【文献】
藤原 明広, 外1名,すれちがい通信を利用したリアルタイム災害時避難誘導,電子情報通信学会技術研究報告 IN2011-137〜IN2011-204,日本,社団法人電子情報通信学会,2012年 3月 1日,第111巻, 第469号,pp.121-126(特に、3.1節)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0014】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る携帯端末装置について、
図1ないし
図5を用いて説明する。本実施形態に係る携帯端末装置は、自然災害等の発生により避難する必要がある場合に、避難経路を表示すると共に、避難状況に関する情報を収集して安否情報として利用するものである。携帯端末装置はインターネットに接続することで、他の機器との通信を行うことができる。
【0015】
自然災害等が発生した際の大きな問題点の一つとして、電話やインターネットの回線網が輻輳状態となり、通話や通信が行えなくなることが挙げられる。これまでの震災等の経験から、災害が発生して数分〜数十分の間は、通話回線や通信回線を問題なく利用することができていることがわかっている。また、各電話会社が通話回線や通信回線の整備を進めていることから、今後は、災害発生時であっても通話回線や通信回線を問題なく利用できると考えられる。しかしながら、そのような回線利用の充実化により、避難よりもメールや電話による安否確認を優先する人が増え、被害を拡大してしまうという問題も発生している。
【0016】
このようなことから、災害が発生した際には、まず自分が避難することを最優先とし、その後安否確認を行うように人々を誘導する必要がある。回線を問題なく利用できる数分〜数十分の間に避難し、その後は避難所に確保された回線網等を利用して安否確認を行うのが理想的と言える。本実施形態に係る携帯端末装置は、災害が発生した際にまず避難経路を表示し、利用者に避難を促しながら、利用者の操作により避難を開始した旨の情報を入力し送信することで、その情報を安否情報として利用すると共に、身近な人に避難を開始した旨を知らせて安心させるものである。
【0017】
図1は、本実施形態に係る携帯端末装置を用いた避難管理システムのシステム構成図である。避難管理システム1は、利用者が所有し、災害発生時に入出力装置や情報管理装置や演算装置として機能するための災害対応アプリケーションがインストールされた携帯端末装置2と、災害対応アプリケーションが動作するための必要な情報管理や演算を行う災害管理サーバ3と、安否確認のための安否情報を管理する安否確認装置4とを備え、それらが電気通信回線により接続されて情報のやり取りを行うことができる。
【0018】
例えば、緊急地震速報のような通知を携帯端末装置2で受信すると、それをトリガとして携帯端末装置2の現在地を取得し、災害管理サーバ3に送信する。災害管理サーバ3では、取得した現在地から携帯端末装置2の利用者の最適な避難場所の選定及び避難経路の演算が行われる。演算された避難場所及び避難経路の情報は携帯端末装置2に送られ、携帯端末装置2の画面上に地図情報と共に表示される。また、併せて携帯端末装置2の画面上には避難を開始したことを入力するための入力画面が表示される。携帯端末装置2の利用者は避難を開始した旨を入力し、避難経路に沿った避難を行う。入力された避難開始を示す情報は、安否情報を管理する安否確認装置4に送信される。安否確認装置4では、送信された情報を安否情報として登録する。この時点では「避難開始済み」の状態で登録される。避難開始を示す情報が入力された場合に、その情報を安否確認装置4に送信すると共に、予め携帯端末装置2の災害対応アプリケーションで登録された宛先に送るようにしてもよい。そうすることで、自分が避難を開始したことを予め登録された宛先の人物に知らせることができる。
【0019】
図2は、本実施形態に係る携帯端末装置のハードウェア構成図である。
図2において、携帯端末装置2は、CPU21、RAM22、ROM23、ハードディスク(HDとする)24、通信I/F25、操作パネル26及びディスプレイ27を備える。ROM23やHD24には、オペレーティングシステムや各種プログラムが格納されており、必要に応じてRAM22に読み出され、CPU21により各プログラムが実行される。
【0020】
