特許第6572476号(P6572476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6572476-廃ペットボトル穴開け機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6572476
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】廃ペットボトル穴開け機
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/32 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   B30B9/32 101B
   B30B9/32 101G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-111682(P2019-111682)
(22)【出願日】2019年6月17日
【審査請求日】2019年6月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504474987
【氏名又は名称】株式会社 西原商事
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】西原 孝思
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3208362(JP,U)
【文献】 特開2008−100233(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3066255(JP,U)
【文献】 実公昭59−14078(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/58942(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/10598(US,A1)
【文献】 米国特許第4987829(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/360430(US,A1)
【文献】 国際公開第1998/56691(WO,A1)
【文献】 米国特許第5152387(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ペットボトルの投入シュート部と、圧潰された前記廃ペットボトルの排出部とが配設された横長なローラ収納ケースと、
該ローラ収納ケースに収納されて、該ローラ収納ケースの内周面と圧潰ローラの外周面との間に、前記廃ペットボトルの圧潰隙間を現出させる横長な1本の前記圧潰ローラと、
該圧潰ローラを回転させる駆動モータとを備え、
前記圧潰ローラの外周面には、該圧潰ローラの軸方向に長く延びて、前記廃ペットボトルを前記圧潰隙間に押し込む複数のボトル押し込み用突条が、前記圧潰ローラの周方向へ所定ピッチで突設され、
前記ローラ収納ケースの内周面のうち、前記圧潰隙間の上流部分には、前記廃ペットボトルに切り込みを入れる複数の切込刃が、前記圧潰ローラの軸方向に沿って所定ピッチでそれぞれ突設されたペットボトル穴開け機。
【請求項2】
前記圧潰隙間の幅は10mm〜30mmで、
前記ローラ収納ケースの内周面と、前記ボトル押し込み用突条の先端との隙間が3mm〜10mmである請求項1に記載のペットボトル穴開け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃ペットボトル穴開け機、詳しくは廃ペットボトルの圧潰時に、飲み残しの清涼飲料水などを排出するために穴開けを行う廃ペットボトル穴開け機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃ペットボトル(廃棄されたペットボトル)の資源リサイクルが推進されている。これを効率的に行うためには、まず廃ペットボトルを圧潰して(押しつぶして)減容するとともに、ペットボトルに残った清涼飲料水等の内容物(以下、残渣という場合がある)を排出する必要がある。
その従来装置として、例えば、特許文献1の「ペットボトル用圧潰装置」や、特許文献2の「PETボトル穴開け・減容機」などが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の「ペットボトル用圧潰装置」は、外周面の全域に長さ方向へ所定ピッチで複数の切込刃が配された一対の切込圧潰ローラと、これら専用の一対の駆動モータとを有したものである。
