(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1回当たり標準利用時間は、乗客コンベアの走行速度と、乗客コンベアのコンベア部の走行方向の長さとに基づいて定まる、乗客コンベアのコンベア部への利用者の搭乗時間である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の音声案内装置。
前記1回当たり標準利用時間は、乗客コンベアの走行速度と、乗客コンベアのコンベア部の走行方向の長さとに基づいて定まる、乗客コンベアのコンベア部への利用者の搭乗時間と、乗客コンベアの乗り口に対して走行方向手前側の領域であって、乗客コンベアに搭乗中と同程度以上の音圧レベルが確保される所定領域を乗客コンベアの利用者が搭乗のために通過するのに要する標準通過時間とを加算した時間である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の音声案内装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(実施形態1)
1.構成
図1は、実施形態1におけるエスカレータの概略側面図である。
図2は、実施形態1におけるエスカレータの概略平面図である。なお、
図1は、
図2のA−A線による断面位置での概略側面図である。本実施形態におけるエスカレータ1は、エスカレータ本体10と、モータ20と、電力供給装置30と、制御装置40と、スピーカ50とを有する。スピーカ50は音声案内装置の音声出力部の一例であり、制御装置40は音声案内装置の制御部の一例である。音声案内装置は、エスカレータ1の利用者に、エスカレータ利用上の注意を喚起する案内音声等を出力する。
【0012】
エスカレータ本体10は、建築物の2つの階床F1、F2間に架け渡された状態で設置されている。エスカレータ本体10は、無端状に連結された複数の踏段11と、無端状の移動手摺12(ハンドレール)と、モータ20の動力を踏段11及び移動手摺12に伝達する動力伝達機構(不図示)とを有する。複数の踏段11及び移動手摺12は、モータ20の動力により循環走行する。複数の踏段11のうち利用者が搭乗可能な外部に露出する部分は、利用者を乗り口5a側から降り口5b側に運搬するコンベア部15を構成する。
【0013】
電力供給装置30は、モータ20に駆動用の電力を供給する。電力供給装置30は、例えば、制御装置40による制御に基づいて供給電力を変化させることが可能なインバータにより構成されている。
【0014】
スピーカ50は、制御装置40から出力される音声信号に基づく音声を出力する。スピーカ50は、音声出力部の一例である。音声出力部は、音声信号に基づいて音声を出力することができるデバイスであればどのようなものでもよい。スピーカ50は、スカートガード13における乗り口5a近傍部分と、スカートガード13における降り口5b近傍部分とにそれぞれ1個ずつ設けられている。
【0015】
制御装置40は、エスカレータ1の動作を制御する。例えば、制御装置40は、電力供給装置30を制御することでモータ20に通電する電力を制御し、これにより、エスカレータ1の起動、停止、走行速度等を制御する。また、制御装置40は、スピーカ50からの音声の出力を制御する。例えば、制御装置40は、案内音声を、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間に対してn分の1以下(nは2以上の整数)の時間を1周期として繰り返し出力させるとともに、m回に1回の頻度(mはn以下でかつ2以上の整数)で案内音声の音量を増大させる。本実施形態では、n及びmが3以上の整数の場合について説明している。
【0016】
図3は、実施形態1におけるエスカレータ1の制御装置40の電気的構成を示す図である。制御装置40は、制御部41と記憶部42を有する。制御装置40は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を利用して構成されている。
【0017】
記憶部42は、プログラムや種々のデータを格納している。プログラムには、本実施形態の制御装置40の各種機能を実現するためのプログラムが含まれる。また、データには、例えば、後述する複数種類の音声データや音量増大頻度テーブルが含まれる。
【0018】
制御部41は、記憶部42からプログラム及びデータを読み出し、読み出したプログラム及びデータに基づく演算処理を行う。これにより、制御装置40における各種の機能が実現される。
【0019】
