【実施例】
【0009】
〔実施例の構成〕
実施例の搬送装置1を、
図1〜
図5を用いて説明する。
搬送装置1は、例えば、所定の製造ラインに組み入れられ、搬送の対象となる対象物2を直線状の移動軌跡βに沿って移動させるものであり、次のプーリー3、ベルト4、ピニオン5、および、複数の歯群6A、6B、6Cを備える。
なお、実施例では、移動させる対象物2としてロボットハンドを例示する。ロボットハンドは、所定の物品を掴むチャック、チャックを駆動する昇降機構等を有する公知の構成である。
【0010】
まず、プーリー3は、所定のアクチュエータ7により回転駆動される。
プーリー3は、例えば、ベルト4の一方側の面に設けた歯4aと噛み合う外歯3a、ベルト4の外れを防止する規制縁3b、および、アクチュエータ7の出力軸7aが貫通する貫通穴3cを有する。
【0011】
アクチュエータ7は、例えば、電動モータ(図示せず。)と減速機(図示せず。)とを同軸に配置した周知構造を有する。さらに、プーリー3と出力軸7aとは、出力軸7aに設けたキー8aが貫通穴3cに設けたキー溝8bに嵌まることで同軸をなす。また、電動モータは、例えば、製造ラインを制御する制御装置(図示せず。)からの指令により通電制御される。
なお、以下の説明では、搬送装置1が存在する空間においてX軸、Y軸、Z軸の直交座標系を定義し、Z軸が出力軸7aの軸、つまり、プーリー3の軸と平行であると定義する。
【0012】
また、アクチュエータ7は、取付プレート10にねじ締結されている。
より具体的には、アクチュエータ7の本体7bの内、出力軸7aが突き出る先端側の部分は縮径しており、取付プレート10には、縮径している部分が嵌る貫通穴10aが設けられている。そして、アクチュエータ7は、縮径している部分を貫通穴10aに嵌めて段部7cを取付プレート10に突き当てた状態で、取付プレート10にねじ締結されている。
なお、出力軸7aは、本体7bに内蔵された軸受(図示せず。)により、回転自在に支持されている。
【0013】
次に、ベルト4は、両端が所定の固定部α1に固定され、移動軌跡βに平行に張り渡されている。移動軌跡βは、X軸に平行に設定されており、ベルト4は、X軸に平行に張り渡されている。また、プーリー3のX軸方向の両側には、ベルト4をプーリー3に噛み合わせるアイドラ11A、11Bが配置されている。このため、ベルト4は、X軸の範囲に関し、プーリー3が存在する範囲、および、この範囲の両側近傍では、Y軸方向の一方側に突き出ている。
【0014】
アイドラ11A、11Bは、両方とも、取付プレート10にねじ締結される軸部11a、軸部11aの周囲を回転する回転体11b、および、軸部11aと回転体11bとの間に介挿される軸受11cを有する。また、出力軸7aの軸、アイドラ11A、11Bそれぞれの軸部11aの軸は、3軸ともY軸に垂直な1つの平面に存在し、Z軸に平行である。
【0015】
さらに、出力軸7aの軸とアイドラ11A、11Bそれぞれの軸部11aの軸との距離は、互いに等しい。なお、軸受11cは、例えば、2つの軌道輪で複数の球体を囲みつつ保持するものであり、内周側の軌道輪は軸部11aに圧入固定され、外周側の軌道輪は回転体11bに圧入固定されている。
【0016】
ここで、回転体11bは、ベルト4の両面の内、歯を有しない他方側の面に接触する円筒状の外周面を有し、プーリー3の回転に応じて、ベルト4に対して滑ることなく回転する。また、アイドラ11A、11Bそれぞれの軸部11aの先端は、両方とも、取付プレート10とは別の先端側プレート12にねじ締結されている。
【0017】
また、先端側プレート12には、出力軸7aの先端部を回転自在に支持する軸受12aが装着されている。軸受12aは、例えば、2つの軌道輪で複数の球体を囲みつつ保持するものであり、内周側の軌道輪は出力軸7aに圧入固定され、外周側の軌道輪は先端側プレート12に圧入固定されている。
以上により、プーリー3は、アクチュエータ7が動作して出力軸7aが回転すると、アクチュエータ7とともにX軸に平行に移動する。
