【課題を解決するための手段】
【0019】
(1) 本発明は、下記の構成要素を備えたカテーテル組立体を提供する。
・ 遠位端及び近位端を有するとともに内室を有するカテーテルハブ。このカテーテルハブの近位端は、カテーテルハブ内の内室に流体を注入し又は内室から流体を引き抜くための装置に接続可能である。
・ 近位端及び遠位端を有する中空管状のカテーテル。このカテーテルの近位端はカテーテルハブの遠位端に接続され、カテーテルの中空部はカテーテルハブの内室に開口している。
・ 先鋭な針先端部を有する針。準備完了状態(ready position)にあるときにはカテーテルハブの内室とカテーテルとを通って伸び、針先端部はカテーテルの遠位端よりも遠位側に位置している。
・ 遠位端及び近位端を有する中空の延長チューブ。この延長チューブの遠位端はカテーテルハブの近位端と遠位端との間でカテーテルハブに接続され、延長チューブの遠位端はカテーテルハブの内室に開口し、延長チューブの近位端はカテーテルハブの内室に流体を注入するための装置に接続可能である。
・ カテーテルハブの内室に配置されたバルブ組立体。
(2) ここで、バルブ組立体は、下記の構成要素を備えている。
・ 延長チューブの遠位端を閉じる一方、延長チューブ内の加圧された流体の作用により開口可能な第1弁部材(first valve member)。
・ 流体が、内室を介してカテーテルハブの近位端へ流入し又はカテーテルハブの近位端から流出するのを阻止する第2弁部材(second valve member)。この第2弁部材は、二方弁であり、流体が、カテーテルハブの内室を通って近位方向及び遠位方向の両方向に流れることが可能となるように開口可能である。
【0020】
本発明に係る装置は、カテーテルハブを備えている。カテーテルハブは中空であり、その内部に内室(internal chamber)を有している。内室は、カテーテルハブの近位端及び遠位端の両方に開口している。カテーテルハブは、単一の物(single piece)として形成されていてもよい。あるいは、カテーテルハブは、互いに接続された2つ又はこれより多い個別の物(separate pieces)として形成されていてもよい。
【0021】
カテーテルハブは、その近位端で、注射器(syringe)などといった、患者に流体を注入し又は患者から流体を除去するための装置に接続することができるように形成されている。このような装置は、当該技術分野ではよく知られており、当業者にはなじみ深いものである。とくに、内室を画成するカテーテルハブの近位端の内壁には、メス形ルアーテーパである内側ルアーテーパ(internal Luer taper)が設けられ、カテーテルハブの近位端に接続される標準オス形ルアーテーパを有する標準取付具(standard fitting)の使用が可能となる。当業者には、標準ルアーテーパ(Luer taper standard)及びこれに必要なもの(requirements)はなじみ深いものであろう。
【0022】
1つの実施形態(embodiment)においては、カテーテルハブは、遠位ハブ部(distal hub portion)と近位ハブ部(proximal hub portion)とを備えている。近位ハブ部は前記のとおりのものであり、患者に流体を注入し又は患者から流体を除去するための装置に接続することができる。遠位ハブ部は適切な種々の形態とすることができる。1つの実施形態においては、遠位ハブ部は、全体的に平坦な(flattened)形状を有し、これによりカテーテルハブは、使用時に、患者の皮膚に対してより平坦な形態で当接し、患者の皮膚からの突出が少なくなる。遠位ハブ部は、該遠位ハブ部の互いに背向する側部(opposing sides)から延びる翼部材(wing members)を備えているのがより好ましい。とくにカテーテルが患者の静脈(vein)内に挿入されたときには、翼部材は、カテーテル組立体の安定性を高め、例えば接着テープにより、カテーテルハブを患者の皮膚に固定するのに用いることができる。かくして、カテーテルハブ及びカテーテルの移動が規制され(restricted)、これにより患者の静脈に静脈炎(phlebitis)が起こるのを抑制することができる。
