特許第6572351号(P6572351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6572351ウオッチまたは時計のための時打ちモード選択器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572351
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ウオッチまたは時計のための時打ちモード選択器
(51)【国際特許分類】
   G04B 21/10 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   G04B21/10
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-133942(P2018-133942)
(22)【出願日】2018年7月17日
(65)【公開番号】特開2019-53039(P2019-53039A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】17182975.7
(32)【優先日】2017年7月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】メディ・デンデン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ぺテル
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−49248(JP,A)
【文献】 特開2012−198212(JP,A)
【文献】 特開2012−189589(JP,A)
【文献】 特開2016−218052(JP,A)
【文献】 スイス国特許発明第706080(CH,A5)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0130423(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第60205763(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 21/00 − 14
G04B 23/00 − 12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムーブメント(200)を備えるウオッチ(1000)または時計(2000)のための時打ち機構(100)であって、前記時打ち機能(100)は、前記ムーブメント(200)により駆動されるように配列された少なくとも1つの基準歯車セット(1)を含み、少なくとも1つの前記基準歯車セット(1)は、時間数取りカム(190)であり、少なくとも1つの時打ち駆動歯車セット(2)は、爪ラチェット(22)および繰返しラックピニオン(24)を含み、前記時打ち機構(100)は、前記ムーブメント(200)の出力(3)と間接的に協働するように構成された少なくとも1つの枢動部分を含み、前記基準歯車セット(1)を読み取るためのフィーラーアーム、および前記繰返しラックピニオン(24)を駆動するためのラックを含み、前記枢動部分の1つは、前記時間数取りカム(190)と協働するように配列された時間ラック(20)であり、前記時打ち機構(100)は、自動時打ちごとに始動させられるように、かつ前記爪ラチェット(22)を駆動するように配列された主こはぜ(85)をさらに含み、前記時打ち機構(100)は、サイレントモードを含む少なくとも2つの別個の時打ちモードで動作することができ、前記時打ち機構(100)は、ユーザがどの時打ちモードを使用すべきかを選ぶことができるようにし、かつ異なるモードのための特有の位置を有する少なくとも1つのカム(90)の角度位置を制御する、ユーザが利用可能な選択器(96)を備えるモード選択器機構(9)を含み、前記カム(90)は、消音レバー(60)に備わったビーク(61)と協働するように配列され、かつ前記消音レバー(60)の主アーム(64)が、サイレントモードであらゆる自動時打ちを無効にするために前記爪ラチェット(22)から離して前記主こはぜ(85)を動かす位置に前記消音レバー(60)の向きを合わせるように配列された、前記サイレントモードに対応するより大きな半径(98S)の領域を含む、連続する外部フィーラーアーム支持輪郭(98)を含む時打ち機構(100)であって、前記モード選択器機構(9)は、前記選択可能モード(93;94;95)の1つにそれぞれ対応するノッチ付部分(93;94;95)を含む、少なくとも1つの前記前記平坦カム(90)を含むことを特徴とし、前記ノッチ付部分は、動作の2方向の一方で力を増大させる必要がある、可変サイズのノッチに対応することを特徴とする時打ち機構(100)。
【請求項2】
前記モード選択器機構(9)は、指定された前記時打ち機構のモードの数と同数の特有の位置を有することができる、または前記モードのいくつかだけに特有の位置を有する、少なくとも1つの前記カム(90)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項3】
中央または中央の近傍にある1つの特定のノッチは、ある時打ちモードから別の時打ちモードにユーザが不注意に変えるのを防止することによって安全性を確実にするために、端部ノッチよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項4】
前記モード選択器機構(9)は、再生される異なる曲および/または1組の異なるゴングを区別するように配列された少なくとも1つの前記カム(90)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項5】
前記モード選択器機構(9)は、前記各時打ちモードに割り当てられた曲および/またはゴングを区別するための複数のノッチを含む少なくとも1つの前記カム(90)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項6】
前記モード選択器機構(9)は、1つの平面内に重ねられた、または並置された複数の前記カム(90)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項7】
前記モード選択器機構(9)は、前記時打ち駆動歯車セット(2)から離して前記主こはぜ(85)を動かすことにより、および前記時間ラック(20)が前記時間数取りカム(190)に到達するのを防止することにより、サイレントモードで前記時打ち機構を無効にするように配列されることを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項8】
