特許第6572733号(P6572733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572733
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】キャスタ付家具、及びキャスタ
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20190902BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B60B33/00 U
   B60B33/00 501D
   A47B91/06
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-213602(P2015-213602)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-81474(P2017-81474A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】松岡 純
(72)【発明者】
【氏名】新谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】天野 高光
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096327(JP,A)
【文献】 特開平10−193907(JP,A)
【文献】 実開平06−052568(JP,U)
【文献】 実開昭63−069603(JP,U)
【文献】 特開2002−085178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0239291(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102007039208(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00−33/08
A47B 91/06−91/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体の底部にキャスタを設けたキャスタ付家具であって、
前記キャスタが、前記家具本体に取り付けられた支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で作動する作動子を有したロック部と、このロック部の作動子を作動させて前記ロック部をロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部とを備えてなり、
前記操作部が、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子を作動させるプッシュボタンと、このプッシュボタンに一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持する選択保持機構とを備えたものであるキャスタ付家具。
【請求項2】
前記家具本体が、前後方向に延びた脚ベースを備えたものであり、
前記キャスタが、前記脚ベースの使用端側に設けられたものであり、
前記プッシュボタンが、前記脚ベースの使用端近傍に配されたものである請求項1記載のキャスタ付家具。
【請求項3】
前記脚ベースが、使用端に窓を有する下方に開放されたチャンネル状のものであり、
前記プッシュボタンが、前記窓に突没可能に配されたものである請求項2記載のキャスタ付家具。
【請求項4】
前記キャスタ本体が、天壁の下面に円筒体状をなす周壁が垂設された支持体と、この支持体内に水平旋回可能に収容されたターンベースと、このターンベースの旋回軸心から偏位した部位に水平軸を介して軸支されたローラーとを備えたものであり、
前記ロック部が、前記支持体に保持され前記プッシュボタンに対する操作に応じて前記ロック位置と前記非ロック位置との間で進退動作を行う作動子と、前記ターンベース内に昇降可能に保持されたロック体と、前記作動子の進退動作を前記ロック体の昇降動作に変換するカム機構とを備えてなり、前記作動子がロック位置と非ロック位置との間で進退するのに伴って、前記ロック体が前記ローラーの回転及び前記ターンベースのターン動作を禁止する係合位置と前記ローラーの回転及び前記ターンベースのターン動作を許容する非係合位置との間で作動し得るように設定されている請求項1、2又は3記載のキャスタ付家具。
【請求項5】
前記カム機構が、前記作動子の下面に設けられたカム溝と、前記ロック体に設けられ先端部が前記ターンベース及び支持体の前記天壁を貫通して前記カム溝に係わり合うカムフォロアとを備えたものである請求項4記載のキャスタ付家具。
【請求項6】
前記ロック体が、上面に前記カムフォロアを有した基部と、この基部に設けられ前記係合位置において前記ローラーに設けられた係合凹部に係合するロールロック爪と、前記基部に設けられ前記係合位置において前記支持体に設けられた係合凹部に係合するターンロック爪とを備えたものである請求項4又は5記載のキャスタ付家具。
【請求項7】
前記作動子が前記支持体に保持されて水平方向に進退するものであり、
前記プッシュボタンが、前記作動子の外方端に設けられたものであり、
前記選択保持機構が、前記作動子と前記支持体との間に設けられたハートカム機構である請求項1、2、3、4、5又は6記載のキャスタ付家具。
【請求項8】
前記家具本体が、前後方向に延びた脚ベースを備えたものであって、
前記作動子が前記支持体に保持されて水平方向に進退するものであり、
