特許第6572575号(P6572575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572575
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】印刷媒体保持体及び印刷媒体収納装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/12 20060101AFI20190902BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20190902BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B65H19/12 B
   B41J15/04
   B65H75/38 X
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-59057(P2015-59057)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-175770(P2016-175770A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 弘志
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−069331(JP,A)
【文献】 特許第4671090(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0031875(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0084103(US,A1)
【文献】 特開2012−158027(JP,A)
【文献】 特開2015−013755(JP,A)
【文献】 実公昭44−014793(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H19/00−19/30
B65H21/00−21/02
B65H75/34−75/50
B41J15/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体が筒体に巻回されてなる巻回体と、
前記筒体の筒軸方向における一端側から前記筒体内に挿入される第1挿入部を有する第1芯材と、
前記筒体の筒軸方向における他端側から前記筒体内に挿入され、前記第1挿入部と嵌合する第2挿入部と、前記筒体の前記他端側の外方において前記筒体の径方向へ延出する第2延出部と、を有する第2芯材と、
を備え、
前記第2挿入部との嵌合を解除するように前記第2延出部に外部からの応力が働くと、前記第2延出部の少なくとも一部が前記第2挿入部と分離されるよう設定され、
前記第2挿入部は、少なくとも一部が円筒状であり、
前記第2延出部は、板状であり、前記第2挿入部の円筒部分の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部の、前記第2挿入部の径方向において前記第2挿入部の筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、前記第2挿入部の径方向で互いに離れる方向へ延出している2つのサブ延出部から構成される、
ことを特徴とする印刷媒体保持体。
【請求項2】
前記第1芯材は、前記筒体の前記一端側の外方において前記筒体の径方向へ延出する第1延出部を有し、前記第1挿入部における前記第1延出部側とは反対側の端部と、前記第2挿入部における前記第2延出部側とは反対側の端部と、のいずれか一方に設けられた係合部が他方に設けられた被係合部に係合した状態で、前記第2芯材に嵌合されている、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷媒体保持体。
【請求項3】
前記サブ延出部は、その基端部に複数のスリットが設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷媒体保持体。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の前記印刷媒体保持体と、
前記第2芯材を固定する固定部を有するケースと、
を備える、
ことを特徴とする印刷媒体収納装置。
【請求項5】
前記ケースは、前記ケース内において平面視円形状の底壁と、側壁と、により円柱状の空間を形成するように区画されてなり、前記第2延出部が前記底壁に当接するように前記印刷媒体保持体が装着される保持体装着部を有し、
前記固定部は、前記保持体装着部の前記側壁に設けられ、前記第2延出部の少なくとも一部を前記保持体装着部の前記底壁との間で挟持した状態で前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部内に固定する主固定片を有する、
ことを特徴とする請求項記載の印刷媒体収納装置。
【請求項6】
前記第2延出部は、板状であり、前記筒体の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部から、前記筒体の筒軸方向に直交する方向へ延出し、その厚さ方向における前記第2挿入部側に突条が設けられ、
前記固定部は、更に、前記保持体装着部の前記側壁に設けられ、前記第2延出部における前記突条が設けられた部位の少なくとも一部を前記保持体装着部の前記底壁との間で挟持した状態で前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部内に固定する副固定片を有する、
ことを特徴とする請求項記載の印刷媒体収納装置。
【請求項7】
前記第2挿入部は、その少なくとも一部が円筒状であり、その筒軸が前記保持体装着部の略中心部を通るように配置され、
前記第2延出部は、板状であり、前記第2挿入部の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部の、前記第2挿入部の径方向において前記第2挿入部の筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、前記第2挿入部の径方向で互いに離れる方向へ延出し、前記第2挿入部の筒軸に直交する方向における前記第2挿入部の筒軸から先端部までの距離が前記保持体装着部の内径よりも小さい2つのサブ延出部から構成され、
