(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記使用度取得部は、各交換作業で回収された各バッテリが前記電動車両に搭載されていた間における、前記バッテリに与えられた物理負荷を示す情報、前記バッテリの環境に関する情報、および、前記バッテリから出力された電気エネルギーに関する情報の少なくとも一つを用いて、前記特徴量を求めることを特徴とする請求項1に記載の交換価値設定装置。
前記特徴量は、所定回数の前記交換作業が行われた場合において、各交換作業で回収された各バッテリが前記電動車両に搭載されていた間の、前記電動車両の加速度または速度が閾値超過した回数を示す閾値超過値の合計値であることを特徴とする請求項2に記載の交換価格設定装置。
前記特徴量は、所定回数の前記交換作業が行われた場合において、各交換作業で回収された各バッテリが前記電動車両に搭載されていた間の、各バッテリの周囲温度または周囲湿度が閾値超過した回数を示す閾値超過値の合計値であることを特徴とする請求項2に記載の交換価格設定装置。
前記特徴量は、所定回数の前記交換作業が行われた場合において、各交換作業で回収された各バッテリが前記電動車両に搭載されていた間の、各バッテリから出力された電流値または電力値が閾値超過した回数を示す閾値超過値の合計値であることを特徴とする請求項2に記載の交換価格設定装置。
前記交換作業が行われる度に、前記閾値超過値と、前記交換作業の対象となる顧客の識別情報とを対応付けた閾値超過情報を入力し、入力した閾値超過情報を用いて、各交換作業にて入力される各バッテリが電動車両に搭載されていた間の各閾値超過値を顧客毎に示すとともに、前記記憶部に記憶されたデータベースを更新するデータベース処理部を備え、
前記使用度取得部は、前記データベースを参照して、顧客毎に前記合計値を算出することを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の交換価格設定装置。
前記特徴量が所定範囲の標準クラスと、前記標準クラスよりも前記特徴量で示される早期劣化使用度が高い高劣化クラスと、前記標準クラスよりも前記特徴量で示される早期劣化使用度が低い低劣化クラスとのいずれかに前記顧客を分類するクラス分類部を備え、
前記価格設定部は、前記高劣化クラスの顧客に対して、前記標準クラスの顧客よりも前記交換価格を高く設定し、前記低劣化クラスの顧客に対して、前記標準クラスの顧客よりも前記交換価格を低く設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の交換価格設定装置。
前記所定範囲は、前記特徴量を階級として顧客数を度数とした度数分布の標準偏差をσとし、平均値をμとすると、μ±σの範囲に設定されることを特徴とする請求項7に記載の交換価格設定装置。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔実施形態1〕
以下、本発明の交換価格設定装置の一実施形態について図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の価格設定システムの概略構成を示すブロック図である。
【0037】
図1に示される価格設定システム100はバッテリ交換ステーションに設置されるものである。まず、本実施形態の前提事項としてバッテリ交換ステーションについて、説明する。
【0038】
バッテリ交換ステーションは、電動車両に搭載されている少残量のバッテリを、事前に充電済のバッテリに交換するサービスを顧客に提供する施設である。バッテリ交換ステーションの一例が特許文献1(特開2014−8890号公報)や特許文献2(特開2012−6591号公報)に示されている。
【0039】
本実施形態のバッテリ交換ステーションのサービスを利用できる顧客としては、当該バッテリ交換ステーションを経営する業者と予め契約した会員のみに限定される。そして、バッテリ交換ステーションでは、バッテリ交換を必要とする電動車両に乗った顧客Y(勿論会員である)が入店すると、当該電動車両に搭載されている少残量のバッテリが予め用意されている充電済のバッテリに交換される。顧客Yの電動車両から外された少残量のバッテリは、バッテリ交換ステーションに設置されている充電装置によって充電され、後に来店するいずれかの顧客(顧客Yに限定されない)の電動車両のバッテリ交換において充電済のバッテリとして用いるためにストックされる。つまり、本実施形態のバッテリ交換ステーションにて用いられる各バッテリは、単独の顧客に専ら用いられるのではなく、複数の顧客(会員)に使いまわされるようになっている。
【0040】
続いて
図1の価格設定システム100を説明する。
図1の価格設定システム100は、或るバッテリ交換ステーションに設置されているシステムである。
図1に示されるように、価格設定システム100は、バッテリ300との間で無線通信を行う通信装置200と、バッテリ交換価格を設定する価格設定装置400とを備えている。なお、通信装置200と価格設定装置400とはネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0041】
(通信装置200およびバッテリ300について)
バッテリ300は、会員資格を有する顧客に貸し出されるバッテリであり、バッテリ交換作業において顧客の電動車両に取り付けられることによって顧客に貸し出され、バッテリ交換作業において顧客の電動車両から取り外されることによってバッテリが回収(返却)される。なお、バッテリ300は、2次電池として機能するセル301を収容しているバッテリーパッケージである。
【0042】
通信装置200は、バッテリ交換作業において電動車両に取り付けられる直前の充電済のバッテリと通信を行い、また、当該バッテリ交換作業において電動車両から取り外されて回収されたバッテリと通信を行う装置である。なお、通信装置200は、バッテリ300を充電するための図示しない充電装置に組み込まれていてもよい。以下、通信装置200およびバッテリ300の構成を説明する。
【0043】
図1に示すように、バッテリ300は、セル301の他、無線通信部302と、加速度センサ303と、記憶部304と、制御部305とを少なくとも収容する。通信装置200は、無線通信部201と、ID入力部202と、制御部203と、記憶部204とを備えている。
【0044】
まず、バッテリ300側の構成を説明する。セル301は、バッテリ300が搭載される電動車両のモータに対して電力を供給する2次電池である。なお、本実施形態のバッテリ交換ステーションでは、セル301は、バッテリ300が電動車両から外されている間に、充電装置(不図示)によって充電される。
【0045】
無線通信部302は、通信装置200の無線通信部201の通信可能エリアに入った時のみ、無線通信部201との間で無線通信を行うようになっているアンテナである。具体的には、通信装置200における所定の通信位置にバッテリ300が置かれると、バッテリ300に構成される無線通信部302が無線通信部201の通信可能エリアに入り、無線通信部302と無線通信部201とが無線通信可能に接続されるようになっている。
【0046】
加速度センサ303は、加速度を出力する機器である。つまり、バッテリ300が電動車両に搭載されている間、加速度センサ303から出力される加速度は電動車両の加速度である。
【0047】
制御部305は、バッテリ300が備えている各ハードウェアを制御する制御用集積回路である。記憶部304は、制御部305によって情報の記憶および読み出しが行われる記憶装置である。なお、記憶部304は、制御部305と別体で構成される記憶装置であってもよいし、制御部(制御用集積回路)305内に備えられる記憶装置であってもよい。
【0048】
つぎに、通信装置200側の構成を説明する。無線通信部201は、前述したように、通信装置200における所定の通信位置に置かれたバッテリ300の無線通信部302との間で無線通信を行うアンテナである。
【0049】
ID入力部202は、バッテリ交換作業の対象となる顧客に固有の顧客ID(識別情報)を受け付ける装置である。ID入力部202は、例えば会員カードから顧客IDを読み出すカードリーダであってもよいし、顧客IDを示す番号を入力する入力装置(キーボード等)であってもよい。
