(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項8に記載の無線接続装置において、前記移動可能な無線接続装置が備える前記情報共有制御部は、前記移動可能な無線接続装置の現在位置が予め定められた特定位置に含まれる場合には、前記共有情報を前記特定の無線接続装置に送信しない、無線接続装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、他の無線接続装置と直接無線通信が可能な無線接続装置を提供する。第1の態様に係る無線接続装置は、前記他の無線接続装置のうち特定の無線接続装置との間で、前記直接無線通信により、共有情報を授受するための情報共有インターフェースと、前記無線接続装置に接続されている1以上の機器から受信した情報から、特定の情報を選択し、選択した特定の情報を用いて前記共有情報を生成し、前記情報共有インターフェースを介して、前記特定の無線接続装置に送信する情報共有制御部と、を備えてもよい。
【0007】
ここで、直接無線通信とは、無線接続装置と他の無線接続装置との間で、他の機器や通信ネットワークを介さず、直接、無線接続を確立して行う通信をいう。
【0008】
この無線接続装置によれば、特定の他の無線接続装置に対して、直接無線通信により、共有情報を送信することができるので、外部のネットワークインフラに依存せず、共有情報を送信することができる。また、特定の無線接続装置との間で共有情報を授受するための情報共有インターフェースを備えるので、情報の共有を行う相手(無線接続装置)を、制限することができる。また、情報共有制御部を備えるので、共有情報に含まれる特定の情報を選択することができ、ユーザの利便性に資する。
【0009】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記情報共有制御部は、さらに、前記共有情報を到達させる到達範囲を設定し、設定された前記到達範囲に関する情報を前記供給情報に含ませてもよい。このようにすると、共有情報が到達する範囲を制限することができるため、ユーザにとって利用価値のある情報を範囲を限って送信することができる。
【0010】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記到達範囲は、住所、ホップ段数、距離、および経緯度の少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。このようにすると、到達範囲を、容易かつ適切に制限することができる。
【0011】
上記第1の態様に係る無線接続装置であって、前記到達範囲は、前記特定の情報毎に決定されてもよい。このようにすると、特定の情報の内容に応じて、特定の情報が到達する範囲を違えることができる。
【0012】
上記第1の態様に係る無線接続装置であって、前記特定の情報は、気象センサ、地震センサ、防犯センサ、火災センサの少なくともいずれか一つから受信した情報を含んでもよい。このようにすると、例えば、自LANに属するセンサ情報を近隣の特定のLANに提供することができ、例えば、地域の防犯、防災関連の連携に資する。
【0013】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記情報共有制御部は、さらに、前記無線接続装置が、インターネットを介して受信した情報から前記特定の情報を選択して、前記共有情報を生成し、前記情報共有インターフェースを介して、前記特定の無線接続装置に送信してもよい。このようすると、インターネットを介して受信した情報等を、共有することができる。
【0014】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記無線接続装置には、内部電源を有し移動可能な無線接続装置が含まれていても良い。この場合には、移動可能な無線接続装置から共有情報を送信することができる。
【0015】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記移動可能な無線接続装置が備える前記情報共有制御部は、前記移動可能な無線接続装置の現在位置が予め定められた特定位置に含まれる場合には、前記共有情報を前記特定の無線接続装置に送信しなくても良い。この場合には、移動可能な無線接続装置の現在位置に応じて共有情報の送信を行わないことができる。
【0016】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記情報共有制御部は、前記特定の無線接続装置から前記情報共有インターフェースを介して受信した前記共有情報を修正し、前記情報共有インターフェースを介して、前記特定の無線接続装置とは異なる他の特定の無線接続装置に送信してもよい。このようにすると、無線接続装置間の直接無線通信により、共有情報を、転送することができる。そのため、特定の情報を共有する範囲を広げることができる。
【0017】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記無線接続装置には、内部電源を有し移動可能な無線接続装置が含まれ、前記移動可能な無線接続装置が備える前記情報共有制御部は、前記移動可能な無線接続装置の現在位置が予め定められた特定位置に含まれる場合には、修正した前記共有情報を前記他の特定の無線接続装置に送信しなくても良い。この場合には、移動可能な無線接続装置の現在位置に応じて修正した共有情報の送信を行わないことができる。
【0018】
上記第1の態様に係る無線接続装置において、前記無線接続装置には、内部電源を有し移動可能な無線接続装置が含まれ、前記移動可能な無線接続装置が備える前記情報共有制御部は、前記移動可能な無線接続装置の現在位置が予め定められた特定位置に含まれる場合には、前記特定の無線接続装置から前記情報共有インターフェースを介して受信した前記共有情報を、前記情報共有インターフェースを介して、前記特定の無線接続装置とは異なる他の特定の無線接続装置に送信しなくても良い。この場合には、移動可能な無線接続装置の現在位置に応じて共有情報の送信を行わないことができる。
【0019】
第2の態様は、第1の無線接続装置と、前記第1の無線接続装置と直接無線通信が可能な第2の無線接続装置と、を備えるネットワークシステムを提供する。第2の態様に係るネットワークシステムにおいて、前記第1の無線接続装置は、前記第2の無線接続装置との間で、前記直接無線通信により、共有情報を授受するための情報共有インターフェースと、前記第1の無線接続装置に接続された1以上の機器から受信した情報から、特定の情報を選択し、選択した特定の情報を用いて前記共有情報を生成し、前記情報共有インターフェースを介して、前記第2の無線接続装置に送信する情報共有制御部と、を備えてもよい。このネットワークシステムによれば、特定の無線接続装置間で、外部のネットワークインフラに依存せず、特定の情報を共有することができる。なお、第2の態様に係るネットワークシステムによれば、第1の態様に係る無線接続装置と同様にして様々な態様にて実現され得る。
【0020】
第3の態様は無線接続装置の制御方法を提供する。第3の態様に係る無線接続装置の制御方法は、前記無線接続装置に接続されている1以上の機器から受信した情報から、特定の情報を選択し、前記特定の情報に基づいて共有情報を生成し、前記無線接続装置とは異なる特定の無線接続装置と、直接、無線接続を確立し、前記共有情報を、前記無線接続が確立された前記特定の無線接続装置に対して送信すること、を備えてもよい。この無線接続装置の制御方法によれば、特定のLAN間で、外部のネットワークインフラに依存せず、特定の情報を共有することができる。なお、第3の態様に係る無線接続装置の接続方法は、第1の態様に係る無線接続装置と同様にして様々な態様にて実現され得る。
【0021】
上述した本発明の各態様が有する複数の構成要素は全てが必須のものではなく、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部または全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部または全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0022】
本発明の構成の一部または全部は、ハードウェアによっても実現可能である。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせたモジュールを利用可能である。
