特許第6572648号(P6572648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572648
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】粒状樹脂検査装置ならびに検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20190902BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20190902BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G01N21/85 A
   G01N21/88 K
   G01N21/64 Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-135890(P2015-135890)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-20790(P2017-20790A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹本 恭也
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 真治
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−272352(JP,A)
【文献】 特開平08−136467(JP,A)
【文献】 特開昭54−009990(JP,A)
【文献】 特開2005−291869(JP,A)
【文献】 特開平08−164521(JP,A)
【文献】 特開2005−083775(JP,A)
【文献】 特開2010−132798(JP,A)
【文献】 特開平08−094613(JP,A)
【文献】 特表2002−541443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0053589(US,A1)
【文献】 特表2001−524671(JP,A)
【文献】 米国特許第06433293(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状樹脂の酸化劣化あるいは熱分解が進行した欠陥を検査する装置において、粒状樹脂を平面状に配置する整列手段と、前記粒状樹脂に紫外光域を含む光線を照射する照明手段と、前記粒状樹脂からの蛍光および反射光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が取得した撮像画像を処理する画像処理手段と、を備え
前記画像処理手段が、撮像画像から粒状樹脂の一つ一つを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された画像Bから粒状樹脂の良否判定の妨げとなる外周部を除去する外周除去手段と、外周部除去された画像Aから輝度の高い部分を欠陥として判定する判定手段を備えることを特徴とする粒状樹脂検査装置。
【請求項2】
撮像手段は、単一の受光感度を有する受光素子からなる受光素子群を備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項3】
撮像手段は、受光感度の異なる2種以上の受光素子からなる受光素子群を備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項4】
撮像手段は、少なくとも可視光域の一部、または全部に受光感度を有する受光素子からなる受光素子群を備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項5】
撮像手段は、異なる波長領域毎に分離して通過させる、または、特定の波長領域を選択的に通過させる波長分離手段を備え、粒状樹脂からの蛍光および反射光が前記波長分離手段を通過した光を撮像することを特徴とする請求項2または4に記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項6】
樹脂がポリアミドであり、撮像手段が、最大受光感度が400〜620nmの波長領域である受光素子を含む受光素子群を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項7】
整列手段は、粒状樹脂をあらかじめ設定された位置に配置することを特徴とする請求項1に記載の粒状樹脂検査装置。
【請求項8】
粒状樹脂の酸化劣化あるいは熱分解が進行した欠陥を検査するに際して、粒状樹脂を平面状に配置して紫外光域を含む光線を照射し、前記粒状樹脂をからの蛍光および反射光を撮像し、取得した撮像画像を画像処理し、輝度の高い部分を欠陥として判定することを特徴とする粒状樹脂検査方法。
【請求項9】
前記粒状樹脂からの特定波長領域の蛍光および反射光を撮像することを特徴とする請求項に記載の粒状樹脂検査方法。
【請求項10】