【0050】
制御部203は、通信装置200の各ハードウェアを制御するプロセッサ、RAM、ROM等からなるコンピュータである。制御部203としては、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いることができる。記憶部204は、制御部203にて処理された情報を保存するハードディスクまたは半導体メモリであり、制御部203に接続されていてもよいし、制御部203に組み込まれていてもよい。
【0051】
つぎに、通信装置200およびバッテリ300にて行われる処理について具体的に説明する。以下では、最初に、顧客Yの電動車両のバッテリ交換作業において当該電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリ300に対する通信装置200の通信処理を説明し、次に、電動車両に搭載されている間のバッテリ300の制御部305の処理を説明し、その後に、顧客Yの電動車両のバッテリ交換作業において顧客Yの電動車両から外されて回収(返却)されるバッテリ300に対する通信処理を説明する。
【0052】
(電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリに対する通信処理)
まず、顧客Yがバッテリ交換のためにバッテリ交換ステーションに入店すると、バッテリ交換作業前に、顧客Yの会員カードをID入力部202に読み取らせることにより、顧客Yの顧客IDが通信装置200に入力される。これにより、通信装置200の制御部203はバッテリ交換作業の対象となる顧客Yの顧客IDを検出する。
【0053】
また、顧客Yの電動車両に対するバッテリ交換作業の前に、当該バッテリ交換作業において顧客Yの電動車両に取り付けられようとする充電済のバッテリ300は通信装置200の所定の通信位置に置かれる。
【0054】
電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリ300が当該通信位置に置かれると、通信装置200の制御部203は、無線通信部201を介して、ID入力部202から入力された顧客ID(顧客Yの顧客ID)をバッテリ300側に送信する。なお、制御部203は、所定の通信位置に置かれたバッテリ300が電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリであるか否かを、当該バッテリの記憶部304に顧客IDが格納されているか否かで判断することができる。すなわち、制御部203は、所定の通信位置に置かれたバッテリ300の記憶部304に顧客IDが格納されていない場合に、当該バッテリ300が電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリであると判断する。
【0055】
バッテリ300の制御部305は、無線通信部302を介して、通信装置200から送信されてくる顧客IDを受信し、顧客IDを記憶部304に保存する。この時、制御部305は、後述する閾値超過回数をゼロに初期設定した上で、当該閾値超過回数を顧客IDと対応付けて記憶部304に保存する。閾値超過回数とは、加速度センサ303から出力される加速度が閾値を超過した回数を指す。なお、前記閾値としては、バッテリ300の劣化を早めるような急加速に相当する加速度(電動車両の加速度)に設定される。具体的には、バッテリ300のメーカ側、または、バッテリ交換スタンドの業者側において、加速度とバッテリ300の劣化の程度との相関性を調査する試験を行い、試験結果に基づいて適切な値に定められる。
【0056】
このようにして、顧客Yの顧客IDと初期設定された閾値超過回数とが対応付けられてバッテリ300の記憶部304に書き込まれた後、顧客Yの電動車両に対してバッテリ300が取り付けられる。
【0057】
(電動車両にバッテリ300が搭載されている間の処理)
バッテリ300が電動車両に搭載されている間、加速度センサ303から電動車両の加速度が出力される一方、制御部305は、加速度センサ303から出力される加速度を監視し、当該加速度と閾値とを対比する。
【0058】
制御部305は、当該加速度が閾値以下の値から閾値を超える値に変化したことを検出すると、記憶部304にアクセスして、記憶部304に記憶されている閾値超過回数に1を加算(インクリメント)する。なお、閾値超過回数は、顧客Yの電動車両にバッテリ300が取り付けられた時点ではゼロに初期設定されている。それゆえ、記憶部304に記憶されている閾値超過回数は、バッテリ300が顧客Yの電動車両に取り付けられた時点から現時点までの間の閾値超過回数になる。
【0059】
(電動車両から取り外されて回収(返却)されるバッテリに対する通信処理)
顧客Yの電動車両に搭載されているバッテリ300の残量が僅かになり、顧客Yがバッテリ交換のためにバッテリ交換ステーションに入店したものとする。なお、顧客Yが入店すると、顧客Yの会員カードをID入力部202に読み取らせることにより通信装置200が顧客Yの顧客IDを入力する点や、バッテリ交換作業において顧客Yの電動車両に取り付けられようとする充電済のバッテリに顧客Yの顧客IDが書き込まれる点は、前述した通りである。
【0060】
バッテリ交換作業によって顧客Yの電動車両からバッテリ300が外されて回収されると、回収済のバッテリ300は通信装置200の所定の通信位置に置かれる。回収済のバッテリ300が当該通信位置に置かれると、通信装置200の制御部203は、無線通信部201を介して、バッテリ300に記憶されている情報の送信要求コマンドをバッテリ300側に送信する。なお、制御部203は、所定の通信位置に置かれたバッテリ300が回収済のバッテリであるか否かを、当該バッテリの記憶部304に顧客IDが格納されているか否かで判断することができる。すなわち、制御部203は、所定の通信位置に置かれたバッテリ300の記憶部304に顧客IDが格納されている場合に、当該バッテリ300が回収済のバッテリであると判断する。
【0061】
バッテリ300の制御部305は、無線通信部302を介して前記送信要求コマンドを受信すると、記憶部304において互いに対応付けられて保存されている顧客IDおよび閾値超過回数を読み出す。そして、制御部305は、無線通信部302を介して、読み出した顧客IDおよび閾値超過回数を通信装置200へ送信する。この送信の終了後、制御部305は、記憶部304に記憶されている顧客IDおよび閾値超過回数を消去する。
【0062】
通信装置200の制御部203は、RTC(リアルタイムクロック)に基づいて、バッテリ300から顧客IDと閾値超過回数とを受信した日時をバッテリ交換日時として検出し、当該バッテリ交換日時と顧客IDと閾値超過回数とを対応付けた情報を閾値超過情報として記憶部204に一旦書き込む。
【0063】
これにより、バッテリ交換ステーションの通信装置200は、バッテリ交換作業が行われる度に、バッテリ交換作業の対象となる顧客(会員)の顧客IDと、バッテリ交換作業にて回収されたバッテリがバッテリ交換作業の対象の電動車両に搭載されていた期間における当該電動車両の加速度の閾値超過回数とを対応付けて検出することが可能になる。
【0064】
そして、制御部203は、バッテリ交換日時と顧客IDと閾値超過回数とを対応付けた閾値超過情報を記憶部204から読み出して価格設定装置400に送信するようになっている。
【0065】
(価格設定装置400について)
つぎに、価格設定装置(交換価格設定装置)400の構成を説明する。価格設定装置400は、
図1に示されるように、情報処理部401、記憶部402、表示部403を備える。
【0066】
情報処理部401は、プロセッサ、RAM、ROM等からなるコンピュータであり、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いることができる。記憶部402は、情報処理部401にて扱われる情報を保存するハードディスクまたは半導体メモリである。なお、記憶部402は、情報処理部401に外付けされていてもよいし、情報処理部401に組み込まれていてもよい。表示部403は、情報処理部401にて処理された情報を示す画像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレィ、有機ELディスプレィが挙げられる。
