(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物、それを硬化させてなる硬化膜およびその製造方法ならびにそれを具備する光学デバイスおよび裏面照射型CMOSイメージセンサ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(b)ポリシロキサン化合物のSi原子モル数に対する、当該ポリシロキサン化合物を構成する一般式(1)および/または(2)で示される構造単位中のSi原子モルの比が、5モル%以上30モル%以下である請求項3〜6のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
前記(a)金属化合物粒子がアルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子から選ばれる1以上の金属化合物粒子またはアルミニウム化合物、スズ化合物、チタン化合物およびジルコニウム化合物から選ばれる1以上の金属化合物とケイ素化合物との複合粒子である請求項1〜7のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
前記(a)金属化合物粒子が、(b)ポリシロキサン化合物100重量部に対して、10重量部以上500重量部以下である請求項1〜10のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
少なくとも、光電変換層、カラーフィルターおよび平坦化層を順に有する裏面照射型CMOSイメージセンサであって、前記カラーフィルターは、請求項1〜11のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物から得られるパターンによって着色画素が区分されており、前記平坦化層の屈折率が前記パターンの屈折率よりも小さい、CMOSイメージセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、以下の(a)〜(d)を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
(a)金属化合物粒子、
(b)ポリシロキサン化合物、
(c)α,β−不飽和カルボン酸エステル構造を含む基を1つ以上有する化合物、
(d)光重合開始剤
さらに(e)マレイミド基を有する化合物を含有することを特徴とするネガ型感光性組成物である。
【0012】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物で用いられる(a)金属化合物粒子は特に限定されないが、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子から選ばれる1以上の金属化合物粒子またはアルミニウム化合物、スズ化合物、チタン化合物およびジルコニウム化合物から選ばれる1以上の金属化合物とケイ素化合物との複合粒子を用いると屈折率が向上し、光集光率をさらに上げることができる点で好ましい。
【0013】
さらに(a)金属化合物粒子の数平均粒子径が1nm〜400nmであることが好ましい。(a)金属化合物粒子の数平均粒子径が1nm以上であることにより厚膜形成時のクラック発生をより抑制することができ、かかる観点から5nm以上であることがより好ましい。
【0014】
また(a)金属化合物粒子の数平均粒子径が400nm以下であることにより硬化膜の可視光に対する透明性をより向上させることができ、かかる観点から70nm以下であることがより好ましい。ここで、(a)金属化合物粒子の数平均粒子径は、ガス吸着法や動的光散乱法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡により粒子径を直接測定する方法などにより測定することができるが、本発明においては、動的光散乱法により測定した値を指す。測定に用いる機器は特に限定されないが、ダイナミック光散乱高度計DLS−8000(大塚電子(株)製)などを挙げることができる。
【0015】
(a)金属化合物粒子の例としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子の“オプトレイクTR−502”、“オプトレイクTR−504”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の“オプトレイクTR−503”、“オプトレイクTR−513”、“オプトレイクTR−520”、“オプトレイクTR−527”、“オプトレイクTR−528”、“オプトレイクTR−529”、“オプトレイクTR−543”、“オプトレイクTR−544”、“オプトレイクTR−550”、酸化チタン粒子の“オプトレイクTR−505”(以上、“オプトレイク”は登録商標、触媒化成工業(株)製)、NOD−7771GTB(商品名、ナガセケムテックス(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)、“バイラール”(登録商標)Zr−C20(酸化チタン粒子;平均粒径=20nm;多木化学(株)製)、ZSL−10A(酸化チタン粒子;平均粒径=60−100nm;第一稀元素株式会社製)、“ナノユース”(登録商標)OZ−30M(酸化チタン粒子;平均粒径=7nm;日産化学工業(株)製)、SZR−M若しくはSZR−K(以上酸化ジルコニウム粒子;いずれも堺化学(株)製)、HXU−120JC(酸化ジルコニア粒子;住友大阪セメント(株)製)、ZR−010(酸化ジルコニア粒子;株式会社ソーラー)又はZRPMA(ジルコニア粒子;シーアイ化成株式会社)が挙げられる。
【0016】
本発明のネガ型感光性組成物で用いられる、(b)ポリシロキサン化合物について説明する。
【0017】
本発明に用いる(b)ポリシロキサン化合物は、主骨格がシロキサン、つまりSi−O結合を有するポリマーであれば特に限定はされないが、アルカリ溶解性を向上させ、非パーターン部の現像液溶解性を向上させることによりパターン形成(以後非パターン部を現像液へ溶解させることによりパターンを形成することをパターニングと記すこともある)がより容易になり、また露光における感度をより高く保つという点から、主骨格中に一般式(1)および/または(2)で示される構造単位が含まれることが好ましい。
【0019】
(R
1はカルボキシル基および/またはジカルボン酸無水物構造を有する有機基、R
2は、水素、炭素1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基または炭素数6〜16のアリル基を表す。)
R
1としては、3−コハク酸無水物プロピル基、3−コハク酸無水物プロピル基、プロピオン酸基、3−マレイン酸プロピル基、3−フタル酸プロピル基、3−無水ナフタル酸プロピル基、3−(p−安息香酸)プロピル基、3−(m−安息香酸)プロピル基、3−(o−安息香酸)プロピル基、などが挙げられる。
【0020】
R
2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基または炭素数6〜16のアリール基を表し、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などがあげられ、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基などがあげられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、などがあげられる。
【0021】
前記一般式(1)および/または(2)の化合物のR
1が下記一般式(11)〜(13)のいずれかで表されるジカルボン酸無水物を有する有機基であることが好ましい。
【0023】
(上記一般式(11)〜(13)中、R
15、R
16およびR
