(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572590
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】定温輸送容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20190902BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20190902BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20190902BHJP
A61J 1/00 20060101ALI20190902BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20190902BHJP
F25D 3/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
B65D81/38 F
B65D81/38 Q
B65D77/04 A
B65D81/18 A
B65D81/18 E
A61J1/00 430
A61J3/00 300Z
F25D3/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-68472(P2015-68472)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188090(P2016-188090A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】日本液炭株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸
(72)【発明者】
【氏名】細野 久朗
(72)【発明者】
【氏名】小川 豪
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−103747(JP,A)
【文献】
実開平03−123438(JP,U)
【文献】
米国特許第06467299(US,B1)
【文献】
特開2003−180797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
A61J 1/00−19/06
F25D 1/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定温管理すべき物品を蓄熱材と共に収容して前記物品の温度を所定範囲に維持する定温輸送容器であって、柔軟な素材からなる可搬式のキャリーバッグと、剛性および断熱性を有し且つ前記キャリーバッグに取出し可能に収められた断熱容器と、剛性および蓄熱機能を有し且つ前記断熱容器に取出し可能に収められた蓄熱容器と、当該蓄熱容器に取出し可能に収められ且つその内部に前記物品を収容する物品格納容器とを備え、前記蓄熱容器は、内部に筒状の物品収容空間を備え且つその高さの1/2の位置で中心線を分断する状態に二分割可能に構成され、そして、当該蓄熱容器の厚さ部分に潜熱蓄熱材が充填されており、しかも、前記断熱容器が真空断熱容器であることを特徴とする定温輸送容器。
【請求項2】
キャリーバッグが、発泡樹脂シートの表面を撥水性シートで被覆してなるマット状の素材で構成されている請求項1に記載の定温輸送容器。
【請求項3】
キャリーバッグ内の底部および上端部には、発泡樹脂からなる板状の支持板が配置され、断熱容器は、当該断熱容器の側面側に隙間をあけて前記キャリーバッグの中央に位置決めされた状態に配置されている請求項1又は2に記載の定温輸送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定温輸送容器に関するものであり、詳しくは、温度管理が必要な検体、医薬品、薬剤、試薬などの輸送に使用される定温輸送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療機関、検査機関、研究機関において、検体や医薬品、化学品や試薬などを輸送する場合には、これらの物品を蓄熱材と共に断熱容器である定温輸送容器に収容することにより、長時間に渡って物品の温度を一定範囲に保持するようにしている。