【0023】
カテーテルハブに中空管状のカテーテルが接続され、このカテーテルはカテーテルハブの遠位端から遠位側に伸びている。
【0024】
カテーテル組立体は、さらに先鋭な針先端部(sharpened needle tip)を有する針と、該針を貫通する孔部(bore)とを備えている。準備完了状態においては、針は、その近位端で、当該技術分野ではよく知られているように針ハブ(needle hub)に接続され、準備完了状態においてはカテーテルハブ及びカテーテルを通って伸びている。準備完了状態においては、先鋭な針先端部はカテーテルの遠位端より遠位側に位置し、針及びカテーテルを既知の手法で患者の静脈内に挿入することが可能である。針ハブは、針軸内の孔部と連通する内室(chamber)を有しているのが好ましく、この場合、ユーザによって既知の手法で針ハブの内室内での血液のフラッシュバック(flashback)が観察されれば、針が静脈内に適切に配置されていることになる。典型的には、針ハブの内室は、その近位端で、該内室から空気を排出することは可能であるが、血液は通さない通気性の栓(vented plug)によって塞がれている。
【0025】
針先端部が中空管状のカテーテル内に後退させられる(withdrawn)際に、針の外側とカテーテルの内側との間に第2の血液フラッシュバック(secondary blood flashback)が生じる。
【0026】
第1及び第2の血液のフラッシュバックの検出条件(condition)は、カテーテル装置内の空気がカテーテル装置の近位端から排出される際に、この空気が血液と置き換えられる(displaced)ことである。
【0027】
1つの実施形態においては、針軸に、スロット(slot)などの開口部(opening)が設けられ、この開口部は、先鋭な針先端部から離間した位置において針の遠位端部に設けられている。準備完了状態においては、スロットは、管状のカテーテルの内部に位置している。使用時において、針先端部が静脈内に挿入されたときには、血液は、針の内部の孔部に沿って流れ、スロットを介して、針軸のまわりのカテーテル内に流れる。この後、血液はカテーテルからカテーテルハブに流入し、ユーザにフラッシュバックを生じさせる(provide)。
【0028】
本発明に係るカテーテル組立体は、さらに遠位端及び近位端を有する中空の延長チューブ(extension tube)を備えている。延長チューブは可撓性を有する。延長チューブの遠位端は、カテーテルハブの近位端と遠位端の間でカテーテルハブに接続されている。延長チューブの遠位端は、カテーテルハブの遠位部に接続されているのが好ましい。延長チューブの遠位端は、カテーテルハブの内室に開口し、流体が、延長チューブと内室との間を流れることを可能にする。延長チューブの近位端は、注射器などといった、カテーテルハブの内室に流体を注入するための装置に接続可能である。例えば、延長チューブの近位端に、接続ハブ、好ましくはメス形ルアーテーパを有するハブが設けられていてもよい。
【0029】
使用時においては、延長チューブにより、カテーテルハブ及びカテーテルに流体を導入することができる。流体を導入する装置を延長チューブの近位端に接続することにより、この装置を患者の静脈内に配置されたカテーテル及びカテーテルハブから離間した位置に配置することができる。延長チューブを可撓性のものとすることにより、延長チューブの近位端における流体供給装置の接続動作又は取り外し動作の結果として生じるカテーテルハブ及びカテーテルの移動ないしは変位を低減又は防止することができる。これにより、カテーテルを取り付けた領域における静脈の静脈炎の発生を減少させることができる。
【0030】