前記時打ち機構(100)は、前記時間ラック(20)が前記時間数取りカム(190)に関する読取りを遂行すると前記爪ラチェット(22)を駆動するように配列されたリピーターこはぜ(40)を含むミニッツリピーター制御機器(4)を備えるミニッツリピーターを含むこと、および前記サイレントモードで、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに十分であるという条件のもと、前記消音レバー(60)の前記主アーム(64)により、前記リピーターこはぜ(40)が前記爪ラチェット(22)に到達できるようになることを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項9】
前記時打ち機構(100)は、1時間ごとおよび15分ごとの自動時打ちのための、15分ごとに正時時打ちを繰り返すグランド・ソヌリ・モードと、1時間ごとおよび15分ごとの自動時打ちのための、15分ごとに正時時打ちを繰り返すことのないプティット・ソヌリ・モードとを含むこと、ならびに前記時打ち機構(100)は、プティット・ソヌリ・レバー(80)であって、前記プティット・ソヌリ・モードが選択されたとき、前記プティット・ソヌリ・レバー(80)が前記時間数取りカム(190)に向かって前記時間ラック(20)が動くのを防止する位置に前記プティット・ソヌリ・レバー(80)の向きを合わせて、15分ごとに正時が時打ちされるのを防止するために、前記モード選択器機構(9)の前記カム(90)に備わったカムピン(97)と当接して協働するように配列された、前記プティット・ソヌリ・レバー(80)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項10】
前記グランド・ソヌリ・モードが選択されたとき、前記カムピン(97)は、前記プティット・ソヌリ・レバー(80)により前記時間ラック(20)が前記時間数取りカム(190)に向かって動くことができるようになる位置に前記プティット・ソヌリ・レバー(80)の向きを合わせて、15分ごとに正時が時打ちされることができるようになることを特徴とする、請求項9に記載の時打ち機構(100)。
【請求項11】
前記時打ち機構(100)は、前記プティット・ソヌリ・レバー(80)を持ち上げるように、かつ前記時間ラック(20)が前記時間数取りカム(190)に向かって動くことができるようになるように配列された先端部(132)を備える涙型時間カム(131)を、前記出力(3)により駆動され、かつ15分の自動時打ちを解除するように配列された4歯星車(130)の同軸上に含むことを特徴とする、請求項9に記載の前記時打ち機構(100)に備わった時打ち機構(100)。
【請求項12】
前記時打ち機構(100)は、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、時打ち逆転レバー(59)を枢動するように配列された停止機構(5)を含むこと、および前記時打ち逆転レバー(59)は、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、前記リピーターこはぜ(40)が前記爪ラチェット(22)に到達するのを防止するように、かつ前記利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、前記爪ラチェット(22)から離して前記主こはぜ(85)を動かすように配列された時打ち解放レバー(55)の前記枢動を制御することを特徴とする、請求項8に記載の時打ち機構(100)。
【請求項13】
ムーブメント(200)により自動時打ち機能を解除するための出力(3)を含む前記ムーブメント(200)を備えるウオッチ(1000)であって、前記ムーブメント(200)は、少なくとも1つの基準歯車セット(1)を駆動するように配列され、前記ウオッチ(1000)は、請求項1に記載の少なくとも1つの前記時打ち機構(100)を含むウオッチ(1000)。
【請求項14】
ムーブメント(200)により自動時打ち機能を解除するための出力(3)を含む前記ムーブメント(200)を備える時計(2000)であって、前記ムーブメント(200)は、少なくとも1つの基準歯車セット(1)を駆動するように配列され、前記時計(2000)は、請求項1に記載の少なくとも1つの前記時打ち機構(100)を含む時計(2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムーブメントを備えるウオッチまたは時計のための時打ち機構に関し、前記時打ち機構は、前記ムーブメントにより駆動されるように配列された少なくとも1つの基準歯車セットを備え、少なくとも1つの前記基準歯車セットは、時間数取りカムであり、少なくとも1つの時打ち駆動歯車セットは、爪ラチェットおよび繰返しラックピニオンを含み、前記時打ち機構は、前記ムーブメントの出力と間接的に協働するように配列された少なくとも1つの枢動部分を含み、前記基準歯車セットを読み取るためのフィーラーアーム、および前記繰返しラックピニオンを駆動するためのラックを含み、前記枢動部分の1つは、前記時間数取りカムと協働するように配列された時間ラックであり、前記時打ち機構は、自動時打ちごとに始動させられるように、かつ前記爪ラチェットを駆動するように配列された主こはぜをさらに含み、前記時打ち機構は、サイレントモードを含む少なくとも2つの別個の時打ちモードで動作することができ、前記時打ち機構は、ユーザがどの時打ちモードを使用すべきかを選ぶことができるようにし、かつ異なるモードのための特定の位置を有する少なくとも1つのカムの角度位置を制御する、ユーザが利用可能な選択器を備える時打ち選択器モードを含み、前記カムは、消音レバーに備わったビークと協働するように配列された連続した外部フィーラーアーム支持輪郭を有し、連続する外部フィーラーアーム支持輪郭は、前記サイレントモードに対応する、より大きな半径の領域を有し、サイレントモードであらゆる自動時打ちを無効にするために、前記消音レバーの主アームは、前記爪ラチェットから離して前記主こはぜを動かす位置に前記消音レバーを向けるように配列される。
【0002】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力を含むムーブメントを備えるウオッチに関し、このムーブメントは、少なくとも1つの基準歯車セットを駆動するように配列され、ウオッチは、少なくとも1つのそのような時打ち機構を含む。
【0003】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力を含むムーブメントを備える時計に関し、このムーブメントは、少なくとも1つの基準歯車セットを駆動するように配列され、時計は、少なくとも1つのそのような時打ち機構を含む。
【0004】
本発明は、ウオッチ、時計、またはオルゴールのための時打ち機構の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
