【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0030】
(1)表面粗さ
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られたる表面のプロファイル曲線より、JISB 0601(1994)に準じ、算術平均粗さSRa値、十点平均面粗さSRz値を求めた。測定条件は下記のとおり。
【0031】
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
【0032】
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
【0033】
カットオフ:0.25mm。
【0034】
触針圧:0.02mN
Ssk値については、ベースラインの影響を強く受けるため、測定により得られたプロファイル曲線について、前後50μm、合計100μmの単純移動平均によりベースラインをひきなおし、ベースラインと曲線の差を求め、そこから歪度、すなわちSsk値を求めた。以下の式を用いて歪度は統計学的に求めることができる。
【0035】
【数1】
【0036】
(2)灰分
サンプル10gをルツボにとり、500℃で炭化させた後、700℃で4時間加熱し、残存重量から灰分含有量を求めた。
【0037】
(3)熱可塑性樹脂(B)の酸価
JIS−K5601−2−1;1999の方法を用いて、フェノールフタレインを指示薬とした水酸化カリウムの中和滴定法により酸価を求めた。熱可塑性樹脂(B)のみを分離するのが困難な場合は、該当する層を剥離、もしくは削り取り、層全体の酸価を求めた後、熱可塑性樹脂(B)の重量比で割り返すことで酸価を求めた。
【0038】
(4)比重
フィルムから1辺が5cmである正方形サンプルを5枚切りだし、それぞれJIS K7112−1980に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。得られた計5点の測定値の相加平均を求め、当該フィルムの比重とした。
【0039】
(5)ホワイトスポット
市販のエッジライト式液晶バックライトユニットを搭載したテレビ(BraviaKDL−40EX700)を解体し、バックライトユニットを取り出した。搭載されている反射フィルムを抜き取り、評価用の反射フィルムを入れた。反射フィルムの下には、異物を模したサンプル(高さ200μm)を入れ、再び組み上げて点灯し、該当箇所に輝点が見えるかどうかを判定した。異物を模したサンプルは、10cm角、厚さ0.5mmのアクリル板上にエポキシ系接着剤を滴下して直径3mmの半球を形成し、硬化後に高さ200μmになるよう削って作成した。
◎:まったく見えない
○:手で強く押さなければ見えない
×:見える。
【0040】
(6)削れ
ヘイドン表面特性試験機を用いて測定を行った。市販のエッジライト式液晶バックライトユニットを搭載したテレビ(BraviaKDL−40EX700)を解体し、導光板を取り出した。導光板を十分な大きさにカットし、ヘイドン表面特性試験機の可動部に固定した。その上に5cm×15cm以上の大きさにカットしたフィルムを、測定面を導光板に面するようにセットし、一端をヘイドン表面特性試験機の本体に固定した。導光板、フィルムと重なった上に500円玉を乗せ、さらに200gの錘を乗せた。ヘイドン表面特性試験機の可動部を200mm/min.で90mm移動させた。n=5でこの操作を実施し、フィルムと導光板の擦れた面をそれぞれ肉眼、および顕微鏡で観察した。顕微鏡では少なくとも25平方ミリメートル以上の範囲を観察した。
◎:導光板、反射フィルムのいずれにもキズが確認できない
○:導光板、もしくは反射フィルムのいずれかに肉眼では確認できないキズが入る
×:導光板、もしくは反射フィルムに明らかにキズが入る。
【0041】
[使用原料]
(1)ポリエステル樹脂(a)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ4.186J/g以上であり、結晶性のポリエステル樹脂である。この樹脂の融点Tmを測定したところ、255℃であった。
【0042】
結晶融解熱および融点Tmについては、以下の方法で測定を行った。JIS K7122(1999)に準じて、セイコーインスツルメント(株)製EXSTARDSC6220を用いて測定を行った。なお、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いた。また、測定は窒素雰囲気下で行うものとする。
まず、サンプルパンにサンプルとなる樹脂を5mg秤量して詰め、該サンプルパンを20℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、300℃の状態で5分間保持した。このとき得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)のDSC曲線から得られる吸熱ピークのうち面積が最大となるピークの面積を結晶融解熱、ピーク温度を融点Tmとした。
【0043】
(2)共重合ポリエステル樹脂(b)
その他添加物として、イソフタル酸共重合PETを用いた。ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を17.5mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ4.186J/g未満であり、非晶性を示した。
【0044】
(3)熱可塑性樹脂(c)
市販のポリプロピレン原料「ノバテック FY4」(日本ポリプロ株式会社、融点164℃)を使用した。
【0045】
(4)熱可塑性樹脂(d)
市販のポリプロピレン原料「ノバテック FX4G」(日本ポリプロ株式会社、融点128℃)を使用した。
【0046】
(5)熱可塑性樹脂(e)
市販のポリメチルペンテン原料「TPX DX820」(三井化学株式会社、融点238℃)
(6)熱可塑性樹脂(f)
市販の低密度ポリエチレン原料「ノバテック LF640MA」(日本ポリエチレン株式会社、融点111℃)
(7)熱可塑性樹脂(g)
市販の無水マレイン酸変性ポリプロピレン「モディック P908」(三菱化学株式会社、融点150℃、酸価12.8KOHmg/g)
(8)熱可塑性樹脂(h)
市販の無水マレイン酸変性ポリプロピレンユーメックス“1010”(三洋化成工業株式会社、融点145℃、酸価52KOHmg/g)
(9)環状オレフィン樹脂(i)
市販の環状オレフィン樹脂「TOPAS 6015」(日本ポリプラスチックス株式会社)を用いた。
【0047】
(10)無機粒子含有ポリエステル樹脂(j)
共重合ポリエステル樹脂(b)に対してメジアン径(d50)3.5μmの凝集シリカ粒子を10重量%添加した。
【0048】
(実施例1〜3、5〜12)
表1および2に示した組成の原料を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に主押出機にX層の原料を、副押出機にY層の原料を供給し、それぞれ280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0049】