通信I/F25は、装置間の通信を行うためのインタフェースである。操作パネル26は、タッチパネル、キーボード等の入力機器からの入力を受け付ける。ディスプレイ27は、演算結果等を表示する。近年の携帯端末装置2として多く普及しているスマートフォンでは、ディスプレイ27と操作パネル25とがハードウェア的に一体となっているものが多い。なお、上記ハードウェアの構成はあくまで一例であり、必要に応じて変更可能である。
【0021】
図3は、本実施形態に係る携帯端末装置及び災害管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。携帯端末装置2は、例えば緊急地震速報のような災害発生情報30を受信する災害情報受信部31と、GPS機能により現在地を取得する現在地取得部32と、災害管理サーバ3で演算された避難場所及び避難経路をディスプレイ27上に表示する経路表示制御部33と、災害情報受信部31が災害発生情報30を受信すると避難を開始した旨を入力するための入力画面をディスプレイ27に表示する開始表示制御部34と、避難開始を示す情報が入力された場合に、配信登録情報記憶部36に記憶されている予め登録された宛先に避難開始情報を配信するための配信指示情報を災害管理サーバ3に送信する避難開始情報送信部35とを備える。
【0022】
なお、配信登録情報記憶部36には、少なくとも安否確認装置4が宛先に登録されており、必要に応じて身近な人の宛先等が登録される。また、避難開始情報を送る際には、差出人を識別するための情報も併せて送る必要があるため、差出人の情報を予め登録しておく。例えば、差出人の氏名、性別、生年月日、郵便番号、電話番号、メールアドレス等の情報を事前に複合的に登録しておくことで、差出人を一意に識別することが可能となる。
【0023】
災害管理サーバ3は、携帯端末装置2から送信される現在地情報と、避難所情報記憶部38に予め登録されている避難場所の情報とに基づいて、携帯端末装置2の位置から最適な避難場所の選定及びその避難場所までの経路を演算する経路演算部37と、避難開始情報を送信する旨の情報を携帯端末装置2から受信した際に、指定された宛先(安否確認装置4や他の携帯端末装置2等)に避難開始情報と差出人の識別情報を実際に配信する情報配信部39とを備える。
【0024】
なお、他の携帯端末装置2から避難開始情報が送信された場合は、当該他の携帯端末装置2の利用者が避難を開始した旨がディスプレイ27に随時表示されるようにしてもよい。また、避難場所までの経路の演算については、例えば、カーナビゲーションシステムや地図情報システム等において最適経路の演算技術等が知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0025】
図4は、本実施形態に係る携帯端末装置の表示画面の一例を示す図である。
図4(A)は、避難経路及び避難開始の入力画面が表示された場合のディスプレイ27を示し、
図4(B)は、他の携帯端末装置から避難開始情報を受信した場合のディスプレイ27を示す図である。
図4(A)には地図と共に現在地を示すマーカと避難場所を示すマーカとが表示され、現在地から非難場所までの経路が表示されている。ディスプレイ27の下方には避難開始ボタンが表示されており、利用者が避難を開始する際にこの避難開始ボタンを押下する。避難開始ボタンが押下されると、避難開始情報が予め登録された安否確認装置4や他の携帯端末装置2等に送信される。
【0026】
他の携帯端末装置2から避難開始情報を受信した場合は、
図4(B)に示すように、他の携帯端末装置2の利用者が避難を開始した旨の情報が随時表示される。他の携帯端末装置2に自分が避難を開始した旨の情報を表示して知らせることができるため、率先非難者としての役割を担うことができ、他の携帯端末装置2の利用者の避難を促すことができる。
【0027】
他の携帯端末装置2に避難開始情報が送信される場合は、
図4(B)のように避難開始の状況が随時表示されるが、他の携帯端末装置2に避難開始情報が送信されない場合は、安否確認装置4のみに避難開始情報が送信され、安否情報として管理されるのみとなる。
【0028】
なお、避難開始情報と共に、避難の状況(災害発生時における携帯端末装置の位置情報、災害管理サーバ3で演算された避難場所の情報等)を送信するようにしてもよい。そうすることで、避難を開始したことを知る(又は知らせる)ことができると共に、どの位置からどの避難場所に避難するかを知る(又は知らせる)ことができる。また、
