(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
<ハードウェアの構成>
図1は、本発明の波高計測装置の一実施形態に係る携帯端末のハードウェアの構成を示すブロック図である。
携帯端末1は、例えば、ウェアラブル端末であるリスト型端末として構成される。なお、携帯端末1は、サーフィンやボディーボードで利用する場合には、波の計測に適し、ユーザへの表示や通知に適した位置、例えば、水面10cm程度の位置となる腕等に取り付けて使用する。
【0011】
携帯端末1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、センサユニット16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、を備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0013】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0014】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、センサユニット16、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21が接続されている。
【0015】
センサユニット16は、ジャイロセンサと、気温センサと、気圧センサと、を備える。
ジャイロセンサは、携帯端末1における角速度を検出し、検出した角速度を示す情報をCPU11に出力する。携帯端末1では、ジャイロセンサから出力される情報に基づいて、携帯端末1の位置の安定状態を検出する。
気温センサは、携帯端末1がある環境下の気温を検出し、検出した気温を示す情報をCPU11に出力する。携帯端末1では、気温センサから出力される情報に基づいて、携帯端末1の気温を検出する。
気圧センサは、携帯端末1がある環境下の気圧を検出し、検出した気圧を示す情報をCPU11に出力する。携帯端末1では、気圧センサから出力される情報に基づいて、携帯端末1の高度を検出する。
【0016】
入力部17は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部18は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部19は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部20は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0017】
ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ21によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部19に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0018】
このように構成される携帯端末1は、センサユニット16からの検出結果(気温や気圧)から取得される高度に基づいて、波の高さ(以下、「波高」という。)を計測することができる機能を有する。なお、本実施形態の携帯端末1では、「波(波浪)」の中でも、その場で吹く風で引き起こされ、単に水面が揺れるだけの、いわゆる、「風波」と、他の海域での「風波」が伝わってきた「うねり」のうち、「うねり」における波の高さを計測する。
【0019】
図2は、波高の計測について説明するための模式図である。
本実施形態においては、波高は、
図2に示すように、水面の高低運動である1つの波を構成する最も高い高度と、最も低い高度との差分から計測する。本実施形態では、気圧を用いて高度を取得するが、最も高い高度と、最も低い高度との差分から計測を行うことで、気圧の変動による高度の誤差を吸収することができる。
【0020】
また、波高は、波に巻かれている状態や泳いでいる状態では、正確な計測が行えないために、所定の計測ポイントにおいて行う。
図3は、計測ポイントを説明するための模式図である。
携帯端末1においては、
図3に示すように、波高の計測を正確に行い、計測結果を波乗りの判断に供するため、波乗りを行うブレイクポイントではなく、波に乗る手前の波待ちを行うポイントを計測ポイントとする。計測ポイントであるか否かの判断は、携帯端末1のセンサユニット16のジャイロセンサからの角速度の変化が安定しているか否かで行う。
【0021】
また、携帯端末1では、算出した波高や算出した波高等に基づいて生成した情報(以下、「波情報」という。)を、本機能の利用中は計測によるリスタートではクリアせずに逐次記憶してログ化し、表示や通知をしてユーザに提供する。