前記サブ延出部の先端部には、前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部の中心軸に沿って前記保持体装着部の内側に挿入して前記サブ延出部が前記底壁に面接触した状態にする際に前記副固定片との干渉を防ぐための窪み部が設けられている、
ことを特徴とする請求項記載の印刷媒体収納装置。
【請求項8】
前記印刷媒体保持体は、前記保持体装着部の前記底壁における第1領域に前記サブ延出部が面接触した状態で前記保持体装着部に装着され、
前記ケースは、更に、前記保持体装着部の前記底壁における前記第1領域以外の第2領域に設けられ、前記サブ延出部が前記第2領域に面接触するのを規制する突起部を有する、
ことを特徴とする請求項記載の印刷媒体収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体保持体及び印刷媒体収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置に用いられるテープカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−13755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたテープカートリッジでは、内部に収容されたテープ部材が枯渇すると、テープカートリッジ全体を新しいものに交換する必要があり、ユーザの印刷装置の使用コストが大きかった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、消耗部品の小型化を図ることができ、悪意のあるユーザがテープ部材を使い切った場合に、テープ部材のみを新しいものに取り替える行為を行うことを防止することができる印刷媒体保持体及び印刷媒体収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷媒体保持体は、
印刷媒体が筒体に巻回されてなる巻回体と、
前記筒体の筒軸方向における一端側から前記筒体内に挿入される第1挿入部を有する第1芯材と、
前記筒体の筒軸方向における他端側から前記筒体内に挿入され、前記第1挿入部と嵌合する第2挿入部と、前記筒体の前記他端側の外方において前記筒体の径方向へ延出する第2延出部と、を有する第2芯材と、
を備え、
前記第2挿入部との嵌合を解除するように前記第2延出部に外部からの応力が働くと、前記第2延出部の少なくとも一部が前記第2挿入部と分離されるよう設定され、
前記第2挿入部は、少なくとも一部が円筒状であり、
前記第2延出部は、板状であり、前記第2挿入部の円筒部分の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部の、前記第2挿入部の径方向において前記第2挿入部の筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、前記第2挿入部の径方向で互いに離れる方向へ延出している2つのサブ延出部から構成される、
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る印刷媒体収納装置は、
前記印刷媒体保持体と、
前記第2芯材を固定する固定部を有するケースと、
を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消耗部品の小型化を図ることができ、悪意のあるユーザがテープ部材を使い切った場合に、テープ部材のみを新しいものに取り替える行為を行うことを防止することができる印刷媒体保持体及び印刷媒体収納装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るテープカートリッジ及び印刷装置の平面図である。
図2】実施の形態に係るテープ保持体の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係るテープ保持体の断面図である。
図4】実施の形態に係るテープカートリッジの分解斜視図である。
図5】実施の形態に係るテープ保持体の断面図であり、(A)は第1芯材が第2芯材に係合する前の状態、(B)は第1芯材を第2芯材に係合させる途中の状態を示す。
図6】実施の形態に係るテープカートリッジの平面図である。
図7】実施の形態に係るテープカートリッジの平面図である。
図8】実施の形態に係るテープカートリッジの平面図である。
図9】実施の形態に係るテープ保持体の斜視図であり、(A)は第2延出部の分離前の状態、(B)は第2延出部の分離後の状態を示す。
図10】変形例に係るテープ保持体の断面図である。
図11】変形例に係るテープカートリッジの平面図である。
図12】変形例に係る第1芯材、第2芯材の斜視図である。
図13】変形例に係るテープ保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1には、本実施の形態に係るテープカートリッジ(印刷媒体収納装置)1と、テープカートリッジ1を使用する印刷装置100と、が示されている。印刷装置100は、テープカートリッジ1から供給されるテープ部材(印刷媒体)111aに、絵や文字等を印刷する装置である。
【0011】
印刷装置100は、筐体2の上面に入力部3、表示部4及びカートリッジ装着部8を塞ぐ開閉蓋5を備える。テープカートリッジ1は、カートリッジ装着部8に装着された状態で使用される。テープカートリッジ1は、内部にテープ部材111aを収容し、テープ部材111aを外部に繰り出すように構成されている。テープ部材111aは、例えば表面が印刷面であって裏面が粘着面である印刷テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されている。
【0012】
印刷装置100のカートリッジ装着部8には、サーマルヘッド(印刷ヘッド)6とプラテンローラ7とが配設されている。サーマルヘッド6は、テープ部材111aの幅方向に対応する垂直方向(図1のZ方向)に配列された複数の発熱素子を駆動してテープ部材111aに印刷を行う。プラテンローラ7は、テープカートリッジ1からテープ部材111aを引き出して搬送する。サーマルヘッド6は、例えば垂直方向(図1のZ方向)に延伸する軸(図示せず)を介して回動可能に支持されており、ヘッド移動機構(図示せず)を介して開閉蓋5の開閉に連動して回動するようになっている。即ち、開閉蓋5が開放されると、サーマルヘッド6がプラテンローラ7から離れた非印刷位置に移動し、開閉蓋5が閉じられると、サーマルヘッド6がテープ部材111aを介してプラテンローラ7を押圧する印刷位置に移動する。
