特許第6572504号(P6572504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6572504
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】オゾン水噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20190902BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20190902BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B05B11/00 102E
   B05B7/04
   B65D47/34 100
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-217645(P2018-217645)
(22)【出願日】2018年11月20日
【審査請求日】2018年11月21日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312010308
【氏名又は名称】マフレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大徳 一美
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−266073(JP,A)
【文献】 特開2009−138262(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3213416(JP,U)
【文献】 特開昭63−059961(JP,A)
【文献】 特開2000−316956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00− 17/06
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00− 12/14
A61L 9/00− 9/22
A61L 2/00− 2/28
B05D 1/00− 7/26
B65D 35/44− 35/54
B65D 39/00− 55/16
C02L 1/46− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生器のオゾンで容器内にオゾン水を生成するオゾン水噴出器であり、該オゾン水噴出器の容器にはポンプ部が連結されており、該ポンプ部は、シリンダとピストンとピストン作動レバーと該ピストン作動レバーを自動復帰せしめる弾性体を備えており、前記シリンダには、前記オゾン水を前記容器から吸引するためのオゾン水吸引路と、前記オゾン水を噴出口に圧送するためのオゾン水圧送路が内蔵されており、該オゾン水圧送路は前記容器の上部に取付けられたオゾン排気管と連結されており、前記容器内に生成されたオゾン水は、前記オゾン水圧送路で前記噴出口に圧送されるとともに、未溶存のオゾンは、前記オゾン排気管で前記オゾン水圧送路に導かれ、前記オゾン水とともに噴出せしめられることを特徴とするオゾン水噴出器。
【請求項2】
前記オゾン水圧送の先端にノズルが設けられており、該ノズルに前記オゾン排気管が連結されていることを特徴とする請求項1記載のオゾン水噴出器。
【請求項3】
前記オゾン水圧送路は垂直圧送路と水平圧送路から構成され、前記オゾン排気管が前記水平圧送路に内装されており、前記オゾン排気管は、前記ポンプ部の側壁に設けられた貫通孔から挿入され、前記水平圧送路の噴出口近辺まで延びていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオゾン水噴出器。
【請求項4】
前記オゾン発生器が無声放電式オゾン発生器であり、該オゾン発生器と前記オゾン水噴出器はチューブで連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のオゾン水噴出器。
【請求項5】
前記オゾン発生器が無声放電式オゾン発生器であり、該無声放電式オゾン発生器は前記オゾン水噴出器に一体的に取付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のオゾン水噴出器。
【請求項6】
