特許第6572721号(P6572721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572721
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】インバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190902BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-203344(P2015-203344)
(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公開番号】特開2017-77091(P2017-77091A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 潤一
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−238651(JP,A)
【文献】 特開2003−5753(JP,A)
【文献】 特開平11−7990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05K 7/00,7/12,7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1係合部を有する配線基板と、
前記配線基板の表面上に配置される絶縁性のスペーサと、
前記スペーサの表面上に配置され、第2係合部を有する接続用導電体と、
前記接続用導電体および前記スペーサを介して、前記接続用導電体を前記配線基板に固定する固定部材とを備え、
前記スペーサは、前記配線基板の前記第1係合部と係合する基板側係合部と、前記接続用導電体の前記第2係合部と係合する導電体側係合部とを含む、インバータ装置。
【請求項2】
前記配線基板の前記第1係合部および前記スペーサの前記基板側係合部のうちの一方は、孔部または切欠きを含み、他方は、前記孔部または前記切欠きに係合する第1凸部を含む、請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記孔部または前記切欠きは、前記配線基板に設けられ、前記第1凸部は、前記スペーサに設けられており、
前記第1凸部の先端は、前記スペーサの前記第1凸部が前記配線基板の前記孔部または前記切欠きに挿入される際に、前記孔部または前記切欠きから押圧されて互いに近接する方向に移動する複数の歯部を有する櫛歯形状に形成されている、請求項2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記接続用導電体の前記第2係合部および前記スペーサの前記導電体側係合部のうちの一方は、孔部または切欠きを含み、他方は、前記孔部または前記切欠きに係合する第2凸部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記孔部または前記切欠きは、前記接続用導電体に設けられ、前記第2凸部は、前記スペーサに設けられており、
前記第2凸部は、前記接続用導電体の前記孔部または前記切欠きに挿入される円柱状の柱部と、前記柱部の側面から延びるように設けられ、前記第2凸部が挿入される方向と反対方向に広がるテーパ形状を有するリブ部とを含む、請求項4に記載のインバータ装置。
【請求項6】
前記スペーサの前記導電体側係合部は、前記接続用導電体側に突出する少なくとも1つの係合用壁部を含み、
前記接続用導電体の前記第2係合部は、前記スペーサの前記係合用壁部の壁面に沿って延びるように設けられる当接部をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項7】
前記スペーサは、前記配線基板側に設けられる平坦面状の下面と、前記接続用導電体側に設けられる平坦面状の上面とを含み、
前記配線基板の前記第1係合部は、孔部または切欠きを含み、前記スペーサの前記基板側係合部は、前記孔部または前記切欠きに係合する第1凸部を含み、
前記接続用導電体の前記第2係合部は、孔部または切欠きを含み、前記スペーサの前記導電体側係合部は、前記孔部または前記切欠きに係合する第2凸部を含み、
前記第1凸部は、前記スペーサの前記平坦面状の下面から下方に突出するように設けられているとともに、前記第2凸部は、前記スペーサの前記平坦面状の上面から上方に突出するように設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項8】
前記接続用導電体は、略L字形状に折り曲げられた部分を含む板状の金属からなるブスバーを含み、
前記ブスバーの前記第2係合部は、孔部または切欠きを含み、前記スペーサの前記導電体側係合部は、前記孔部または前記切欠きに係合する第2凸部を含み、
前記孔部または前記切欠きを含む前記第2係合部は、略L字形状に折り曲げられた部分を含む前記ブスバーの先端側に設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項9】
前記スペーサの前記基板側係合部が前記配線基板の前記第1係合部に係合されることにより、前記スペーサが、自立するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項10】
前記接続用導電体の前記第2係合部が前記スペーサの前記導電体側係合部に係合されることにより、前記接続用導電体が前記スペーサに対して仮固定されるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項11】
前記固定部材は、ねじ部材を含み、
前記スペーサの前記基板側係合部が前記配線基板の前記第1係合部に係合されるとともに、前記接続用導電体の前記第2係合部が前記スペーサの前記導電体側係合部に係合されることにより、前記ねじ部材により固定する際の前記スペーサおよび前記接続用導電体の回転方向の移動が規制されるように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項12】