ここで、波情報としては、例えば、(計測を開始してからの)一番高い波サイズ・総波本数・波の速さ平均、直近10分の波サイズ平均・波本数・波の速さ・波サイズ(個別表示)・波の速さ(個別表示)に関する情報である。
【0022】
このような携帯端末1は、例えば、サーフィンやボディーボードの波待ち時のシーンで利用され、波乗りの判断等に用いられる。
例えば、サーフィンでは、波のサイズだけでなく、波の間隔(波数)、波の速さも重要であり、一定間隔で、サイズが大きく、ゆっくりしたうねりが一番乗りやすい傾向があるため、このような波乗りの判断に用いられる。また、サイズが大きく速い波は上級者向けであり、さらに、波数が多く、サイズが大きく、速い波は上級者でも乗ることが難しい波となるため、このような波乗りの判断に用いられる。
【0023】
図4は、出力部18での波情報の表示例を示した模式図である。
出力部18では、
図4に示すように、過去の波高のサイズを模式的に示した表示R1や、計測を開始してからの一番高い波のサイズや直近10分の波の平均サイズを数値で示した表示R2を行う。
【0024】
ユーザは、このような携帯端末1から報知される情報から、波の状況や変化を参照して、狙う波やテイクオフの仕方等の波乗りの戦略を練ることに利用する。
【0025】
<機能的構成>
図5は、このような携帯端末1の機能的構成のうち、波情報表示処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0026】
「波情報表示処理」とは、検出した気圧や気温を用いて取得した高度から波高を計測して、計測した波高に基づいて生成した波情報を出力部18に表示出力する一連の処理をいう。
また、「波情報表示処理」は、「基準波高範囲決定処理」と、「波高計測処理」を含む。「基準波高範囲決定処理」とは、取得した高度に基づいて、後述する基準波高範囲を決定する処理である。「波高計測処理」は、決定した基準波高範囲に基づいて、取得した高度から波高を計測する処理である。
【0027】
波情報表示処理を実行する場合には、
図5に示すように、CPU11において、基準波高範囲決定処理部51と、波高計測処理部52と、波情報生成部53と、出力制御部54と、が機能する。
【0028】
また、記憶部19の一領域には、分布テーブル記憶部71と、波情報記憶部72が設定される。
【0029】
分布テーブル記憶部71には、高度の分布を示したテーブル(以下、「分布テーブル」という。)が記憶される。
【0030】
図6は、分布テーブルを説明するための模式図である。
分布テーブルは、基準波高範囲を決定するために用いるテーブルである。分布テーブルは、分布テーブルの生成に際して、最初に取得した高度で全体の範囲(以下、「最大波高範囲」という。)が決定される。決定された最大波高範囲内を所定の範囲(以下、「波高範囲」という。)に区切って分布テーブルとして用いる。なお、本実施形態において、最大波高範囲は、最初に取得した高度±300cmとし、波高範囲は、60cm区切りとする。
即ち、分布テーブルは、
図6に示すように、最初に時刻[7:00.42.00]に高度[105cm]が取得されてから、以降順次高度が取得された場合には、最初に取得された高度[105cm]の±300cmを最大波高範囲[MIN:−195cm]〜[MAX:405cm]とし、当該最大波高範囲内を60cmに区切った波高範囲(例えば、[−195cm]〜[−135cm])となる。
その後、生成された分布テーブルに所定の期間取得した高度を振り分けて、最も頻度の多い範囲を基準波高範囲として決定する。
図6の例では、基準波高範囲は、[75cm]〜[135cm]となる。
【0031】
波情報記憶部72には、計測した波高・波の速さや波情報が記憶される。波情報としては、例えば、算出した1つの波の波高・波の速さや、過去の波の波高・波の速さから算出される一番高い波サイズ・総波本数・波の速さ平均、直近10分の波サイズ平均・波本数・波の速さ・波サイズ・波の速さ等がある。
【0032】
基準波高範囲決定処理部51は、波高の算出に用いる基準波高範囲を決定するための基準波高範囲決定処理を実行する。
【0033】
具体的には、基準波高範囲決定処理部51は、ブレイクポイント等ではなく計測ポイントでの計測を行うため、センサユニット16のジャイロセンサからの情報に基づいて、角速度の変化が安定しているか否かを判定する。
【0034】
また、基準波高範囲決定処理部51は、高度を取得する。基準波高範囲決定処理部51は、所定の期間(本実施形態においては、20秒)、高度を取得し、標高の分布が最も多い範囲を基準波高範囲として決定する。
【0035】
ここで、取得される高度の算出について説明する。
高度は以下の式(1)から算出して取得する。
式(1)において、「P」は現在地点での気圧であり、「P
0」は海面の気圧であり、「T」は現在の気温である。
【0036】
なお、海面の気圧P
