仕事用の矯正レンズを使用するか、遠くを見るのに矯正レンズを要する場合には、二重焦点レンズを使用することである。他の解決策には、眼の角膜の外科的な再形成、又は老視眼内レンズのインプラントが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の見方とは異なり、眼の強膜内に強膜プロテーゼをインプラントすることで老眼の調節力を回復させることができる。各個の強膜プロテーゼをインプラントするには、眼の強膜に、例えば水晶体赤道平面近くに、切開部を設ける。次いで、切開部を強膜表面下へ拡張し、胸膜「トンネル」を形成し、そのトンネル内に強膜プロテーゼを配置する。通常の強膜プロテーゼは、長さ約5ミリメートル、幅1.5ミリメートル、高さ1ミリメートルの概して長方形のバーで形成できる。単一の又は複数の強膜プロテーゼを患者の眼内へインプラントすることで、部分的に又は全体的に、老眼に調節力を回復させることができる。同じ技術又は類似の技術は、緑内障、眼球緊張亢進症、眼(内)圧上昇、その他の眼の障害の治療にも利用できる。この技術は、冒頭に挙げることで本明細書に取り入れた複数米国特許及び複数米国特許出願に、より完全に記載されている。
【0012】
本明細書には、老視その他の眼の障害を治療するための強膜プロテーゼと関連器具及び方法が開示される。
【0013】
第1実施例の場合、強膜プロテーゼは第1自由端部と第2自由端部とを含んでいる。これら端部の各々は、強膜プロテーゼの中央部より広幅である。強膜プロテーゼの第1端部は、複数第1部分によって形成される。この第1部分は、強膜プロテーゼの長さの少なくとも半分にわたって分離されている。
【0014】
特定の複数実施例では、強膜プロテーゼの第2端部が、複数第2部分によって形成され、この場合、第2部分は強膜プロテーゼに沿って長手方向に分離されている。他の特定実施例では、第2部分が強膜プロテーゼ長さの四分の一未満にわたって分離されている。
【0015】
第2実施例は、第1自由端部と第2自由端部とを有する強膜プロテーゼを含むシステムで構成されている。各端部は強膜プロテーゼの中央部より広幅である。強膜プロテーゼの第1端部は複数第1部分によって形成され、その場合、この第1部分は、強膜プロテーゼ長さの少なくとも半分にわたって分離されている。また、このシステムは通し管を含み、この管内へ強膜プロテーゼの第1部分が、少なくとも部分的に挿入される。この通し管は、眼の強膜組織内の強膜トンネルを通して運ばれ、かつ強膜トンネル内に強膜プロテーゼを放出して強膜プロテーゼをインプラントするように構成されている。
【0016】
特定の実施例の場合、該システムには、更に通し管を通して配置され、かつ強膜プロテーゼの一部にわたって輪留めされる縫合糸が含まれる。
【0017】
第3実施例では、移植器具が、眼の強膜組織内の強膜トンネルへ挿入されるように構成された第1端部を含んでいる。この移植器具は、また、強膜プロテーゼを受容するように構成された第2端部を含んでいる。この第2端部は、また第1端部の後から強膜トンネルを通って運ばれ、強膜トンネル内に強膜プロテーゼを放出し強膜プロテーゼをインプラントするように構成されている。
【0018】
特定実施例の場合、この移植器具は、更に第1端部内へ部分的に挿入されるロッドを含んでいる。別の特定実施例の場合、このロッドの端部がテーパ付けされ、かつ丸みを付けられている。
【0019】
第4実施例の場合、一方法が、強膜プロテーゼを通し管内へ挿入する作業を含んでいる。この方法は、また通し管を用いて、眼の強膜組織内の強膜トンネルへ強膜プロテーゼを引込む作業を含んでいる。加えて、この方法は、通し管から強膜プロテーゼを取り外して強膜トンネル内に移植する作業を含んでいる。
【0020】
特定実施例の場合、該方法は、更に強膜プロテーゼの一部にわたって縫合糸を輪留めする作業を含み、その場合、縫合糸は、通し管を通して配置される。該方法は、また縫合糸を用いて強膜トンネル内へ強膜プロテーゼを引込む作業を含んでいる。
【0021】
別の特定実施例では、ロッドが通し管の第1端部から延び、該ロッドが強膜トンネル内へ挿入された後に、通し管の第1端部が強膜トンネル内へ挿入される。
【0022】
第5実施例では、強膜プロテーゼが、第1温度では第1形状を、第2温度では第2形状を有する胴体を含んでいる。該胴体は第1と第2の端部を含み、該端部は、第1形状では、より狭幅であり、第2形状では、より広幅である。第2形状での第1と第2の端部は、第2形状での胴体中央部分より広幅である。
【0023】
特定の実施例では、第1形状は比較的平らであり、第2形状は少なくとも部分的にアーチ形である。
【0024】
別の特定実施例では、各端部が複数区域を含んでいる。各端部のこれらの複数区域は、第1形状では互いに向って曲げられており、各端部のこれらの複数区域は、第2形状では互いに離れる方向に曲げられている。
【0025】
このほかの技術的特徴は、当業者には、以下の図面、説明、特許請求の範囲の記載により容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明を、より完全に理解するために、次に、添付図面と関連して行われる以下の説明を参照されたい。
図1A】本発明による強膜プロテーゼの第1実施例の図。
図1B】本発明による強膜プロテーゼの第1実施例の図。
図2A】本発明による強膜プロテーゼの第2実施例の図。
図2B】本発明による強膜プロテーゼの第2実施例の図。
図3A】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図3B】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図3C】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図3D】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図3E】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図3F】本発明による強膜プロテーゼの第3実施例の図。
図4】本発明による強膜プロテーゼの第4実施例の図。
図5A】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5B】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5C】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5D】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5E】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5F】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図5G】本発明による強膜プロテーゼの第5実施例の図。
図6A】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6B】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6C】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6D】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6E】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6F】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図6G】本発明による強膜プロテーゼの第6実施例の図。