前記スペーサは、前記接続用導電体側に突出し、前記スペーサの表面上に配置される前記接続用導電体が倒れるのを抑制する倒れ抑制用壁部をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インバータ装置に関し、特に、配線基板と、配線基板の表面上に配置されるスペーサと、スペーサの表面上に配置される接続用導電体とを備えるインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板と、配線基板の表面上に配置されるスペーサと、スペーサの表面上に配置される接続用導電体とを備えるインバータ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、多層プリント配線基板と、スペーサと、圧着端子とを備えるインバータ装置が開示されている。このインバータ装置では、多層プリント配線基板の表面から突出するようにボルトが設けられている。また、スペーサは、円筒形状を有しており、円筒形状のスペーサにボルトが挿入されている。また、スペーサの上方(多層プリント配線基板とは反対側)には、圧着端子が配置されている。また、圧着端子には開口部が設けられており、圧着端子の開口部にボルトが挿入されている。そして、圧着端子の上方からナットがボルトに螺合されることにより、圧着端子がスペーサを介して多層プリント配線基板に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−238651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたインバータ装置では、圧着端子の上方からナットがボルトに螺合されることにより、圧着端子が円筒形状のスペーサを介して多層プリント配線基板に固定されているため、ナット(固定部材)をボルトに螺合する際に、ナットの回転に伴って、圧着端子(接続用導電体)および円筒形状のスペーサが回転する(動く)という不都合がある。このため、作業者は、スペーサおよび圧着端子を片方の手で保持しながら、もう一方の手で固定部材(ナット)をボルトに螺合させる作業を行う必要があるので、固定部材により接続用導電体を固定する際の作業性(組立作業性)が悪いという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、固定部材により接続用導電体を配線基板に固定する際の作業性(組立作業性)を向上させることが可能なインバータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるインバータ装置は、第1係合部を有する配線基板と、配線基板の表面上に配置される絶縁性のスペーサと、スペーサの表面上に配置され、第2係合部を有する接続用導電体と、接続用導電体およびスペーサを介して、接続用導電体を配線基板に固定する固定部材とを備え、スペーサは、配線基板の第1係合部と係合する基板側係合部と、接続用導電体の第2係合部と係合する導電体側係合部とを含む。
【0008】
この発明の一の局面によるインバータ装置では、上記のように、スペーサを、配線基板の第1係合部と係合する基板側係合部と、接続用導電体の第2係合部と係合する導電体側係合部とを含むように構成する。これにより、スペーサの基板側係合部と配線基板の第1係合部とが係合することにより、スペーサの配線基板に対する相対的な移動が規制されるとともに、スペーサの導電体側係合部と接続用導電体の第2係合部とが係合することにより、接続用導電体のスペーサに対する相対的な移動が規制される。このため、接続用導電体を固定部材により配線基板に固定する際に、固定部材の動きに伴って、接続用導電体およびスペーサが動くのを抑制することができるので、作業者は、スペーサおよび接続用導電体を保持することなく片方の手だけで固定部材による固定作業を行うことができる。その結果、固定部材により接続用導電体を配線基板に固定する際の作業性(組立作業性)を向上させることができる。また、片方の手だけで固定部材による固定作業を行うことができるので、容易にロボットによる自動無人化を行うことができる。また、絶縁性のスペーサを用いることにより、スペーサが導電性を有する場合と異なり、導電性のスペーサのための絶縁距離を考慮することなく他の実装部品を絶縁性のスペーサの近傍に配置することができる。その結果、実装部品の集積率を向上させることができるので、インバータ装置を小型化することができる。
【0009】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、配線基板の第1係合部およびスペーサの基板側係合部のうちの一方は、孔部または切欠きを含み、他方は、孔部または切欠きに係合する第1凸部を含む。このように構成すれば、孔部または切欠きと、第1凸部とを係合させることにより、容易に、スペーサの配線基板に対する相対的な動きを規制することができるとともに、スペーサを配線基板に対して自立させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、孔部または切欠きは、配線基板に設けられ、第1凸部は、スペーサに設けられており、第1凸部の先端は、スペーサの第1凸部が配線基板の孔部または切欠きに挿入される際に、孔部または切欠きから押圧されて互いに近接する方向に移動する複数の歯部を有する櫛歯形状に形成されている。このように構成すれば、寸法誤差などに起因して、スペーサの第1凸部の大きさが、配線基板の孔部または切欠きの大きさよりも大きい場合でも、櫛歯形状の複数の歯部が孔部または切欠きから押圧されて互いに近接する方向に移動するので、スペーサの第1凸部を配線基板の孔部または切欠きに挿入することができる。また、押圧された第1凸部の複数の歯部が元の形状に戻ろうとする力(復元力)により、スペーサが配線基板に対して固定される力が大きくなるので、スペーサの配線基板に対する相対的な動きをより規制することができるとともに、自立したスペーサが倒れるのを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、接続用導電体の第2係合部およびスペーサの導電体側係合部のうちの一方は、孔部または切欠きを含み、他方は、孔部または切欠きに係合する第2凸部を含む。このように構成すれば、孔部または切欠きと、第2凸部とを係合させることにより、容易に、接続用導電体のスペーサに対する相対的な動きを規制することができるとともに、接続用導電体をスペーサに対して仮固定させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、孔部または切欠きは、接続用導電体に設けられ、第2凸部は、スペーサに設けられており、第2凸部は、接続用導電体の孔部または切欠きに挿入される円柱状の柱部と、柱部の側面から延びるように設けられ、第2凸部が挿入される方向と反対方向に広がるテーパ形状を有するリブ部とを含む。