0は、以下の式(2)から算出する。なお、海面の気圧P
0の算出にあたり、高度を0mとする。
式(2)において、「h」は高度であり、「P」は現在地点での気圧であり、「T」は現在の気温である。
【0037】
即ち、基準波高範囲決定処理部51は、まず、高度hを算出するために、海面の気圧P
0を算出する。
基準波高範囲決定処理部51は、海面の気圧P
0の算出のために、センサユニット16の気温センサから気温Tと、気圧センサから気圧Pを取得する。そして、高度hを0mとして、式(2)から海面の気圧P
0を算出する。
そして、基準波高範囲決定処理部51は、センサユニット16の気温センサ及び気圧センサから検出した気温T及び気圧Pと、式(2)から算出した海面の気圧P
0と、に基づいて、式(1)から高度hを算出して取得する。
【0038】
このようにして、基準波高範囲決定処理部51は、所定の期間(本実施形態においては、20秒)、高度を逐次取得し続ける。
【0039】
また、基準波高範囲決定処理部51は、最初に取得した高度に基づいて、
図6に示すような分布テーブルを生成する。即ち、基準波高範囲決定処理部51は、最初に取得した高度を基準に最大波高範囲(本実施形態においては、±330cm)となり、当該最大波高範囲内を所定の範囲(本実施形態においては、60cm)で区切った波高範囲となる分布テーブルを生成する。最初に高度[105cm]を取得した
図6の例では、最大波高範囲[MIN:−225cm]〜[MAX:435cm]であり、当該最大波高範囲内を60cmに区切った波高範囲(例えば、[−225cm]〜[−165cm])の分布テーブルが生成される。
【0040】
生成した分布テーブルを用いて、基準波高範囲決定処理部51は、所定の期間で取得した高度を当該分布テーブルに振り分けて、最も数多く(頻度が最も高い)の高度が振り分けられた範囲を基準波高範囲として決定する。
図6の例では、基準波高範囲は、[75cm]〜[135cm]となる。
【0041】
波高計測処理部52は、基準波高範囲決定処理部51によって決定された基準波高範囲に基づいて、波高を計測する波高計測処理を実行する。波高計測処理の結果、高が計測される。
【0042】
詳細には、波高計測処理部52は、
図3に示すようなブレイクポイント等ではなく計測ポイントでの計測を行うため、センサユニット16のジャイロセンサからの情報に基づいて、角速度の変化が安定しているか否かを判定する。
【0043】
また、波高計測処理部52は、基準波高範囲決定処理部51と同様の手法により、高度を取得する。即ち、波高計測処理部52は、センサユニット16の気温センサ及び気圧センサから取得した気温T及び気圧Pに基づいて、式(1)及び式(2)を用いて、高度を取得する。
【0044】
また、波高計測処理部52は、1つの波において最も高い高度(以下、「波高点」という。)と、1つの波において最も低い高度(以下、「波低点」という。)を決定する。詳細には、波高計測処理部52は、算出した高度が基準波高範囲の最大値を超えた高度を探索してゆき、最高の高度を波高点として決定する。また、波高計測処理部52は、算出した高度が基準波高範囲を下回った高度を探索してゆき、最低の高度を波低点として決定する。
また、波高計測処理部52は、決定した波高点と波低点の差分から、波高が算出(計測)される。
【0045】
また、波高計測処理部52は、波高の他に、波の計測の開始時刻から波低点の時刻を引くことで、波の速さ(1つの波の厚さ)を算出(計測)する。
【0046】
波高計測処理部52は、このようにして計測した波高や波の速さを、計測次第順次、波情報記憶部72に記憶させる。
【0047】
波情報生成部53は、波高計測処理部52によって記憶された過去の波高や波の速さに基づいて、一番高い波サイズ・総波本数・波の速さ平均、直近10分の波サイズ平均・波本数・波の速さ・波サイズ・波の速さ等の波情報を生成する。
波情報生成部53は、生成した波情報を波情報記憶部72に記憶させる。
【0048】
出力制御部54は、波情報記憶部72に記憶される波情報を表示出力したり、異常な状態や好適な状態になった場合に、報知出力したりするように出力部18を制御する。出力制御部54による表示出力の制御の結果、出力部18には、例えば、
図4に示すような表示が行われる。
【0049】
<処理の流れ>
図7は、
図5の機能的構成を有する
図1の携帯端末1が実行する波情報表示処理の流れを説明するフローチャートである。
波情報表示処理は、ユーザによる入力部17への波情報表示処理開始の操作により開始される。
【0050】
ステップS1において、基準波高範囲決定処理部51は、基準波高範囲決定処理を実行する。基準波高範囲決定処理の実行の結果、基準波高範囲が決定される。なお、基準波高範囲決定処理の詳細については、後述する。
【0051】
ステップS2において、波高計測処理部52は、波高計測処理を実行する。波高計測処理の実行の結果、波高・波の速さが計測される。なお、波高計測処理の詳細については、後述する。