時計の時打ち機構は大きな複雑機構であり、時打ち機構の構成要素の数、および構成要素の運動学に加え、時打ち機構の可能な動作モードに関しても複雑である。さまざまな時打ちモードの中からの選択は、それ自体、そのためにコラムホイールなどの費用のかかる構成要素が採用されるさらなる複雑機構であり、多くの場合この選択機能のために、1組のノッチを有するウオッチまたは時計のケースの内部で、かなりの空間が占有される。また、選択機構とケースの外部の間の界面は、特にしっかりと密封しなければならない。さまざまなモード間で安全機能を管理することは、常に複雑である。
【0006】
ミニッツリピーターなどのさらなる複雑機構を有するウオッチについては、安全機能を管理することは、非常に複雑であり、ミニッツリピーターが鳴ることができるようにするために自動時打ち機能を停止すること、または逆に、自動時打ちが近づくときミニッツリピーターが解除されるのを停止させること、リピーターサイクルがちょうど開始したとき、この場合もミニッツリピーターが解除されるのを防止すること、時打ち機能の間に日の裏機構の調整を防止することなどは、これらの安全手段が一般に、機構および干渉のリスクをさらに複雑化する多数のアイソレータを採用するため、困難である。
【0007】
PATEK PHILIPPEの名前のスイス特許第706080(B1)号明細書は、機械的時計ムーブメントを取り囲むケースを含み、かつ機械的時計ムーブメントにより自動的に解除することができるリピーター機構を含む時計について開示しており、リピーター機構は、解除レバーであって、前記解除レバー上に枢動するように搭載されかつリピーター機構の均力車内に備わった爪ラチェットの歯部と係合するように配列されたこはぜを具備する、解除レバーを含み、その結果、自動的に解除されたとき、好ましくはムーブメントの筒かなと一体化した、ムーブメントの日の裏機構により駆動されるナットは、解除レバーを爪ラチェットに向かって枢動させ、その結果、解除レバーが下がるとき、こはぜビークは、爪ラチェットを順番に駆動し、リピーター機構は、時打ちモード選択機構を含む。この時打ちモード選択機構は、時計の外側から利用可能で、かつ一方が時打ちモードに対応し、他方がサイレントモードに対応する、少なくとも2つの位置の間で、時計ケースの周辺上で往復する動きでスライドするように搭載されたスライド片の形で形成された、動作部材を含む。
【0008】
MONTRES BREGUET SAの名前のスイス特許出願公開第704590(A1)号明細書は、一方では、時計ムーブメントと、他方では、前記時計ムーブメントにより駆動される時間基準で時間情報を読み取るためのフィーラーアームを含む少なくとも1つの時打ち機構とを含む、時計のための分離機構を開示している。この分離機構は、第1の作動状態位置で時間情報フィーラーアームが時間基準に関する情報を探すのを防止する停止位置を採用するために、かつ第2の解除位置でフィーラーアームが時間基準を通過して時間基準と接触するようになることができるようにするために、時計に備わった制御機構と協働するように配列された少なくとも第1のアイソレータを含む。
【0009】
RICHEMONTの名前のスイス特許第711258(A2)号明細書は、時計時打ち機構のための選択器機器を開示しており、時打ち機構は、時打ち列により駆動可能であり、時打ち機構が常に作動している「時打ち」モード、時打ち機構が1日の所定の期間だけ無効になる「夜間」モード、または時打ち機構が常に無効になる「サイレント」モードになるように構成され、選択器機器は、24時間で1回転完了しかつ前記所定の期間に必要な輪郭を有するカムと、時打ち機構が「時打ち」モードになるように第1のレバーがカムと協働しない位置である第1の位置と時打ち機構が「夜間」モードになるようにフィーラーアームがカムと協働する位置である第2の位置との間を切り替えるように構成された第1のレバーと、時打ち機構が時打ち列に接続された位置である第1の位置と時打ち機構が「サイレント」モードになるように時打ち機構が時打ち列から切断される位置である第2の位置との間を切り替えるように構成された第2のレバーとを含む。この選択器機器は、第1のレバーおよび第2のレバーを傾けて、時打ち機構を「時打ち」モード、「夜間」モード、または「サイレント」モードのうちの1つにするように作動させることができるプッシュレバーを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】スイス特許第706080(B1)号明細書
【特許文献2】スイス特許出願公開第704590(A1)号明細書
【特許文献3】スイス特許第711258(A2)号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2947523(B1)号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第15190808.4号明細書
【特許文献6】欧州特許第15168700.1号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第15183110.4号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第16206572.6号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Francois LECOULTRE、『Les montre s compliquees(A Guide to Complicated Wa tches(複雑なウオッチの案内書))』、Horlogeres版、Bienne(ス イス)、1985年、ISBN2−88175−000−1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、平均的な複雑さの、効率的な安全手段の実装と互換性がある、簡単で信頼できる手法で時打ちモード選択を達成することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため、本発明は、請求項1に記載の時打ち機構に関する。
【0014】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力を含むムーブメントを備えるウオッチに関し、このムーブメントは、少なくとも1つの基準歯車セットを駆動するように配列され、ウオッチは、少なくとも1つのそのような時打ち機構を含む。
【0015】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力を含むムーブメントを備える時計に関し、このムーブメントは、少なくとも1つの基準歯車セットを駆動するように配列され、時計は、少なくとも1つのそのような時打ち機構を含む。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0017】