図7A】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7B】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7C】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7D】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7E】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7F】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図7G】本発明による強膜プロテーゼの第7実施例の図。
図8A】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図8B】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図8C】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図8D】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図8E】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図8F】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の一例を示す図。
図9A】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用される通し管の一実施例を示す図。
図9B】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用される通し管の一実施例を示す図。
図9C】本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用される通し管の一実施例を示す図。
図10A】本発明により強膜プロテーゼを受容するための強膜トンネルを形成するのに使用される外科用メスの一実施例を示す図。
図10B】本発明により強膜プロテーゼを受容するための強膜トンネルを形成するのに使用される外科用メスの一実施例を示す図。
図11A】本発明による強膜プロテーゼの第8実施例の図。
図11B】本発明による強膜プロテーゼの第8実施例の図。
図11C】本発明による強膜プロテーゼの第8実施例の図。
図11D】本発明による強膜プロテーゼの第8実施例の図。
図12A】本発明による強膜プロテーゼの第9実施例の図。
図12B】本発明による強膜プロテーゼの第9実施例の図。
図13A】本発明による強膜プロテーゼの第10実施例の図。
図13B】本発明による強膜プロテーゼの第10実施例の図。
図13C】本発明による強膜プロテーゼの第10実施例の図。
図13D】本発明による強膜プロテーゼの第10実施例の図。
図14A】本発明による強膜プロテーゼの第11実施例の図。
図14B】本発明による強膜プロテーゼの第11実施例の図。
図15】本発明により患者の眼内へ強膜プロテーゼを挿入する方法の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0027】
図1A及び図1Bには、本発明の第1実施例による強膜プロテーゼ100が示されている。図1Å及び図1Bに示された実施例の強膜プロテーゼ100は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼの別の実施例の使用も可能だろう。
【0028】
図1Å及び図1Bに示されているように、強膜プロテーゼ100は、両端部102,104と、頂面106と、底面108とを有している。プロテーゼ100の一方の端部102は、プロテーゼ100の一方の基部を形成する平らな底面を有する概して円筒形の区域110を含んでいる。プロテーゼ100の他方の端部104は、複数部分112a,112bに分割されている。これらの部分112a,112bの各々は、平らな底面を有する概して円筒形の区域を含み、該底面がプロテーゼ100の他方の底部を形成している。
【0029】
この実施例では、プロテーゼ100の部分112a,112bは、プロテーゼ100の長さの過半にわたって延び、このことは、プロテーゼ100が、その長さの少なくとも半分(又は他のかなりの長さ部分)にわたって分割されていることを意味する。該部分112a,112bは、外部からの干渉なしに互いに離間したままの状態となるように概して付勢されている。該部分112a,112bは、互いに又は一緒に押し合わせることができるが、解放された後には分離されるように付勢することもできる。また、該部分112a,112bは、患者の眼球の切開部を裂くほどの過剰な付勢力は与えられていない。また、円筒形区域110,114は、プロテーゼ100の両側面から突出しており、このことは、円筒形区域110,114が、プロテーゼ100の中央部より広幅の底部を形成していることを意味する。加えて、この実施例では、プロテーゼ100の頂面106が、概して曲線状だが、底面108は、概して平らか又は曲線状にすることができる。
【0030】
この実施例の場合、強膜プロテーゼ100は、患者の眼球の強膜トンネル内に埋め込むことができる。例えば、プロテーゼ100は、円筒形区域110,114が強膜トンネルの外側に残るように埋め込むことができる。また、円筒形区域110,114の平らな底面は、強膜トンネルの外側の、患者の眼球の表面上に配置できる。強膜トンネル内に強膜プロテーゼ100を埋め込むために、強膜プロテーゼ100の部分112a,112bは、押し合わされて、強膜トンネル内を引き通される。これが、埋め込み時にプロテーゼ100を強膜トンネルに引き通すさい、強膜プロテーゼ100の端部104の幅又は断面積を縮小する助けとなる。しかし、強膜トンネル内に強膜プロテーゼ100を埋め込むには、適当な別のどのような技術を使用してもよい。
【0031】
強膜プロテーゼ100を埋め込む強膜トンネルは、患者の眼球の毛様体近くに形成できる。強膜プロテーゼ100は、強膜トンネル内に埋め込まれると、例えば患者の眼の調節の幅を増すのに役立つ。強膜プロテーゼ100は、また眼のこのほかの状態、例えば緑内障、眼球緊張亢進(症)、眼(内)圧上昇、その他の眼の障害の治療を助けることもできる。幾つかの実施例では、複数のプロテーゼ(例えば4個)が患者の眼球に埋め込まれ、プロテーゼの端部は「自由」にされる(他のプロテーゼの端部に取り付けられない)。
【0032】
強膜プロテーゼ100の端部を中央部より広幅にすることにより、プロテーゼ100の安定化等の種々の利点が得られる。例えば、端部をより広幅にすると、強膜プロテーゼ100が、埋め込み後に強膜トンネル内で変向又は回転する恐れが低減される。また、より広幅の端部は、強膜プロテーゼ100を定位置に固定し、強膜プロテーゼ100の動きを阻止する助けになる。加えて、より広幅の端部により、埋め込み後に強膜プロテーゼ100が強膜トンネル外へ意図せずに飛び出す恐れが低減されよう。
【0033】