カテーテル組立体は、カテーテルハブの内室内に配置されたバルブ組立体を備えている。バルブ組立体が閉じられたときには、該バルブ組立体は、延長チューブとカテーテルハブの内室との間を流体が流れるのを阻止するともに、流体が内室を介して近位方向又は遠位方向に流れるのを阻止する。バルブ組立体は第1弁部材(first valve member)を有し、この第1弁部材が開かれると、延長チューブからカテーテルハブの内室への流体の流入が可能となる。ここで、バルブ組立体は、延長チューブとカテーテルハブの内室の間に配置された一方弁(one-way valve)であってもよい。また、バルブ組立体は第2弁部材(second valve member)を有し、この第2弁部材が開かれると、カテーテルハブの近位端からカテーテルに向かって遠位方向に流体を供給することが可能となり、又はカテーテルからカテーテルハブの近位端に向かって近位方向に流体を引き抜くことが可能となる。このように、バルブ組立体は、カテーテルハブを介してのカテーテルハブの近位端への又は該近位端からの流体の流れを制御(調節)する二方弁(two-way valve)として動作することができる。
【0031】
第1弁部材は、延長チューブとカテーテルハブの内室との間の流体の流れを制御(調節)する。1つの好ましい実施形態においては、第1弁部材は、可撓性を有し弾性を備えた弁体(valve body)を備えている。延長チューブ内の高められた流体圧力の作用により、弁体は延長チューブの遠位端を開口させ、流体がカテーテルハブに流入することを可能にする。弁体は管状弁体であるのが好ましく、とくにカテーテルハブの内室内において、カテーテルハブの壁の内表面に当接するように配置されているのが好ましい。1つの実施形態においては、弁体、及び、該弁体が配置されたカテーテルハブの内室の一部分の横断面は円形であってもよく、また楕円形であってもよい。
【0032】
第1弁部材は、延長チューブの遠位開口部と一列に並び(aligned with)、流体を通すための1つ又はこれより多いスリット(slit)を備えていてもよい。第1弁部材が1つ又は複数のスリットを有する場合、第1弁部材は二方弁として機能することができ、血液又はその他の体液(bodily fluid)を、スリットと延長ライン(extension line)とを介して、注射器又は真空収集チューブ(vacuum collection tube)などといった適当な装置に除去することができる。
【0033】
バルブ組立体は、第2弁部材を備えている。前記のとおり、第2弁部材は、カテーテルハブの内室を介して、カテーテルハブに流入し又はカテーテルハブから流出する流体の流れを制御(調節)する。第2弁部材は、カテーテルハブの内室内において、延長チューブの遠位開口部及び第1弁部材よりも近位側の位置に配置されている。1つの実施形態によれば、第2弁部材は、カテーテルハブの内室と交差して横方向に延びる(広がる)可撓性を有し弾性を備えたバルブディスク(valve disc)を備えている。このバルブディスクには、スリット(slit)などといった1つ又は複数の閉止可能な開口部、とくに径方向に伸びる1つ又は複数のスリットが設けられている。
【0034】
バルブ組立体は、何らかの適切な手段によって、カテーテルハブの内室内に保持されてもよい(retained)。1つの実施形態においては、バルブ組立体は、両弁部材とカテーテルハブの内表面との間の摩擦により保持される。あるいは、バルブ組立体は、カテーテルハブの内表面に形成された1つ又は複数の凹部(recesses)又は突起部(protrusions)と係合するようにしてもよい。
【0035】
準備完了状態においては、針軸はバルブ組立体を通って伸びている。第2弁部材は、準備完了状態においては針軸の周囲をシールするものであるのが好ましく、空気が該第2弁体を通って近位方向に流出することが可能である一方、血液が該第2弁部材を通り抜けるのが阻止されるといった形態に構成されているのがより好ましい。第2弁部材が1つ又は複数のスリットを有するバルブディスクを備えている実施形態においては、このような構成は、特定のスリット又は各スリットを、準備完了状態においては該特定のスリット又は各スリットが針軸によって十分な量だけ開くように保持され、気体の通り抜けは可能であるが血液の通り抜けは阻止されるなどといった適切な形態にすることにより達成することができる。
【0036】
