(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6572462
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】メータユニット
(51)【国際特許分類】
G01F 15/18 20060101AFI20190902BHJP
G01F 1/00 20060101ALI20190902BHJP
E03B 7/07 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
G01F15/18
G01F1/00 G
E03B7/07 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-53(P2019-53)
(22)【出願日】2019年1月4日
【審査請求日】2019年4月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆雄
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−151789(JP,A)
【文献】
特開2018−96100(JP,A)
【文献】
特許第3950094(JP,B2)
【文献】
米国特許第4762239(US,A)
【文献】
米国特許第7191666(US,B2)
【文献】
登録実用新案第3023177(JP,U)
【文献】
特許第4676462(JP,B2)
【文献】
メータバイパスユニット,株式会社日邦バルブ パンフレット,株式会社日邦バルブ,2010年 2月,1002.3000K,刊行物等提出書刊行物;発行日はパンフレットに記載の1002.3000Kよりの推定日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
E03B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側配管と2次側配管との間に設置されるメータユニットにおいて、
前記1次側配管と前記2次側配管とを水道メータを経由して接続する主配管と、
前記水道メータを迂回するバイパス配管と、を有し、
前記主配管は、前記水道メータの上流で前記1次側配管に接続される上流配管と、前記水道メータの下流で前記2次側配管に接続される下流配管と、を有し、
前記バイパス配管は、前記上流配管から分岐して、前記下流配管に合流し、
前記上流配管は、前記バイパス配管の分岐部分に配置された流路切換弁を含む複数の配管部材と、隣り合う2つの前記配管部材を接続する少なくとも一つのジョイント部材と、を備え、
前記バイパス配管は、前記流路切換弁に接続され、
前記バイパス配管および前記下流配管は、一つの部材からなり、
前記ジョイント部材は、前記流路切換弁と前記水道メータとの間に位置し、上流の前記配管部材に対して下流の前記配管部材を変位可能に接続することを特徴とするメータユニット。
【請求項2】
前記上流配管は、複数の前記配管部材の一つとして前記水道メータの隣に配置される管部材を備え、
前記管部材は、固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管に同軸に支持された移動管と、前記移動管を前記固定管の管軸方向に進退させる移動管移動機構と、を備え、
前記ジョイント部材は、前記管部材の固定管と、前記管部材の上流の前記配管部材とを接続することを特徴とする請求項1に記載のメータユニット。
【請求項3】
前記ジョイント部材は、ハウジング継手であることを特徴とする請求項1または2に記載のメータユニット。
【請求項4】
前記主配管は、前記上流配管と前記水道メータとを接続するメータジョイント部材を備え、
前記メータジョイント部材は、前記上流配管に対して前記水道メータを変位可能に接続することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【請求項5】
前記主配管は、前記水道メータと前記下流配管との間に逆止弁を備えることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【請求項6】
前記主配管は、前記逆止弁と前記下流配管との間に止水栓を備えることを特徴とする請求項5に記載のメータユニット。
【請求項7】
前記流路切換弁および前記下流配管が固定されたベース部材を有することを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の途中に設置されて配管を流れる流体の流量を計測するメータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