図4のディスプレイ27の表示を行う場合に、併せて、安否確認は避難場所で行う(避難場所に行けば確実に行える)旨の情報、避難を最優先にする旨の情報等を表示するようにしてもよい。これらの表示は、必要最小限の文言で目に付き易い態様で表示(点滅表示、色違い表示、避難経路の表示を邪魔しないように大きく表示)されるのが望ましい。
【0029】
次に、本実施形態に係る携帯端末装置及び災害管理サーバの動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る携帯端末装置及び災害管理サーバの動作を示すフローチャートである。まず、携帯端末装置2の災害情報受信部31が災害発生情報30を受信する(S51)。現在地取得部32は、災害発生情報30を受信したことをトリガとしてGPSから現在地情報を取得する(S52)。取得した現在地情報は災害管理サーバ3に送信され、経路演算部37が、受信した現在地情報と避難所情報記憶部38に記憶された情報とに基づいて、携帯端末装置2の避難場所の選定及びそこまでの最適な経路を演算する(S53)。演算された経路の情報は携帯端末装置2に返信され、経路表示制御部33が、ディスプレイ27に地図情報と共に避難経路を表示する(S54)。
【0030】
開始表示制御部34は、上記の避難経路の表示処理と並行して、災害発生情報30を受信したことをトリガに、避難開始の入力画面(避難開始ボタン)をディスプレイ27に表示する(S55)。その後、携帯端末装置2は一旦利用者からの入力を待つ待機状態となる。利用者が避難開始ボタンを押下すると、避難開始情報送信部35に避難開始情報が入力され(S56)、避難開始情報送信部35は、配信登録情報記憶部36に記憶されている予め登録されている宛先に対して、差出人の識別情報と共に避難開始情報の送信指示を災害管理サーバ3の情報配信部39に対して行う。情報配信部39は、受信した宛先に対して、差出人の識別情報と共に避難を開始した旨の避難開始情報を配信して(S57)、処理を終了する。
【0031】
その後、差出人の識別情報と避難開始情報とを受信した安否確認装置4は、当該差出人を「避難開始済み」として安否確認情報に登録する。また、差出人の識別情報と避難開始情報とを受信した他の携帯端末装置2は、差出人が避難を開始した旨の情報をディスプレイ27に表示する。このとき、例えば、ポップアップとして避難開始の情報を表示してもよいし、アドレス帳の画面を表示した際に色分け等により避難開始の情報を表示してもよい。
【0032】
このように、本実施形態に係る携帯端末装置2においては、災害発生情報を受信した際に現在地を取得し、取得した現在地から予め登録されている避難場所までの経路を表示し、避難を開始した旨を入力するための開始入力画面を表示し、利用者の操作により、前記開始入力画面から避難を開始した旨の避難開始情報が入力された場合に、予め登録されている宛先に避難状況に関する情報を含む前記避難開始情報を送信するため、避難を開始したことを示す情報を収集し、安否情報として利用することができると共に、利用者に避難を促すことができる。
【0033】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る安否確認システムについて、
図6ないし
図8を用いて説明する。本実施形態に係る安否確認システムは、前記第1の実施形態における
図1に示した避難管理システム1の構成に加えて、避難場所に設置される避難所端末装置5を備えたものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0034】
図6は、本実施形態に係る安否確認システムのシステム構成図である。安否確認システム10は、携帯端末装置2、災害管理サーバ3、安否確認装置4及び避難所端末装置5を備え、各装置が通信により情報の送受信を行うものである。前記第1の実施形態で説明したように、避難開始の情報が安否確認装置4に送信された後は、各利用者がディスプレイ27に表示された避難場所に向かって避難を開始する。そして、避難場所に到着したら本実施形態に係る安否確認システム10を利用し、避難が完了したことを避難所端末装置5を介して安否確認装置4に登録する。また同時に、安否確認装置4から予め登録された人の安否確認情報を参照することが可能となる。
【0035】
図7は、本実施形態に係る安否確認システムを構成する各装置の機能ブロック図である。なお、ここでは避難場所に到着してから安否確認を行う際に必要な機能のみをブロック図として記載しており、図示していないが、実際には前記第1の実施形態における
