特許第6572544号(P6572544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572544
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】端子台及び温度調節計
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20190902BHJP
   H01R 12/51 20110101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01R9/00 A
   H01R12/51
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-15510(P2015-15510)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-139581(P2016-139581A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】天野 翔太
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−036781(JP,U)
【文献】 実開平04−052379(JP,U)
【文献】 実開平04−059068(JP,U)
【文献】 実開昭58−165866(JP,U)
【文献】 特開平11−160353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15− 9/28
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のプリント基板の外縁側に配設される基台と、該基台に保持され、所定の外部端子が接続される少なくとも1つの接続端子と、前記プリント基板の外縁側を厚さ方向から挟み込み可能な装着部とを備え、
前記接続端子は、前記プリント基板に、表面実装可能に設けられ、
前記装着部は、該装着部の挟み込み方向となる前記基台の幅方向に並んで複数設けられ
前記装着部は、前記接続端子の一部であって前記プリント基板に接する導体部と、該導体部と前記プリント基板を挟み込む挟み込み部とを備え、
前記導体部は、前記基台にて前記接続端子を支持する支持面に接触する被支持部と、該被支持部の両端にそれぞれ連なって設けられる一対のリード端部とを備えていることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記接続端子が前記プリント基板に表面実装されたときに、前記基台の幅内に前記プリント基板が収まることを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記一対のリード端部は、前記支持面から前記基台を貫通して先端側が該基台より突出するようにそれぞれ設けられ、前記基台の幅方向の中心位置から等距離となる位置に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記基台には、第1位置規制部が設けられ、該第1位置規制部は、前記プリント基板の一部に嵌って該プリント基板から前記基台が離れることを規制することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の端子台。
【請求項5】
前記基台には、第2位置規制部が設けられ、該第2位置規制部は、前記プリント基板の一部に嵌って前記外縁の延在方向に前記基台が相対変位することを規制することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の端子台。
【請求項6】
前記基台は、前記接続端子を支持する支持面を備え、該支持面は、前記基台の幅方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の端子台。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項のいずれかに記載の端子台と、該端子台を外縁側で実装するプリント基板とを備えた温度調節計において、
前記端子台の接続端子は、前記プリント基板の外縁側で表面実装されることを特徴とする温度調節計。
【請求項8】
前記請求項に記載の端子台と、該端子台を外縁側で実装するプリント基板とを備えた温度調節計において、
前記端子台の接続端子は、前記プリント基板の外縁側で表面実装され、
前記プリント基板には、第1被嵌合部が形成され、該第1被嵌合部が前記第1位置規制部と嵌り合って前記プリント基板から前記端子台が離れることを規制することを特徴とする温度調節計。
【請求項9】
前記請求項に記載の端子台と、該端子台を外縁側で実装するプリント基板とを備えた温度調節計において、
前記端子台の接続端子は、前記プリント基板の外縁側で表面実装され、
前記プリント基板には、第2被嵌合部が形成され、該第2被嵌合部が前記第2位置規制部と嵌り合って前記外縁の延在方向に前記端子台が相対変位することを規制することを特徴とする温度調節計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の外縁側で実装される端子台及びこれを用いた温度調節計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、規格等に応じて種々の大きさに設けられた温度調節計が利用されている(特許文献1参照)。かかる温度調節計としては、筐体の前面側に設けられた測定値や設定値を表示する表示パネルと、筐体の後方に設けられ、リード線等を介して熱電対やヒータに接続される端子台とを備えたものがある。