【0023】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無線接続装置を制御するための方法の一部または全部を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.実施形態:
A−1.システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム100は、第1のローカルエリアネットワーク(以下、「LAN」と称する)としての第1の通信ネットワークNT1と、複数の第2のLANとしての第2の通信ネットワークNT2と、複数の第3の通信ネットワークNT3と、第4の通信ネットワークNT4と、を備える。ネットワークシステム100に含まれる各通信ネットワークNT1〜4は、それぞれ、家庭内(マンション内を含む)に構築されたLANであり、エネルギー管理システム(HEMSまたはMEMS)に利用されている。なお、各通信ネットワークは、家庭、マンション内に構築されたLANに限定されず、ビル、工場、大学等種々の単位で構築されるLANであってもよい。また、エネルギー管理システムに利用されていないLANであってもよい。
【0026】
各通信ネットワークNT1〜4に含まれる無線通信装置としてのアクセスポイント20,41,42,43,51,52,53,60は、それぞれ、後に詳述するように、メッシュネットワーク機能を有し、アクセスポイント間の直接無線接続が可能なアクセスポイントである。本実施形態において、他の通信ネットワークや他の機器を介さない、機器同士の無線接続を、「直接無線接続」と称し、直接無線接続による通信を「直接無線通信」とも称する。直接無線接続可能な機器同士は、互いに、無線電波の届く範囲内に設置されている。
図1において、アクセスポイント20と直接無線接続可能なアクセスポイントは、アクセスポイント41,42,43であり、これらをそれぞれ含むLANが、それぞれ、第2の通信ネットワークNT2である。アクセスポイント41と直接無線接続可能なアクセスポイントは、アクセスポイント51,52、アクセスポイント42と直接無線接続可能なアクセスポイントがアクセスポイント53であり、これらをそれぞれ含むLANが、それぞれ、第3の通信ネットワークNT3である。アクセスポイント51と直接無線接続可能なアクセスポイントは、アクセスポイント60であり、これを含むLANが、第4の通信ネットワークNT4である。すなわち、第1の通信ネットワークNT1と直接無線接続可能なLANは第2の通信ネットワークNT2、第2の通信ネットワークNT2と直接無線接続可能なLANは第3の通信ネットワークNT3、第3の通信ネットワークNT3と直接無線接続可能なLANは第4の通信ネットワークNT4である。以下、アクセスポイント41,42,43を区別しない場合にはアクセスポイント40、アクセスポイント51,52,53を区別しない場合にはアクセスポイント50と、それぞれ、称する。
図1に表示されている各アクセスポイントは、情報の発信、受信、中継のいずれの処理も行うことができるが、説明の便宜のために、以下の説明では、アクセスポイント20が情報を発信し、アクセスポイント40,50,60が受信・中継を行う場合について説明する。アクセスポイント20が情報を発信し、アクセスポイント40が発信された情報をアクセスポイント50へと中継し、アクセスポイント50が中継された情報をアクセスポイント60へと更に中継し、アクセスポイント60が情報を受信するというように、アクセスポイント20を中心として、アクセスポイント間の直接無線通信によって情報が転送される。
【0027】
第1の通信ネットワークNT1は、無線接続装置としてのアクセスポイント20と、防犯センサ32と、火災センサ34と、エアコン36と、を主に備える。第1の通信ネットワークNT1は、コンピュータ、照明機器、テレビ、電気コンロ等の他の家電機器や、太陽光発電システム等の発電機器、蓄電機器等、他のセンサ類等の通信機能を有する種々の機器を備えてもよい。以下、防犯センサ32と、火災センサ34と、エアコン36を区別しない場合には、機器30と称する。本実施形態において、アクセスポイント20と機器30とは、それぞれ、無線通信によりデータ通信を行うが、有線通信によってデータ通信を行ってもよい。
【0028】
第2の通信ネットワークNT2も、第1の通信ネットワークNT1と同様に、無線接続装置としてのアクセスポイント40と、複数の機器30と、を備える。同様に、第3の通信ネットワークNT3はアクセスポイント50と複数の機器30とを備え、第4の通信ネットワークNT4はアクセスポイント60と複数の機器30とを備える。複数の通信ネットワークNT2の内、アクセスポイント43を含む第2の通信ネットワークNT2は、マンション内のネットワークであり、降雨を検知する雨センサ38を備える。
【0029】
アクセスポイント20は、メッシュネットワーク機能を有する。すなわち、アクセスポイント20は、アクセスポイント40に、IEEE802.11によってWDS(Wireless Distribution System)接続することができる。なお、アクセスポイント20は、他の機器を介さずに直接、アクセスポイント40に無線接続可能に構成されていればよく、通信範囲や通信方式、通信規格は、本実施形態に限定されない。例えば、アクセスポイント20は、アクセスポイント40に、インフラストラクチャモードのステーションとして接続してもよいし、アクセスポイント40に対してアドホック接続してもよい。また、IEEE802.11による無線LAN(Local Area Network),近距離無線通信やIEEE802.15による無線PAN(Private Area Network),IEEE802.16やIEEE802.20による無線MAN(Metropolitan Area Network),3GPPや3GPP2による無線WAN(Wide Area Network)等による接続であってもよく、IEEE802.11s等によるメッシュ状の無線接続において隣接される機器間で直接接続される無線接続であってもよい。
【0030】
アクセスポイント20は、自LAN(第1の通信ネットワークNT1)に属する機器30と通信するためのSSIDの他に、ネットワークシステム100において、自LANに属する機器30に関する情報(以下、「機器情報」と称する)が共有される場合に、第2の通信ネットワークNT2内のアクセスポイント40と通信するための情報共有専用SSID(例えば、HEMS SHARE)を有する。
【0031】
アクセスポイント40,50,60もアクセスポイント20と同様に、メッシュネットワーク機能を有し、アクセスポイント20の有する情報共有専用SSIDと同一の情報共有専用SSIDを有する。各通信ネットワークの管理者(例えば、家族の一員、マンションの管理者等)が、自LAN内の特定の情報をネットワークシステム100において共有するための情報共有設定を行うと、共通の情報共有専用SSIDが設定される。ネットワークシステム100における機器情報の共有は、情報共有専用SSIDを用いることにより実現される。これにより、機器情報の共有は、情報共有設定が行われているアクセスポイント(すなわち、特定のアクセスポイント)間に制限することができる。
【0032】
A−2.アクセスポイントの概略構成:
図2は、アクセスポイント20の構成を機能的に示すブロック図である。アクセスポイント20は、CPU210と、RAM230と、情報共有インターフェース(I/F)240と、WANインターフェース(I/F)250と、LANインターフェース(I/F)260と、フラッシュROM220と、を主に備える。これらの構成要素は、バスによって相互に通信可能に接続されている。
【0033】
情報共有インターフェース240は、第2の通信ネットワークNT2に含まれるアクセスポイント40と、IEEE802.11に従いWDS(Wireless Distribution System)接続するためのインターフェースである。情報共有インターフェース240は、アンテナ(図示しない)と、制御回路(図示しない)と、を備え、制御回路は、アンテナを介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調を行う。
【0034】
WANインターフェース250は、インターネットINT(
図1)側の回線と接続するためのインターフェースである。WANインターフェース250は、PHY/MACコントローラを含み、受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す。