装置運転時には、各駆動モータを駆動して、これらのローラ間で廃ペットボトルを圧潰すると同時に、各切込刃により廃ペットボトルに複数の切込みを入れ、ペットボトル内の残渣を排出する。
また、特許文献2に記載の「PETボトル穴開け・減容機」は、一対の圧潰ローラの外周面に、複数条のローラ軸方向へ延びるアームバー(横桟)を、ローラ軸心を中心にして所定ピッチで放射状に突設したものである。各圧潰ローラには、特許文献1に記載のものと同じように、専用の駆動モータが配設され、各アームバーの先端面には、アーム長さ方向へ所定ピッチで、複数の穴開け突起が配設されている。
装置運転時には、各駆動モータを駆動して、各圧潰ローラ間で廃ペットボトルを圧潰するとともに、各アームバーの先端面に配設された複数の穴開け突起により、廃ペットボトルの外周面に複数の水抜け孔が穿孔される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3997541号公報
【特許文献2】特開2004−136309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の「ペットボトル用圧潰装置」にあっては、廃ペットボトルの圧潰時、各切込刃により廃ペットボトルに形成された切込みが大きいため、ペットボトル内の残渣除去には問題ないものの、各切込み面に汚れが付着し易かった。その結果、リサイクル資源としての品質が低下し、商品価値が下がっていた。
一方、特許文献2に記載の「PETボトル穴開け・減容機」にあっては、各穴開け突起により穿孔された廃ペットボトルの水抜け孔が小さいため、各水抜け孔面への汚れの付着は少ないものの、ペットボトル内に残渣が残り易く、これを原因として商品価値の低下が問題となっていた。
また、特許文献1,2に記載の各装置では、何れも2本の圧潰ローラに個別に駆動モータが配されていたため、装置コストが高騰していた。
さらに、キャップ付きの廃ペットボトルの場合には、圧潰後の各ペットボトルから作業者が1つ1つキャップを取り外す作業を行わなければならなかった。
【0006】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、使用する駆動モータ付きの圧潰ローラを1本のみとし、廃ペットボトルを、この圧潰ローラと、圧潰し開始領域の内壁面に複数の切込刃が配されたローラ収納ケースとの間で、複数の切込みを入れながら圧潰すようにすれば、上述したすべての課題が解消されることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
すなわち、この発明は、廃ペットボトルの切込み面の汚れや、ボトル内の残渣を原因としたリサイクル資源としての廃ペットボトルの商品価値の低下を防止するとともに、装置コストの低減およびボトルネックからのキャップの自動除去が可能なペットボトル穴開け機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、廃ペットボトルの投入シュート部と、圧潰された前記廃ペットボトルの排出部とが配設されたローラ収納ケースと、該ローラ収納ケースに収納されて、該ローラ収納ケースの内周面と圧潰ローラの外周面との間に、前記廃ペットボトルの圧潰隙間を現出させる1本の前記圧潰ローラと、該圧潰ローラを回転させる駆動モータとを備え、前記圧潰ローラの外周面には、該圧潰ローラの軸方向に長く延びて、前記廃ペットボトルを前記圧潰隙間に押し込む複数のボトル押し込み用突条が、前記圧潰ローラの周方向へ所定ピッチで突設され、前記ローラ収納ケースの内周面のうち、前記圧潰隙間の上流部分には、前記廃ペットボトルに切り込みを入れる複数の切込刃が、前記圧潰ローラの軸方向に沿って所定ピッチでそれぞれ突設されたペットボトル穴開け機である。
【0009】
廃ペットボトルの形状、サイズなどは限定されない。キャップ付きのものでも、キャップを外したものでもよい。また、廃ペットボトルは、清涼飲料水などの内容物の飲み残し(残渣)があるものでも、そうでないものでもよい。さらに、ペットボトル穴開け機により処理される廃ペットボトルは、1本でも複数本でもよい。
ここでいう"廃ペットボトルの圧潰"とは、圧潰ローラを圧潰方向(圧潰隙間の上流から下流へ向かう方向)へ回転させることで、各ボトル押し込み用突条によって圧潰隙間に押し込まれた廃ペットボトルが、回転しない固定状態のローラ収納ケースの内周面と、回転する圧潰ローラの外周面との間でねじ込まれて潰れることを意味する。