波高計測処理の結果、計測された波高・波の速さは、波情報記憶部72に記憶される。
【0052】
ステップS3において、波情報生成部53は、波情報記憶部72に記憶される過去の波高・波の速さに基づいて、一番高い波サイズ・総波本数・波の速さ平均、直近10分の波サイズ平均・波本数・波の速さ・波サイズ・波の速さ等の波情報を生成する。
【0053】
ステップS4において、出力制御部54は、波情報記憶部72に記憶される波情報を表示出力するように出力部18を制御する。出力部18には、
図4に示すように波情報が表示出力される。
その後、波情報表示処理は修了する。
【0054】
図8は、波情報表示処理のうち、基準波高範囲決定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【0055】
ステップS11において、基準波高範囲決定処理部51は、センサユニット16のジャイロセンサから出力されるセンサ値から、ジャイロセンサの動きが安定しているか否かを判定する。即ち、基準波高範囲決定処理部51は、順次出力されるセンサユニット16のジャイロセンサからのセンサ値の変化からジャイロセンサの動きが安定しているか否かを判定する。ジャイロセンサの動きが安定しているかの判定は、ジャイロセンサから出力されるセンサ値が所定の範囲内か、所定時間内に得られるセンサ値の平均値が所定値以下か等によって判定する。
ジャイロセンサの動きが安定していない場合には、ステップS11において、NOと判定されて、待機状態となる。
ジャイロセンサの動きが安定している場合には、ステップS11においてYESと判定されて、処理はステップS12に進む。
【0056】
ステップS12において、基準波高範囲決定処理部51は、センサユニット16の気温センサ及び気圧センサから気温T及び気圧Pを取得し、現在の高度hを0mとして、式(2)から海面気圧P
0を算出する。
【0057】
ステップS13において、基準波高範囲決定処理部51は、センサユニット16の気温センサ及び気圧センサから気温T及び気圧Pを取得し、取得した気温T及び気圧Pと、算出した海面気圧P
0と、で式(1)を用いて、高度を取得する。高度の取得は、本実施形態においては、0.1秒間隔で行う。即ち、基準波高範囲決定処理部51は、取得毎にセンサユニット16の気温センサから気温Tを取得し、式(1)により、高度を取得することになる。
【0058】
ステップS14において、基準波高範囲決定処理部51は、分布テーブルを生成し、取得した高度を振り分ける。即ち、基準波高範囲決定処理部51は、
図6に示すように、最初に取得した高度から決定した最大波高範囲(基準となる高度の±330cm)から、60cmの波高範囲に分かれた分布テーブルを生成する。そして、基準波高範囲決定処理部51は、順次取得された高度を分布テーブルの波高範囲に振り分ける。
【0059】
ステップS15において、基準波高範囲決定処理部51は、高度の取得開始から所定時間(本実施形態においては、20秒)経過したか否かを判定する。
開始から20秒経過していない場合には、ステップS15においてNOと判定して、ステップS13に戻る。
開始から20秒経過した場合には、ステップS15においてYESと判定して、ステップS16に進む。
【0060】
ステップS16において、基準波高範囲決定処理部51は、分布テーブルを参照した結果、分布が最も大きな波高範囲を基準波高範囲として決定する。
図6の例では、基準波高範囲は、[75cm]〜[135cm]となる。
【0061】
図9は、波情報表示処理のうち、波高計測処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【0062】
ステップS31において、波高計測処理部52は、波高点に最小値(例えば、0000)をセットし、波低点に最大値(例えば、9999)をセットする。
【0063】
ステップS32において、波高計測処理部52は、センサユニット16のジャイロセンサから出力されるセンサ値から、ジャイロセンサの動きが安定しているか否かを判定する。即ち、波高計測処理部52は、順次出力されるセンサユニット16のジャイロセンサのセンサ値の変化からジャイロセンサの動きが安定しているか否かを判定する。
ジャイロセンサの動きが安定していない場合には、ステップS32において、NOと判定されて、波情報表示処理のステップS1に戻る。即ち、状態が不安定であり、波高の取得には不向きであるため、基準波高範囲の決定から処理をやり直す。
ジャイロセンサの動きが安定している場合には、ステップS32においてYESと判定されて、処理はステップS33に進む。
【0064】
ステップS33において、波高計測処理部52は、センサユニット16の気温センサ及び気圧センサから気温T及び気圧Pを取得し、取得した気温T及び気圧Pと、式(2)と用いて算出した海面気圧P