17は、単結合、または炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、炭素数6〜16の芳香族基、もしくはこれらのいずれかを有する2価の基を表す。これらの基の水素原子が炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基で置換されていてもよい。r、s、tおよびuは0〜3の整数を表す。)
なお、単結合とは、R
15、R
16またはR
17が、結合基としては存在せず、R
15、R
16またはR
17が、結合しうる位置に、Si原子が直接結合していることを示す。
【0024】
また一般式(1)および/または(2)で示される構造単位中のSi原子モル数の比が、5モル%以上であると現像時にアルカリ現像液でパターニングがより確実にでき、30モル%以下であると硬化膜にした際に耐湿熱性ががより向上するという点から、ポリシロキサン化合物のSi原子モル数に対する、当該ポリシロキサン化合物を構成する一般式(1)および/または(2)で示される構造単位中のSi原子モル数の比が、5モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
【0025】
(b)ポリシロキサン化合物が、一般式(1)および/または(2)で示される構造単位に加えて、さらに一般式(3)および/または(4)で示される構造単位を含むと、露光時にポリマーが光架橋することにより硬化膜の架橋密度が上がり、耐薬品性がより向上したり、パターンの断面形状がより矩形になるという点でより好ましい。
【0027】
(R
3は炭素数2〜10のアルケニル基を有する有機基、R
4は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数2〜10のアルケニル基を有する有機基または炭素数6〜16のアリール基を表す。)
R
4としては、前述の一般式(1)におけるR
2とに記載した基から選ばれる基を用いることができる。このとき、一般式(1)におけるR
2と一般式(3)におけるR
4とは、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0028】
R
3としてはビニル基、アリル基、スチリル基、γ−アクリロイルプロピル基、メタクリロイル基、アクリロイル基(メタクリロイル基とアクリロイル基を総称して、「(メタ)アクリロイル基」と記すこともある。:以降も同様)、アクリロイルプロピルメチル、グリシドキ基、などが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、反応性が高くより感度が高く、架橋密度が上がるという点でアリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基またはスチリル基であることが好ましい。
【0029】
本発明のネガ型感光性組成物で用いられる、(b)ポリシロキサン化合物に適用し得る、その他の構造単位は特に限定されないが、下記一般式(14)および/または(15)のシランモノマーを重縮合して得られる構造単位があげられる。
【0031】
一般式(14)で表されるオルガノシランにおいて、R
18は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR
18はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。ここで、「複数のR
18」とは、nが2または3である場合について示したものである。また、これらのアルキル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のいずれでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基およびその置換体の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基などが挙げられる。アリール基およびその置換体の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0032】
一般式(14)のR
19は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR
19はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。ここで、「複数のR
19」とは、4−nが2〜4である場合について示したものである。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
【0033】
一般式(14)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
【0034】
一般式(14)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリ−n−プロポキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、1−アントラセニルトリメトキシシラン、9−アントラセニルトリメトキシシラン、9−フェナントレニルトリメトキシシラン、9−フルオレニルトリメトキシシラン、2−フルオレニルトリメトキシシラン、2−フルオレノンイルトリメトシキシラン、1−ピレニルトリメトキシシラン、2−インデニルトリメトキシシラン、5−アセナフテニルトリメトキシシランなどの3官能シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランなどの2官能シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの1官能シランが挙げられる。なお、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのオルガノシランの中でも、硬化膜の耐クラック性や硬度の点から3官能シランが好ましく用いられる。
【0036】
一般式(15)で表されるオルガノシランにおいて、式中、R
20からR
23はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。一般式(15)のvは2から8の整数であり、vは分布を有してもよい。
【0037】
一般式(15)で表されるオルガノシランを用いることで、高い耐熱性や透明性を維持しつつ、感度と解像度により優れたポジ型感光性組成物が得られる。一般式(15)で表されるオルガノシランの具体例としては、メチルシリケート51(扶桑化学工業株式会社製)、Mシリケート51、シリケート40、シリケート45(多摩化学工業株式会社製)、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48(コルコート株式会社製)などが挙げられる。
【0038】
(b)ポリシロキサン化合物を合成する際に、前記(a)金属化合物粒子と混合した状態で合成することにより、(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを部分結合させることができる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物が部分結合していることにより(a)金属化合物粒子の分散性が向上するため保存安定性がより向上する点で好ましい。
【0039】
また(a)金属化合物粒子が(b)ポリシロキサン化合物100重量部に対して10重量部以上であると硬化膜にした際により屈折率が高くなり光集光効率がより向上し、また500重量部以下であると硬化膜にする際の空気層の形成をより抑制することができ、屈折率の低下をより抑制できることから(a)金属化合物粒子が、(b)ポリシロキサン化合物100重量部に対して、10重量部以上500重量部以下であることが好ましい。
【0040】
本発明のネガ型感光性組成物は(c)α,β−不飽和カルボン酸エステル構造を含む基を1つ以上有する化合物を含有する。
【0041】