【0067】
図2は、情報処理部401および記憶部402の詳細構成を示したブロック図である。なお、情報処理部401はハードウェアであるが、情報処理部401に含まれる各ブロック601〜605は、情報処理部401が実行するソフトウェアの機能を示す機能ブロックである。
【0068】
図2に示すように、情報処理部401は、少なくとも、DB処理部(データベース処理部)601、使用度取得部602、クラス分類部603、価格設定部604、および表示制御部605を備えている。また、
図2に示すように、記憶部402には、閾値超過回数DB(閾値超過回数データベース)750と、使用度テーブル800と、価格設定テーブル850とが記憶、保存されている。
【0069】
図1、
図2の情報処理部401は、バッテリ交換作業が行われることによって閾値超過情報(当該バッテリ交換作業の対象となる顧客IDが示されている閾値超過情報)が通信装置200から価格設定装置400へ送られてくると、当該バッテリ交換作業に適用されるバッテリ交換価格を設定して表示部403に表示するものである。言い換えると、情報処理部401は、通信装置200から送られてきた閾値超過情報に示される顧客IDの顧客に適用されるバッテリ交換価格を設定して表示部403に表示する。
【0070】
以下、情報処理部401に含まれる各ブロックの処理を詳細に説明する。なお、以下では、情報処理部401に入力される閾値超過情報に示される顧客IDの顧客に適用されるバッテリ交換価格を設定することになるので、情報処理部401に入力される閾値超過情報に示される顧客IDを「処理対象の顧客ID」と称し、処理対象の顧客IDの顧客を「処理対象の顧客」と称す。
【0071】
まず、
図2に示すように、情報処理部401は、価格設定装置400に送信されてきた閾値超過情報(処理対象の顧客IDの示される閾値超過情報)を入力するようになっている。そして、DB処理部601は、入力された閾値超過情報を参照して、記憶部402に記憶されている閾値超過回数DB750を更新する処理を行うブロックである。以下では、閾値超過回数DB750と、DB処理部601の処理とを説明する。
【0072】
図3は、記憶部402に記憶されている閾値超過回数DB750のうち、顧客IDが0001の顧客に対応するデータ(テーブル)を模式的に示した図である。閾値超過回数DB750は、バッテリ交換作業毎にバッテリ交換日時と閾値超過回数(バッテリ交換作業時に回収バッテリから取得した閾値超過回数)との対応関係を示したテーブルを顧客別に記録したデータベースである。
図3では、顧客IDが0001に対応するテーブルが示されているだけであるが、勿論、閾値超過回数DB750には、バッテリ交換ステーションの業者と契約されている他の全ての顧客の顧客IDが登録されており、顧客ID毎に
図3と同様のテーブルが示されている。
【0073】
DB処理部601は、情報処理部401に入力された閾値超過情報を参照して閾値超過回数DB750を更新する。
【0074】
具体的には、DB処理部601は、閾値超過情報が入力されると、閾値超過回数DB750に登録されている各顧客IDのうち、当該閾値超過情報に示されている顧客ID(処理対象の顧客ID)と同じ顧客IDに対応付けられているテーブルにアクセスする。DB処理部601は、入力した閾値超過情報に示されているバッテリ交換日時と閾値超過回数との対応関係を、アクセスしたテーブルに追加する。このようにして、記憶部402に記憶される閾値超過回数DB750が更新される。
【0075】
図3に示す閾値超過回数DB750において、各バッテリ交換日時に対応付けられている各閾値超過回数は、各バッテリ交換日時のバッテリ交換作業により回収されたバッテリが当該バッテリ交換作業の対象となる電動車両に搭載されていた間の当該電動車両の加速度の閾値超過回数を示す。
【0076】
DB処理部601は、閾値超過回数DB750の更新を終えると、使用度取得部602に処理実行命令を送信する。
【0077】
使用度取得部602は、DB処理部601から処理実行命令を受け取ると、記憶部402に記憶されている閾値超過回数DB750を参照して、処理対象の顧客(顧客ID)の早期劣化使用度を示す特徴量を算出する。そして、使用度取得部602は、算出結果に基づき、記憶部402に記憶されている使用度テーブル800を更新する。以下では、使用度テーブルと、使用度取得部602の処理とを説明する。
【0078】
図4は、記憶部402に記憶されている使用度テーブル800を模式的に示した図である。使用度テーブル800とは、バッテリ交換ステーションの業者と契約されている顧客のうち、現時点までに所定回数以上のバッテリ交換を行ったことがある顧客の顧客IDと、当該顧客IDの顧客の早期劣化使用度を示す特徴量との対応関係を示したテーブルである。なお、本実施形態では所定回数は100回に設定されるが、特に100回に限定されるものではない。
【0079】
使用度取得部602にて算出される特徴量とは、顧客毎に求められる値であり、バッテリの劣化の進行を早める要因となるような使用態様で顧客が電動車両を使用した程度である早期劣化使用度の高低を数値化したものである。早期劣化使用度について以下説明する。
【0080】
バッテリの劣化の進行の早さは電動車両の使用態様に応じて大きく異なってくる。例えば、急加速や急発進のような使用態様で電動車両を使用する事が多い顧客においては、バッテリに対する負荷やバッテリに伝わる衝撃が大きくなって、バッテリの劣化の進行が早くなる。
【0081】
そこで、本実施形態では、顧客毎に、直近における前記所定回数(100回)のバッテリ交換作業によって検出された閾値超過回数(加速度が閾値を超えた回数)の合計値を、早期劣化使用度を示す特徴量として求めるようにしている。当該合計値は、顧客が所定運転量(所定回数のバッテリ交換を行うだけの運転量)の運転を行った場合の急加速や急発進の頻度を示しており、早期劣化使用度を示す数値といえるからである。
【0082】
つぎに、処理対象の顧客IDが0001である場合を例にして、早期劣化使用度を示す特徴量の求め方を説明する。
【0083】
まず、使用度取得部602は、DB処理部601から処理実行命令を受け取ると、閾値超過回数DB750のうち、処理対象の顧客ID(0001)に対応付けられているテーブルにアクセスし、直近における所定回数(100回)分のバッテリ交換作業にて検出された閾値超過回数の合計値を求める。例えば、
図3において、バッテリ交換日時が2015年1月31日の交換作業が直近のバッテリ交換作業であり、2014年2月22日のバッテリ交換作業からバッテリ交換日時が2015年1月31日のバッテリ交換作業までの交換作業回数が100回であるものとする。この場合、使用度取得部602は、バッテリ交換日時が2014年2月22日の交換作業からバッテリ交換日時が2015年1月31日の交換作業までの100回(所定回数)のバッテリ交換作業にて検出された閾値超過回数の合計値を求め、この合計値を、処理対象の顧客(顧客IDが0001の顧客)の早期劣化使用度を示す特徴量とする。
【0084】
使用度取得部602は、処理対象の顧客の特徴量を求めると、
図4に示される使用度テーブル800にアクセスし、処理対象の顧客IDに対応付けられている早期劣化使用度を示す特徴量を、求めた値に更新する。このようにして使用度テーブル800の更新処理が行われるようになっている。
【0085】
使用度取得部602は、閾値超過情報が情報処理部401に入力される度に、以上のような処理を行うことにより、入力された閾値超過情報に示される顧客ID(処理対象の顧客ID)に対応付けられる特徴量を更新することになる。
【0086】
これにより、
図4の使用度テーブル800に示される各顧客IDに対応付けられている各特徴量は、各顧客の直近の所定回数(100回)のバッテリ交換作業によって検出された閾値超過回数(加速度が閾値を超えた回数)の合計値を示していることになる。なお、閾値超過回数は、加速度が閾値を超過した回数の値を示すものであり、閾値超過値ともいえる。
【0087】
なお、
図4の使用度テーブル800は、過去のバッテリ交換回数が所定回数以上の顧客の顧客IDと早期劣化使用度を示す特徴量との対応関係がリストアップされ、過去のバッテリ交換回数が所定回数に満たない顧客の顧客IDと早期劣化使用度を示す特徴量との対応関係はリストアップされない。