図1図8は、本発明による時打ち機構を、同じ位置で、2つずつ平面図で概略的に示し、奇数の図は裏側を示し、偶数の図は表側を示し、すべての構成要素を示すわけではなく、例示する機能を遂行するために不可欠な構成要素だけ見ることができる。
【0018】
図13図18は、プティット・ソヌリ・モードで第1の曲を再生し、グランド・ソヌリ・モードで第1の曲と異なる第2の曲を再生するための、本発明による、時打ち選択およびモード選択を組み合わせる第1の時打ち機構の変形形態を、図1図8に類似する手法で示す。
【0019】
図20図29は、各時打ちモードで、一方または他方により、第1の曲または第2の曲を再生することができるようになる、本発明による、時打ち選択およびモード選択を組み合わせる第2の時打ち機構の変形形態を、図13図18に類似する手法で示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】プティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図2】プティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図3】グランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図4】グランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図5】サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図6】サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図7】グランド・ソヌリ・モードで停止した、本発明による時打ち機構を示す。
図8】グランド・ソヌリ・モードで停止した、本発明による時打ち機構を示す。
図9】サイレントモードで停止した、本発明による時打ち機構を示す。
図10】サイレントモードで停止した、本発明による時打ち機構を示す。
図11図9の詳細である。
図12】本発明による時打ち機構の一揃いの主要な構成要素の、両側からの概略的平面図である。
図13】第1の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図14】第1の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図15】第2の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図16】第2の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図17】ミニッツリピーター制御機器を用いて第2の曲を再生することが可能な、サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図18】ミニッツリピーター制御機器を用いて第2の曲を再生することが可能な、サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図19】この第1の変形形態の時打ち機構の一揃いの主要な構成要素の、両側からの概略的平面図である。
図20】第1の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図21】第1の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図22】第2の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図23】第2の曲を用いるプティット・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図24】第1の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図25】第1の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図26】第2の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図27】第2の曲を用いるグランド・ソヌリ・モードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図28】ミニッツリピーター制御機器を用いて第1の曲を再生することが可能な、サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図29】ミニッツリピーター制御機器を用いて第1の曲を再生することが可能な、サイレントモードでの、本発明による時打ち機構を示す。
図30】この第2の変形形態の時打ち機構の一揃いの主要な構成要素の、両側からの概略的平面図である。
図31】本発明による時打ち機構を備えるウオッチを示す構成図である。
図32】本発明による時打ち機構を備える音楽時計を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、少なくとも1つの特有の時打ち機構100を含むウオッチ1000または時計2000に関する。この時計2000は、オルゴールであっても、オルゴールを含んでもよい。
【0022】
『Les montres compliquees(A Guide to Complicated Watches(複雑なウオッチの手引き))』、Horlogeres版、Bienne(スイス)、1985年、ISBN2−88175−000−1と題されたFrancois LECOULTREの著作は、97ページ〜205ページ(英語版の85ページ〜181ページ)にかけて、時打ち機構を形成する基本機構について、異なる章で詳細に説明している。
−二度打ち時計
−旧式二度打ち時計
−最新のクオーターリピーター
−簡易化リピーター
−ハーフ・クオーター・リピーター
−ブレゲ−(Breguet)・ハーフ・クオーター・リピーター
−5ミニッツリピーター
−ミニッツリピーター
−時打ち懐中時計
時打ち機構の専門家は、この一般的な参考図書で、詳細には前述の最後の2つの章でそのような機構の構造を探し出す方法を知っているので、必要がなければ本明細書ではこれらの基本機構について詳細に論じない。
【0023】
本発明による時打ち機構100は、従来の手法では、少なくとも1つの基準歯車セット1と、好ましくは時間基準数取りカムおよび/または星車、ならびに詳細には分数取りカム、15分数取りカム、および時間数取りカム190を含む複数の基準歯車セット1とを含む。
【0024】
この時打ち機構100はまた、詳細には『複雑なウオッチの手引き』の「時打ち懐中時計」に関する章で説明され、詳細にはこの書籍の図40で見ることができるように、少なくとも1つの時打ち駆動歯車セット2を含む。この時打ち駆動歯車セット2は従来、爪ラチェット22および繰返しラックピニオン24を含む。
【0025】