例えば、制御部41は、記憶部42から時間帯等に応じたあるいはエスカレータ管理者により指定された音声データを読み出し、読み出した音声データに基づいて音声信号を生成し、生成した音声信号をスピーカ50に出力する。また、制御部41は、スピーカ50から出力される案内音声の音量を調整できる。本例では、スピーカ50から出力される案内音声の音量は、音量大と音量小の2段階で調整できる。音量大の音量は、2つのスピーカ50から出力された案内音声の音圧レベルがコンベア部15の走行方向において最も小さくなる位置(2つのスピーカ50の中間位置)において90dB以上の音圧レベルが確保される音量である。重度の難聴者が聴き取り可能な音圧レベルは、90dB以上と一般に認識されており、音量大ではそれを鑑みて90dB以上としている。音量小の音量は、上記中間位置において50dB以上の音圧レベルが確保される音量である。中等度の難聴者が聴き取り可能な音圧レベルは、40〜70dBと一般に認識されており、音量小はそれを鑑みて50dB以上としている。
【0020】
また、制御部41は、音量増大頻度テーブルで規定されている音量増大頻度に基づいてスピーカ50から出力させる案内音声の音量を増大させる。例えば、制御部41は、スピーカ50から音量小の案内音声を連続して3回出力させた後、1回だけ音量大の案内音声を出力させ、その後音量小の案内音声を連続して3回出力させた後、1回だけ音量大の案内音声を出力させるという動作を繰り返す。つまり、制御部41は、4回に1回の頻度で案内音声の音量を増大させる。
【0021】
2.動作
制御装置40による音声案内制御等についてフローチャートを参照してより詳しく説明する。
図4は、制御装置40による制御を説明するフローチャートである。なお、本フローチャートによる処理は、エスカレータ1の管理者等によってエスカレータ1の運転開始のための操作が行われたときに開始される。
【0022】
制御装置40の制御部41は、エスカレータ1の運転開始操作を受け付けると、エスカレータ1の運転のために必要な各種の運転条件情報を記憶部42から読み出す(S11)。運転条件情報は、エスカレータ1を運転させるときの走行速度(コンベア部15の走行速度)に関する情報(走行速度情報)を含む。走行速度情報は、例えば、時間帯に応じた走行速度を規定している。例えば、走行速度情報は、出勤時間帯(例えば午前7時〜9時)の走行速度は30m/min、それ以外の時間帯の走行速度は20m/minとすることを規定している。
【0023】
制御装置40の制御部41は、読み出した運転条件情報に基づいてエスカレータ1の運転を開始させる(S12)。このとき、制御装置40の制御部41は、エスカレータ1の走行速度(コンベア部15の走行速度)が、上記の走行速度情報が示す走行速度となるように、電力供給装置30からモータ20への電力供給を制御する。
【0024】
制御装置40の制御部41は、音声データ1と音声データ2とのうちの所定の音声データを記憶部42から読み出す(S13)。読み出すべき音声データは、時間帯等に応じて予め設定され、あるいはエスカレータ管理者により予め設定されている。
【0025】
制御装置40の制御部41は、記憶部42に格納されている音量増大頻度テーブルを参照して音量を増大させる頻度(以下「音量増大頻度」という)を決定する(S14)。
【0026】
図5は、音量増大頻度テーブルの一例を示す図である。音量増大頻度テーブルは、音声データ名とエスカレータ1のコンベア部15の走行速度とに基づいて、音量増大頻度を規定している。なお、
図5のテーブルは、一例として、エスカレータ1のコンベア部15の走行方向の長さが15m、音声データ1による音声案内の1回当たりの所要案内時間が10秒、音声データ2による音声案内の1回当たりの所要案内時間が8秒の場合を示している。なお、所要案内時間は、案内音声が実際に出力される時間と、次回案内までの無音時間とを合わせた時間である。本実施形態では、所要案内時間は音声案内の繰り返しの周期と等しくしている。コンベア部15の走行方向の長さとは、
図2に示すように、コンベア部15の乗り口5a側の端部15aと降り口5b側の端部15bとの間の水平方向の長さLである。音声データ1による音声案内の内容は、例えば「エスカレータご利用の方はハンドレールにつかまりお乗りください」という注意を喚起する内容であり、音声データ2による音声案内の内容は、例えば「エスカレータでの歩行は危険ですのでおやめ下さい」という注意を喚起する内容である。
【0027】
音量増大頻度は、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間の間に、音量を増大させた案内音声が少なくとも1回出力される頻度に設定されている。なお、本実施形態では、1回当たり標準利用時間として、コンベア部15への1回当たりの搭乗時間を利用する。
【0028】
具体的には、下記の数式1を利用して、コンベア部15の走行方向の水平方向の長さL(m)と、エスカレータ1のコンベア部15の走行速度V(m/min)と、1回当たり音声案内時間Tc(s)とに基づいてXを求め、さらに、Xの小数点以下を切り捨てた値Xdを求める。そして、音量増大頻度はXd回に1回とする。つまり、mとしてXdを設定する。ここで、分母の(60×(L/V))が1回当たり搭乗時間(1回当たり標準利用時間)である。
