特許第6572394号(P6572394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572394
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】マイクロニードルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   A61M37/00 505
   A61M37/00 530
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-538765(P2018-538765)
(86)(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公表番号】特表2019-503798(P2019-503798A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】KR2017004058
(87)【国際公開番号】WO2017200213
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2018年7月24日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0061903
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516220457
【氏名又は名称】ラファス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,チュン トン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ト ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボム ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホン ケ
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0011827(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/077742(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240201(US,A1)
【文献】 特開2010−076182(JP,A)
【文献】 特開2006−150156(JP,A)
【文献】 特開2010−161127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム上に複数の貫通孔が形成されたマスクを配置するステップと、
前記フィルムをプラズマ処理して前記貫通孔に対応する位置のフィルムの表面を表面改質することにより、粘性物質との付着力を向上させるステップと、
前記表面改質されたフィルムを粘性物質に接触させてから引き離すことにより、前記表面改質された領域に粘性物質を付着させるステップと、
前記フィルムに付着した粘性物質を引張するステップと、
前記引張された粘性物質を凝固させるステップとを含むことを特徴とするマイクロニードルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルを製造する方法に関し、より詳細には、皮膚内に挿入されて薬物や栄養分を体内に供給するマイクロニードルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病治療のための数多くの薬物および生理活性物質などが開発されたが、薬物および生理活性物質を身体内に伝達するにあたり、生物学的障壁(biological barrier、例えば、皮膚、口腔粘膜および脳−血管障壁など)通過の問題および薬物伝達の効率の問題は依然として改善されるべき点として残っている。
【0003】
薬物および生理活性物質は、一般的に、錠剤剤形またはカプセル剤形で経口投与されるが、数多くの薬物が胃腸管で消化または吸収されたり、肝の機序によって消失するなどの理由から、前記のような投与方法だけでは有効に伝達されない。しかも、いくつかの薬物は腸の粘膜を通過して有効に拡散できない。また、患者の順応度も問題となる(例えば、特定間隔で薬物を服用しなければならなかったり、薬を服用できない重患者の場合など)。
【0004】
薬物および生理活性物質の伝達における他の一般的な技術は、従来の注射針(needle)を用いることである。この方法は経口投与に比べて効果的である一方で、注射部位における痛み隋伴および皮膚の局所的損傷、出血および注射部位における疾病感染などを引き起こす問題点がある。
【0005】
前記経口投与および皮下注射の問題点を解決するために、パッチ剤を通した経皮投与方法が利用される。パッチ剤を用いた経皮投与は、副作用が少なく、患者の順応度が高く、薬物の血中濃度を一定に維持しやすいという利点を有する一方で、皮膚透過可能な薬物が制限的で、薬物伝達の効率が低いという欠点があった。
【0006】
前記のような問題点を解決するために、マイクロニードル(microneedle)を含む様々なマイクロ構造体が開発された。現在まで開発されたマイクロニードルは、主に、生体内薬物伝達、採血、体内分析物質の検出などに用いられてきた。
【0007】
一方、本出願人は、韓国特許出願第10−2010−0130169号(発明の名称:マイクロ構造体の製造方法、以下、先行技術)で完全に新しいマイクロ構造体の製造方法を提示した。先行技術では、ノズルを用いて基板に粘性物質を1滴ずつスポッティングした後、この粘性物質を他の基板またはさらに他の基板上にスポッティングされた粘性物質と接触した後、これを引張させて凝固させる方式である。そして、このような製造方法によれば、十分な硬度を実現しながらも機能性物質の損失を低減できるという利点がある。