特定の実施例の場合、図1A及び図1Bのプロテーゼ100は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)、ポリエーテル‐エーテル・ケトン(PEEK)、その他適当な材料により一体形成することができる。また、強膜プロテーゼ100は、適当な寸法を有することができ、異なる寸法の強膜プロテーゼ100を得ることができる。例えば、異なる寸法の強膜プロテーゼ100は、プロテーゼ100の円筒形区域110,114の内縁部からの長さが、3.6mm、3.8mm、4.0mm、4.2mm等の異なる長さを有することができる。
【実施例2】
【0034】
図2A及び図2Bには、本発明の第2実施例による強膜プロテーゼ200が示されている。図2Å及び図2Bに示した強膜プロテーゼの実施例200は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ200の別の実施例も使用できよう。
【0035】
図2A及び図2Bの強膜プロテーゼ200は、図1Å及び図1Bの強膜プロテーゼ100に類似している。第2実施例の場合、強膜プロテーゼ200は両端部202,204を含んでいる。この実施例では、両端部202,204が、それぞれ複数部分206a,206bと208a,208bとに分割されている。これらの端部206a,206b及び208a,208bは、各々、概して円筒形の区域210又は212を含み、該区域は、平らな底部を有し、強膜プロテーゼ200の2つの基部を共に形成することができる。
【0036】
この実施例の場合、例えば、円筒形区域210,212が患者の眼球の強膜トンネル外に留まるように、強膜プロテーゼ200を強膜トンネル内に埋め込むことができる。また、円筒形区域210,212の平らな底部は、強膜トンネルの外側の、患者の眼球の表面上に配置することができる。更に、円筒形区域210,212は、プロテーゼ200の両側から突出し、プロテーゼ200の中央部より広幅の基部を形成している。こうすることで、既述のように、強膜プロテーゼ200の安定化が、例えば、回転の低減又は防止、プロテーゼ200の定位置への固定、プロテーゼ200の動きの阻止、強膜トンネルからの強膜プロテーゼ200の脱出可能性の低減によって助けられる。加えて、この実施例では、プロテーゼ200の頂面が、概して曲線状であるが、底面は、概して平らか又は曲線状である。
【0037】
強膜トンネル内にプロテーゼ200を埋め込むために、強膜プロテーゼ200の部分206a,206b又は208a,208bは、一緒に押し合わせて、強膜トンネルに引張り通すことができる。この実施例は、図2Bに示されている。その場合、器具290は2つの鉤状端部を有し、該鉤状端部は、膜プロテーゼ200の円筒形区域212の周囲又は上に引掛けることができる。器具290は、強膜プロテーゼ200の分割された部分208a,208bを押し合わせるのに使用され、プロテーゼ200を強膜トンネル内へ引込むことができる。しかし、強膜プロテーゼ200を強膜トンネル内に埋め込むには、他の適当などのような技術をも使用することができる。
【0038】
特定実施例の場合、図2A及び図2Bの強膜プロテーゼ200は、例えばPMMA、PEEK、その他適当な材料により一体成形された単一片で形成できる。強膜プロテーゼ200は、また適当な寸法を有することができ、異なる寸法の強膜プロテーゼ200を得ることができる。
【実施例3】
【0039】
図3A図3Fには、本発明の第3実施例による強膜プロテーゼ300が示されている。図3A図3Fに示した強膜プロテーゼ300の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ300の別の実施例も使用できよう。
【0040】
図3A図3Cに見られるように、強膜プロテーゼ300は、両端部302,304と、頂面306と、底面308とを有している。プロテーゼ300の一方の端部302は、複数部分310a,310bに分割され、プロテーゼ300の他方の端部304は、複数部分312a,312bに分割されている。
【0041】
この実施例の場合、プロテーゼ300の部分310a,310bは、プロテーゼ300の長さの4分の1未満(又は他のそれ以下のプロテーゼ長さのかなりの部分)の長さにわたり、プロテーゼ300の部分312a,312bは、プロテーゼ300の長さの半分以上の長さ(又は幾分それ以上の他の、プロテーゼ長さのかなりの部分)にわたって延びている。また、この実施例では、プロテーゼ300の端部302,304は、各々区域314,316を有し、該区域が3角形状をなしている。図3Bに示すように、強膜プロテーゼ300の端部302の区域314は、反対側の端部304に概して向いた面を有している。また、図3Bに示すように、強膜プロテーゼ300の端部304の区域316は、より鉤形状の面を有している(区域316が反対側の端部302に向って延びる鉤形状を有している)。これらの区域314,316は、また概して平らな底面を含むことができ、該底面が強膜プロテーゼ300の基部を形成している。
【0042】
この実施例の場合、強膜プロテーゼ300を患者の眼球の強膜トンネル内に埋め込むことができるが、その場合、例えば、区域314,316が強膜トンネルの外部にとどまるように埋め込まれる。また、区域314,316の平らな底部は、強膜トンネル外部の患者の眼球表面上に配置することができる。更に、区域314,316は、強膜プロテーゼ300の側面から突出し、強膜プロテーゼ300の中央部より広幅の基部を形成している。その上、広幅の端部は、強膜プロテーゼ300に一定の利点を与えることができ、例えば、プロテーゼ300を安定化できる。加えて、この実施例では、プロテーゼ300の頂面306及び底面308が概して曲線状である。
【0043】
特定実施例では、図3A図3Cのプロテーゼ300は、例えばPMMA,PEEK、その他適当な材料を一体成形した単一片で作ることができる。また、強膜プロテーゼ300は、適当などのような寸法でもよく、異なる寸法の複数の強膜プロテーゼ300を得ることができる。
【0044】
図3D図3Fには、異なる寸法のプロテーゼの複数例が、4個の異なるプロテーゼ300a〜300dにより示されている。プロテーゼ300a〜300dは、互いに類似し、構造の相違は僅かである。例えば、300aは、より大きいアーチと両端の平らな底面とを有しているが、プロテーゼ300cは、より小さいアーチと両端の平らな底面とを有している。プロテーゼ300bは、より大きいアーチと両端の斜めの底面とを有しているが、プロテーゼ300dは、より小さいアーチと両端の斜めの底面とを有している。
【0045】
図3D図3Fに示したプロテーゼ300a〜300dは、適当な、どのような寸法をも有することができる。例えば、プロテーゼ300a〜300dは、長さを5,366マイクロメートルにすることができる。また、プロテーゼ300a〜300dの中央部(端部と端部の中間)の厚さ(頂面と底面の間)は、例えば831,833,839各マイクロメートル等の種々の値が可能である。プロテーゼ300a〜300dのアーチ(プロテーゼの両先端とアーチの頂点との間)も、種々の値、例えば212,311,386各マイクロメートルの値が可能である。
【実施例4】
【0046】
図4には、本発明の第4実施例による強膜プロテーゼ400が示されている。図4に示した実施例の強膜プロテーゼ400は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ400の他の実施例も使用できよう。
【0047】