第2弁部材は、該第2弁部材と交差する方向の流体圧力差の作用により開くように構成してもよい。とくに、第2弁部材は、該第2弁部材の近位側に高い流体圧力を作用させることにより開かれ、流体をカテーテル内及び患者の静脈内に注入することができるように構成してもよい。同様に、第2弁部材は、該第2弁部材の近位側に低い流体圧力を作用させることにより開かれ、流体をカテーテル内及び患者の静脈内から引き抜くことができるように構成してもよい。
【0037】
1つの実施形態においては、カテーテル組立体は、さらにカテーテルハブの内室内に配置された開弁具(valve opener)を備えている。開弁具は、カテーテルハブの内室内において、バルブ組立体より近位側に配置されている。開弁具は、第2弁部材が閉じられる閉弁状態(閉弁位置)と、第2弁部材が開かれる開弁状態(開弁位置)との間を移行(移動)することができる。開弁具は、注射器又はその他のオス形取付具(male fitting)などといった装置をカテーテルハブの近位端に挿入することにより、開弁状態(開弁位置)に向かって近位方向に移動させられる。開弁具は、例えばバルブディスクの弾性により閉じられる第2弁部材の作用により、閉弁状態(閉弁位置)に移行(移動)させられる(urged)。開弁具は、流体の通路(passage of fluid)の内部及び/又は周囲を通り抜けて長手方向に(longitudinally)伸びる通路(passage)を有しているのが好ましい。
【0038】
開弁具の遠位方向への移動は、バルブ組立体によって規制(制限)される(limited)。開弁具の近位方向への移動を規制(制限)する手段を設けるのが好ましい。1つの実施形態においては、カテーテルハブの内表面に、開弁具と係合する1つ又は複数の突起部(protrusion)が設けられている。
【0039】
準備完了状態においては、針軸は開弁具を通って伸びている。開弁具は、その1つの好ましい形態では、貫通通路を有するステム(stem)と、ステムの遠位端に位置する貫通通路を有する頭部(head portion)とを備えている。使用時には、カテーテルハブの近位端に挿入された装置は、開弁具のステムに当接し、開弁具を閉弁位置から開弁位置に移動させる。開弁具が開弁位置に向かって近位側に移動する際には、頭部は第2弁部材に当接し、バルブ組立体を開かせる。
【0040】
ステムはチューブ(tube)を備えていてもよく、この場合準備完了状態においては針がチューブを通って伸びる。また、ステムは、頭部から近位側に伸びる1つ又は複数の脚部(legs)を備えていてもよい。1つの実施形態においては、第2弁部材に当接している頭部の領域は、全体的にはドーム形(domed)又は円錐台形(frusto-conical)である。
【0041】
好ましい実施形態においては、本発明に係るカテーテル装置は安全な装置(safety device)であり、針保護組立体(needle guard assembly)を備えている。針保護組立体は、針がカテーテルから近位方向に引き抜かれて準備完了状態から保護状態に移行させられる際に、カバー(cover)として機能し、先鋭な針先端部を遮蔽する(block)。これにより、針刺し傷害(needle stick injury)が生じる危険性を低減し又は回避することができる。
【0042】
針保護組立体は、全面的又は部分的にカテーテルハブの内室に配置されてもよい。とくに、針保護具は、針が針保護組立体によってその先鋭な針先端部が遮蔽される保護状態にあり、針先端部がカテーテルハブ内に存在するといった態様で、カテーテルハブ内に配置されていてもよい。特許文献13(国際公開第99/08742号)には、このような実施形態で用いるための好ましい針保護組立体の具体例が開示されている。特許文献13に開示された針保護具は、受動的な形式(passive type)のものである。すなわち、針が準備完了状態から保護状態になる際に、標準の装置又は非安全装置(standard or non-safety devices)を使用する場合に必要とされる事項に加えて追加の操作を行うことを必要とせずに針先端部が針保護具によって遮蔽される形式のものである。このような受動的な形式の針保護具を用いるのが好ましい。