【0003】
端子台は、圧着端子等の外部端子に接続される金属製の接続端子と、接続端子が固定される基台とを備えている。接続端子は、筐体の内部に配設されるリード端子を有している。リード端子は、プリント基板に形成された孔に通され、この状態で、プリント基板に対してはんだ付けすることで固定される。つまり、端子台は、プリント基板に挿入実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−34776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記挿入実装にあっては、リード端子をプリント基板の孔に通すため、基台からリード端子を側方に突出するよう形成する必要がある。このため、プリント基板の厚さ方向に、プリント基板と基台とが並ぶこととなり、当該厚さ方向の寸法が大きくなって嵩張ってしまう、という問題がある。この結果、端子台がレイアウトについて制約を受けたり、特に小型の温度調節計では、並設する端子台の設置数が少なくなったりする、という問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、プリント基板に実装された状態において、プリント基板の厚さ方向に嵩張ることを抑制することができる端子台及び温度調節計の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端子台は、所定のプリント基板の外縁側に配設される基台と、該基台に保持され、所定の外部端子が接続される少なくとも1つの接続端子と、前記プリント基板の外縁側を厚さ方向から挟み込み可能な装着部とを備え、前記接続端子は、前記プリント基板に、表面実装可能に設けられ、前記装着部は、該装着部の挟み込み方向となる前記基台の幅方向に並んで複数設けられ、前記装着部は、前記接続端子の一部であって前記プリント基板に接する導体部と、該導体部と前記プリント基板を挟み込む挟み込み部とを備え、前記導体部は、前記基台にて前記接続端子を支持する支持面に接触する被支持部と、該被支持部の両端にそれぞれ連なって設けられる一対のリード端部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、表面実装を採用したので、挿入実装のように接続端子を基台から突出するように形成しなくても、プリント基板に装着することができる。従って、接続端子において、プリント基板にはんだ付けする部分を基台の幅内に形成しても、当該はんだ付けを行うことができ、この状態で、基台の幅内にプリント基板を収めることができる。この結果、プリント基板に端子台を装着した状態において、少なくともプリント基板の厚さ分、当該厚さ方向の寸法を小さくすることができる。これにより、端子台におけるレイアウトの自由度を高め、限られた寸法で並設する端子台の設置数を多く確保することができる。
【0009】
また、本発明の温度調節計は、端子台と、該端子台を外縁側で実装するプリント基板とを備えた温度調節計において、前記端子台の接続端子は、前記プリント基板の外縁側で表面実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリント基板に実装された状態において、プリント基板の厚さ方向に嵩張ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る温度調節計の概略斜視図である。
図2】本実施の形態に係る温度調節計を後方から見た図である。
図3】本実施の形態に係る温度調節計を上方から見た図である。
図4】本実施の形態に係る端子台を後方から見た図である。
図5】本実施の形態に係る端子台を右側方から見た図である。
図6図5のA矢視断面図である。
図7図5のB矢視断面図である。
図8】本実施の形態に係る端子台を前方から見た図である。
図9】本実施の形態に係る端子台を上方から見た図である。
図10】プリント基板に端子台を装着した状態を右側方から見た図である。
図11】比較例に係る温度調節計を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る温度調節計は、温度センサや熱電対等からの入力に対し、ヒータなどに出力を出力して温度制御を行う装置である。なお、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、使用状態となる図1を基準として用いる。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る温度調節計の概略斜視図である。図1に示すように、温度調節計10は、前後方向に延びる四角い筒状の筐体11と、筐体11の前方に設けられた前面部12とを備えている。前面部12は、測定値や設定値を表示する表示領域12aと、オペレータにより操作される複数のボタンからなる操作部12bとを備えている。筐体11の後方には、複数(本実施の形態では5枚)の仕切り板部13が連なって設けられている。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る温度調節計を後方から見た図である。図2に示すように、温度調節計10は、筐体11の後側(図2では手前側)に設けられて上下方向に延在する3体の端子台20を備えている。3体の端子台20は、左右に並んで設けられている。端子台20は、筐体11の後方から見て、左右に延在する仕切り板部13によって、接続端子21毎に上下方向で仕切られている。接続端子21には、温度センサ等の測定器や、ヒータ等の外部機器からの入出力を行うリード線の圧着端子(外部端子)が接続される。
