(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源ユニットと、無水銀のマイクロ波無電極ランプを有する照射ユニットと、該マイクロ波無電極ランプを冷却する冷却空気供給機構とを有するマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置において、
前記照射ユニットは、前記マイクロ波無電極ランプの始動補助光源としてキセノンランプ及び始動補助光源点灯回路を備え、
前記マイクロ波無電極ランプの始動時に、前記キセノンランプの点灯周波数f Hzは、0.03 ≦ f ≦ 0.5に範囲内にある、光照射装置。
無水銀のマイクロ波無電極ランプと、該マイクロ波無電極ランプの始動補助用のキセノンランプと、該キセノンランプの点灯回路とを有する光照射装置における該マイクロ波無電極ランプの点灯方法において、
前記マイクロ波無電極ランプの電源供給をONにするステップと、
前記キセノンランプの点灯回路をONにして、点灯周波数f Hzを 0.03 ≦ f ≦ 0.5の範囲内で点灯するステップと、
前記マイクロ波無電極ランプが始動を開始したとき、前記キセノンランプの点灯回路をOFFにするステップとを含む、マイクロ波無電極ランプの点灯方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
UV−A領域の紫外線を発生する無電極放電ランプでは、従来、発光物質として水銀が用いられていた。しかし、近年、水銀は環境負荷物質として、使用を中止する方向にある。
無電極放電ランプの無水銀化によって生じる問題点として、照度が大幅に低下すること、及びランプの始動性が悪化することが挙げられる。
【0006】
照度低下の問題に対しては、本出願人は、発光管内の添加物として、鉄族元素(コバルトCo、ニッケルNi、鉄Fe等)のヨウ化物の添加量を増量することにより、比較的高いUV−A領域の照度が得られることを発見し、この知見を基に完成した無電極放電ランプの発明に関して複数の特許出願を行っている。しかし、ヨウ化物の量が増えるほど、遊離ヨウ素の量も増加して、ランプの始動性が悪化する傾向が見られる。
【0007】
ランプの始動性悪化の問題に対しては、従来技術として、前掲特許文献1に開示されているようなキセノンランプを始動補助光源として用いる方法が提案されている。
しかし、この従来技術では、キセノンランプの利用方法に関して、一実施例を紹介するに留まり、広く検討されていない。本発明者等は、キセノンランプの利用方法を広く検討した結果、利用の仕方によっては、ランプ自体やその点灯回路の部品(特に、電解コンデンサ)の寿命が短くなり、メンテナンスの回数が多くなるといった問題が有ることを突き止めた。
【0008】
そこで、本発明は、キセノンランプを点灯補助光源として利用して点灯始動性を改善した新規なUV−A領域の紫外線を発生するマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑みて、本発明に係る光照射装置は、一面では、電源ユニットと、無水銀のマイクロ波無電極ランプを有する照射ユニットと、該マイクロ波無電極ランプを冷却する冷却空気供給機構とを有するマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置であって、前記照射ユニットは、前記マイクロ波無電極ランプの始動補助光源としてキセノンランプ及び始動補助光源点灯回路を備え、前記マイクロ波無電極ランプの始動時に、前記キセノンランプの点灯周波数f Hzは、0.03 ≦ f ≦ 0.5に範囲内にある。
【0010】
更に、上記光照射装置では、前記無電極ランプの立ち上がり開始を感知して、前記キセノンランプの放射を停止する手段を備えていてもよい。
【0011】
更に、上記光照射装置では、前記無電極ランプの立ち上がり開始は、マイクロ波無電極ランプの光量を感知する光量センサによる感知光量が有意ある増量を感知した場合、ランプは立ち上がりを開始したと判定されてもよい。
【0012】
更に、上記光照射装置では、前記キセノンランプの点灯エネルギーE Jは、0.7 ≦ E ≦ 6.3の範囲内にあってもよい。