【0013】
テープカートリッジ1は、テープ保持体(印刷媒体保持体)11と、ベースケース12と、を備える。ベースケース12は、内部から外部へテープ部材111aを繰り出すための繰出口128を有し、サーマルヘッド6を有する印刷装置100に対して着脱可能となっている。テープ保持体11は、ベースケース12内に、テープ部材111aを保持した状態で装着され、繰出口128を通じてサーマルヘッド6へテープ部材111aを供給する。
【0014】
テープ保持体11は、図2に示すように、テープ部材111aが紙管(筒体)111bに巻回されてなる巻回体111と、巻回体111の紙管111bに装着される第1芯材112及び第2芯材113と、を備える。第1芯材112と第2芯材113とは、例えば合成樹脂等の樹脂材料を用いた押出成形等により形成されている。
【0015】
第1芯材112は、図3に示すように、第1芯材本体112aと小径部112dと第1延出部112cと係合部112eと取手部112gとを有する。第1芯材本体112aは、円柱状であり、外径が紙管111bの内径よりも小さい。第1芯材本体112aにおける中心軸J1を挟んで対向する2箇所には、第1芯材本体112aの径方向に突出する突出部112bが設けられている。小径部112dは、円柱状であり、第1芯材本体112aよりも小径であるとともに、第1芯材本体112aの中心軸J1方向における一端側に連続している。小径部112dの中心軸は、第1芯材本体112aの中心軸J1に略一致している。第1延出部112cは、円板状であり、第1芯材本体112aの中心軸J1方向における他端側に連続している。第1延出部112cの中心軸は、第1芯材本体112aの中心軸J1に略一致している。第1延出部112cは、紙管111bの一端側(図3中の上側)の外方において紙管111bの径方向へ延出している。また、第1延出部112cは、図2に示すように、その中央部に平面視円形の開口112hが形成されている。
【0016】
係合部112eは、図3に示すように、円板状であり、小径部112dにおける第1芯材本体112a側とは反対側に連続している。係合部112eの中心軸は、第1芯材本体112aの中心軸J1に略一致している。係合部112eにおける小径部112d側とは反対側の面の周縁部には、係合部112eの中心軸J1から離れるほど係合部112eの厚さが薄くなるように傾斜したテーパ部112fが形成されている。第1芯材本体112aと小径部112dとから、紙管111bの筒軸方向における一端側(図3中における上側)から紙管111b内S1に挿入される第1挿入部が構成される。また、第1延出部112cのその厚さ方向における第1芯材本体112a側とは反対側には、第1芯材112を掴むための取手部112gが設けられている。
【0017】
第2芯材113は、図2に示すように、第2芯材本体113aと2つのサブ延出部113cと被係合部113gとを有する。第2芯材本体113aは、円筒状であり、その筒軸方向における一端部の2箇所に切欠部113bが形成されている。第1芯材112が第2芯材113に固定された状態で、第1芯材本体112aに設けられた突出部112bが切欠部113bに嵌合する。第2芯材本体113aの外径は、紙管111bの内径に比べて小さい。2つのサブ延出部113cは、板状であり、それぞれ第2芯材本体113aの筒軸方向における被係合部113g側とは反対側の端部、即ち、第2芯材本体113aの筒軸方向における他端部から延出している。2つのサブ延出部113cは、第2芯材本体113aの筒軸方向に直交する方向において第2芯材本体113aの筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、第2芯材本体113aの筒軸方向に直交し且つ互いに離れる方向へ延出している。サブ延出部113cは、その厚さ方向における第2芯材本体113a側に2つの突条113dが設けられている。サブ延出部113cの先端部には、第2芯材本体113aに近づく方向に窪んだ窪み部113eと、第2芯材本体113aから離れる方向に突出した突出部113fと、が設けられている。窪み部113eは、テープ保持体11を保持体装着部121の内側に挿入してサブ延出部113cが底壁121aに面接触した状態にする際に、後述の副固定片126との干渉を防ぐためのものである。この2つのサブ延出部113cは、図3に示すように、紙管111bの他端側(図3中の)の外方において紙管111bの径方向へ延出する第2延出部を構成する。また、サブ延出部113cの基端部には、サブ延出部113cを第2芯材本体113aから分離し易くするための複数のスリット113hが設けられている。
【0018】
被係合部113gは、開口113jを有する円環板状に形成され、第2芯材本体113aにおけるその筒軸方向の中央部よりも切欠部113b側において、その筒軸に近づく方向に張り出している。開口113jの内径は、第1芯材本体112aの外径及び係合部112eの外径よりも小さく、小径部112dの外径よりも大きい。被係合部113gの一部には、第1芯材112の係合部112eを第2芯材本体113aの内部における被係合部113gよりもサブ延出部113c側に押し込む際に被係合部113gを撓ませるための切欠部113kが設けられている。第2芯材本体113aから、紙管111bの筒軸方向における他端側(図3中における下側)から紙管111b内S1に挿入される第2挿入部が構成される。
【0019】
図3に示すように、第1芯材112は、第1芯材112に設けられた係合部112eが第2芯材113に設けられた被係合部113gに係合した状態で、第2芯材113に固定されている。
【0020】
ベースケース12は、図4に示すように、ベースケース12内において平面視円形状の底壁121aと、側壁121bと、により円柱状の空間を形成するように区画されてなる保持体装着部121を有する。テープ保持体11は、サブ延出部113cが底壁121aに当接するように保持体装着部121に装着される。ベースケース12は、例えば合成樹脂等の樹脂材料を用いた押出成形等により形成されている。保持体装着部121の底壁121aには、細長の位置決め突条122と細長の支持突条123と細長の移動規制突条124とが設けられている。また、保持体装着部121の側壁121bには、主固定片125と副固定片126とが突設されている。この主固定片125と副固定片126とから、第2芯材113を着脱可能にベースケース12に固定するための固定部が構成されている。