図4の強膜プロテーゼ400は、図3A〜図3Cに示した強膜プロテーゼ300に類似している。この強膜プロテーゼ400は、両端部402,404を含み、端部404は複数部分406a,406bに分割されている。
【0048】
強膜プロテーゼ400は、また端部404の複数部分406a,406bの間又は周囲に設けられたインサート408を含んでいる。インサート408は、強膜プロテーゼ400の端部404の部分406a,406bの間又は周囲に永久取付け可能又は取外し可能に取付けることができる。例えば、インサート408は、プロテーゼ400が患者の眼球の強膜トンネル内へ埋め込まれた後、端部404の部分406a,406bの間又は周囲に配置できる。インサート408は、例えば、強膜トンネルからのプロテーゼ400の除去を容易にするために、後で除去することができる。
【0049】
インサート408は、概して、プロテーゼ400の安定化を助成する(より広幅の端部により既に得られる安定化に加えて)。例えば、インサート408は、プロテーゼ400の部分406a,406bが過剰に拡開するのを防止するのに役立ち、それによって、反対側の端部402が強膜トンネル内を引き通され、プロテーゼ400が完全に強膜トンネルから出されるよう強制できる。インサート408は、また強膜トンネル内でのプロテーゼ400の回転を低減又は防止する機能を有することができる。例えば、インサート408は、確実にプロテーゼ400の端部404が目標幅を維持することで、プロテーゼ400が強膜トンネル内に埋め込まれた後、転動を防止する十分な幅が残されるようにするのに役立つ。加えて、インサート408は、プロテーゼ400が埋め込まれた後でなければ、プロテーゼ400内又はその周囲に挿入できないから、埋め込み時にプロテーゼ400の部分406a,406bを互いに押し合わせることができる一方、埋め込み後には、部分406a,406bが互いに接近するのを防止することができる(プロテーゼ400が強膜トンネルから脱出する可能性を低減する)。
【0050】
インサート408は、適当などのような形式でプロテーゼ400に取り付け又は結合してもよい。例えば、インサート408は、プロテーゼ400の部分406a,406bの1つ以上の対応構造部と係合する1つ以上の構造部を有することができる。例えば、インサート408の雄構造部をプロテーゼ胴部の雌構造部と係合させることができる。インサート408は、またプロテーゼ400の周囲に縫合材を用いて取付けるか、又はプロテーゼ400の周囲にループ状に取り付けることができる。インサート408は、適当な他のどのような形式でプロテーゼ400に取付け又は結合することもできる。
【実施例5】
【0051】
図5A図5Gには、本発明の第5実施例による強膜プロテーゼ500が示されている。図5A図5Gに示した強膜プロテーゼ500の実施例は、図解目的以外のものではない。強膜プロテーゼ500の他の実施例も、本発明の範囲を逸脱することなく使用できよう。
【0052】
図5Aに示すように、強膜プロテーゼ500は両端部502,504を有している。この実施例では、プロテーゼ500の一方の端部504のみが、複数部分506a,506bに分割されている(両端を分割することもできるが)。図5Bに見られるように、プロテーゼ500の端部は、概して、楕円形状の断面を有している。プロテーゼ500の全体の形状は、より楕円形状の断面と分割されていない端部502とを除いて、プロテーゼ300の形状に類似している。
【0053】
図示のように、プロテーゼ500の端部502,504の部分508,510は鉤状であり、しかも、端部502の部分508は、鉤状の先端が端部504の方へ向いており、端部504の部分510は、鉤状の先端が端部502の方を向いている。プロテーゼ500のこれらの部分508,510は、また強膜トンネルの外部に配置され、患者の眼球表面上に載置される。また、プロテーゼ500の両端部502,504は、中央部より広幅で、ピストンt500の安定化を助けている。
【0054】
この実施例の場合、プロテーゼ500は、また部分506a,506bの内側に沿って突出部512を含んでいる。突出部512は、概して、プロテーゼ500の部分506a,506bに沿って長手方向に延在している。突出部512は、部分506a,506bの中間湾曲部に沿って互いに接続されていてもよいが、接続されていなくてもよい。突出部512は、また適当な、どのような高さ、幅、形状を有していてもよい。
【0055】
プロテーゼ500は、図5B図5Gに示す寸法を有することができよう。これらの寸法は、図解目的以外のものではない。これらの図では、寸法が角括弧内の数字と(単位はインチ)、その下の角括弧なしの数字(単位はミリメートル)で表されている。曲率半径に関わる値には、Rの文字が頭に付されている(例えばR6.168)。加えて、図5Eには、図5DのA−A線に沿って切断したプロテーゼ500の断面が示され、図5Gには、図5FのB−B線に沿って切断したプロテーゼ500の断面が示されている。図5Gに示されているように、プロテーゼ500は、端部502近くの分割されていない部分内を中空にすることができ(るが、不可欠ではない)、そこに液体、ゲル、その他の材料を充填してもよいが、しなくともよい。
【0056】
より詳しくは後述するが、プロテーゼ500の端部504の複数部分506a,506bの間又は周囲に、インサートを配置できる。該インサートは、プロテーゼ500の端部504の部分506a,506bの間又は周囲に永久配置又は取外し可能に配置することができる。例えば、インサートは、プロテーゼ500を患者の眼球内の強膜トンネル内に埋め込んだ後に、端部504の部分506a,506bの間又は周囲に配置できよう。インサートは、例えば、強膜トンネルからのプロテーゼ500の除去を容易にするために、後で取り外すこともできる。
【0057】
インサートは、概して、強膜プロテーゼ500の安定化を助成する(より広幅の端部によって既に得られている安定化に加えて)。例えば、インサートは、プロテーゼ500の部分506a,506bが過度に拡開するのを防止するのに役立ち、このため、反対側の端部502は強膜トンネル内を引張り通され、プロテーゼ500が強膜トンネルから完全に出るように強制することができる。インサートは、また強膜トンネル内でのプロテーゼ500の回転を低減又は阻止するように機能することもできる。例えば、インサートは、確実に、プロテーゼ500の端部504が目標幅を維持し、かつプロテーゼ500が強膜トンネル内に埋め込まれた後に転動しないように、十分な幅を維持するのに役立つ。加えて、インサートは、プロテーゼ500が埋め込まれた後でなければ、プロテーゼ500内又はその周囲へ挿入できないので、埋め込み時には、プロテーゼ500の部分506a,506bを押し合わせることができ、埋め込み後には、部分506a,506bが互いに接近することが防止される(プロテーゼ500が強膜トンネルから脱出する可能性が低減される)。
【実施例6】
【0058】
図6A図6Gには、本発明の第6実施例による強膜プロテーゼ600が示されている。図6A図6Gに示した強膜プロテーゼ600の実施例は、図解目的以外のものではない。強膜プロテーゼ600の他の実施例も、本発明の範囲を逸脱することなしに使用できよう。
【0059】
図6Aに示すように、強膜プロテーゼ600は両端部602,604を有している。この実施例でも、またプロテーゼ600の一方の端部604のみが複数部分606a,606bに分割されている(両端部を分割してもよい)。図6Bに見られるように、プロテーゼ600は、概して、より長方形状の断面を有しており、しかも、両端部602,604の底面はプロテーゼ500の底面より平らである。