前記オゾン発生器は電解式オゾン発生器であり、該電解式オゾン発生器は、円筒形容器に収納され、前記容器の上部に設けられたネジ付きの挿入口から、前記容器に挿入され、前記円筒形容器にはフランジが設けられ、該フランジと前記挿入口は、回転自在なネジ付きの接続キャップで締め付けられシールされていることを特徴とする請求項1記載のオゾン水噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生器を液体噴出容器に取付けたオゾン水噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは消臭力があり、オゾンが水に溶存したオゾン水は殺菌力に優れ、しかも耐性菌を作らない。オゾン水は分解して酸素原子と反応し、強力な酸化力のあるヒドロキシルラジカル(OH)を生成する。OHの酸化力は酸素原子よりも強く、その反応速度はオゾンよりもはるかに大きいので、細菌細胞膜を酸化して破壊し、さらに奥の柔細胞膜を破壊する。1ppm以上のオゾン水は、大腸菌やノロウイルスなどのほとんどの菌を殺菌でき、2ppm以上の濃度であれば略確実に死滅するといわれている。オゾン水中のオゾンは数分から数十分程度で安定な酸素に変化する性質があり、長期保存は不可能なことから、オゾン水を生成しながら使用するのが効率的である。低濃度のオゾン水の殺菌効果を増すために、オゾンとオゾン水を組み合わせて同時に使用するのは困難なことから、オゾンとオゾン水は単独で使用されることが多かった。オゾンとオゾン水を合体して使用できれば、消臭、殺菌、消毒を同時に具現化できる。
【0003】
特許第6249200号広報において、噴出器内に電解セルを備え、噴出器内でオゾン水を生成し、噴出器のポンプ機能で噴出させる方法が提案されている。この方法においては、オゾン水だけを噴出させるので、殺菌や消毒には効果的であるが、消臭目的で使用することはできなかった。
【0004】
特開2016−26960号広報において、ポンプを有する噴出器本体部と前記ポンプを駆動可能な操作レバーと、内容液を吸引、加圧、圧送し、該噴出器本体部に取付けられたノズルから噴出させるトリガー式液体噴出器が提案されているが、オゾン水の生成やオゾンの噴出はできない。
【0005】
特開2009−154030号広報において、電解質で生成した電解水を吸い上げて霧状に噴霧することができる噴霧機構を設けた電解水生成装置が提案されているが、オゾン水ではなく電解水であり、しかもガスを同時に噴霧する機能は備えていない。
【0006】
実用新案登録第3213416号広報において、水を電気分解して生成したオゾン水を噴霧する噴霧部と、余剰のオゾンを排出する排気部を備えた電解噴霧器が提案されている。この方法では、余剰のオゾンを外気に放出するものであり、生成したオゾン水と混合して噴霧する機能を有していない。
【0007】
特開2000−316956号広報において、導通路の突出端から流出するオゾンを含む気体の流体エネルギで液体を吸引し、開口から噴出させて噴射し、オゾンを含む気体と液体の噴霧流れを対象物に散布する方法が示されている。この方法においては、液体はオゾン水でないため、オゾンとの噴射混合でも殺菌効果が小さかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6249200号広報
【特許文献2】特開2016−26960号広報
【特許文献3】特開2009−154030号広報
【特許文献4】実用新案登録第3213416号広報
【特許文献5】特開2000−316956号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
オゾンは水に溶けにくく、濃度の高いオゾン水を生成するのは困難である。さらに、噴出器でオゾン水を噴霧する場合、大気と接触して大部分消滅するため、残留オゾンの割合は微量であり消臭や殺菌などの効力が弱かった。又、オゾンが水に溶け込んだ状態即ちオゾン水でなければ殺菌、消毒効果はなかった。本発明は、オゾンとオゾン水を同時に噴射することにより、消臭、殺菌、消毒を行うことを可能にした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、オゾン発生器のオゾンで容器内にオゾン水を生成するオゾン水噴出器であり、該オゾン水噴出器の容器にはポンプ部が連結されており、該ポンプ部は、シリンダとピストンとピストン作動レバーと該ピストン作動レバーを自動復帰せしめる弾性体を備えており、前記シリンダには、前記オゾン水を前記容器から吸引するためのオゾン水吸引路と、前記オゾン水を噴出口に圧送するためのオゾン水圧送路が内蔵されており、該オゾン水圧送路は前記容器の上部に取付けられたオゾン排気管と連結されており、前記容器内に生成されたオゾン水は、前記オゾン