【0088】
つまり、使用度取得部602は、DB処理部601から処理実行命令を受け取っても、閾値超過回数DB750において、処理対象の顧客IDに、バッテリ交換回数が所定回数分以上の情報が対応付けられていない場合、早期劣化使用度を示す特徴量を求めずに、使用度テーブル800の更新処理をスキップする。
【0089】
また、使用度取得部602は、DB処理部601から処理実行命令を受け取った際、閾値超過回数DB750において、処理対象の顧客IDに、バッテリ交換回数が丁度所定回数分の情報が対応付けられている場合(過去のバッテリ交換回数が所定回数に到達した場合)、処理対象の顧客の早期劣化使用度を示す特徴量を算出する。そして、使用度取得部602は、処理対象の顧客IDと早期劣化使用度を示す特徴量との対応関係を
図4の使用度テーブル800に新たに追加することにより、使用度テーブル800の更新処理を行うようになっている。
【0090】
使用度取得部602は、使用度テーブル800の更新処理を終えると、クラス分類部603に処理実行命令を送信する。なお、使用度取得部602は、使用度テーブル800の更新処理をスキップした場合(処理対象の顧客の過去のバッテリ交換回数が所定回数を満たない場合)、クラス分類部603には処理実行命令を送信せず、価格設定部604に処理実行命令を送信する。
【0091】
つぎに、
図2に示すクラス分類部603について説明する。クラス分類部603は、使用度取得部602から処理実行命令を受け付けると(使用度テーブル800の更新処理がなされると)、バッテリ交換価格が互いに異なる3つのクラスのうちのいずれかのクラスに、処理対象の顧客IDの顧客を分類する。
【0092】
本実施形態では、
図6に示すように、各クラスと各クラスのバッテリ交換価格との関係を示した価格設定テーブル850が予め記憶部402に記憶されている。なお、本実施形態では、基準価格が設定される標準クラスと、基準価格よりも低価格の低劣化クラスと、基準価格よりも高価格の高劣化クラスとが予め業者によって設定され、各クラスの価格も予め業者によって定められている。以下、クラス分類部603の処理を詳細に説明する。
【0093】
まず、クラス分類部603は、記憶部402に記憶される使用度テーブル800を参照して、使用度テーブル800に示されている顧客IDの顧客を母集団とし、早期劣化使用度を示す特徴量を階級とし、顧客数を度数としたヒストグラム(度数分布)を作成する。
図5はクラス分類部603によって作成されたヒストグラムの一例を示した模式図である。
【0094】
続いて、クラス分類部603は、作成したヒストグラムを参照して、価格設定テーブル850に示されている各クラスの範囲を設定する。具体的には、クラス分類部603は、作成したヒストグラムの早期劣化使用度を示す特徴量の平均値(μ)および標準偏差(σ)を求める。そして、クラス分類部603は、
図5に示すように、早期劣化使用度を示す特徴量がμ±σの範囲を標準クラスの範囲(所定範囲)とし、早期劣化使用度を示す特徴量がμ+σを超える範囲を高劣化クラスの範囲とし、早期劣化使用度を示す特徴量がμ−σに満たない範囲を低劣化クラスの範囲とする。
【0095】
そして、クラス分類部603は、処理対象の顧客IDの顧客をいずれかのクラスに分類する。つまり、記憶部402の使用度テーブル800のうち、処理対象の顧客IDに対応付けられている特徴量がμ±σの範囲であれば、処理対象の顧客を標準クラスに分類する。また、処理対象の顧客IDに対応付けられている特徴量がμ+σを超える場合は、処理対象の顧客は高劣化クラスに分類され、処理対象の顧客IDに対応付けられている特徴量がμ−σに満たない場合は、処理対象の顧客は低劣化クラスに分類される。
【0096】
クラス分類部603は、処理対象の顧客に対するクラス分類処理を終えると、価格設定部604に処理実行命令を送信する。
【0097】
つぎに、
図3に示す価格設定部604について説明する。価格設定部604は、記憶部402の価格設定テーブル850(
図6)を参照して、処理対象の顧客に適用されるバッテリ交換価格を設定する。価格設定部604の処理を以下詳細に説明する。
【0098】
まず、価格設定部604は、使用度取得部602から処理実行命令を受け付けた場合(処理対象の顧客の過去のバッテリ交換作業が100回を満たない場合)、
図6に示されている標準クラスのバッテリ交換価格を、処理対象の顧客に適用されるバッテリ交換価格として設定する。
【0099】
また、価格設定部604は、クラス分類部603から処理実行命令を受け付けた場合(処理対象の顧客の過去のバッテリ交換作業が100回以上である場合)、
図6の価格設定テーブル850に基づき、クラス分類部603によって処理対象の顧客が分類されたクラスに対応付けられている価格を、処理対象の顧客に適用されるバッテリ交換価格として設定する。つまり、クラス分類部603によって処理対象の顧客が標準クラスに分類された場合は80円/回が設定され、クラス分類部603によって処理対象の顧客が低劣化クラスに分類された場合は64円/回が設定され、クラス分類部603によって処理対象の顧客が高劣化クラスに分類された場合は96円/回が設定される。
【0100】
これにより、バッテリ交換作業を100回以上行っている顧客については、当該顧客の早期劣化使用度に応じて、低劣化クラス、標準クラス、高劣化クラスのいずれかに分類され、分類されたクラスに適用されるバッテリ交換価格が設定されることになる。これに対し、過去のバッテリ交換作業が100回に満たない顧客については、標準クラスのバッテリ交換価格が設定される。
【0101】
価格設定部604は、処理対象の顧客のバッテリ交換価格を設定した後、設定されたバッテリ交換価格を表示制御部605に送信する。そして、表示制御部605は、処理対象の顧客の顧客IDと、価格設定部604から送られてきたバッテリ交換価格とを対応付けて表示部403に表示させる。なお、顧客IDの代わりに、顧客IDに対応する顧客名を表示させてもよい。
【0102】
これにより、バッテリ交換作業が行われることにより、バッテリ交換作業の対象となる顧客の顧客IDが示された閾値超過情報が通信装置200から価格設定装置400に送られると、価格設定装置400は、この閾値超過情報に示される顧客IDの顧客のバッテリ交換価格を表示部403に表示させる。そして、バッテリ交換ステーションの作業員は、表示部403に表示されているバッテリ交換価格を顧客に課金する。
【0103】
(価格設定装置400の処理の流れについて)
図7は、本実施形態の価格設定装置400の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、バッテリ交換作業が行われると、DB処理部601は、情報処理部401に入力された閾値超過情報を参照して閾値超過回数DB750を更新する(S1)。これにより、顧客IDごとに、
図3に示されるような閾値超過回数DB750が構築される。
【0104】
次に、使用度取得部602は、閾値超過回数DB750において、処理対象の顧客ID(0001)に、バッテリ交換回数が所定回数(100回)分以上の情報が対応付けられているか否かを判断する(S2)。
【0105】
バッテリ交換回数が所定回数未満である場合(S2でNo)、価格設定部604は、処理対象の顧客について、標準クラスのバッテリ交換価格を設定する(S3)。
【0106】
一方、バッテリ交換回数が所定回数以上である場合(S2でYes)、クラス分類部603は、使用度テーブル800に示されている顧客IDの顧客を母集団とし、早期劣化使用度を示す特徴量を階級とし、顧客数を度数としたヒストグラム(
図5参照)を作成し、作成したヒストグラムを参照して、価格設定テーブル850に示されている各クラスの範囲を設定する。そして、クラス分類部603は、処理対象の顧客IDに対応付けられている特徴量が属するクラスを特定する(S4)。
【0107】
その後、価格設定部604は、クラス分類部603によって処理対象の顧客が分類されたクラスに対応付けられている価格を、処理対象の顧客に適用されるバッテリ交換価格として設定する(S5)。
【0108】
そして、価格設定部604は、処理対象の顧客のバッテリ交換価格を設定した後、設定されたバッテリ交換価格を表示制御部605に送信し、設定されたバッテリ交換価格が表示部403に表示される(S6)。