【0035】
LANインターフェース260は、マルチESSID機能に対応しており、第1の通信ネットワークNT1内の複数の機器30と通信可能に構成され、規格の異なる複数の無線通信インターフェースを備える。本実施形態における複数の無線通信インターフェースは、それぞれ、IEEE802.11、Z−Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)に準拠している。複数の無線通信インターフェースは、それぞれ、アンテナ(図示しない)と、制御回路(図示しない)と、を備えている。各無線通信インターフェースの制御回路は、それぞれ準拠する規格に従って、アンテナを介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調をおこなう。LANインターフェース260が備える無線通信インターフェースは、本実施形態に限定されず、他の規格に準拠する無線通信インターフェースを備えてもよい。さらに、上記に加え、他の規格に準拠する無線通信インターフェースや、有線通信インターフェースを備えてもよい。また、LANインターフェース260は、1つの無線通信インターフェースのみを備えてもよいし、1つの有線通信インターフェースのみを備えてもよい。
【0036】
CPU210は、フラッシュROM220に格納されているプログラムをRAM230に展開して実行することによって、アクセスポイント20を制御する。また、CPU210は、情報共有制御部212、LAN制御部214の各機能を実現する。
【0037】
LAN制御部214は、LANインターフェース260を介して、第1の通信ネットワークNT1内に含まれる機器30から受信したデータを解析して送信したり、機器30を制御する。LAN制御部は、第1の通信ネットワークNT1内に含まれる機器30から受信したデータを、フラッシュROM220に格納されているプロトコルスタック228を参照して解析し、送信元(機器30)の通信プロトコルに準拠して記述されているデータのボディを取り出す。プロトコルスタック228は、第1の通信ネットワークNT1内に含まれる機器30と通信を行うための複数の通信プロトコルを備える。具体的には、プロトコルスタック228には、TCP/IP、HTTP、ECHONET Lite(エコーネットライト(登録商標))、Z−Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が含まれる。LAN制御部214は、取り出したデータのボディに基づいて、例えば、ユーザ(第1の通信ネットワークNT1が構築されている家庭の家族)が所有する通信端末90、管理サーバ等の送信先毎に対応する通信プロトコルに準拠するデータを生成して送信する。通信端末90としては、例えば、スマートフォン、タブレット,携帯電話等のPDA(Personal Digital Assistants)等を用いることができる。
【0038】
また、LAN制御部214は、例えば、WANインターフェース250を介して、ユーザが所有する通信端末90から受信したデータに基づいて、機器30を制御する。例えば、エアコン36の電源ONを指示するデータを受信した場合には、LAN制御部214は、LANインターフェース260を介して、エアコン36を制御して電源をONにする。LAN制御部214は、この他に、電力会社が設置する電力管理サーバからWANインターフェース250を介して受信した指示に基づいて、エアコン36の設定温度を変更する等、エアコン36を制御してもよい。なお、LAN制御部214による機器30の制御は、LAN制御部214から機器30を制御するためのコマンドを直接、機器30に送信する態様、LAN制御部214が機器30の制御部に対して制御を要求するコマンドを送信する態様のいずれもが含まれる。
【0039】
情報共有制御部212は、第1の通信ネットワークNT1内に含まれる機器30から受信した情報のうち、ネットワークシステム100において共有する情報を選択して、アクセスポイント40に送信する。情報共有制御部212は、LAN制御部214で解析されたデータを取得して、アクセスポイント40に送信する情報を選択し、アクセスポイント40とのWDS通信の通信プロトコル(例えば、Wireless LAN Context Control Protocol(WLCCP))に準拠するデータを生成する。情報共有制御部212は、情報共有用の専用SSIDを使用してアクセスポイント40に直接、無線接続し、情報共有インターフェース240を介してアクセスポイント40に、生成したデータを送信する。なお、ユーザによる情報共有設定の際に、共有する情報(送信する情報)を、ユーザが設定してもよいし、情報共有設定により自動的に共有する情報が設定されてもよい。
【0040】
情報共有制御部212は、外部から情報共有インターフェース240を介して受信したデータを、アクセスポイント40に中継する。例えば、アクセスポイント20の情報共有制御部212は、情報共有インターフェース240を介してアクセスポイント43から雨センサ38情報を受信して、アクセスポイント41,42に中継する。また、情報共有制御部212は、外部から情報共有インターフェース240を介して受信したデータや、第1の通信ネットワークNT1内に含まれる機器30から受信した情報に基づいて、ユーザに情報を報知する。情報の報知は、ユーザが所有する通信端末90へのメール、アプリケーションによる通知(音声、表示を含む)、アクセスポイント20が備えるスピーカ(図示せず)からの音声通知、アクセスポイント20が備える警報器(図示せず)からの警報音による通知、アクセスポイント20が備える警報ランプ(図示せず)の点灯等、種々の通知により実現され得る。スピーカ、警報器、警報ランプ等の報知手段は、アクセスポイント20と別体として、第1の通信ネットワークNT1に含まれてもよい。その場合、LAN制御部214を介して報知手段を制御する構成にしてもよい。例えば、アクセスポイント43を介して雨センサ38からの降雨情報を受信した場合には、アクセスポイント20が備えるスピーカから、音声により「雨が降り出しました」との通知が行われても良い。この音声による通知によって、家庭内に居るユーザは、例えば、洗濯物を取込む等行うことができる。
【0041】
フラッシュROM220には、到達範囲テーブル224A、送信先テーブル226、およびプロトコルスタック228が格納されている。
図3は、到達範囲テーブル224Aを示す図である。アクセスポイント20は、ネットワークシステム100内で共有する機器情報(以下、「共有機器情報」とも称する)を発信する場合、発信する機器情報の到達範囲を設定して発信する。到達範囲テーブル224Aは、その到達範囲を示すテーブルである。本実施形態において、到達範囲テーブル224Aには、受信した情報の共有要否も記載されている。本実施形態において、到達範囲は、アクセスポイントを経由できる数を規定するホップ段数によって指定されている。到達範囲は、アクセスポイント20が発信する機器情報の情報源(センサ)毎に、適した範囲(情報の利用価値があると考えられる範囲)に設定されている。例えば、防犯センサは、極近隣の通信ネットワーク(LAN)、火災センサ、雨センサは、それより少し広い範囲、地震センサは、さらに広範囲等である。全ての情報を、際限なく転送させると、受信側のアクセスポイントにおいて、不要な情報を多数受信し、アクセスポイントにおける処理負荷が増大する可能性があるからである。例えば、雨センサの情報は洗濯物の取込み警告、防災センサの情報は不審者情報の共有、地震センサの情報は避難所の通知等に、それぞれ、利用されてもよい。到達範囲のホップ段数は、本実施形態に限定されず、適宜設定され得る。受信した情報の共有要否について、
図3では、共有する情報は「○」、共有しない情報は「×」と表示している。到達範囲テーブル224Aに記載される情報源は、本実施形態に限定されず、種々の情報源(センサ、家電機器等)を記載可能である。また、共有の要否も、適宜設定することができる。
【0042】
図4は,送信先テーブル226を示す図である。送信先テーブル226は、アクセスポイント20が共有機器情報を送信するアクセスポイントのMACアドレスを含む。アクセスポイント20は、情報共有専用のSSIDが設定されたビーコンを受信するとそのBSSID(無線LANにおけるMACアドレス)を予め登録する。
図1に示すように、本実施形態のネットワークシステム100において、アクセスポイント20と直接、無線通信可能なアクセスポイントは、アクセスポイント41,42,43の3つである。そのため、