前記脚ベースの使用端側に前記操作部を備えた前記キャスタが設けられているとともに前記脚ベースの反使用端側に前記脚ベースに取り付けられた支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で水平方向に作動する作動子を有したロック部を具備してなる反使用端側のキャスタが設けられており、この反使用端側のキャスタの前記作動子と前記使用端側のキャスタの作動子とを連結杆を介して連動可能に連結している請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のキャスタ付家具。
【請求項9】
前記使用端側のキャスタの作動子と、前記反使用端側のキャスタの作動子とが、一本の連結杆により直結されたものである請求項8記載のキャスタ付家具。
【請求項10】
家具に取り付けて使用されるキャスタであって、
支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で作動する作動子を有したロック部と、このロック部の作動子を作動させて前記ロック部をロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部とを備えてなり、
前記操作部が、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子を作動させるプッシュボタンと、このプッシュボタンに一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持する選択保持機構とを備えたものであるキャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用されるキャスタ付家具、及びキャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーブル等の家具として、その底部にローラーを有したキャスタを備えているものが種々知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、キャスタには、前記ローラーの回転動作及び旋回動作を禁止するためのロック部を有しているものがある。そして、従来におけるロック部を作動するための操作は、概して、ロック部に関連させて設けられた操作体を上下方向に移動させることにより行われていた。
【0004】
ところが、このような構成のものであると、例えば、使用者が直接的に視認し得る足先部分を使って操作体を操作するような場合には、当該上下方向に移動する操作体に対して的確に足先部分をアクセスさせ難いものとなり、使用者が快適に操作体を操作することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−233078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、操作性に優れたキャスタ、及び、当該キャスタを有したキャスタ付家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、家具本体の底部にキャスタを設けたキャスタ付家具であって、前記キャスタが、前記家具本体に取り付けられた支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で作動する作動子を有したロック部と、このロック部の作動子を作動させて前記ロック部をロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部とを備えてなり、前記操作部が、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子を作動させるプッシュボタンと、このプッシュボタンに一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持する選択保持機構とを備えたものであるキャスタ付家具である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記家具本体が、前後方向に延びた脚ベースを備えたものであり、前記キャスタが、前記脚ベースの使用端側に設けられたものであり、前記プッシュボタンが、前記脚ベースの使用端近傍に配されたものである請求項1記載のキャスタ付家具である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記脚ベースが、使用端に窓を有する下方に開放されたチャンネル状のものであり、前記プッシュボタンが、前記窓に突没可能に配されたものである請求項2記載のキャスタ付家具である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記キャスタ本体が、天壁の下面に円筒体状をなす周壁が垂設された支持体と、この支持体内に水平旋回可能に収容されたターンベースと、このターンベースの旋回軸心から偏位した部位に水平軸を介して軸支されたローラーとを備えたものであり、前記ロック部が、前記支持体に保持され前記プッシュボタンに対する操作に応じて前記ロック位置と前記非ロック位置との間で進退動作を行う作動子と、前記ターンベース内に昇降可能に保持されたロック体と、前記作動子の進退動作を前記ロック体の昇降動作に変換するカム機構とを備えてなり、前記作動子がロック位置と非ロック位置との間で進退するのに伴って、前記ロック体が前記ローラーの回転及び前記ターンベースのターン動作を禁止する係合位置と前記ローラーの回転及び前記ターンベースのターン動作を許容する非係合位置との間で作動し得るように設定されている請求項1、2又は3記載のキャスタ付家具である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記カム機構が、前記作動子の下面に設けられたカム溝と、前記ロック体に設