【0013】
更に、上記光照射装置では、前記マイクロ波無電極ランプは、UV−A領域の紫外線発生用のランプであってもよい。
【0014】
更に、本発明に係るマイクロ波無電極ランプの点灯方法は、無水銀のマイクロ波無電極ランプと、該マイクロ波無電極ランプの始動補助用のキセノンランプと、該キセノンランプの点灯回路とを有する光照射装置における該マイクロ波無電極ランプの点灯方法であって、前記マイクロ波無電極ランプの電源供給をONにするステップと、前記キセノンランプの点灯回路をONにして、点灯周波数f Hzを 0.03 ≦ f ≦ 0.5の範囲内で点灯するステップと、前記マイクロ波無電極ランプが始動を開始したとき、前記キセノンランプの点灯回路をOFFにするステップとを含んでいる。
【0015】
更に、前記マイクロ波無電極ランプの点灯方法では、前記キセノンランプの点灯回路をONするステップは、該キセノンランプの点灯エネルギーE Jは、0.7 ≦ E ≦ 6.3の範囲内にあってよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キセノンランプを点灯補助光源として利用して点灯始動性を改善した新規なUV−A領域の紫外線を発生するマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面において、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して重複した説明を省略する。
【0019】
[マイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置]
(光照射装置の構成)
図1Aは、本実施形態に係るマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置の一例を示す概略斜視図である。マイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置10は、電源ユニット2と、照射ユニット4と、照射ユニットの発熱を冷却する冷却空気供給機構(冷却ブロワー。ここではブロワーの送風ダクトのみ図示している。)6とを備えている。
【0020】
図1Bは、
図1Aに示すマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置10の照射ユニット4を説明する図である。照射ユニット4は、矩形の筐体12の後側内部にマイクロ波発振器4a(
図2に示すマグネトロン4a参照)が設けられている。照射ユニット4は、更に、マイクロ波発振器に付属するアンテナ16と、アンテナからのマイクロ波エネルギーを受けて発光する無電極ランプ18と、無電極ランプの背面側を囲むようにランプ軸線に沿って配置された反射鏡20とを有する。反射鏡20によって囲まれた空間は、マイクロ波空洞22を形成し、このマイクロ波空洞内に無電極ランプ18が配置されている。
【0021】
本実施形態では、マイクロ波発振器としてマグネトロン4a(
図2参照)を使用する。マグネトロン4aは、発振用真空管の一種であり、強力なノンコヒーレントマイクロ波を発生する。マグネトロンは、身近なところでは、レーダーや電子レンジに使われている。本実施形態では、電子レンジ、好ましくは業務用電子レンジに使用されているマグネトロンを使用することが出来る。なお、電子レンジでは周波数2.45 GHzが使用されているが、これは技術的な制限によるものではなく、法的規制によるものである。
【0022】
マイクロ波発振器(マグネトロン4a)から発生したマイクロ波は、アンテナ16を介してマイクロ波空洞22に放射され、定在波を形成する。この定在波によって、マイクロ波空洞22に配置された無電極ランプ18の内部にプラズマが励起される。プラズマから放射される可視光線或いは紫外線は、反射鏡20によって反射して、又は直接に照射光として光出射口23に向かう。
【0023】
光出射口23は導電性メッシュ(図示せず。)によって覆われている。導電性メッシュは、マイクロ波に対しては不透過性であるが、マイクロ波空洞からの照射光、即ち、可視光線及び紫外線に対しては透過性である。このため、プラズマから放射される可視光線或いは紫外線は、光出射口23の導電性メッシュを通過して、被照射面に向けて放射される。