ローラ収納ケースの素材は、廃ペットボトルの圧潰に耐え得るものであれば任意である。例えば、鉄、ステンレスなどでもよい。
投入シュート部とは、上端に廃ペットボトルの投入口が形成されて、下端がローラ収納ケースの圧潰隙間の上流端と連結する、廃ペットボトルの傾斜搬送路となる部分である。
【0010】
ローラ収納ケースにおける投入シュート部の形成位置は、一般的にローラ収納ケースの上部、特に一側上部である。
ローラ収納ケースにおける排出部の形成位置は、一般的にローラ収納ケースの下部である。
圧潰隙間の幅は、廃ペットボトルを圧潰することができれば任意である。
ここでいう"圧潰隙間の幅"とは、圧潰ローラの直径方向(圧潰ローラの軸線を中心とした放射方向)において、圧潰隙間を形成する圧潰ローラの外周面からローラ収納ケースの内周面までの離間長さ(幅、距離)をいう。
【0011】
駆動モータの種類は限定されない。例えば、電動モータ、油圧モータなどを採用する。
ボトル押し込み用突条の高さは、圧潰隙間を通過できて、廃ペットボトルを圧潰隙間に押し込むことができれば任意である。
また、ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間の幅は任意である。ここでいう"ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間"とは、圧潰ローラの直径方向(圧潰ローラの軸線を中心とした放射方向)において、圧潰隙間を形成するローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との離間長さ(幅、距離)をいう。
切込刃の形状、サイズおよびその形成ピッチは、圧潰隙間に入り込む廃ペットボトルに切り込みを形成可能であれば任意である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記圧潰隙間の幅は10mm〜30mmで、前記ローラ収納ケースの内周面と、前記ボトル押し込み用突条の先端との隙間が3mm〜10mmである請求項1に記載のペットボトル穴開け機である。
【0013】
圧潰隙間の幅が10mm未満では、廃ペットボトルの圧潰抵抗が大きくなりすぎて、廃ペットボトルの圧潰効率が低下する。また、30mmを超えれば、廃ペットボトルを十分に圧潰することができないおそれがある。
また、ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間が3mm未満では、ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間が狭すぎて、廃ペットボトルの圧潰抵抗が大きくなりすぎるとともに、圧潰された廃ペットボトルを、ローラ収納ケースの内周面とボトル押し込み用突条の先端との隙間から通して、ボトルネックの圧迫破砕を行うことができないおそれがある。また、10mmを超えれば、ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間が広すぎて、ボトルネックの圧迫破砕を十分に行えないおそれがある。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、投入シュート部からローラ収納ケースに投入された廃ペットボトルは、圧潰隙間の付近まで到達した時、回転中の圧潰ローラの各ボトル押し込み用突条によって圧潰隙間へと押し込められる。その途中、廃ペットボトルは、複数の切込刃により切り込みが入れられて、ボトルの内容物(残渣)を排出しながら、圧潰ローラの回転に伴い、圧潰隙間を移動する。このとき、各切込刃は、圧潰隙間の上流部分のみに、圧潰ローラの軸方向に沿って所定ピッチで突設されているだけであるため、例えば、従来装置の1つである、外周面全域に複数の切込刃が突設された左右一対の切込圧潰ローラを有するものの場合に比べて、この廃ペットボトルへの切り込みは浅く、ボトルの切込み面の汚れを低減することができる。
【0015】
また、圧潰隙間を移動中の廃ペットボトルは、ローラ収納ケースの内周面と、圧潰ローラの外周面との間で圧潰される。これにより、ボトルの残渣も切り込みから十分に排出できるとともに、硬いボトルネックも圧迫破砕されて、キャップがボトルから外れる。こうして圧潰された廃ペットボトルは、排出部からドラム外へ排出される。