水圧送路で前記噴出口に圧送されるとともに、未溶存のオゾンは、前記オゾン排気管で前記オゾン水圧送路に導かれ、前記オゾン水とともに噴出せしめられることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【0011】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記オゾン水圧送路の先端にノズルが設けられており、該ノズルに前記オゾン排気管が連結されていることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【0012】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記オゾン水圧送路は垂直圧送路と水平圧送路から構成され、前記オゾン排気管が前記水平圧送路に内装されており、前記オゾン排気管は、前記ポンプ部の側壁に設けられた貫通孔から挿入され、前記水平圧送路の噴出口近辺まで延びていることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【0013】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記オゾン発生器が無声放電式オゾン発生器であり、該オゾン発生器と前記オゾン水噴出器はチューブで連結されていることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【0014】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記オゾン発生器が無声放電式オゾン発生器であり、該オゾン発生器は前記オゾン水噴出器に一体的に取付けられていることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【0015】
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記オゾン発生器は電解式オゾン発生器であり、該電解式オゾン発生器は、円筒形容器に収納され、前記容器の上部に設けられたネジ付きの挿入口から、前記容器に挿入され、円筒形容器にはフランジが設けられ、該フランジと前記挿入口は、回転自在なネジ付きの接続キャップで締め付けられシールされていることを特徴とするオゾン水噴出器である。
【発明の効果】
【0016】
第1の解決手段による効果は、(1)オゾン水とオゾンを同時に噴出できるので、消臭、殺菌効果を同時に得ることができる。(2)オゾン水噴射時にオゾン水圧送路に吸引力が発生し、容器の上部に対流したオゾンはオゾン水圧送路に吸引されるので、オゾンとオゾン水を効率よく混合することができる。(4)オゾン水を噴射しないときでもオゾンを放出できるので周辺環境を消臭できる。(5)高濃度のオゾンを水に吹き込んでオゾン水を生成し、未溶存のオゾン濃度は低濃度となって出て行くので、オゾンを安全基準以下の濃度に調整できる。
【0017】
第2の解決手段による効果は、(1)ノズルの形状や口径を変えることができる。(2)オゾン水の噴出形態を変えることができるので、使用目的に応じて、例えば、霧状、シャワー状、ストレート状などの様々な噴出形態を得ることができる。
【0018】
第3の解決手段による効果は、(1)オゾン排気管をオゾン水圧送路に内装できるので、オゾン水を噴射する際に、オゾン排気管が邪魔にならない。(2)オゾン排気管の噴出口とオゾン水圧送路の噴出口の相対的な位置を調整することにより、オゾンとオゾン水が効率的に混合され、消臭、殺菌効果が向上する。(3)オゾン水の噴出力でオゾンが吸引され、ノズルから噴出したオゾン水とオゾンを効率よく混合できる。
【0019】
第4の解決手段による効果は、(1)オゾンの濃度、噴出容量、噴出圧力に応じて、無声放電式オゾン発生器を目的に応じて自在に交換できるので、種々の用途に応用できる。(2)チューブの脱着を簡単な構造にすることにより、オゾン水を噴出する際に、無声放電式オゾン発生器を切り離すことができるので、オゾン水噴射作業が容易である。
【0020】
第5の解決手段による効果は、無声放電式オゾン発生器とオゾン水噴出器が一体化されているので、持ち運びが容易であり、オゾン水を生成しながらオゾンとオゾン水を同時に噴出できる。
【0021】