図4に示す送信先テーブル226には、アクセスポイント41,42,43のMACアドレスが記載されている。送信先テーブル226の登録や更新は、定期的なスキャンによって実行されても良い。
【0043】
アクセスポイント40は、アクセスポイント20と同様の構成を備える。すなわち、アクセスポイント40は、自LAN(第2の通信ネットワークNT2)に含まれる機器30から受信した情報を、他の通信ネットワークに送信することができる。アクセスポイント40が備える送信先テーブルには、以下のように、各アクセスポイント40が、直接無線通信可能なアクセスポイントのMACアドレスが記載されている。アクセスポイント41が備える送信先テーブルには、アクセスポイント20,51および52のMACアドレス、アクセスポイント42が備える送信先テーブルには、アクセスポイント20,53のMACアドレス、アクセスポイント43が備える送信先テーブルには、アクセスポイント20のMACアドレスがそれぞれ記載されている。同様に、アクセスポイント50,60も、各々が直接無線通信可能なアクセスポイントのMACアドレスを示す送信先テーブルを備える。各送信先テーブルに含まれるMACアドレスは、以下に示す通りである。アクセスポイント51が備える送信先テーブルには、アクセスポイント41,60のMACアドレス、アクセスポイント52が備える送信先テーブルには、アクセスポイント41のMACアドレス、アクセスポイント53が備える送信先テーブルには、アクセスポイント42のMACアドレス、アクセスポイント60が備える送信先テーブルには、アクセスポイント51のMACアドレスがそれぞれ記載されている。
【0044】
A−3.ネットワークシステムにおける機器情報共有時の処理:
本実施形態のネットワークシステムにおける機器情報共有時の処理の概要について説明する。
図5は、アクセスポイントにおける送信処理の流れを示すフローチャートである。Idle状態にあるアクセスポイント20が、防犯センサ32,火災センサ34,エアコン36のいずれかからデータを受信すると(ステップS202)、情報共有制御部212は、データの送信元(情報源)を判別する(ステップS204)。データの送信元の判別は、例えば、データに含まれている送信元アドレス、機器IDを用いて、アクセスポイント20に予め備えられている送信元アドレス、機器IDと送信元(機器)とを対応付けるテーブルから、一致する送信元アドレス、機器IDに対応する送信元を特定することによって実行される。情報共有制御部212は、到達範囲テーブル224Aを参照して、受信したデータが、機器情報共有対象の情報か否かを判別する(ステップS206)。本実施形態では、
図3に示すように、防犯センサ32および火災センサ34から受信した情報は、共有対象に設定されている。ステップS206において、情報共有制御部212は、受信したデータが共有対象の情報であると判断すると、到達範囲テーブル224Aを参照して、到達範囲を決定(設定)する(ステップS208)。情報共有制御部212は、送信先テーブル226を参照して、共有する情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数)に関する情報を含む、アクセスポイント41,42,43宛のそれぞれの共有情報データを生成して送信し(ステップS210)、受信した情報に適した報知を行い(ステップS212)、ステップS202に戻る。情報共有制御部212は、ステップS206において、受信したデータが共有対象の情報でないと判断すると、ステップS202に戻る。ステップS212における報知は、例えば、防犯センサ32が反応した場合、アクセスポイント20が備える警報器の警報音を鳴らすと共に、ユーザの所有する通信端末90へメールにて、「防犯センサが反応しました」と通知し、火災センサ34が反応した場合には、アクセスポイント20が備えるスピーカから「火災センサが反応しました」と音声通知する共に、ユーザの所有する通信端末90へメールにて、「火災センサが反応しました」と通知することにより実現され得る。
【0045】
次に、アクセスポイント20が防犯センサ32からデータを受信した場合を例に挙げて、
図5に基づいて、具体的な送信処理の流れを説明する。アクセスポイント20の情報共有制御部212は、Idle状態において、防犯センサ32からのデータを、LAN制御部214を介して取得する(ステップS202)。LAN制御部214にて解析されたデータに含まれる送信元アドレスに基づいて、送信元(情報源)が防犯センサ32であると判別する(ステップS204)。上述の通り、防犯センサ32からの情報は共有対象の情報であるため(ステップS206:YES)、情報共有制御部212は、到達範囲テーブル224Aを参照して、防犯センサに対応するホップ段数を抽出する(ステップS208)。情報共有制御部212は、送信先テーブル226を参照して、防犯センサ32が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=1)を含む、アクセスポイント41,42,43宛のそれぞれの共有情報データを生成して送信し(ステップS210)、アクセスポイント20が備える警報器の警報音を鳴らすと共に、ユーザの所有する通信端末90へメールにて、「防犯センサが反応しました」と通知する(ステップS212)。
【0046】
図6は、アクセスポイントにおける受信・中継処理の流れを示すフローチャートである。以下、アクセスポイント40における処理の概要を、
図6に基づいて説明する。なお、アクセスポイント40はアクセスポイント20と同様の構成を備えており、以下ではアクセスポイント40が備える構成に対してはアクセスポイント20に対する符号の先頭数字を「4」に置き換えて説明する。アクセスポイント40は、Idle状態にあるアクセスポイント40共有情報データを受信すると(ステップS302)、情報共有制御部412は、共有情報データに含まれるホップ段数が0か否かを判断する(ステップS304)。ステップS304において、ホップ段数=0でないと判断した場合(ステップS304:NO)、情報共有制御部412は、受信した共有情報データを修正し、修正した共有情報データをアクセスポイント50に中継する(ステップS306)。具体的には、情報共有制御部412は、受信した共有情報データに含まれるホップ段数から「1」を減じて、ホップ段数を変更する。そして、送信先テーブル426を参照して、登録されているアクセスポイント50宛の、共有する情報(共有機器情報)と変更後のホップ段数を含む、共有情報データに修正して送信(中継)する。情報共有制御部412は、受信した情報に適した報知を行い(ステップS308)、ステップS302に戻る。ステップS308における報知は、上記したアクセスポイント20における報知と同様であっても良く異なる報知の方法であってもよい。アクセスポイント40の構成およびユーザの好み等に応じて、報知の方法をユーザが選択して設定してもよい。ステップS304において、ホップ段数=0であると判断した場合(ステップS304:YES)、情報共有制御部412は受信した共有情報データを破棄して、ステップS302に戻る。すなわち、共有情報データに含まれるホップ段数=0の場合は、受信した情報は、第2の通信ネットワークNT2内で利用されず、他のLANに対して中継もされない。
【0047】
次に、アクセスポイント41が、アクセスポイント20から防犯センサ32に関する共有情報データを受信した場合を例に挙げて、アクセスポイント41における受信・中継処理について
図6に基づいて具体的に説明する。アクセスポイント41が、アクセスポイント20との直接無線接続により情報共有I/Fを介して受信した共有情報データには、上述のとおり、防犯センサ32が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=1)を含む。なお、アクセスポイント41が備える構成のうち、アクセスポイント40が備える構成と同等の構成については、アクセスポイント40において用いた符号と同一の符号を用いて説明する。
【0048】