図3の構成要素も含んでいるものとする。携帯端末装置2は、配信登録情報記憶部36に記憶されている利用者の識別情報(前記第1の実施形態における差出人の識別情報に相当する情報)や、予め登録された利用者の身近な人(以下、安否確認対象者とする)の識別情報(前記第1の実施形態における身近な人の宛先等に相当する情報)を出力し、避難所端末装置5に渡す情報出力部72を備える。
【0036】
ここで、情報出力部72が避難所端末装置5に情報を渡す場合の処理を説明する。情報の渡し方としては、通常のインターネット回線を利用した通信、赤外線による通信、近距離無線通信、コード化された情報を読み取ることによる情報の受け渡し等が可能となる。一例として、
図8にQRコード(登録商標)を利用した場合の情報の受け渡しを示す。例えば、避難開始ボタンが押下された後は、当該ボタンがコード生成ボタンに変更され、このコード生成ボタンを押下することで、携帯端末装置2の情報出力部72が、配信登録情報記憶部36に記憶された情報に基づいてQRコード(登録商標)を作成してディスプレイ27に表示する。避難所端末装置5の情報取得部73がQRコード(登録商標)リーダとして機能することで、そのQRコード(登録商標)を読み込んで必要な情報を取得する。こうすることで、必要な情報の受け渡しを簡単で確実に行うことが可能となる。
【0037】
図7に戻って、避難所端末装置5は、携帯端末装置2の情報出力部72から出力された情報を取得する情報取得部73と、取得した情報に避難所情報記憶部75に記憶されている避難所の情報を付加して安否確認装置4に送信する情報送信部74と、安否確認装置4から送信されてきた安否確認情報を表示する表示制御部76とを備える。避難所端末装置5は、各避難場所に設置されており、通信機能や電源が十分に確保されている状態で処理を行うことができる。避難場所に到着した人は、携帯端末装置2に格納されている利用者の識別情報や安否確認対象者の識別情報を避難所端末装置5に渡し、避難所端末装置5が安否確認装置4に情報を送信する。そのとき、避難場所の情報を付加することで、利用者がどこの避難場所に避難したかの情報を安否情報として登録することができる。
【0038】
安否確認装置4は、避難所端末装置5から送信された情報を受信する情報受信部77と、受信した情報のうち、携帯端末装置5の利用者を「避難完了済み」の状態で安否確認情報として記憶する安否確認情報記憶部78と、受信した情報のうち、安否確認対象者の識別情報に基づいて安否確認情報記憶部78を参照して安否確認情報を抽出し、災害管理サーバ3や避難所端末装置5や携帯端末装置2に送信する安否情報送信部79とを備える。すなわち、安否確認装置4は、避難所端末装置5から送信された情報を安否情報として登録すると共に、安否確認対象者に関する安否情報を抽出して返信する処理を行う。
【0039】
安否情報の送り先は、上述したように災害管理サーバ3、避難所端末装置5、及び/又は、携帯端末装置2のいずれでもよく、任意に設定することができる。災害管理サーバ3に送った場合は、第1の実施形態のときと同じように、情報配信部39が、登録されている各携帯端末装置2(他の携帯端末装置2)に避難が完了した携帯端末装置2の利用者の情報を随時送信して知らせることができる。携帯端末装置2に送った場合は、情報出力部72が、利用者により予め登録されている安否確認対象者の避難状況(避難完了済み、避難開始済み、不明等)を出力して当該利用者に知らせることができる。同様に、避難所端末装置5に送った場合も、表示制御部76が、利用者により予め登録している安否確認対象者の避難状況を表示して当該利用者に知らせることができる。
【0040】
次に、本実施形態に係る安否確認システムの動作について説明する。
図9は、本実施形態に係る安否確認システムの動作を示すフローチャートである。まず、携帯端末装置2の情報出力部72が配信登録情報記憶部36に記憶されている利用者の識別情報及び安否確認対象者の識別情報を出力し(S91)、避難所端末装置5の情報取得部73がその情報を取得する(S92)。このときの情報の受け渡しは、上述したように、インターネット回線を利用した通信(この場合、避難場所に到着して初めて知ることができる情報(例えば避難所端末装置が発行したパスワード等)を入力することで情報の送信ができるようにする)、赤外線による通信、近距離無線通信、コード化された情報を読み取ることによる情報の受け渡し等により行われる。
【0041】