【0109】
以上にて示した実施形態によれば、価格設定部604は、低劣化クラスの顧客よりも標準クラスの顧客の方のバッテリ交換価格を高く設定し、標準クラスの顧客よりも高劣化クラスの顧客のバッテリ交換価格を高く設定している。つまり、価格設定部604は、早期劣化使用度が相対的に高い顧客に対して、バッテリ交換価格を相対的に高く設定するようになっている。
【0110】
これにより、バッテリの劣化の進行が早くなるような使用態様で電動車両を使用する顧客については、そうでない顧客よりもバッテリ交換価格を高く設定でき、バッテリ交換ステーションの業者側からすれば、バッテリの劣化の進行が早くなるような使用態様で電動車両を使用する顧客に起因する経済的損失を当該顧客に転嫁することが可能になる。
【0111】
また、バッテリの劣化の進行が早くなるような使用態様で電動車両を使用する顧客と、そうでない顧客との間の価格面での不公平が是正されるというメリットもある。
【0112】
また、前記早期劣化使用度の高い顧客の存在はバッテリ交換ステーションの所有するバッテリの早期劣化の要因になるが、逆に、前記早期劣化使用度の低い顧客の存在はバッテリ交換ステーションの保有するバッテリの早期劣化の抑制要因(高寿命化の要因)となる。この点、本実施形態によれば、低劣化クラスの顧客(前記早期劣化使用度の低い顧客)については、基準価格が適用される標準クラスの顧客よりもバッテリ交換価格を低く設定することにより、値引きというインセンティブを与えることができ、保有バッテリの早期劣化抑制を促進できるというメリットを有する。
【0113】
なお、本実施形態の電動車両は、車輪駆動用のモータに電力を供給するバッテリに対して電動車両以外の外部電源からの充電が必要になる車両を指す。つまり、本実施形態の電動車両には、エンジンを搭載せずにモータのみで車輪を駆動する電気自動車や、エンジンとモータとで車輪を駆動しており、モータに電力を供給するバッテリに対して自動車以外の外部電源からの充電が必要になるハイブリッド車が含まれる。また、勿論であるが、本実施形態の電動車両には、四輪車だけではなく、三輪車(例えば電気トゥクトゥク)や二輪車(例えば電動バイクや電動アシスト自転車)等も含まれる。
【0114】
(変形例)
前記の特徴量は、バッテリの劣化の進行を早める要因となるような使用態様で顧客が電動車両を使用した程度(度合)である早期劣化使用度の高低を数値化したものであり、以上の実施形態では加速度の閾値超過回数の値をそのまま早期劣化使用度を示す特徴量として用いている。ここで、加速度の閾値超過回数の値が大きいほど、バッテリの劣化の進行を早める要因となるような使用態様で顧客が電動車両を使用した程度が高くなる。つまり、以上の実施形態のように、早期劣化使用度を示す特徴量として加速度の閾値超過回数を用いる場合、特徴量の値が大きくなるほど、早期劣化使用度が高くなり、特徴量の値が小さくなるほど、早期劣化使用度が低くなる。これに対し、バッテリの劣化の進行を早める要因となるような使用態様で顧客が電動車両を使用した程度が高くなるほど値が小さくなるような数値を早期劣化使用度を示す特徴量として用いることも可能である。つまり、特徴量の値が小さくなるほど、早期劣化使用度が高くなるようになっている。この場合、標準クラスよりも特徴量の値の小さい範囲が高劣化クラスになり、標準クラスよりも値の大きい範囲が低劣化クラスとなる。例えば、加速度の閾値超過回数の逆数を早期劣化使用度を示す特徴量とするような場合、特徴量度の値が大きくなるほど、早期劣化使用度が低くなり、特徴量の値が小さくなるほど、早期劣化使用度が高くなる。
【0115】
本実施形態では、
図5のヒストグラムにおいてμ±σの範囲を標準クラスと設定する手法を採用しており、これにより、低劣化クラス、標準クラス、高劣化クラスの夫々の範囲をバランスよく設定できる。但し、クラスの範囲の設定は前記手法に限定されるものではない。例えば、
図5のヒストグラムにおいて、μ±2σの範囲を標準クラスとしてもよいし、μ±0.5σの範囲を標準クラスと設定してもよい。或いは、平均値(μ)以外の代表値(例えば最頻値、中央値等)を求め、前記代表値±σの範囲を標準クラスとしてもよいし、前記代表値±2σの範囲を標準クラスとしてもよいし、前記代表値±0.5σの範囲を標準クラスとしてもよい。また、標準偏差を用いなくてもクラスの範囲を設定可能である。例えば、特徴量の最小値よりも大きく最大値よりも小さい第1所定値および第2所定値を設定し(但し第1所定値≠第2所定値)、第1所定値と第2所定値との間を標準クラスの範囲としてもよい。この場合、例えば、第1所定値として、特徴量の最小値と平均値とを加算して2で除算した値を用い、第2所定値として、特徴量の最大値と平均値とを加算して2で除算した値を用いることができる。或いは、特徴量の最小値と最大値との差分を求め、当該差分に1/3を乗じた値と最小値とを加算した値を第1所定値とし、当該差分に2/3を乗じた値と最小値とを加算した値を第2所定値としてもよい。なお、いずれの場合であっても、標準クラスよりも特徴量の高い範囲が高劣化クラスとなり、標準クラスよりも特徴量の低い範囲が低劣化クラスとなる。
【0116】
また、以上の実施形態では、低劣化クラス、標準クラス、高劣化クラスの3つのクラスが設定されているが、クラス数は、3つに限定されるものではなく、少なくとも2以上あれば限定されるものではない。すなわち、クラス数が少なくとも2以上設定されていれば、特徴量で示される早期劣化使用度が相対的に高い顧客に対して、相対的に高いバッテリ交換価格を設定できるからである。
【0117】
また、以上の実施形態によれば、バッテリ交換が行われると、
図6に示されるいずれかのバッテリ交換価格のみが顧客に課金されるようになっているが、
図6に示されるいずれかのバッテリ交換価格を基本料金とし、基本料金と追加料金との合計金額を顧客に課金するようになっていても勿論よい。例えば、バッテリ交換ステーションでは、通常、バッテリ交換の度にバッテリを貸与していた間の消費電力が求められるが、当該消費電力に応じた追加料金と前記基本料金との合計金額を顧客に課すようになっていてもよい。
【0118】
また、以上の実施形態によれば、バッテリ交換が行われる度に、バッテリ交換対象となる顧客のバッテリ交換価格が設定される構成であるが、当該構成ではなく、会員契約されている各顧客のバッテリ交換価格を定期的に算出して記憶部402に記憶させておき、各顧客がバッテリ交換を行う際に記憶部402から各顧客のバッテリ交換価格が読み出される構成になっていてもよい。なお、この場合でも、閾値超過情報が情報処理部401に入力される度に、DB処理部601によって閾値超過回数DB750が更新され、且つ、使用度取得部602によって使用度テーブル800が更新されるようになっている。但し、クラス分類部603および価格設定部604は、閾値超過情報が情報処理部401に入力される時ではなく、定期的(例えば1月ごと)に処理を行うことになる。具体的には、定期的に、クラス分類部603は、使用度テーブル800に記録されている情報を母集団として
図5のヒストグラムを作成し、価格設定部604は、当該ヒストグラムを用いて、使用度テーブル800に記録されている全ての顧客IDの顧客について、クラス分類を行ってバッテリ交換価格の設定を行う。また、価格設定部604は、使用度テーブル800に記録されていない顧客IDの顧客(過去のバッテリ交換回数が100回未満の顧客)については標準クラスのバッテリ交換価格を設定する。このようにして設定されたバッテリ交換価格と顧客IDとが紐付けされたテーブルが記憶部402に保存され、バッテリ交換が行われる際、当該テーブルを用いて課金が行われる。
【0119】
また、以上の実施形態は単一のバッテリ交換ステーションを前提とした構成になっているが、勿論、単一の業者が複数のバッテリ交換ステーション(チェーン店)を経営するような場合においても本発明の実施形態を適用することが可能である。例えば、各バッテリ交換ステーションに通信装置200を設置し、各通信装置200と接続される価格設定装置400を前記業者の本社(事業所)に設置する。また、各バッテリ交換ステーションの通信装置200に表示部を設置する。そして、各バッテリ交換ステーションにてバッテリ交換作業が行われる度に、各バッテリ交換ステーションの通信装置200から価格設定装置400へ閾値超過情報が送信され、閾値超過情報を受けた価格設定装置400は処理対象の顧客(閾値超過情報に示される顧客IDの顧客)のバッテリ交換価格を求め、価格設定装置400から通信装置200(閾値超過情報の送信元)へバッテリ交換価格が返信される。そして、通信装置200は、返信されてきたバッテリ交換価格を表示部403に表示させる。