けられ先端部が前記ターンベース及び支持体の前記天壁を貫通して前記カム溝に係わり合うカムフォロアとを備えたものである請求項4記載のキャスタ付家具である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記ロック体が、上面に前記カムフォロアを有した基部と、この基部に設けられ前記係合位置において前記ローラーに設けられた係合凹部に係合するロールロック爪と、前記基部に設けられ前記係合位置において前記支持体に設けられた係合凹部に係合するターンロック爪とを備えたものである請求項4又は5記載のキャスタ付家具である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記作動子が前記支持体に保持されて水平方向に進退するものであり、前記プッシュボタンが、前記作動子の外方端に設けられたものであり、前記選択保持機構が、前記作動子と前記支持体との間に設けられたハートカム機構である請求項1、2、3、4、5又は6記載のキャスタ付家具である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記家具本体が、前後方向に延びた脚ベースを備えたものであって、前記作動子が前記支持体に保持されて水平方向に進退するものであり、前記脚ベースの使用端側に前記操作部を備えた前記キャスタが設けられているとともに前記脚ベースの反使用端側に前記脚ベースに取り付けられた支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で水平方向に作動する作動子を有したロック部を具備してなる反使用端側のキャスタが設けられており、この反使用端側のキャスタの前記作動子と前記使用端側のキャスタの作動子とを連結杆を介して連動可能に連結している請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のキャスタ付家具である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記使用端側のキャスタの作動子と、前記反使用端側のキャスタの作動子とが、一本の連結杆により直結されたものである請求項8記載のキャスタ付家具である。
【0017】
請求項10に記載の発明は、家具に取り付けて使用されるキャスタであって、支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で作動する作動子を有したロック部と、このロック部の作動子を作動させて前記ロック部をロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部とを備えてなり、前記操作部が、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子を作動させるプッシュボタンと、このプッシュボタンに一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持する選択保持機構とを備えたものであるキャスタである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、操作性に優れたキャスタ、及び、当該キャスタを有したキャスタ付家具を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における斜視図。
図3】同実施形態における断面図。
図4】同実施形態における部分拡大断面図。
図5】同実施形態における分解斜視図。
図6】同実施形態における分解斜視図。
図7】同実施形態におけるハートカム機構を説明するための底面図。
図8】同実施形態におけるハートカム機構を説明するための斜視図。
図9】同実施形態における作動説明用の概略断面図。
図10】同実施形態における作動説明用の概略断面図。
図11】同実施形態における作動説明用の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜11を参照して説明する。
【0021】
この実施形態は、本発明を、キャスタ付家具であるフラップ天板付テーブルAに適用したものである。
【0022】
フラップ天板付テーブルAは、フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる家具本体たるテーブル本体Bと、このテーブル本体Bの底部に設けられた使用端側のキャスタたる第一のキャスタEと、前記テーブル本体Bの底部に設けられた反使用端側のキャスタたる第二のキャスタFとを備えてなる。
【0023】
テーブル本体Bは、天板Cの両端部を左右の脚体Dによりフラップ動作可能に支持したものであり、前記各脚体Dは前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設したものである。そして、前記テーブル本体Bの底部である前記脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを設けるとともに反使用端側に第二のキャスタFを設けている。
【0024】
脚ベースd1は、下方に開放されたチャンネル状のものであり、その使用端に前側に向かって開口した窓d11を有している。この脚ベースd1は、使用端部における両側壁d12の内面に第一のキャスタE取付用の凹陥部d13を備えているとともに反使用端部における両側壁d12の内面に第二のキャスタF取付用の凹陥部d14を備えている。
【0025】
第一のキャスタEは、前記脚ベースd1の使用端側に設けられたもので、キャスタとして機能するローラー3を有した基本構造を備えたキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを具備してなる。