情報送信部74が、携帯端末装置2から取得した情報に避難所情報記憶部75に記憶されている避難場所に関する情報を付加して安否確認装置4に送信する(S93)。安否確認装置4の情報受信部77は、避難所端末装置5から送信された情報を受信し、安否確認情報記憶部78に記憶されている利用者の安否情報を「避難開始済み」の状態から「避難完了済み」の状態に更新する(S94)。なお、このとき、避難開始ボタンの押し忘れ等で「避難開始済み」の情報が存在しない場合には、このタイミングで「避難完了済み」の安否情報を登録する。
【0042】
安否情報送信部79は、情報受信部77が受信した安否確認対象者の識別情報に基づいて、安否確認情報記憶部78から安否確認対象者の安否情報を抽出し(S95)、災害管理サーバ3、避難所端末装置5、及び/又は、携帯端末装置2に抽出した安否情報を送信して(S96)、処理を終了する。
【0043】
このように、本実施形態に係る安否確認システム10においては、利用者が避難所に到着し、そこに設置されている避難所端末装置5に自分の識別情報を渡すと、避難が完了した状態として安否確認装置4に登録し、併せて安否確認対象者の安否状態の情報を得ることができるため、自分の安否情報を登録すると共に、安否確認対象者の安否確認を行うことができる。また、避難所端末装置5に自分の識別情報を渡して安否情報を登録することで、他の人の安否確認を行うことができるため、利用者を逸早く避難所へ誘導することができる。
【0044】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る安否確認システムは、前記第2に実施形態における安否確認システム10の機能を拡張したものであり、携帯端末装置2が災害発生情報30を受信した場合に、災害発生から避難が完了するまでの時間、災害発生から避難が完了するまでに撮像された撮像情報、実際に避難した経路、及び/又は、災害発生から避難が完了するまでに録音された音声情報を携帯端末装置2内に格納し、避難が完了した際に避難所端末装置5にそれらの収集された情報を渡す。そして、収集された収集情報は、避難所端末装置5及び/又は安否確認装置4で管理され、被害状況の把握や分析に利用される。
【0045】
災害発生から避難が完了するまでの時間は、災害発生情報30を受信した時点から、避難所端末装置5に利用者の識別情報を渡す時点までの時間となる。また、災害発生から避難が完了するまでに撮像された撮像情報は、災害発生情報30を受信した時点で、災害対応アプリケーションが、携帯端末装置2が備える動画又は静止画を撮像するカメラを起動し、そのカメラにより避難所端末装置5に識別情報を渡す時点までに定期的に自動撮像された撮像情報である。避難する際には、携帯端末装置2は、バッグの中やポケットに収納されて何も撮像できない可能性もあるが、たまたまカメラのレンズが利用者の周囲を撮像できるような状態の場合には、避難における貴重な映像を収集することが可能となる。
【0046】
実際に避難した経路は、災害発生情報30を受信した時点から、避難所端末装置5に識別情報を渡す時点までの間に定期的に取得したGPSの位置情報を収集することで得ることができ、災害発生後の利用者の移動経路を知ることができる。災害発生から避難が完了するまでに録音された音声情報は、災害発生情報30を受信した時点から、避難所端末装置5に識別情報を渡す時点までの間に、携帯端末装置2のマイクで収集された音声の情報であり、利用者の声や他の避難者の声等が録音されることで、災害状況の把握や分析に利用することができる。
【0047】
利用者が避難場所に到着して避難所端末装置5に情報を渡す際に、上記で収集された各情報も収集される。これらの情報は、災害状況の把握や分析に利用するのみではなく、復興時の保険の査定額を決める際の材料として利用したり、今後の研究材料としての利用も可能となる。
【0048】
特に、保険の査定額については、保険会社にとって非常に慎重に確定する必要があり、少しでも避難時の情報が収集されることで査定に活かすことができる。例えば、災害保険の特約などで、災害発生情報30を受信したら直ちに避難を開始することを条件に払い戻し等があるような取り決めにしておくことで、災害発生時の避難を最優先に促して被害の拡大を抑制することが可能となる。そのような場合には、避難に要した時間、移動経路等が重要な証拠となる。
【0049】
また、災害保険の特約などで、率先避難者には保険料の値引きをするサービスがある場合には、率先避難者を有効的に利用することができ、被害の拡大を抑制することが可能となる。そのような場合には、上記の実施形態で説明したように、避難開始の情報を身近な人に配信したかどうか、又、収集された音声情報により「みんな逃げろー」といったような音声が災害発生直後から録音されているかどうかを確認することで証拠にすることが可能となる。