アクセスポイント41の情報共有制御部412は、Idle状態において、アクセスポイント20から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、受信した共有情報データに含まれるホップ段数は「1」であるため、ホップ段数=0でないと判断する(ステップS304:NO)。情報共有制御部412は、受信した共有情報データのホップ段数から「1」減じて、ホップ段数=0にする。情報共有制御部は、送信先テーブル426を参照して、アクセスポイント51,52宛の、第1の通信ネットワークNT1の防犯センサ32が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=0)を含む共有情報データに修正し、送信先テーブル426を参照して、アクセスポイント51,52に送信(中継)する(ステップS306)。情報共有制御部412は、受信した共有情報データに基づいて、不審者情報報知の音声データを作成し、内蔵するスピーカーを介して、不審者情報を報知すると共に、ユーザの所有する通信端末90へメールにて、不審者情報を通知する(ステップS308)。不審者情報としては、例えば、「自宅近隣の防犯センサが反応しました」としてもよい。
【0049】
同様の処理が、アクセスポイント42,43において行われる。なお、上述の通り、アクセスポイント43において、送信先テーブルには、アクセスポイント20しか登録されていないため、アクセスポイント43は、中継処理(ステップS306)行わず、報知を行う(ステップS308)。アクセスポイント43は、マンション内に設置されているため、例えば、マンション内の各戸の居住者のうち、登録された居住者の通信端末にメールにより通知したり、マンション内の各戸に設置されたマンション管理用のスピーカーから、音声により通知されてもよい。また、音声通知の他、共有ロビー等に設置された電光掲示板等にて表示により通知してもよい。
【0050】
続いて、アクセスポイント51が、アクセスポイント41から上述の共有情報データを受信した場合を例に挙げて、アクセスポイント43における受信・中継処理について
図6に基づいて具体的に説明する。アクセスポイント51が、アクセスポイント41との直接無線接続により情報共有I/Fを介して受信した共有情報データには、上述のとおり、第1の通信ネットワークNT1の防犯センサ32が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=0)を含む。なお、アクセスポイント51(50)はアクセスポイント20と同様の構成を備えており、以下ではアクセスポイント51が備える構成に対してはアクセスポイント20に対する符号の先頭数字を「5」に置き換えて説明する。
【0051】
アクセスポイント51の情報共有制御部512は、Idle状態において、アクセスポイント41から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、受信した共有情報データに含まれるホップ段数は、「0」であるため(ステップS304:YES)、受信した共有情報データを破棄して(ステップS310)、Idle状態に戻る(ステップS302)。アクセスポイント52においても、同様の処理が行われる。すなわち、アクセスポイント20が発信した防犯センサ32に関する情報は、第3の通信ネットワークNT3内で利用されず、他のLANに対して中継もされない。
【0052】
このように、防犯センサからの情報の到達範囲は、ホップ段数=1と設定されているため(
図3に示す到達範囲テーブル224A参照)、
図1に示す到達範囲AS1の範囲内にある第2の通信ネットワークNT2においてのみ、利用される。本実施形態において、受信した共有情報データのホップ段数=0の場合、共有情報データは破棄され、中継も実行されないが、ホップ段数=0の場合に、中継は実行せず、報知を行っても良い(自LAN内で利用する)。このようにすると、不要な送信をする必要がなくなる。
【0053】
次に、火災センサ34(ホップ段数2)からの情報を、アクセスポイント20が送信した場合を例に挙げて、アクセスポイント41,51,60における受信・中継処理について、
図6に基づいて具体的に説明する。アクセスポイント41の情報共有制御部412は、Idle状態において、アクセスポイント20から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、受信した共有情報データに含まれるホップ段数は「2」であるため、ホップ段数=0でないと判断する(ステップS304:NO)。情報共有制御部412は、受信した共有情報データのホップ段数から「1」を減じて、ホップ段数=1にする。そして、送信先テーブル426を参照して、アクセスポイント51,52宛の、第1の通信ネットワークNT1の火災センサ34が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=1)を含む共有情報データに修正して送信(中継)する(ステップS306)。情報共有制御部412は、受信した共有情報データに基づいて、火災情報報知の音声データを作成し、内蔵するスピーカーを介して、火災情報を報知すると共に、ユーザの所有する通信端末90へメールにて、火災情報を通知する(ステップS308)。火災情報情報としては、例えば、「自宅近隣の火災センサが反応しました」、「××町で火災が発生しました」等としてもよい。
【0054】
アクセスポイント51の情報共有制御部512は、Idle状態において、アクセスポイント41から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、受信した共有情報データに含まれるホップ段数は「1」であるため、ホップ段数=0でないと判断する(ステップS304:NO)。情報共有制御部512は、受信した共有情報データのホップ段数から「1」を減じて、ホップ段数=0にする。そして、送信先テーブル526を参照して、アクセスポイント60宛の、第1の通信ネットワークNT1の火災センサ34が反応した旨の情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数=0)を含む共有情報データに修正して送信(中継)する(ステップS306)。情報共有制御部512は、受信した共有情報データに基づいて、アクセスポイント41における報知と同様の報知を行う(ステップS308)。
【0055】
次に、アクセスポイント60における受信・中継処理について説明する。なお、アクセスポイント60はアクセスポイント20と同様の構成を備えており、以下ではアクセスポイント60が備える構成に対してはアクセスポイント20に対する符号の先頭数字を「6」に置き換えて説明する。アクセスポイント60の情報共有制御部612は、Idle状態において、アクセスポイント51から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、受信した共有情報データに含まれるホップ段数は、「0」であるため(ステップS304:YES)、受信した共有情報データを破棄して(ステップS310)、Idle状態に戻る(ステップS302)。すなわち、アクセスポイント20が発信した火災センサ34に関する情報は、第4の通信ネットワークNT4内で利用されず、他のLANに対して中継もされない。このように、火災センサからの情報は、ホップ段数=2に設定されているため(
図3に示す到達範囲テーブル224A参照)、
図1に示す到達範囲AS2の範囲内にある第2の通信ネットワークNT2,第3の通信ネットワークNT3においてのみ、利用される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のネットワークシステム100によれば、アクセスポイント20,40,50,60が、メッシュネットワーク機能を備えるため、外部のネットワークインフラに依存することなく、複数の通信ネットワーク(LAN)間で情報共有を可能とすることができる。また、アクセスポイント20,40,50,60が、情報共有インターフェースを備え、情報共有専用SSIDを用いて、共有情報データの授受を行っているため、情報の共有を特定のアクセスポイント間に制限することができる。すなわち、アクセスポイント20,40,50,60と直接無線通信が可能なアクセスポイントであっても、情報共有専用SSIDを有さないアクセスポイントとは、共有情報データの授受を行うことができない。また、共有情報データは、アクセスポイント間における直接の無線通信によってのみ転送されるので、共有情報データの転送は、無線の電波の届く範囲間に限られ、この点においても、情報の共有範囲を制限することができる。さらに、共有情報データを到達させる到達範囲を設定することにより、到達範囲を制限できるため、情報が無限に転送されることによる、不要な情報の受信を抑制することができる。
【0057】
また、複数の通信ネットワーク間で共有する情報を選別して送信しているため、予め、アクセスポイントの設置者(家族等)が、公開してもよい情報を決定することができる。また、共有する情報(センサ)毎に、情報の到達範囲が制限されているため、情報の内容に応じて、必要な範囲内で情報を共有することができる。