地中に配設された1次側配管と2次側配管の間に水道メータを設置する際には、メータユニットが用いられる。特許文献1に記載のメータユニットは、1次側配管の側から2次側配管の側に向かって、止水栓と、管部材と、逆止弁と、を備える。水道メータは、接続管と逆止弁との間に着脱可能に接続される。
【0003】
このようなメータユニットでは、止水栓を締めることにより、1次側配管から2次側配管へ向かう水の流れを水道メータよりも上流で遮断できる。従って、水漏れを生じさせることなく、水道メータを交換できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−93226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、1次側配管から2次側配管へ向かう水の流れを遮断せずに水道メータを交換したいという要求がある。かかる要求に対しては、1次側配管と2次側配管との間にメータユニットを迂回する新たな水路を設け、当該水路を経由するように水を流した後に水道メータを取り外すことが考えられる。しかし、この場合には、新たな水路を1次側配管に接続する際に、1次側配管の側で水の流れを遮断しなければ水漏れが発生する。従って、1次側配管から2次側配管へ向かう水の流れを遮断せずに水道メータを交換することは困難である。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、1次側配管から2次側配管へ向かう流体の流れを遮断せずに水道メータを交換できるメータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、1次側配管と2次側配管との間に設置されるメータユニットにおいて、前記1次側配管と前記2次側配管とを水道メータを経由して接続する主配管と、前記水道メータを迂回するバイパス配管と、を有し、前記主配管は、前記水道メータの上流で前記1次側配管に接続される上流配管と、前記水道メータの下流で前記2次側配管に接続される下流配管と、を有し、前記バイパス配管は、前記上流配管から分岐して、前記下流配管に合流し、前記上流配管は、前記バイパス配管の分岐部分に配置された流路切換弁を含む複数の配管部材と、隣り合う2つの前記配管部材を接続する少なくとも一つのジョイント部材と、を備え、
前記バイパス配管は、前記流路切換弁に接続され、前記バイパス配管および前記下流配管は、一つの部材からなり、前記ジョイント部材は、
前記流路切換弁と前記水道メータとの間に位置し、上流の前記配管部材に対して下流の前記配管部材を変位可能に接続することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、メータユニットが、水道メータを経由する主配管と、主配管における水道メータよりも上流で分岐して水道メータよりも下流に合流するバイパス配管を備える。また、主配管を構成する配管部材として、バイパス配管が分岐する分岐部分には流路切換弁が配置されている。従って、1次側配管と2次側配管の間にメータユニットを設置した後に水道メータを交換する際には、流路切換弁を操作して、1次側配管から2次側配管
へ向かう流体を、バイパス配管を介して、流通させる。これにより、1次側配管から2次側配管へ向かう流体の流れを遮断せずに水道メータを交換できる。
【0009】
ここで、メータユニットが接続される1次側配管と2次側配管とは、同軸上に位置する。しかし、1次側配管と2次側配管とが地中に埋設されている場合には、地盤の沈下、隆起、横ずれにより、これらが同軸上からずれることがある。この場合には、1次側配管に接続される上流配管および2次側配管に接続される2次側配管も同軸上からずれてしまう。また、上流配管と下流配管とはバイパス配管により接続されているので、上流配管および下流配管が同軸上からずれると、バイパス配管に外力が作用する。従って、この外力に起因して、同軸上からずれた上流配管および下流配管を再び同軸上に戻すことが困難となる。この結果、上流配管と下流配管との間に水道メータを接続できなくなるという問題が発生する。かかる問題に対して、本発明では、上流配管を構成する複数の配管部材の接続に用いられるジョイント部材が、上流の配管部材に対して下流の配管部材を変位可能に接続する。従って、ジョイント部材の下流側の配管部材を変位させることにより、上流配管の下流端開口を、下流配管と同軸に配置できる。すなわち、ジョイント部材の下流の配管部材を変位させることにより、上流配管と下流配管との間に発生した位置ずれを補正できる。これにより、上流配管と下流配管との間において水道メータを着脱することが容易となる。