【0043】
また、針保護組立体は、とくにカテーテルハブの近位側で、カテーテルハブの外側に配置してもよい。1つの好ましい実施形態においては、針保護組立体は、針保護室(needle guard chamber)を有する針保護ハウジングを備えている。針保護具は、針保護室に配置するのが好ましい。針保護ハウジングは、カテーテルハブの近位端内に伸びる部分を有していてもよい。例えば、針保護ハウジングは、カテーテルハブの近位端部のメス形テーパ(female taper)と係合する、標準ルアーテーパなどといったオス形テーパ(male taper)を備えた遠位端部を有していてもよい。あるいは、針保護ハウジングは、完全にカテーテルハブの外側に存在する(reside)ものであってもよい。
【0044】
針保護組立体は、カテーテルハブと取り外し可能に係合するものであるのが好ましい。1つの好ましい実施形態においては、針保護組立体は、準備完了状態においては針を伴ったカテーテルハブと係合する。針先端部が遮蔽される保護状態への針の移行(移動)は、針保護組立体をカテーテルハブから解放する(release)。
【0045】
保護状態においては、針先端部が針保護ハウジング内に配置され、針保護ハウジング内で針先端部が針保護具によって遮蔽されるように構成されるのが最も好ましい。
【0046】
針保護具は、針保護ハウジング内に配置される。特許文献13に開示された針保護具は、針保護ハウジング内で用いる(employ)ことができる。
【0047】
前記のとおり、カテーテル組立体で用いるためのとくに好ましい1つの形態の針保護具は、少なくとも1つのアーム(arm)を備えている。このアームは、準備完了状態から先鋭な針先端部が遮蔽される遮蔽状態(blocking position)に移動することができる。少なくとも1つのアームは、遮蔽状態において針先端部の前方に伸び針先端部を遮蔽する遠位端部を有している。少なくとも1つのアームは、準備完了状態において針と平行に伸びるように構成してもよく、あるいは準備完了状態において針軸と交差する(cross)ように構成してもよい。
【0048】
好ましい実施形態においては、針保護具は、第1アーム及び第2アームを備えている。第1アーム及び第2アームのうちの一方、好ましくは両方が、針先端部を遮蔽するための遠位端部を備えている。第1アーム及び第2アームは、準備完了状態においては、針軸の互いに対向する2つの側部に沿って伸びる。あるいは、第1アーム及び第2アームは、準備完了状態において、針軸と交差し(intersect)ないしは交わっていてもよい(cross)。前記のとおり、第1アーム及び第2アームのうちの少なくとも1つには、保護状態において針先端部を遮蔽するための遠位端部が設けられている。第1アーム及び第2アームの両方が遠位端部を有する実施形態においては、これらの遠位端部が互いにオフセットしている(offset)のが好ましい。これにより、これらの遠位端部は針先端部にかぶさるように係合する(engage over)ことができる。
【0049】
第1アームと第2アームとは、互いに同一の長さをもつものであっても、また異なる長さをもつものであってもよい。ただし、とくに第1アーム及び第2アームの両方に遠位端部が設けられているときには、第1アームと第2アームとが互いに同一の長さをもつものであるのが好ましい。単一の遠位端部のみが存在する場合、この遠位端部は第1アーム及び第2アームのうちの長さが長い方のアームに配置するのが好ましい。
【0050】
複数の遠位端部のうちの少なくとも1つには、その非拘束縁部(free edge)において内側に湾曲する最先端部(endmost portion)が設けられている。これにより、たとえ針保護具が近位方向に押されたとしても、すなわち保護状態から針軸に沿って後方に戻そうとしても、針先端部の被覆ないしは遮蔽は確実に維持される。内側に湾曲する最先端部は、針先端部を引っかける(hook)ように動作し、針保護具の近位方向への移動を阻止して、針先端部が露出するのを阻止する。