時打ち機構100は、ムーブメント200と協働し、ムーブメント200は、1つまたは複数の基準歯車セット1を駆動し、ムーブメント200の特有の出力3は、ムーブメントにより時打ちを解除するための限定しない星車130の形で図に示されて筒かなの上にはめ込まれ、ムーブメントにより解除するための中間レバーを15分ごとに持ち上げるために4つの歯を含み、この4つの歯を本明細書では以後送り爪70と呼ぶ。
【0026】
時打ち機構100は、この送り爪70を介してムーブメント200の出力3と間接的に協働するように構成された少なくとも1つの枢動部分を含み、詳細には、そのような基準歯車セット1を読み取るためのフィーラーアーム、および繰返しラックピニオン24を駆動するためのラックを含む。これらの枢動部分の1つは、時間数取りカム190と協働するように配列された時間ラック20である。時打ち機構100は、自動時打ちごとに始動させられるように、かつ可能なときには爪ラチェット22を駆動するように配列された主こはぜ85をさらに含む。
【0027】
本発明による時打ち機構100は、主要な時打ちモード、すなわち、グランド・ソヌリ(grande sonnerie)、プティット・ソヌリ(petite sonnerie)、アラーム、サイレントのうちすべてまたは一部を含み、より詳細には、ミニッツリピーター機構を、詳細にはとりわけ『複雑なウオッチの手引き』の章「ミニッツリピーター」で説明されているようなミニッツリピーター機構を含む。
【0028】
図に示す限定しない変形形態は、グランド・ソヌリ(GS)、プティット・ソヌリ(PS)、サイレント(Silent、S)という3つの時打ちモード、およびミニッツリピーターを含む。このミニッツリピーター機構は、詳細には、中に備わったフィーラーアーム29を介して時間数取りカム190と協働するように配列された時間ラック20を含む。
【0029】
時打ち機構100は、モード選択器機構9を含む。このモード選択器機構9は、ユーザがどの時打ちモードを使用すべきかを選ぶことができるようにし、かつ少なくとも1つのカム90の角度位置を制御する、ユーザが利用可能な選択器96を備える。
【0030】
モード選択器機構9は、図に示す変形形態に示すように、指定された時打ち機構のモードの数と同数の特有の位置を有してもよい、またはこれらのモードの一部だけに特有の位置を含む、少なくとも1つのカム90を含む。図示する変形形態は、選択可能なモードの1つに、すなわち、93プティット・ソヌリ、94グランド・ソヌリ、95サイレントにそれぞれ対応する3つのノッチ付部分を含む平坦カム90を示す。
【0031】
より詳細には、本発明によれば、ノッチ付部分は、動作の2方向の一方で力を増大させる必要がある可変サイズのノッチである。より詳細には、1つの特定のノッチ、たとえば中央ノッチは、ある時打ちモードから別の時打ちモードにユーザが不注意に変えるのを防止することによって安全性を確実にするために、端部ノッチよりも大きい。
【0032】
カム90は、異なるモードのために特定の位置を占有する。このカム90は、消音レバー60に備わったビーク61と協働するように配列された連続した外部フィーラーアーム支持輪郭98を有する。この外部輪郭98は、サイレントモードであらゆる自動時打ちを無効にするために、消音レバー60の主アーム64が爪ラチェット22から離して主こはぜ85を動かす位置に消音レバー60の向きを合わせるように配列される、サイレントモードに対応するより大きな半径98Sの領域を含む。
【0033】
本発明は、本出願人による欧州特許出願公開第15190808.4号明細書によるアラーム機構、本出願人による欧州特許第15168700.1号明細書による、時打ちまたは曲の選択および/または解除のための安全機構、本出願人による欧州特許出願公開第15183110.4号明細書による、連結を解くことができる持ち上げ片を用いる曲選択機構、または本出願人による欧州特許出願公開第16206572.6号明細書によるカリヨン時打ち機構を組み入れるとき、本出願人による欧州特許出願公開第2947523(B1)号明細書のように、詳細には、たとえば時打ちされた15分を区別するために再生される異なる曲を区別しなければならないとき、または再生される異なるゴングを区別しなければならないときに、さらにより多くの別個のモードを選択するのに適していることが理解される。
【0034】
したがって、カム90は、複数のノッチ、すなわち、GS曲A、GS曲B、PS曲A、PS曲B、S、および/または同じくGSゴングA、GSゴングB、PSゴングA、PSゴングB、Sを含むことができる。単一カムに対してあまりにも多くの異なるモードが存在するとき、モード選択機構9は、複数のカム90を、特に、たとえば特定の曲、特定のゴング、またはその他の形で、これらのモードのいくつかにそれぞれ関連している、重なったカムを含むことができる。
【0035】
そのような配置により、詳細には、再生される曲により、および/または使用されるゴングにより、時打ちモードを区別することが可能になる。たとえば、グランド・ソヌリ・モードは、第1の曲および/または第1組のゴングに対応し、プティット・ソヌリ・モードは、第2の曲および/または第2組のゴングに対応する。
【0036】
異なるカム90を、特に同軸上に、または1つの平面内に並置して重ねることができ、特に直列に配列することができることが理解される。
【0037】
モード選択に加えて、ユーザが選択した1つのモードだけを時打ち機構100が遂行することを確実にすることを意図して、モード選択器機構9は、時打ち駆動歯車セット2から離してこはぜを動かすことにより、サイレントモードで時打ち機構を無効にし、対応する数取りカムに時間ラックが到達するのを防止する。
【0038】
詳細には、時打ち機構100は、前記時間ラック20が時間数取りカム190の読み出しを遂行すると爪ラチェット22を駆動するように配列されたリピーターこはぜ40を含むミニッツリピーター制御機器4を備えるミニッツリピーターを含む。そして、サイレントモードでは、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに十分であるという条件のもと、消音レバー60の主アーム64により、リピーターこはぜ40が爪ラチェット22に到達できるようになる。
【0039】
特定の実施形態では、時打ち機構100は、15分ごとに正時時打ちを繰り返す、1時間ごとおよび15分ごとの自動時打ちのためのグランド・ソヌリ・モード、ならびに15分ごとに正時時打ちを繰り返すことのない、1時間ごとおよび15分ごとの自動時打ちのためのプティット・ソヌリ・モードを含む。したがって、時打ち機構100は、プティット・ソヌリ・レバー80であって、プティット・ソヌリ・モードを選択したとき、時間数取りカム190に向かって時間ラック20が動くのをプティット・ソヌリ・レバー80が防止する位置にプティット・ソヌリ・レバー80の向きを合わせて、15分ごとに時間が時打ちされるのを防止するため、選択器機構9のカム90に備わったカムピン97を順番に圧迫することにより協働するように配列されたプティット・ソヌリ・レバー80を含む。