【0021】
位置決め突条122は、テープ保持体11の保持体装着部121への挿入位置を決めるためのものである。支持突条123は、テープ保持体11の一部を構成する巻回体111をその紙管111bの筒軸方向における底壁121a側から支持する。移動規制突条124は、テープ保持体11が保持体装着部121内で回転するのを規制するためのものである。位置決め突条122、支持突条123及び移動規制突条124は、それぞれ平面視円形状の底壁121aの中心部から放射状に延出している。また、底壁121aのうちの移動規制突条124の長手方向における側壁121b側の端部近傍には、孔127が貫設されている。これにより、ユーザは、テープ保持体11の保持体装着部121への装着時において、孔127を通して、サブ延出部113cの端縁が移動規制突条124に当接したか否かを確認することができる。
【0022】
主固定片125は、サブ延出部113cの一部を保持体装着部121の底壁121aとの間で挟持した状態でテープ保持体11を保持体装着部121内に固定する。主固定片125は、側壁121bのうちの移動規制突条124の長手方向における側壁121b側の端部近傍に突設されている。副固定片126は、サブ延出部113cにおける突条113dが設けられた部位の先端部を保持体装着部121の底壁121aとの間で挟持した状態でテープ保持体11を保持体装着部121内に固定する。副固定片126は、側壁121bのうち主固定片125よりも位置決め突条122に近い側に突設されている。また、保持体装着部121の内部は、テープ部材111aを外部へ繰り出すための繰出口128に連通している。
【0023】
更に、底壁121aにおける、互いに隣接する支持突条123と移動規制突条124との間の領域(第2領域)には、突起部129が配設されている。これにより、ユーザが、誤ってサブ延出部113cが互いに隣接する支持突条123と移動規制突条124との間に配置される形でテープ保持体11を保持体装着部121内に配置してしまうことを回避することができる。サブ延出部113cが互いに隣接する支持突条123と移動規制突条124との間に配置される形でテープ保持体11を保持体装着部121内に配置された場合、突起部129の先端が、第1芯材113のサブ延出部113cに当接する。これにより、サブ延出部113cが底壁121aのうちの互いに隣接する支持突条123と移動規制突条124との間の領域に面接触した状態で、テープ保持体11を保持体装着部121内に配置することができないので、ユーザはテープ保持体11が正しい位置に配置されていないことを認識することができる。
【0024】
[テープ保持体の組立方法]
次に、本実施の形態に係るテープ保持体11の組立方法について説明する。まず、図2に示すように、巻回体111の紙管111bの内側に第2芯材113の第2芯材本体113aを挿入させる形で、巻回体111を第2芯材113に被せる(図2中の矢印AR1参照)。このとき、図5(A)に示すように、巻回体111は、サブ延出部113cにおける第2芯材本体113a側の面に設けられた突条113d上に載置される。
【0025】
次に、図2に示すように、第1芯材112を、その係合部112e側から巻回体111の紙管111bの内側に挿入する(図2中の矢印AR2参照)。このとき、図5(A)に示すように、テーパ部112fが、第2芯材113の被係合部113gの上端縁に当接する。
【0026】
続いて、第1芯材112を第2芯材113の第2芯材本体113aのサブ延出部113c側の端部に向かって押し込む(図5(A)中の矢印AR11参照)。そうすると、図5(B)に示すように、被係合部113gは、係合部112eのテーパ部112fから加わる力により、サブ延出部113c側へ撓み、被係合部113gの内側の開口113jの内径が広がる。このとき、第1芯材本体112aに設けられた突出部112bが切欠部113bに嵌合する。これにより、第1芯材112を押し込む際に、第1芯材112が、第2芯材113に対して第2芯材本体113aの筒軸周りに回転するのを防止できる。
【0027】
その後、第1芯材112を押し込んでいくとともに、被係合部113gの内周縁がテーパ部112fを摺動する形で、被係合部113gの内側の開口113jの内径は広がっていく。そして、被係合部113gの内側の開口113jの内径は、係合部112eにおける小径部112d側の外径と同じ大きさになるまで広がる。この状態で、第1芯材112の係合部112eが第2芯材本体113aの筒軸方向における被係合部113gよりもサブ延出部113c側に位置するまで、第1芯材112を押し込む。すると、第1芯材112の小径部112dの外径は、被係合部113gの内側の開口113jの内径よりも小さいので、被係合部113gは、その復元力により、図3に示すように元の状態に戻る。こうして、テープ保持体11が完成する。
【0028】
[テープ保持体のベースケースへの装着方法]
次に、テープ保持体11をベースケース12に装着する方法について説明する。まず、図4に示すように、テープ保持体11をベースケース12の保持体装着部121の内側に挿入する(図4中の矢印AR3参照)。このとき、テープ保持体11は、その第2芯材本体113aの筒軸が保持体装着部121の略中心部を通るように配置される。ここで、テープ保持体11は、図6に示すように、サブ延出部113cが保持体装着部121の底壁121aにおける、位置決め突条122と保持体装着部121の円周方向において位置決め突条122に隣接する移動規制突条124との間の領域(第1領域)に面接触した状態で配置される。
【0029】
ここで、テープ保持体11は、副固定片126がこの窪み部113eの内側に位置する姿勢で保持体装着部121内に挿入された場合のみ、サブ延出部113cを保持体装着部121の底壁121aに面接触させることができる。また、テープ保持体11は、例えばサブ延出部113cが保持体装着部121の底壁121aにおける、移動規制突条124と保持体装着部121の円周方向において移動規制突条124に隣接する支持突条123との間の領域(第2領域)に配置されたとする。この場合、サブ延出部113cは、突起部129により、底壁121aにおける、移動規制突条124と支持突条123との間の領域への面接触が規制される。
【0030】