【0051】
1つ又は複数のアームを備えている針保護具は、弾性を有する(resilient)針保護具又はばねクリップ針保護具(spring clip needle guard)の形態のものであってもよい。
【0052】
好ましい実施形態においては、ハウジング内の針保護具は、準備完了状態と保護状態との間を移行することができる針
捕捉具(needle trap)を備えている。ここで、準備完了状態においては、針
捕捉具は、ハウジングを通って伸びる針軸の1つの側部に対して保持され、保護状態においては、針
捕捉具は針先端部を横切って(across)伸び、ハウジング内の先鋭な針先端部を遮蔽する。針保護具は、さらに針
捕捉具を保護状態となる方向に付勢する(biasing)弾性アーム(resilient arm)を備えている。弾性アームは、ハウジングの内壁に対して当接し(bear)、針
捕捉具を保護状態に移行させる(urge)。さらに、針保護具は、針
捕捉具によって移動させることができる結合アーム(coupling arm)を備えている。準備完了状態においては、結合アームは、ハウジングをカテーテルハブの近位端に結合させる。準備完了状態から保護状態への針
捕捉具の移行は、結合アームを移動させ、カテーテルハブからハウジングを解放する(release)。
【0053】
(1) さらなる態様において、本発明は、下記の構成要素を備えたカテーテル組立体用の針保護組立体を提供する。
・ 遠位端及び近位端を有し針を受け入れる針保護ハウジングであって、針は針保護ハウジングを通り抜け、該針保護ハウジングの遠位端はカテーテルハブの近位端に接続可能である針保護ハウジング。
・ 針保護ハウジング内に配置された針保護具。
(2) ここで、針保護具は、下記の構成要素を備えている。
・ 準備完了状態と保護状態との間を移行することができる針
捕捉具であって、保護状態では、針保護ハウジングを通って伸びる針の針軸の1つの側部に対して保持され、保護状態では、針保護ハウジング内で針の先鋭な針先端部を遮蔽する針
捕捉具。
・ 針
捕捉具を保護状態となる方向に向かって付勢する弾性アームであって、針保護ハウジングの内壁に当接して針
捕捉具を保護状態に移行させる弾性アーム。
・ 準備完了状態においてハウジングをカテーテルハブの近位端に結合させる結合アームであって、準備完了状態から保護状態への針
捕捉具の移行により、針保護ハウジングをカテーテルハブから解放する結合アーム。
【0054】
針
捕捉具は、弾性アームの一端に接続されていてもよい。好ましい実施形態においては、針
捕捉具は、その第1の端部で、弾性アームにピボット回転可能に取り付けられている。弾性アームの弾性力(resilience)は、部分的又は全面的に、針
捕捉具と弾性アームの間のピボット連結(pivotal connection)における弾性力によって生じさせることができる。1つの実施形態においては、針
捕捉具と弾性アームとは、準備完了状態においては針
捕捉具が弾性アームの上に載る(overlie)といった態様で、針軸の1つの側部の上でともに折り畳まれている(folded together)。
【0055】
保護状態においては、針
捕捉具は、先鋭な針先端部と交差して遠位側に伸び、これにより針先端部を遮蔽して、針刺し傷害の発生を防止する。針
捕捉具は、該針
捕捉具の各側部から近位方向に伸びる1つ又は複数の横置き部材(lateral member)を備えている。横置き部材は、針
捕捉具を、先鋭な針先端部に対する相対的な位置、とくに針先端部が針
捕捉具の1つの側部から外に出る(emerge)のを防止する位置に保持する(retain)ように動作する。使用時には、針
捕捉具は、針先端部と交差する準備完了状態と保護状態との間を移行する(transition)。さらに、針
捕捉具は、該針
捕捉具が針に対して相対的に逆方向(reverse direction)に、すなわちその準備完了状態に向かう方向に移動するのを阻止する保持部材(retaining member)を備えていてもよい。
【0056】