α,β−不飽和カルボン酸エステル構造を含む基を1つ有する化合物としては、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート、フェノキシポリエテレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルスクシネート、イソステアリルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルスクシネート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ネオペンチルグリコール−アクリル酸−安息香酸エステル、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0042】
またフェノールエチレンオキシド変性アクリレート(以降、「エチレンオキシド変性」を「EO変性」と略記することもある)、o−フェニルフェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキシド変性アクリレート(以降、「プロピレンオキシド変性」を「PO変性」と略記することもある)、ノニルフェノールEO変性アクリレート、2−エチルヘキシルEO変性アクリレートなども挙げることができる。
【0043】
アルケニル基を2つ有する化合物としてはエチレングリコールジメチルエーテルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールFのEO変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、などが挙げられる。
【0044】
前記(c)α,β−不飽和カルボン酸エステル構造を含む基を1つ以上有する化合物は特に制限されないが、骨格に剛直な有機基を有し、より解像度に優れるという点から、下記一般式(5)〜(10)から選ばれる1以上であることが好ましい。
【0046】
(一般式(5)中、R
5は単結合、炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
5はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R
6は水素またはメチル基を表し、複数のR
6はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。hは0〜3の整数を表し、i、jは0〜2の整数を表し、i+j=1〜2である。)
なお、単結合とは、R
5が、結合基としては存在せず、R
5が、結合しうる位置に、O原子が直接結合していることを示す(以降についても同様である)。また、「複数のR
5」および「複数のR
6」とあるのは、上記においてi+j=2である場合について示したものである(以降についても同様である)。
【0047】
一般式(5)で表される化合物としては、ジメチロールトリシクロデカンアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートが挙げられる。
【0049】
(一般式(6)中、R
7は単結合、炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
7はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R
8は水素またはメチル基を表し、複数のR
8はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。kは1〜2の整数を表す。)
一般式(6)で表される化合物としては1−ナフチルアクリレート、1−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ナフチルジアクリレート、9,9-ビス [4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、1,4−エチレンオキシドジメタクリレートナフタレンが挙げられる。
【0051】
(一般式(7)中、R
9は単結合、炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
9はそれぞれ同じでも異なってもよい。R
10は水素またはメチル基を表し、複数のR
10はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R
11は水素または炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
11はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。l、mは0〜2の整数を表し、l+m=1〜2である。)
化合物(7)で表される化合物としては、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3、5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3、5−ジメチルフェニル]フルオレンが挙げられる。なお、一般式(7)では、2つあるフェニレン基にそれぞれ1つのR
11が、記されているが、1つのフェニレン基に複数のR
11が、結合していてもよい。
【0053】
(一般式(8)中、R
12は単結合、炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
12はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。oは1〜2の整数を表す。)
一般式(8)で表される化合物としてはノルボルネンモノアクリレート、ノルボルネンジアクリレート、ノルボルネンエチレンオキシドアクリレート、ノルボルネンオキシドジアクリレートが挙げられる。
【0055】
(一般式(9)中、R
13は単結合、炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族基または炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基を表し、複数のR
13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。pは1〜2の整数を表す。)
一般式(9)で表される化合物としてはアダマンタンモノアクリレート、アダマンタンジアクリレート、アダマンタンエチレンオキシドアクリレート、アダマンタンエチレンオキシドジアクリレートが挙げられる。
【0057】
(一般式(10)中、qは0〜3の整数を表し、R
14は炭素数1〜10かつ酸素数1〜3の鎖状脂肪族を表す)
一般式(10)で表される化合物としては、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドが挙げられる。
【0058】
本発明のネガ型感光性シロキサン組成物は、(d)光重合開始剤を含有する。ここで光重合開始剤とは、光(紫外線および電子線を含む)により分解および/又は反応し、ラジカルを発生させる化合物をいう。
【0059】
光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキシド、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタンアミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル−9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェート(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ナフタレンスルホニルクロリド、キノリンスルホニルクロリド、N−フェニルチオアクリドン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイル若しくはエオシン又はメチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸若しくはトリエタノールアミンなどの還元剤との組み合わせが挙げられる。