【0018】
なお、対象物2には、レールα2に嵌合するガイド2aが組み付けられており、レールα2は、移動軌跡βに平行に設けられている。そして、レールα2とガイド2aとの嵌合により、対象物2は、移動軌跡βを安定してたどることができる。
【0019】
次に、ピニオン5は、プーリー3と先端側プレート12との間に配置されてプーリー3と機械的に連結され、プーリー3と同期して回転する。
より具体的には、ピニオン5には、出力軸7aが貫通する貫通穴5aが設けられている。そして、出力軸7aとピニオン5とは、例えば、キー8aおよびキー溝8bと同様の嵌合構造により同軸をなす。
【0020】
また、ピニオン5は、プーリー3と軸受12aの内周側の軌道輪とにより挟まれて保持されている。これにより、ピニオン5は、出力軸7aが回転すると、プーリー3と同じ回転数で回転する。
以上により、ピニオン5は、アクチュエータ7によりプーリー3が回転駆動されると、アクチュエータ7およびプーリー3とともにX軸方向に移動する。
なお、ピニオン5は、外歯5bを有する平歯車であり、歯形が、例えば、トロコイド曲線で形づくられている。
【0021】
次に、歯群6Aは、ピニオン5とかみ合う複数の歯が直線状に並ぶものであり、より具体的には、例えば、互いに平行に並ぶ5本のピン6pからなる。すなわち、歯群6Aを構成するそれぞれのピン6pは、Z軸に平行、かつ、X軸およびY軸に垂直となる方向を向いている。また、5本のピン6pは、X軸と平行な列をなして並んでいる。さらに、5本のピン6pの内、歯群6Aの両端に存在するピン6peの径D1は、他の3本のピン6pの径D2よりも小さい。なお、X軸の方向に隣り合うピン6p同士の軸間の距離は、ピン6peの径が小さくても、4つの軸間で全て同一である。
【0022】
また、ピン6pは、移動軌跡に沿う所定の位置に固定される芯部、および、芯部の外周側を覆う円筒体6aを有する。ここで、芯部は、例えば、円柱体であり、所定の位置に設けられた5つの圧入穴に圧入されて固定されている。そして、円筒体6aは、芯部の内、圧入穴から突き出ている部分の外周側を覆う。さらに、芯部の一端には、円筒体6aの脱落を防止する抜け止め部品6bが装着されている。
以上により、ピニオン5は、自身の外歯5bが円筒体6aに接触することで歯群6Aと噛み合う。このとき、円筒体6aは、自身の外周面が外歯5bの歯面に対して滑ることなく、芯部の周囲を回転する。なお、芯部の外周と円筒体6aの内周との間にニードルローラを介在させてもよい。
【0023】
また、歯群6B、6Cも歯群6Aと同様の構成である。そして、歯群6A、6B、6Cは、移動軌跡βに沿って3か所に互いに離れて設けられている。このため、ピニオン5は、歯群6A、6B同士の間、および、歯群6B、6C同士の間の区間は歯群6A〜6Cと噛み合うことなく移動し、歯群6A〜6Cそれぞれが存在する区間は、それぞれ歯群6A〜6Cと噛み合って移動する。
【0024】
〔実施例の効果〕
実施例の搬送装置1は、対象物2を直線状の移動軌跡βに沿って移動させるものであり、次のプーリー3、ベルト4、ピニオン5、および、歯群6A、6B、6Cを備える。
まず、プーリー3は、アクチュエータ7により回転駆動され、ベルト4は、移動軌跡βに平行に張り渡されてプーリー3に噛み合う。また、ピニオン5は、プーリー3と機械的に連結され、プーリー3と同期して回転し、歯群6A、6B、6Cは、それぞれピニオン5とかみ合う歯が直線状に並ぶものである。
【0025】
そして、歯群6A、6B、6Cは、移動軌跡βに沿って複数個所に離れて設けられている。また、ピニオン5は、プーリー3が回転駆動されると、プーリー3とともに移動軌跡βに平行に移動し、歯群6A、6Bの間、歯群6B、6Cの間の区間は歯群6A、6B、6Cと噛み合うことなく移動し、歯群6A、6B、6Cが存在する区間はそれぞれ歯群6A、6B、6Cと噛み合って移動する。
【0026】