このように、廃ペットボトルに対して各切込刃により切込みを入れた後、圧潰隙間を移動中にローラ収納ケースと圧潰ローラとにより圧潰する(押しつぶす)ようにしたため、廃ペットボトルの切込み面の汚れや、ボトル内の残渣を原因としたリサイクル資源としての廃ペットボトルの商品価値の低下を防止できる。また、圧潰ローラを1本のみしか使用しないため、装置コストの低減も図ることができる。さらには、廃ペットボトルの圧潰中に、硬いボトルネックが圧迫破砕されることで、ボトルネックからのキャップの自動除去も可能となる。
【0016】
特に、請求項2に記載の発明によれば、圧潰隙間の幅を10mm〜30mmとし、ローラ収納ケースの内周面と、ボトル押し込み用突条の先端との隙間を3mm〜10mmとしたため、圧潰隙間を移動中の廃ペットボトルを効率よく圧潰することができるとともに、ボトルネックを良好に圧迫破砕して、キャップを効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施例1に係る廃ペットボトル穴開け機の使用状態を示す縦断面図である。
図2】この発明の実施例1に係る廃ペットボトル穴開け機のローラ収納ケースの一部を省略した使用状態の斜視図である。
図3】この発明の実施例1に係る廃ペットボトル穴開け機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、清涼飲料水用の廃ペットボトルを処理する廃ペットボトル穴開け機を例とする。
【実施例】
【0019】
図1図3に示すように、この発明の実施例1に係る廃ペットボトル穴開け機10は、複数の廃ペットボトル11が投入される投入シュート部12と、圧潰された各廃ペットボトル11を外へ排出する排出部13とが配設されたローラ収納ケース14と、このローラ収納ケース14に収納されて、ローラ収納ケース14の内周面と圧潰ローラ15の外周面との間に、廃ペットボトル11の圧潰隙間aを現出させる1本の圧潰ローラ15と、圧潰ローラ15を回転させる電動モータ(駆動モータ)16とを備えたものである。
【0020】
以下、これらの構成体について、詳細に説明する。
処理される廃ペットボトル11は、清涼飲料水などの内容物(残渣)が残ったものでも、空のものでもよい。その他、キャップC付きのものでも、予めキャップCが外されたものでもよい。
ローラ収納ケース14は、長さが150cm、投入シュート部12を含めた幅が120cm程度、内径が73cmの横長なステンレス製の円筒容器である。または、円筒を軸線を含む平面で2分した半円筒型の容器であって、ローラ外周面との隙間が徐々に狭くなる湾曲面ないし傾斜面を有する容器とすることもできる。
ローラ収納ケース14の一側上部には、傾斜した廃ペットボトル11の投入板17を有する横長なロート状の投入シュート部12が連通されている。
ローラ収納ケース14の下端部には、矩形筒状の排出部13が連通されている。
また、ローラ収納ケース14の長さ方向の各端板18の中央部には、それぞれベアリング19が装着された一対の大径な軸孔が形成されている(図3)。
【0021】
圧潰ローラ15は、長さが約150cm、外径が70cmのステンレス製の横長な中空体である。したがって、内径が73cmのローラ収納ケース14の内周面と、外径が70cmの圧潰ローラ15の外周面との間には、1.5cmの隙間が現出される。このうち、投入板17が連結されたローラ収納ケース14の上側開口bの下側縁b1から、排出部13が連通された下側開口cまでの領域Eが、圧潰隙間aとなる。
ローラ収納ケース14の内周面のうち、この圧潰隙間aの上流部分には、廃ペットボトル11に切り込みSを入れる12枚の切込刃20が、横長な固定板21を介して、圧潰ローラ15の長さ方向へ所定ピッチ(約13.5cm間隔)で、それぞれ突設されている。
【0022】
圧潰ローラ15の長さ方向の各端板22の中央部には、対応するベアリング19に嵌着される一対の短尺な回転軸23,24がそれぞれ突設されている。
一方の回転軸23のうち、対応するベアリング19から突出した部分には、従動ギヤ25が固着されている。この従動ギヤ25には、電動モータ16の出力軸26に固着された駆動ギヤ27が噛合されている。電動モータ16は、ペットボトル穴開け機10の図示しない架台に設置されている。
圧潰ローラ15の胴部28の外周面には、この胴部28の全長にわたり、廃ペットボトル11を圧潰隙間aに押し込む11本のボトル押し込み用突条29が、圧潰ローラ15の周方向へ所定ピッチで突設されている。
各ボトル押し込み用突条29の幅は5mm、高さは10mmである。したがって、ローラ収納ケース14の内周面と、ボトル押し込み用突条29の先端との隙間は5mmである。