【0008】
しかし、従来の場合には、粘性物質を1滴ずつ基板にスポッティングするため、基板に多数の粘性物質をスポッティングするために多くの時間がかかり、これによって、全体工程時間が増加して生産性が減少する問題点がある。
【0009】
また、スポッティング時間が長くなると、予めスポッティングされていた粘性物質の一部が蒸発するため、粘性物質の間に粘度差が発生し、これによって、引張過程でマイクロニードルの長さや上端の厚さなどの偏差が激しくなって製品不良率が増加する。特に、マイクロニードルの上端の厚さが増加すると、皮膚を透過する効率が低くなって、結局、薬物伝達の効率が低くなり、ひいては、上端の厚さが増加するほど使用者の感じる痛みが大きくなるため、製品を使用する人々が不便さを感じることがある。
【0010】
さらに、本発明者の既存のマイクロ構造体の製造方法によれば、基板表面と粘性物質との互いに結合する力があってこそ引張および分離可能なため、マイクロニードルが形成される基板の表面特性によって使用できる粘性物質の特徴が制限されるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであって、その目的は、粘性物質のスポッティング時間を短縮することにより、製品の品質および生産効率を向上させることができるマイクロニードルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
技術的課題を解決するために、噴射プレートを用いてフィルムの複数の地点に粘性物質をスポッティングして、これを引張し、凝固させてマイクロニードルを製造する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘性物質をスポッティングする時間が減少するので、粘性物質の粘度偏差による品質低下を防止することができ、また、製品の生産効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例によるマイクロニードルの製造方法の概略的なフローチャートである。
図2】本発明の一実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図である。
図3図2に示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程を説明する図である。
図4図2に示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程を説明する図である。
図5】本発明の他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図である。
図6】本発明の他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図である。
図7】本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図である。
図8図7に示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程を説明する図である。
図9】本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置を用いて粘性物質を供給する過程を説明する図である。
図10】本発明のさらに他の実施例による噴射プレートの断面図である。
図11】本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によるマイクロニードルの製造方法は、噴射プレートに設けられた複数の貫通孔を通してフィルムの上面に粘性物質を供給することにより、前記フィルム上の複数の地点に前記粘性物質をスポッティングするステップと、前記フィルム上にスポッティングされた粘性物質を引張するステップと、前記引張された粘性物質を凝固させるステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記粘性物質をスポッティングする前に、前記フィルムと前記粘性物質との付着力が向上するように前記フィルムを表面改質するステップをさらに含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明によれば、前記表面改質は、プラズマ処理により行われることが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、前記スポッティングステップでは、前記噴射プレートを前記フィルムの上面に密着させた状態で前記粘性物質を供給することが好ましい。
【0019】
また、本発明によれば、前記噴射プレートと前記粘性物質との間の接着力が弱くなるように前記噴射プレートが表面処理されることが好ましい。
【0020】
また、本発明によれば、前記噴射プレートの貫通孔は、上端部から下端部へいくほど幅が狭くなるように形成されることが好ましい。
【0021】
本発明によるマイクロニードルの製造方法は、フィルム上に複数の貫通孔が形成されたマスクを配置するステップと、前記フィルムをプラズマ処理して前記貫通孔に対応する位置のフィルムの表面を表面改質することにより、粘性物質との付着力を向上させるステップと、前記表面改質されたフィルムを粘性物質に接触させてから引き離すことにより、前記表面改質された領域に粘性物質を付着させるステップと、前記フィルムに付着した粘性物質を引張するステップと、前記引張された粘性物質を凝固させるステップとを含むことを特徴とする。