【0024】
(光照射装置の機能ブロック)
図2は、
図1Aに示すマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置10の機能ブロック図である。マイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置10は、電源ユニット2と、無電極ランプ18を有する照射ユニット4と、高温になる無電極ランプを冷却する冷却空気供給機構(冷却ブロワー)6とを備えている。
【0025】
電源ユニット2は、図示していない1次側電圧からこの点灯装置が使用する2次側電圧を生成する電源部2aと、照射ユニット4及び冷却ブロア6の各構成部品の動作を制御する主制御部2bとを有している。主制御部2bは、典型的にはシーケンサーから構成される。しかし、これに限定されない。例えば、主制御部2bを、マイクロコンピュータを利用して構成してもよい。電源部2aには、温度センサ2cが備えられ、電源部の温度がモニターされている。
【0026】
照射ユニット4は、無電極ランプ18と、無電極ランプにアンテナ16を介してマイクロ波エネルギーを供給するマグネトロン4aと、無電極ランプ18の始動性を向上させるための始動補助光源4cと、これにエネルギー44を供給する始動補助光源点灯回路4bとを有している。始動補助光源4cとしては、典型的には、キセノンランプが用いられる。更に、照射ユニット4は、マグネトロン4aの温度を感知する温度センサ46と、無電極ランプ18の光量を感知する光量センサ48と、冷却ブロア6から照射ユニット4へ送られる冷却空気の風量を感知する風量センサ50と、照射ユニット4から外部へ漏洩する電磁波を検出するRF(高周波)漏洩センサ30とを有している。
【0027】
光量センサ48は、照射ユニット4の内部に設置され、検知光量に応じたアナログ電圧を出力する。光量センサ48は、例えば、浜松ホトニクス株式社製のSiフォトダイオード 型番S1133を利用できる。風量センサ50は、高圧側と低圧側の2つの取込口を有し、両者の圧力差を検知する微圧圧力スイッチである。即ち、照射ユニット4の筐体内外の圧力差によって、冷却風量をモニターしている。例えば、MAMOCO Precision Switchesの超低圧スイッチ(ultra-low pressure switch) 型番MAM005-27を利用できる。温度センサ46は、バイメタルサーモスタットの汎用品でよく、マグネトロン4aの表面に付設され、温度をモニターしている。温度センサ46は、例えば、100℃以上になると接点がオープンとなり、主制御部2bに向けて異常検知信号36を発する。RF漏洩センサ30は、このシステムの安全装置であり、照射ユニット4の筐体の近傍に設置され、或る閾値(例えば、2.0 mW/cm
2)以上の漏洩マイクロ波を検知すると、接点がオープンとなり、主制御部2bに向けて異常検知信号32を発する。
【0028】
電源ユニット2の温度センサ2cは、電源ユニットの温度をモニターしている。温度センサ2cは、バイメタルサーモスタットの汎用品でよく、電源部2aが過熱した時に接点がオープンとなり、主制御部2bに対して異常検知信号42を発する。
【0029】
冷却ブロワー(冷却空気供給機構)6は、冷却空気を照射ユニット4に送り、各種部品を冷却している。
【0030】
(光照射装置の動作)
次に、
図1Aに示すマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置10の動作について説明する。
図3は、ランプ始動点灯段階の動作フロー図である。
図2に示すマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置の構成を確認しながら、
図3の動作フロー図に従ってその動作を説明する。
【0031】
ステップS01で、電源ユニット2のタッチパネル式操作盤(図示せず。)を操作して、電源ONにする。電源ユニット2から照射ユニット4及び冷却ブロワー6に対する電力供給24が開始される。
【0032】