【0040】
この同じ配列で、グランド・ソヌリ・モードを選択したとき、カムピン97は、15分ごとに自動的に正時を時打ちすることができるようにするために、プティット・ソヌリ・レバー80により時間ラック20が時間数取りカム190に向かって動くことができるようになる別の位置にプティット・ソヌリ・レバー80の向きを合わせる。
【0041】
1時間と15分の自動時打ちを区別するために、時打ち機構100は、有利には、出力3により駆動され、かつ15分で時打ちを自動的に解除するように配列された4歯星車(130)の同軸上に、プティット・ソヌリ・レバー80を持ち上げて、時間ラック20が時間数取りカム190に向かって動くことができるようになるように配列された先端部132を備える涙形時間カム131を備える。
【0042】
モード選択器機構9の動作は、ミニッツリピーターの動作を妨げず、特にサイレントモードでは、有利には、利用可能なエネルギーの量が時打ち機能が完了することを確実にするのに不十分である場合にあらゆる時打ち機能の遂行を防止するように配列された特定の停止機能を時打ち機構100が含むときを除き、時打ち機構100は、この場合有利には、再始動時に衝突の引き起こしにつながりうる、特定の歯車セットが停止することで発生する危険を避けるため、あらゆる時打ち機能の遂行を防止するように配列された停止機構5を備える。ミニッツリピーターの動作もさらに禁止されるのは、停止機能が作動されたときだけである。
【0043】
この停止機構5は、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、時打ち逆転レバー59を枢動するように配列される。この時打ち逆転レバー59は、利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、爪ラチェット22にリピーターこはぜ40が到達するのを防止するように、かつ利用可能なエネルギーが時打ち機能を完了するのに不十分であるとき、爪ラチェット22から離して主こはぜ85を動かすように構成された時打ち解放レバー55の枢動を制御する。
【0044】
モード選択器機構9は、好ましくは、従来技術で標準的な、ウオッチケース上のノッチシステムの使用を避けるように設計され、この目的を達成するために、選択器レバー96は、有利には、詳細には図で確認されるような連結式接続を介して、1つのカム90、または2つ以上存在するときには複数のカム90の枢動を制御する。より詳細には、カムジャンパー91であって、カムジャンパー91を所定の位置に保持するためのカムジャンパーばね92に関連する、カムジャンパー91は、カム90のノッチの1つと協働する選択器フィンガー99を含む。このジャンパー91およびそのばね92は、二重の機能を有しており、ユーザがノッチの変化を感じることができるようにし、かつモードの1つに対応する明確な位置に戻り、中間の位置には決して戻らないことによって、選択操作が完了したという確信を与える。有利には、ばね92は、安全性を確実にするために、特に、ウオッチケース内のガスケットの摩擦力に打ち勝つために、必要以上に大きくなっている。
【0045】
このカム90はまた、プティット・ソヌリ・レバー20のための停止具を形成するように配列されたカムピン97を含み、この機能については、本明細書で説明する。モード選択ノッチに加えて、カム90は、有利には、消音レバー60のビーク61と協働するように構成された少なくとも2つのフィーラーアーム支持領域と、サイレントモードに対応するより大きな半径98Sの領域と、停止機能およびグランド・ソヌリ・モードが存在するとき、グランド・ソヌリ・モードの停止に対応するより小さな半径98AGSの領域とを含む、連続する外部輪郭98を備える。
【0046】
モード選択機構9を、異なる時打ち機構のために使用することができる。モード選択機構9と、ミニッツリピーター機構を含む時打ち機構100の従来の構成要素との相互影響について、以下で詳述する特定の配列で示し、機械式ウオッチまたは時計のための時打ち機構を専門とする当業者は、変形形態を提示する任意の機構に時打ち機構を置き換える方法を知っている。
【0047】
この時打ち機構100を、最初に停止機構なしに示す。
【0048】
図1および図2は、正時を経過時に時打ちし、また15分ごと経過時に15分のみ時打ちするプティット・ソヌリ・ノッチ93に対応する間欠駆動位置にあるモード選択器機構9を示す。動作の説明を簡略化するために、通常のクオーターラックおよびクオーター数取りカムを示していない。
【0049】
基準歯車セット1の近傍に配列された星形歯車130は、時打ち解除送り爪70に備わったビーク72、特に弾性のあるビークと、15分ごとに協働するように動くように配列される。
【0050】
このクオーターラック20は、時間数取りカム190を感じるように配列されたフィーラーアーム29、および時打ち駆動歯車セット2に備わった繰返しラックピニオン24と協働するように配列されたラック25を含む。フィーラーアーム29に対して後方に置かれた時間ラック20は、平坦な当接部分27内でフィーラーアーム29と同じ側で終わるリブ23をさらに含む。
【0051】
時打ち駆動歯車セット2は、従来の手法では、主時打ちこはぜ85と協働するように、またはピン41を具備し、かつミニッツリピーター制御機器4に備わったミニッツリピーター解除こはぜ40と協働するように配列された爪ラチェット22を含み、このミニッツリピーター解除こはぜ40は、ばね43と協働する。
【0052】
時打ち解除送り爪70の枢動は、ムーブメントによる解除のためにレバー50の枢動を引き起こし、ムーブメントは推力ばね52を支え、推力ばね52は主時打ちこはぜ85に載り、主時打ちこはぜ85は、同じく解除レバー50により支えられる。
【0053】
従来のプティット・ソヌリ・レバー80は、ドテピン82を支える。プレートに固定された解放ばね83により戻されるこのプティット・ソヌリ・レバー80は、カム90に備わったカムピン97に載るように配列された解放ビーク81を含む。
【0054】
プティット・ソヌリ・レバー80は、時間ラック20が角度移動する間、時間ラック20と対向し、ドテピン82は、同じ半径上で時間ラック20のリブ23の高さにあり、これにより、ドテピン82が、時間ラック20の平坦部分27との当接で協働することができるようになり、かつ時間ラック20が時間数取りカム190に到達するのを防止することによって時間ラック20を動けなくできるようになり、その結果、プティット・ソヌリ・モードに特有の動作に従って、15分ごとに正時時打ちを繰り返さない。
【0055】
時間が全時間で時打ちされることを確実にするために、星形歯車130は、涙型時間カム131と一体化し、涙型時間カム131の先端部132は、プティット・ソヌリ・レバー80を、したがってそのドテピン82を持ち上げて、時間ラック20のフィーラーアーム29が時間数取りカム190を読み取るために通過することができるようにするように配列される。