【実施例1】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例によるマイクロニードルの製造方法とマイクロニードル製造用粘性物質供給装置に関して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例によるマイクロニードルの製造方法の概略的なフローチャートである。
【0024】
まず、本発明は、粘性物質を引張する方式でマイクロニードルを製造する方法に関する。この時、粘性物質は、「生体適合性または生分解性物質」であることが好ましい。ここで、「生体適合性物質」とは、人体に毒性がなく、化学的に不活性である物質を意味する。そして、「生分解性物質」は、生体内で体液、酵素または微生物などによって分解され得る物質を意味する。
【0025】
また、本発明によれば、粘性物質は、好適な溶媒に溶解して粘性を示すものが好ましい。すなわち、粘性を示す物質の中には、熱によって溶融された状態で粘性を示すものがあるが、本発明の利点の一つである非加熱工程という利点を最大化するために、粘性物質は、溶媒に溶解して粘性を示すものが好ましい。
【0026】
前述の粘性物質としては、ヒアルロン酸とその塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースポリマー(cellulose polymer)、デキストラン、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、プロピレングリコール、ポビドン、カルボマー(carbomer)、ガムガッチ(gum ghatti)、グアガム、グルコマンナン、グルコサミン、ダマーガム(dammer resin)、レンネットカゼイン(rennet casein)、ローカストビーンガム(locust bean gum)、微小繊維状セルロース(microfibrillated cellulose)、サイリウムシードガム(psyllium seed gum)、キサンタンガム、アラビノガラクタン(arabino galactan)、アラビアガム、アルギン酸、ゲランガム(gellan gum)、カラギーナン、カラヤガム(karaya gum)、カードラン(curdlan)、キトサン、キチン、タラガム(tara gum)、タマリンドガム(tamarind gum)、トラガカントガム(tragacanth gum)、ファーセレラン(furcelleran)、ペクチン(pectin)、またはプルラン(pullulan)などがある。より好ましくは、本発明で用いられる粘性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルキルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースであり、最も好ましくは、カルボキシメチルセルロースである。
【0027】
また、前述の粘性物質を溶解する溶媒は特に制限されず、水、炭素数1−4の無水または含水低級アルコール、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、1,3−ブチレングリコール、ヘキサン、ジエチルエーテル、またはブチルアセテートが溶媒として用いられ、好ましくは、水または低級アルコールである。
【0028】
図1を参照すれば、本実施例によるマイクロニードルの製造方法は、スポッティングステップと、引張ステップと、凝固ステップと、切断ステップとを含む。
【0029】
スポッティングステップは、フィルム上の複数の地点に粘性物質をスポッティングするステップで、本発明では、粘性物質をフィルムfの複数の地点に一度にスポッティングするという点が非常に重要な特徴である。この時、フィルムfは、皮膚に付着可能にフレキシブルな性質を有する素材からなり、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、セルロースガム、ゼラチン、または粘着組成物が塗布されたフィルムなど多様な形態のフィルムが用いられる。
【0030】
スポッティングステップの基本的な概念を説明すれば、図1(a)に示されているように、フィルムfが配置された状態で、図1(b)に示されているように、複数の貫通孔が形成された噴射プレート10をフィルムf上に配置し、この噴射プレート10の貫通孔を通して粘性物質Oをフィルムに供給することにより(図1(c))、フィルム上の複数の地点に粘性物質をスポッティングするものである(図1(d))。
【0031】
参照として、このスポッティングステップは、本発明の重要な特徴であり、多様な実施例を有するので、後で再び詳細に説明する。
【0032】
引張ステップでは、スポッティングされた粘性物質Oを引張させる。この時、図1(e−1)および図1(f)に示されているように、粘性物質がスポッティングされたフィルムf2つを互いに対向して配置した後、粘性物質O同士を互いに接触させた後、フィルムfを互いに遠ざけることにより、粘性物質を引張させることができる。また、図1(e−2)および図1(f)に示されているように、粘性物質Oにフィルムf(または平板)を接触した後、フィルムを互いに遠ざけることにより、粘性物質を引張させることができる。
【0033】
凝固ステップでは、引張された粘性物質を凝固させる。この時、必要に応じて、図1(g)に示されているように、送風を実施することにより、凝固する速度およびマイクロニードルの強度を向上させることができる。
【0034】
切断ステップでは、図1(h)のように、粘性物質が完全に凝固した状態でフィルムを互いに速やかに互いに遠ざけることにより、切断する。一方、レーザやカッティング機構などを用いて切断してもよい。
【0035】