【0026】
キャスタ本体Gは、前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1と、この支持体1に水平旋回可能に保持されたターンベース2と、このターンベース2の偏心位置に枢支された前記ローラー3とを備えたものである。換言すれば、キャスタ本体Gは、天壁11の下面に円筒体状をなす周壁12が垂設された支持体1と、この支持体1内に水平旋回可能に収容されたターンベース2と、このターンベース2の旋回軸心から偏位した部位に水平軸j1を介して軸支されたローラー3とを備えたものである。
【0027】
支持体1は、中心にボス部14を有した円盤状の天壁11と、この天壁11の周縁部から下方に垂下させた周壁12とを備えた逆カップ状のものであり、前記天壁11の上面には前後方向に延びる一対のレール壁15が設けられている。天壁11の下面には、前記ボス部14を囲繞する環状領域16が設定されており、この環状領域16に複数の係合凹部h1が円周方向に隣接させて形成されている。前記周壁12には、その外面側に支持体1を前記脚ベースd1に取り付けるための左右対をなす弾性爪17が一体に設けられている。すなわち、この支持体1の外径は、前記脚ベースd1における側壁d12内面間の内法寸法に略対応させてある。そして、この支持体1を前記脚ベースd1の側壁d12間に挿入すると、前記弾性爪17が前記脚ベースd1の凹陥部d13に弾性係合するとともに前記レール壁15の上端が前記脚ベースd1における天壁11の下面に当接し、支持体1が前記脚ベースd1に安定した状態で取り付けられるようになっている。また、この支持体1の周壁12外面には、上下に延びる膨出部13が形成されておりこの膨出部13に上方に開口された有底の軸保持穴18が形成されている。
【0028】
ターンベース2は、中心にボス部23を有した円盤状の天壁21と、この天壁21の周縁部から下方に垂下させた周壁22とを備えた逆カップ状のもので、前記ターンベース2におけるボス部23の軸心を前記支持体1におけるボス部14の軸心に一致させて前記支持体1内に水平旋回可能に設けられている。前記天壁21における前記ボス部23の周囲には、複数のロック爪貫通窓24が形成されている。また、前記周壁23の内側には、後述するロック体6を昇降可能に案内するための案内溝25とローラー3に貫装された水平軸j1を支持するための軸支持部26が設けられている。なお、図5及び図6においては図示していないが、このターンベース2の天壁21と前記支持体1の天壁11との間には複数のボールを介設させてなるスラストベアリングが設けられている。このターンベース2における下端の開口部には、カバー4が蓋着されるようになっている。
【0029】
ローラー3は、水平軸j1を介して前記ターンベース2に軸支されたもので、前記水平軸j1の両端は前記ターンベース2の軸支持部26に支持されている。ローラー3は、前記水平軸j1に外嵌されるハブ31と、このハブ31の外周囲に配設されたリム32と、このリム32の内周と前記ハブ31の外周とを厚み方向中央部において接続するディスク33とを備えたもので、前記ディスク33の両側における前記リム32に近接した部位には、ハブ31側に向かって開放された複数の係合凹部34が円周方向に隣接させて形成されている。
【0030】
ロック部Hは、前記キャスタ本体Gの動きをロックするためのものであり、前記支持体1に保持されプッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5と、前記ターンベース2内に昇降可能に保持されたロック体6と、前記作動子5の進退動作を前記ロック体6の昇降動作に変換するカム機構7とを備えてなり、前記作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定されている。
【0031】
作動子5は、前記支持体1の天壁11に配されたレール壁15に位置させて前記天壁11の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、外方端部にプッシュボタン取付部51を有するとともに内方端部に連結杆取付部52を備えている。プッシュボタン取付部51は、作動子5の外方端面から一体に突出した受け板55と、この受け板55に設けられたボルト挿通孔h2とを備えている。連結杆取付部52は、作動子5の内方端面から突設された角柱状の突起t2と、この突起t2に形成された雌ねじ孔h3とを備えている。この作動子5の下面には、カム溝71とカム板保持部54とが形成されている。なお、作動子5をスライド可能に支持し得る前記レール壁15の対向する内側面には前記作動子5が前記支持体1から離れるのを防止するための抜け止め突起t1が形成されている。この作動子5は、支持体1との間に配された図示しない作動子5付勢用のスプリングにより外方に弾性付勢されている。
【0032】
ロック体6は、上面にカムフォロア66を有した基部61と、この基部61に設けられ前記係合位置(K)において前記ローラー3に設けられた係合凹部34の何れかに係合するロールロック爪63と、前記基部61に設けられ前記係合位置(K)において前記支持体1に設けられた係合凹部h1の何れかに係合する側部及び端部のターンロック爪64、65とを備えたものである。
【0033】
基部61は、板状のもので下面にスプリングリテーナ67を有している。すなわち、この基部61は、前記スプリングリテーナ67に上端を係合させたコイルスプリング62により上方に弾性付勢されている。すなわち、前記カバー4の上面には前記コイルスプリング62の下端が係合するスプリングリテーナ41が形成されており、このカバー4と前記ロック体6との間にコイルスプリング62が介設されている。また、基部61におけるローラー3側の端面には、前記ローラー3の両側にまで延出したアーム68が形成されておりそのアーム68の先端内側面に前記ロールロック爪63が設けられている。