次に、テープ保持体11を、その第1芯材112側から見て、ベースケース12に対して時計回り方向(図6中の矢印AR15参照)へ回転させる。このとき、ユーザは、テープ保持体11の第1芯材112の取手部112gを指で摘まんでテープ保持体11を回転させることができる。そうすると、図7に示すように、サブ延出部113cの突出部113fが、保持体装着部121の底壁121aと副固定片126との間に配置される。これにより、テープ保持体11のベースケース12への装着作業中において、テープ保持体11がベースケース12から離脱するのを防止できる。
【0031】
続いて、テープ保持体11を、その第1芯材112側から見て、ベースケース12に対して時計回り方向(図7中の矢印AR16参照)へ更に回転させる。そうすると、図8に示すように、サブ延出部113cにおける時計回り方向側の端縁が、移動規制突条124に当接するとともに、サブ延出部113cの先端部の時計回り方向側の端部が、底壁121aと主固定片125との間で挟持された状態となる。また、サブ延出部113cにおける突条113dが設けられた部位が、底壁121aと副固定片126との間で挟持された状態となる。このようにして、第2芯材113がベースケース12に対して着脱可能に固定された状態で、テープ保持体11がベースケース12の保持体装着部121に装着される。
【0032】
[テープ保持体の廃棄処分方法]
次に、テープ保持体11について、巻回体111のテープ部材111aが使い切られて無くなった場合の廃棄処分方法について説明する。前述のように、2つのサブ延出部113cの基端部には、複数のスリット113hが設けられている。このサブ延出部113cの基端部に外部からの曲げ応力を加えることにより、サブ延出部113cを第2芯材本体113aから分離することができる。そこで、図9(A)に示すように、テープ部材111aが使い切られて無くなると、2つのサブ延出部113cを、それらの先端部が第2芯材本体113aに連結される基端部を軸として旋回して互いに近づく形で折り曲げる(図9(A)の矢印AR21参照)。こうすることにより、2つのサブ延出部113cの基端部に曲げ応力が加わり、図9(B)に示すように、2つのサブ延出部113cを第2芯材本体113aから分離することができる。
【0033】
2つのサブ延出部113cを第2芯材本体113aから分離した後、紙管111bを第2芯材本体113aの筒軸方向に沿って移動させると(図9(B)中の矢印AR22参照)、紙管111bを第2芯材本体113aから脱離させることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、テープ保持体11の一部を構成する第1芯材112又は第2芯材113がベースケース12に対して着脱可能に固定されている。つまり、テープ保持体11は、ベースケース12に対して着脱可能となっている。これにより、例えばテープ部材111aを使い切った場合、テープ保持体11をベースケース12から取り外して新しいテープ保持体11に交換すれば再度印刷装置100による印刷が可能となる。従って、例えばテープ保持体とケースとが一体形成されて分解出来ない構成に比べて、消耗部品の小型化を図ることができ、悪意のあるユーザがテープ部材を使い切った場合に、テープ部材のみを新しいものに取り替える行為を行うことを防止することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、第1芯材112を第2芯材113に挿入させる方向に移動させると、第1芯材112の係合部112eの周部が第2芯材113の被係合部113gに係止された状態となる。これにより、第1芯材112を第2芯材113から脱離させる力がテープ保持体11に作用しても第1芯材112が第2芯材113から脱離しない。従って、例えば悪意のあるユーザが、テープ部材111aを使い切った場合に、第1芯材112を第2芯材113から脱離させて巻回体111を新しいものに取り替える行為を行うことを防止できる。
【0036】
ところで、消耗部品の簡素化の観点からすれば、印刷装置を、テープ部材111aを紙管111bに巻回してなる巻回体111が直接装着される構成とすることが考えられる。しかしながら、この場合には巻回体111の模造品を容易に製造することができる。従って、ユーザは、印刷装置に巻回体111の模造品を装着して使用するケースが増大する虞がある。この場合、印刷装置とともにそれに用いられるテープ部材をも販売しようとする事業者にとっては、テープ部材の販売による利益が著しく減少してしまう虞がある。
【0037】
これに対して、本実施の形態に係るテープ保持体11は、第1芯材112と第2芯材113とを備えるため、巻回体111のみの構成に比べて模倣品を実現しにくい。これにより、事業者は、印刷装置100に用いるテープ部材111aの販売を、他のテープ部材の製造業者に干渉される可能性が低くなるのでテープ部材111aの販売による利益を得やすくなるという利点がある。
【0038】
また、本実施の形態では、第2延出部が板状の2つのサブ延出部113cから構成される。これにより、例えば第2延出部がブロック状である構成に比べて第2延出部全体の軽量化を図ることができる。また、2つのサブ延出部113cは、第2芯材本体113aの被係合部113g側とは反対側の端部における、第2芯材本体113aの筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、第2挿入部の筒軸方向に直交し且つ互いに離れる方向へ延出している。これにより、巻回体111を安定して保持できる。
【0039】
また、本実施の形態では、サブ延出部113cの基端部に複数のスリットが形成されており、このサブ延出部113cの基端部に曲げ応力を加えることにより、サブ延出部113cを第2芯材本体113aから分離することができる。従って、樹脂材料から形成された第2芯材本体113a及びサブ延出部113cと、紙から形成された紙管111bと、を分別して廃棄することが可能になる。
【0040】
また、本実施の形態では、サブ延出部113cの一部を主固定片125と保持体装着部121の底壁121aとの間で挟持した状態でテープ保持体11を保持体装着部121内に固定する。これにより、簡素な構成でテープ保持体11を保持体装着部121内に固定することができるので、部品の簡素化による製造容易化を図ることができる。
【0041】