【0120】
また、バッテリ交換ステーションにおけるバッテリ交換作業は、周知のバッテリ交換ロボット(例えば特許文献1)や周知のバッテリ交換システム(例えば特許文献2)によって行われてもよいし、人手によって行われても勿論よい。なお、バッテリ交換ロボットやバッテリ交換システムにてバッテリ交換作業が行われる場合、通信装置200は、バッテリ交換ロボットあるいはバッテリ交換システムに組み込まれていても構わない。
【0121】
また、以上の実施形態では、直近における前記所定回数(100回)のバッテリ交換作業によって検出された閾値超過回数(加速度が閾値を超えた回数)の合計値を早期劣化使用度を示す特徴量としているが、加速度が閾値を超えた回数ではなく、速度が閾値を超えた回数を前記閾値超過回数としてもよい。この場合、加速度センサ303ではなく速度センサが用いられる。
【0122】
また、バッテリ300側にて、加速度または速度の閾値超過回数を計測するのではなく、加速度または速度が閾値を超過していた時間の長さ(閾値超過期間)を計測し、通信装置200は、バッテリ交換の際に閾値超過回数ではなく閾値超過期間を取得するようになっていてもよい。この場合、通信装置200から価格設定装置400に送られる閾値超過情報には、閾値超過回数ではなく閾値超過期間が示され、記憶部402には、閾値超過回数DB750ではなく、バッテリ交換日時と閾値超過期間との対応関係を示すテーブルが顧客ID毎に示された閾値超過期間データベースが記憶される。そして、使用度取得部602は、直近における前記所定回数(100回)のバッテリ交換作業によって検出された閾値超過期間の合計値を早期劣化使用度を示す特徴量としてとする。但し、速度や加速度の場合、閾値超過期間を用いるより、閾値超過回数を用いる方が好ましい。
【0123】
なお、閾値超過期間は、加速度が閾値を超過した時間の長さの値を示すものであり、閾値超過値ともいえる。
【0124】
また、早期劣化使用度を示す特徴量は、速度や加速度ではなく、バッテリ300に与えられた物理負荷を示す情報、バッテリ300の環境に関する情報、および、バッテリ300から出力された電気エネルギーに関する情報の少なくとも一つを用いて、求められてもよい。バッテリに与えられた物理負荷、バッテリの環境、および、バッテリから出力された電気エネルギーは、バッテリの劣化の進行を早める要因となる使用態様に関連するからである。
【0125】
例えば、温度または湿度を用いて、早期劣化使用度を示す特徴量としてを求めても良い。これは、バッテリは、周囲温度または周囲湿度が異常な値であると(例えば、高温、低温等)、劣化の進行が早くなるからである。この場合、バッテリの周囲温度または周囲湿度が閾値超過した閾値超過回数を利用してもよいが、バッテリの周囲温度または周囲湿度が閾値を超過している時間(閾値超過期間)を求め、この閾値超過期間を利用する方が好ましい。例えば、バッテリの周囲温度を検出する温度センサまたはバッテリの周囲湿度を検出する湿度センサをバッテリ300に搭載しておき、制御部305が、周囲温度または周囲湿度が閾値超過している時間(閾値超過期間)を記憶部304に記録するようになっている。そして、通信装置200は、バッテリ交換の際に閾値超過回数ではなく閾値超過期間を取得するようになっており、通信装置200から価格設定装置400に送られる閾値超過情報には、閾値超過回数ではなく閾値超過期間が示され、記憶部402には、閾値超過回数DB750ではなく、バッテリ交換日時と閾値超過期間との対応関係を示すテーブルが顧客ID毎に示された閾値超過期間データベースが記憶される。そして、使用度取得部602は、直近における前記所定回数(100回)のバッテリ交換作業によって検出された閾値超過期間の合計値を早期劣化使用度を示す特徴量としてとする。
【0126】
また、速度、加速度、温度、湿度以外に利用できる計測値としては、衝撃センサ(振動センサ)の出力値が挙げられる。バッテリは衝撃によっても劣化(損傷)するからである。例えば、衝撃センサをバッテリ300に搭載しておき、衝撃センサの出力値が閾値を超過した閾値超過回数を制御部305が記憶部304に記録し、当該閾値超過回数を用いて早期劣化使用度を示す特徴量を求めてもよい。
【0127】
また、電動車両の表面の照度を検出する照度センサが電動車両に搭載されており、電動車両にバッテリ300が搭載された場合にバッテリ300の制御部305と照度センサとが接続されるような形態の場合、照度センサの出力値を用いて早期劣化使用度を求めてもよい。電動車両が日照量の多い環境にあると、バッテリの周囲温度が高温になり、劣化し易くなるからである。例えば、照度センサの出力値が閾値を超過した時間の長さ(閾値超過期間)をバッテリに記録し、当該閾値超過期間を用いて早期劣化使用度を示す特徴量を求めてもよい。
【0128】
その他、バッテリ300のセル301から出力される電流値または電力値を用いて、早期劣化使用度を示す特徴量を求めてもよい。バッテリ300の劣化を進行させやすい急加速や急発進を行う場合、バッテリ300から出力される電流または電力が大きくなるからである。この場合、バッテリ300は、セル301から出力される電流値を計測する電流センサ、またはセル301から出力される電力値を計測する電力センサを備えている。そして、バッテリ300の制御部305は、電流センサまたは電力センサの出力値(電流値または電力値)が閾値を超過した閾値超過回数を記憶部304に記録し、当該閾値超過回数を用いて早期劣化使用度を示す特徴量を求めてもよい。
【0129】
なお、閾値超過とは、閾値より小さい値である正常値が閾値より大きい値である異常値に変化するような第1の形態の他、閾値より大きい値である正常値が閾値より小さい値である異常値に変化するような第2の形態も含まれる。第1の形態としては、本実施形態の加速度の閾値超過回数が挙げられる。第2の形態としては、バッテリの周囲温度が閾値よりも低温側になっている間を閾値超過期間とするようなケースが挙げられる。
【0130】
また、複数種類の値を使って早期劣化使用度を示す特徴量を算出してもよい。例えば、加速度の閾値超過回数と、衝撃センサの出力の閾値超過回数とを加算した値を早期劣化使用度を示す特徴量としてもよい。
【0131】
また、以上の実施形態では、バッテリ交換作業の度に、閾値超過情報が通信装置200から価格設定装置400へ送信されるようになっているが、閾値超過情報を通信装置200から価格設定装置400へ送信するのではなく、オペレータが閾値超過回数および顧客IDを価格設定装置400に入力し、価格設定装置400にて閾値超過情報が生成されるようになっていてもよい。例えば、バッテリ300の記憶部304には、顧客IDが記録されず、閾値超過回数が記憶されるようになっている。そして、バッテリ300には、記憶部304に記録される閾値超過回数を表示する表示部が構成されており、バッテリ交換作業によってバッテリ300が取り外されると、オペレータが、表示部に表示されている閾値超過回数を確認した上で、記憶部304に記録される閾値超過回数をリセットするコマンドをバッテリ300に入力するようになっている。そして、オペレータは、バッテリ交換作業の対象となる顧客の顧客IDと、閾値超過回数とを価格設定装置400に入力する。価格設定装置400は、入力日時をバッテリ交換日時として認識し、このバッテリ交換日時と入力された顧客IDと入力された閾値超過回数とを対応付けて閾値超過情報を生成し、この閾値超過情報に基づいて処理を行う(つまり、この形態の場合、通信装置200が不要となる)。
【0132】
〔実施形態2〕
標準クラス、低劣化クラス、高劣化クラスの各々に適用されるバッテリ交換価格は予め決められて価格設定テーブル850に記録されているが、ここでは、
図6の価格設定テーブル850に示される各バッテリ交換価格の決定手法(算出手法)を説明する。
【0133】