このように構成すれば、寸法誤差などに起因して、スペーサの第2凸部の大きさと、接続用導電体の孔部または切欠きの大きさとに差異がある場合でも、第2凸部のテーパ形状を有するリブ部のいずれかの部分に、接続用導電体の孔部または切欠きを係合(当接)させることができる。また、第2凸部のテーパ形状を有するリブ部が変形するように(押し潰されるように)、接続用導電体の孔部または切欠きにスペーサの第2凸部を挿入することによって、第2凸部が接続用導電体の孔部または切欠きに軽圧入されたような状態となる。これにより、接続用導電体がスペーサに対して固定される力が大きくなるので、接続用導電体のスペーサに対する相対的な動きをより規制することができるとともに、接続用導電体の仮固定された状態が解除されるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、スペーサの導電体側係合部は、接続用導電体側に突出する少なくとも1つの係合用壁部を含み、接続用導電体の第2係合部は、スペーサの係合用壁部の壁面に沿って延びるように設けられる当接部をさらに含む。このように構成すれば、固定部材により接続用導電体を配線基板に固定する際に、接続用導電体の当接部が、スペーサの係合用壁部に当接するので、固定部材の動きに伴って、接続用導電体およびスペーサが動くのをより効果的に抑制することができる。
【0014】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、スペーサは、配線基板側に設けられる平坦面状の下面と、接続用導電体側に設けられる平坦面状の上面とを含み、配線基板の第1係合部は、孔部または切欠きを含み、スペーサの基板側係合部は、孔部または切欠きに係合する第1凸部を含み、接続用導電体の第2係合部は、孔部または切欠きを含み、スペーサの導電体側係合部は、孔部または切欠きに係合する第2凸部を含み、第1凸部は、スペーサの平坦面状の下面から下方に突出するように設けられているとともに、第2凸部は、スペーサの平坦面状の上面から上方に突出するように設けられている。このように構成すれば、スペーサの下面が平坦面状であるので、安定した状態で、スペーサを配線基板の表面上に配置することができるとともに、スペーサの上面が平坦面状であるので、安定した状態で、接続用導電体をスペーサの表面上に配置することができる。
【0015】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、接続用導電体は、略L字形状に折り曲げられた部分を含む板状の金属からなるブスバーを含み、ブスバーの第2係合部は、孔部または切欠きを含み、スペーサの導電体側係合部は、孔部または切欠きに係合する第2凸部を含み、孔部または切欠きを含む第2係合部は、略L字形状に折り曲げられた部分を含むブスバーの先端側に設けられている。このように構成すれば、ブスバーの略L字形状に折り曲げられた部分の平坦面状の先端側が底面になる状態で、ブスバーの孔部または切欠きが、スペーサの第2凸部に係合する。これにより、安定した状態で、ブスバーをスペーサに対して仮固定することができる。
【0016】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、スペーサの基板側係合部が配線基板の第1係合部に係合されることにより、スペーサが、自立するように構成されている。このように構成すれば、スペーサが自立しているので、スペーサを配線基板に取り付けた後に、作業者がスペーサを保持する必要がない。その結果、容易に、スペーサを配線基板に取り付けた後の作業の作業性を向上させることができるとともに、容易に、ロボットによる自動無人化を行うことができる。
【0017】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、接続用導電体の第2係合部がスペーサの導電体側係合部に係合されることにより、接続用導電体がスペーサに対して仮固定されるように構成されている。このように構成すれば、接続用導電体が仮固定されているので、接続用導電体を配線基板に取り付けた後に、作業者が接続用導電体を保持する必要がない。その結果、容易に、接続用導電体を配線基板に取り付けた後の作業の作業性を向上させることができるとともに、容易に、ロボットによる自動無人化を行うことができる。
【0018】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、固定部材は、ねじ部材を含み、スペーサの基板側係合部が配線基板の第1係合部に係合されるとともに、接続用導電体の第2係合部がスペーサの導電体側係合部に係合されることにより、ねじ部材により固定する際のスペーサおよび接続用導電体の回転方向の移動が規制されるように構成されている。このように構成すれば、接続用導電体をねじ部材により配線基板に固定する際に、ねじ部材の回転方向の移動(回転)に伴って、接続用導電体およびスペーサが回転する(連れ回りする)のを、配線基板の第1係合部に係合するスペーサの基板側係合部と、接続用導電体の第2係合部に係合するスペーサの導電体側係合部とによって、抑制することができる。
【0019】
上記一の局面によるインバータ装置において、好ましくは、スペーサは、接続用導電体側に突出し、スペーサの表面上に配置される接続用導電体が倒れるのを抑制する倒れ抑制用壁部をさらに含む。このように構成すれば、接続用導電体がスペーサに仮固定されている際に、接続用導電体が倒れるのをスペーサの倒れ抑制用壁部により抑制することができるので、より安定して接続用導電体の仮固定を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、固定部材により接続用導電体を配線基板に固定する際の作業性(組立作業性)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるインバータ装置の回路図である。
図2】本発明の一実施形態によるインバータ装置の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態によるインバータ装置の冷却部の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるインバータ装置の断面図である。
図5】本発明の一実施形態によるインバータ装置のスペーサおよびブスバーの分解斜視図である。
図6】本発明の一実施形態によるインバータ装置のコンデンサ基板の上面図である。