【0015】
図3は、本実施の形態に係る温度調節計を上方から見た図である。図3に示すように、温度調節計10は、筐体11内に、4枚のプリント基板15を備えている。本実施の形態では、符号15aで示すプリント基板15は入出力ボード15a、符号15bで示すプリント基板15はオプションボード15b、符号15cで示すプリント基板15は電源ボード15c、符号15dで示すプリント基板15は前面ボード15dとされる。
【0016】
入出力ボード15aは、温度センサや、電圧、電流信号等の測定値を入力する機能の他、リレー接点出力、SSR駆動出力、電流出力を行う機能を備えている。オプションボード15bは、通信機能や、デジタル入力機能等を備えている。電源ボード15cは、電源からの入力機能の他、警報信号を出力する機能を備えている。前面ボード15dは、他のボード15a〜15cと共に、各種の演算処理や制御を行う。オプションボード15bは、ユーザのニーズに応じて選択的に使用されるものであり、特に使用しない場合には、取り外しても温度調節計10として温度制御を行うことができる。
【0017】
入出力ボード15a、オプションボード15b、電源ボード15cは、前後方向及び上下方向(図3中紙面直交方向)に表裏の各面が向けられ、相互に平行となるよう左右方向に間隔を空けて並設されている。前面ボード15dは、左右及び上下方向に表裏の各面が向けられている。入出力ボード15a、オプションボード15b、電源ボード15cは、後部の外縁側に端子台20がそれぞれ装着され、これら端子台20は、同一構成とされる。入出力ボード15a、電源ボード15cは、前端側において、前面ボード15dに対し、はんだ付けにて接続固定されている。オプションボード15bは、前面ボード15dに対し、不図示のコネクタを介して接続され、該コネクタでの挿抜によって着脱自在となっている。なお、端子台20に対する入出力ボード15a、オプションボード15b、電源ボード15cの装着については、後述する。
【0018】
続いて、端子台20の詳細な構成について、図4から図10を参照して説明する。図4は、端子台を後方から見た図であり、図5は、端子台を右側方から見た図である。図6は、図5のA矢視断面図である。図4から図6に示すように、端子台20は、上下方向に並んで設けられた複数(本実施の形態では6体)の接続端子21と、接続端子21を保持する基台22とを備えている。基台22は、後方から見て上下方向に長い長方形状をなし、左右方向を幅方向として形成される。基台22の後面には、接続端子21を支持するための支持面22a(図5では不図示)が形成されている。支持面22aは、左右方向に対し、左前方向(右後方向)に傾斜する方向に向けられている。また、基台22の後面には、上述した仕切り板部13(図2参照)を受容する溝22bが形成されている。
【0019】
図7は、図5のB矢視断面図である。図7に示すように、接続端子21は、雄ねじからなる端子ねじ24と、端子ねじ24を保持する導体部25と、端子ねじ24と導体部25との間に介在されたワッシャ26とを備えている。
【0020】
端子ねじ24は、頭部が後方に露出し、軸部が基台22の支持面22aを凹ますように形成された受容部22cに受容されている。
【0021】
導体部25は、金属等の導体片を折り曲げ加工することによって形成されている。導体部25は、支持面22aに対して面接触する被支持部25aと、被支持部25aの左右両端にそれぞれ連なって設けられるリード端部25bとを備えている。被支持部25aには、端子ねじ24に螺合する雌ねじ部25cが形成されている。雌ねじ部25cにおける中心軸線C1の位置は、支持面22aに直交する方向に向けられ、これにより、雌ねじ部25cに螺合する端子ねじ24は、後方から見て左向きに傾いた状態になる(図4参照)。
【0022】
左右のリード端部25bは、支持面22aから基台22を貫通し、先端側が基台22の前面22dより前方に突出するようにそれぞれ設けられている。左右のリード端部25bは、前面22dからの突出高さが同一となっている。また、左右のリード端部25bは、基台22の左右方向の中心位置C2から等距離となり、且つ、基台の幅(左右幅)内に収まる位置に配設されている。
【0023】
図8は、端子台を前方から見た図である。上述のように、リード端部25bは、基台22の前面22dより前方に突出するので、図8に示すように端子台20を前方から見ると、複数のリード端部25bが上下に並んで配設される。また、端子台20には、基台22の一部として、前面22dから前方に突出する挟み込み部を構成する第1突部22eと、第1突部22eの前面より更に前方に突出する複数の挟み込み部を構成する第2突部22fとが形成されている。第1突部22eは、前面22dの上下両端間に亘って形成され、第1突部22eの左右の側面は左右方向に隣り合うリード端部25bから等距離隔てた位置に形成されている。
【0024】
第2突部22fの形成位置は、最上位及び最下位のリード端部25bを除く各リード端部25bに対し、左右方向で基台22の中心位置C2側に所定距離離れた位置とされる。図9は、端子台を上方から見た図である。図9に示すように、第2突部22fは、上面視で、概略三角形若しくは台形状に形成され、先端に向かうに従って細くなる形状に設けられている。図7に戻り、第2突部22fは、第1突部22eの左右の側面と同一面上に位置する当接面部22faを備えている。
【0025】