針保護具は、さらに結合アームを備えている。準備完了状態においては、結合アームはカテーテルハブと係合し、針保護組立体をカテーテルハブの近位端に保持する。好ましい実施形態においては、結合アームは、カテーテルハブの外側、例えばカテーテルハブの近位端のフランジと係合する。結合アームは、準備完了状態から、カテーテルハブとの係合が外れた保護状態へ移行する針
捕捉具によって移動させられ、これにより針保護組立体をカテーテルハブから解放する。このようにして、先鋭な針先端部が針保護ハウジング内で遮蔽された後、針保護組立体のカテーテルハブとの係合から解放される。結合アームは、針
捕捉具に接続されているのが好ましい。1つの好ましい実施形態においては、結合アームは、針
捕捉具の一端、とくに針
捕捉具の第1の端部と反対側の第2の端部に接続されている。結合アームと針
捕捉具の間の連結はピボット回転可能な(pivotal)ものであるのが好ましく、例えば弾性的なピボット連結(resilient pivotal connection)であってもよい。
【0057】
1つの好ましい実施形態においては、弾性アームと針
捕捉具と結合アームとは、単一の部品として形成され、弾性アームと針
捕捉具の間、及び、針
捕捉具と結合アームの間には弾性的なピボット連結が形成され、この弾性的な連結は、針
捕捉具を保護状態となる方向に向けて付勢し、結合アームのカテーテルハブへの係合を解除する。
【0058】
針
捕捉具の位置は、針軸の1つの側部で針保護ハウジングの壁部と係合している結合アームによって安定化され(stabilised)、かつ針軸の反対側の側部で針保護ハウジングの壁部と係合している弾性アームによって安定化されているのが好ましい。1つの好ましい実施形態においては、結合アームは、針保護ハウジングの壁部の開口部を取り抜けて伸びている。
【0059】
1つの実施形態では、結合アームは、準備完了状態においては、好ましくは針保護ハウジング内で、針軸のまわりで伸びている。好ましい実施形態においては、結合アームは開口部を有し、準備完了状態においては、針軸は結合アームの開口部を通って伸びている。
【0060】
保護状態においては、針
捕捉具は、先鋭な針先端部と交差して遠位側に伸び、針が、針保護組立体に対して相対的に、遠位方向に移動するのを阻止する。針保護組立体は、さらに、針保護組立体に対する相対的な針の近位方向への移動を規制(制限)し、針保護組立体が針の遠位端から離れる(leaving)のを阻止する規制手段を備えている。この規制手段は、例えば針ハブと針保護ハウジングの間を伸びる係留具(tether)を備えていてもよい。針は、針先端部から離間した針軸の遠位端部に波形部材(crimp)などといった膨出部(bulge)を備えているのが好ましい。針保護組立体、好ましくは針保護ハウジングが、開口部(opening)を備えた近位壁を有し、針軸が近位壁の開口部を通って伸びているのが好ましい。針軸の膨出部は、近位壁の開口部の径方向寸法より大きい径方向寸法を有し、針の膨出部及び遠位端が開口部を通り抜けることができないようになっている。開口部をとり囲む近位壁の領域は、例えば金属環(metal ring)又はワッシャ(washer)により強化され、針軸の膨出部が、ハウジングの壁部を通って不注意に引っ張られるのが阻止されるようになっていてもよい。これは、針保護ハウジングがプラスチックなどの比較的柔軟な材料で形成されているときには、とくに有利である。準備完了状態において、針軸の膨出部は中空のカテーテルの内部に存在する(lie)ようになっているのが好ましい。膨出部が非円形(non-circular)であるときには、カテーテルの内側と針の外側の間で血液が流れることが可能となり、第2の血液フラッシュバック(secondary blood flashback)を生じさせることができるといった利点がある。
【0061】
さらなる態様においては、本発明は、前記の針保護組立体を備えているIVカテーテル組立体を提供する。
【0062】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を、本発明の単なる例示として説明する。