【0060】
図示のように、プロテーゼ600の端部602,604の部分606a,606bは鉤状であり、プロテーゼ600は、部分606a,606bの内側に沿って突出部612を含んでいる。突出部612は、概して、プロテーゼ600の部分606a,606bに沿って長手方向に延び、部分606aと部分606bとの中間湾曲部に沿って接続されていてもよく、接続されていなくともよい。また、強膜プロテーゼ600の両端部602,604は、中央部より広幅であり、それによって、プロテーゼ600の安定化が助けられる。
【0061】
プロテーゼ600は、図6B図6Gに示す寸法を有することができよう。それらの寸法は図解目的以外のものではない。それらの図面には、寸法が、角括弧内の数字(単位はインチ)と、その下の括弧なしの数字(単位はミリメートル)とで表され、曲率半径に関わる値は、頭に文字Rが付してある。加えて、図6Eには、図6DのA−A線に沿って切断したプロテーゼ600の断面が示されており、図6Gには、図6FのB−B線に沿って切断したプロテーゼ600の断面が示されている。また、プロテーゼ600は、端部602近くのプロテーゼ600の分割されていない部分の内部は、中空であっても中空でなくともよく、また、液体、ゲル、その他の材料を充填しても充填しなくともよい。
【0062】
後で示すように、プロテーゼ600は、その端部604の複数部分606a,606bの間又は周囲に永久取り付けされるか又は取外し可能に取り付けられたインサートを含んでいる。このインサートは、概して、強膜プロテーゼ600の安定化を助けている(より広幅の端部により既に得られている安定化に加えて)。
【実施例7】
【0063】
図7A図7Gには、本発明による第7実施例の強膜プロテーゼ700が示されている。図7A図7Gに示した強膜プロテーゼ700の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ700の他の実施例の素養も可能である。
【0064】
図7Aに示すように、強膜プロテーゼ700は両端部702〜704を有している。この実施例の場合も、プロテーゼ700の一端704だけが複数部分706a,706bに分割されている(両端部を分割することもできよう)。既出の実施例と異なり、プロテーゼ700は、図7Bに見られるように、対称的な断面を有していない。その代わり、プロテーゼ700は、一方の側が、プロテーゼ700の全長にわたって比較的平らである。この場合、端部702〜704は、プロテーゼ700の側面711に沿って互いに整合する側面を有している。また、端部702〜704の各々は、それぞれ単一の鉤状部708,710を有している。結果として、両端部702〜704は、やはりプロテーゼ700の中央部より広幅であり、プロテーゼ700の安定化を助けるが、端部702〜704は既出の実施例ほど広幅ではない。
【0065】
強膜プロテーゼ500及び600同様、強膜プロテーゼ700は、部分706a,706bの内側に沿って形成された突出部712を含んでいる。突出部712は、概して、プロテーゼ700の部分706a,706bに沿って長手方向に延びており、互いに接続されていても接続されていなくともよい。
【0066】
プロテーゼ700は、図7B図7Gに示した寸法を有することができよう。これらの寸法は図解目的以外のものではない。図7Eには、図7DのA−A線に沿って切断したプロテーゼ700の断面が示され、図7Gには、図7EのB−B線に沿って切断した断面が示されている。また、プロテーゼ700は、端部702近くの分割されていない部分内が中空であっても中空でなくともよく、液体、ゲル、その他の材料を充填されていてもよいが、いなくてもよい。後述するように、プロテーゼ700は、その端部704の複数部分706a,706bの間又は周囲にインサートが永久取付けされるか、又は取外し可能に取付けられている。該インサートは、概して、プロテーゼ700の安定化を助けている(より広幅の端部により既に得られている安定化に加えて)。
【0067】
図1A図7Gにはプロテーゼの種々の実施例が示されているが、図1A図7Gでは、種々の変更がなされている。例えば、強膜プロテーゼの特徴の寸法や形状は、図解目的のためだけのもので、適当などのような変更を加えることもできる。また、既述の強膜プロテーゼの1つに関して図示し説明した種々の特徴は、その他の強膜プロテーゼにも使用できる。特定の一実施例として、プロテーゼ400のインサート408は、適当な他のどの強膜プロテーゼにも使用できる。特定の他の実施例としては、図3A図3Fに示したプロテーゼと、図5A図7Gに示したプロテーゼとの相違は、(端部から見て)端部の頂縁が、図5A図7Gの場合、頂部から底部へ約45°の角度で下方へ傾斜するように形成されている点である。この特徴は、他のどのプロテーゼにも同じように使用することができよう。
【0068】
図8A図8Fは、本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する一例を示している。図8A図8Fに示した挿入例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなく、他の技術を、患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用することができる。
【0069】
図8Aに示すように、強膜プロテーゼ800は患者の眼球の強膜トンネル802内へ埋め込まれつつある。強膜プロテーゼ800は、適当な、どのようなプロテーゼでもよく、例えば既述のプロテーゼの1つでも、また他の適当なプロテーゼでもよい。この例では、プロテーゼ800が通し管804内へ挿入される。通し管は、強膜トンネル802内へ挿入するためにプロテーゼ800の分割された部分を互いに押し合わせるのに使用される。プロテーゼ800は、通し管804と、任意のものだが、強膜トンネル802内へ通された縫合糸とによって強膜トンネル802内へ引張り込まれる。この例の縫合糸806の端部は2つのループを含み、これらのループが、通し管804を貫通して配置され、プロテーゼ800の一端と結合される。この例では、縫合糸806のループは、プロテーゼ800の一端の円筒形又は3角形状の区域の周囲に輪留めされる。
【0070】
図8A図8Bに示されているように、プロテーゼ800の一端は縫合糸806に結合され、通し管804内へ挿入できる。図8C及び図8Dに示すように、通し管804と縫合糸806とを引張ることで、プロテーゼ800を強膜トンネル802内へ引き込むことができる。幾つかの実施例では、プロテーゼ800は、強膜トンネル802内へ(例えば通し管804及び/又は縫合糸806を用いて)引張り込まれるだけでなく、強膜トンネル802内へ(例えば外科医が保持する器具によって)押し込まれもする。図8Eに示すように、プロテーゼ800が強膜トンネル802内に埋め込まれると、通し管804はプロテーゼ800から引き外され、縫合糸806はプロテーゼ800から取り外すことができる。これにより、プロテーゼ800は、図8Fに見られるように、強膜トンネル802内に残される。
【0071】
図8A図8Fにより患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する一例を示したが、図8A図8Fの例には種々の変更を加えることができる。例えば、通し管804は、適当などのような寸法又は形状であってもよい。また、縫合糸806は、適当などのような形式でプロテーゼ800に取り付け又は結合してもよい。加えて、縫合糸806は、プロテーゼ800を埋め込むのに通し管804と一緒に使用する必要はない。特定実施例では、プロテーゼ800は、通し管804のみを用いて強膜トンネル802内へ引張り込むことができよう。