樹脂がポリアミドであり、特定波長領域が400〜620nmであることを特徴とする請求項に記載の粒状樹脂検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維や樹脂成形品などの原材料となる粒状樹脂の欠陥検査に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂を用いた繊維や樹脂成形品などは強靭性、耐疲労性などに優れているため、各種の産業資材用途に広く用いられている。これらのポリアミド樹脂やそれよりなる物品は比較的酸化劣化されやすく、とくに高温において酸素と接触するような場合には著しく酸化劣化され、重合度の低下や諸物性の低下を引き起こすことが知られている。
【0003】
たとえば、ポリアミド樹脂の一部に蛍光発色傾向を有する劣化した物質が含まれていると、紫外光下では白色を呈する傾向があることから、ポリアミド樹脂製の糸を巻き取ったチーズを紫外光下に置き、蛍光発色があるかどうか目視で調べることが行われていた(特許文献1)。
【0004】
また、ポリアミド樹脂成形品は、光学的な性質が熱分解によって変化し、蛍光反応を示すようになると考えられていることから、表面に紫外光を照射し、その部分で蛍光を発するかどうかを検査者が紫外線フィルタを透過して観察し、白く浮き出たように見える部分があると熱分解が進行している、と判断していた(特許文献2)。
【0005】
また、成形前の透明または半透明の粒状樹脂の欠陥検査では、着色異物が含まれているかどうかについて、通常の照明に加えて紫外光を照射し、目視によらず、撮像した画像により検査することが提案されていた(特許文献3)。この方法によれば、外部から通常の照明光を当てた場合のように端部に影を生じることがなく、影を欠陥部分(着色異物)と見誤ることがないので、ソフトウェア的な影の除去も必要ではなく、確実に被検査物に含まれる着色部分のみを検出できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−325382号公報
【特許文献2】特開平8−62144号公報
【特許文献3】特開2001−272352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1はポリアミド樹脂を糸にした後に劣化物があるかどうかを検査するものであり、また特許文献2はポリアミド樹脂を成形した後に熱分解した箇所があるかどうかを検査するものであり、いずれも作業者が目視で検査を行っていた。また、特許文献3は成形前の粒状樹脂に着色異物が含まれているかどうかを検査するというもので、透明または半透明の粒状樹脂を撮像し、黒色に見える斑点などを含む粒状樹脂を不良品と判定する。しかしながら、透明または半透明の粒状樹脂に酸化劣化あるいは熱分解が進行しているものが含まれているかを検査するものではない。
【0008】
本発明の目的は、粒状樹脂の検査において、酸化劣化あるいは熱分解が進行した欠陥が含まれているかどうかを、粒状樹脂からの蛍光発光現象を利用して自動検査できる検査装置ならびに検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の粒状樹脂検査装置は、粒状樹脂を平面状に配置する整列手段と、前記粒状樹脂に紫外光域を含む光線を照射する照明手段と、前記粒状樹脂からの蛍光および反射光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が取得した撮像画像を処理する画像処理手段と、を備え
前記画像処理手段が、撮像画像から粒状樹脂の一つ一つを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された画像Bから粒状樹脂の良否判定の妨げとなる外周部を除去する外周除去手段と、外周部除去された画像Aから輝度の高い部分を欠陥として判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の粒状樹脂検査装置において、撮像手段が以下の(1)から(3)のいずれかのように構成されているとよい。
(1)単一の受光感度を有する受光素子からなる受光素子群を備える
(2)受光感度の異なる2種以上の受光素子からなる受光素子群を備える
(3)可視光域の一部、または全部に受光感度を有する受光素子からなる受光素子群を備える
上記の(1)あるいは(3)において、撮像手段は、異なる波長領域毎に分離して通過させる、または、特定の波長領域を選択的に通過させる波長分離手段を備え、粒状樹脂からの蛍光および反射光が前記波長分離手段を通過した光を撮像することが望ましい。
【0011】
上記の(1)、(2)、および(3)において、樹脂がポリアミドであり、少なくとも1種の受光素子からなる受光素子群の最大受光感度が、蛍光の波長範囲が含まれる400〜620nmの範囲であると好適である。
【0012】
本発明の粒状樹脂検査装置において、画像処理手段は、撮像画像から粒状樹脂の一つ一つを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された画像Bから粒状樹脂の良否判定の妨げとなる外周部を除去する外周除去手段と、外周除去された画像Aから粒状樹脂の良否を判定する判定手段とを備えるとよい。判定手段では、前記画像Aの輝度情報と、前記画像Aに対して2値化処理を行った後の面積情報と、の2つの情報を用いて、前記粒状樹脂の良否を判定する。