ここで、第1突部22eの側面及び当接面部22faと、これに対向するリード端部25bの内面との離間幅は、プリント基板15の厚さより若干小さく形成されている。これにより、それらの間にプリント基板15の外縁側を挿入したときに、リード端部25bが弾性変形し、プリント基板15がリード端部25bの弾性力を受ける。従って、リード端部25bと、第1突部22eの側面及び当接面部22faとによって、プリント基板15の外縁側が厚さ方向から挟み込まれる。ここにおいて、リード端部25bを形成する導体部25と、第1突部22eと、当接面部22faを形成する第2突部22fとによって、装着部30が構成される。装着部30は、基台22の中心位置C2を挟みつつ左右方向に並んで複数(本実施の形態では2体)設けられる。
【0026】
図10は、プリント基板に端子台を装着した状態を右側方から見た図である。図8及び図10に示すように、基台22は、前面22dにおける上下両側に設けられた第1位置規制部27を備えている。第1位置規制部27は、前面22dから前方に突出し、先端が内向きの鉤状をなす突起によって形成されている。第1位置規制部27は、装着部30の配設領域に応じ、基台22の中心位置C2(図10では不図示)を挟んで左右両側にそれぞれ設けられる。
【0027】
プリント基板15(図8では不図示)の後縁側における上下各コーナー部には、第1被嵌合部15aがそれぞれ形成されている。第1被嵌合部15aは、第1位置規制部27に嵌る鉤形状の外縁によって形成され、第1位置規制部27に第1被嵌合部15aが嵌ったときに、プリント基板15から基台22が離れる方向(後方)への相対変位が規制される。
【0028】
基台22は、前面22dにおいて上から2番目と3番目のリード端部25bの間と、上から4番目と5番目のリード端部25bの間とに設けられた第2位置規制部28を備えている。第2位置規制部28は、第1突部22e(図10では不図示)の左右方向に隣接する位置において、前面22dから前方に突出するリブによって形成され、下方の第2位置規制部28aの方が、上方の第2位置規制部28bより突出高さが相対的に高く形成されている。
【0029】
プリント基板15の後縁側における2箇所位置には、当該後縁を部分的に凹ませるように第2被嵌合部15b、15cが形成されている。下方の第2被嵌合部15bと、上方の第2被嵌合部15cとでは、(前後方向の)深さが異なっている。具体的には、下方の第2被嵌合部15bは、下方の第2位置規制部28aを挿入し得る深さに設定されている。一方、上方の第2被嵌合部15cは、上方の第2位置規制部28bを挿入し得るものの、下方の第2位置規制部28aを全体的に挿入し得ない深さに設定されている。従って、端子台20が上限反転し、第2位置規制部28a、28bの位置が図10で示す位置と上下反対になると、突出高さが高い第2位置規制部28aの先端に第2被嵌合部15cの底側が接触し、プリント基板15に端子台20を実装できなくなる。つまり、端子台20の実装において、端子台20が上下反対になることを回避することができる。
【0030】
第2被嵌合部15b、15cの上下幅は、第2位置規制部28a、28bの上下幅と同一又は若干大きく形成されている。従って、第2被嵌合部15b、15cに第2位置規制部28a、28bが挿入されて嵌った状態において、プリント基板15の後縁の延在方向、つまり、上下方向に、基台22とプリント基板15とが相対変位することを規制することができる。
【0031】
続いて、端子台20のプリント基板15への実装方法について説明する。
【0032】
先ず、図7に示すように、端子台20における左右の装着部30のうち、何れか一方の装着部30におけるリード端部25bと、各突部22e、22fとの間にプリント基板15の後端側を差し込む。このとき、図10に示すように、第2被嵌合部15b、15cの深さに対し、第2位置規制部28a、28bが対応するよう端子台20の上下の向きを設定し、第2被嵌合部15b、15c内に第2位置規制部28a、28bを受容させる。これと同時に、上下2箇所の第1被嵌合部15aにおいて、第1位置規制部27を相互に嵌合させる。これにより、プリント基板15に端子台20が装着され、各リード端部25bがプリント基板15の電極15dに面接触した状態が維持される。
【0033】
この状態から、端子台20が装着されたプリント基板15をリフロー炉に投入し、プリント基板15の電極15dに印刷されたはんだペーストを溶解させる。これにより、はんだを介して電極15dとリード端部25bとが接合され、接続端子21におけるリード端部25bがプリント基板15に表面実装される。
【0034】
なお、かかる表面実装は、プリント基板15が左右の装着部30の何れに装着される場合にも、同様にして行うことができる。左右の装着部30の何れにプリント基板15を装着しても、その状態を後方から見たときに、基台22の幅(左右幅)内にプリント基板15を収めることができる(図7参照)。これにより、端子台20とプリント基板15とをユニットとして見た場合において、当該ユニットの左右幅を基台22の左右幅と同じとして嵩張らないようにすることができる。
【0035】
ここで、本実施の形態に対する比較例として、従来の挿入実装の構造について、図11を参照して説明する。図11は、比較例に係る温度調節計を上方から見た図である。図11に示すように、比較例に係る温度調節計100の端子台120においても、プリント基板115の後端側に装着されている。但し、比較例では、端子台120における接続端子125のリード端部125bが、側方(左方又は右方)に突出するよう形成されている。このリード端部125bは、プリント基板115に形成された孔に貫通させた後、はんだ付けすることで挿入実装される。従って、挿入実装が完了した状態において、プリント基板115は、端子台120の基台122より左右方向外側に配置される。従って、比較例より実施の形態の上記ユニットの方が、プリント基板115の厚さ分、左右幅を小さくして嵩張らないようにすることができる。