バッテリ交換価格を算出する際、バッテリの劣化の進行度(程度)を示した「劣化パラメータ」が用いられる。そこで、まずは劣化パラメータについて説明する。通常、バッテリ交換ステーションにて用いられる各バッテリにおいては現時点のSOHが記録されている。SOHとは、(現時点の満充電容量/初期の満充電容量)を百分率(%)で示した値である。そこで、100からSOHを差し引いた値をバッテリの現時点の劣化の程度を示す劣化パラメータとして用いることができる。当該劣化パラメータの値が0のバッテリは新品であり、劣化の程度が強くなるほど(劣化が進行するほど)、劣化パラメータの値が大きくなる。
【0134】
図8は、実施形態2のバッテリ300の構成を示すブロック図である。本実施形態では、バッテリ300は、
図8に示すように、実施形態1にて説明した構成部材の他に、SOH計測部306を備えている。SOH計測部306は、電気自動車の起動時等の所定タイミングにおいてバッテリ300のSOHを計測する計測装置である。
【0135】
制御部305は、SOH計測部306によってSOH(%)が計測されると、SOHから劣化パラメータの値を算出する。劣化パラメータの値(%)は、100からSOHを引いた値である。制御部305は、求めた劣化パラメータの値を記憶部304に上書きする(つまり、記憶部304に記憶される劣化パラメータは常に最新の値に更新されている)。
【0136】
また、本実施形態では、
図8に示すように、バッテリ300の記憶部304には、劣化パラメータの値の他に、バッテリIDと導入年月日と充電回数とが記憶されている。この点を以下説明する。
【0137】
バッテリ300がバッテリ交換ステーションに導入される際、バッテリ300は通信装置200の所定の通信位置に置かれ、通信装置200からバッテリ300にバッテリID(バッテリ識別情報)および導入年月日(バッテリの導入年月日)が送信されるようになっている。制御部305は、受信したバッテリIDおよび導入年月日を記憶部304に保存する。バッテリ交換ステーションにてバッテリ300が使用され続ける間、バッテリIDおよび導入年月日は記憶部304に保存され続ける。
【0138】
また、バッテリ交換作業によってバッテリ300が電動車両から取り外されて回収されると、バッテリ300は充電装置(不図示)に接続されて充電されることになる。この時、制御部305は、バッテリ300が充電装置に接続されて充電が行われると、記憶部304に記憶されている充電回数に1を加算(インクリメント)するようになっている。これにより、記憶部304には、バッテリ300の通算の充電回数が常に記録されるようになっている。
【0139】
つぎに、バッテリ交換作業によって電動車両からバッテリ300が外されて回収された後の回収済のバッテリ300と通信装置200との間で行われる処理を説明する。バッテリ交換作業によって電動車両からバッテリ300が外されて回収されると、実施形態1と同様、バッテリ300は通信装置200の所定の通信位置に置かれる。回収済のバッテリ300が当該通信位置に置かれると、通信装置200の制御部203は、無線通信部201を介して、バッテリ300に記憶されている情報の送信要求コマンドをバッテリ300側に送信する。
【0140】
バッテリ300の制御部305は、送信要求コマンドを受信すると、実施形態1と同様、顧客IDおよび閾値超過回数を通信装置200へ送信するようになっている。
【0141】
また、送信要求コマンドを受信した制御部305は、RTC(リアルタイムクロック)と記憶部304に記憶されている導入年月日とに基づき、導入年月日から所定期間(本実施形態では2年)経過したか否かを判定する2年経過判定処理を行う。ここで、制御部305は、所定期間経過していないと判定した場合、処理を終了する。
【0142】
これに対し、制御部305は、所定期間経過していると判定した場合、記憶部304からバッテリID、劣化パラメータの値、導入年月日、充電回数を読み出し、読み出したバッテリIDと劣化パラメータの値と導入年月日と充電回数とを対応付けたバッテリ情報を通信装置200へ送信するバッテリ情報送信処理を行う。なお、バッテリ情報送信処理が一度でも行われた後、制御部305は、次回以降のバッテリ交換作業において通信装置200から送信要求コマンドを受け付けても、前記の2年経過判定処理およびバッテリ情報送信処理を行わない。
【0143】
前記のバッテリ情報がバッテリ300側から通信装置200側に送られると、通信装置200は、当該バッテリ情報を価格設定装置400に転送する。
【0144】
図9は、実施形態2に係る価格設定装置400の情報処理部401および記憶部402の構成を示したブロック図である。
【0145】
実施形態2の情報処理部401は、
図9に示されるように、情報蓄積部801および価格算出部802を備えている。また、実施形態2の記憶部402には、価格設定テーブル850(
図6参照)の他、バッテリ情報DB(バッテリ情報データベース)900が記憶されている。
【0146】
なお、
図8では、説明の便宜のため省略しているが、本実施形態においても実施形態1と同様、情報処理部401には、
図2に示すDB処理部601、使用度取得部602、クラス分類部603、価格設定部604、表示制御部605が備えられており、記憶部402には、閾値超過回数DB750、使用度テーブル800が記憶されている。
【0147】
図9の情報蓄積部801は、通信装置200からバッテリ情報が送られてくると、当該バッテリ情報をバッテリ情報DB900に蓄積していく処理を行うブロックである。
【0148】
図10は、記憶部402に記憶されているバッテリ情報DB900を模式的に示した図である。
図10に示すように、バッテリ情報DB900とは、バッテリIDと劣化パラメータの値と導入年月日と充電回数とを対応付けたバッテリ情報が蓄積されているデータベースである。つまり、情報蓄積部801は、通信装置200からバッテリ情報を受信する度に、受信したバッテリ情報をバッテリ情報DB900に追加することで、バッテリ情報DB900を更新するようになっている。
【0149】
図10に示すバッテリ情報DB900において、各劣化パラメータの値は、当該劣化パラメータの値に対応付けられているバッテリIDのバッテリが導入されてから所定期間(2年)経過した際の劣化の程度を意味し、各充電回数は、当該充電回数に対応付けられているバッテリIDのバッテリが導入されてから所定期間(2年)経過した時までに行われた充電の回数を意味する。
【0150】
つぎに、価格算出部802について説明する。価格算出部802は、定期的(例えば1年ごと)に、バッテリ情報DB900を用いて、各クラス(低劣化クラス、標準クラス、高劣化クラス)に適用されるバッテリ交換価格を算出し、価格設定テーブル850に記録されるバッテリ交換価格を更新する処理を行うブロックである。
【0151】
なお、価格算出部802が処理を行うタイミングは、例えば各年の1月1日の12時となっていてもよく(この場合は1年ごとに処理が行われる)、或いは、各月の1日の12時となっていてもよい(この場合は1月ごとに処理が行われる)。価格算出部802の処理が行われるタイミングは、価格設定装置400のオペレータに設定される。
【0152】
価格算出部802は、処理を行うタイミングに到達すると、
図10のバッテリ情報DB900から、所定数のバッテリのバッテリ情報を抽出する。なお、本実施形態では所定数は100個と設定されるが、100個に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、所定数はオペレータに設定されてもよい。
【0153】
具体的には、価格算出部802は、導入年月日が現時点に近い順に所定数(100個)のバッテリに相当するバッテリ情報を抽出していく。
【0154】
所定数のバッテリに相当するバッテリ情報が抽出されると、価格算出部802は、抽出されたバッテリ情報に示されている劣化パラメータの平均値と充電回数の平均値とを求める。つまり、データ数が100個の劣化パラメータの平均値(以下では「劣化度平均値」と称す)と、データ数が100個の充電回数の平均値(以下では「充電回数平均値」と称す)とが求められる。
【0155】
例えば、価格算出部802は、