第6の解決手段による効果は、(1)電解式オゾン発生器とオゾン水噴出器が一体化されているので、オゾンとオゾン水を同時に噴出できる。(2)電解式オゾン発生器の電源部が容器の外側に配置されているので、着脱が容易であり、電源部とオゾン水が隔離されるので漏電しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】は無声放電式オゾン発生器とオゾン噴出器の断面図。
図2】は無声放電式オゾン発生器とオゾン水噴出器の断面図。
図3】は無声放電式オゾン発生器とオゾン水噴出器の断面図。
図4】は無声放電式オゾン発生器を取り外したオゾン水噴出器の断面図。
図5】はオゾン水噴出器と無声放電式オゾン発生器と一体化した断面図。
図6】はオゾン水噴出器に電解式オゾン発生器を取付けた断面図。
図7】はポンプ部の部分縦断面図。
図8】はポンプ部の部分横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を請求項1〜6及び図1〜8に基づいて説明する。
【0024】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、オゾン発生器200のオゾンで容器110内にオゾン水を生成するオゾン水噴出器100であり、該オゾン水噴出器100の容器110にはポンプ部120が連結されており、該ポンプ部120は、シリンダ121とピストン122とピストン作動レバー123と該ピストン作動レバー123を自動復帰せしめる弾性体124を備えており、前記シリンダ121には、前記オゾン水を前記容器110から吸引するためのオゾン水吸引路125と、前記オゾン水を噴出口100aに圧送するためのオゾン水圧送路126が内蔵されており、該オゾン水圧送路126は前記容器110の上部に取付けられたオゾン排気管111と連結されており、前記容器110内に生成されたオゾン水は、前記オゾン水圧送路126で前記噴出口100aに圧送されるとともに、未溶存のオゾンは、前記オゾン排気管111で前記オゾン水圧送路126に導かれ、前記オゾン水とともに噴出せしめられることを特徴とするオゾン水噴出器100である。
【0025】
オゾン発生器200には無声放電式オゾン発生器210と電解式オゾン発生器220がある。図1は、無声放電式オゾン発生器210とオゾン噴出器100をオゾン供給管211で連結している。オゾン供給管211は容器110の上部の挿入口110aから挿入され、容器110の底近くまで延びている。容器110には原料水が貯留されており、無声放電式オゾン発生器210で生成したオゾンを原料水に吹き込むことによりオゾン水を生成する。原料水は水道水、蒸留水などが使用できる。容器110の上部の取り出し口110bにはオゾン排気管111が連結され、オゾン水噴出器100の噴出口100a近辺でオゾン水圧送路126に連結されている。
【0026】
オゾン排気管111は、オゾン水圧送路126の接続口126aで、流れ方向に沿って斜め方向から接続されており、オゾンはオゾン水圧送路126の流れに吸引され、オゾン水とともに噴射される。又、オゾン発生器220で容器110にオゾンを供給しているときは、容器110内は加圧されており、オゾンは自動的にオゾン排気管111で排出され、オゾン水圧送路126に吹き込まれる。
【0027】
オゾン排気管111は、可撓性を有しており、例えば、シリコンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を使用できる。
【0028】
ポンプ部120のオゾン水吸引路125は、吸い上げ管112と連結されている。吸い上げ管112には入側ボール127が載置され、吸い上げたオゾン水が容器110側に逆流するのを防止する。吸い上げ管112は、容器110とポンプ部120を連結するための連結ホルダー113に支持されている。容器110はネジ付きの給水口114を設けており、連結ホルダー113と給水口114は、回転自在なネジ付きの接続キャップ115で接続されている。容器110に原料水を給水する際は、接続キャップ115を外せば、ポンプ部120と容器110を分離して、給水口114を開口できる。
【0029】
オゾン水圧送路126には、スリーブ129が嵌装されており、出側ボール130が載置されている。出側ボール130は、オゾン水吸い上げ時にオゾン水圧送路126から空気が侵入しないようにシールする。スリーブ129は、ピストンに嵌装している多孔スリーブ128に支持され、下方に落下しないようにしている。多孔スリーブ128は、垂直方向と水平方向に開口しており、シリンダ121へのオゾン水の吸入と排出を自在にするとともに、弾性体124のストッパーとしての機能を有する。
【0030】