【0034】
ロールロック爪63は、前記ロック体6が非係合位置(L)に降下している状態では、前記ローラー3の係合凹部34から外れる位置に待機しており、前記ロック体6が前記コイルスプリング62の付勢力により係合位置(K)に上昇した状態では、前記ローラー3の係合凹部34のいずれかに係合し得るようになっている。
【0035】
側部のターンロック爪64は、前記基部61における両側部に設けられたものであり、前記ターンベース2の案内溝25に摺接して上下方向に案内され得るようになっている。また、前記基部61における反ローラー側の端部には、端部のターンロック爪65が設けられている。前記側部及び端部のターンロック爪64、65は、前記ロック体6が非係合位置(L)に降下している状態では、前記支持体1の係合凹部h1から外れた位置に待機しており、前記ロック体6が前記コイルスプリング62の付勢力により係合位置(K)に上昇した状態では、ターンベース2におけるロック爪貫通窓24から上方に突出して前記支持体1における天壁11に形成された係合凹部h1のいずれかに係合するようになっている。
【0036】
カム機構7は、前記作動子5の下面に設けられた前記カム溝71と、前記ロック体6に設けられ先端部が前記ターンベース2の天壁21及び支持体1の天壁11を貫通して前記カム溝71に係わり合う柱状をなすカムフォロア66とを備えたものである。
【0037】
カム溝71は、作動子5の進退方向に沿って延びてなるものであり、浅溝部72と深溝部73とが緩やかな段部74を介して作動子5の進退方向に隣接させて設けられている。そして、作動子5がロック位置(I)にある状態では、前記カム溝71の深溝部73が前記支持体1におけるボス部14の直上に位置するように設定されている。作動子5が非ロック位置(J)にある状態では、前記カム溝71の浅溝部72が前記支持体1におけるボス部14の直上に位置するように設定されている。
【0038】
カムフォロア66は、基部61から上方に向けて一体に突出した軸状のもので、前記ターンベース2のボス部23及び前記支持体1のボス部14を貫通してその先端部が前記カム溝71に係わり合っている。図9に示すように、前記カムフォロア66が、カム溝71における深溝部73に係合している状態では、前記ロック体6が係合位置(K)に保持されており、図11に示すように、前記カムフォロア66が、カム溝71における浅溝部72に係合している状態では、前記ロック体6が非係合位置(L)にコイルスプリング62の付勢力に抗して押し下げられるようになっている。
【0039】
操作部Mは、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子5を作動させるプッシュボタン8と、このプッシュボタン8に一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子5を前記ロック位置(I)又は前記非ロック位置(J)に交互に保持する選択保持機構たるハートカム機構9とを備えたものである。
【0040】
プッシュボタン8は、前記脚ベースd1の使用端近傍に配されたもので、具体的には、脚ベースd1に設けられた窓d11に突没可能に配されている。このプッシュボタン8は、前記作動子5の外方端に設けられている。すなわち、このプッシュボタン8は、ロック位置(I)において前記脚ベースd1の窓d11から過度に突出していない形態をなすものであり、その背面に前記作動子5におけるプッシュボタン取付部51に取り付けられる取付突片81を備えている。この取付突片81には、前記プッシュボタン取付部51のボルト挿通孔h2に合致するボルト挿通孔h3と、このボルト挿通孔h3の上端部に軸心を一致させて埋設させたナットn1とを備えている。そして、前記作動子5のボルト挿通孔h2から挿入したボルトv1を前記ナットn1に螺着して緊締することによりこのプッシュボタン8を前記作動子5に取り付けている。
【0041】
ハートカム機構9は、前記作動子5と前記支持体1との間に設けられたもので、前記作動子5の進退方向と直交する方向にスライド可能に保持され下面にハートカム溝mzを有したカム板91と、前記支持体1の膨出部に装着されたフォロアピン92と、このフォロアピン92を上方に弾性付勢してこのフォロアピン92の上端部を前記ハートカム溝mzに常時係わり合わせるスプリング93とを具備してなる。すなわち、このハートカム機構9は、操作に伴って作動することのない支持体1に保持されたフォロアピン92を備えたものであり、ハートカム溝mzを有したカム板91が操作に伴って操作方向及びこの操作方向と直交する方向に作動することにより選択保持機能を発揮するようにしたものである。
【0042】
詳述すれば、カム板91は、平面視矩形状をなす平板状のもので内方端部が薄肉部となる切欠部94が設けられている。また、カム板91の内方端面及び外方端面には、左右方向に延びる摩擦軽減用の突条95が形成されている。前記作動子5におけるカム板保持部54は、前記作動子5の下面を底面視において矩形状をなすように凹陥させたものであり、当該凹陥部分を形成している対向する前後の内面間の距離は、前記カム板91の前後方向寸法すなわちカム板91における前後の突条95の先端間の距離に略対応させてある。一方で、作動子5におけるカム板保持部54の対向する左右の内面間の距離は前記カム板91の左右方向寸法よりも大きく設定されており、前記カム板91が、前後の突条54を前記前後の内面に摺接させつつカム板保持部54内において左右方向に一定の範囲でスライドし得るように設定されている。カム板保持部54は、後の内面から内方に向かって延びてなり前記カム板91の切欠部94に係わり合って該カム板91が落下するのを防止する落下防止鍔56が設けられている。