【0060】
硬化膜の硬度をより高くするためには、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物又はアミノ基を有する安息香酸エステル化合物が好ましい。
【0061】
α−アミノアルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1が挙げられる。
【0062】
アシルホスフィンオキシド化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0063】
オキシムエステル化合物のとしては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム又はエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)が挙げられる。
【0064】
アミノ基を有するベンゾフェノン化合物としては、例えば、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン又は4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0065】
アミノ基を有する安息香酸エステル化合物としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート又はp−ジエチルアミノ安息香酸エチルが挙げられる。
【0066】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は(e)マレイミド基を有する化合物を含有する。マレイミド化合物とはマレイミド基を有する化合物であり、パターニングに先立つ露光時にラジカル反応だけではなく、酸素障害を受けない光二量化反応を起こすことが知られており、パターンの酸素に触れる表面でも光2量化反応が進行するため従来ラジカル反応だけでは反応しにくい表面が光反応しやすくなる。さらにその高い疎水性からアルカリ水溶液にさらに表面が溶解しにくくなることから、パターンの断面形状がより矩形になりやすい。
【0067】
(e)マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド(日本触媒 “イミレックス−P”(登録商標))、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンシイミダゾリル)フェニル]マレイミド、1,4−ビス(マレイミド)ブタン、1,2−ビス(マレイミド)エタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、1,2−ビス(マレイミド)エタン、1,6−ビス(マレイミド)ヘキサン、N−t−ブチルマレイミド、N−ジクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミド、フルオレセシン−5−マレイミド、4−マレイミドブタン酸、6−マレイミドヘキサン酸、3−マレイミドプロピオン酸、N−メトキシカルボニルマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン(大和化成工業(株))4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70)、2、2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイ・アイ化成株式会社)、などがあげられる。光二量化反応により分子量がより増大するため、マレイミド基を2個以上有する化合物がより好ましい。添加量としては光硬化反応により耐薬品性がより向上するという点から含有量は(a)金属化合物粒子、(b)ポリシロキサン化合物、(c)α,β−不飽和カルボン酸エステル構造を含む基を1つ以上有する化合物の合計を100重量部とした時に4重量部以上が好ましい。また(b)ポリシロキサン化合物との相溶性が良く光硬化時により光反応するという点からマレイミド化合物の分子量は2000以下が好ましく、さらに800以下がより好ましい。
【0068】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(f)溶剤を含有することが好ましい。溶剤は特に制限はないが、アルコール性水酸基を有する化合物を溶剤に用いることが好ましい(以降、アルコール性水酸基を有する化合物を溶剤に用いた場合の溶剤を、「アルコール性水酸基を有する溶剤」と略記する)。アルコール性水酸基を有する溶剤を用いると、(b)ポリシロキサン化合物の安定性を向上させ、ネガ型感光性樹脂組成物から得られる塗布膜の透明性をより向上させることができる。
【0069】
アルコール性水酸基を有する溶剤は特に制限されないが、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物が好ましい(以降、「大気圧下の沸点」を、「沸点」と略記する)。沸点が110℃以上であれば、塗布膜形成時の乾燥が適度に進み、表面外観の良好な塗布膜を容易に得ることができる。一方、沸点が250℃以下であれば、溶剤の除去が容易である。
【0070】
アルコール性水酸基を有する溶剤の具体例としては、アセトール(沸点:147℃)、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン(沸点:140℃)、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン(沸点:73℃)、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン(沸点:144℃)、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)(沸点:166℃)、乳酸エチル(沸点:151℃)、乳酸ブチル(沸点:186℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:118℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点:132℃)、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル(沸点:約150℃)、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル(沸点:170℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:約190℃)、3−メトキシ−1−ブタノール(沸点:161℃)、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール(沸点:174℃)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0071】
また、上記アルコール性水酸基を有する溶剤とともに、または上記溶剤にかえて、その他の溶剤を含有してもよい。その他の溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、アセト酢酸エチルなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。
【0072】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物が(f)溶剤を含有する場合における(f)溶剤の含有量に特に制限はないが、(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物との合計量に対して100〜2,000重量部の範囲であることが好ましい。