(式1) X=(60×(L/V))/Tc
【0029】
例えば、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、Lが15、Vが30、Tcが10であるので、Xは3、Xdは3となり、音量増大頻度は3回に1回とする。
【0030】
また、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(20m/min)のときは、Lが15、Vが20、Tcが10であるので、Xは4.5、Xdは4となり、音量増大頻度は4回に1回とする。
【0031】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、Lが15、Vが30、Tcが8であるので、Xは3.75、Xdは3となり、音量増大頻度は3回に1回とする。
【0032】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(20m/min)のときは、Lが15、Vが20、Tcが8であるので、Xは5.625、Xdは5となり、音量増大頻度は5回に1回とする。
【0033】
図4のフローチャートに戻り、音量増大頻度を決定すると(S14)、制御装置40の制御部41は、音声データ名が示す音声データに基づいて音声信号を生成し、生成した音声信号をスピーカ50に出力し、スピーカ50から、音声信号に基づく音声を出力させる。これにより、音声案内が開始する(S15)。このとき、制御装置40の制御部41は、音声データ名が示す音声データに基づく音声信号を上述のように繰り返し出力するとともに、ステップS14で決定した音量増大頻度で案内音声の音量を増大させる。
【0034】
制御装置40の制御部41は、エスカレータ1の運転停止条件が成立したか否かを判断する(S16)。制御装置40の制御部41は、例えば、エスカレータ1の管理者等により操作部(図示せず)に対してエスカレータ1の運転停止操作があったか否かに基づいて、エスカレータ1の運転停止条件が成立したか否かを判断する。
【0035】
エスカレータ1の運転停止条件が成立していないと判断した場合(S16でNO)、制御装置40の制御部41は、本ステップ16の判断を再度実行する。
【0036】
エスカレータ1の運転停止条件が成立したと判断した場合(S16でYES)、制御装置40の制御部41は、エスカレータ1の運転を停止させる(S17)。
【0037】
エスカレータ1の運転を停止させると、制御装置40の制御部41は、スピーカ50への音声信号の出力を停止する。これにより、音声案内が停止する(S18)。
【0038】
3.本実施形態の作用
本実施形態によると、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間の30秒に対して3分の1以下の時間である音声案内時間10秒を1周期として案内音声が繰り返し出力されるとともに、3回に1回の頻度で案内音声の音量が増大される。
【0039】
また、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が低速(20m/min)のときは、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間の45秒に対して4分の1以下の時間である音声案内時間10秒を1周期として案内音声が繰り返し出力されるとともに、4回に1回の頻度で案内音声の音量が増大される。
【0040】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間の30秒に対して3分の1以下の時間である音声案内時間8秒を1周期として案内音声が繰り返し出力されるとともに、3回に1回の頻度で案内音声の音量が増大される。
【0041】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が低速(20m/min)のときは、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間の45秒に対して5分の1以下の時間である音声案内時間8秒を1周期として案内音声が繰り返し出力されるとともに、5回に1回の頻度で案内音声の音量が増大される。
【0042】