【0023】
次に、図1図3を参照して、実施例1の廃ペットボトル穴開け機10による廃ペットボトル11の圧潰方法について説明する。
図3に示すように、まず、電動モータ16を駆動して出力軸26を回転させる。これにより、駆動ギヤ27および従動ギヤ25を介して、一対のベアリング19に軸支された各回転軸23,24が、図3の矢印方向へ回転する。これにより、圧潰ローラ15が、図1および図2の矢印に示す廃ペットボトル11の圧潰方向(反時計回り方向)へ回転する。
【0024】
この状態で、投入シュート部12から複数の廃ペットボトル11を投入すれば、これらの廃ペットボトル11は、投入シュート部12の投入板17の上を、圧潰隙間aへと転げ落ちる。各廃ペットボトル11が圧潰隙間aの付近まで達した時、各廃ペットボトル11は、回転中の圧潰ローラ15の各ボトル押し込み用突条29によって、圧潰隙間aへと押し込められる。
その途中、各廃ペットボトル11は、複数の切込刃20に押し付けられて切り込みSが入れられる。各切込刃20は、圧潰隙間aの上流部分のみに、圧潰ローラ15の軸方向に沿って所定ピッチで突設されたものである。そのため、例えば、従来装置の1つである、外周面全域に複数の切込刃が突設された左右一対の切込圧潰ローラを有するものに比べて、各廃ペットボトル11への切り込みSは浅くなる。その結果、各ボトル11の切込み面の汚れを低減することができる。
【0025】
その後、各廃ペットボトル11は、この廃ペットボトル11の内容物(残渣)を排出しながら、圧潰ローラ15の回転に伴い、圧潰隙間aを移動することとなる。
この圧潰隙間aを移動中の廃ペットボトル11は、ローラ収納ケース14の内周面と、圧潰ローラ15の外周面との間で圧潰される。これにより、廃ペットボトル11の残渣も切り込みSから十分に排出することができるとともに、硬いボトルネックNも圧迫破砕されて、廃ペットボトル11がローラ収納ケース14の内周面と、ボトル押し込み用突条29の先端との隙間(5mm)を通過する際に、廃ペットボトル11からキャップCを自動的に外す(除去する)ことができる。その後、圧潰された廃ペットボトル11は、排出部13からドラム外へと排出される(図1)。
【0026】
このように、廃ペットボトル11に対して、複数の切込刃20により切込みを入れた後、圧潰隙間aを移動中に、固定状態のローラ収納ケース14と回転中の圧潰ローラ15とによって圧潰するように構成したため、廃ペットボトル11の切込み面の汚れや、この廃ペットボトル11内の残渣を原因としたリサイクル資源としての廃ペットボトル11の商品価値の低下を防止することができる。
また、実施例1では圧潰ローラ15を1本のみしか使用しないため、装置コストの低減を図ることができる。
さらには、圧潰隙間aの幅を15mmとし、ローラ収納ケース14の内周面と、ボトル押し込み用突条29の先端との隙間(の幅)を5mmとしたため、圧潰隙間aを移動中の廃ペットボトル11を効率よく圧潰することができるとともに、ボトルネックNを良好に圧迫破砕して、キャップCを効率よく除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の廃ペットボトル穴開け機は、廃ペットボトルの圧潰時に、飲み残しの清涼飲料水などを排出するために穴開けするものとして有用な技術である。
【符号の説明】
【0028】
10 廃ペットボトル穴開け機、
11 廃ペットボトル、
12 投入シュート部、
13 排出部、
14 ローラ収納ケース、
15 圧潰ローラ、
16 電動モータ(駆動モータ)、
29 ボトル押し込み用突条、
a 圧潰隙間。
【要約】
【課題】廃ペットボトルの切込み面の汚れや残渣を原因としたリサイクル資源としての廃ペットボトルの商品価値の低下を防ぎ、装置コストの低減、ボトルネックからのキャップの自動除去が可能なペットボトル穴開け機を提供する。
【解決手段】廃ペットボトル11に対して各切込刃20により切込みSを入れた後、圧潰隙間aを移動中にローラ収納ケース14と圧潰ローラ15とにより圧潰すため、廃ペットボトル11の切込み面の汚れや、ボトル11内の残渣を原因としたリサイクル資源としての廃ペットボトル11の商品価値の低下を防止できる。また、圧潰ローラ15を1本のみしか使用しないため、装置コストの低減も図ることができる。さらには、廃ペットボトル11の圧潰中に、硬いボトルネックNが圧迫破砕されることで、ボトルネックNからのキャップCの自動除去も可能となる。
【選択図】図1
図1
図2
図3