【0072】
図9A図9Cには、本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用する通し管の一例が示されている。図9A図9Cに示す通し管900の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなく、通し管900の別の実施例を使用することが可能である。
【0073】
この例では、通し管900が、より広幅の上部902と、テーパを付けた部分904と、より狭幅の下部906とを含んでいる。この例の下部906は、斜めの端部908を含んでいる。通し管900は、適当な、どのような材料でも形成でき、例えば、テフロン(登録商標)(PTFE)(ポリテトラフルオロエチレン)製の熱収縮管でよい。また、通し管900は、強膜トンネル内を引き通すことのできる適当な、どのような形状を有していてもよい。例えば、通し管900は、3.0cm(±0.5cm)の全長を有することができよう。また、上部902は、1.0cm(±0.2cm)の長さ、1.0mmの内径、0.08mmの最小壁厚を有することができよう。更に、下部906は、0.5mmの内径、0.12mmの回復した最小壁厚を有することができよう。加えて、下部906の端部908は、30°の角度を有することができよう。
【0074】
任意だが、縫合糸910は通し管900を貫通して配置でき、通し管900の下部906内へロッド912を挿入できる。図9Cには、通し管900の下部906の断面が示されている。縫合糸910は、通し管900を貫通して延びるようにされ、強膜プロテーゼ914の周囲に輪留めされて、通し管900を通して引き戻される。この実施例での縫合糸910は、プロテーゼ914の中央部の周囲に輪留めされる(図8A図8Fに示したように、プロテーゼの閉じた端部に輪留めされるのではない)。縫合糸910は、適当な、どのような材料で作られた適当な、どのような縫合糸でもよく、例えば、0.1mm直径の6〜0ナイロン又はプロレン(PROLEN)縫合糸でよい。
【0075】
この例のロッド912は、テーパ付きの丸くされた端部を含み、該端部を通し管900の下部906の前に強膜トンネルを貫通させることができる。ロッド912は、患者の眼球の強膜トンネル内への通し管の挿入を容易にするために使用することができる。例えば、ロッド12は、強膜トンネルを拡開して、通し管900の下部906が強膜トンネル内へ挿入される前に大きい寸法が得られるようにするのに役立つ。ロッド12は、適当な、どのような材料で形成することもでき、また適当な、どのような寸法及び形状を有することもでき、例えば、最大直径0.3mmの葉巻形のロッドでよい。また、ロッド912の両端は、図9Bに示すような形状を有しているが、この形状である必要はない。
【0076】
図9A図9Cには、患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するのに使用する通し管900の1例が示されているが、この例には種々の変更が可能である。例えば、通し管900及びロッド912は、適当な、どのような寸法又は形状であってもよい。また、縫合糸910は、プロテーゼ914の中央部周囲に輪留めされる必要はなく、プロテーゼ914の周囲に輪留めするか、プロテーゼ914に取り付けるか、又は適当な何らかの形式で、例えば、プロテーゼ914の近いほうの端部周囲に輪留めすることで、プロテーゼ914に結びつければよい。更に、縫合糸910及び/又はロッド912は、強膜トンネル内へ強膜プロテーゼを挿入するために、通し管と一緒に使用する必要はない。
【0077】
図10A及び図10Bには、本発明による強膜プロテーゼを受容するための強膜トンネルの作成に使用する外科用メス1000の一例が示されている。図10A及び図10Bに示された外科用メスの実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、外科用メス1000の別の実施例を使用することもできよう。
【0078】
この例では、外科用メス1000は、強膜トンネルを通過する縫合糸を自動式に給送するのに使用される。縫合糸は、この場合、例えば図8A図8F及び図9A図9Cに示されているように、プロテーゼを強膜トンネル内へ引張り込むのに使用できよう。しかし、既述のように、強膜トンネル内へのプロテーゼの引張り込みに縫合糸を使用することは、必ずしも必要ではなく、外科用メス1000は、強膜トンネル内に縫合糸を引張り通すことをせず、単に強膜トンネルを形成するだけに変更することもできる。
【0079】
図10A及び図10Bに示すように、外科用メス1000は、中心部1002と、湾曲切断刃1004と、連結セグメント1006とを含んでいる。中心部1002は、外科器具に結合され、複数方向に回転し、切断刃1004を患者の眼球の強膜組織の内外へ移動させることができる。連結セグメント1006は、中心部1002を切断刃1004と連結し、中心部1002の回転を切断刃1004に伝えて運動させるのに役立つ。
【0080】
この例の場合、切断刃1004はノッチ1008を含んでいる。切断刃1004が回転して患者の眼球の強膜組織内へ挿入された後(強膜組織から脱出する前に)、縫合糸1010がノッチ1008内に配置される。幾つかの実施例では、縫合糸1010は、その端部に複数ループを有することができ、それらのループをノッチ1008内に配置できる。別の複数実施例では、縫合糸1010自体がノッチ1008内に配置される。縫合糸1010は、適当な、どのような形式でノッチ内に配置してもよく、例えば自動式にでも手操作によってでもよい。切断刃1004は、次いで患者の強膜組織から回転して脱出し、そのさい一緒に縫合糸1010を引き出す。こうすることで、縫合糸1010を、強膜トンネルが形成される時点に患者の眼球の強膜トンネルから引き出すことができる。縫合糸1010は、また強膜トンネルの位置の目印として役立ち、外科用メス1000が除去された後に、外科医その他の医員が患者の眼球の強膜トンネルを迅速に突き止めることができる。
【0081】
図10A及び図10Bには、強膜プロテーゼを受容するための強膜トンネルを作成するのに使用する外科用メス1000の一例を示したが、この例には種々の変更を加えることができる。例えば、外科用メス1000は、ノッチ1008を含まなくてもよく、縫合糸1010は、強膜トンネルが形成された後で強膜トンネルを通して挿入することもできる。また、既述のように、縫合糸1010は外科処置から省くこともできる。
【実施例8】
【0082】
図11A図11Dには、本発明による強膜プロテーゼ1100の第8実施例が示されている。図11A図11Dに示した強膜プロテーゼ1100の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ1100の別の実施例も使用できよう。
【0083】
この実施例の場合、強膜プロテーゼ1100は、強膜トンネル内への埋め込み後に変形する。例えば、プロテーゼ1100は、形状記憶金属、又はその他の、ニッケル・チタン合金又はニチノール等の一定温度又は温度範囲に曝露されると変形する材料で作ることができる。この実施例の場合、埋め込み前のプロテーゼ1100は、図11Aに示す形状を有している。この図のプロテーゼ1100は、概して平らな中央部1102と、概して平らな両端部1104,1106とを含んでいる。端部1104,1106の各々は2分割部分1108を含み、該部分が、この例では互いに内方へ曲がっている。