【0003】
上記の定温輸送容器の一つとしては、例えば、上端に蓋を設けてなり且つ柔軟な構造を有する可搬式の外箱(キャリーバッグ)と、上端に蓋を装着してなり且つ断熱性を有する内箱(断熱容器)とを備え、内箱本体内には、当該内箱本体の中心線に沿って筒状体を立設した構造の仕切部材が配置され、外箱の蓋および内箱の蓋を開けた状態において、仕切部材の内部に検体や医薬品などの被冷却物(物品)を上方から直接出し入れ可能で且つ仕切部材の外周部に保冷材(蓄熱材)を上方から直接出し入れ可能に構成された保冷容器が開示されている。斯かる容器においては、特定形状の仕切部材の採用により、物品を蓄熱材で取り囲むように断熱容器に収容することができる。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−103747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような定温輸送容器においては、通常、蓄熱材として、固液相転移する潜熱蓄熱材を袋包装したものが使用されている。しかしながら、袋包装された蓄熱材は、断熱容器に対して出し入れを繰り返し、また、取り出して加温や冷却を繰り返した場合、袋が損傷し、蓄熱材自体が漏出することがある。また、蓄熱材を固化あるいは液状化させて使用するにせよ、形状が幾分とも変化するため、断熱容器に対する出し入れがし難い場合もある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄熱材の漏出がなく、耐久性に優れ、しかも、取扱い性に一層優れた定温輸送容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の定温輸送容器においては、柔軟な素材からなる可搬式のキャリーバッグに断熱容器を収容した二重箱構造を外側に採用すると共に、断熱容器に蓄熱材を収めるに当たり、剛性を有し且つ予め潜熱蓄熱材がその厚さ部分に充填、封入された蓄熱容器を使用し、当該蓄熱容器を断熱容器に収め、定温管理すべき物品が収められた物品格納容器を蓄熱容器に収めることにより、蓄熱材の漏出をなくし、蓄熱材を冷却または加温する場合は蓄熱容器のまま取り扱えるようにした。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、定温管理すべき物品を蓄熱材と共に収容して前記物品の温度を所定範囲に維持する定温輸送容器であって、柔軟な素材からなる可搬式のキャリーバッグと、剛性および断熱性を有し且つ前記キャリーバッグに取出し可能に収められた断熱容器と、剛性および蓄熱機能を有し且つ前記断熱容器に取出し可能に収められた蓄熱容器と、当該蓄熱容器に取出し可能に収められ且つその内部に前記物品を収容する物品格納容器とを備え、前記蓄熱容器は、内部に筒状の物品収容空間を備え且つその中心線を分断する状態に二分割可能に構成され、そして、当該蓄熱容器の厚さ部分に潜熱蓄熱材が充填されていることを特徴とする定温輸送容器に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る定温輸送容器によれば、剛性を備えた特定構造の蓄熱容器の厚さ部分に潜熱蓄熱材が充填されているため、取り扱いによる蓄熱材の漏出がなく、耐久性に優れており、また、蓄熱材を冷却または加温する場合は蓄熱容器のまま取り扱えるため、取り扱いがより一層容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る定温輸送容器の主要部の構成を展開して示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る定温輸送容器に使用される断熱容器およびその内部の構造を展開して示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る定温輸送容器に使用される蓄熱容器の構造を示す縦断面図である。
【