【0058】
以下、第2〜4実施形態のネットワークシステムについて説明する。第2〜4実施形態のネットワークシステムは、アクセスポイント20からアクセスポイント40への情報到達範囲の設定方法が異なることに付随する構成以外は、第1実施形態のネットワークシステム100と同様であるため、同一の構成には同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0059】
B.第2実施形態:
第2実施形態のアクセスポイント20は、フラッシュROM220にさらに、位置情報を備え、到達範囲テーブル224Aに代えて、到達範囲テーブル224Bを備える。第2実施形態でも第1実施形態と同様に、アクセスポイント40,50,60は、アクセスポイント20と同様の構成を備える。
【0060】
第2実施形態では、位置情報として、アクセスポイントの設置場所の経緯度を用いている。経緯度は、アクセスポイント20が備えるGPS(Global Positioning System)機能により取得する。その他、例えば、アクセスポイント20の設置者(ユーザ)が、アクセスポイント20が備えるWeb設定画面に対し手動で入力してもよいし、設置者が保有するスマートフォンのGPS機能により取得した経緯度情報を、NFC、Bluetooth(登録商標)、USB、Wi−Fi等を経由して取得してもよい。
【0061】
図7は、第2実施形態の到達範囲テーブルを示す図である。
図7に示すように、到達範囲テーブル224Bでは、到達範囲が距離(m)によって指定されている。本実施形態における到達範囲テーブル224Bには、受信した情報の共有要否が記載されていない。本実施形態では、受信した情報の共有要否を示す共有要否テーブル(図示しない)を備える。
【0062】
次に、第2実施形態のネットワークシステムにおける機器情報共有時の処理において、第1実施形態と異なる部分について説明する。まず、アクセスポイント20における送信処理について、
図5に基づいて説明する。第2実施形態では、アクセスポイント20の情報共有制御部212は、第1実施形態と同様にステップS202〜204を行い、ステップS206では、共有要否テーブルを参照して、受信したデータが、機器情報共有対象の情報か否かを判別する。ステップS208では、情報共有制御部212は、到達範囲テーブル224Bを参照して到達範囲を決定する。情報共有制御部212は、送信先テーブル226を参照して、送信する情報(共有機器情報)、アクセスポイント20の位置情報(経緯度)、到達範囲(距離(m))を含む、アクセスポイント41,42,43宛のそれぞれの共有情報データを生成して送信し(ステップS210)、第1実施形態と同様に報知する(ステップS212)。
【0063】
アクセスポイント40における受信・中継処理について、
図6に基づいて説明する。アクセスポイント40は、Idle状態において、共有情報データを受信すると(ステップS302)、ステップS304において、自身の備える位置情報(経緯度)を参照して、アクセスポイント40の位置が、共有情報データに含まれる到達範囲内であるか否かを判断する。具体的には、共有情報データに含まれるアクセスポイント20(発信元)の位置情報(経緯度)と、アクセスポイント40の位置情報(経緯度)とに基づいて、アクセスポイント間距離を算出し、アクセスポイント間距離が到達範囲内であるか否かを判断する。アクセスポイント40の位置が到達範囲内と判断すると(ステップS304:YES)、情報共有制御部212は、受信した共有情報データに含まれるアクセスポイント20の経緯度、到達範囲を変更せず、送信先テーブル226を参照して、登録されているアクセスポイント50宛の共有情報データに修正して送信(中継)し(ステップS306)、第1実施形態と同様に報知する(ステップS308)。情報共有制御部212は、アクセスポイント40の位置が到達範囲外であると判断すると(ステップS304においてNO)、第1実施形態と同様に、共有情報データを破棄し(ステップS310)、他のアクセスポイントに対する中継も行わない。
【0064】
第2実施形態のネットワークシステムによれば、発信元のアクセスポイントを中心として、指定された距離の範囲内の通信ネットワーク(LAN)において、情報を共有することができる。
【0065】
第2実施形態では、到達範囲を発信元(アクセスポイント20)からの距離で指定し、アクセスポイント20は、共有情報データに、アクセスポイント20の経緯度と、到達範囲(距離)を含めて送信している。これに代えて、アクセスポイント20において、到達範囲の距離をホップ段数に変換して、共有情報データにホップ段数を含めて送信する構成にしてもよい。例えば、以下の構成にしてもよい。
【0066】
アクセスポイント20は、フラッシュROM220にさらに、変換テーブル225を備える。
図8は、変換テーブルを示す図である。
図8に示すように、変換テーブル225は、到達範囲とホップ段数との関係を示すテーブルである。アクセスポイント20の情報共有制御部212は、到達範囲の決定処理(
図5のステップS208)において、到達範囲テーブル224Bと変換テーブル225を参照して、共有する情報に応じたホップ段数を決定する。ステップS210において、情報共有制御部212は、第1実施形態と同様に、共有する情報、ホップ段数を含む共有情報データを生成して、送信する。
【0067】
アクセスポイント40は、第1実施形態と同様の受信・中継処理を行う。このようにすると、受信・中継処理における、アクセスポイント間の距離の算出等の処理負荷を抑制しつつ、距離によって、情報共有の範囲を制限することができる。
【0068】
また、第2実施形態において、到達範囲テーブル224Bに代えて、第1実施形態における到達範囲テーブル224A(
図3)と上記の変換テーブル225(
図8)とを備える構成とし、アクセスポイント20の情報共有制御部212が、到達範囲の決定処理(
図5のステップS208)において、到達範囲テーブル224Aと変換テーブル225を参照して、共有する情報に応じた到達距離を決定してもよい。すなわち、ホップ段数を距離に変換して、距離を基準に情報共有の範囲を設定することも可能である。
【0069】
C.第3実施形態:
第3実施形態のアクセスポイント20は、フラッシュROM220に、さらに位置情報222を備え、到達範囲テーブル224Aに代えて、到達範囲テーブル224Dを備える。第3実施形態でも第1実施形態と同様に、アクセスポイント40,50,60は、アクセスポイント20と同様の構成を備える。
【0070】
図9は、位置情報222を示す図である。位置情報222は、アクセスポイント20の設置場所を示す情報であり、図示するように、経緯度、住所を含む。経緯度は、アクセスポイント20が備えるGPS(Global Positioning System)機能により取得する。住所は、取得された経緯度を用いて、いわゆる逆ジオコーディング(Reverse Geocoding)により変換される。位置情報222は、その他、例えば、アクセスポイント20の設置者が、アクセスポイント20が備えるWeb設定画面に対し手動で入力してもよいし、設置者が保有するスマートフォンのGPS機能により取得した経緯度情報を、NFC、Bluetooth、USB、Wi−Fi等を経由して取得してもよい。
【0071】
図10は、第3実施形態の到達範囲テーブルを示す図である。
図10に示すように、到達範囲テーブル224Dでは、到達範囲が住所によって指定されている。本実施形態でも、第2実施形態と同様に、到達範囲テーブル224Dには、受信した情報の共有要否が記載されておらず、到達範囲テーブル224Dとは別に、共有要否テーブルを備える。
【0072】
次に、第3実施形態のネットワークシステムにおける機器情報共有時の処理において、第1実施形態と異なる部分について説明する。まず、アクセスポイント20における送信処理について、
図5に基づいて説明する。第3実施形態では、アクセスポイント20の情報共有制御部212は、第1実施形態と同様にステップS202〜204を行い、ステップS206では、共有要否テーブルを参照して、受信したデータが、機器情報共有対象の情報か否かを判別する。情報共有制御部212は、ステップS208では、到達範囲テーブル224Dを参照して到達範囲を決定する。情報共有制御部212は、送信先テーブル226を参照して、送信する情報(共有機器情報)、到達範囲(住所)を含む、アクセスポイント41,42,43宛のそれぞれの共有情報データを生成して送信し(ステップS210)、第1実施形態と同様に報知する(ステップS212)。