【0073】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、塗布時のフロー性向上のために、各種のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、“メガファック(登録商標)”F142D、同F172、同F173、同F183、同F445、同F470、同F475、同F477(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、NBX−15、FTX−218、DFX−18((株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤、BYK−333、BYK−301、BYK−331、BYK−345、BYK−307(ビックケミージャパン(株)製)などのシリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
【0074】
さらに、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、架橋剤、架橋促進剤、増感剤、熱ラジカル発生剤、溶解促進剤、溶解抑止剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
【0075】
本発明の硬化膜は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる。また本発明の硬化膜は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、露光した後に現像し、次いで熱硬化させる製造方法により得ることができる。以下に具体的な例を挙げて説明するが、同等の効果を有する範囲であれば、本発明の硬化膜は、これらの例に記載の条件により得られるものに限定されるものではない。
【0076】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を、スピン塗布やスリット塗布などの公知の方法によって基板上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置を用いて加熱(プリベーク)し組成物中の溶媒を蒸発させる。プリベークは、50〜150℃の温度範囲で30秒〜30分間行うことが好ましい。プリベーク後の膜厚は0.1〜15μmが好ましい。
【0077】
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(PLA)などの紫外可視露光機を用い、所望のマスクを介して10〜4000J/m
2程度(波長365nm露光量換算)露光を行い、露光部を架橋させ現像液への溶解性を減少させるかまたは不溶性とする。
【0078】
露光後、現像により未露光部を溶解除去し、ネガパターンを得る。パターンの解像度は、好ましくは8μm以下である。現像方法としては、シャワー、ディップ、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができ、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、コリンなどの4級アンモニウム塩の水溶液などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、現像後は水でリンスすることが好ましく、必要であればホットプレート、オーブンなどの加熱装置で50〜150℃の温度範囲で脱水乾燥ベークを行ってもよい。
【0079】
この様にして現像された膜を、必要に応じホットプレート、オーブンなどの加熱装置で50〜250℃の温度範囲で30秒〜30分間加熱(ソフトベーク)を行った後、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置で150〜450℃の温度範囲で30秒〜2時間程度加熱(キュア)することで、硬化膜を得る。
【0080】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、パターン形成における生産性の観点から、露光時の感度が1500J/m
2以下であることが好ましく、1000J/m
2以下であることがより好ましい。このような高い感度は、カルボキシル基および/またはジカルボン酸無水物構造を有するオルガノシランを用いたポリシロキサン化合物を含有するネガ型感光性樹脂組成物を用いるとより容易に得ることができる。
【0081】
露光時の感度は、以下の方法により求められる。ネガ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて任意の回転数でスピン塗布し、ホットプレートを用いて120℃で3分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を作製する。PLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯により感度測定用の1〜10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するグレースケールマスクを介してプリベーク膜を露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38重量%TMAH水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスする。形成されたパターンにおいて、設計寸法100μmの正方形パターンが現像後に剥がれず、基板上に残って形成される露光量(以下、これを最適露光量という)を感光感度とする。
【0082】
その後、熱硬化工程として、ホットプレートを用いて220℃で5分間キュアして硬化膜を作製し、前記感光感度における最小パターン寸法をキュア後解像度として求める。
【0083】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜は、波長400nmにおける膜厚1μmあたりの光透過率が90%以上であることが好ましく、さらに好ましくは92%以上である。なお、本発明において「透過率」は、透明性の指標として用いている。このような高い透過率は、例えば透明性の高いポリシロキサン化合物を樹脂成分として用いたネガ型感光性樹脂組成物により容易に得ることができる。なお、ここでの「膜厚1μmあたりの光透過率」とは、測定時の膜厚の実測値が1μmである場合にはその膜厚での光透過率を、測定時の膜厚の実測値が1μmでない場合には、膜厚が1μmである場合に換算した光透過率をいうものとする。
【0084】
硬化膜の波長400nmにおける膜厚1μmあたりの透過率は、以下の方法により求められる。ネガ型感光性樹脂組成物をテンパックスガラス板にスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で3分間プリベークする。ホットプレートを用いて大気中220℃で5分間熱硬化して膜厚1μmの硬化膜を作製する。得られた硬化膜の紫外可視吸収スペクトルを(株)島津製作所製MultiSpec−1500を用いて測定し、波長400nmでの透過率を求める。別の方法としては、対象硬化膜の各波長λによる消衰係数k、膜厚tを大塚電子(株)製分光エリプソメータFE5000により測定し、下記式により求めることができる。
透過率=exp(−4πkt/λ)
なお、作製した硬化膜の膜厚が1μmからはずれた際には、以下の式にて計算できる。
膜厚が1μmあたりの透過率={(透過率/100)^ (1/t)}*100にて計算できる。
ただし、kは消衰係数、tは膜厚、λは測定波長、を表す。