【0010】
本発明において、前記バイパス配管および前記下流配管は、一つの部材から
なる。従って、バイパス配管に外力が加わった場合でも、バイパス配管および下流配管から水漏れが発生することがない。ここで、一つの部材とは、バイパス配管および下流配管が単一の配管部材から構成されている場合、および、複数の配管部材が溶接により一体化されている場合を含む。例えば、バイパス配管および下流配管が、エルボ、管部材、チーズ、などの複数の配管部材から構成されている場合に、これらが袋ナットやボルトなどによって相互に締結されているのではなく、溶接により接続されて一体化している場合には、一つの部材からなる。
【0011】
本発明において、前記ジョイント部材は、前記流路切換弁と前記水道メータとの間に位置する
。これにより、水道メータに比較的近い位置で上流配管と下流配管との間に発生した位置ずれを補正できるので、補正が容易である。
【0012】
本発明において、前記上流配管は、複数の前記配管部材の一つとして前記水道メータの隣に配置される管部材を備え、前記管部材は、固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管に同軸に支持された移動管と、前記移動管を前記固定管の管軸方向に進退させる移動管移動機構と、を備え、前記ジョイント部材は、前記管部材の固定管と、前記管部材の上流の前記配管部材とを接続するものとすることができる。このようにすれば、ジョイント部材の下流側の配管部材を変位させることにより上流配管の下流端と下流配管の上流端との間の距離が変化する場合に、管部材の移動管を進退させて、これらの間の距離を適切な距離とすることができる。
【0013】
本発明において、前記ジョイント部材は、ハウジング継手とすることができる。
【0014】
本発明において、前記主配管は、前記上流配管と前記水道メータとを接続するメータジョイント部材を備え、前記メータジョイント部材は、前記上流配管に対して前記水道メータを変位可能に接続するものとすることができる。このようなメータジョイント部材を備えれば、上流配管と下流配管とのが同軸上からずれた場合でも、水道メータを着脱しやすい。
【0015】
本発明において、前記主配管は、前記水道メータと前記下流配管との間に逆止弁を備え
るものとすることができる。このようにすれば、2次側配管の側から水道メータに向かって水が逆流することがない。
【0016】
本発明において、前記主配管は、前記逆止弁と前記下流配管との間に止水栓を備えるものとすることができる。このようにすれば、水道メータを交換する際に、2次側配管の側から水漏れが発生することを防止できる。
【0017】
本発明において、前記流路切換弁および前記下流配管が固定されたベース部材を有するものとすることができる。このようにすれば、上流配管と下流配管との間に、水道メータを配置するスペースを確保しやすい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のメータユニットによれば、1次側配管から2次側配管へ向かう水の流れを遮断せず、水道メータを交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を適用した水道メータユニットの平面図である。
【
図3】バイパス配管および下流配管を構成する部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態であるメータユニットを説明する。
【0021】
(水道メータユニット)
図1は、水道管の途中に設置された水道メータユニットを上方から見た場合の平面図である。
図1ではユニットボックスの蓋が取り除かれている。
図2は、
図1の水道メータユニットの断面図である。
図2ではバイパス配管を鎖線で示す。
図3は、バイパス配管および下流配管を構成する一つの部材の平面図である。
【0022】
本例の水道メータユニット1(メータユニット)は、配水管から家屋などの建造物に水道水を引き込む水道管の途中に設置される。
図1に示すように、水道メータユニット1は、水道管を構成する1次側配管2と2次側配管3との間に設置される。1次側配管2と2次側配管3とは、直線上に配置されて、地中に埋設されている。水は、1次側配管2から2次側配管3に向かう流水方向Sに流れる。
【0023】