このように本実施形態によると、エスカレータ1の1回当たり標準利用時間に対してn分の1以下(nは2以上の整数)の時間(音声案内時間)を1周期として案内音声が繰り返し出力されるとともに、m回に1回の頻度(mはn以下でかつ2以上の整数)で案内音声の音量が増大される。つまり、1回当たり標準利用時間中に、案内音声がn回出力されるとともに、m回に1回の頻度(mはn以下の整数)で、案内音声の音量が増大される。そのため、難聴者にとって、エスカレータ1の利用中に1回は案内音声を聴き取りやすくなる。また、案内音声の音量が増大されるのは、m回に1回だけであるので、健常者にとっても音量増大による不快感が生じにくい。よって、本発明によれば、健常者の不快感を抑制しつつ、難聴者における案内音声の聴取性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、乗り口5a近傍と降り口5b近傍との一方にのみスピーカ50が配置されている場合よりも、スピーカ50から発生させる案内音声の音量を小さくできる。一方にのみスピーカ50が配置されている場合、他方側において難聴者が聞き取れる音圧レベルを確保するためには、スピーカ50から出力される音量を、両方にスピーカ50が設けられている場合よりも増大させる必要がある。しかし、本実施形態では、乗り口5a近傍と降り口5b近傍との両方にスピーカ50を設けたことにより、スピーカ50から発生させる案内音声の音量を小さくできる。そのため、音量増大による健常者の不快感をより抑制しつつ、難聴者における案内音声の聴取性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、エスカレータ1のコンベア部15の走行速度が変更されたときに、走行速度に応じて音量増大頻度を適切に設定することができる。
【0045】
(実施形態2)
実施形態1では、1回当たり標準利用時間が、エスカレータ1のコンベア部15への1回当たり搭乗時間である場合について説明した。しかし、1回当たり標準利用時間は、これに限らない。具体的に、スピーカ50から出力された案内音声は、エスカレータ1の走行方向とは逆方向、つまり乗り口5aの手前側にも拡散しており、そのため、乗り口5aの手前側にも搭乗中と同程度の音圧レベルが確保される領域が存在する。したがって、エスカレータ1の利用者は、コンベア部15に搭乗する前においても音声案内を聞き取ることができる。そこで、本実施形態では、1回当たり標準利用時間として、(1)上記1回当たり搭乗時間と、(2)乗り口5aの走行方向手前側の領域であって、コンベア部15に搭乗中と同程度以上の音圧レベルが確保される領域内を、エスカレータ1の利用のために利用者が移動するのに要する時間(標準通過時間)とを加算した時間を用いる。コンベア部15に搭乗中と同程度以上の音圧レベルが確保される領域は、シミュレーション、実測等により適宜設定すればよい。なお、手前側において同程度の音圧レベルが確保される領域内において、エスカレータ1から遠い位置に位置している者は、案内音声に意識が向かない可能性がある。そのため、案内音声に意識が向く程度にまで乗り口5aに接近した位置から乗り口5aまでの移動時間を標準通過時間としてもよい。この場合、標準通過時間は例えば5秒とする。
【0046】
具体的には、下記の数式2を利用して、コンベア部15の走行方向の水平方向の長さL(m)と、エスカレータ1のコンベア部15の走行速度V(m/min)と、1回当たり音声案内時間Tc(s)と、標準通過時間Ts(s)とに基づいてXを求め、さらに、Xの小数点以下を切り捨てた値Xdを求める。そして、音量増大頻度はXd回に1回とする。つまり、mとしてXdを設定する。本実施形態では、分母の(60×(L/V)+Ts)が1回当たり標準利用時間である。
(式2) X=(60×(L/V)+Ts)/Tc
【0047】
図6は、実施形態2における音量増大頻度テーブルの一例を示す図である。1回当たり標準利用時間以外の条件については、実施形態1と同じとしている。また、標準通過時間Tsは5秒としている。
【0048】
例えば、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、Lが15、Vが30、Tcが10、Tsが5であるので、Xは3.5、Xdは3となり、音量増大頻度は3回に1回とする。
【0049】
また、音声データ1による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(20m/min)のときは、Lが15、Vが20、Tcが10であるので、Xは5.0、Xdは5となり、音量増大頻度は5回に1回とする。
【0050】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(30m/min)のときは、Lが15、Vが30、Tcが8であるので、Xは4.375、Xdは4となり、音量増大頻度は4回に1回とする。
【0051】
また、音声データ2による音声案内を行う場合において走行速度が標準速度(20m/min)のときは、Lが15、Vが20、Tcが8であるので、Xは6.25、Xdは6となり、音量増大頻度は6回に1回とする。
【0052】