【0056】
図3および図4は、正時を経過時に時打ちし、15分ごと経過時に正時時打ちを繰り返しかつ15分を時打ちするグランド・ソヌリ・ノッチ94に対応する間欠駆動位置にあるモード選択器機構9を示す。通常のクオーターラックおよびクオーター数取りカムについては示していない。カムピン97は、プティット・ソヌリの場合よりも、解放ビーク81の端部から長い距離でプティット・ソヌリ・レバー80を圧迫し、その結果として、ドテピン82は、リブ23の高さにも、時間ラック20の平坦部分27の高さにも、もはやないが、凹所28の高さにあり、それにより、時間ラック20が15分ごとに時間数取りカム190に向かって自由に枢動することができるようになる。
【0057】
サイレントモードでの動作については、時打ち機構100は、本明細書で以後消音レバー60とも呼ばれる、グランド・ソヌリおよびプティット・ソヌリのアイソレータを含み、消音レバー60は、第1の端部に、モード選択カム90の周辺領域98の1つと協働するように配列された読取りビーク61、および第2の端部62に、主時打ちこはぜ85に備わった主こはぜピン86を停止させるように配列された主アーム64を含む。この消音レバー60は、消音レバー60が枢動する近傍の、消音レバー60の中央部分に消音ピン63を含む。
【0058】
ばね65は、ピン63を介して消音レバー60を拘束し、その結果、レバーは、そのビーク61を介してカム90と常に接触している。選択したモードがサイレントモードであるとき、この消音レバー60は枢動して、消音レバー60の部分62は、ラチェット22からこはぜ85を切断するように動く。カムピン97は、プティット・ソヌリ・レバー80の解放ビーク81と接触している。ミニッツリピーター機能が(プティット・ソヌリ・モードで)機能している間、レバー(図示せず)は、制御機器4とレバー80内の穴との間でリンクを形成し、その結果、時間ラック20は、構成要素1の時間数取りカム190の上に収まることができる。
【0059】
図5図11に、時打ち解放レバー55を本質的に備える停止機構5をさらに含む消音レバー60が見える。したがって、時打ち機構100は、部分的に重なり、かつ特有のこはぜが時打ち駆動歯車セット2のラチェット22に到達するのを妨げるようにそれぞれ配列された、消音レバー60および時打ち解放レバー55を含む。実際、時打ち解放レバー55は、ミニッツリピーター制御機器4の、ミニッツリピーター解除こはぜ40に備わったリピーターこはぜピン41を停止させるように配列された、停止アーム56を含む。
【0060】
図5図11は、主こはぜ85およびミニッツリピーター解除こはぜ40の特定の配列を示し、主こはぜ85およびミニッツリピーター解除こはぜ40は両方とも、時打ち駆動歯車セット2およびそのラッチ22の同じ側に、モード選択カム90とラチェット22の間に配置されている。この配列は、その容積が特に低減されたために、およびさまざまな構成要素間の距離が短いために、特に有利であり、これは、より堅いレバーを使用することができ、かつコンパクトで信頼性があり効率的でもある停止機構の設計を可能にすることを意味する。この配列は、詳細には、送り爪または第1の時打ち解除レバー70と主こはぜ85の間に解除レバー50を挿入することにより可能になり、この解除レバー50は、主こはぜ85の連結を支え、こはぜを押しつけるはね52を含み、ラチェット22に対してミニッツリピーター解除こはぜ40と同じ側に主こはぜ85を位置決めすることができるようにし、主こはぜ85の枢動の方向を、主こはぜ85が送り爪70で直接かみ合わせられる標準的組み立てと比較して逆にし、詳細には、ラチェット22に対する主こはぜ85の係合および離脱を正確に管理することにより、エネルギーを節約することができるようにする。より詳細には、主こはぜ85およびミニッツリピーター解除こはぜ40は、この新規な配列の結果として実質的に整列し、消音レバー60および時打ち解放レバー55はほとんど同一直線上に重なることができ、それにより、構成要素の数およびこれらの構成要素の操縦移動が低減されることで、時打ち機能の制御および停止がかなり簡略化される。
【0061】
図5および図6は、サイレント・モード・ノッチ95に対応する間欠駆動位置にあるモード選択器9を示し、プティット・ソヌリ機構およびグランド・ソヌリ機構の連結はないが、ミニッツリピーターを動作させることは可能である。消音レバー60の読取りビーク61は、カム90の周辺肩部98の最大半径98Sに載り、その結果として、一方では、プティット・ソヌリ・レバー80は、カムピン97およびばね67により停止し、他方では、消音レバー60の主アーム64は、時打ち駆動歯車セット2から最も遠い位置にあり、主こはぜピン86を停止させる。他方では、この端部位置をふさぐものは何もないので、時打ち解放レバー55は、時打ち駆動歯車セット2に非常に近接し、その結果として、ミニッツリピーター解除こはぜ40は、妨げられず、爪ラチェット22に到達でき、したがって、ユーザが望むようにミニッツリピーターを動作させることができる。
【0062】
図7および図8は、グランド・ソヌリ・モードで停止した状態を示し、グランド・ソヌリ・ノッチ94に対応する間欠駆動位置にあるモード選択器9を示す。停止機構5は、1つまたは複数の香箱などが利用できるエネルギーの量が不十分であるとき、すべてのこはぜの連結を解くように配列される。このとき、消音レバー60の読取りビーク61は、カム90の周辺肩部98の最小半径98AGSに載り、消音レバー60の第2の端部62で、消音レバー60の主アーム64は、時打ち駆動歯車セット2に最も近い位置にあり、主こはぜピン86を停止させることができない。他方では、時打ち解放レバー55は、時打ち駆動歯車セット2から最も遠い位置にあり、その結果として、主こはぜ85の主ピンク86とリピーターこはぜピンク41の両方を妨げて、したがって、主こはぜ85およびミニッツリピーター解除こはぜ40は、妨げられ、爪ラチェット22に到達できない。ユーザは、ミニッツリピーターを作動させることができない。したがって、時打ち機能を全く作動させることができない。モード選択レバー96が別の位置に動くのを防止するものは何もない。
【0063】
図9図11は、サイレントモードで停止した状態を示し、サイレント・モード・ノッチ95に対応する間欠駆動位置にあるモード選択器9を示す。これらの図は、時打ち解放レバー55の連結式制御のための動作ボルト59を示す。消音レバー60の読取りビーク61は、カム90の周辺肩部98の最大半径98Sに載り、消音レバー60の主アーム64は、時打ち駆動歯車セット2から最も遠い位置にあり、主こはぜピン86を停止させる。時打ち解放レバー55はまた、時打ち駆動歯車セット2から最も遠い位置にあり、リピーターこはぜピンク41を妨げる。したがって、主こはぜ85およびミニッツリピーター解除こはぜ40は、妨げられ、爪ラチェット22に到達できない。
【0064】