本実施の形態では、サブ延出部113cにおける突条113dが設けられた部位の先端部を副固定片126と保持体装着部121の底壁121aとの間で挟持した状態でテープ保持体11を保持体装着部121内に固定する。これにより、主固定片125のみでテープ保持体11を保持体装着部121内に固定する構成に比べて堅固に固定することができる。
【0042】
本実施の形態では、サブ延出部113cの先端部に窪み部113eが形成されており、テープ保持体11は、副固定片126がこの窪み部113eの内側に位置する姿勢で保持体装着部121内に挿入された場合のみ、サブ延出部113cを保持体装着部121の底壁121aに面接触させることができる。これにより、ユーザがテープ保持体11をベースケース12の保持体装着部121内へ装着する際のテープ保持体11の適切な姿勢を認識し易くなるので、テープ保持体11のベースケース12への装着作業の効率化を図ることができる。
【0043】
本実施の形態では、テープ部材111aが感熱紙から構成されている。これにより、例えばテープとインクリボンとが内部に収容されたテープカートリッジに比べて構成部品の点数を削減することによる製造コスト低減を図ることができる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態によって限定されるものではない。例えば、第1芯材に被係合部が設けられ、第2芯材に係合部が設けられる構成であってもよい。
【0045】
図10に示すように、本変形例に係るテープ保持体2011は、被係合部2112eを有する第1芯材2112と、係合部2113gを有する第2芯材2113と、を備える。なお、図10において、実施の形態と同様の構成は、図3と同一の符号を付している。第1芯材2112は、第1芯材本体2112aと円筒部2112dと第1延出部112cと被係合部2112eと取手部112gとを備える。第1芯材本体2112aは、円柱状である。円筒部2112dは、外径が第1芯材本体2112aよりも小径であり、第1芯材本体2112aの中心軸J2方向における一端側に連続している。被係合部2112eは、内側に開口2113hを有する円環板状であり、円筒部2112dの先端部に連続するとともに、円筒部2112dの筒軸方向に直交する方向において円筒部2112dの筒軸に近づく方向に張り出している。被係合部2112eの周方向における一部には、第2芯材2113の係合部2113gを円筒部2112dの内側に押し込む際に被係合部2112eを撓ませるための切欠部2112fが設けられている。
【0046】
第2芯材2113は、第2芯材本体113aと、2つのサブ延出部113cから構成される第2延出部と、基台部2113kと、円柱部2113fと、係合部2113gと、を備える。基台部2113kは、円板状に形成され、第2芯材本体113aの内側の一部を閉塞する形で配置されている。円柱部2113fは、基台部2113kにおけるサブ延出部113c側とは反対側の面上にその中心軸が基台部2113kの面に略直交する形で配設されている。係合部2113gは、円板状でありその中心軸は第2芯材本体113aの筒軸に略一致している。係合部2113gにおける円柱部2113f側とは反対側の面の周縁部には、係合部2113gの中心部から離れるほど係合部2113gの厚さが薄くなるように傾斜したテーパ部2113jが形成されている。被係合部2112eの開口113jの内径は、第2芯材本体113aの内径及び係合部2113gの外径よりも小さく、円柱部2113fの外径よりも大きい。
【0047】
本変形例に係るテープ保持体2011の組立方法は、実施の形態と同様である。実施の形態で説明したように、巻回体111を第2芯材2113に被せる。次に、第1芯材2112を、その被係合部2112e側から巻回体111の紙管111bの内側に挿入する。このとき、第2芯材2113の係合部2113gのテーパ部2113jが、被係合部2112eの内側の開口2112fの外周部に当接した状態となる。続いて、第1芯材112を第2芯材113のサブ延出部113c側に向かって押し込むと、被係合部2112eは、係合部2113gのテーパ部2113jからの反作用力により、円筒部2112dの内側へ撓み、被係合部2112eの内側の開口2113fの内径が広がる。
【0048】
その後、第1芯材2112を押し込んでいくとともに、被係合部2112eの内側の開口2112fの内径は、漸次広がっていき、最終的に係合部2113gにおける円柱部2113f側の外径と同じ大きさにまで広がる。この状態で、第2芯材2113の係合部2113gが円筒部2112dの内側に位置するまで、第1芯材2112を押し込む。すると、第2芯材2113の円柱部2113fの外径は、被係合部2112eの内側の開口2112fの内径よりも小さいので、被係合部2112eは、その復元力により、図10に示すように元の状態に戻る。こうして、テープ保持体11が完成する。
【0049】
本構成によれば、第1芯材2112を第2芯材2113へ挿入させる方向に移動させると、第2芯材2113の係合部2113gが第1芯材2112の被係合部2112eに係止された状態となる。これにより、第1芯材2112を第2芯材2113から脱離させる力がテープ保持体2011に作用しても第1芯材2112が第2芯材2113から脱離しない。従って、例えば悪意のあるユーザが、テープ部材111aを使い切った場合に、第1芯材2112を第2芯材2113から脱離させて巻回体111を新しいものに取り替える行為を行うことを防止できる。
【0050】
実施の形態では、図6及び図7に示すように、テープ保持体11の第1芯材112側から見て、テープ保持体11が時計回りに回転されるとテープ保持体11がベースケース12の保持体装着部121に固定される例について説明した。これに限らず、例えば、テープ保持体11の第1芯材112側から見て、テープ保持体11が反時計回りに回転されるとテープ保持体11がベースケースの保持体装着部に固定されるものであってもよい。
【0051】
図11に示すように、本変形例に係るベースケース3012では、保持体装着部3121の開口側から見たときに、移動規制突条3124に対して位置決め突条3122が時計回り方向側に位置し、支持突条3123が反時計回り方向側に位置する。
【0052】
次に、テープ保持体11を本変形例に係るベースケース3012に装着する方法について説明する。まず、テープ保持体11を、その第2芯材113のサブ延出部113cが底壁121aに面接触した状態で保持体装着部3121内に配置する。ここで、サブ延出部113cは、それぞれ底壁121aにおける、位置決め突条3122と保持体装着部121の周方向において位置決め突条3122に隣接する移動規制突条3124との間の領域に面接触している。また、副固定片3126が、サブ延出部113cの窪み部113eの内側に位置する。