図7】本発明の一実施形態によるインバータ装置のスペーサの斜視図(1)である。
図8】本発明の一実施形態によるインバータ装置のスペーサの斜視図(2)である。
図9】本発明の一実施形態によるスペーサをX1方向側から見た側面図である。
図10】本発明の一実施形態によるスペーサをY1方向側から見た側面図である。
図11】本発明の一実施形態によるスペーサの下面図である。
図12】本発明の一実施形態によるスペーサの上面図である。
図13】本発明の一実施形態によるコンデンサ基板の孔部、スペーサの凸部、および、ブスバーの孔部を示す図である。
図14】本発明の一実施形態によるねじ部材およびワッシャを示す図である。
図15】コンデンサ基板に、スペーサが配置された状態を示す図である。
図16】スペーサに、ブスバーが配置された状態を示す図である。
図17】ねじ部材により、ブスバーがコンデンサ基板に取り付けられた状態を示す図である。
図18】本発明の一実施形態の第1変形例によるコンデンサ基板およびブスバーを示す図である。
図19】本発明の一実施形態の第2変形例によるスペーサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1図14を参照して、本実施形態によるインバータ装置100の構成について説明する。
【0024】
(インバータ装置の回路構成)
まず、図1を参照して、インバータ装置100の回路構成について説明する。本実施形態によるインバータ装置100は、図1に示すように、コンバータ部1と、平滑コンデンサ2と、インバータ部3と、フィルタ用のコンデンサC1〜C6とを備えている。
【0025】
コンバータ部1は、6個のダイオード1aを含む。コンバータ部1および平滑コンデンサ2は、電源200から入力された交流を、直流に変換する(整流する)ように構成されている。
【0026】
インバータ部3は、6個のスイッチング素子3a〜3fを含む。スイッチング素子3a〜3fのうち、スイッチング素子3a〜3cは、上アームを構成し、スイッチング素子3d〜3fは、下アームを構成する。また、インバータ部3は、コンバータ部1および平滑コンデンサ2により整流された直流を、交流に変換して出力するように構成されている。
【0027】
フィルタ用のコンデンサは、コンバータ部1の入力側に設けられるコンデンサC1、C2およびC3と、コンバータ部1とインバータ部3との間に設けられるコンデンサC4、C5およびC6とを含む。フィルタ用のコンデンサC1〜C6は、インバータ装置100から発生するノイズを低減する機能を有する。
【0028】
(インバータ装置の構造)
図2図14を参照して、インバータ装置100の具体的な構造について説明する。
【0029】
図2に示すように、インバータ装置100は、冷却部4と、ドライブ基板5と、コンデンサ基板6と、フィルタ基板7とを含む。冷却部4と、ドライブ基板5と、コンデンサ基板6と、フィルタ基板7とは、下方(Z2方向)から上方(Z1方向)に向かってこの順で積層されている。なお、コンデンサ基板6は、特許請求の範囲の「配線基板」の一例である。
【0030】
図3に示すように、冷却部4の下面には、複数の放熱(冷却)のためのフィン41が設けられている。また、冷却部4の上面には、凸部42および43が設けられている。凸部42および43の表面上には、ドライブ基板5に配置されるスイッチング素子3a〜3fが配置される。また、冷却部4の上面には、後述するねじ部材30(図4参照)が螺合される雌ねじ44aを有するねじ穴を含む凸部44と、ねじ部材32(図4参照)が螺合される雌ねじ45aを有するねじ穴を含む凸部45とが設けられている。また、冷却部4は、放熱性に優れたアルミニウム(Al)などの金属により形成されている。また、冷却部4は、ダイカスト法により形成されている。
【0031】
図4に示すように、ドライブ基板5の下面には、インバータ部3(スイッチング素子3a〜3f)が実装されている。インバータ部3(スイッチング素子3a〜3f)は、冷却部4の凸部42および43に対応する位置に配置されている。また、ドライブ基板5には、後述するねじ部材30が挿入される孔部51、および、ねじ部材32が挿入される孔部52が設けられている。
【0032】
図2に示すように、コンデンサ基板6の上面には、コンバータ部1(ダイオード1aなど)と、平滑コンデンサ2とが実装されている。
【0033】
図2に示すように、フィルタ基板7の上面にはコンデンサC1〜C6が実装されている。
【0034】
図1に示すように、フィルタ基板7(コンデンサC5およびC6の一方電極側)は、接地されている。具体的には、図2および図4に示すように、インバータ装置100には、スペーサ10、ブスバー20、ねじ部材30が設けられている。ブスバー20の一方端(上方側)は、ねじ部材31により、フィルタ基板7に接続されている。また、ブスバー20の他方端(下方側)は、スペーサ10、コンデンサ基板6およびドライブ基板5を介して、ねじ部材30により冷却部4(凸部44の雌ねじ44a)に固定されている。これにより、フィルタ基板7が、ブスバー20およびねじ部材30を介してAlからなる冷却部4に接地されている。
【0035】
図5に示すように、コンデンサ基板6には、ねじ部材30が挿入される(貫通する)孔部61が設けられている。孔部61は、平面視において、略円形状(図6参照)を有する。ここで、本実施形態では、コンデンサ基板6には、スペーサ10の後述する凸部12および13がそれぞれ係合される(挿入される)孔部62および63が設けられている。孔部62は、平面視において、長円形状(図6参照)を有する。一方、孔部63は、平面視において、略円形状(図6参照)を有する。なお、孔部62および63は、特許請求の範囲の「第1係合部」の一例である。
【0036】
図5に示すように、スペーサ10は、コンデンサ基板6の表面上に配置されている。また、スペーサ10は、絶縁性を有する部材(たとえば樹脂)により形成されている。
【0037】
また、図7および図8に示すように、スペーサ10には、ねじ部材30が挿入される(貫通する)孔部11が設けられている。そして、本実施形態では、図7図10に示すように、スペーサ10には、コンデンサ基板6の孔部62および63にそれぞれ係合する凸部12および13が設けられている。すなわち、孔部62および63は、コンデンサ基板6に設けられ、孔部62および63に係合する凸部12および13は、スペーサ10に設けられている。なお、凸部12および13は、特許請求の範囲の「基板側係合部」および「第1凸部」の一例である。