【0050】
このように、災害発生直後から避難するまでの情報を出来る限り収集しておくことで、災害状況の把握や分析に利用できるのみならず、後々の保険の支払いや研究に利用することができる。
【0051】
なお、上記各実施形態においては、避難時の通話や通信機能について確保されている状態であることを前提として説明したが、回線の輻輳や物理的な断線によりどうしても通信機能の確保が難しい場合は、災害対応アプリケーションが使用する機能の制限するようにしてもよい。例えば、GPSの受信と避難開始情報の送信のみを行うことができ、それ以外の回線を使用する機能については使用できない状態に制御するようにしてもよい。
【0052】
また、学校、特別養護老人ホーム、病院等のように団体での避難が行われる可能性が高い場合については、グループのリーダが代表して避難開始情報や避難完了の処理を行うことで、各個人の代理となるようにしてもよい。
【0053】
さらに、安否確認装置4の安否確認情報記憶部78に記憶されている情報は、一般の人が誰でもアクセスして参照できるように公開情報として提供するようにしてもよい。そうすることで、遠方の人が直接電話等を掛けなくても安否を確認することができ、使用する回線を抑制することができる。
【0054】
さらにまた、例えば、携帯端末装置2を所有していない人や慌てて家を飛び出したために携帯端末装置2を置き忘れた人については、避難場所に到着した時点で避難所端末装置5から安否情報を登録できるようにしてもよい。また、他人の携帯端末装置2であっても、自分(携帯端末装置2を置き忘れた人や所有していない人)の識別情報を入力することで、避難開始情報を送信できるようにしてもよい。
【0055】
(本発明の第4の実施形態)
本実施形態に係る携帯端末装置及び行動喚起システムについて、
図10ないし
図12を用いて説明する。本実施形態に係る行動喚起システムは、携帯端末装置が、所定の行動を喚起させるトリガとなる情報を受信した際に、当該所定の行動を開始する場合にその開始の旨の情報を予め登録された宛先に配信する。また、所定の行動を喚起させるトリガとなる情報を受信した後の当該受信した携帯端末装置の移動状態に関する情報を解析することで、率先行動者を特定する。
【0056】
なお、所定の行動には例えば、献血(輸血用の血液不足の配信情報に基づく)、避難訓練(避難訓練開始の案内情報に基づく)、選挙の投票(投票日当日の案内情報に基づく)、研修(研修当日の案内情報に基づく)、禁煙(禁煙月間の案内情報に基づく)、ダイエット(健康月間の案内情報に基づく)、公共交通機関を利用した通勤(ノーマイカーデーの案内情報に基づく)、ボランティア(困っている人々に関する配信情報に基づく)、及び、前記各実施形態において説明した避難(災害発生情報に基づく)等が含まれており、括弧書きで示したような行動を喚起させる情報に基づいて実行するものが対象となる。特に、社会的に推奨されるような行動について本発明を利用することで、社会貢献に役立てることができる。また、上記のような日常的な行動を解析して率先行動者となる人を特定しておくことで、災害等の非日常的な出来事があった場合の率先避難者として行動してもらうことが可能となり、多くの救命に役立てることができる。
【0057】
図10は、本実施形態に係る行動喚起システムの機能ブロック図である。行動喚起システム110は、携帯端末装置2と行動解析装置100とを備える。携帯端末装置2は、行動解析装置100から配信された、例えば上記に例示したような行動を喚起するトリガとなる喚起情報を受信する喚起情報受信部101と、受信した喚起情報と共にコメント入力領域や行動を開始した旨を入力するための入力画面をディスプレイ27に表示する開始表示制御部34と、行動開始を示す情報が入力された場合に、配信登録情報記憶部36に記憶されている予め登録された宛先に行動開始情報を配信するための配信指示情報を行動解析装置100に送信する避難開始情報送信部35と、喚起情報を受信した以降の携帯端末装置2の動作や移動を演算して移動関連情報として生成する移動関連情報演算部103と、生成された移動関連情報を行動解析装置100に送信する移動関連情報送信部104とを備える。
【0058】