【0013】
ここで、整列手段が、前記粒状樹脂をあらかじめ設定された位置に配置するようすることで、前記の抽出処理手段を不要とすることもできる。
【0014】
また、本発明の粒状樹脂検査方法は、粒状樹脂を平面状に配置して紫外光域を含む光線を照射し、前記粒状樹脂らの蛍光および反射光を撮像し、取得した撮像画像を画像処理することを特徴とする。
【0015】
ここで、粒状ポリアミド樹脂からの特定波長領域、好ましくは400〜620nmの範囲の蛍光および反射光を撮像するとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の粒状樹脂検査装置ならびに粒状樹脂検査方法によれば、平面状に配置した粒状樹脂に紫外光域を含む光線を照射し、粒状樹脂からの蛍光および反射光を撮像し、撮像画像を画像処理することで、粒状樹脂に酸化劣化あるいは熱分解が進行しているものが含まれているかどうかを精度よく検査することができる。したがって、粒状樹脂の品質の定量化実現や欠陥品見逃し防止という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の粒状樹脂検査装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る画像処理フローの一例を示す図である。
図3】本発明に係る粒状樹脂の配置状態の一例を示す図である。
図4】本発明に係る粒状樹脂撮像画像と粒状樹脂の外周部を示す図である。
図5】本発明に係る粒状樹脂撮像画像から粒状樹脂の外周部のみ抽出した画像を示す図である。
図6】本発明に係る粒状樹脂撮像画像から各粒状樹脂の外周部を除去した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明の粒状樹脂検査装置の一例を模式的に示した概略図である。本発明の検査装置1は、被検査物である数ミリメートル程度の大きさの粒状樹脂2を平面状に配置する整列装置(図示しない)と、被検査物に紫外光を含む光線3aを照射する光源3と、粒状樹脂2からの蛍光および反射光2aを撮像する撮像装置4と、撮像装置4が撮像した撮像画像を画像処理する画像処理装置5とで構成されている。熱や酸化などで劣化した透明または半透明の粒状樹脂2は紫外光を含む光線3aを受けると、蛍光を発する性質がある。したがって、粒状樹脂2が熱や酸化などで劣化している場合、粒状樹脂2からの2aは蛍光および反射光を含んだ光となり、劣化の度合いが大きいと粒状樹脂2からの2aは強くなる。蛍光発光を含む2aを撮像することで、粒状樹脂2を検査することができる。
【0020】
平面状に配置された粒状樹脂2がたとえばコンベアのような搬送装置6で連続的あるいは間欠的に順次搬送され、撮像部に搬送された粒状樹脂2に光源3から紫外光を含む光線3aを照射する。粒状樹脂2からの蛍光および反射光2aをラインセンサカメラあるいはエリアセンサカメラのような撮像装置4で撮像する。画像処理装置5は、撮像装置4で得られた画像を処理することで、良否判定を行なう。
【0021】
粒状樹脂2は、必ず1列に整列させて配置する必要はなく、たとえば広範囲に分散した状態で平面状に配置してもよい。分散して配置された粒状樹脂2の一部がたとえば重なり合う、あるいは、いくつかの粒状樹脂2が直立して配置されると、それらの粒状樹脂2は平面状に配置されている他の粒状樹脂2よりも光源3との距離が近くなる。光源3との距離が近くなるとそれらの粒状樹脂2表面の照度は平面状に配置されている他の粒状樹脂2よりも高くなり、反射光が強くなり光2aは強くなる。したがって、一部が重なり合う、あるいは、直立して配置された粒状樹脂2は、たとえそれらの粒状樹脂2が蛍光を発していなくても、平面状に配置されている他の粒状樹脂2より高い階調値で画像化されることになる。これらの現象はのちの良否判定の正確性を損なう可能性があるため、粒状樹脂2を平面状に配置することで、各粒状樹脂2の表面が同程度の高さとなるようにし、各粒状樹脂2の表面と光源3との距離をできるだけ一定となるようにする。
【0022】
光源3は粒状樹脂2に紫外線光を含む光線3aを照射し、粒状樹脂2の蛍光発光を促す。光源3は、たとえば紫外線LED光源や紫外線ランプあるいは紫外線光源BOXとライトガイドの組み合わせなど、紫外光を含む光線3aを照射可能であれば光源の種類は限定しない。
【0023】
光線3aは、配置された粒状樹脂2に対して均一に照射可能であれば、リング型、スポット照射型、四角型、ライン照射型などいかなる形状のものから照射されていてもよい。また、各撮像毎の再現性を得るために、光線3aの照度は一定の値にしておくことが好適である。
【0024】
撮像装置4は、備えている受光素子群で、粒状樹脂2からの蛍光および反射光2aを受光し、粒状樹脂2の撮像を行う。撮像装置4に備える受光素子群は、たとえば(1)モノクロカメラのように単一の受光感度を有する受光素子からなるもの、あるいは(3)可視光域の一部、または全部に受光感度を有する受光素子からなるものを用いてもよいし、(2)カラーカメラのような受光感度の異なる複数の受光素子からなるものを用いてもよい。
【0025】