【0085】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物および硬化膜は、イメージセンサ(固体撮像素子)、光学フィルター、ディスプレイ、LED照明、などの光学デバイスに好ましく用いられる。本発明の硬化膜を具備する光学デバイスとして、中でもLED照明が好ましいものとして挙げられる。LED照明とは、発光ダイオード(Light Emitting Diode)を用いた照明である。発光ダイオードは、化合物半導体の特性を用いて、電気エネルギーを光エネルギーに変換するEL(Electro Luminescence)素子の一種であり、3−5族化合物半導体を利用したものが実用化されている。その3−5族化合物半導体は直接遷移型半導体であり、他の半導体を用いた素子より高温で安定した動作が可能である。更に3−5族化合物半導体は、エネルギー変換効率が良いことや長寿命であることから種々の照明デバイスやイルミネーション、電子機器などに多く使われている。このような発光ダイオードの光を多く取り出すために本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて高屈折率の膜、もしくは高屈折率パターンを用いることで、消費電力が少なくより明るいLED照明が実現できる。
【0086】
また、本発明の硬化膜を具備する光学デバイスの別の好ましい例として、イメージセンサが挙げられる。より具体的には、イメージセンサなどの固体撮像素子に形成される集光用マイクロレンズや光導波路、光学フィルターとして設置される反射防止膜、などが挙げられる。これらの中でも、高い透明性と高い屈折率を両立できることから、固体撮像素子上に形成される集光用マイクロレンズや、集光用マイクロレンズと光センサー部を繋ぐ光導波路として特に好適に用いられる。
【0087】
また、本発明の硬化膜を具備するイメージセンサとして、少なくとも、光電変換層、カラーフィルターおよび平坦化層を順に有する裏面照射型CMOSイメージセンサであって、前記カラーフィルターが、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られるパターンによって着色画素が区分されており、前記平坦化層の屈折率が前記パターンの屈折率よりも小さいものが好ましい。本発明のネガ型組成物はテーパー角の高い形状を形成できるためイメージセンサの着色画素の透明隔壁材料と使用することができ、着色画素を区分し、さらに上部にそれよりも屈折率の低い平坦化層を形成することにより、屈折率差や、高透明隔壁により、集光効率を向上させることができるためである。
【0088】
これらの他にも、ディスプレイ用TFT基板の平坦化材、液晶ディスプレイなどのカラーフィルターおよびその保護膜、位相シフターなどが本発明の硬化膜を具備する光学デバイスの別の好ましい例として、挙げられる。また、半導体装置のバッファコート、層間絶縁膜や、各種保護膜として用いることもできる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、エッチング法によるパターン形成が不要であるため作業の簡略化が可能であり、エッチング薬液やプラズマによる配線部の劣化を回避することができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。合成例および実施例に用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DAA:ジアセトンアルコール
ポリシロキサン化合物の溶液の固形分濃度は、以下の方法により求めた。アルミカップにポリシロキサン化合物の溶液を1.5g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分を秤量して、ポリシロキサン化合物の溶液の固形分濃度を求めた。
【0090】
(合成例1) カルボキシル基含有シラン化合物(A)の合成
300mlのナスフラスコにp−アミノ安息香酸を23.23g、PGMEAを209.05g仕込み、室温にて30分間撹拌してp−アミノ安息香酸を溶解させた。得られた溶液に、イソシアネートプロピルトリエトキシシランを46.53g、ジラウリン酸ジブチルスズを1.19g仕込み、70℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後室温まで放冷し、析出した固体をガラスフィルターにて濾取、乾燥させ、カルボキシル基含有シラン化合物(A)を得た。収量は46.7gだった。
【0091】
(合成例2) カルボキシル基含有シラン化合物(B)の合成
300mlのナスフラスコにp−ヒドロキシ安息香酸を23.39g、PGMEAを210.5g仕込み、室温にて30分間撹拌してp−ヒドロキシ安息香酸を溶解させた。得られた溶液に、イソシアネートプロピルトリエトキシシランを46.53g、ジラウリン酸ジブチルスズを1.19g仕込み、40℃のオイルバスで3時間撹拌した。その後室温まで放冷し、析出した固体をガラスフィルターにて濾取、乾燥させ、カルボキシル基含有シラン化合物(B)を得た。収量は42.4gだった。
【0092】
(調製例1) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製(ポリシロキサン化合物の合成ステップを含む:以降の調製例も同様)
500mlの三口フラスコに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを7.03g(0.03mol)、カルボキシル基含有シラン化合物(A)を15.37g(0.04mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン7.45g(0.03mol)、酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子のメタノール分散液(20.6重量%)である“オプトレイク” (登録商標)TR−527(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は15nm)を156g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(22.3g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを83.84g仕込み、室温で撹拌しながら水5.4gにリン酸0.217gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。なお前記数平均粒子径はダイナミック光散乱高度計DLS−8000(大塚電子(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定した。
【0093】
その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、(a)金属化合物粒子として酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例1にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−01」と記す。すなわちPS−01の重量部は、溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物との合計の部数であって、溶媒やその他の成分は含まない(以降のPS−02〜PS−09についても同様)。
【0094】
(調製例2) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを5.86g(0.025mol)、カルボキシル基含有シラン化合物(B)を19.26g(0.05mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン6.21g(0.025mol)、酸化チタン粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散液(20.2重量%)(登録商標)NOD−7771GTB(商品名、ナガセケムテックス(株)製、数平均粒子径は25nm)を181.4g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(24.4g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを89.12g仕込み、室温で撹拌しながら水5.4gにリン酸0.157gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例2にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−02」と記す。