水道メータユニット1は、ユニット本体5と、ユニット本体5を収容するユニットボックス6とを備える。ユニット本体5は、1次側配管2と2次側配管3とを水道メータ7を経由して接続する主配管8と、水道メータ7を迂回するバイパス配管9を有する。バイパス配管9は、水道メータ7よりも上流で主配管8から分岐し、水道メータ7よりも下流で主配管8に合流する。
【0024】
主配管8は、水道メータ7の上流に位置する上流配管11と、水道メータ7の下流に位置する下流配管12と、を備える。また、主配管8は、水道メータ7と下流配管12との間に配置された逆止弁13と、止水栓14とを備える。止水栓14は逆止弁13と下流配管12との間に位置する。止水栓14は、ボール止水栓である。バイパス配管9は、上流配管11から分岐し、水道メータ7、逆止弁13、および止水栓14の側方を迂回して、下流配管12に合流する。
【0025】
ユニットボックス6は、全体として、直方体形状をしている。
図2に示すように、ユニットボックス6は、上端部分に開口部16を備える。また、ユニットボックス6は、開口
部16を開閉する蓋17を備える。さらに、ユニットボックス6は、流水方向Sと一致する長手方向の一方の端壁19に円形の第1開口部20を備える。第1開口部20からは、上流配管11の上流端部分が外側に突出する。上流配管11の上端は1次側配管2に接続される。また、ユニットボックス6は、長手方向の他方の端壁21に円形の第2開口部22を備える。第2開口部22からは、下流配管12の下流端部分が外側に突出する。下流配管12の下流端は2次側配管3に接続される。ここで、水道メータユニット1は、ユニットボックス6の蓋17が地表に露出するようにして地中に埋設される。
【0026】
上流配管11は、複数の配管部材から構成されている。
図1に示すように、上流配管11は、配管部材として、1次側配管2に接続された第1管継手25、第1管継手25の下流に接続された流路切換弁26、流路切換弁26の下流に接続されたフランジ付き管継手27、および、フランジ付き管継手27の下流に接続された管部材28を備える。また、上流配管11は、フランジ付き管継手27と水道メータ7とを接続する第1ハウジング継手29(ジョイント部材)を備える。ここで、管部材28は水道メータ7の隣に配置されており、管部材28と水道メータ7とは、第2ハウジング継手30(メータジョイント部材)により接続される。すなわち、主配管8は、上流配管11と水道メータ7とを接続する第2ハウジング継手30を備える。
【0027】
流路切換弁26は、上流配管11におけるバイパス配管9の分岐部分に配置されている。流路切換弁26は、第1管継手25に接続される流入口26a、フランジ付き管継手27が接続される流出口26bを備える。流入口26aおよび流出口26bは同軸に設けられている。水道メータユニット1が1次側配管2に接続された状態では、流路切換弁26の流入口26aおよび流出口は1次側配管2の第1管軸L1上に位置する。また、流路切換弁26は、流入口26aおよび流出口26bの軸線と直交する方向を向く分岐口26cを備える。
【0028】
図2に示すように、フランジ付き管継手27は、管状の管継手部分31と、管継手部分31の一方端から外周側に広がる矩形のフランジ部分32と、を備える。フランジ付き管継手27は、フランジ部分32を流路切換弁26に当接させ、管継手部分31が流出口26bに連通する姿勢で、流路切換弁26に接続される。
【0029】
管部材28は、固定管41と、固定管41の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管41に同軸に支持された移動管42と、移動管42を固定管41の管軸方向に移動させる移動管移動機構43と、を備える。移動管移動機構43は、例えば、移動管42が固定管41の管軸回りの回転することを規制する規制機構(不図示)と、固定管41の管軸回りに回転可能かつ管軸方向に移動不能な状態で固定管41の外周側に支持された操作環44と、操作環44の内周面に設けられた雌ねじと、移動管42の外周面に設けられた雄ねじと、を備える。操作環44の雌ねじは、移動管42の雄ねじに螺合する。従って、操作環44を管軸回りに回転させると、移動管42が固定管41の管軸方向に進退する。
【0030】