【0038】
具体的には、スペーサ10は、コンデンサ基板6側に設けられる平坦面状の下面10a(図11参照)と、ブスバー20側に設けられる平坦面状の上面10b(図12参照)とを含む。そして、凸部12および13は、スペーサ10の平坦面状の下面10aから下方(Z2方向)に突出するように設けられている。
【0039】
また、図9および図10に示すように、スペーサ10の凸部12は、円柱形状を有する。また、円柱形状の凸部12の先端12aは、面取りされている。
【0040】
また、本実施形態では、図9に示すように、スペーサ10の凸部13の先端13aは、スペーサ10の凸部13がコンデンサ基板6の孔部63に挿入される際に、孔部63から押圧されて互いに近接する方向に移動する複数の歯部13bを有する櫛歯形状に形成されている。具体的には、凸部13の先端13aには、互いに対向する2つの歯部13bが弾性変形可能に設けられている。歯部13bは、2つの歯部13bが互いに対向する側(内側)は、平坦面状を有するとともに、外側は、曲面状に形成されている。すなわち、図11に示すように、歯部13bは、下方から見て、半円形状を有する。また、凸部13の先端13aは、面取りされている。
【0041】
また、図6に示すように、スペーサ10の凸部12の直径d1は、長円形状を有するコンデンサ基板6の孔部62の短軸方向の幅W1と略等しく、長軸方向の幅W2よりも小さい。これにより、短軸方向でスペーサ10の回転方向の位置決めをしながら、長軸方向で凸部12および13間の間隔の寸法誤差を吸収することが可能になる。また、図13に示すように、スペーサ10の凸部13の直径d2は、略円形状を有するコンデンサ基板6の孔部63の直径d3と略等しい。
【0042】
そして、本実施形態では、スペーサ10の凸部12および13が、それぞれ、コンデンサ基板6の孔部62および63に係合されることにより、スペーサ10が、自立するように構成されている。具体的には、スペーサ10の凸部12および13が、それぞれ、コンデンサ基板6の孔部62および63に挿入されて係合されることにより、スペーサ10の下面10aがコンデンサ基板6の上面6aに当接する。これにより、スペーサ10が、コンデンサ基板6に固定されることにより、スペーサ10が自立する。
【0043】
また、本実施形態では、図7および図8に示すように、スペーサ10には、ブスバー20の後述する孔部22と係合する凸部14が設けられている。凸部14は、スペーサ10の平坦面状の上面10bから上方(ブスバー20側(Z1方向))に突出するように設けられている。すなわち、孔部22は、ブスバー20に設けられ、孔部22に係合する凸部14は、スペーサ10に設けられている。なお、凸部14は、特許請求の範囲の「導電体側係合部」および「第2凸部」の一例である。
【0044】
また、本実施形態では、凸部14は、ブスバー20の後述する孔部22に挿入される円柱状の柱部14aと、柱部14aの側面から延びるように設けられ、凸部14が挿入される方向(Z1方向)と反対方向(Z2方向)に広がる(凸部14の先端側(Z1方向)に向かって先細る)テーパ形状を有するリブ部14bとを含む。リブ部14bは、平面視において、柱部14aに略90度間隔(図12参照)で、4個設けられている。また、リブ部14bの先端14c(Z1方向側)は、面取りされている。
【0045】
また、本実施形態では、スペーサ10には、ブスバー20側に突出する少なくとも1つの壁部15が設けられている。そして、壁部15は、ブスバー20の、スペーサ10の壁部15の壁面15aに沿って延びるように設けられる辺部20aおよび20b(図5参照)に当接するように構成されている。具体的には、壁部15は、X方向に沿って延びるように設けられている。そして、ねじ部材30の回転に伴って、ブスバー20が回転しようとする際に、壁部15の壁面15aに、ブスバー20の辺部20aおよび20bが当接して、ブスバー20の回転が規制(抑制)される。また、壁部15のX1方向側の部分は、面取りされている。なお、壁部15は、特許請求の範囲の「係合用壁部」の一例である。また、ブスバー20の辺部20aおよび20bは、特許請求の範囲の「当接部」の一例である。
【0046】
また、本実施形態では、スペーサ10は、ブスバー20側に突出し、スペーサ10の表面上に配置されるとともにブスバー20が倒れるのを抑制する壁部16を含む。具体的には、壁部16は、Y方向に沿って延びるように設けられている。そして、スペーサ10の表面上に配置されるブスバー20が、X2方向側に倒れようとした場合、ブスバー20のX2方向側の面20c(図5参照)と、壁部16の壁面16aとが当接することにより、ブスバー20が倒れるのが抑制される。また、壁部15と壁部16とは、接続されている。また、壁部16のY1方向側は面取りされている。なお、壁部16は、特許請求の範囲の「倒れ抑制用壁部」の一例である。
【0047】
また、図7および図8に示すように、スペーサ10には、壁部15に対向するように、壁部17が設けられている。また、壁部17には、切欠き17aが設けられている。図14に示すように、切欠き17aは、ねじ部材30とともにスペーサ10の孔部11に挿入されるワッシャ30aをよけるための逃がし部として設けられている。この逃がし部としての切欠き17aの上面の高さは、スペーサ10にブスバー20が配置された場合に、ブスバー20の下方の先端部(ねじ部材30が挿入される部分)の上面と略面一(略同じ高さ)になるように設定されている。
【0048】
また、図5に示すように、ブスバー20は、スペーサ10の表面上に配置されている。ブスバー20には、ねじ部材30が挿入される切欠き21が設けられている。切欠き21は、平面視において、略U字形状を有する。なお、ブスバー20は、特許請求の範囲の「接続用導電体」の一例である。
【0049】
ここで、本実施形態では、ブスバー20は、スペーサ10の凸部14に係合する孔部22を有する。また、ブスバー20は、略L字形状に折り曲げられた部分を含む板状の金属からなる。そして、孔部22は、略L字形状に折り曲げられた部分を含むブスバー20の下方(Z2方向)の先端側に設けられている。具体的には、ブスバー20は、Z方向に延びるブスバー本体部23と、ブスバー本体部23のZ2方向側に設けられ、X1方向(水平方向)に延びるように設けられる下方側端部24と、ブスバー本体部23のZ1方向(上方向)側に設けられ、X2方向(水平方向)に延びるように設けられる上方側端部25とを含む。そして、孔部22は、下方側端部24に設けられている。また、ねじ部材30が挿入される切欠き21も、下方側端部24に設けられている。なお、孔部22は、特許請求の範囲の「第2係合部」の一例である。