図4】本発明に係る定温輸送容器の一使用例における温度維持性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る定温輸送容器の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の定温輸送容器は、定温管理すべき物品(以下、「物品」と適宜略記する。)を蓄熱材と共に収容して物品の温度を所定範囲に維持する定温輸送用の容器であり、検体、医薬品、化学品、試薬などの一時保管や輸送に使用される。検体や医薬品などの物品は、外気を遮蔽するためにフィルム等の包装材料で包装されていてもよいし、また、専用の小容器に収容されていてもよい。
【0012】
本発明において使用される蓄熱材としては、固液相転移する潜熱蓄熱材、あるいは、固固相転移する潜熱蓄熱材などの各種の潜熱蓄熱材が適している(
図3中に符号4で示す)。例えば、融点が0℃よりも高い潜熱蓄熱材4としては、テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)、n−テトラデカン(n−パラフィン系)、カプリン酸(脂肪酸)、チオ硫酸ナトリウム(無機水和物)等を水に溶解させたものが挙げられる。融点が0℃の潜熱蓄熱材4としては、高吸水性ポリマーや防腐剤、安定剤を水に添加したものが挙げられる。また、融点が0℃以下の潜熱蓄熱材4としては、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム等の無機塩を水に溶解させたものが挙げられる。なお、上記のような潜熱蓄熱材4は、管理温度に応じて適宜選択して使用される。
【0013】
本発明の定温輸送容器は、耐衝撃性および断熱性を高めるため、
図1に示すように、柔軟な素材からなる可搬式のキャリーバッグ1と、剛性および断熱性を有し且つキャリーバッグ1に取出し可能に収められた断熱容器2とからなる二重箱構造に外側が構成されており、更に、
図2に示すように、剛性および蓄熱機能を有し且つ断熱容器2に取出し可能に収められた蓄熱容器3と、当該蓄熱容器に取出し可能に収められ且つその内部に上記の物品を収容する物品格納容器5とを備えている。
【0014】
図1に示すように、キャリーバッグ1は、有底筒状のバッグ本体10の上端に蓋11を設けて構成されている。キャリーバッグ1は、発泡樹脂シートの表面を撥水性シートで被覆してなるマット状の素材で構成されている。具体的には、厚さ3〜8mm程度の発泡ポリウレタン等の発泡樹脂シートを布状の素材に挟み込んで縫製して作成される。キャリーバッグ1の表面に使用される布状の素材としては、例えば、ナイロン、ポリエステル等の生地に撥水加工を施したものが挙げられる。
【0015】
バッグ本体10は、底面形状が例えば正方形で且つ上端が開口された四角筒状に形成されており、蓋11は、バッグ本体10の開口部を覆う正方形に形成されている。蓋11の一辺部はバッグ本体10に縫い付けられ、他の3辺部には耳片が張り出されている。そして、これら耳片の内側とバッグ本体10の上端外周部には面ファスナーが取り付けられ、蓋11を閉めた際に耳片がバッグ本体10に貼り付くようになされている。キャリーバッグ1の外形寸法は、水平断面視した場合の一辺が300〜400mm程度、高さが300〜400mm程度に設計されている。また、簡単に持ち運びできるように、バッグ本体10には肩紐14が取り付けられている。
【0016】
断熱容器2は、断熱性と耐衝撃性を高めるため、金属板と発泡樹脂を積層した複合材により真空断熱容器として構成されている。具体的には、
図2に示すように、断熱容器2の断熱容器本体20は、厚さ0.5〜2mm程度のステンレス板で各形成された直径および高さの異なる有底円筒状の外缶と内缶とを入れ子状態に重ね、その隙間に例えばウレタンを注入、発泡させ且つ真空引きして構成されている。上記のように断熱容器本体20の表面を金属で構成した場合には、容易に洗浄することもできる。
【0017】
また、断熱容器2の蓋21は、断熱容器本体20と同様に、金属板と発泡樹脂を積層した複合材で構成されている。具体的には、平面形状が円形で且つ外周部に立ち下がり部分を有する逆浅皿状に形成された天板部と、平面形状が円形で且つ上端外周部に鍔を有する浅皿状に形成された裏板部とを重ね合わせ、その隙間に例えばウレタンを注入、発泡させ且つ真空引きして構成されている。すなわち、蓋21は、短軸二段円柱状に形成され、下端側の小径部は、断熱容器本体20の開口部に勘合するように設計されている。
【0018】