第1ハウジング継手29は、フランジ付き管継手27と管部材28とを接続する。より詳細には、第1ハウジング継手29は、フランジ付き管継手27の管継手部分31と管部材28の固定管41とを、これらの間に隙間を設けた状態で、接続する。ここで、第1ハウジング継手29は、管継手部分31の下流端部分および管部材28の上流端部分に外周側から密着して、管継手部分31の下流端と管部材28の上流端との間の隙間を外周側からシールする環状の弾性部材34と、弾性部材34を内周側に収容する環状のハウジング部材35と、を有する。第1ハウジング継手29は、フランジ付き管継手27(上流の配管部材)に対して、管部材28(下流の配管部材)を変位可能に接続する。すなわち、フランジ付き管継手27と管部材28との間には隙間があるので、その分、管部材28はフランジ付き管継手27に対して変位可能である。
【0031】
なお、ハウジング部材35は、フランジ付き管継手27の管継手部分31および管部材28に上方から当接する第1ハウジング部材36と下方から当接する第2ハウジング部材37とを備える。第1ハウジング部材36および第2ハウジング部材37は、ボルトとナットとを備えるねじ締結機構によって互いに接近する方向に締め付けられている。これにより、第1ハウジング部材36および第2ハウジング部材37は、フランジ付き管継手27の側の内周側端部が管継手部分31の外周面に設けられた係止部に係止され、管部材28の側の内周側端部が固定管41の外周面に設けられた係止部に係止される。係止部は、例えば、管継手部分31および固定管41のそれぞれの外周面に設けられた環状溝である。或いは、管継手部分31および固定管41のそれぞれの外周面に設けられた環状突起である。
【0032】
第2ハウジング継手30は、第1ハウジング継手29と同一の部材である。第2ハウジング継手30は、管部材28の移動管42と水道メータ7とを接続する。より詳細には、第2ハウジング継手30は、移動管42の下流端と水道メータ7とを、これらの間に隙間を設けた状態で、接続する。すなわち、第2ハウジング継手30は、移動管42および水道メータ7の上流端部分に外周側から密着して、移動管42の下流端と水道メータ7との間の隙間を外周側からシールする環状の弾性部材34と、弾性部材34を内周側に収容する環状のハウジング部材35と、を有する。第2ハウジング継手30は、管部材28に対して、水道メータ7を変位可能に接続する。すなわち、管部材28と水道メータ7との間には隙間があるので、その分、水道メータ7は管部材28に対して変位可能である。
【0033】
ハウジング部材35は、移動管42および水道メータ7の上流端部分に上方から当接する第1ハウジング部材36と下方から当接する第2ハウジング部材37とを備える。第1ハウジング部材36および第2ハウジング部材37は、ボルトとナットとを備えるねじ締結機構によって互いに接近する方向に締め付けられている。これにより、第1ハウジング部材36および第2ハウジング部材37は、移動管42の側の内周側端部が移動管42の外周面に設けられた係止部に係止され、水道メータ7の側の内周側端部が水道メータ7の上流端部分の外周面に設けられた係止部に係止される。係止部は、例えば、移動管42および水道メータ7のそれぞれの外周面に設けられた環状溝、或いは、環状突起である。
【0034】
下流配管12は、止水栓14と2次側配管3との間を接続する。下流配管12は、止水栓14に接続された第1開口12a、第1開口12aと同軸の第2開口12b、第1開口12aおよび第2開口12bの軸線と直交する方向を向く第3開口12cを備えるチーズ部47を備える。第2開口12bは、2次側配管3に接続される。
【0035】
次に、
図3に示すように、バイパス配管9は、上流配管11の流路切換弁26の分岐口26cに接続されたフランジ付きエルボ部51、フランジ付きエルボ部51の下流端から主配管8に沿って直線状に延びる管継手部52、管継手部52の下流端に接続されたエルボ部53を備える。エルボ部53の下流端は下流配管12のチーズ部47の第3開口12cに接続されている。ここで、バイパス配管9および下流配管12は、フランジ付きエルボ部51に対応するフランジ付きエルボ、管継手部52に対応する管継手、エルボ部53に対応するエルボ、およびチーズ部47に対応するチーズを、溶接によって接続して一体としたものである。すなわち、バイパス配管9と下流配管12とは、一つの部材50からなる。
【0036】
ここで、
図2に示すように、ユニット本体5は、流路切換弁26および下流配管12を下方から支持するベース部材56を備える。ベース部材56には、流路切換弁26および下流配管12が固定されている。また、ベース部材56には、逆止弁13および止水栓14が固定されている。フランジ付き管継手27、管部材28、第1ハウジング継手29、
第2ハウジング継手30、および水道メータ7は、ベース部材56には固定されていない。
【0037】