一方、本発明によれば、フィルムに粘性物質をスポッティングする前に、フィルムfの表面を表面改質するステップをさらに含んでもよい。これに関して説明すれば、本発明では、粘性物質をフィルム上にスポッティングした後、粘性物質を引張する方式でマイクロニードルを製造する。この時、フィルムの表面に粘性物質が付着していてこそ粘性物質を引張することができ、また、この時、粘性物質とフィルムの表面との間の付着力は、粘性物質が引張される程度(すなわち、マイクロニードルの形状)と直結する。したがって、フィルムの表面と粘性物質との間の付着力は、全体的に均一でなければならず、ひいては、一定水準以上を有することが好ましい。
【0036】
ところが、現実的にフィルムとして用いられる素材の種類に限界があり、また、フィルムの表面の特性が均一でない。そこで、本発明では、フィルムをプラズマ処理して表面改質することにより、フィルムと粘性物質との間の付着力を向上させ、同時に、フィルムの表面の特性(すなわち、付着力)を均一にする。すると、後続する引張ステップでより均一に粘性物質を引張することができる。参照として、プラズマの種類および強度は、フィルムの種類に応じて適切に変更可能である。
【0037】
本発明によれば、フィルム上の複数の地点に同時に粘性物質をスポッティングできるため、従来に比べてスポッティングにかかる時間が大きく減少する。したがって、全体工程時間が短縮されて生産性が向上する。
【0038】
また、スポッティング時間が短縮されるので、従来のように、蒸発によって粘性物質の間に粘度差が発生し、これによって、引張時にマイクロニードルの形状が不均一になる問題点が防止される。
【0039】
以下では、本発明において、粘性物質をスポッティングする時に用いる装置とスポッティングする方式に関して具体的に説明する。
【0040】
図2は、本発明の一実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図であり、図3および図4は、図2に示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程を説明する図である。
【0041】
図2を参照すれば、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100は、フィルムf上の互いに離隔した複数の地点に粘性物質Oを供給するためのものである。本実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置100は、本体部20と、噴射プレート10と、加圧手段とを含む。
【0042】
本体部20の内部には粘性物質Oの収容される空間が設けられており、一端部は開放される。噴射プレート10は、平板形状に形成され、複数の貫通孔が貫通形成される。噴射プレート10は、本体部20の一端部(開放された部分)に結合される。加圧手段は、本体部に収容された粘性物質が貫通孔に排出されるように圧力を加えるものである。本実施例の場合、加圧手段としては、ピストン構造が採用される。すなわち、本体部20の内部に平板形状の加圧板30が配置され、この加圧板30が駆動軸31によって下方に移動すると、粘性物質Oが貫通孔を通して排出される。一方、粘性物質を排出する時、粘性物質が均一な量で排出することが非常に重要である。このために、加圧手段の形態は、公知の多様な手段に変更可能である。
【0043】
一方、噴射プレート10は、粘性物質との付着力が最小化されるように表面処理されることが好ましい。これは、噴射プレートの貫通孔に粘性物質が強く付着すると、この粘性物質が付着した状態で凝固して貫通孔を塞ぎ、これによって、排出される粘性物質の量に偏差が発生するからである。このために、本実施例では、噴射プレート(特に、貫通孔部分を含む)は表面処理されるが、例えば、PU、テフロン(登録商標)などのような疎水性を有する物質で噴射プレートをコーティングする。参照として、疎水性物質を使用する理由は、多くの粘性物質が水溶液形態であるからであり、粘性物質の特性に応じて表面処理方式を適切に変更することができる。
【0044】
前記マイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程に関して説明すれば、まず、図3(a)に示されているように、フィルムfの上面に噴射プレート10を完全に密着させる。この時、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100を下方に加圧してフィルムfに密着させてもよく、電磁力(フィルムの置かれたステージ(図示せず)と噴射プレートとの間の電磁力)を利用して密着させてもよい。この状態で粘性物質を加圧すると、粘性物質Oが貫通孔にいっぱいに満たされながら、一部はフィルムfの上面に付着する。この後、加圧を解除し、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100を上に持ち上げると、図3(b)に示されているように、フィルム上の複数の地点に粘性物質Oがスポッティングされる。参照として、先に説明したように、フィルムfと粘性物質Oとの間の付着力は強くなるように処理され、噴射プレート10と粘性物質Oとの間の付着力は弱くなるように処理されているため、一定水準以上の粘性物質がフィルムfの表面に付着して残るようになる。この時、残っている粘性物質の量を調節するためには、貫通孔の大きさや形状を適切に変更することができる。
【0045】
一方、図4に示されているように、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100をフィルムf上に離隔させた状態で粘性物質Oを一定量だけ排出した後、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100を上昇させる方式で粘性物質を供給してもよい。ただし、この場合には、貫通孔から排出される粘性物質の量が均一となるように、精密な加圧手段を採用しなければならない。