【0043】
ハートカム溝mzは、底面視においてハート型をなす軌道を有したもので、軌道がくびれた箇所に設けられたロック部m1と、このロック部m1に第一段部s1を介して連続し始端から終端に向かって漸次浅くなるリリース部m2と、このリリース部m2の終端に第二段部s2を介して連続し始端から終端に向かって漸次浅くなるガイド部m3と、このガイド部m3の終端に第三段部s3を介して連続し前記カム板91の一定以上の内方への移動を前記フォロアピン92により係止するための係止部m4と、この係止部m4と前記ロック部m1との間に設けられた第四段部s4とを備えたものである。フォロアピン92は、図7に示すように、ハートカム溝mz内を矢印A方向に沿って相対的に循環移動するようになっている。なお、前記第一、第二、第三、第四段部s1、s2、s3、s4は、各段を形成するための端面が進行方向を向くように設定されており、フォロアピン92が矢印A方向と逆方向に移動しないように案内されている。
【0044】
フォロアピン92は、前記支持体1の膨出部13に形成された軸保持穴18に昇降可能に嵌着された軸状のフォロアピン本体96と、このフォロアピン本体96の上端に突設され前記ハートカム溝mzに常時係わり合う先端部97と、前記フォロアピン92下面に突設されたスプリングリテーナ98とを備えたものである。そして、このフォロアピン92と前記軸保持穴18の底面との間にスプリング93を介在させこのスプリング93により前記フォロアピン92を前記カム板91方向に弾性付勢している。
【0045】
次に、第二のキャスタFについて説明する。なお、第二のキャスタFの符号については、第一のキャスタEにおいて使用した符号の後に「’」を付したものを使用することとし、詳細な説明を省略することがある。
【0046】
第二のキャスタFは、前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備してなる。すなわち、第二のキャスタFは、操作部Mを備えていない点、及びロック部H’の作動子5’の構造に関する点において第一のキャスタEと異なっているが、第二のキャスタFにおけるキャスタ本体G’と第一のキャスタEにおけるキャスタ本体Gとは同一の構成をなしている。
【0047】
ロック部H’は、前記キャスタ本体G’の動きをロックするためのものであり、前記支持体1’に保持され第一のキャスタEのプッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5’と、前記ターンベース2’内に昇降可能に保持されたロック体6’と、前記作動子5’の進退動作を前記ロック体6’の昇降動作に変換するカム機構7’とを備えてなり、前記作動子5’がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6’が前記ローラー3’の回転及び前記ターンベース2’のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3’の回転及び前記ターンベース2’のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定されている。
【0048】
作動子5’は、前記支持体1’の天壁11’に配されたレール壁15’に位置させて前記天壁11’の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、内方端部に連結杆取付部52’を備えている。連結杆取付部52’は、作動子5’の内方端面から突設された角柱状の突起t2’と、この突起t2’に形成された雌ねじ孔h3’とを備えている。この作動子5’の下面には、カム溝71’が形成されている。このカム溝71’は、後述するように第一のキャスタEのカム溝71と異なった構成をなしている。
【0049】
ロック体6’は、第一のキャスタEと同一の構成をなしている。
【0050】
カム機構7’は、前記作動子5’の下面に設けられた前記カム溝71’と、前記ロック体6’に設けられ先端部が前記ターンベース2’及び支持体1’の前記天壁11’を貫通して前記カム溝71’に係わり合うカムフォロア66’とを備えたものであり、前記カム溝71’のみが前記第一のキャスタEのカム溝71と異なっている。
【0051】
すなわち、カム溝71’は、作動子5’の進退方向に沿って延びてなるものであり、浅溝部72’と深溝部73’とが緩やかな段部74’を介して作動子5’の進退方向に隣接させて設けられている。そして、作動子5’がロック位置(I)にある状態では、前記カム溝71’の深溝部73’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。作動子5’が非ロック位置(L)にある状態では、前記カム溝71’の浅溝部72’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。なお、第一のキャスタEにおいては、前記浅溝部72が内方端側に位置し前記深溝部73が外方端側に位置しているのに対して、この第二のキャスタFにおいては、前記浅溝部72’が外方端側に位置し前記深溝部73’が内方端側に位置している。そのため、第一のキャスタEの作動子5と前記第二のキャスタFの作動子5’とを連結杆Nにより直結しても両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになっている。
【0052】
連結杆Nは、角パイプ素材を脚ベースd1の形状に対応させて曲げ成形したもので、一端を第一のキャスタEの連結杆取付部52の突起t2に外嵌させるとともに、他端を第二のキャスタFの連結杆取付部52’の突起t2’に外嵌させてビス止めされている。
【0053】