行動解析装置100は、予め登録された所定の行動を喚起するトリガとなるような喚起情報を記憶する喚起情報記憶部106と、喚起情報を予め登録された配信対象者に予め設定された日時に配信する喚起情報配信部105と、行動開始情報を送信する旨の配信指示情報を携帯端末装置2から受信した際に、指定された宛先(他の携帯端末装置2)に行動開始情報と差出人の識別情報を配信する情報配信部39と、携帯端末装置2から送信された移動関連情報に基づいて、携帯端末装置2の行動を解析する行動解析部107と、解析された行動情報に基づいて率先行動者を特定し、喚起情報記憶部106に記憶する率先行動者特定部108とを備える。もし災害等が発生し、災害発生情報を避難行動の喚起情報として配信する際には、特定されている率先行動者の携帯端末装置2に率先行動を取る旨の情報が併せて配信される。
【0059】
図11は、本実施形態に係る携帯端末装置の表示画面の一例を示す図である。
図11(A)は、喚起情報及び行動開始の入力画面が表示された場合のディスプレイ27を示し、
図11(B)は、自分の携帯端末装置から行動開始情報を送信した場合及び他の携帯端末装置から行動開始情報を受信した場合のディスプレイ27を示す図である。
図11(A)には、行動解析装置100から配信された輸血用の血液が不足している旨の喚起情報が表示されている。ディスプレイ27の下方には行動開始ボタンが表示されており、利用者が行動(この場合は献血に向かう行動)を開始する際にこの行動開始ボタンを押下する。このとき、行動を開始するにあたって自由にコメントを入力できるようになっている。この行動開始コメントの入力機能は必ずしも備える必要はない。行動開始ボタンが押下されると、行動開始情報が、予め登録された宛先に配信される。
【0060】
他の携帯端末装置2から行動開始情報を受信した場合は、
図11(B)に示すように、他の携帯端末装置2の利用者が行動を開始した旨の情報が随時表示される。同様に、自分が行動開始ボタンを押下した場合には、自分の行動が画面上に表示される。このように、他の携帯端末装置2に自分が行動を開始した旨の情報を表示して知らせることで、他の携帯端末装置2の利用者の行動を促すことができる。
【0061】
なお、行動が完了した場合は、前記第2の実施形態における避難所端末装置5のような携帯端末装置2からの情報を取得することが可能な行動完了端末を予め目的地(この場合は献血ルームや献血バス)に設置しておき、携帯端末装置2から通常のインターネット回線を利用した通信、赤外線による通信、近距離無線通信、コード化された情報を読み取ることによる情報の受け渡し等により情報を取得することで、当該携帯端末装置を行動完了としてもよい。行動完了となった情報は、行動が完了した当該携帯端末装置2又は行動完了端末から行動解析装置100に送信され、行動解析の演算に利用される。
【0062】
また、各携帯端末装置2の利用者が行動完了の旨の情報を入力することで行動完了としてもよい。すなわち、行動開始ボタンは行動開始時に押下されることで行動完了ボタンに変更され、その行動完了ボタンを押下することで、当該携帯端末装置2の行動完了としてもよい。
【0063】
喚起情報が配信されてから行動が完了するまでの携帯端末装置2の動作や移動に関する情報は、移動関連情報演算部103で収集され、移動関連情報送信部104により行動解析装置100に送信される。行動解析部107では、送信された移動関連情報に基づいて、携帯端末装置2の行動を分析処理し、率先行動者を特定する。この行動分析処理及び率先行動者の特定処理について具体的に説明する。
【0064】
行動分析処理の具体例としては、例えば、喚起情報を受信してから行動開始ボタンが押下されるまでの時間の測定、行動開始ボタンが押下されてから行動が完了するまでの時間の測定、行動中の移動経路、行動中の移動速度、同一の行動を行った回数、他の携帯端末装置2からの返信コメントの数、行動開始情報が他の携帯端末装置2に配信された後に所定時間内に当該配信された他の携帯端末装置2が行動を開始した数等が演算により求められる。
【0065】
率先行動者の特定処理は、上記行動分析の結果に基づいて行われる。例えば、喚起情報を受信してから行動開始ボタンが押下されるまでの時間が短い場合は、いち早く行動を起こす率先行動者としての特定を有すると推定することができる。また、行動の内容にも依るが、例えば避難訓練などの行動が喚起された場合に、行動開始ボタンが押下されてから行動が完了するまでの時間が短い場合は、率先して避難を行う率先行動者としての特性を有すると推定することができる。さらに、行動中の移動経路、移動速度については、最短距離を迅速に移動している場合は、率先行動者として特性を有すると推定することができる。以下、同様に、同一の行動を行った回数、他の携帯端末装置2からの返信コメントの数、行動開始情報が他の携帯端末装置2に配信された後に所定時間内に当該配信された他の携帯端末装置2が行動を開始した数が多い程、率先行動者としての特性を有していると推定することができる。