0と、で式(1)を用いて、高度を取得する。
【0065】
ステップS34において、波高計測処理部52は、取得した高度が基準波高範囲の最大値より大きいか否かを判定する。
高度が基準波高範囲の最大値より小さい場合には、ステップS34においてNOと判定されて、処理はステップS39に進む。ステップS39以降の処理は後述する。
高度が基準波高範囲の最大値より大きい場合には、ステップS34においてYESと判定されて、処理はステップS35に進む。
【0066】
ステップS35において、波高計測処理部52は、高度が基準波高範囲の最大値よりも大きい状態が10秒以上続いているか否かを判定する。
高度が基準波高範囲の最大値よりも大きい状態が10秒以上続いている場合には、ステップS35においてYESと判定されて、波情報表示処理のステップS1に戻る。即ち、状態が不安定であり、波高の取得には不向きであるため、基準波高範囲の決定から処理をやり直す。即ち、高度が基準波高範囲の最大値を10秒以上連続で超えている場合、気圧の急激な変化が発生しているものと判断して、処理をリスタートする。
【0067】
これに対して、高度が基準波高範囲の最大値よりも大きい状態が10秒以上続いていない場合には、ステップS35においてNOと判定されて、処理はステップS36に進む。
【0068】
ステップS36において、波高計測処理部52は、最初処理時のみ現在時刻を波速開始にセットする。
【0069】
ステップS37において、波高計測処理部52は、波高点よりも現在の高度が高いか否かを判定する。
波高点よりも現在の高度が低い場合には、ステップS37においてNOと判定されて、処理はステップS32に戻る。
波高点よりも現在の高度が高い場合には、ステップS37においてYESと判定されて、処理はステップS38に進む。
【0070】
ステップS38において、波高計測処理部52は、現在の高度を波高点にセットして値を更新する。その後、処理はステップS32に戻る。
【0071】
ステップS39において、波高計測処理部52は、波高点が設定した最小値である(波高点=最小値)か否かを判定する。
波高点が最小値である場合には、ステップS39においてYESと判定されて、処理はステップS32に戻る。
波高点が最小値でない場合には、ステップS39においてNOと判定されて、処理はステップS40に進む。
【0072】
ステップS40において、波高計測処理部52は、現在時刻からステップS36でセットした波速開始を引いて、波の速さ(波の厚さ)を算出する(現在時刻−波速開始時間=波の速さ)。
【0073】
ステップS41において、波高計測処理部52は、現在の高度が波低点以下(現在の高度≦波低点)か否かを判定する。
現在の高度が波低点以下の場合にはステップS41においてYESと判定されて、処理はステップS42に進む。
【0074】
ステップS42において、波高計測処理部52は、現在の高度を波低点にセットして値を更新する。その後、処理は、ステップS32に戻る。
【0075】
これに対して、現在の高度が波低点以下でない場合にはステップS41においてNOと判定されて、処理はステップS43に進む。
【0076】
ステップS43において、波高計測処理部52は、波高点から波低点を引いて波の高さ(波高)を算出して、波高を計測する(波高点−波低点=波の高さ(波高)[波高を計測])。その後処理は、ステップS31に戻る。
【0077】
以上のように構成される携帯端末1は、波の高さを計測し、波高計測処理部52を備える。
波高計測処理部52は、計測地点での高度を逐次取得する。
また、波高計測処理部52は、逐次取得された複数の高度に基づいて基準となる高度を決定する。
また、波高計測処理部52は、取得された高度が基準となる高度を越える波毎に得られる、最も高い高度である波高点と、最も低い高度である波低点との差分を、基準となる高度を超える波それぞれの波高として設定する。
これにより、携帯端末1においては、高度が基準となる高度を越える波毎に得られる、最も高い高度である波高点と、最も低い高度である波低点との差分を、基準となる高度を超える波それぞれの波高として設定するために、環境変化の影響を受けずに高い精度で計測を行うことができる。
【0078】
また、携帯端末1は、センサユニット16(気温センサ)と、センサユニット16(気圧センサ)と、を備える。
センサユニット16(気温センサ)は、計測地点での水面付近の気温を検出する。
センサユニット16(気圧センサ)は、計測地点での水面付近の気圧を検出する。
波高計測処理部52は、センサユニット16(気温センサ)によって検出された計測地点での水面付近の気温と、センサユニット16(気圧センサ)によって検出された計測地点での水面付近の気圧と、に基づいて、高度を算出する。
また、波高計測処理部52は、波高計測処理部52によって算出された高度を逐次取得する。