次いで、第一のキャスタEの作動について、図7図11を参照して説明する。なお、図7は前記カム板91の底面図でありカム溝71内に描いた想像線はフォロアピン92の先端部の軌道を示している。図8は前記カム板91を底面側から見た斜視図である。図9図11は(a)において、第一、第二のキャスタの側断面を要部のみを取り出して模式的に示しており、(b)において、(a)に対応した平断面を模式的に示している。
【0054】
図1〜4及び図9は、第一のキャスタEにおけるロック部Hがロック状態に維持されているものを示している。このロック状態においては、図9(a)に示すようにロック部Hのロック体6が係合位置(K)に上昇しておりロールロック爪63がローラー3の係合凹部34の一つに係合している。そのため、ローラー3の回転が禁止されている。また、ロック体6のターンロック爪64、65がターンベース2のロック爪貫通窓24を貫通して支持体1の係合凹部h1の一つに係合している。そのため、前記支持体1に対する前記ターンベース2の旋回が禁止されている。すなわち、キャスタ本体Gの動きがロックされた状態に維持されている。この状態では、図7、及び、図9(b)に示すように、ハートカム機構9のフォロアピン92がハートカム溝mzのロック部m1に位置しており、このカム板91、及び、このカム板91を保持する作動子5が図示しないスプリングの付勢力によって外方に移動するのを禁止している。すなわち、前記作動子5は前記ハートカム機構9によりロック位置(I)に保持されている。このロック位置(I)においては、この作動子5に取付けられたプッシュボタン8が脚ベースd1の窓d11に概ね没入した状態になっている。
【0055】
このロック状態から前記プッシュボタン8を内方に押し込む操作を行うと、図7、及び、図10(b)に示すように、前記ハートカム機構9のフォロアピン92が、第四段部s4に案内されつつ第一段部s1を通過してリリース部m2の始端p1に相対移動する。なお、この相対移動はカム板91が作動子5に対して左右方向に移動しつつ行われる。図10は、フォロアピン92が、ハートカム溝mzのリリース部m2の始端p1に移動した最押し込み状態を示している。
【0056】
この最押し込み状態で前記プッシュボタン8に対する押し込み操作を止めると、前記作動子5が前記スプリングの付勢力によりロック位置(I)から非ロック位置(J)に移動する。その結果、図11に示すように、作動子5におけるカム溝71の浅溝部72に前記カムフォロア66が係わり合うことになり前記ロック体6がスプリング62の付勢力に抗して係合位置(K)から非係合位置(L)まで押し下げられる。そのため、図11(a)に示すように前記ロック体6のロールロック爪63がローラー3の係合凹部34から外れてこのローラー3の回転が許容されることになる。また、ロック体6のターンロック爪63が降下して支持体1の係合凹部h1から外れてターンベース2の前記支持体1に対する旋回が許容される。このようにして、図10に示す最押し込み状態から図11に示す非ロック状態に移行する際には、前記ハートカム機構9のフォロアピン92は、図7に示すように、ハートカム溝mzのリリース部m2の始端p1から終端p2に相対移動し、第二段部s2を通過してガイド部m3の始端p3に至ることになる。なお、この相対移動は、カム板91が作動子5に対して左右方向に移動しつつ行われる。図10(b)は、前記フォロアピン92がハートカム溝mzのリリース部m2の始端に位置している最押し込み状態を示しており、図11(b)は、前記フォロアピン92がハートカム溝mzのガイド部m3に到達した非ロック状態を示している。
【0057】
この非ロック状態においては、プッシュボタン8が脚ベースd1の使用端から突出した状態となる。
【0058】
この非ロック状態から前記プッシュボタン8に対して押し込み操作を加えると、前記作動子5が、図示しないスプリングの付勢力に抗して非ロック位置(J)からロック位置(I)まで移動することになり、このロック位置(I)において再びロック状態に戻ることになる。すなわち、図11に示す非ロック状態(J)からプッシュボタン8に押し込み操作力が作用するとフォロアピン92に対してカム板91が内方に移動し、このフォロアピン92がハートカム溝mzのガイド部m3の始端p3から終端p4に向かって相対移動し第三段部s3を通過して係止部m4に至ることになる。この状態からプッシュボタン8に対する押し込み操作を止めると前記カム板91が前記作動子5とともにスプリング力により若干外方に相対移動することになり前記フォロアピン92がハートカム溝mzの係止部m4から第四段部s4を通過して前記ロック部m1に到達する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るフラップ天板付テーブルAは、テーブル本体Bの脚ベースd1に第一、第二のキャスタE、Fを設けてなるものである。そして、第一のキャスタEが、前記テーブル本体Bに取り付けられた支持体1にターンベース2が水平旋回可能に保持されこのターンベース2の偏心位置にローラー3が枢支されているキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを備えてなる。そして、操作部Mが、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子5を作動させるプッシュボタン8と、このプッシュボタン8に一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子5を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持するハートカム機構9とを備えている。このため、操作性に優れたキャスタE、及び、当該キャスタEを有したフラップ天板付テーブルAを提供することができるものとなる。つまり、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧力操作力を利用して作動子5を作動させるプッシュボタン8を備えているため、使用者から視認しやすく、且つ、違和感の無い自然な操作を実現することができる。例えば、使用者が直接的に視認し得る足先部分を使ってプッシュボタン8を操作するような場合には、プッシュボタン8に対して的確に足先部分をアクセスさせることができるため、使用者が快適にキャスタEのロック及びロック解除の操作を行うことができるものとなる。