ベース部材56は、ユニットボックス6の底板24に固定されている。本例では、ユニット本体5がベース部材56を備えるので、上流配管11と逆止弁13との間に、水道メータ7を挿入するスペースを確実に確保できる。
【0038】
(水道メータの交換)
水道メータユニット1が水道管の途中に設置された状態では、水道メータユニット1内の水路は、水道メータ7を経由する主配管8とされている。また、止水栓14は、開状態とされている。これにより、1次側配管2から水道メータユニット1に流入する水は、水道メータ7により計測されて、2次側配管3に向かう。
【0039】
水道メータ7を交換する際には、ユニットボックス6の蓋17を開き、流路切換弁26を操作する。これにより、水道メータユニット1の水路を、主配管8からバイパス配管9に切り替える。また、止水栓14を操作して閉状態とする。これにより、1次側配管2から水道メータユニット1に流入する水は、バイパス配管9を経由して、2次側配管3に向かう。また、主配管8における流路切換弁26と止水栓14との間は、水が流通しない状態となる。
【0040】
次に、第2ハウジング継手30を取り外す。すなわち、第2ハウジング継手30の第1ハウジング部材36と第2ハウジング部材37を上下に分離する。その後、管部材28の操作環44を操作して、移動管42を水道メータ7から離間させる方向に後退させる。これにより、管部材28(移動管42)と逆止弁13との間が広がるので、水道メータ7の取り外しが容易となる。また、流路切換弁26と止水栓14との間には水が流通していないので、水道メータ7の取り外しは容易である。
【0041】
次に、新たな水道メータ7を管部材28と逆止弁13との間に配置する。そして、管部材28の操作環44を操作して、移動管42を水道メータ7に接近させる方向に移動させる。また、第2ハウジング継手30によって管部材28(移動管42)と水道メータ7とを接続する。
【0042】
ここで、水道メータユニット1が接続される1次側配管2と2次側配管3とは、通常は、同軸上に位置する。しかし、1次側配管2と2次側配管3とが地中に埋設されている場合には、地盤の沈下、隆起、横ずれにより、これらが同軸上からずれることがある。この場合には、1次側配管2に接続される上流配管11および2次側配管3に接続される2次側配管3も同軸上からずれてしまう。この結果、水道メータ7の前後に位置する上流配管11と逆止弁13とが同軸上からずれる。また、上流配管11と下流配管12とはバイパス配管9により接続されているので、上流配管11および下流配管12が同軸上からずれると、バイパス配管9に外力が作用する。従って、この外力に起因して、同軸上からずれた上流配管11と下流配管12とを再び同軸上に位置させることが困難となる。この結果、上流配管11と下流配管12との間に水道メータを接続することが容易ではなくなる。
【0043】
かかる問題に対して、本例では、上流配管11が第1ハウジング継手29を備えるので、管部材28をフランジ付き管継手27に対して変位させることができる。換言すれば、1次側配管2の第1管軸L1に対して、管部材28を傾斜させることができる。従って、1次側配管2と2次側配管3が同軸上からずれた場合でも、管部材28を変位させることにより、上流配管11の下流端に位置する管部材28と、下流配管12とを同軸上に配置できる。この結果、管部材28と逆止弁13とを同軸上に配置できるので、上流配管11と逆止弁13との間に水道メータ7を接続することができる。
【0044】
また、管部材28は、水道メータ7に接近する方向および離間する方向に進退する移動管42を備える。従って、管部材28を変位させたときに管部材28の下流端と下流配管12の上流端との間の距離が変化する場合には、移動管42を進退させて、これらの間の距離を適切な距離とすることができる。これにより、管部材28と逆止弁13との間に水道メータ7を配置することが容易となる。
【0045】
さらに、本例では、上流配管11が第2ハウジング継手30を備える。従って、上流配管11の下流端部分の管軸(管部材28の管軸)に対して水道メータ7を傾斜させた状態で、上流配管11と水道メータ7とを接続できる。よって、1次側配管2と2次側配管3が同軸上からずれた場合でも、上流配管11と逆止弁13との間に水道メータ7を接続することが容易となる。よって、水道メータ7の交換が容易である。
【0046】
ここで、本例では、バイパス配管9および下流配管12は、一つの部材50からなる。すなわち、下流配管12およびバイパス配管9は、フランジ付きエルボ部51、管継手部52、エルボ部53、およびチーズ部47に対応する複数の配管部材から構成されているが、これらの配管部材が袋ナットやボルトなどで締結されているのではなく、溶接により一体化されている。従って、バイパス配管9に外力が作用した場合でも、バイパス配管9および下流配管12から、水漏れが発生することがない。