【0050】
また、ブスバー20の孔部22は、平面視において、略円形状を有する。そして、図13に示すように、孔部22の直径d4は、スペーサ10の凸部14の直径d5と略等しい。そして、本実施形態では、ブスバー20の孔部22がスペーサ10のテーパ形状のリブ部14bを有する凸部14に係合されることにより、ブスバー20がスペーサ10に対して仮固定されるように構成されている。
【0051】
また、図5に示すように、ブスバー20の上方側端部25には、後述するねじ部材31が螺合される孔部26が設けられている。
【0052】
また、図5に示すように、ねじ部材30は、ブスバー20およびスペーサ10を介して、ブスバー20をコンデンサ基板6に固定するように構成されている。具体的には、ねじ部材30は、ブスバー20の切欠き21、スペーサ10の孔部11、コンデンサ基板6の孔部61、および、ドライブ基板5の孔部51(図4参照)を介して、冷却部4の凸部44(図3参照)に螺合されることにより、ブスバー20がコンデンサ基板6に固定される。なお、ねじ部材30は、プラスドライバーにより螺合される一般的なねじである。これにより、ねじ部材として一般的でない六角柱状のねじなどを用いる場合と異なり、インバータ装置100を組み立てる作業者が、工具(プラスドライバー)を持ち替えることなくねじ部材30の螺合を行うことが可能になる。なお、ねじ部材30は、特許請求の範囲の「固定部材」の一例である。
【0053】
そして、本実施形態では、スペーサ10の凸部12および13がコンデンサ基板6の孔部62および63に係合されるとともに、ブスバー20の孔部22がスペーサ10の凸部14に係合されることにより、ねじ部材30により固定する際のスペーサ10およびブスバー20の回転方向の移動(回転)が規制されるように構成されている。すなわち、スペーサ10の凸部12および13がコンデンサ基板6の孔部62および63に係合されるとともに、ブスバー20の孔部22がスペーサ10の凸部14に係合された状態(回転方向の移動が規制された状態)で、ねじ部材30を回転させて冷却部4の凸部44(図3参照)に螺合することにより、ブスバー20が、コンデンサ基板6に固定される。これにより、ねじ部材30により固定する際のスペーサ10およびブスバー20の回転方向の移動(回転)が規制される。
【0054】
また、図2に示すように、ブスバー20の表面上にフィルタ基板7が配置されている。そして、ねじ部材31がフィルタ基板7を介して、ブスバー20の孔部26に螺合されることにより、ブスバー20がフィルタ基板7に固定される。これにより、フィルタ基板7が、ねじ部材31、ブスバー20、ねじ部材30を介して冷却部4に導通することにより、フィルタ基板7が接地される。
【0055】
(プスバーの固定方法)
次に、図2図5、および、図15図17を参照して、ブスバー20の取り付け方法(インバータ装置100の組み立て方法)について説明する。
【0056】
まず、図5に示すように、冷却部4、ドライブ基板5およびコンデンサ基板6をこの順で積層する。
【0057】
次に、図15に示すように、コンデンサ基板6の孔部62および63に、それぞれ、スペーサ10の凸部12および13を挿入することにより、スペーサ10をコンデンサ基板6に配置する。これにより、スペーサ10は、コンデンサ基板6に対して自立する。
【0058】
次に、図16に示すように、ブスバー20の孔部22にスペーサ10の先端に向かって先細る(根元側に向かって広がる)テーパ形状のリブ部14bを有する凸部14が挿入されるように、スペーサ10の上面10bにブスバー20を配置する。これにより、リブ部14bがブスバー20の孔部22の内面に確実に当接して、ブスバー20がスペーサ10に対して仮固定される。
【0059】
次に、図17に示すように、ブスバー20の切欠き21、スペーサ10の孔部11、コンデンサ基板6の孔部61、および、ドライブ基板5の孔部51を介して、ねじ部材30を、冷却部4の凸部44の雌ねじ44aに螺合する。これにより、ブスバー20がコンデンサ基板6に固定される。
【0060】
次に、図2に示すように、ブスバー20(コンデンサ基板6)の表面上にフィルタ基板7を配置する。そして、フィルタ基板7を介して、ねじ部材31を、ブスバー20の孔部26に螺合する。これにより、ブスバー20がフィルタ基板7に固定される。この結果、フィルタ基板7がブスバー20およびスペーサ10を介してねじ部材30により冷却部4に接地される構造が組み立てられる。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態では、上記のように、スペーサ10を、コンデンサ基板6の孔部62および63と係合する凸部12および13と、ブスバー20の孔部22と係合する凸部14とを含むように構成する。これにより、スペーサ10の凸部12および13とコンデンサ基板6の孔部62および63とが係合することにより、スペーサ10のコンデンサ基板6に対する相対的な移動が規制されるとともに、スペーサ10の凸部14とブスバー20の孔部22とが係合することにより、ブスバー20のスペーサ10に対する相対的な移動が規制される。このため、ブスバー20をねじ部材30によりコンデンサ基板6に固定する際に、ねじ部材30の動きに伴って、ブスバー20およびスペーサ10が動くのを抑制することができるので、作業者は、スペーサ10およびブスバー20を保持することなく片方の手だけでねじ部材30による固定作業を行うことができる。その結果、ねじ部材30によりブスバー20をコンデンサ基板6に固定する際の作業性(組立作業性)を向上させることができる。また、片方の手だけでねじ部材30による固定作業を行うことができるので、容易にロボットによる自動無人化を行うことができる。また、絶縁性のスペーサ10を用いることにより、スペーサ10が導電性を有する場合と異なり、導電性のスペーサ10のための絶縁距離を考慮することなく他の実装部品を絶縁性のスペーサ10の近傍に配置することができる。その結果、実装部品の集積率を向上させることができるので、インバータ装置100を小型化することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、コンデンサ基板6に孔部62および63を設けるとともに、スペーサ10に凸部12および13を設ける。