【0084】
プロテーゼ1100は、強膜トンネル内へ挿入されると、患者の強膜組織の温度によって図11Bに示す形状に変わる。プロテーゼ1100の中央部1102は、今やアーチ形又は湾曲形と成り、各端部の区域1108は互いに反対方向へ曲がる。また、端部1104〜1106は、概して湾曲する一方、端部1104〜1106の先端は、より平らで、プロテーゼ1100の支持部となる拡がった足を形成する。
【0085】
プロテーゼ1100は、適当な、どのような形式で患者の眼球内へ埋め込んでもよい。例えば、強膜プロテーゼ1100は、外科用メスを使用して強膜トンネルを形成した後に、強膜トンネル内へ挿入することもできる。
【0086】
別の複数実施例の場合には、図11Cに示すように、プロテーゼ1100は、一体化されたメス1154を有する鞘1152内に収容できる。この場合、一体のメス1154を使用して患者の眼球内に強膜トンネルを作成する間に、プロテーゼ1100を強膜組織内へ挿入することができる。図11Dに示すように、例えば、真空ポット1170を患者の眼球上に当てがって、患者の強膜1172及び結膜1174を引張り上げるのに真空力を利用できる。この場合、患者の眼球に、例えば符号1176の部位に切開部を形成できる。この作業には、部位1176のところで患者の眼球にメス1154を用いて切開部を形成して、部位1176のところから眼球内へプロテーゼ1100を挿入する作業を含むことができる。患者の強膜1172を引張り上げた後に切開部を形成することによって、強膜トンネルを形成するのに、湾曲切開部より、むしろ直線状切開部を利用することができる。切開部は真空ポット1170の外側に生じるように示されているが、真空ポット1170は、その内側に切開部を作成するための機構を含むこともできる。
【0087】
一旦埋め込まれると、鞘1152は開かれ、強膜トンネルから引き出される一方、プロテーゼ1100は、定位置に残される(例えば、外科医がプロテーゼ1100を定位置に保持するための掴み器具を用いて)。しかし、プロテーゼ1100は、適当な、どのような他の形式で挿入することもでき、そのさい、鞘、一体のメス、真空ポットは用いてもよいし用いなくともよい。
【0088】
複数の特定実施例の場合、プロテーゼ1100は、可鍛性であり、例えば60°F(約15.5°C)未満の比較的低温で図11Aに見られる形状を取ることができる(「マルテンサイト」相)。60°Fを超える温度(「オーステナイト」相)では、プロテーゼ1100は、図11Bに見られるアーチ形の形状を取ることができる。図11Aの、より平らなプロテーゼ1100の形状は、埋め込み時にプロテーゼ1100の断面を減少させるのに役立ち、それにより、患者の眼球の強膜組織内に必要とされる切開部の寸法を縮小できる。一特定実施例として、図11Aのプロテーゼ1100は、250マイクロメートルのアーチ高さを有することができ、図11Bのプロテーゼ1100は、900マイクロメートルのアーチ高さを有することができよう。また、図11Aのプロテーゼ1100は、概して平らであるから、湾曲切開部ではなく、直線的な切開部により強膜トンネルを形成でき、切開部形成の複雑さが低減される。
【0089】
図11A図11Dには強膜プロテーゼ1100の第8実施例を示したが、これらの図の実施例には種々の変更を加えることが可能である。例えば、プロテーゼ1100は、埋め込みの前及び後に適当な、どのような寸法又は形状であってもよい。図11Aのプロテーゼ1100の端部1104,1106は、分割部分1108を有するように示されているが、一特定実施例によれば、プロテーゼ1100の各端部1104,1106は、完全に一体化でき、埋め込み後に初めて複数部分1108に分岐するようにすることもできる。
【0090】
図12A図14Bに示した付加的なプロテーゼの実施例は、これらプロテーゼ各々の一端の複数部分又は「脚部」の間に配置するインサートを有している。
【実施例9】
【0091】
図12A及び図12Bには、本発明による強膜プロテーゼ1200の第9実施例が示されている。図12A及び図12Bに示した強膜プロテーゼ1200の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ1200の別の実施例も使用できよう。
【0092】
この実施例の場合、強膜プロテーゼ1200は、インサート1202を受容するように構成されている。プロテーゼ1200は、模様付きの底面1204を含み、インサート1202も模様付きの底面1206を含んでいる(この特徴は省いてもよい)。また、プロテーゼ1200の脚部の内側には「雄」突出部1208が設けられ、インサート1202には、(プロテーゼ1200自体が強膜トンネル内に挿入された後)該インサートが円滑にプロテーゼ1200の脚部間を案内されるように「雌」スロット1210が設けられている。
【0093】
加えて、インサート1202は、その内端に、僅かに拡幅された「雄」区域1212を備え、この区域をプロテーゼ1200の対応円形「雌」拡幅部1214内へ挿入可能である。インサート1202が、プロテーゼ1200内へ挿入され、その行程の終わりに近づくと、区域1212を拡幅部1214内へスナップばめできることで、埋め込み後、プロテーゼ1200からのインサート1202の脱落防止が確実に助けられる。
【0094】
インサート1212は、プロテーゼ1200の脚部間に永久取付け又は取外し可能に取付け可能である。例えば、インサート1212は、プロテーゼ1200が患者の眼球の強膜トンネル内に埋め込まれた後に、プロテーゼ1200の脚部間に取付けることができる。インサート1212は、例えば、強膜トンネルからプロテーゼ1200を除去し易くするために、後で取外すことができる。
【0095】
インサート1212は、概して、プロテーゼ1200の安定化を助成する(その拡幅端部によって得られる安定化に加えて)。例えば、インサート1212は、プロテーゼ1200の脚部の過剰な拡開を防止するのを助け、それにより、反対側の端部が強膜トンネルを引張り通され、プロテーゼ1200を強膜トンネルから完全に出るよう強制することができる。インサート1212は、また強膜トンネル内でのプロテーゼ1200の回転を低減又は防止する機能を有することができよう。例えば、インサート1212は、プロテーゼ1200の脚部が確実に目標幅を有する端部を形成するのを助け、その結果、強膜トンネル内に埋め込まれると、プロテーゼ1200の横転が阻止される十分な幅が端部に残される。加えて、インサート1212は、プロテーゼ1200が埋め込まれた後でなければ、プロテーゼ1200内へ又はプロテーゼ1200の周囲へ挿入できないから、埋め込み時には、プロテーゼ1200の脚部を押し合わせることができるが、埋め込み後には脚部が一緒になることが防止される。
【実施例10】
【0096】
図13A図13Dには、本発明による強膜プロテーゼ1300の第10実施例が示されている。図13A図13Dに示した強膜プロテーゼ1300,1350の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ1300,1350の別の実施例も使用できよう。
【0097】
図13A及び図13Bに示されているように、インサート1302は、プロテーゼ1300の脚部の間に配置できる。同じように、図13C及び図13Dに示したように、インサート1352は、プロテーゼ1350の脚部間に配置できる。インサート1302,1352は、既述のインサート1202と等しい形式又は類似の形式で機能することができる。加えて、等しい機構(雄突出部、雌スロット、雄区域、雌拡幅部)をプロテーゼ1300,1350及びインサート1302,1352と一緒に使用できる。