【0073】
アクセスポイント40における受信・中継処理ついて、
図6に基づいて説明する。アクセスポイント40は、Idle状態において、共有情報データを受信すると(ステップS302)、ステップS304において、アクセスポイント40の備える位置情報を参照して、アクセスポイント40の住所が、共有情報データに含まれる到達範囲(住所)内か否かを判断する。例えば、アクセスポイント40が設置された住所(位置情報に記載された住所)が、「愛知県名古屋市中区大須2丁目10番2号」とすると、共有情報データに含まれる到達範囲が「愛知県名古屋市中区」または「愛知県名古屋市中区大須」の場合は、到達範囲内、到達範囲が「愛知県名古屋市中区大須3丁目」の場合は、範囲外と判断する。アクセスポイント40の位置が到達範囲内と判断すると(ステップS304:YES)、情報共有制御部212は、受信した共有情報データに含まれる到達範囲を変更せず、送信先テーブル226を参照して、登録されているアクセスポイント50宛に共有情報データを修正して送信(中継)し(ステップS306)、第1実施形態と同様に報知する(ステップS308)。情報共有制御部212は、アクセスポイント40の位置が到達範囲外と判断すると(ステップS304においてNO)、第1実施形態と同様に、共有情報データを破棄し(ステップS310)、他のアクセスポイントに対する中継も行わない。
【0074】
第3実施形態によれば、発信元のアクセスポイント20の管理者が所属する地域内において、機器情報を共有することができる。例えば、地域内における回覧板等による不審者情報の通知に代えて、本技術を用いて、防犯センサに関する情報を共有することにより、迅速に情報を共有することができる。
【0075】
D.第4実施形態:
第4実施形態のアクセスポイント20は、フラッシュROM220に、到達範囲テーブル224Aに代えて、到達範囲テーブル224Eを備える。
【0076】
図11は、第4実施形態の到達範囲テーブルを示す図である。第4実施形態では、送信先のアクセスポイント40との間の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)に基づいて、情報源毎に、到達範囲がホップ段数で定められている。アクセスポイント20のフラッシュROM220は、RSSIとホップ段数との関係を、情報源毎に示すRSSIテーブル(図示しない)を備える。情報共有制御部212は、情報共有専用のSSIDが設定されたビーコンを受信した時に、アクセスポイント40との間のRSSIを取得し、RSSIテーブルを参照して、到達範囲テーブル224Eを作成する。到達範囲テーブル224Eの作成や更新は、定期スキャンによって実行されてもよい。なお、本実施形態でも、第2実施形態と同様に、到達範囲テーブル224Eには、受信した情報の共有要否が記載されておらず、到達範囲テーブル224Eとは別に、共有要否テーブルを備える。
【0077】
第4実施形態のネットワークシステムにおける機器情報共有時の処理において、第1実施形態と異なる部分について説明する。第4実施形態のアクセスポイント20は、第1実施形態のアクセスポイント20と同様に、
図5のステップS202〜204の処理を行い、ステップS206では、共有要否テーブルを参照して、受信したデータが、機器情報共有対象の情報か否かを判別する。共有制御部212は、ステップS208において、到達範囲テーブル224Eを参照して送信先毎に到達範囲(ホップ段数)を決定する。情報共有制御部212は、送信先毎に、共有する情報(共有機器情報)と到達範囲(ホップ段数)を含む共有情報データを生成し、送信する(ステップS210)。例えば、共有する情報が火災センサの情報の場合、アクセスポイント41宛の共有情報データは、到達範囲として「ホップ段数=5」を含み、アクセスポイント42,43宛の共有情報データは、到達範囲として「ホップ段数=8」を含む。第4実施形態のアクセスポイント40における受信・中継処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
第4実施形態のアクセスポイント20によれば、共有情報データの到達範囲を、送信先のアクセスポイント40との間のRSSIに基づいて定めているため、直接無線接続可能なアクセスポイント40との通信環境に応じて、情報を共有する範囲を制限することができる。このようにしても、共有する情報の到達範囲を適切に制限することができる。
【0079】
E.変形例:
本発明は、先述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、先述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、例えば次のような変形も可能である。
【0080】
E−1.変形例1:
上記実施形態において、アクセスポイント20は、自LAN(第1の通信ネットワークNT1)に含まれる機器30からの情報を、他のLAN(第2の通信ネットワークNT2等)と共有する構成を例示したが、共有する情報は、自LAN内の情報に限定されない。例えば、Zigbee(登録商標)やZ−Wave(登録商標)等による無線通信、USBやHDMI(登録商標)などのバス接続による有線通信によって構成されるPAN(Personal Area Network)等における情報が共有されてもよい。また、アクセスポイント20がインターネットINTを介して通信端末90等から受信した情報を、他のLAN(第2の通信ネットワークNT2)に提供する構成にしてもよい。例えば、インターネットINTを介して受信された、自然災害(竜巻、雷、台風等)の情報が、第2の通信ネットワークNT2に含まれるアクセスポイント40に送信されてももよい。このようにすると、自然災害等の情報を早急に知覚する可能性を高めることができる。
【0081】
E−2.変形例2:
上記実施形態では、情報が到達する範囲を制限する例を示したが、アクセスポイント間の直接無線接続を介して制限無く情報が転送されていく構成にしてもよい。例えば、自然災害の情報等は、制限せずより広い範囲で情報を共有することで、被害の拡大を抑制する可能性を高めることができる。
【0082】
E−3.変形例3:
上記実施形態では、到達範囲を、アクセスポイント20(発信元)からのホップ段数、距離、住所で指定する例を示したが、これに限定されない。例えば、到達範囲は、アクセスポイント20の経緯度に対して、経緯度の上下限値(例えば、±1分等)で指定されてもよい。複数種類の条件を組み合わせて指定されてもよく、例えば、距離と住所を組み合わせて、アクセスポイント20から距離○kmかつ××町内、アクセスポイント20から距離○kmまたは××町内等といったように到達範囲が指定されてもよい。また、到達範囲は、情報源からの情報に加えて、他の特定情報を加味して決定されてもよい。例えば、情報源が火災センサの場合に、予め定められたアクセスポイント20からの距離に加えて、風向き、風速等の特定情報を考慮して、方角に応じて到達範囲の距離が増減されてもよい。このようにしても、それぞれの情報に応じて適切に情報の共有範囲を制限することができる。また、上記実施形態では、情報源(センサ)毎に到達範囲が指定されているが、到達範囲を情報源毎に分けなくてもよい。すなわち、全ての情報源について同一の到達範囲内に共有機器情報が転送されてもよい。
【0083】
E−4.変形例4:
上記実施形態において、共有する機器情報として、防犯センサ、火災センサ、雨センサによる検知情報を例示したが、これらに限定されず、適宜、共有する情報が設定されてよい。例えば、アクセスポイント20が第1の通信ネットワークNT1に含まれる複数の機器30における使用電力量を集計し、使用電力量を共有してもよく、使用水道料、使用ガス量等を共有してもよい。このようにすると、ピークシフト、省エネ意識の向上に資することができる。また、例えば、人感センサ、離床センサ等からの検知情報を共有してもよい。人感センサや離床センサの情報を、近隣で共有することにより、例えば、徘徊する認知症の高齢者等の保護の早期化を図ることができる。また、ペット、農作物、家畜等の状態をセンサにより監視し、その監視情報を近隣で共有することにより、相互支援を可能にすることもできる。センサの方式は、赤外線、超音波、可視光、温度、静電容量等、種々の方式のセンサを利用することができる。
【0084】
E−5.変形例5:
上記実施形態において、さらに、共有情報データを受信したアクセスポイントにおいて、受信した情報を利用するか否かを判断する工程を備えてもよい。予め、利用する情報と利用しない情報をユーザが設定し、利用しないと設定された情報を受信した場合には、中継はするものの、報知はしなくてもよい。例えば、日中在宅者がない家庭の第2の通信ネットワークNT2において、雨センサの情報は利用しないという設定を行うことができる。このようにすることにより、自身が必要な情報のみを利用することができる。また、例えば、ホップ段数に基づいて、利用の要否を決定する構成にしてもよい。例えば、発信元で設定されたホップ段数と、受信時のホップ段数とに基づいて、発信元が遠くて利用する必要がないと判断した場合には、利用しなくてもよい。
【0085】
E−6.変形例6:
上記実施形態において、無線接続装置として、アクセスポイントを例示したが、アクセスポイントに限定されず、他のLANに含まれる特定の他の機器と、直接無線接続が可能な無線接続装置であればよい。例えば、メッシュ機能を有するルーター、通信端末(コンピュータ)等であってもよい。
【0086】
E−7.変形例7:
上記実施形態における無線接続装置としてのアクセスポイント20、41、42、43、51、52、53および60は、内部電源を備える移動可能な無線接続装置であっても良い。たとえば、内部電源としてバッテリを備え、バッテリからの給電によって無線通信を行うモバイル端末の特定機能として実現されても良い。モバイル端末としては、スマートフォン、モバイルルータといった無線データの送受信が可能な端末が含まれる。これらのモバイル端末は、移動体に搭載され現在位置を動的に変更して共有情報を生成・送信、あるいは送信された共有情報を受信・中継することができると共に、移動体が停止している場合には、停止位置にて共有情報の生成・送信、あるいは送信された共有情報を受信・中継を行うことができる。移動体としては、地上を移動する自転車、自動二輪、自動車といった地上移動体、気球、ヘリコプター、無人機(ドローン)といった空中移動体が含まれる。空中移動体にアクセスポイント機能を持たせることによって共有情報をホップしたり、地上移動体が共有情報送信時におけるホップに含ませることができる。なお、移動体とモバイル端末とは別体であっても良く、モバイル端末機能が移動体に組み込まれ一体、すなわち、通信機能を有する移動体、とされていても良い。
【0087】
無線接続装置が移動可能であることによって、たとえば、移動先における気候情報、交通情報、大気情報等を取得し共有情報を生成することが可能となる。また、無線接続装置が存在しない領域に無線接続装置を配置して一時的なアクセスポイントを実現し、意図しない途切れのない共有情報の送信、中継を実現することができる。
【0088】
変形例7における移動可能な無線接続装置が用いられる場合、無線接続装置の現在位置に応じて、共有情報の送信を行わなかったり、共有情報の受信・中継を行わないようにしても良い。たとえば、移動可能な無線接続装置の現在位置が機密情報の確保が必要な予め定められた特定位置に含まれる場合、そのような現在位置において収集された情報に基づき生成された共有情報の送信や、そのような現在位置における生成された共有情報の受信・中継は行われるべきでないことがある。特定位置としては、たとえば、各国公館といった建造物や、たとえば国防施設といった地域・領域の位置に隣接または範囲に含まれる場合、そのような現在位置において収集された情報に基づき生成された共有情報の送信や、そのような現在位置において生成された共有情報の受信・中継は行われるべきでないことがある。これら建造物および地域の位置情報は地図データベースを利用して、その経度緯度情報によって特定することが可能であり、移動可能な無線接続装置は、たとえばGPS信号を介して、あるいは、無線基地局、無線アクセスポイントからの電波を利用する三角測量により、もしくは、無線基地局、無線アクセスポイントの位置情報を利用して、特定した自身の現在位置が予め定められた特定位置に含まれるか否かを判断することができる。
【0089】
図12および
図13を参照して、変形例7におけるアクセスポイント20における送信処理、および受信・中継処理について説明する。
図12は変形例7に係るアクセスポイントの現在位置に応じて送信処理を行うか否かの判別処理ステップが加えられた
図5のフローチャートの一部を示すフローチャートである。
図13は変形例7に係るアクセスポイントの現在位置に応じて受信・中継処理を行うか否かの判別処理ステップが加えられた
図6のフローチャートの一部を示すフローチャートである。
【0090】
図12の説明に際しては、各種情報源のうち、防犯センサ32からデータを受信する場合について例示的に説明するが、火災センサ34、エアコンといった他の情報源からのデータを受信する場合にも同様である。
図12における、防犯センサ32からの情報は共有対象の情報であるとの判別の後(ステップS206:YES)、情報共有制御部212は、アクセスポイント20の現在位置は予め定められた特定位置に含まれるか否かを判別する(ステップS207)。情報共有制御部212は、アクセスポイント20の現在位置が予め定められた特定位置に含まれると判断すると(ステップS207:YES)、ステップS202に移行して各センサからのデータの入力を待機する。情報共有制御部212は、アクセスポイント20の現在位置が予め定められた特定位置に含まれないと判断すると(ステップS207:NO)、到達範囲テーブル224Aを参照して、防犯センサに対応するホップ段数を抽出する(ステップS208)。ステップS207以外のステップにおける詳細な説明は
図5を用いて説明済みであるから省略する。なお、
図12のフローチャートでは共有対象の情報であるとの判断(ステップS206:YES)の後に、特定位置に含まれるか否かを判断しているが(ステップS207)、共有対象の情報であるか否かにかかわらず(ステップS206の判断を行うことなく)、特定位置に含まれるか否かを判断し、特定位置に含まれない場合に(ステップS207:NO)送信処理を行ってもよく、特定位置に含まれる場合に(ステップS207:YES)送信処理を行わなくてもよい。
【0091】
図13の説明に際しては、
図12の説明を受けて防犯センサ32からのデータ受信に基づく共有情報を用いる例について説明するが、火災センサ34、エアコン36等からのデータに基づく共有情報を用いる場合についても同様である。
図13において、アクセスポイント41の情報共有制御部412が、Idle状態において、アクセスポイント20から上述の共有情報データを受信すると(ステップS302)、情報共有制御部412は、アクセスポイント41の現在位置は予め定められた特定位置に含まれるか否かを判別する(ステップS303)。情報共有制御部412は、アクセスポイント41の現在位置が予め定められた特定位置に含まれると判断すると(ステップS303:YES)、受信した共有情報データを破棄して(ステップS310)、Idle状態に戻る(ステップS302)。情報共有制御部412は、アクセスポイント41の現在位置が予め定められた特定位置に含まれないと判断すると(ステップS303:NO)、ステップS304に移行する。ステップS303以外のステップにおける詳細な説明は
図6を用いて説明済みであるから省略する。また、この処理は、他のアクセスポイントから共有情報を受信し、更に他のアクセスポイントに対して共有情報を中継するアクセスポイントにおいて実行され得る処理であり、アクセスポイント41以外のアクセスポイント42、43、51〜53および60においても同様の処理が実行され得る。
【0092】
なお、
図13のフローチャートでは特定位置に含まれないことの判断(S303:NO)の後に、ホップ段数が0でない場合(S304:NO)に中継処理を行っているが、ホップ段数が0であるか否かにかかわらず(ステップS304の判断を行うことなく)、特定位置に含まれるか否かを判断し、特定位置に含まれない場合に(ステップS303:NO)中継処理を行ってもよく、特定位置に含まれる場合に(ステップS303:YES)中継処理を行わなくてもよい。すなわち、アクセスポイント41の情報共有制御部412は、受信した共有情報を修正することなく、中継処理(ステップS306)を実行しても良い。アクセスポイント41が移動可能なアクセスポイントの場合、その存在を予め想定することができず、アクセスポイント41においてホップ段数を減じることによって所期のホップ段数を実現することができなくなる可能性がある。そこで、アクセスポイント41が移動可能なアクセスポイントである場合には、ホップ段数を減らす処理、すなわち、共有情報の修正処理を実行することなく中継処理を行っても良い。