また、粒状樹脂2からの蛍光および反射光2aを、光学フィルタなどを用いて特定の波長領域を選択的に通過させる、あるいはプリズムのように異なる波長領域毎に分離して通過させるなどの波長分離手段を用いて、任意の波長成分の光を、単一の受光感度、あるいは可視光域の一部、または全部に受光感度を有する受光素子からなる受光素子群、もしくは受光感度の異なる複数の受光素子からなる受光素子群を備える撮像装置4で撮像してもよい。また、ポリアミド樹脂が発する光の波長範囲は青〜緑の範囲に含まれるため、いずれの撮像形態においても、最大受光感度が400〜620nmの波長範囲である受光素子を含むことが好適である。
【0026】
図2に画像処理フローの一例を示す。撮像装置4で取得した粒状樹脂2の画像は、画像処理装置5において図2に示すフローで処理される。画像処理フローの詳細については、後述する。画像処理装置5は、専用の画像処理ソフトウェアを備えたPC、あるいは画像処理用のハードウェアなどを用いてもよいし、代わって撮像装置4にCPUが備わり撮像と画像処理が一体化して行えるものを用いてもよい。
【0027】
図3は粒状樹脂2の配置状態の一例である。粒状樹脂2の配置と整列は、図3のように、粒状樹脂2を並べる樹脂配置箇所7(たとえばトレーやコンベアなど)の決められた位置に毎回確実に粒状樹脂2を整列させ、各粒状樹脂2の存在している場所(たとえば粒状樹脂2の重心座標など)をあらかじめ決定しておく。粒状樹脂2の存在している場所をあらかじめ決定しておくことで、蛍光を検査する範囲(画像処理する範囲)を固定して良否判定ができるため、後述する画像処理装置5における外周部除去処理や粒状樹脂2の一つ一つを抽出する処理が不要となる。
【0028】
図4図6は粒状樹脂2の外周部2bを除去する際の画像の状態を示している。粒状樹脂2に光線3aを照射し撮像すると、粒状樹脂2は蛍光発光の有無にかかわらず、図4のように外周部2bが明るく見える場合がある。これは粒状樹脂2の外周部2bの形状が中心部に比べ極端な曲面形状で、かつ各粒状樹脂2によってその形状が微妙に異なり、粒状樹脂2の外周部2bの形状によっては中心部よりも外周部2bの反射光のほうが強くなるためである。この明るく見える外周部2bを検査の対象に含めると、蛍光を発していない場合でも誤って蛍光を有する粒状樹脂2として検出される場合があり、粒状樹脂2の良否判定する際のノイズ要因となりえるので、図2のS1とS2の処理により画像上の粒状樹脂2の外周部2bを除去する。
【0029】
前述の図3の実施形態においては、画像上の粒状樹脂2の一つ一つを抽出し、各粒状樹脂2の外周部2bを除去する工程は不要であるが、決められた位置に毎回確実に粒状樹脂2を整列させる作業は負荷が大きく、かつ各粒状樹脂2同士が隣接しないように間隔を空けて配置する必要があるため、単位面積当たりに配置できる粒状樹脂2の数(1回の検査量)が制限される。また、作業者の負荷を減らすために、たとえばロボットアームなどを用いて粒状樹脂の整列を自動化してもよいが、この場合装置のコストが大幅に増加するという懸念もある。このため、たとえばトレーなどに粒状樹脂2を投入して手でゆする、あるいは仕切りのようなもので均すなどして決められた範囲にできるだけ多くの粒状樹脂2を広範囲に分散した状態で平面状に配置し、画像処理により画像上の粒状樹脂2の一つ一つを抽出し、各粒状樹脂2の外周部2bを除去する方法が好適である。
【0030】
また、図2のS3で粒状樹脂2の一つ一つを抽出することで、後の良否判定処理S7において、検査対象になった粒状樹脂2の個数や、蛍光を発する粒状樹脂2の個数を一個単位で計測でき、たとえば多くの粒状樹脂2群の中に混入しているたった1個の蛍光発光を有する粒状樹脂2を検出することできる。S2の外周部を除去する処理には、膨張・収縮処理や、2値化、減算処理などの組み合わせなどが、S3の粒状樹脂2の一つ一つを抽出する処理には、膨張・収縮処理や領域分割処理などが、用いられる場合が多い。粒状樹脂2の良否判定には、画像処理により画像上の各粒状樹脂2の外周部2bを除去し、粒状樹脂2の一つ一つを抽出した画像(図6)を用いることが好適である。
【0031】
画像上において蛍光を発する粒状樹脂2を構成する画素の階調値(=輝度)は、蛍光を発しない粒状樹脂2の輝度よりも高くなるので、判定手段にはS4で計測した各粒状樹脂2の輝度情報やS5やS6で2値化処理した際の白画素の残留面積などの情報を用いることができる。良否判定処理S7では、各粒状樹脂2の輝度情報を用いて判定する場合は、それらの最大輝度や最小輝度あるいは平均輝度などを判定の基準にすることができる。また、2値化処理により白画素の面積などの情報を良否判定に利用する場合は、たとえばその面積を計測しその計測値を基準に検査された粒状樹脂2群の欠陥品判定を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の粒状樹脂検査装置ならびに粒状樹脂検査方法は、ポリアミド樹脂のほかABS樹脂やPET樹脂の自動検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 粒状樹脂検査装置
2 粒状樹脂
3 光源
4 撮像装置
5 画像処理装置
6 粒状樹脂搬送装置
7 樹脂配置箇所
8 撮像画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6