ステップS02で、タッチパネル式操作盤を操作して、スタンバイモードに入る。照射ユニット4のマグネトロン4aの予熱が開始され、冷却ブロワー6の冷却ファンが始動する。
【0033】
ステップS03で、スタンバイモード開始から所定時間経過後(例えば、Tsec後)、各センサ2c、30,46,48,50が正常に動作しているか判断される。センサのいずれかが動作不良の場合、電源ユニットの表示盤(図示せず。)に、エラー表示され、ステップS02に戻る。全てのセンサが正常に動作している場合、ステップS04に進む。
【0034】
ステップS04で、電源ユニット2のタッチパネル式操作盤を操作して、ランプONにする。これに応じて、マグネトロン4aは、例えば、2.45 GHzで発振を開始する。
【0035】
ステップS05で、冷却ブロア6から照射ユニット4に向けられたランプ冷却風を、装置冷却に問題が生じないレベル(例えば、定格風量の60 %程度)まで抑制する。即ち、ランプ始動時に一定期間冷却風を抑制することにより、ランプの温度上昇を促進させ、ランプ内の発光物質を蒸発させる。なお、始動時を除き、定格点灯時に風量を抑制することは無い。
【0036】
ステップS06で、始動補助光源(キセノンランプ)4cがON(点灯)される。具体的には、始動補助光源点灯回路4bからエネルギー供給44を受けたキセノンランプ4cが、無電極ランプ18に向けて、所定の点灯周期でマイクロ波をフラッシュ照射して、ランプの始動を補助する。キセノンランプ4cの点灯条件等に関しては、この動作フロー図の説明の後にまとめて詳述する。
【0037】
ステップS07で、無電極ランプ18が始動開始したか否かが、光量センサ48によって判定される。
【0038】
始動開始と判定された場合、ステップS09で、キセノンランプ4cの放射はOFF(停止)される。具体的には、光量センサ48により、感知光量対応信号34による感知光量が有意な増量(例えば、定格光量の10%以上)を感知した場合、ランプは立ち上がりを開始したと判断され、キセノンランプ4cの放射はOFFにされ、無駄な放射を防止している。
【0039】
未だ始動してない場合、ステップS08で、始動補助光源点灯回数が、所定回数以上(例えば10回以上)か否かが判断され、所定回数未満ならステップS06に戻り、補助光源4cによりフラッシュ照射を繰り返す。所定回数以上なら、電源部の表示ユニットにエラー表示され、原因究明を行って対策を施した後、ステップS02に戻ってスタンバイモードになる。始動した場合は、ステップS09に進む。
【0040】
この始動補助手段(ステップS06〜S08)により、ランプの無水銀化による始動時のランプ始動性悪化の課題を解決している。
【0041】
更に、始動補助光源の放射期間ON〜OFFを無電極ランプの立ち上がり開始期間に限定することにより(ステップS06〜S09)、始動補助光源及び点灯回路の無駄な作動を無くし、これらの寿命を長くしている。
【0042】
ステップS10で、無電極ランプ18が、立ち上がったか否か判断される。具体的には、光量センサ48により、感知光量対応信号34が、電源ユニット2の主制御部2bに送られる。主制御部2bにおいて、シーケンス制御(又はマイクロコンピュータ制御)により感知光量が所定の閾値(例えば、定格光量の80%)以上の場合、ランプは立ち上がったと判断される。未だ立ち上がってない場合、電源ユニットの表示盤にエラー表示され、ステップS02に戻ってスタンバイモードに移る。立ち上がった場合、ステップS11に進む。
【0043】
ステップS11で、ステップS05で行われた冷却風の風量抑制が解除される。この段階までが、ランプの始動点灯段階である。
【0044】
これ以降、マイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置の定常安定点灯段階及び消灯段階に続くが、本発明のテーマであるランプの始動改善に直接関係が無いため、その説明を省略する。
【0045】
(キセノンランプ4cの点灯条件等)