断熱容器本体20の外径は200〜300mm程度、内径は170〜270mm程度、高さは240〜300mm程度であり、断熱容器本体20の断熱材(発泡ウレタン)の厚さは10〜20mm程度である。断熱容器2の蓋21の厚さは40〜60mm程度である。更に、
図1に示すように、断熱容器本体20の外周面および蓋21の外周部には、当該蓋を気密に閉じるため、留め具22が取り付けられている。更に、キャリーバッグ1に対して断熱容器2を容易に出し入れできるように、断熱容器本体20には、持ち手23が取り付けられている。なお、断熱容器2としては、一般に市販されている容器を利用することもでき、斯かる容器としては、例えば、サーモス株式会社製の「シャトルドラム」(商品名)が挙げられる。
【0019】
また、
図1に示すように、キャリーバッグ1内の底部および上端部には、発泡樹脂からなる板状の支持板12、13が配置され、上記の断熱容器2は、当該断熱容器の側面側に隙間をあけてキャリーバッグ1の中に位置決めされた状態に配置されている。具体的には、バッグ本体10内の底部および上端部には、発泡ウレタン又は発泡ポリスチレンからなり且つ平面形状がバッグ本体10に勘合する形状、換言すれば、平面形状が正方形に形成された支持板12、13が配置されている。バッグ本体10内の底部に配置される支持板12には、断熱容器2の底部が嵌合する円形の窪み12cが当該支持板の上面に設けられている。また、バッグ本体10内の上端部に配置される支持板13には、断熱容器2の上端部(蓋21の部分)が嵌合する円形の窪み13cが当該支持板の下面に設けられている。
【0020】
上下の支持板12、13の厚さは60〜80mm程度、窪み12c、13cの深さは40〜60mm程度である。すなわち、断熱容器2は、キャリーバッグ1の内部に配置した場合、上下の支持板12、13で挟み込まれることにより、遊動することなく当該外箱内部の中央に位置決めされようになされている。なお、操作性を高めるため、バッグ本体10内の上端部に配置される支持板13は、キャリーバッグ1の蓋11の裏面に面ファスナー等で予め貼着されていてもよい。
【0021】
本発明の定温輸送容器においては、潜熱蓄熱材4の漏出を防止し、取扱い性を高めるため、
図2に示すような蓄熱容器3が使用されている。斯かる蓄熱容器3は、剛性および蓄熱機能を有し且つ断熱容器2に取出し可能に収められている。蓄熱容器3は、ポリエチレン、ポロプロピレン、高密度ポリプロピレン等の樹脂を成型することにより、上下端部が封止された例えば二重円筒状の容器として構成され、内部に筒状の物品収容空間を備えている。蓄熱容器3は、ステンレス等の金属で構成することもできる。また、蓄熱容器3は、その高さの例えば1/2程度の位置で二分割可能、すなわち、当該蓄熱容器の中心線を分断する状態に容器下半部30と容器上半部31とに二分割可能に構成され、後述する物品格納容器5を出し入れ可能になされている。そして、
図3に示すように、蓄熱容器3の厚さ部分、換言すれば、二重筒状構造の外筒部分と内筒部分との隙間には、前述のような潜熱蓄熱材4が充填されている。
【0022】
蓄熱容器3の外径は200〜250mm程度、高さは180〜200mm程度、容器内の物品収容空間の内径は110〜150mm程度、高さは130〜150mm程度に設計されており、蓄熱容器3の厚さ部分(外筒部分と内筒部分との隙間)には、2〜3kg程度の潜熱蓄熱材4が充填されている。なお、
図2に示すように、容器下半部30及び容器上半部31には、各々、蓄熱材充填口3b、指掛穴3cが設けられている。
【0023】
更に、
図2及び
図3に示すように、上記の蓄熱容器3には、その内部に検体や医薬品などの定温管理すべき物品を収容する物品格納容器5が取出し可能に収められている。通常、物品格納容器5は、ステンレス製の例えば円筒状の容器であり、密閉可能な蓋を備えている。物品格納容器5の外径は105〜145mm程度、取手部分を除く高さは110〜130mm程度に設計されている。なお、物品格納容器5としては、例えば、株式会社ウミヒラ製の検体輸送容器等、一般に市販されている容器を使用することができる。
【0024】