無声放電式オゾン発生器210で生成されたオゾンは、オゾン供給管211で容器110に貯留した原料水に吹き込まれ、オゾン水が生成される。オゾン供給管211は、可撓性を有しており、例えば、シリコンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を使用できる。
【0031】
作動レバー123は、トリガー式やプッシュ式があるが、図1はトリガー式噴出器100を示す。ピストン作動レバー123は、支点ピン123aを中心に揺動し、作用点ピン122aでピストン122に作用する。ピストン作動レバー123を押し、弾性体124を圧縮して、ピストン122をシリンダ121に押し込むと、シリンダ121内のオゾン水は加圧され、オゾン水圧送路126を通って噴出口100aから噴出される。ピストン作動レバー123を解放すると、弾性体124の復元力によって、ピストン122は元の位置に押し戻されながら、オゾン水をシリンダ121に吸い上げる。オゾン水を吸い上げるときは、入側ボール127は解放され、出側ボール130は閉塞される。オゾン水を加圧圧送するときは、入側ボール127は閉塞され、出側ボール130は解放される。
【0032】
無声放電式オゾン発生器210を稼働中は、生成されたオゾンは容器110中の原料水を通過しながらオゾン水を生成し、残りのオゾンは容器110の上部に滞留し、容器110内圧の上昇によって加圧され、自動的にオゾン排気管111からオゾン水圧送路126に排出される。オゾン水噴出器100でオゾン水を噴射すると、オゾンはオゾン水に吸い込まれ混合された状態で、噴出口100aから霧状になって噴出される。
【0033】
無声放電式オゾン発生器210で生成されたオゾンは、水に溶けにくいので、大部分のオゾンは容器110の上部に滞留し、容器110内圧によってオゾン排気管111を通じて、オゾン水圧送路126に排出される。従来、水に対するオゾンの溶解度は酸素の10倍といわれているが、酸素そのものの溶解度が極めて低く、オゾンも発生量のごく一部しか水に溶解せず、残りのオゾンは、未溶存気体として容器110の上部に流出して、容器110の内圧を上昇させ、容器110やポンプ部120を破損させる恐れがあった。オゾン水を噴出していないときでも、オゾンは自動的に容器110から噴出口100aを通って排出されるので周囲環境を消臭できる。
【0034】
細菌の周囲に水があれば、オゾンが分解して発生した酸素原子と反応してヒドロキシルラジカル(OH)が細菌の細胞壁の周辺で生成される。このOHの酸化力は酸素原子よりも強く、細菌細胞膜を酸化して破壊する。細菌の細胞膜は酸素原子では酸化されないが、OHにより酸化浸食される。オゾン水とオゾンを同時に噴出することにより、殺菌と消臭を同時に具現化できる。介護の分野では、おむつの交換がメイン作業であるが、本発明のオゾン水噴出器100で、オゾンとオゾン水を噴出しながら作業することにより、介護室全体の消臭、おむつ交換時の消臭、体の拭き取り時の消臭、殺菌を同時に行える。
【0035】
高濃度のオゾンは有害であり、オゾン濃度については安全指針が定められている。本発明のオゾン水噴出器100は、一旦容器110内の水をくぐらせて、オゾン水を生成してからオゾン水と一緒に噴出させるのでオゾン濃度を瞬時に低下させることができる。日本産業衛生学会の定めた労働環境におけるオゾンの許容濃度は、0.1ppm(0.2mg/m3)以下である。(労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度)。又、アメリカ合衆国食料医薬品局(FDA)の最大許容濃度は0.05ppm(24h)以下である。日本空気清浄協会の設計基準では、最高0.1ppm、平均0.05ppmと定めている。独立行政法人国民生活センターのテストでは、35m3の部屋で、オゾン発生器出口2.2ppmでオゾン発生器を運転すると、30分間で0.1ppmに到達し、運転停止後30分経過すると、0.08ppm程度に低減し、最終的に無害な酸素に戻る。
【0036】
本発明により、オゾン水とオゾンを同時に噴出できるので、消臭、殺菌効果を同時に得ることができ、又、オゾン水とオゾンを生成しながら、オゾン水とオゾンを混合して同時に噴射できるので、強力な殺菌作用を対象物に与えることができる。オゾン水を噴射しないときでもオゾンを放出するので周辺環境を消臭できる。
【0037】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記オゾン水圧送路126の先端にノズル131が設けられており、該ノズル131に前記オゾン排気管111が連結されていることを特徴とするオゾン水噴出器100である。
【0038】