【実施例11】
【0098】
図14A及び図14Bには、本発明による強膜プロテーゼの第11実施例が示されている。図14A及び図14Bに示した強膜プロテーゼ1400の実施例は、図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、強膜プロテーゼ1400の別の実施例も使用できよう。
【0099】
図14A及び図14Bに示すように、インサート1402は、プロテーゼ1400の脚部間に配置できる。インサート1402は、既述のインサート1202と等しい又は類似の形式で機能することができる。加えて、等しい機構(雄突出部、雌スロット、雄区域、雌拡幅部)をプロテーゼ1400及びインサート1402と一緒に使用できる。
【0100】
特定の実施例の場合、図12A図14Bに示したプロテーゼ1200,1400は、図5A図7Gに示した既述のプロテーゼに等しいか又は類似のものである。しかし、該インサートは適当な別のプロテーゼとも一緒に使用できよう。
【0101】
図12A図14Bには、インサートを有する強膜プロテーゼの種々の実施例が示されているが、それらの実施例には種々の変更が可能である。例えば、強膜プロテーゼの諸特徴のうちの寸法、形状、大きさは、図解目的以外のものではなく、適宜にどのようにも変更できる。また、強膜プロテーゼに関して図示し、説明した種々の特徴も、他の強膜プロテーゼと共に使用できよう(図1図7Gに示したプロテーゼを含む)。
【0102】
図15は、本発明により患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法1500の一例を示している。図15に示した方法1500は図解目的以外のものではない。本発明の範囲を逸脱することなしに、患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入するには、別の方法を使用することもできよう。
【0103】
段階1502では、患者の眼球内に強膜トンネルが形成され、縫合糸が強膜トンネルに通される。この作業には、例えば、湾曲切断刃を有する器具を用いて強膜トンネルを形成する作業が含まれよう。この作業には、また湾曲切断刃を用いて強膜トンネルに縫合糸を引張って貫通させる作業を含めてよい。この作業には、更に、湾曲切断刃が強膜トンネルを作成し終えた後に、縫合糸を引張って強膜トンネルに貫通させる作業を含めてよい。
【0104】
段階1504では、縫合糸が強膜プロテーゼの周囲に輪留めされる。この作業には、例えば、縫合糸端部のループを強膜プロテーゼの一端の周囲に輪留めする作業が含まれよう(例えば図8A図8F)。この作業には、また縫合糸を強膜プロテーゼに中央部周囲に輪留めする作業が含まれよう(例えば図9A図9C)。この作業には、更に通し管に縫合糸を通す作業を含めてよい。
【0105】
段階1506では、強膜プロテーゼが通し管内へ挿入される。この作業には、例えば、通し管内へ強膜プロテーゼの一端を挿入する作業が含まれよう。通し管内へは、強膜プロテーゼの適当などの部分を挿入してもよく、例えば、強膜トンネル内の強膜プロテーゼの早期の脱出を防止する部分を挿入できる。
【0106】
段階1508では、強膜トンネル内へ通し管が挿入される。この作業には、例えば、強膜トンネル内へ通し管の下部906を押し込む作業が含まれよう。この作業には、また縫合糸を用いて強膜トンネル内へ通し管を引き込む作業が含まれよう。この作業には、更に、ロッド915を用いて強膜トンネルを開いた後に、通し管の胴部を強膜トンネル内へ引き込む作業が含まれよう。段階1510では、強膜トンネル内へ強膜プロテーゼが引き込まれる。この作業には、例えば、通し管と縫合糸とを用いて強膜トンネル内の適正な位置へ強膜プロテーゼを引張り込む作業が含まれよう。
【0107】
段階1512では、通し管から強膜プロテーゼが除去され、段階1514では、通し管と縫合糸とが除去される。この作業には、例えば、通し管を強膜プロテーゼから引き外す作業が含まれよう。この作業には、また縫合糸の一端を引張って縫合糸を強膜トンネルから除去する作業も含まれよう。
【0108】
段階1516では、必要とあれば又は所望とあれば、埋め込まれた強膜プロテーゼの部分の間又は周囲にインサートを配置することができる。この作業には、例えば、強膜プロテーゼの分割された部分の間又は周囲にインサートを配置して、強膜プロテーゼの回転、たわみ、脱出、その他の運動を防止する作業が含まれよう。
【0109】
図15には、患者の眼球内へ強膜プロテーゼを挿入する方法1500の一例を示したが、図15の方法には種々の変更を加えてもよい。例えば、縫合糸を強膜トンネル内へ通すには、適当な別の方法を使用できよう。また、強膜トンネル内へ強膜プロテーゼを引き込む又は押し込むには、適当な、どのような別の方法を用いてもよく、それには、縫合糸又はロッドを使用しない方法も含まれよう。
【0110】
本特許明細書を通じて使用された一定の単語及び句の定義を行っておくのがよいだろう。「含む」(include,comprise)の語は、それらの派生語同様、制限なしに含むことを意味している。「又は」(or)の語は、包含することであり、及び/又はの意味である。「と関連する」(associated with,associated therewith)の句は、その派生語同様、含むことを意味し、何々の内に含まれる、何々と相互に関連する、包含する、何々に包含される、何々に又は何々と接続、何々に又は何々と連結、何々と連携可能、何々と協働、何々にさしはさむ、何々と並列、に近い、何々に又は何々と結ばれている、何々を有する、何々の特性を有する、等々を意味している。
【0111】
以上、本発明を一定の複数実施例と、概して関連する複数の方法を説明したが、これらの実施例及び方法の変更態様や交換態様は、当業者には明らかだろう。したがって、以上説明した実施例は、本発明を定義又は制限するものではない。本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに別の変化形、代替形式、変更態様も可能であり、本発明は、特許請求の範囲により定義されるものである。
【符号の説明】
【0112】
100 強膜プロテーゼ
102、104 第1自由端部及び第2自由端部
112a、112b 第1端部の複数第1部分
200 強膜プロテーゼ
202、204 第1自由端部及び第2自由端部
206a、206b 第2端部の複数第2部分
208a、208b 第1端部の複数第1部分
300 強膜プロテーゼ
302、304 第1自由端部及び第2自由端部
310a、310b 第2端部の複数第2部分
312a、312b 第1端部の複数第1部分
400 強膜プロテーゼ
402、404 第1自由端部及び第2自由端部
406a、406b 第1端部の複数第1部分
500 強膜プロテーゼ
502、504 第1自由端部及び第2自由端部
506a、506b 第1端部の複数第1部分
600 強膜プロテーゼ
602、604 第1自由端部及び第2自由端部
606a、606b 第1端部の複数第1部分
700 強膜プロテーゼ
702、704 第1自由端部及び第2自由端部
706a、706b 第1端部の複数第1部分
900 埋め込み器具
902 第2端部
906 第1端部
912 ロッド
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15