図10のバッテリ情報DB900から抽出された100個のバッテリ情報で示される劣化パラメータの平均値20%を劣化度平均値として算出し、当該100個のバッテリ情報で示される充電回数の平均値(充電回数平均値)600回を充電回数平均値として算出する。これは、100個のバッテリは、導入から所定期間(2年)経過することで平均して20%劣化し、導入から所定期間(2年)経過するまでの間に平均して600回の充電が行われることを意味する。
【0156】
続いて、価格算出部802は、低劣化クラス、標準クラス、高劣化クラスの各々に対して適用されるバッテリ交換価格を算出する。具体的には、以下の通りである。
【0157】
まず、価格算出部802は、価格算出部802に抽出されたバッテリ情報のバッテリ(所定数(100個)のバッテリ)について、劣化による平均損失価格を、式aを用いて算出する。
平均損失価格=バッテリの新品価格×劣化度平均値 式a
例えば、本実施形態では、バッテリ交換ステーションにて使用されるバッテリが全て同一種類であって、全てのバッテリの新品価格が24万円であるものとする。この場合、劣化度平均値が20%であるとすると、平均損失価格は48000円となる。
【0158】
この平均損失価格に対応する劣化は、平均充電回数の充電が行われている間に生じたものと考えることができるため、充電1回当たり(つまりバッテリ交換1回当たり)の平均損失価格を、バッテリ交換1回当たりの交換価格にすればよい。
【0159】
そこで、価格算出部802は、
図6の標準クラスに適用される基準価格を、式bを用いて求める。
基準価格=平均損失価格/充電回数平均値 式b
例えば、平均損失価格が48000円であり、充電回数平均値が600回である場合、基準価格として80円/回が算出される。
【0160】
また、価格算出部802は、基準価格に劣化度平均値(%)を乗じた金額を基準価格から差し引いた値を、低劣化度クラスに適用される価格とする。例えば、基準価格が80円/回であり、劣化度平均値が20%である場合、
80円×20%=16円
80円−16円=64円
となり、低劣化度クラスに適用されるバッテリ交換価格は64円となる。
【0161】
さらに、価格算出部802は、基準価格に劣化度平均値(%)を乗じた金額を基準価格に加算した値を、高劣化度クラスに適用される価格とする。例えば、基準価格が80円/回であり、劣化度平均値が20%である場合、
80円×20%=16円
80円+16円=96円
となり、高劣化度クラスに適用されるバッテリ交換価格は96円となる。
【0162】
つまり、低劣化度クラスについては、劣化度平均値(%)に相当する割引率を適用する一方、高劣化度クラスについては、劣化度平均値(%)に相当する割増率を適用しており、低劣化度クラスにて割り引かれた金額を、高劣化度クラスに転嫁していることになる。
【0163】
価格算出部802は、以上のようにして求めたバッテリ交換価格を、記憶部402の価格設定テーブル850に対して上書きする。これにより、記憶部402の価格設定テーブル850(
図6)における各クラスのバッテリ交換価格は、定期的に更新されることになる。
【0164】
(変形例)
なお、以上の実施形態では、劣化度平均値を用いてバッテリ交換価格を求めているが、劣化度平均値の代わりに、
図11に示すように劣化パラメータの最頻値を用いてもよいし、劣化パラメータの中央値を用いてもよい。つまり、劣化の程度を示す劣化パラメータの代表値(平均値、中央値、最頻値)であればよいのである。また、同様に、充電回数についても、平均値に限定されるものではなく代表値であればよいのである。
【0165】
また、以上の実施形態では、バッテリ300から通信装置200へバッテリ情報が送信され、通信装置200から価格設定装置400へバッテリ情報が送信されるようになっているが、オペレータがバッテリ情報を価格設定装置400へ入力するようになっていてもよい。すなわち、オペレータは、バッテリ交換作業の度にバッテリの導入年月日をチェックし、導入から2年経過しているバッテリを抽出する。そして、バッテリは劣化パラメータの値および充電回数を表示する表示部を備えており、オペレータは、表示部から劣化パラメータの値および充電回数を確認する。そして、オペレータは、当該バッテリのバッテリIDと導入年月日と劣化パラメータの値と充電回数とを価格設定装置400に入力する。この構成によれば通信装置200が不要となる。
【0166】
なお、実施形態2では、バッテリ交換ステーションにて使用されるバッテリが全て同一種類であって、全てのバッテリの新品価格が24万円であったが、勿論、このような形態に限定されるものではない。例えば、バッテリ交換ステーションにて使用されるバッテリが数種類あり(但し、同じ顧客は同じ種類のバッテリを使い続ける)、バッテリの種類ごとで新品価格が異なっている場合でも実施形態1および2を適用可能である。この場合、使用されるバッテリの種類ごとで、実施形態1および2の処理を別々に行えばよい。つまり、実施形態2では、バッテリの種類ごとに、バッテリ情報DB900および価格設定テーブル850を作成し、実施形態1では、バッテリの種類ごとに、閾値超過回数DB750および使用度テーブル800を作成し、価格設定に使用する適用する価格設定テーブル850をバッテリの種類ごとで異ならせればよい。
【0167】
或いは、バッテリIDとバッテリ新品価格との関係を示した新品価格テーブルを記憶部402に記憶させておき、価格算出部802が、価格算出部802に抽出されたバッテリ情報のバッテリ(所定数(100個)のバッテリ)について、劣化による平均損失価格を式aではなく下記の式cを用いて算出するようになっていてもよい。
平均損失価格=バッテリの新品価格の平均値×劣化度平均値 式c
つまり、価格算出部802は、バッテリ情報DB900から抽出された所定数のバッテリの各バッテリIDに対応付けられている各新品価格を新品価格テーブルから読み出し、読み出した新品価格の平均値を算出するようになっている。そして、新品価格の平均値に廉価度平均値を乗算した値を平均損失価格とする。
【0168】
なお、バッテリの新品価格の平均値ではなく、バッテリの新品価格の最頻値を用いてもよいし、バッテリの新品価格の中央値を用いてもよい。つまり、バッテリの新品価格の代表値(平均値、中央値、最頻値)であればよいのである。
【0169】
また、平均損失価格(損失価格)の算出式(前述した式aや式c)は、劣化度平均値に示される劣化の程度が強く(高く)なるほど平均損失価格の金額が高くなるように定められることになる。ところで、劣化パラメータは、バッテリ300の劣化の程度(進行の度合い)の強弱(高低)を数値化したものであり、上記の説明では、値が大きいほど、バッテリの劣化の程度が強い(より進行している)ことを示すものとした。これに対し、バッテリの劣化の程度が強く(高く)なるほど値が小さくなるような劣化パラメータを用いてもよい。例えば、SOH計測部306によって計測されたSOHの値をそのまま劣化パラメータの値として用いることも可能である。この場合、式aや式cを使用するのではなく、別の式を用いる必要がある。SOHの値をそのまま劣化パラメータの値とする場合、所定金額に劣化パラメータの平均値の逆数を乗算した値を平均損失価格としてもよいし、100から劣化パラメータの平均値を差し引いた値と新品価格とを乗算した値を平均損失価格としてもよい。
【0170】
〔プログラムについて〕
情報処理部401は、プロセッサ(CPU)を用いてソフトウェアにて実現してもよいし、集積回路等に形成された論理回路によって実現してもよい。なお、ソフトウェアによる場合、情報処理部401は、前記ソフトウェアであるプログラムがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROMまたは記憶装置等の記録媒体を備えている。上記記録媒体としては、例えば、カード、ディスク、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などの「一時的でない有形の媒体」であってもよい。また、上記プログラムは、任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに伝送されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0171】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。