本発明の定温輸送容器を使用する場合は、先ず、準備として、キャリーバッグ1の蓋11を開け、バッグ本体10の上部にある支持板13と共に、断熱容器2を取り出し、当該断熱容器の蓋21を開けて、中に収容されている蓄熱容器3を取り出す。次いで、蓄熱容器3の容器下半部30と容器上半部31と分解し、内部の物品格納容器5を取り出した後、蓄熱容器3だけを加熱装置または冷却装置に装入し、所定の温度に加熱(又は冷却)する。
【0025】
検体や医薬品などの物品を輸送する場合は、上記のように予め所定の温度に加熱(又は冷却)した蓄熱容器3の容器下半部30を断熱容器2に挿入配置する。次いで、上記の物品を物品格納容器5に納めた後、当該物品格納容器を蓄熱容器3の容器下半部30内に配置する。続いて、蓄熱容器3の容器上半部31を容器下半部30に被せて当該蓄熱容器の物品収容空間に物品格納容器5を収容した後、断熱容器2の蓋21を断熱容器本体20に被せて当該断熱容器を閉じる。そして、断熱容器2をキャリーバッグ1に収め、支持板13を載せてキャリーバッグ1の蓋11を閉じる。
【0026】
本発明の定温輸送容器では、上記のように、検体や医薬品などの物品が物品格納容器5に収容され、潜熱蓄熱材4が充填された蓄熱容器3に物品格納容器5が収容され、蓄熱容器3が更に断熱容器2に収容されており、外気の熱(温熱または冷熱)が伝わり難く且つ蓄熱容器3の潜熱蓄熱材4により外気の熱を緩衝できるため、収容された物品の温度を一定の範囲に保持することができる。また、物品を取り出す場合には、キャリーバッグ1の蓋11を開け、断熱容器2の蓋21及び蓄熱容器3の容器上半部31を開放することにより、物品格納容器5を簡単に取り出すことができ、物品を取り出すことができる。
【0027】
上記のように、本発明の定温輸送容器においては、柔軟な素材からなる可搬式のキャリーバッグ1に断熱容器2を収容した二重箱構造を外側に採用すると共に、断熱容器2に蓄熱材を収めるに当たり、剛性を有し且つ予め潜熱蓄熱材4がその厚さ部分に充填、封入された蓄熱容器3を使用し、当該蓄熱容器を断熱容器2に収め、定温管理すべき物品が収められた物品格納容器5を蓄熱容器3に収めるようにしているため、潜熱蓄熱材4の漏出がなく、耐久性に極めて優れている。また、潜熱蓄熱材4を冷却または加温する場合は蓄熱容器3のまま取り扱うことができるため、従来の袋包装された蓄熱材を使用する場合に比べ、取り扱いがより一層容易である。
【0028】
また、本発明の定温輸送容器においては、キャリーバッグ1が前述のマット状の素材で構成されていることにより、輸送中の外部からの衝撃を吸収できるため、耐久性および取扱い性を更に高めることができる。更に、断熱容器2が真空断熱容器の場合には、耐久性、取扱い性の向上に加え、断熱性能を著しく高めることができる。そして、断熱容器2がその側面側に隙間をあけてキャリーバッグ1の中央に位置決めされた状態に配置されていることにより、外部からの衝撃による断熱容器2の損傷を一層低減することができ、しかも、断熱容器2の回りの空気層により断熱性能を一層高めることができる。
【実施例】
【0029】
本発明の定温輸送容器について、物品を収容して当該物品の温度変化を測定することにより、その温度保持性能を確認した。定温輸送容器は、
図1及び
図2に示す構造に構成し、その仕様は次表の通りであった。
【0030】
【表1】
【0031】
物品の試料として、直径37mm・高さ80mmの瓶3本にそれぞれ水50ミリリットルを入れ、これらの瓶をポリ袋に収容し、更にポリ袋の外側をアルミホイルで包んだものを使用した。蓄熱容器3には、潜熱蓄熱材4として、4℃タイプ(融解温度4℃)のパラフィン系液状組成物(JSR株式会社製;商品名「CALGRIP」)を2.5kg充填した。
【0032】
温度測定においては、試料の温度および蓄熱容器3(潜熱蓄熱材4)の温度を予め3℃に調整して収容した。そして、25℃に設定された室内に定温輸送容器を45時間放置し、その間、試料に取り付けた温度センサーにより温度変化を確認した。その結果、
図4のグラフに示すように、試料の温度が2℃上昇するまでの所要時間は約21時間であった。
【符号の説明】
【0033】
1 :キャリーバッグ
10:バッグ本体
11:蓋
12:支持板
12c:窪み
13:支持板
13c:窪み
14:肩紐
2 :断熱容器
20:断熱容器本体
21:蓋
22:留め具
23:持ち手
3 :蓄熱容器
30:容器下半部
31:容器上半部
3b:蓄熱材充填口
3c:指掛穴
4 :潜熱蓄熱材
5 :物品格納容器