これにより、製造ラインにおいて、対象物2の搬送先として、例えば、3つの目標位置が設定されている場合に、ピニオン5の移動軌跡において、これら3つの目標位置に対応する位置γ1、γ2、γ3の近傍にのみ、それぞれ歯群6A、6B、6Cを配置することにより、従来のラックにおいて必要とされていた歯の大部分を省くことができる。このため、ラック設置に関連するコストダウンを達成することができる。
【0027】
なお、位置γ1、γ2、γ3の近傍には、それぞれ歯群6A、6B、6Cを配置してピニオン5と噛み合わせるので、対象物2を精度よく目標位置に配置することができる。
また、歯群6A、6Bの間、歯群6B、6Cの間の区間では、ピニオン5の噛み合いによらず、プーリー3とベルト4との噛み合いにより対象物2を移動させるので、従来よりも高速、かつ、静粛に対象物2を移動させることができる。
【0028】
つまり、搬送装置1によれば、精度を必要とする目標位置の近傍では、対象物2を高精度に位置決めすることができ、精度を必要としない区間では、対象物2を高速、かつ、静粛に移動させることができる。
【0029】
また、搬送装置1によれば、歯群6A、6B、6Cは、互いに平行に並ぶ複数のピン6pからなる。
これにより、製造ラインの必要箇所にピン6pを配置することで、簡便に歯群6A〜6Cを設けることができる。
【0030】
また、搬送装置1によれば、歯群6A〜6Cのそれぞれの両端に存在するピン6peの径D1は、他のピン6pの径D2よりも小径である。
例えば、歯群6A、6Bの間でベルト4とプーリー3の噛み合いにより対象物2がX軸方向の一方側に向かって移動しているとき、ベルト4は、弾性により、X軸方向の一方側に伸びている。この状態で、ピニオン5が、歯群6BのX軸方向他端に位置するピン6peに到達すると、ベルト4は、伸びを低減しようとするので、ピニオン5をX軸方向の一方側に加速し、ピン6peに衝撃を与えてしまう。
【0031】
そこで、歯群6A〜6Cのそれぞれの両端に存在するピン6peを、他のピン6pよりも小径にすることで、ベルト4の伸びの低減に伴うピニオン5の一時的な加速を吸収する緩衝区間を設けることができる。このため、ピニオン5が歯群6A〜6Cに到達したときの衝撃を緩和することができる。
【0032】
さらに、搬送装置1によれば、ピン6pの外周側は円筒体6aにより覆われ、ピニオン5は、自身の外歯5bが円筒体6aに接触することで歯群6A〜6Cと噛み合う。
これにより、ピニオン5と歯群6A〜6Cとの噛み合いにおいて、バックラッシをなくすことができる。このため、ピニオン5と歯群6A〜6Cとの噛み合いを安定させて静粛にすることができる。
【0033】
〔変形例〕
本願発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例の搬送装置1によれば、歯群6A〜6Cをピン6pの列により構成していたが、歯数の少ないラックにより歯群6A〜6Cを構成してもよい。この場合、ピニオン5にピン歯車を採用することができる。
【0034】
また、実施例の搬送装置1では、移動させる対象物2としてロボットハンドを例示したが、対象物2は、ロボットハンドに限定されない。例えば、工具や部品が載った棚を対象物2として移動させてもよい。また、搬送装置1を2台組み合わせて、対象物2を2軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0035】
さらに、実施例の搬送装置1では、対象物2を直線状の移動軌跡βに沿って移動させていたが、移動軌跡βの態様は直線に限定されない。例えば、
図6に示すように、移動軌跡βを円弧状に設定するとともに、2つの歯群6A、6Bを、円弧状の移動軌跡βに沿って離して設けてもよい。この場合、ベルト4は、円弧状の移動軌跡βに沿って、張り渡されている。また、歯群6A、6Bそれぞれにおいて、5本の歯それぞれを実施例と同様のピン6pにより設け、5本のピン6pを移動軌跡βに沿って並べてもよい。