これにより、孔部62および63と、凸部12および13とを係合させることにより、容易に、スペーサ10のコンデンサ基板6に対する相対的な動きを規制することができるとともに、スペーサ10をコンデンサ基板6に対して自立させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10の凸部13の先端13aを、スペーサ10の凸部12および13がコンデンサ基板6の孔部63に挿入される際に、孔部63から押圧されて互いに近接する方向に移動する複数の歯部13bを有する櫛歯形状に形成する。これにより、寸法誤差などに起因して、スペーサ10の凸部13の大きさが、コンデンサ基板6の孔部63の大きさよりも大きい場合でも、櫛歯形状の複数の歯部13bが孔部63から押圧されて互いに近接する方向に移動するので、スペーサ10の凸部13をコンデンサ基板6の孔部63に挿入することができる。また、押圧された凸部13の複数の歯部13bが元の形状に戻ろうとする力(復元力)により、スペーサ10がコンデンサ基板6に対して固定される力が大きくなるので、スペーサ10のコンデンサ基板6に対する相対的な動きをより規制することができるとともに、自立したスペーサ10が倒れるのを効果的に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、ブスバー20に孔部22を設けて、スペーサ10に凸部14を設ける。これにより、孔部22と、凸部14とを係合させることにより、容易に、ブスバー20のスペーサ10に対する相対的な動きを規制することができるとともに、ブスバー20をスペーサ10に対して仮固定させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10の凸部14は、ブスバー20の孔部22に挿入される円柱状の柱部14aと、柱部14aの側面から延びるように設けられ、凸部14が挿入される方向と反対方向に広がるテーパ形状を有するリブ部14bとを含む。これにより、寸法誤差などに起因して、スペーサ10の凸部14の大きさと、ブスバー20の孔部22の大きさとに差異がある場合でも、凸部14のテーパ形状を有するリブ部14bのいずれかの部分に、ブスバー20の孔部22を係合(当接)させることができる。また、凸部14のテーパ形状を有するリブ部14bが変形するように(押し潰されるように)、ブスバー20の孔部22にスペーサ10の凸部14を挿入することによって、凸部14がブスバー20の孔部22に軽圧入されたような状態となる。これにより、ブスバー20がスペーサ10に対して固定される力が大きくなるので、ブスバー20のスペーサ10に対する相対的な動きをより規制することができるとともに、ブスバー20の仮固定された状態が解除されるのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10を、ブスバー20側に突出する少なくとも1つの壁部15を含むように構成して、ブスバー20の孔部22を、スペーサ10の壁部15の壁面15aに沿って延びるように設けられる辺部20aおよび20bを含むように構成する。これにより、ねじ部材30によりブスバー20をコンデンサ基板6に固定する際に、ブスバー20の辺部20aおよび20bが、スペーサ10の壁部15に当接するので、ねじ部材30の動きに伴って、ブスバー20およびスペーサ10が動くのをより効果的に抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10の凸部12および13を、スペーサ10の平坦面状の下面10aから下方に突出するように設けるとともに、スペーサ10の凸部14を、スペーサ10の平坦面状の上面10bから上方に突出するように設ける。これにより、スペーサ10の下面10aが平坦面状であるので、安定した状態で、スペーサ10をコンデンサ基板6の表面上に配置することができるとともに、スペーサ10の上面10bが平坦面状であるので、安定した状態で、ブスバー20をスペーサ10の表面上に配置することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、ブスバー20の孔部22を、略L字形状に折り曲げられた部分を含むブスバー20の先端側に設ける。これにより、ブスバー20の略L字形状に折り曲げられた部分の平坦面状の先端側が底面になる状態で、ブスバー20の孔部22が、スペーサ10の凸部14に係合される。その結果、安定した状態で、ブスバー20をスペーサ10に対して仮固定することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10の凸部12および13がコンデンサ基板6の孔部62および63に係合されることにより、スペーサ10が、自立するように構成されている。これにより、スペーサ10が自立しているので、スペーサ10をコンデンサ基板6に取り付けた後に、作業者がスペーサ10を保持する必要がない。その結果、容易に、スペーサ10をコンデンサ基板6に取り付けた後の作業の作業性を向上させることができるとともに、容易に、ロボットによる自動無人化を行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、ブスバー20の孔部22がスペーサ10の凸部14に係合されることにより、ブスバー20がスペーサ10に対して仮固定される。これにより、ブスバー20が仮固定されているので、ブスバー20をコンデンサ基板6に取り付けた後に、作業者がブスバー20を保持する必要がない。その結果、容易に、ブスバー20をコンデンサ基板6に取り付けた後の作業の作業性を向上させることができるとともに、容易に、ロボットによる自動無人化を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10の凸部12および13がコンデンサ基板6の孔部62および63に係合されるとともに、ブスバー20の孔部22がスペーサ10の凸部14に係合されることにより、ねじ部材30により固定する際のスペーサ10およびブスバー20の回転方向の移動(回転)が規制される。これにより、ブスバー20をねじ部材30によりコンデンサ基板6に固定する際に、ねじ部材30の回転方向の移動(回転)に伴って、ブスバー20およびスペーサ10が回転する(連れ回りする)のを、コンデンサ基板6の孔部62および63に係合するスペーサ10の凸部12および13と、ブスバー20の孔部22に係合するスペーサ10の凸部14とによって、抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、スペーサ10を、ブスバー20側に突出し、スペーサ10の表面上に配置されるブスバー20が倒れるのを抑制する壁部16を含むように構成する。これにより、ブスバー20がスペーサ10に仮固定されている際に、ブスバー20が倒れるのをスペーサ10の壁部16により抑制することができるので、より安定してブスバー20の仮固定を行うことができる。