図2に示すように、オゾン水圧送路126の先端にノズル131を設けている。ノズル131には斜め後方からオゾン排気管111を接続するための分岐管132を備えている。分岐管132にオゾン排気管111を接続するためにソケット111bを設けて着脱を容易にしている。
【0039】
ノズル131の先端形状や口径を変えることにより、オゾン水の噴出形態を変えることができる。使用目的に応じて、例えば、霧状、シャワー状、ストレート状などの様々な噴出形態を得ることができる。
【0040】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記オゾン水圧送路126は垂直圧送路126Bと水平圧送路126Aから構成され、前記オゾン排気管111が前記水平圧送路126Aに内装されており、前記オゾン排気管111は、前記ポンプ部120の側壁120aに設けられた貫通孔126aから挿入され、前記水平圧送路126Aの噴出口100a近辺まで延びていることを特徴とするオゾン水噴出器100である。
【0041】
図3に示すように、オゾン排気管111をオゾン水圧送路126に内装しているので、ピストン作動レバー123を作動してオゾン水を噴射する際に、オゾン排気管111が邪魔にならない。オゾン排気管111と貫通孔126aは樹脂などの接着剤でシールする。
【0042】
図7に示すように、オゾン排気管111の噴出口111aをオゾン水圧送路126の噴出口100aに対して、噴出口間距離Sだけ後退させた位置に設定することにより、オゾンとオゾン水が効率的に混合され、オゾン水の噴出形態を霧状、シャワー状などに変化させることができ、様々な用途に応用できる。又、水平圧送路126Aの動圧により、オゾン水がオゾン排気管111に逆流することがなく、オゾンを効率的にオゾン水と混合できる。
【0043】
オゾン排気管111の噴出口111aは、噴出口間距離Sを一義的に決定してもよいが、使用目的に応じて、その都度任意に決定してもよい。例えば、図7に示すように、側壁120aにネジ付きの挿入口133を設け、オゾン排気管111にOリング135を外挿し、ネジ付きの接続キャップ134で押し込むことにより、オゾン排気管111と水平圧送路126Aをシールすることができる。接続キャップ134を緩めると、オゾン排気管111は自在に動けるので、噴出口111aと噴出口100aの噴出間距離Sを自在に調整できる。
【0044】
図8に示すように、オゾン排気管111の噴出口111aと水平圧送路126Aの噴出口100aは、同心円状に設けてあり、隙間Gを有している。隙間Gは、0.1〜1.5mmが望ましい。0.1mmより小さいと、噴出水量が少なくなり、散布効率が低下する。1.5mmより大きいと、対象物への噴射圧が大きくなり周辺に飛散する問題が生じる。水平圧送路126Aの内径D1は3〜8mmが望ましい。オゾン排気管111の内径D2は、1〜5mmが望ましい。
【0045】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記オゾン発生器200が無声放電式オゾン発生器210であり、該無声放電式オゾン発生器210と前記オゾン水噴出器100の容器100はオゾン供給管211で連結されていることを特徴とするオゾン水噴出器100である。
【0046】
図1は、無声放電式オゾン発生器210とオゾン水噴出器100の容器110のオゾン供給管211で連結されている。容器110の上部には貫通孔110aが設けられ、オゾン供給管211は挿入口110aから容器110に挿入され、オゾン供給管211の先端211aは容器110の底部近傍まで延びている。
【0047】
図2図3は、オゾン供給管211が、外側オゾン供給管211Aと内側オゾン供給管211Bの2本に分離されている例を示している。外側オゾン供給管211Aの先端にはソケット211bが設けられており、内側オゾン供給管211Bに簡単に着脱できるようにした例を示している。
【0048】
オゾン供給管211を容器110から外せるようにすることにより、オゾンの濃度、噴出容量、噴出圧力に応じて、無声放電式オゾン発生器210を目的に応じて自在に交換できるので、種々の用途に応用できる。
【0049】
図4は、オゾン水を噴出する際に、オゾン供給管211のソケット211bを引き抜いて、無声放電式オゾン発生器210を容器110から切り離した状態を示している。オゾン水のみを噴射する際は、無声放電式オゾン発生器210をオゾン水噴出器100から切り離すことにより、オゾン水の噴射が容易となる。