【0095】
(調製例3) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコにp−スチリルトリメトキシシラン5.61g(0.025mol)、カルボキシル基含有シラン化合物(B)を19.21g(0.05mol)、1−アントラセニルトリメトキシシラン7.45g(0.025mol)、酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子のメタノール分散液(20.6重量%)である(登録商標)“オプトレイク”TR−550(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は20nm)を175.7g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(24.1g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを88.03g仕込み、室温で撹拌しながら水5.4gにリン酸0.155gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例3にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−03」と記す。
【0096】
(調製例4) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコにp−スチリルトリメトキシシラン11.22g(0.05mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を6.56g(0.025mol)、1−ナフチルシランを6.21g(0.025mol)、23.4%の酸化チタン分散液である“ナノユース”(登録商標)OZ−30M(酸化チタン粒子、日産化学工業(株)製、数平均粒子径は7nm)112.38g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(17.5g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを64.63g仕込み、室温で撹拌しながら水5.85gにリン酸0.120gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例4にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−04」と記す。
【0097】
(調製例5) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコにp−スチリルトリメトキシシラン11.22g(0.05mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を6.56g(0.025mol)、1−ナフチルシランを6.21g(0.025mol)、23.4%の酸化チタン分散液である“ナノユース”(登録商標)OZ−30M(酸化チタン粒子、日産化学工業(株)製、数平均粒子径は7nm)112.38g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(18.9g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを64.63g仕込み、室温で撹拌しながら水5.85gにリン酸0.120gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例5にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−05」と記す。
【0098】
(調製例6) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
3−メタクリロキシプロピリトリメトキシシラン13.02g(0.05モル)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を6.56g(0.025mol)、1−アントラセニルトリメトキシシランを7.45g(0.025mol)、20.6重量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク” (登録商標)TR−550(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は20nm)を149.86g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(20.6g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを75.89g仕込み、室温で撹拌しながら水5.85gにリン酸0.135gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例6にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−06」と記す。
【0099】
(調製例7) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを5.45g(0.04mol)、フェニルトリメトキシシランを9.9g(0.05mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を2.6g(0.01mol)、22.0重量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク” (登録商標)TR−527(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は20nm)を76.9g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(20.5g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを40.7g仕込み、室温で撹拌しながら水5.6gにリン酸0.09gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例7にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−07」と記す。
【0100】
(調製例8) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを5.45g(0.04mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を5.25g(0.02mol)、1−ナフチルトリメトキシシランを9.93g(0.04mol)、20.6重量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク” (登録商標)TR−550(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は20nm)を102.6g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(14.1g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを52.3g仕込み、室温で撹拌しながら水5.76gにリン酸0.103g(仕込みモノマーに対して0.50重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例8にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−08」と記す。