次いで、該Tダイ複合口金内で、表層(Y層)が芯層(X層)の両表層に積層(Y層/X層/Y層)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを70℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に表2の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の予熱ゾーンに導き5% 微延伸し、引き続き連続的に120 ℃ で長手方向に垂直な方向(横方向)に表2の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表層(Y層)と内部に気泡を有する芯層(X層)の厚さが、10/205/10(μm)のY層/X層/Y層3層の白色のフィルムを得た。さらにこのフィルムを表2に記載の弛緩率でアニール処理を行い、白色ポリエステルフィルムを得た。
【0050】
かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表2のとおりであって、エッジライト式液晶バックライトユニットの反射フィルムとして使用するのに好適なフィルムであった。
【0051】
(実施例4)
表1および2に示した組成の原料を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に主押出機にX層の原料を、副押出機にY層の原料を供給し、それぞれ280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0052】
以降は実施例1と同様にして、白色ポリエステルフィルムを得た。
【0053】
製膜時にキャストや縦延伸ロールに汚れが見られたが、かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表2のとおりであって、エッジライト式液晶バックライトユニットの反射フィルムとしてしようするのに好適なフィルムであった。
【0054】
(比較例1、3、4)
表1および2に示した組成の原料を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に主押出機にX層の原料を、副押出機にY層の原料を供給し、それぞれ280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0055】
次いで、該Tダイ複合口金内で、表層(Y層)が芯層(X層)の両表層に積層(Y層/X層/Y層)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを70℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に表2の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の予熱ゾーンに導き5% 微延伸し、引き続き連続的に120 ℃ で長手方向に垂直な方向(横方向)に表2の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表層(Y層)と内部に気泡を有する芯層(X層)の厚さが、10/205/10(μm)のY層/X層/Y層3層の白色のフィルムを得た。さらにこのフィルムを表2に記載の弛緩率でアニール処理を行い、ポリエステルフィルムを得た。
【0056】
かくして得られたポリエステルフィルムの特性は、表2のとおりであって、エッジライト式液晶バックライトユニットの反射フィルムとして使用するのには不適なフィルムであった。
【0057】
(比較例2)
表1および2に示した組成の原料を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に主押出機にX層の原料を、副押出機にY層の原料を供給し、それぞれ280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0058】
次いで、該Tダイ複合口金内で、表層(Y層)が芯層(X層)の両表層に積層(Y層/X層/Y層)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを70℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に表2の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の予熱ゾーンに導き5% 微延伸し、引き続き連続的に120 ℃ で長手方向に垂直な方向(横方向)に表2の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表層(Y層)と内部に気泡を有する芯層(X層)の厚さが、10/205/10(μm)のY層/X層/Y層3層のポリエステルフィルムを得た。
【0059】
かくして得られたポリエステルフィルムの特性は、表2のとおりであって、エッジライト式液晶バックライトユニットの反射フィルムとして使用するのには不適なフィルムであった。
【0060】
(比較例5)
表1および2に示した組成の原料を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に主押出機にX層の原料を、副押出機にY層の原料を供給し、それぞれ280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0061】
次いで、該Tダイ複合口金内で、表層(Y層)が芯層(X層)の両表層に積層(Y層/X層/Y層)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを70℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に表2の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の予熱ゾーンに導き5% 微延伸し、引き続き連続的に120 ℃ で長手方向に垂直な方向(横方向)に表2の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表層(Y層)と内部に気泡を有する芯層(X層)の厚さが、10/205/10(μm)のY層/X層/Y層3層の白色のフィルムを得た。さらにこのフィルムを表2に記載の弛緩率でアニール処理を行い、ポリエステルフィルムを得た。
【0062】
かくして得られたポリエステルフィルムは、トタン板のような波状の外観を有しているため評価用のバックライトユニットに組み込むのが困難であり、ホワイトスポットの評価が不可能であった。エッジライト式液晶バックライトユニットの反射フィルムとして使用するのには不適なフィルムであった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】