【0066】
なお、率先行動者の特定は、上記のような各項目ごとに率先行動者としての特性を判断してもよいし、上記の各項目を総合的に判断してもよい。その場合、各項目ごとに所定の条件を満たしたときに率先行動者としての特性値を加算し、最終的に特性値が所定の閾値を上回った携帯端末装置2の利用者を率先行動者として特定するようにしてもよい。
【0067】
また、各項目ごとに率先行動者の特性値の重み付けを行い、項目に応じて加算する点数を異ならせるようにしてもよい。例えば、行動開始情報が他の携帯端末装置2に配信された後に所定時間内に当該配信された他の携帯端末装置2が行動を開始した数が多い場合の特性値の加算点を大きくし、他の携帯端末装置2からの返信コメントの数が多い場合の特性値の加算点を小さく設定する。すなわち、前者の場合は率先行動による他人への行動喚起の影響が大きいと考えられるが、後者の場合は率先行動による他人への行動喚起の影響はそれほど大きくない。したがって、後者の場合に比べて前者の場合の特性値の加算点を大きく設定する。
【0068】
このようにして特定された率先行動者の情報は、喚起情報記憶部106で記憶される。そして、もし災害等が発生して避難を喚起するための喚起情報を配信する必要がある場合は、率先行動者に対して喚起情報と併せて率先避難を促す旨の情報を配信する。率先行動者は、その特性が高いと思われる人物であることから、率先して避難行動を開始することで多くの救命に繋げることができる。
【0069】
次に、本実施形態に係る行動喚起システムの動作について説明する。
図12は、本実施形態に係る行動喚起システムの動作を示すフローチャートである。まず、行動解析装置100の喚起情報配信部105が、行動を喚起するトリガとなる喚起情報を予め登録されている複数の携帯端末装置2に一斉配信する(S121)。各携帯端末装置2の喚起情報受信部101が喚起情報を受信し、開始表示制御部34が、行動開始の旨を入力する画面を表示する(S122)。利用者により行動開始の旨の情報が入力され、予め登録されている宛先と共に、開始情報送信部102が、行動解析装置100に配信指示情報を送信し、行動解析装置100の情報配信部39が各宛先に行動開始情報を配信する(S123)。喚起情報を受信部101が喚起情報を受信すると同時に、移動関連情報演算部103が、携帯端末装置2の動作や移動に関する移動関連情報を集計し、移動関連情報送信部104が集計結果を行動解析装置100に送信する(S124)。行動解析部107が、携帯端末装置2から送信された移動関連情報の集計結果に基づいて行動を解析し(S125)、率先行動者特定部108が、解析結果に基づいて率先行動者を特定する(S126)。特定された率先行動者の情報(率先行動者が所有する携帯端末装置2の情報)は、喚起情報記憶部106に記憶され、災害が発生した際には、災害発生情報の配信と共に率先行動者の携帯端末装置2にのみ率先行動を促す旨の情報(例えば、率先行動を開始してほしい旨の情報等)を併せて配信する(S127)。
【0070】
なお、率先行動者として特定された利用者の携帯端末装置2には、災害発生時のみではなく、日ごろから率先行動者としての特性が高い旨を告知しておくようにしてもよい。そうすることで、非常時に率先行動をスムーズに開始することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態においては、移動関連情報演算部103、移動関連情報送信部104、行動解析部107及び率先行動者特定部108を必ずしも備える必要はない。すなわち、配信された喚起情報に基づいて、行動を開始した旨の情報が他の携帯端末装置2に配信される機能のみを有する場合であっても、例えば社会貢献に役立つような行動を他の人促すことが可能となる。
【0072】
このように、本実施形態に係る行動喚起システムを利用することで、通常時においては社会貢献に役立てるような率先行動を促すことが可能になると共に、通常時の利用状態を解析することで予め率先行動者を特定しておき、災害等が発生した際の非常時に当該率先行動者に対して率先避難を促すことができ、災害による被害を最小限に抑えることが可能になる。