これにより、携帯端末1においては、気圧と温度を用いて高度を算出するために、精度の高い波高の計測を行うことができる。
【0079】
波高計測処理部52は、計測地点での水面付近の気温と、計測地点での水面付近の気圧に基づいて、海面気圧を算出し、算出した当該海面気圧と、計測地点での水面付近の気温と、計測地点での水面付近の気圧から、高度を算出する。
これにより、携帯端末1においては、高度の算出に海面気圧を加味するため、より精度の高い波高の計測を行うことができる。
【0080】
波高計測処理部52は、基準となる高度の範囲の最大値よりも大きい側に属する高度から波高点を決定し、当該基準となる高度の範囲よりも小さい側に属する高度から波低点を決定する。
これにより、携帯端末1においては、基準となる高度の範囲から波高点と波低点を決定するために、異常な状態を排除できるために、より精度の高い波高の計測を行うことができる。
【0081】
波高計測処理部52は、所定時間に算出した複数の高度のうち頻度の高い範囲を、基準となる高度の範囲として決定する。
これにより、携帯端末1においては、波における中腹付近を基準とすることができ、より精度の高い波高の計測を行うことができる。
【0082】
また、携帯端末1は、角速度を検出するセンサユニット16(ジャイロセンサ)を備える。
波高計測処理部52は、センサユニット16(ジャイロセンサ)によって検出された角速度が安定している地点を、計測に適した地点として判定する。
波高計測処理部52は、計測に適した地点として判定した場合に、当該地点での高度を逐次取得する。
これにより、携帯端末1においては、計測に適した地点で波高の計測を行うことができる。
【0083】
また、携帯端末1は、波高計測処理部52によって設定に基づいて計測される計測結果を報知する出力部18を備える。
これにより、携帯端末1においては、例えば、乗るのに適した波であったり、陸に引き上げたり等を警告、助言等の報知をユーザに行うことができる。
【0084】
携帯端末1は、リスト型のウェアラブル端末により構成される。
これにより、携帯端末1においては、時計と同様に邪魔することなく携行することができ、ユーザがより所望する場所で波高を計測することができる。
【0085】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0086】
上述の実施形態では、気圧によって高度を取得する手法は式(1)及び(2)の手法に限られず、種々の公知の手法で行うように構成してもよい。また、取得する高度は、気圧から算出されるものに限られず、種々の公知の手法で取得するように構成してもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、波情報を出力部18に表示出力するようにしてユーザに報知するように構成したがこれに限られず、例えば、波情報をブザーや光や振動で、結果を報知するように構成してもよいし、好適な波や異常な波との比較を行って、表示やブザーや光や振動で、結果を報知するように構成してもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、身体に取り付けるウェアラブル端末のうち、腕に取り付け可能なリスト型端末として構成したが、使用に際して、例えば、水面10cm程度の位置であればよく、ボードの先端部分に装着するように構成してもよい。また、サーフィンやボディーボードで利用に限らず、波高の計測のために、海に面した構造物やや浮遊するブイ等に取り付けて使用するように構成してもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、基準の決め方は、或る期間に計測された高度のうち、最も高い高度を基準としてもよいし、或る期間に計測された高度から平均を求めてそれを基準としてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、基準を超える波(波高を求める波)は、複数あってもよく、基準を決める前の波であっても、基準を決める所定時間の間に計測された波でも、基準を決めたあとの波であってもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、リアルタイムに取得したデータから波高を求めるように構成しているが、リアルタイムではなくてもよく、例えば、取得したデータを事後的に処理して波高を求めるようにして過去のデータから波高を求めるように構成してもよい。