【0046】
図5および図6は、本発明の他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図である。
【0047】
図5を参照すれば、本実施例の場合、噴射プレート10Aは、ネジnによって本体部20に着脱可能に結合される。特に、図5に拡大して示されているように、噴射プレート10Aにおけるネジnの挿入される部分には溝が形成され、この溝にネジの頭部分が完全に挿入される。したがって、噴射プレート10Aをフィルムに完全に密着させることができる構造となる。
【0048】
図6を参照すれば、本体部20には、粘性物質を供給する供給管40が連結される。そして、この供給管を通して一定量(または一定圧力)の粘性物質が供給され、これによって、貫通孔を通して粘性物質が排出される。参照として、粘性物質は、一定量ずつ持続的に供給されてもよいが、好ましくは、特定時点にのみ供給されるパルス方式で供給されることが好ましい。
【0049】
そして、図5および図6に開示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置でフィルムに粘性物質を供給する方式は、先に説明した図3および図4に開示された方式で行われてもよい。
【0050】
図7は、本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置の概略断面図であり、図8は、図7に示されたマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質をスポッティングする過程を説明する図である。
【0051】
図7を参照すれば、本実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置200は、本体部20と、噴射プレート10と、加圧手段と、開閉部材50とを含む。
【0052】
本体部20の内部には粘性物質の収容される空間が設けられており、一端部は開放される。噴射プレート10は、平板形状に形成され、複数の貫通孔が貫通形成される。噴射プレートは、本体部の一端部(開放された部分)に結合される。加圧手段は、本体部に収容された粘性物質が貫通孔に排出されるように圧力を加えるものである。本実施例の場合、図面上には加圧手段が示されていないが、図6に示されているように、粘性物質を本体部の内部に供給する供給管の構造が加圧手段として採用されてもよい。
【0053】
そして、開閉部材50は、貫通孔を開放および閉鎖するためのものである。本実施例の場合、開閉部材50は、円板形状に形成され、本体部20の内部における噴射プレート10の上側に配置される。開閉部材50には、噴射プレートの貫通孔に対応する位置に複数の開閉ホールが貫通形成される。開閉部材50は、回転軸51に連結され、回転軸の回転に連動して開放位置と遮断位置との間で移動する。この時、開放位置とは、図7(a)に示されているように、開閉ホールと貫通孔とが互いに対面し、これによって、図示のように、本体部内の粘性物質が貫通孔を通して排出できる位置を意味する。そして、遮断位置とは、図7(b)に示されているように、開閉ホールと貫通孔とが互いにずれて配置され、開閉部材によって貫通孔が遮断される位置で、この遮断位置では貫通孔に粘性物質が供給されない。
【0054】
一方、本実施例の場合には、開閉部材の回転に伴って貫通孔が開放または遮断されるように発明を構成したが、開閉部材がスライディングされるに伴って貫通孔が開放または遮断されるように発明を構成してもよい。
【0055】
本実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置で粘性物質を供給する過程に関して説明する。図8を参照すれば、まず、噴射プレート10をフィルムfに完全に密着させ、開閉部材50を開放位置に位置させた状態で加圧手段により粘性物質を供給する。すると、図8(a)に示されているように、粘性物質が噴射プレート10の貫通孔に完全に満たされて粘性物質の一部がフィルムfに接触する。
【0056】
この状態で、図8(b)に示されているように、開閉部材を遮断位置に回転させると、噴射プレート10の貫通孔に粘性物質がそれ以上供給されない。
【0057】
この後、図8(c)に示されているように、噴射プレート10を上昇させると、噴射プレート10の貫通孔内にあった粘性物質がフィルムfに付着した状態で残るので、複数の地点に粘性物質Oがスポッティングされる。
【0058】
参照として、先に説明したように、フィルムと粘性物質との間の付着力は強くなるように処理し、噴射プレートと粘性物質との間の付着力は弱くなるように処理すると、大部分の粘性物質がフィルムの表面にスポッティングされた状態で残ることができる。
【0059】
本実施例によれば、一度でスポッティングされる粘性物質の量が噴射プレートの貫通孔の体積によって決定され(最も好ましくは、貫通孔の体積と同量だけ粘性物質が供給される)、したがって、常に一定量の粘性物質をスポッティングできる。特に、本発明のように、複数の貫通孔を通して同時に粘性物質を噴射する場合、各貫通孔から噴射される粘性物質の量を均一にすることが非常に重要な問題であるが、これを噴射される圧力(すなわち、加圧手段の性能)の制御により噴射量を精密に制御することは非常に高度の技術を必要とするだけでなく、容易でない。しかし、本実施例の場合には、貫通孔の形状(体積)によって粘性物質が噴射される量を均一で正確に決定できるという利点がある。
【0060】
図9は、本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードル製造用粘性物質供給装置を用いて粘性物質を供給する過程を説明する図である。