【0101】
(調製例9) (a)金属化合物粒子が分散した、(b)ポリシロキサン化合物の溶液の調製
500mlの三口フラスコに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを5.86g(0.025mol)、カルボキシル基含有シラン化合物(B)を19.26g(0.05mol)、フェニルトリメトキシシラン4.96g(0.025g)、酸化チタン粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散液(20.2重量%)(登録商標)NOD−7771GTB(商品名、ナガセケムテックス(株)製、数平均粒子径は25nm)を172.1g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(23.2g)100重量部に対して、粒子含有量150重量部)、DAAを89.12g仕込み、室温で撹拌しながら水5.4gにリン酸0.157gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、調製例1と同様に加熱撹拌して(a)金属化合物粒子として酸化チタン粒子が分散した(b)ポリシロキサン化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度を35重量%になるようにDAAにて希釈した。なお、実施例での組成において、本調製例10にて得た溶液に含まれる(a)金属化合物粒子と(b)ポリシロキサン化合物とを総称して「PS−09」と記す。
【0102】
また得られたネガ型感光性樹脂組成物の各評価は、以下の方法で行った。なお各評価はn=2で行い、その平均値を表8〜10に記載した。
【0103】
(1)膜厚
ラムダエースSTM−602(商品名、大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.70でプリベーク膜の膜厚、現像後膜の露光部膜厚および硬化膜の膜厚を測定した。
【0104】
(2)残膜率
残膜率は以下の式に従って算出した。
残膜率(%)=現像後膜の露光部膜厚÷プリベーク膜の膜厚×100
(3)感光感度の算出
得られたプリベーク膜をPLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯により、感度測定用のグレースケールマスク(Opto−Line製 Multi density Resolution Mask)を介してパターン露光した。設計寸法100μmの正方形パターンが現像後に剥がれず、残って形成される最小露光量を感光感度とした。
【0105】
(4)解像度
得られた現像後膜について、全ての露光量での正方形パターンを観察し、最小パターン寸法を現像後解像度とした。同様に得られた硬化膜について、全ての正方形パターンを観察し、最小パターン寸法をキュア後解像度として観察を行った。
【0106】
(5)屈折率
得られた硬化膜について、大塚電子(株)製分光エリプソメータFE5000を用いて、22℃での550nmにおける屈折率を測定した。
【0107】
(6)光透過率(400nm波長、1μm換算)
得られた硬化膜の400nm波長による消衰係数を大塚電子(株)製分光エリプソメータFE5000により測定し、下記式により400nm波長における膜厚1μm換算での光透過率(%)を求めた。
光透過率=exp(−4πkt/λ)
ただし、kは消衰係数、tは膜厚(μm)、λは測定波長(nm)を表す。なお、作製した硬化膜の膜厚が1μmからはずれた際には、以下の式にて計算した。
膜厚が1μmあたりの透過率={(透過率/100)^ (1/t)}*100。
【0108】
(7)耐溶剤性
得られた硬化膜について、PGMEA溶剤に25℃2分間浸漬し、その前後での残膜率が99%以上のときにきわめて良好(A)、95%以上であるとき良好(B)、95%未満であるとき不良(D)であると判定した。なお残膜率は以下の式に従って算出した。
残膜率(%)=PGMEA溶剤浸漬後膜厚÷PGMEA溶剤浸漬前膜厚×100
膜厚については、上記(1)膜厚測定に記載の方法で測定した。
【0109】
(8)テーパー角
1.5μm角の市松模様のマスクを用いて露光後、パタ。ーニングして得られた硬化膜についてそれぞれの露光量での断面SEM写真からパターンの断面のテーパー角度を求めた。すべての露光量にて1.5μmのパターンが解像していない場合はD、すべての露光量のうちで一番高いテーパー角度が45°〜60°の場合をC、60°〜75°をB、75°〜90°をAと表記した。
【0110】
(実施例1)
表1の組成物1の比率となるよう調合し、フッ素系界面活性剤として、DFX−18((株)ネオス製)を30ppm添加し、黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
【0111】
組成物1を調製直後に8インチシリコンウェハーにスピンコーター(ミカサ(株)製1H−360S)を用いてスピン塗布した後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて100℃で3分間加熱し、膜厚1.0μmのプリベーク膜を作製した。得られたプリベーク膜を用いて、(1)膜厚測定、(3)感光感度の算出を行った。
【0112】
得られたプリベーク膜をi−線ステッパー(ニコン(株)製i9C)を用いて、100msec〜1000msecまで50msec刻みで露光を行った。露光を行った後に、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38重量%TMAH水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスして、現像後膜1を得た。その後、ホットプレートを用いて220℃で5分間キュアして硬化膜1を作製した。得られた現像後膜1、硬化膜1を用いて、(4)解像度、(8)テーパー角度の評価を行った。
【0113】
また得られたプリベーク膜をPLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯により1500J/m
2露光を膜全面に対して行った。露光を行った後に、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38重量%TMAH水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスして、現像後膜2を得た。その後、ホットプレートを用いて220℃で5分間キュアして硬化膜2を作製した。
【0114】
得られた現像後膜2、硬化膜2を用いて(1)膜厚の測定を行った。また上記のプリベーク膜の膜厚の測定値と本現像後膜2の膜厚の測定値を用いて、(2)残膜率の算出を行った。またさらに得られた硬化膜2を用いて、(5)屈折率の算出、(6)光透過率の測定、(7)耐溶剤性評価を行った。これらの結果を表7に示す。
【0115】
(実施例2〜14、比較例1〜21)
組成物の成分を表1〜6に示すとおりに変更したほかは実施例1と同様にして組成物2〜35を調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にしてプリベーク膜、現像後膜、硬化膜を作製し、評価を行った。評価結果を表7〜9に示す。
【0116】
なお(5)屈折率の算出、(6)光透過率の測定、(7)耐溶剤性評価において、現像にて膜が全部溶解して評価が出来なかった場合は、現像を行わない以外は実施例1と同様にして硬化膜を作製し評価を行った。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
【表9】