本実施形態では、実施形態1と比べ、エスカレータ1の走行条件及び音声案内の内容が同じ場合でも、音量増大頻度を低下させることができる。よって、実施形態1と比べ、より一層、音量増大による健常者の不快感を抑制しつつ、難聴者における案内音声の聴取性を向上させることができる。
【0053】
(実施形態3)
実施形態1、2では、1回当たり標準利用時間の間に1回だけ音量が増大されるように、音量増大頻度が設定されている。しかし、1回当たり標準利用時間の間に2回音量が増大されるように、音量増大頻度を2倍に設定してもよい。例えば、実施形態1、2において音量増大頻度が4回に1回の場合は、2回に1回とする。また、音量増大頻度が6回に1回の場合は、3回に1回とする。なお、実施形態1、2において音量増大頻度が奇数回に1回の場合、例えば5回に1回の場合は、2回に1回とする。なお、変則的となるが、5回に2回としてもよい。より詳しくは、例えば3回に1回の後2回に1回とし、その後も3回に1回の後2回に1回を繰り返すようにしてもよい。また、実施形態1、2において音量増大頻度が3回に1回の場合は、変則的となるが、3回に2回とする。
【0054】
このように音量増大頻度を2倍に設定することにより、難聴者がコンベア部15に搭乗している場合において、コンベア部15の乗り口5a近傍に位置しているときと、コンベア部15の降り口5b近傍にまで移動してきたときとの両方のタイミングにおいて、案内音声を増大させることができる。例えば、難聴者である利用者がエスカレータ1に搭乗して乗り口5a近傍にいるときに、搭乗に際して注意喚起すべき内容についての案内音声の音量を増大させたり、搭乗中の難聴者が降り口5b近傍にまで移動してきたときに、降りる際に注意喚起すべき内容についての案内音声の音量を増大させたりすることができる。つまり、注意喚起すべき適切なタイミングで案内音声を増大させることができる。エスカレータ1に搭乗した頃に注意喚起すべき内容とは、例えば、「エスカレータご利用の方はハンドレールにつかまりお乗りください」という内容である。また、エスカレータ1から降りる際に注意喚起すべき内容とは、例えば「降りる際には足元に注意ください」という内容である。
【0055】
(実施形態4)
実施形態3において、さらに、制御装置40は、乗り口5a近傍のスピーカ50と、降り口5b近傍のスピーカ50とから異なる内容の案内音声を出力させてもよい。
【0056】
これによれば、難聴者がエスカレータ1に搭乗して乗り口5a近傍に位置しているときに、搭乗に際して注意喚起すべき内容についての案内音声の音量を増大させ、かつ、搭乗中の難聴者が降り口5b近傍にまで移動してきたときに、降りる際に注意喚起すべき内容についての案内音声の音量を増大させることができる。そのため、搭乗時及び降車時の両方において、搭乗時及び降車時のそれぞれに適した注意喚起の案内音声の音量を適切なタイミングで増大させることができる。
【0057】
なお、乗り口5a近傍のスピーカ50から出力される第1の案内音声については、第1の案内音声についての1回当たり音声案内時間Tcに基づいて、実施形態1と同様の要領で音量増大頻度を設定し、降り口5b近傍のスピーカ50から出力される第2の案内音声については、第2の案内音声についての1回当たり音声案内時間Tcに基づいて、実施形態1と同様の要領で音量増大頻度を設定すればよい。
【0058】
(実施形態についてのまとめ)
(1)実施形態1〜4における音声案内装置は、エスカレータ1(乗客コンベア)の利用者に対して音声で案内を行う。
音声案内装置は、
音声を出力可能なスピーカ50(音声出力部)と、
スピーカ50(音声出力部)から案内音声を出力させる制御装置40(制御部)と、を備える。
制御装置40(制御部)は、
案内音声を、エスカレータ1(乗客コンベア)の1回当たり標準利用時間に対してn分の1以下(nは2以上の整数)の時間を1周期として繰り返し出力させるとともに、
m回に1回の頻度(mはn以下の整数)で案内音声の音量を増大させる。
【0059】
これにより、健常者の不快感を抑制しつつ、難聴者における案内音声の聴取性を向上させることができる。
【0060】
(2)実施形態1、2における音声案内装置において、
mはnと等しい。
【0061】
これにより、案内音声の音量増大頻度を極力少なくし、かつ、エスカレータ1(乗客コンベア)を利用中の難聴者に対して音量を増大させた案内音声を1回聴取させることができる。
【0062】
(3)実施形態1、2における音声案内装置において、
スピーカ50(音声出力部)は、エスカレータ1(乗客コンベア)の乗り口5a近傍と降り口5b近傍とのそれぞれに配置されている。
【0063】
これにより、乗り口5a近傍と降り口5b近傍との一方にのみスピーカ50が配置されている場合よりも、スピーカ50から発生させる案内音声の音量を小さくできる。そのため、音量増大による健常者の不快感をより抑制しつつ、難聴者における案内音声の聴取性を向上させることができる。