従来技術では、「フラッシュランプ5としては、点灯電圧が400〜500V,周波数が19 Hz程度のものを用いている。本実施例のフラッシュランプ点灯回路52は、フラッシュランプ5を10秒間発光点滅させた後5秒休止し、不図示の検知機構により無電極発光管8が未だ始動発光していないことを検知した場合は、さらに10秒間点滅させる回路となっている。」(前掲特許文献1の明細書第7頁第1〜8行参照)とされている。
【0046】
これに対して、本発明者等は、実験により、キセノンランプ4cの点灯条件が次の条件を満たした場合、無電極ランプ18の始動改善効果が有ることを確認した。
【0047】
(1)点灯周波数f Hzは、0.03 ≦ f ≦ 0.5に範囲内にあった。これを換算すると、点灯周期T=30〜2秒になる。
始動補助光源4bは、図に示してないが、典型的には、直流電圧Vを形成する整流回路、例えば容量Cの電解コンデンサから構成される充電回路で、これをパルス電圧としてキセノンランプ4cに印加する発振回路から構成される。
電解コンデンサの充電時間は、f=0.5 Hzの場合は約2秒である。一方、マグネトロン4aが発振を開始して無電極ランプ18が始動しない状態で30秒経過すると、その間にマグネトロン4aに反射波による負荷が掛かり、マグネトロンの寿命を縮めるおそれがある。その結果、点灯間隔T秒は、2 ≦ T ≦ 30の範囲内であることが望ましい。
【0048】
ここで、マグネトロン4aから放射されたマイクロ波エネルギーは、始動当初はインピーダンスがマッチングせず、吸収されないエネルギーがマイクロ波空洞22の反射鏡20,光出射口23を覆う導電性メッシュに反射して、マグネトロン4aに戻って、寿命を縮めることになる。従って、無電極ランプ18が始動しない状態で、マグネトロン4aが長時間発振するのは避ける必要がある。
【0049】
従来技術では、無電極発光管8の始動判定手段が無く、フラッシュランプ5を点灯周波数T=19 Hzで少なくとも10秒間発光点滅させることから、1秒間に19回の点灯を少なくとも10秒間継続している。本実施例と比較すると、発光点滅回数が極端に多く、また無電極発光管8が始動開始した後も無駄な発光点滅が継続するので、フラッシュランプ5及びフラッシュランプ点灯回路52の寿命が短くなることは避けがたい。この点、本実施形態では、ステップS09で説明したキセノンランプ4cの停止手段が設けられているので、無駄なフラッシュ照射は極端に少ない。
【0050】
(2)点灯エネルギーE Jは、0.7 ≦ E ≦ 6.3 の範囲内にあった。
点灯エネルギーEが、0.7 J未満の場合、無電極ランプ18に放射されるマイクロ波エネルギーが不足して、始動改善効果が減少した。反対に、点灯エネルギーEが、6.3 Jより大きい場合、これを供給する始動補助光源点灯回路4bを構成する回路及び回路部品が大型に成り、照射ユニット4の大型化につながり、装置価格も高額となる。
【0051】
図5Aは、エネルギー供給44による点灯エネルギーE=0.7 Jの場合のキセノンランプ4cの分光スペクトルを示す図である。
図5Bは、同じキセノンランプ4cを用いた点灯エネルギーE=6.3 Jの場合の分光スペクトルを示す図である。点灯エネルギーE=0.7 J(
図5A)に比較して、点灯エネルギーE=6.3 J(
図5B)では、キセノンランプ4cの放射時間が長くなっている。
【0052】
両分光スペクトルを比較すると、発光ピークはほぼ同じであることが分かる。点灯エネルギーE=6.3 J(
図5B)では、紫外線(400nm以下)に比較して、可視光線(波長:下界360〜400nm,上界760〜830nm)の発光強度が強くなっている。しかし、点灯エネルギーE=6.3 J(
図5B)の紫外線における発光エネルギーも有るため、無電極ランプ18の始動性改善に効果が有る。
【0053】
(光照射装置の各動作素子の動作タイムチャート及びこれに対応した風量推移及びランプ光量推移)
図4は、上述した動作フローに対応したマイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置の各動作素子の動作タイムチャート及びこれに対応した風量推移及びランプ光量推移を示す図である。図の行毎に、各動作素子の動作タイムチャート夫々説明する。各動作素子に関して、第2列に動作素子として、始動補助光源4c,風量センサ50,温度センサ46〜冷却ブロア6が示されている。第3列に、これら動作素子の制御内容が説明されている。第4列にタイムチャートが示されている。タイムチャートは、動作フローで説明した電源ユニットON(S01)、スタンバイモード(S02)、ランプON(S04)、ランプOFF、スタンバイモード及び電源ユニットOFFを使って時系列で図示する。