【0074】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0075】
たとえば、上記実施形態では、コンデンサ基板6に孔部62および63が設けられ、ブスバー20に、孔部22が設けられ、スペーサ10に凸部12、13および14が設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コンデンサ基板およびブスバーに凸部を設けるとともに、スペーサに孔部(または切欠き)を設けてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、コンデンサ基板6に孔部62および63が設けられ、ブスバー20に、孔部22が設けられている例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18に示す第1変形例によるインバータ装置110のように、コンデンサ基板111に、スペーサ10の凸部12および13にそれぞれ係合する切欠き112および113を設けるとともに、ブスバー120に、スペーサ10の凸部14に係合する切欠き121を設けてもよい。なお、切欠き112および113は、特許請求の範囲の「第1係合部」の一例である。また、切欠き121は、特許請求の範囲の「第2係合部」の一例である。
【0077】
また、上記実施形態では、スペーサ10の下面10aに、円柱形状の凸部12と、櫛歯形状の凸部13とが設けられている例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサの下面に設けられる2つの凸部が共に円柱形状であってもよいし、共に、櫛歯形状であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、スペーサ10の下面10aに2つの凸部12および13が設けられている例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサの下面に1つの凸部、または、3つ以上の凸部を設けてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、スペーサ10の上面10bに設けられる凸部14が、柱部14aとリブ部14bとを含む例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサの上面に設けられる凸部が、円柱形状(リブ部を含まない円柱形状)であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、スペーサ10に、ブスバー20の辺部20aおよび20bに当接する1つの壁部15が設けられている例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサ10にブスバー20に当接する2つ以上の壁部を設けてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、スペーサ10に設けられているブスバー20が倒れるのを抑制する壁部16のY1方向側が面取りされている示をしたが、本発明はこれに限られない。たとえば、図19に示す第2変形例によるインバータ装置130のスペーサ140のように、ブスバー20が倒れるのを抑制する壁部141が面取りされずに略矩形形状を有していてもよい。なお、壁部141は、特許請求の範囲の「倒れ抑制用壁部」の一例である。
【0082】
また、上記実施形態では、スペーサ10の上面10bに凸部14、および、壁部15(16)の両方を設けて、ねじ部材30により固定する際のブスバー20の回転方向の移動(回転)を規制する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサ10の上面10bに凸部14、または、壁部15(16)のうちの一方を設けて、ねじ部材30により固定する際のブスバー20の回転方向の移動(回転)を規制してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、フィルタ基板7を、ブスバー20を介して冷却部4に接地する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、フィルタ基板7を、ブスバー20以外の接続用導電体を介して冷却部4に接地してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、フィルタ基板7を、金属製(アルミニウム製)の冷却部4に接地する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、フィルタ基板7を冷却部4以外の部分に接地してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、スペーサ10およびブスバー20がコンデンサ基板6に配置される例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スペーサ10およびブスバー20を、コンデンサ基板6以外の基板に配置してもよい。
【符号の説明】
【0086】
6、111 コンデンサ基板(配線基板)
10、140 スペーサ
10a 下面
10b 上面
12 凸部(基板側係合部、第1凸部)
13 凸部(基板側係合部、第1凸部)
13a 先端
13b 歯部
14 凸部(導電体側係合部、第2凸部)
14a 柱部
14b リブ部
15 壁部(係合用壁部)
15a 壁面
16、141 壁部(倒れ抑制用壁部)
20 ブスバー(接続用導電体)
20a、20b 辺部(当接部)
20c 面(当接部)
22 孔部(第2係合部)
30 ねじ部材(固定部材)
62、63 孔部(第1係合部)
100、110、130 インバータ装置
112、113 切欠き(第1係合部)
121 切欠き(第2係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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