【0092】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される携帯端末1は、ウェアラブル端末(リスト型端末)を例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、波情報表示処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0093】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が携帯端末1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図5の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0094】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0095】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図1のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu−ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図1のROM12や、
図1の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0096】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0097】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
波の高さを計測する波高設定装置であって、
計測地点での高度を逐次取得する取得手段と、
前記取得手段によって逐次取得された複数の高度に基づいて基準となる高度を決定する決定手段と、
前記取得手段によって取得された高度が前記基準となる高度を越える波毎に得られる、最も高い高度である波高点と、最も低い高度である波低点との差分を、前記基準となる高度を超える波それぞれの波高として設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする波高設定装置。
[付記2]
計測地点での水面付近の気温を検出する第1の検出手段と、
計測地点での水面付近の気圧を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段によって検出された前記計測地点での水面付近の気温と、前記第2の検出手段によって検出された前記計測地点での水面付近の気圧と、に基づいて、前記高度を算出する算出手段と、をさらに備え、
前記取得手段は、前記算出手段によって算出された前記高度を逐次取得する、
ことを特徴とする付記1に記載の波高設定装置。
[付記3]
前記算出手段は、
前記計測地点での水面付近の気温と、前記計測地点での水面付近の気圧に基づいて、海面気圧を算出し、
算出した当該海面気圧と、前記計測地点での水面付近の気温と、前記計測地点での水面付近の気圧から、前記高度を算出する、
ことを特徴とする付記2に記載の波高設定装置。
[付記4]
角速度を検出する第3の検出手段と、
前記第3の検出手段によって検出された前記角速度が安定している地点を、計測に適した地点として判定する判定手段と、を更に備え、
前記取得手段は、前記判定手段によって計測に適した地点として判定した場合に、当該地点での高度を逐次取得する、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1つに記載の波高設定装置。
[付記5]
前記設定手段による設定に基づいて計測された計測結果を報知する報知手段を備える、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の波高設定装置。
[付記6]
当該波高設定装置は、ウェアラブル端末により構成される、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1つに記載の波高設定装置。
[付記7]
波高設定装置で実行される波高設定方法であって、
計測地点での高度を逐次取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって逐次取得された複数の高度に基づいて基準となる高度を決定する決定ステップと、
前記取得ステップによって取得された高度が前記基準となる高度を越える波毎に得られる、最も高い高度である波高点と、最も低い高度である波低点との差分を、前記基準となる高度を超える波それぞれの波高として設定する設定ステップと、
を含むことを特徴とする波高設定方法。
[付記8]
波高設定装置を制御するコンピュータを、
計測地点での高度を逐次取得し、
逐次取得された複数の高度に基づいて基準となる高度を決定し、
取得された高度が前記基準となる高度を越える波毎に得られる、最も高い高度である波高点と、最も低い高度である波低点との差分を、前記基準となる高度を超える波それぞれの波高として設定する、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。