【0054】
始動補助光源4cは、スタンバイモード(S02)〜ランプON(S04)の期間充電され、その後、S06でフラッシュ照射を開始し、S09で停止する。その後、ランプOFF〜スタンバイモードOFFの期間は、再び充電される。
【0055】
風量センサ50は、スタンバイモード開始(S02)から所定時間経過後(例えば、T sec後)〜スタンバイモードOFFの期間、冷却風量をモニターしている。
【0056】
温度センサ46は、スタンバイモード開始(S02)〜スタンバイモードOFFの期間、マグネトロン4aの温度をモニターしている。
【0057】
冷却ブロア6は、同じ期間稼働している。冷却ブロア6の風量抑制期間は、ランプ冷却風量抑制(S04)〜抑制解除(S10)の期間である。
【0058】
図4の下側に示すグラフは、これに対応した風量推移及びランプ光量推移を示している。
風量推移に関しては、冷却ブロア6の稼働期間の内、風量抑制期間(S04〜S10)は、定格風量の例えば60%運転を行い、その他は100%運転をしている。風量抑制期間における風量推移は、ランプのサイズやランプ内の発光物質の構成等により、ランプ温度が容易に上昇するよう選択され、定格風量の30%〜90%運転を行う。
【0059】
ランプ光量推移に関しては、無電極ランプ18の光量は、光量センサ48でモニターされるが、ランプON(S04)で光量増加が開始され、徐々に増量する。光量センサ48の感知光量が有意差有る増量(例えば、定格光量の10%以上)を感知した場合、ランプは立ち上がりを開始した判断され、始動補助光源(キセノンランプ)4cの放射は停止される(S09)。更に、光量センサ48の感知光量が所定の閾値(例えば、定格の80%)以上と判定された場合、ランプ立ち上がりと判断され、冷却風の風量抑制運転が解除される(S10)。
【0060】
[本実施形態の利点・効果]
(1) ランプの始動性を改善できる。
ランプ無水銀化によって、無電極ランプの始動性の悪化の問題点が指摘されていた。これに対し、本実施形態では、始動補助光源としてキセノンランプのパルス照射を採用することで、無電極ランプ内に存在する発光物質を効率よく電離させ、ランプの始動性を改善している。
【0061】
(2) 始動光源(キセノンランプ)の点灯周波数fを相対的に低く抑え、更に、ランプの立ち上がり開始に応答してパルス放射を停止する手段を設けている。これにより、従来技術に比較して、キセノンランプの動作回数及び動作時間を低く抑えることが出来、キセノンランプ及び点灯回路の長寿命化を図ることが出来る。
【0062】
(3) 照射装置のメンテナンス回数を減少することが出来る。
キセノンランプ及び点灯回路の長寿命化により、構成部品の交換頻度が減少し、メンテナンス回数の減少につながる。
【0063】
(4) これらランプ始動性の改善、ランプ自体やその点灯回路の部品(特に、電解コンデンサ)の短寿命化、メンテナンスの回数の増加といった問題を解決している。
照射回数を大幅に減少することが出来たため、キセノンランプの寿命が長くなると共に、発振回路も廉価になった。
【0064】
[その他]
以上、本発明に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の実施形態に関して説明したが、本発明の範囲はこれらの実施形態によって制限されるものではない。当業者であれば容易になし得る実施形態に対する追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
[産業上の利用可能性]
本発明に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置は、波長315〜400nm(UV−A領域)の紫外線を効率よく照射し、例えば、塗料、樹脂等の硬化処理などに好適に用いることができる。