【実施例】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を
図1乃至
図4に基づいて説明する。
1は溶接装置であり、溶接装置1は固定電極である下部電極2上に基材3を配置し、頭部4の裏面にプロジェクション5を突出させたプロジェクションボルト6を、図示しないボルト供給装置にて供給して、プロジェクションボルト6のボルト部7を基材3の溶接用孔8を介して下部電極2の挿入穴9に挿入し、可動電極である上部電極10を下降して、プロジェクションボルト6と基材3を上部電極10と下部電極2で挟持し、上部電極10、プロジェクションボルト6、基材3、及び下部電極2に電流を流してプロジェクションボルト6を基材3に溶接していた。
【0013】
11は下部電極に空気を送るエア源であり、エア源11は下部電極2の下部に接続され、下部電極2の挿入穴9の下部に連通されるとともに、挿入穴9のプロジェクションボルト6のボルト部7の挿入口となる上端部を排気口12としたエア通路13が形成されている。
【0014】
14判定装置であり、判定装置14は、エア通路13の空気圧を検出する圧力センサ15と、圧力センサ15の出力が入力され、プロジェクションボルト6の欠品、及びボルト部7の径の間違いを判定するための判定部16で構成されている。
【0015】
次に、
図2、
図3、及び
図4により、本発明によるプロジェクションボルト6の欠品及びボルト径の間違いの判定方法について説明する。
図2は細い径のプロジェクションボルト6が供給された図であり、
図3は太い径のプロジェクションボルト6が供給された図である。
【0016】
プロジェクションボルト6が供給され上部電極10が下降し、プロジェクションボルト6と基材3を上部電極12と下部電極2で挟持し、エア源11から圧縮空気がエア通路13に送られると圧縮空気は、下部電極2の挿入穴9下部より、ボルト部7の表面と挿入穴9の垂直壁との間、及びボルト部7の表面と基材の溶接用孔8の外周端面との間を通り、プロジェクションボルト6の頭部4と基材3の間にプロジェクション5により形成される空間を通って外部に排出される。
【0017】
このとき、プロジェクションボルト6のボルト部7の表面と下部電極2の挿入穴9の垂直壁面との間の隙間17と、プロジェクションボルト6のボルト部7の表面と基材3の溶接用孔12外周端面との隙間18は、いずれも
図2の細い径のボルト6を挿入した場合のほうが、
図3で示す太い径のプロジェクションボルト6を挿入した場合より広いので、圧縮空気が送られた場合、細い径のボルトが供給された
図2の場合より、太い径のプロジェクションボルト6が供給された
図3のほうが空気が排出される量が少なくなるので空気圧は高くなる。
【0018】
また、
図3に示すように、プロジェクションボルト6の供給に失敗して欠品になった場合には、上部電極10により基材3の溶接孔8及び下部電極2の挿入穴7は共に塞がれるので、空気は殆ど排出されず、プロジェクションボルト6が挿入されている場合より空気圧は高くなる。
【0019】
即ち、空気圧は、供給されるプロジェクションボルトが細い径の場合より太い径のほうが高くなり、プロジェクションボルト6が欠品した場合が最も高くなる。
【0020】
そこで、適正な径のプロジェクションボルト6が供給された場合の空気圧より低く、1ランク下の径のプロジェクションボルト6が供給された場合の空気圧より高い空気圧を第1の基準値とし、適正な径のプロジェクションボルト6が供給された場合の空気圧より高く、1ランク上の径のプロジェクションボルト6が供給された場合の空気圧より低い空気圧を第2の基準値する。
【0021】
プロジェクションボルト6が図示しないボルト供給装置により供給され、上部電極10が下降し、プロジェクションボルト6と基材3を上部電極10と下部電極2で挟持し、エア源11から圧縮空気が送られ、圧力センサ15により第1の基準値より低い値の空気圧が検出された場合、判定部16は、適正なプロジェクションボルト6より細い径のプロジェクションボルト6が供給されたとして、警報を発するとともに溶接を中止する。
【0022】
また、圧力センサ15により、第1の基準値と第2の基準値の間の空気圧が検出された場合には、判定部16は、プロジェクションボルト6の適正なものが供給されたとして溶接を実行する。
【0023】
さらにまた、圧力センサ15により、第2の基準値より高い空気圧が検出された場合、判定部16は、適正なプロジェクションボルト6より太いプロジェクションボルト6が間違って供給されたか、又は、プロジェクションボルト6が欠品したとして、警報を発するとともに溶接を中止する。
【0024】
さらに、溶接するプロジェクションボルトが、最大の径のものであり、太いほうに間違える恐れがない場合には、第2の基準値を適正な径のプロジェクションボルト6が供給された場合の空気圧より高く、プロジェクションボルト6が欠品の場合の空気圧より低い空気圧として、圧力センサ15により第2の基準値より高い空気圧が検出された場合、判定部16はプロジェクションボルト6が欠品したとして、警報を発するとともに溶接を中止するようにしてもよい。
【0025】
さらに、溶接されるプロジェクションボルトが最少の径のものである場合には、第2の基準値のみ設定し、第1の基準値を設定しなくてもよい。
【0026】
以上のように、本発明では、プロジェクションボルトのねじ径の間違いだけではなくプロジェクションボルトの欠品も検出でき、プロジェクションボルトが正常な場合に溶接を行うことができ、かつ、電極部のエア通路は固定電極部のみに形成し、固定電極のプロジェクションボルトのボルト部の挿入部を利用しているので、製作が簡単にできる。