【0036】
これにより、比較例に比べて実施の形態の方が、端子台20及びプリント基板15のレイアウトの自由度を向上することができる。また、規格等によって予め設定された左右幅内で、複数の端子台20を左右に並べる場合、実施の形態の方が端子台20の設置数を多くすることができ、接続端子21も増設して、温度調節計10の制御機能を増やすことができる。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、装着部30を左右に2箇所設けたので、プリント基板15を装着する装着部30を選択することができる。従って、図3中、入出力ボード15aやオプションボード15bのように、右側に端子台20が大きくはみ出すように実装したり、電源ボード15cのように、左側に端子台20が大きくはみ出すように実装したりすることができる。これにより、筐体11の内部において、端子台20の位置を変更できない場合でも、各ボード(プリント基板)15a〜15cの位置を変更でき、設計の自由度を高めることができる。
【0038】
また、装着部30では、プリント基板15の厚み方向(左右方向)から挟み込むので、端子台20とプリント基板15との左右方向での相対変位を規制することができる。しかも、リード端部25bの弾性力によってプリント基板15を押さえ付けることができるので、はんだ付けを行う前に、プリント基板15と端子台20との相対位置がずれたり、向きが変わったりすることを抑制することができる。
【0039】
また、基台22の第1位置規制部27に、プリント基板15の第1被嵌合部15aが嵌り合うことで、プリント基板15から端子台20が離れる方向(後方)への相対変位を規制することができる。更に、基台22の第2位置規制部28に、プリント基板15の第2被嵌合部15b、15cが嵌り合うことで、端子台20とプリント基板15との上下方向の相対変位を規制することができる。このように、本実施の形態では、左右、前後及び上下方向の直交3軸方向における端子台20とプリント基板15との相対変位を規制することができる。これにより、表面実装のリフロー工程等において、端子台20を治具に装着する工程を省略できる他、実装される端子台20の位置精度を向上することができる。
【0040】
また、基台22において、接続端子21を支持する支持面22aが基台22の幅方向(左右方向)に対して傾斜しているので、その傾斜方向に沿って、圧着端子等の外部端子を接続端子21に対して差し込むことができる。従って、かかる差し込みの際、左右に隣り合う接続端子21が邪魔になり難くなり、外部端子の接続の容易化を図ることができる。
【0041】
本発明は上記実施の形態に限定されず種々変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態で説明した数値、寸法、材質、方向については特に制限はない。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【0042】
例えば、温度調節計10における端子台20の設置数は、変更してもよく、少なくとも1台あればよい。更に、端子台20における接続端子21の設置数も、少なくとも1つあればよい。
【0043】
また、装着部30では、リード端部25bが弾性力によってプリント基板15を押さえ付けないようにしてもよいが、かかる押さえ付けを行った方が、表面実装の工程中に、端子台20がずれ難くなる点で有利となる。
【0044】
また、装着部30において、第1突部22e、第2突部22eによって挟み込み部を形成したが、これに限られるものでなく、導体部25の一部とによりプリント基板15を挟み込み可能あれば、基台22とは別部材によって挟み込み部を形成してもよい。
【0045】
また、第1位置規制部27及び第1被嵌合部15aの構成は、変更してもよく、例えば、上記実施の形態における鉤状の向きを上下逆向きとしてもよい。
【0046】
また、各第2位置規制部28a、28bの高さを同一とし、第2被嵌合部15b、15cの深さもこれに応じて同一としてもよい。これによれば、プリント基板15に対する端子台20の上下の向きを選択することができ、ひいては、支持面22aや接続端子21の傾斜の向きも選択することができる。更に、第2位置規制部28と、第2被嵌合部15b、15cとの構成は、変更してもよく、例えば、第2被嵌合部15b、15cを、プリント基板15の後縁から突出する凸部とし、第2位置規制部28を基台22の前面22dに形成される凹部としてもよい。
【0047】
また、本発明の端子台20は、プリント基板15に実装する限りにおいて、温度調節計10以外の測定器や、制御機器等の各種装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 温度調節計
15 プリント基板
15a 第1被嵌合部
15b 第2被嵌合部
15c 第2被嵌合部
20 端子台
21 接続端子
22 基台
22a 支持面
22e 第1突部(挟み込み部)
22f 第2突部(挟み込み部)
25 導体部
27 第1位置規制部
28 第2位置規制部
30 装着部
図1
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