【0050】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記オゾン発生器200が無声放電式オゾン発生器210であり、該無声放電式オゾン発生器210は前記オゾン水噴出器100に一体的に取付けられていることを特徴とするオゾン水噴出器100である。
【0051】
図5に示すように、無声放電式オゾン発生器210は、容器100の底110cに接着剤や固定用治具118で貼り付けて取付けることができる。
【0052】
無声放電式オゾン発生器210とオゾン水噴出器100が一体化されているので、持ち運びが容易であり、オゾン水を生成しながらオゾンとオゾン水を同時に噴出できる。
【0053】
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記オゾン発生器100は電解式オゾン発生器220であり、該電解式オゾン発生器220は、円筒形容器223に収納され、前記容器110の上部に設けられたネジ付きの挿入口116から、前記容器110に挿入され、前記円筒形容器223にはフランジ222が設けられ、該フランジ222と前記挿入口116は、回転自在なネジ付きの接続キャップ117で締め付けられシールされていることを特徴とするオゾン水噴出器100である
【0054】
図6に示すように、電解式オゾン発生器220は円筒形容器223に収納されている。容器110の上部にネジ付きの挿入口116が設けられ、電解式オゾン発生器220が挿入されている。電解式オゾン発生器220にはフランジ222が設けられ、フランジ222と挿入口116は、回転自在なネジ付きの接続キャップ117で締め付けられシールされている。電解式オゾン発生器220のスイッチ221は容器110の外に配置されており、操作を容易にしている。
【0055】
電解式オゾン発生器220の電極224はオゾン発生用の電極224であり、例えば陽極224Aは白金電極、陰極224Bはダイヤモンド電極を使用できる。電池(図示せず)もしくは電源部(図示せず)、電極224が円筒形容器223に収納されればよい。
【0056】
電解式オゾン発生器220とオゾン水噴出器100が一体化されているので、オゾンとオゾン水を同時に噴出できる。電解式オゾン発生器220は、接続キャップ117を緩めると、簡単に容器110から取り外せるので、電池や電極224の交換が容易である。
【符号の説明】
【0057】
100:オゾン水噴出器
100a:噴出口
110:容器
110a:挿入口
111:オゾン排気管
111a:噴出口
111b:ソケット
112:吸い上げ管
113:連結ホルダー
114:給水口
115:接続キャップ
116:挿入口
117:接続キャップ
118:固定治具
120:ポンプ部
120a:側壁
121:シリンダ
122:ピストン
122a:作用点ピン
123:ピストン作動レバー
123a:支点ピン
124:弾性体
125:オゾン水吸引路
126:オゾン水圧送路
126a:貫通孔
126A:水平圧送路
126B:垂直圧送管
126a:接続口
127:入側ボール
128:多孔スリーブ
129:スリーブ
130:出側ボール
131:ノズル
132:分岐管
133:挿入口
134:接続キャップ
135:テーパプラグ
200:オゾン発生器
210:無声放電式オゾン発生器
211:オゾン供給管
211A:外側オゾン供給管
211B:内側オゾン供給管
211a:先端
211b:ソケット
212:スイッチ
220:電解式オゾン発生器
221:スイッチ
222:フランジ
223:円筒形容器
224:電極
S:噴出口間距離
G:隙間
D1:水平圧送路の内径
D2:オゾン排気管の内径
【要約】
【課題】オゾンは、消臭効果は高いが、乾燥状態では殺菌効果が弱いため消毒や殺菌には使用されていない。オゾンを水に溶存せしめたオゾン水は極めて強い酸化力があり、あらゆる菌に有効であるが、濃度が薄いと完全な殺菌は困難である。オゾンとオゾン水を混合して散布できれば、消臭や殺菌に同時に有効であり、しかもオゾン水の殺菌効果も向上するが、オゾン水とオゾンを同時に噴射できるオゾン水噴出器は具現化されていなかった。
【解決手段】オゾン水噴出器の容器に充填し水にオゾン発生器でオゾンを供給し、オゾン水を生成し、ポンプ機構でオゾン水を吸い上げて、オゾン水圧送路で噴出口に圧送し、未溶存のオゾンは容器の上部からオゾン排気管で、オゾン水圧送路に導き、オゾン水圧送路の噴出口近辺で合流せしめて、オゾン水圧送路の吸引力でオゾンを吸引して、オゾン水とオゾンを混合し同時に噴射できるようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8