【0064】
(4)実施形態3における音声案内装置において、
nは4以上の整数であり、
mはn/2である。
【0065】
これにより、利用者がコンベア部15の乗り口5a側に搭乗しているときと、コンベア部15の降り口5b側に搭乗しているときとに、案内音声を増大させることができる。例えば、エスカレータ1に搭乗した頃に注意喚起すべき内容の案内音声の音量を、利用者がコンベア部15に乗るときあるいはコンベア部15の乗り口5a側に搭乗しているときに、適切なタイミングで増大させることができる。
【0066】
(5)実施形態4における音声案内装置において、
nは4以上の整数であり、
mはn/2であり、
スピーカ50(音声出力部)は、エスカレータ1(乗客コンベア)の乗り口5a近傍と降り口5b近傍とのそれぞれに配置されており、
制御装置40(制御部)は、乗り口5a近傍のスピーカ50(音声出力部)と、降り口5b近傍のスピーカ50(音声出力部)とから異なる内容の案内音声を出力させる。
【0067】
これにより、搭乗時及び降車時の両方において、搭乗時及び降車時のそれぞれに適した案内音声の音量を適切なタイミングで増大させることができる。
【0068】
(6)実施形態1、3、4における音声案内装置において、
1回当たり標準利用時間は、エスカレータ1(乗客コンベア)の走行速度と、エスカレータ1(乗客コンベア)のコンベア部15の走行方向の長さとに基づいて定まる、エスカレータ1(乗客コンベア)のコンベア部15への利用者の搭乗時間である。
【0069】
これにより、難聴者がエスカレータ1に搭乗中に、音量を増大させた案内音声を出力させることができる。
【0070】
(7)実施形態2〜4における音声案内装置において、
1回当たり標準利用時間は、エスカレータ1(乗客コンベア)の走行速度と、エスカレータ1(乗客コンベア)のコンベア部15の走行方向の長さとに基づいて定まる、エスカレータ1(乗客コンベア)のコンベア部15への利用者の搭乗時間と、エスカレータ1(乗客コンベア)の乗り口5aに対して走行方向手前側の領域であって、エスカレータ1(乗客コンベア)に搭乗中と同程度以上の音圧レベルが確保される所定領域をエスカレータ1(乗客コンベア)の利用者が搭乗のために通過するのに要する標準通過時間とを加算した時間である。
【0071】
これにより、難聴者がエスカレータ1に搭乗中及び搭乗のためにエスカレータ1の乗り口5a側の所定領域を通過している間に、音量を増大させた案内音声を出力させることができる。
【0072】
(8)実施形態1〜4における音声案内装置において、
エスカレータ1(乗客コンベア)の走行速度は可変であり、
制御装置40(制御部)は、
nを走行速度に応じて変更するとともに、
mを、変更されたn以下でかつ2以上の値に設定する。
【0073】
これにより、走行速度が可変であるエスカレータ1において、走行速度に応じて、音量増大頻度を適切に設定することができる。
【0074】
(9)実施形態1〜4において、
(1)から(8)における音声案内装置を有するエスカレータ1(乗客コンベア)が提供される。
【0076】
前記実施形態では、乗客コンベアが、異なる階床間に斜めに掛け渡されたエスカレータ1である場合を説明した。しかし、本発明は、乗客コンベアが、一の階床において水平あるいは斜めに配置されたいわゆる動く歩道等の乗客コンベアである場合にも適用可能である。
【0077】
前記実施形態では、音量増大頻度は、
図5または
図6の音量増大頻度テーブルに基づいて設定される。しかし、音量増大頻度は、数式1、数式2を利用してその都度計算により求めてもよい。また、音量増大頻度テーブルにおいて規定する音量増大頻度に関し、数式1に基づいて求めた回数と、数式2に基づいて求めた回数とを混在させてもよい。つまり、実施形態1の音量増大頻度の思想と実施形態1の音量増大頻度の思想を、1つの音量増大頻度テーブル中において混在させてもよい。
【0078】
前記実施形態では、n及びmが3以上の整数の場合について説明したが、本発明においてn及びmは2でもよい。
【0079】
前記実施形態では、コンベア部15の乗り口5a近傍と、降り口5b近傍とに、スピーカ50が1個ずつ設けられている場合について説明したが、コンベア部15の走行方向の水平方向の長さLが15mよりも長い乗客コンベアについては、乗り口5aと降り口5bとの中間付近にスピーカ50を追加してもよい。
【0080】
前記実施形態では、制御装置40はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を利用して構成され、制御装置40における各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されている。しかし、制御装置40における各機能は、ハードウェア(電子回路)のみにより実現されてもよい。