【0047】
なお、水道メータ7を交換した後には、流路切換弁26を操作して、水道メータユニット1内の水路を主配管8に切り替えるとともに、止水栓14を開き状態とする。これにより、1次側配管2からの水は、水道メータ7を経由して、2次側配管3に流れる。ここで、水道メータユニット1は、逆止弁13を備えるので、水が2次側配管3の側から水道メータ7に逆流することがない。
【0048】
(作用効果)
本例の水道メータユニット1によれば、1次側配管2から2次側配管3へ向かう水の流れを遮断せず、容易に水道メータを交換できる。
【0049】
また、本例によれば、水道管を構成する1次側配管2と2次側配管3との間に水道メータユニット1を設置する際に、1次側配管2と2次側配管3とが同軸上に位置していない場合でも、水道メータユニット1の内部で1次側配管2と2次側配管3のずれを補正できる。従って、水道メータユニット1の設置が容易である。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記の例では、上流配管11は、流路切換弁26の下流側に第1ハウジング継手29を備えるが、流路切換弁26の上流側に第1ハウジング継手29を備えてもよい。例えば、第1管継手25と流路切換弁26とを第1ハウジング継手29により接続してもよい。この場合には、第1管継手25に対して、流路切換弁26が変位させることができる。また、第1管継手25を2つの管部材から構成して、これら2つの管部材を第1ハウジング継手29により接続してもよい。この場合には、上流の管部材に対して下流の管部材を変位させることができる。
【0051】
また、第2ハウジング継手30は省略してもよい。この場合には、管部材28と逆止弁13との間に配置された水道メータ7を、移動管42と逆止弁13との間に挟んで、圧着固定すればよい。
【0052】
さらに、第1ハウジング継手29、第2ハウジング継手30に替えて、伸縮継手などの可撓性を有する管継手を用いて2つの配管部材を接続してもよい。
【0053】
なお、バイパス配管9および下流配管12を複数の配管部材から構成してもよい。すなわち、下流配管12およびバイパス配管9は、フランジ付きエルボ、管継手、エルボ、チーズなどの配管部材を、袋ナットやボルトなどによって締結して、構成してもよい。
【0054】
また、水道メータユニット1において、逆止弁13および止水栓14の一方または両方を省略することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1…水道メータユニット(メータユニット)、2…1次側配管、3…2次側配管、5…ユニット本体、6…ユニットボックス、7…水道メータ、8…主配管、9…バイパス配管、11…上流配管、12…下流配管、12a…第1開口、12b…第2開口、12c…第3開口、13…逆止弁、14…止水栓、16…開口部、17…蓋、19…一方の端壁、20…第1開口部、21…他方の端壁、22…第2開口部、24…底板、25…第1管継手、26…流路切換弁、26a…流入口、26b…流出口、26c…分岐口、27…フランジ付き管継手、28…管部材、29…第1ハウジング継手、30…第2ハウジング継手、31…管継手部分、32…フランジ部分、34…弾性部材、35…ハウジング部材、36…第1ハウジング部材、37…第2ハウジング部材、41…固定管、42…移動管、43…移動管移動機構、44…操作環、45…固定機構、47…チーズ部、50…一つの部材、51…フランジ付きエルボ部、52…管継手部、53…エルボ部、56…ベース部材、L1…1次側配管の第1管軸
【要約】
【課題】1次側配管から2次側配管へ向かう水の流れを遮断せずに水道メータを簡易に交換できるメータユニットを提供すること。
【解決手段】水道メータユニット1は、1次側配管2と2次側配管3とを水道メータ7を経由して接続する主配管8と、水道メータ7を経由しないバイパス配管9と、を有する。主配管8は、水道メータ7の上流に位置しバイパス配管9が分岐する上流配管11と、水道メータ7の下流に位置しバイパス配管9が合流する下流配管12と、を有する。上流配管11は、バイパス配管9の分岐部分に配置された流路切換弁26を備える。上流配管11において、流路切換弁26の下流に位置するフランジ付き管継手27と管部材28とは、第1ハウジング継手29により接続されている。管部材28は、フランジ付き管継手27に対して変位可能である。
【選択図】
図1