【0060】
テーブル本体Bが、前後方向に延びた脚ベースd1を備えたものであり、前記キャスタEが、前記脚ベースd1の使用端側に設けられたものであり、前記プッシュボタン8が、前記脚ベースd1の使用端近傍に配されている。このため、使用者がプッシュボタン8に対して好適にアクセスし得るものとなる。
【0061】
脚ベースd1が、使用端に窓d11を有する下方に開放されたチャンネル状のものであり、前記プッシュボタン8が、前記窓d11に突没可能に配されたものである。このため、脚ベースd1にキャスタEの取り付けを好適に行えるものとなる。
【0062】
キャスタ本体Gが、天壁11の下面に円筒体状をなす周壁12が垂設された支持体1と、この支持体1内に水平旋回可能に収容されたターンベース2と、このターンベース2の旋回軸心から偏位した部位に水平軸j1を介して軸支されたローラー3とを備えたものであり、前記ロック部Hが、前記支持体1に保持され前記プッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5と、前記ターンベース2内に昇降可能に保持されたロック体6と、前記作動子5の進退動作を前記ロック体6の昇降動作に変換するカム機構7とを備えてなり、前記作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定されている。このため、キャスタEにおけるローラー3の回転動作、キャスタEにおけるターンベース2の支持体1に対する旋回動作を、まとめてロック又はアンロックできる好適な構造を提供することができるものとなる。
【0063】
カム機構7が、前記作動子5の下面に設けられたカム溝71と、前記ロック体6に設けられ先端部が前記ターンベース2及び支持体1の前記天壁21、11を貫通して前記カム溝71に係わり合うカムフォロア66とを備えたものである。このため、ロック体6が支持体1上の作動子5と係わり合う好適な態様を提供することができものとなる。
【0064】
ロック体6が、上面に前記カムフォロア66を有した基部61と、この基部61に設けられ前記係合位置(K)において前記ローラー3に設けられた係合凹部34に係合するロールロック爪63と、前記基部61に設けられ前記係合位置(K)において前記支持体1に設けられた係合凹部h1に係合するターンロック爪64、65とを備えたものである。このため、ロック体6によって、ローラー3の回転ロックだけでなくターンベース2の旋回ロックを行うことができる好適な態様を提供することができるものとなる。
【0065】
前記作動子5が前記支持体1に保持されて水平方向に進退するものであり、前記プッシュボタン8が、前記作動子5の外方端に設けられたものであり、前記作動子5と前記支持体1との間にハートカム機構9が設けられている。このため、プッシュボタン8の操作によって好適に操作力が伝達され、一方向の押し込み操作を繰り返して好適にロックのオン/オフを切り替えることができるものとなる。
【0066】
テーブル本体Bが、前後方向に延びた脚ベースd1を備えたものであって、前記作動子5が前記支持体1に保持されて水平方向に進退するものであり、前記脚ベースd1の使用端側に前記操作部Mを備えた前記キャスタEが設けられているとともに前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備してなる反使用端側のキャスタFが設けられており、この反使用端側のキャスタFの前記作動子5’と前記使用端側のキャスタEの作動子5とを連結杆Nを介して連動可能に連結している。このため、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとなる。
【0067】
前記使用端側のキャスタEの作動子5と、前記反使用端側のキャスタFの作動子5’とが、一本の連結杆Nにより直結されたものである。このため、脚ベースd1内に複雑な機構を構築する必要なく、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとなる。
【0068】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0069】
キャスタ付家具は、種々のものが考えられ、本実施形態に示すようなフラップ天板付家具に限定されるものではない。
【0070】
作動子は、必ずしも、水平方向にスライド移動するものには限られない。
【0071】
選択保持機構は、ハートカム機構に限定されたものではなく、一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持し得るものであればよい。
【0072】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…支持体
2…ターンベース
3…ローラー
8…プッシュボタン
A…フラップ天板付テーブル(キャスタ付家具)
B…テーブル本体(家具本体)
E…第一のキャスタ
G…キャスタ本体
H…ロック部
M…操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11