停止機構は十分なエネルギーがないときだけ作動すること、およびそうではない場合、この停止機構は切断されることは明らかである。
【0065】
図13図19は、プティット・ソヌリ・モードで第1の曲を、グランド・ソヌリ・モードで第1の曲と異なる第2の曲を再生することができるようにする、本発明による時打ち選択およびモード選択を組み合わせる時打ち機構の第1の変形形態を示す。
【0066】
図20図29は、本発明による、時打ち選択およびモード選択を組み合わせる時打ち機構の第2の変形形態を示し、一方または他方により、各時打ちモードで第1の曲または第2の曲を再生することができるようになる。
【0067】
唯一の制限は、ウオッチまたは音楽時計内部の利用可能な空間に関する制限であることが理解され、これらの第1および第2の変形形態はそれぞれ、本明細書では2つの曲を用いて示されているが、時打ち機構は、同じ出願人による欧州特許第2947523(B1)号明細書、ならびに同じ出願人による欧州特許出願公開第15190808.4号明細書、欧州特許出願公開第15168700.1号明細書、欧州特許出願公開第15183110.4号明細書、および欧州特許出願公開第16206572.6号明細書の教示と組み合わせて、より多くの曲を再生することができる、または異なる組のゴングまたはチャイムに関する曲を区別することができ、これらの特許および特許出願の詳細については、本明細書で繰り返さない。同様に、1つの平面内の同軸カムおよび/または並置カムによりモード選択を遂行することができる。
【0068】
第1の変形形態は、第1の曲レバー103および第2の曲レバー104と協働する曲選択カム101を含み、第1の曲レバー103および第2の曲レバー104はさらにまた、異なる送り爪107を制御するように配列された曲選択器106と協働する。これらのレバー103および104の各々は、曲選択カム101の周辺を越えて伸びている中間フィーラービークを含む。曲選択カム101は、曲選択フィーラーアーム105のフォーク1050を駆動するピン1010を含み、曲選択フィーラーアーム105のフィンガー1051の1つは、モードによる曲選択カム102の周辺と協働する。モードによる曲選択カム102は、この場合、曲選択カム101と同じ平面内にある。
【0069】
第2の変形形態は、類似の手法で、第1の曲レバー103および第2の曲レバー104を含み、第1の曲レバー103および第2の曲レバー104は、さまざまな送り爪107を制御するように配列された曲選択器106と協働する。
【0070】
モードおよび曲の選択は、この場合、他方の最上部に一方が積み重なったいくつかのカムを含む制御歯車セット110により制御される。
【0071】
下方の階層では、第1のカム111は、上記で示したカム90に類似し、ジャンパーノッチ112、および周辺外郭113によるプティット・ソヌリ・モード、グランド・ソヌリ・モード、およびサイレントモードの制御を含み、ミニッツリピーター機能と自動時打ちとの間のあらゆる干渉を防止するように配列された自動時打ちアイソレータ109のビーク1090が続く。
【0072】
レバー103および104の各々は、それぞれ第1の曲を制御する第1のカム114および第2の曲を制御する第2のカム115の周辺を越えて伸びる中間フィーラービークを含む。
【0073】
この制御歯車セット110は、非常にコンパクトであり、時打ち歯車セット2よりも少ない高さ空間を使用する。
【0074】
これらの異なる変形形態は、多くの共通構成要素を使用し、それにより、大きな複雑機構につきものの高いコストが低減されることが理解される。
【0075】
したがって、本発明は、さまざまな差別化された時打ち機能を作成する可能性を提供するものであり、これらの時打ち機能は、たとえば昼/夜、午前/午後、毎週の非勤務日、またはそうでない場合に自動時打ちを行うよう、ウオッチもしくは時計のムーブメント200により制御される、またはユーザがふさわしいと思うときにユーザにより制御される。
【0076】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力3を含むムーブメント200を備えるウオッチ1000に関し、このムーブメント200は、少なくとも1つの基準歯車セット1を駆動するように配列され、ウオッチ1000は、少なくとも1つのそのような時打ち機構100を含む。
【0077】
本発明はまた、ムーブメントにより自動時打ち機能を解除するための出力3を含むムーブメント200を備える時計2000に関し、このムーブメント200は、少なくとも1つの基準歯車セット1を駆動するように配列され、時計2000は、少なくとも1つのそのような時打ち機構100を含む。
【符号の説明】
【0078】
1 基準歯車セット
2 時打ち駆動歯車セット
3 ムーブメントの特有の出力
4 ミニッツリピーター制御機器
5 停止機構
9 モード選択器機構
20 時間ラック
22 爪ラチェット
23 リブ
24 繰返しラックピニオン
25 ラック
27 平坦な当接部分
28 凹所
29 フィーラーアーム
40 リピーターこはぜ
41 リピーターこはぜピン
43 ばね
50 解除レバー
52 推力ばね
55 時打ち解放レバー
56 停止アーム
59 時打ち逆転レバー
60 消音レバー
61 読取りビーク
62 消音レバーの第2の端部
63 消音ピン
64 主アーム
65 ばね
67 ばね
70 送り爪
72 ビーク
80 プティット・ソヌリ・レバー
81 解放ビーク
82 ドテピン
83 解放ばね
85 主こはぜ
86 主こはぜピン
90 カム、平坦カム
91 カムジャンパー
92 カムジャンパーばね
93 プティット・ソヌリ・モード、プティット・ソヌリ・ノッチ
94 グランド・ソヌリ・モード、グランド・ソヌリ・ノッチ
95 サイレント・ソヌリ・モード、サイレント・ソヌリ・ノッチ
96 ユーザが利用可能な選択器
97 カムピン
98 連続した外部フィーラーアーム支持輪郭
98AGS より小さな半径
98S より大きな半径
99 選択器フィンガー
100 時打ち機構
101 曲選択カム
102 モードによる曲選択カム
103 第1の曲レバー
104 第2の曲レバー
105 曲選択フィーラーアーム
106 曲選択器
109 自動時打ちアイソレータ
110 制御歯車セット
111 第1のカム
112 ジャンパーノッチ
113 周辺外郭
114 第1の曲を制御する第1のカム
115 第2の曲を制御する第2のカム
130 星車、星形歯車
131 涙形時間カム
132 先端部
190 時間数取りカム
200 ムーブメント
1000 ウオッチ
1010 曲選択フィーラーアームのフォークを駆動するピン
1050 曲選択フィーラーアームのフォーク
1051 曲選択フィーラーアームのフィンガー
1090 自動時打ちアイソレータのビーク
2000 時計
図1
図2
図3
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