【0053】
次に、テープ保持体11を、その第1芯材112側から見て、ベースケース3012に対して反時計回り方向(図11中の矢印AR31参照)へ回転させる。そうすると、図11に示すように、サブ延出部113cにおける反時計回り方向側の端縁が、移動規制突条124に当接するとともに、サブ延出部113cの先端部の反時計回り方向側の端部が、底壁121aと主固定片3125との間で挟持された状態となる。また、サブ延出部113cにおける突条113dが設けられた部位が、底壁121aと副固定片3126との間で挟持された状態となる。このようにして、テープ保持体11がベースケース3012に装着される。
【0054】
本構成によれば、テープ保持体11をベースケース3012に装着する際のテープ保持体11の回転方向が異なるバリエーションをユーザに提供することができる。
【0055】
実施の形態では、第2芯材113の被係合部113gに、被係合部113gを撓ませて開口113jの大きさを係合部112eが挿通可能な大きさにするための切欠部113kが設けられている例について説明した。これに限らず、例えば第1芯材112の係合部112eに、係合部112を一時的に収縮させて被係合部の内側の開口に挿通可能な大きさにするための切込部が設けられていてもよい。
【0056】
本変形例に係るテープ保持体では、図12に示すように、第1芯材5112の係合部5112eから小径部5112dに亘って刻まれた切込部5112jが設けられている。一方、第2芯材5113の被係合部5113gには切欠部が設けられていない。
【0057】
次に、本変形例に係るテープ保持体の組立方法について説明する。実施の形態の組立方法と同様に、係合部5112eの一部が被係合部5113gの内周円に当接した状態で、第1芯材5112を第2芯材5113の第2芯材本体113aのサブ延出部113c側の端部に向かって押し込む。そうすると、係合部5112eは、第2芯材5113の被係合部5113gからの反作用力により、切込部5112jが閉じる形で収縮する。
【0058】
その後、第1芯材5112を押し込んでいくとともに、被係合部5113gの内周縁がテーパ部5112fを摺動しつつ、係合部5112eが収縮していく。そして、係合部5112eは、被係合部5113gの内径よりも小さい大きさになるまで収縮する。この状態で、第1芯材5112の係合部5112eが第2芯材本体113aの筒軸方向における被係合部113gよりもサブ延出部113c側に位置するまで、第1芯材5112を押し込む。すると、第2芯材本体113aの内径は、切込部5112jが広がった状態での係合部5112eの外径よりも大きいので、係合部5113eは、その復元力により切込部5112jが広がった状態に戻る。こうして、テープ保持体が完成する。本構成によっても実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0059】
実施の形態では、各サブ延出部113cの基端部に、複数のスリットが設けられた構成について説明した。これに限らず、例えばサブ延出部は、その基端部の厚さが他の部位に比べて薄くなっている構成であってもよい。或いは、図13に示すように、第2芯材4113において、サブ延出部4113cの延出方向に直交する方向において、サブ延出部4113cの基端部4113hの幅が、他の部位の幅に比べて小さくなっているものであってもよい。これらの構成においても、このサブ延出部の基端部に曲げ応力を加えることにより、サブ延出部を第2芯材本体113aから分離することができるので、実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
実施の形態では、サブ延出部113cが2つの突条113dを備える例について説明したが、突条113dの数は2つに限定されない。例えば、テープ保持体11を、その第1芯材112側から見て、サブ延出部113cにおける時計回り方向側の端縁が、移動規制突条124に当接した状態で、サブ延出部113cにおける副固定片126に対応する位置に1つだけ突条が配設された構成であってもよい。この場合、突条の数を低減することによる第2芯材113の軽量化及び使用材料の削減を図ることができる。また、サブ延出部113cに設けられる突条の数は、3つ以上であってもよい。この場合、突条はサブ延出部113cの補強材として機能するので、サブ延出部113cの損傷を抑制することができる。
【0061】
また、テープ保持体11を、その第1芯材112側から見て、サブ延出部113cにおける時計回り方向側の端縁が、移動規制突条124に当接した状態で、サブ延出部113cにおける副固定片126で覆われる部位に突起部が配設された構成であってもよい。この場合、第2芯材113の更なる軽量化及び更なる使用材料の削減を図ることができる
【0062】
実施の形態では、第2芯材113が、2つのサブ延出部113cから構成される第2延出部を有する例について説明したが、第2延出部の構成はこれに限定されない。例えば、第2延出部が、3つ以上のサブ延出部から構成されるものであってもよいし、或いは1つだけのサブ延出部から構成されるものであってもよい。
【0063】
実施の形態では、ベースケース12の保持体装着部121の底壁121aに面接触するサブ延出部113cが保持体装着部121に固定される例について説明した。これに限らず、例えば、紙管111bの筒軸方向において紙管111bを挟んでサブ延出部113c側とは反対側に配置された第1延出部112cが、ベースケースに固定される構成であってもよい。
【0064】
実施の形態では、紙管111b及び第2芯材113の第2芯材本体113aの両方が円筒形状である例について説明した。これに限らず、例えば紙管111b及び第2芯材113の第2芯材本体113aのいずれか一方が円筒形状であり、他方が円筒形状以外の他の筒形状であってもよい。
【0065】
実施の形態では、印刷媒体としてテープ部材111aを用いる例について説明したが、印刷媒体は、これに限定されるものではなく、他の形状を有するものであってもよい。
【0066】
実施の形態では、ベースケース12が印刷装置100に着脱可能に装着される例について説明した。これに限らず、ベースケース12は、印刷装置100に固定されていてもよい。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とに含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0068】