【0061】
図9を参照すれば、本実施例の場合、マイクロニードル製造用粘性物質供給装置100Cは、ステージ60をさらに含む。
【0062】
ステージ60は、フィルムfが置かれる所で、ステージの上面には複数の充填溝61が設けられている。充填溝61は、下方に凹んで形成され、噴射プレート10の各貫通孔に対応する位置に形成される。
【0063】
粘性物質を供給する過程に関して説明すれば、まず、図9(a)に示されているように、ステージ60上にフィルムfを置いた状態で噴射プレート10をフィルムfに完全に密着させる。この状態で粘性物質Oを供給すると、図9(b)に示されているように、粘性物質Oが供給される圧力によってフィルムfが充填溝61に押し込まれながら、その空間に粘性物質が充填される。この後、粘性物質の供給を中断し、噴射プレート10を上昇させると、図9(c)のように、粘性物質がスポッティングされる。参照として、フィルムfは、一定水準の弾性を有するため、充填溝61に押し込まれてから再び元の状態に復元可能である。
【0064】
本実施例が有する利点を図3の実施例と比較して説明すれば、図3の実施例の場合には、貫通孔の体積だけの粘性物質がスポッティングされる。しかし、本実施例の場合には、充填溝61の体積だけ粘性物質がさらにスポッティングできるため、充填溝の形状によりスポッティングされる粘性物質の量を変更することができる。
【0065】
一方、前記のように粘性物質を噴射する過程で、噴射プレートの下面(より具体的には、貫通孔の周縁)に粘性物質がつくと(例えば、粘性物質が貫通孔を通して外部に漏れ出て貫通孔の周縁下面につく)、この粘性物質が固まって、後続工程に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、本発明では、貫通孔の形状の変更によりかかる問題を解決しようとする。
【0066】
図10は、本発明のさらに他の実施例による噴射プレートの断面図である。
【0067】
図10(a)を参照すれば、噴射プレート10Bの貫通孔は、上端部から下端部へいくほど幅が狭くなる逆三角形状に形成される。粘性物質に圧力を加えて貫通孔に粘性物質を押し出し、印加していた圧力を解除すると、貫通孔にあった粘性物質が自体の粘性によって上へ吸い上げられるようになるが、この時、貫通孔の下端部側の幅が上端部より狭いため、上端部側で粘性物質が少しだけ吸い上げられても、貫通孔の下端部側では粘性物質がはるかに大幅に吸い上げられる。したがって、粘性物質が外部に漏れ出て噴射プレートの下面につく現象を防止することができる。
【0068】
図10(b)および(c)を参照すれば、噴射プレート10C、10Dの貫通孔は、上端部から下端部へいくほど幅が狭くなり、特定位置Pから再び広くなる構造に形成される。このような貫通孔を形成すると、貫通孔を通して粘性物質をフィルムに供給した後、供給を中断した状態で噴射プレートを上昇させる時、貫通孔内に残っていた粘性物質が特定位置Pを基準として分離されて、特定位置の下にある粘性物質はフィルムfに付着し、特定位置の上にある粘性物質は貫通孔に残るようになる。そして、粘性物質が貫通孔を通して漏れ出る時には、粘性物質が貫通孔の内壁に沿って流れ落ちる方式で漏れ出るが、本実施例の場合には、特定位置の後には(特定位置の下では)貫通孔の内壁の幅が広くなるため、粘性物質が流れ落ちることが防止される。
【0069】
図11は、本発明のさらに他の実施例によるマイクロニードルの製造方法のフローチャートである。図11を参照すれば、本実施例によるマイクロニードルの製造方法は、スポッティングステップと、引張ステップと、凝固ステップと、切断ステップとを含む。前記ステップのうち、スポッティングステップを除いた残りのステップは、上記の図1で説明したステップと同一である。そこで、スポッティングステップに関して重点的に説明する。
【0070】
本実施例によれば、まず、図11(a)に示されているように、フィルムf上に複数の貫通孔が形成されたマスクmを配置し、この状態でプラズマ処理を実施する。すると、プラズマに露出する位置、すなわち、貫通孔に対応するフィルムの表面のみが表面改質され、これによって、該部分だけ(すなわち、表面改質された部分)粘性物質との付着力が向上する。
【0071】
この後、図11(b)に示されているように、フィルムfを粘性物質Oに接触させてから引き離すと、粘性物質との付着力が高い部分、すなわち、表面改質された部分にのみ粘性物質Oが付着し、これによって、図11(c)に示されているように、粘性物質がスポッティングされる。
【0072】
この後、上記の図1で説明したように、引張ステップ、凝固ステップ、および切断ステップを行うとマイクロニードルを製造することができる。
【0073】
本発明によれば、非常に容易で簡単に(すなわち、先に説明したマイクロニードル製造用粘性物質供給装置がなくても)粘性物質をフィルムの表面にスポッティングできるという利点がある。
【0074】
ただし、フィルムを粘性物質に接触する時、表面改質されていない部分にも粘性物質が一部つく現象がよく発生する。これを解決するためには、基本的に粘性物質との付着力が少ない素材を用いてフィルムを製造したり、または表面改質される部分を除いた残りの部分を粘性物質との付着力が低くなるように表面処理することがより好ましい。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について図示および説明したが、本発明は、上述した特定の好ましい実施例に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、そのような変更は請求範囲の記載範囲内にある。


図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図11