(付記1)
印刷媒体が筒体に巻回されてなる巻回体と、
前記筒体の筒軸方向における一端側から前記筒体内に挿入される第1挿入部を有する第1芯材と、
前記筒体の筒軸方向における他端側から前記筒体内に挿入され、前記第1挿入部と嵌合する第2挿入部と、前記筒体の前記他端側の外方において前記筒体の径方向へ延出する第2延出部と、を有する第2芯材と、
を備え、
前記第2挿入部との嵌合を解除するように前記第1芯材に外部からの応力が働くと、前記第2延出部の少なくとも一部が前記第2挿入部と分離されるよう設定されている、
ことを特徴とする印刷媒体保持体。
【0069】
(付記2)
前記第1芯材は、前記筒体の前記一端側の外方において前記筒体の径方向へ延出する第1延出部を有し、前記第1挿入部における前記第1延出部側とは反対側の端部と、前記第2挿入部における前記第2延出部側とは反対側の端部と、のいずれか一方に設けられた係合部が他方に設けられた被係合部に係合した状態で、前記第2芯材に嵌合されている、
ことを特徴とする付記1記載の印刷媒体保持体。
【0070】
(付記3)
前記第2挿入部は、少なくとも一部が円筒状であり、
前記第2延出部は、板状であり、前記第2挿入部の円筒部分の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部の、前記第2挿入部の径方向において前記第2挿入部の筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、前記第2挿入部の径方向で互いに離れる方向へ延出している2つのサブ延出部から構成される、
ことを特徴とする付記1又は付記2に記載の印刷媒体保持体。
【0071】
(付記4)
前記サブ延出部は、その基端部に複数のスリットが設けられている、
ことを特徴とする付記3に記載の印刷媒体保持体。
【0072】
(付記5)
付記1〜4のいずれかに記載の前記印刷媒体保持体と、
前記第2芯材を固定する固定部を有するケースと、
を備える、
ことを特徴とする印刷媒体収納装置。
【0073】
(付記6)
前記ケースは、前記ケース内において平面視円形状の底壁と、側壁と、により円柱状の空間を形成するように区画されてなり、前記第2延出部が当該底壁に当接するように前記印刷媒体保持体が装着される保持体装着部を有し、
前記固定部は、前記保持体装着部の前記側壁に設けられ、前記第2延出部の少なくとも一部を前記保持体装着部の前記底壁との間で挟持した状態で前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部内に固定する主固定片を有する、
ことを特徴とする付記5記載の印刷媒体収納装置。
【0074】
(付記7)
前記第2延出部は、板状であり、前記筒体の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部から、前記筒体の筒軸方向に直交する方向へ延出し、その厚さ方向における前記第2挿入部側に突条が設けられ、
前記固定部は、更に、前記保持体装着部の前記側壁に設けられ、前記第2延出部における前記突条が設けられた部位の少なくとも一部を前記保持体装着部の前記底壁との間で挟持した状態で前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部内に固定する副固定片を有する、
ことを特徴とする付記6記載の印刷媒体収納装置
【0075】
(付記8)
前記第2挿入部は、その少なくとも一部が円筒状であり、その筒軸が前記保持体装着部の略中心部を通るように配置され、
前記第2延出部は、板状であり、前記第2挿入部の筒軸方向における前記第2挿入部の前記第1挿入部に連結される側とは反対側の端部の、前記第2挿入部の径方向において前記第2挿入部の筒軸を挟んで対向する2箇所それぞれから、前記第2挿入部の径方向で互いに離れる方向へ延出し、前記第2挿入部の筒軸に直交する方向における前記第2挿入部の筒軸から先端部までの距離が前記保持体装着部の内径よりも小さい2つのサブ延出部から構成され、
前記サブ延出部の先端部には、前記印刷媒体保持体を前記保持体装着部の中心軸に沿って前記保持体装着部の内側に挿入して前記サブ延出部が前記底壁に面接触した状態にする際に前記副固定片との干渉を防ぐための窪み部が設けられている、
ことを特徴とする付記7記載の印刷媒体収納装置。
【0076】
(付記9)
前記印刷媒体保持体は、前記保持体装着部の前記底壁における第1領域に前記サブ延出部が面接触した状態で前記保持体装着部に装着され、
前記ケースは、更に、前記保持体装着部の前記底壁における前記第1領域以外の第2領域に設けられ、前記サブ延出部が当該第2領域に面接触するのを規制する突起部を有する、
ことを特徴とする付記8記載の印刷媒体収納装置。
【符号の説明】
【0077】
1…テープカートリッジ(印刷媒体収納装置)、2…筐体、3…入力部、4…表示部、5…開閉蓋、6…サーマルヘッド(印刷ヘッド)、7…プラテンローラ、8…カートリッジ装着部、11,2011…テープ保持体(印刷媒体保持体)、12,3012…ベースケース、100…印刷装置、111…巻回体、111a…テープ部材(印刷媒体)、111b…紙管(筒体)、112,2112,5112…第1芯材、112a,2112a…第1芯材本体、112b…突出部、112c…第1延出部、112d,5112d…小径部、112e,2113g,5112e…係合部、112f,2113j,5112f…テーパ部、112g…取手部、112h,113j,2113f…開口、113,2113,5113…第2芯材、113a…第2芯材本体、113b,113k,2112f,…切欠部、113c,4113c…サブ延出部、113d…突条、113e…窪み部、113f…突出部、113g,2112e,5113g…被係合部、113h…スリット、121,3121…保持体装着部、121a…底壁、121b…側壁、122,3122…位置決め突条、123,3123…支持突条、124,3124…移動規制突条、125…主固定片、126…副固定片、127…孔、128…繰出口、129…突起部,2112d…円筒部、2113f…円柱部、2113k…基台部,4113h…基端部,5112j…切込部
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