(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートパッドにおいて異なるフォームの境界部分では硬度の変化が大きいため、境界部分に違和感を生じさせ、シートの着座感を損なうことがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部分的に硬度が異なるシートにおける乗員の着座感を向上させることができる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、
本発明の車両用シートによれば、背もたれ面を構成するシートバックの骨格をなすシート
バックフレームと、前記シート
バックフレームに
対しシート幅方向に架設され、乗員の荷重を受ける受圧部材と、それぞれ異なる材料からなる複数の領域を有し、
前記シートバックを覆う表皮材と前記受圧部材との間に配置されるシート
バックパッドと、を備え、前記複数の領域の境界部と対向する位置に前記受圧部材を配置し
、前記境界部は、前記シート幅方向に沿って設けられ、前記受圧部材の少なくとも一部とシート上下方向における位置が重なっており、前記境界部は、シート前方側における前方端部と、シート後方側における後方端部と、を有し、前記受圧部材は、第1の受圧部材と、前記シートバックフレームに対し前記シート幅方向に架設され、前記第1の受圧部材の下方に設けられる第2の受圧部材と、を備え、前記境界部の前記前方端部と前記後方端部との一方が、前記第1の受圧部材と前記第2の受圧部材との間に位置し、他方が前記第1の受圧部材と重なる高さに位置すること
、により解決される。
【0007】
上記の車両用シートによれば、シートパッドにおける異材料からなる領域の境界部を受圧部材により支持するようにしたことで、境界部における乗員の違和感を軽減することができる。これにより、部分的に硬度を変えたシートにおける乗員の着座感を向上させることができる。
【0008】
また、
上記構成により、乗員の背もたれ面となるシートバックの内部に配されるシートバックパッドにおいて、異材料からなる複数の領域を設けた場合でも、領域の境界部における乗員の違和感を軽減できる。
また、上記構成により、境界部のシート前方側の端部よりもシート後方側の端部の方を受圧部材により強く支持することで、境界部における硬度変化を滑らかとし違和感を軽減することができる。
【0009】
また、上記の車両用シートにおいて、前記境界部のシート前方側における前方端部と、前記境界部のシート後方側における後方端部との前記シート上下方向における位置が異なることとしてよい。
こうすることで、シートバックパッドにおけるそれぞれ異材料からなる領域の境界部と、その周囲との硬度変化を小さくすることができる。これにより、境界部における乗員の違和感を軽減できる。
【0010】
また、上記の車両用シートにおいて、前記前方端部と前記後方端部の接続面が段差構造をなすこととしてよい。
こうすることで、境界部とその周囲の硬度変化を段階的にできる。これにより、境界部とその周囲との硬度が急激に変化することを抑制できるため、境界部における違和感を軽減できる。
【0011】
また、上記の車両用シートにおいて、前記前方端部と前記後方端部の接続面が勾配構造をなすこととしてよい。
こうすることで、境界部とその周囲の硬度変化を勾配的にできる。これにより、境界部、及び境界部とその周囲との硬度変化を滑らかにすることができるため、境界部における違和感を軽減できる。
【0013】
また、上記の車両用シートにおいて、前記シートバックパッドにおいて前記境界部よりも下方となる領域の硬度が、上方となる領域の硬度よりも高いこととしてよい。
こうすることで、乗員の上体の下部を安定して保持することができるため、乗員の姿勢維持が容易となる。また、乗員の上体の上部を柔らかく保持するようにしたことで、乗り心地が良好となる。
【0014】
また、上記の車両用シートにおいて、前記境界部に形成された溝に表皮材の吊り込み部が取り付けられることとしてよい。
こうすることで、境界部の位置に表皮材を吊り込むことができる。これにより、境界部において表皮材のたるみが防止されるため、境界部における違和感を軽減できる。
【0015】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、着座面を構成するシートクッションの骨格をなすシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームに対しシート幅方向に架設され、乗員の荷重を受ける受圧部材と、それぞれ異なる材料からなる複数の領域を有し、前記シートクッションを覆う表皮材と前記受圧部材との間に配置されるシートクッションパッドと、を備え、前記複数の領域の境界部と対向する位置に前記受圧部材を配置し、前記境界部は、前記シート幅方向に沿って設けられ、前記受圧部材の少なくとも一部とシート前後方向における位置が重なっており、前記境界部は、シート上方側における上方端部と、シート下方側における下方端部と、を有し、前記受圧部材は、第1の受圧部材と、前記シートクッションフレームに対し前記シート幅方向に架設され、前記第1の受圧部材の後方に設けられる第2の受圧部材と、を備え、前記境界部の前記上方端部と前記下方端部との一方が、前記第1の受圧部材と前記第2の受圧部材との間に位置し、他方が前記第1の受圧部材と前記シート前後方向で重なる位置にあること、により解決される。
【0016】
こうすることで、乗員の着座面となるシートクッションの内部に配されるシートクッションパッドにおいて、異材料からなる複数の領域を設けた場合にも、領域の境界部における乗員の違和感を軽減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、それぞれ異材料からなる領域の境界部における乗員の違和感を軽減することができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、シートバックパッドにおいて、異材料からなる複数の領域を設けた場合でも、領域の境界部における乗員の違和感を軽減できる。
【0019】
本発明の一態様によれば、それぞれ異材料からなる領域の境界部と、その周囲との硬度変化を小さくすることができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、境界部とその周囲との硬度が急激に変化することを抑制し、境界部における違和感を軽減できる。
【0021】
本発明の一態様によれば、境界部、及び境界部とその周囲との硬度変化を滑らかとし、境界部における違和感を軽減できる。
【0022】
本発明の一態様によれば、境界部における硬度変化を滑らかとし違和感を軽減することができる。
【0023】
本発明の一態様によれば、乗員の姿勢維持を容易とすると共に、乗り心地を良好にできる。
【0024】
本発明の一態様によれば、シートクッションパッドにおいて、異材料からなる複数の領域を設けた場合にも、領域の境界部における乗員の違和感を軽減できる。
【0025】
本発明の一態様によれば、境界部において表皮材のたるみが防止され、境界部における違和感を軽減できる。
【0026】
本発明の一態様によれば、境界部において荷重が入力される面を広くし、境界部における乗員の違和感を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1乃至
図14を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る車両用シートSについて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。まず、各図の概要について説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る車両用シートSの斜視図であり、
図2は、車両用シートSの骨格をなすシートフレームSaの斜視図である。
【0030】
図3はシートバック2のクッション材であるシートバックパッド2aの正面図、
図4はシートバックパッド2aのIV-IV断面図、
図5はシートバックパッド2aのV-V断面図である。
【0031】
図6はシートクッション1のクッション材であるシートクッションパッド1aの上面図、
図7はシートクッションパッド1aのVII-VII断面図、
図8はシートクッションパッド1aのVIII-VIII断面図である。
【0032】
そして、
図9乃至
図14はそれぞれ、第1乃至第6の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図である。
【0033】
<車両用シートS及びシートフレームSaの構成>
まず、
図1及び
図2に基づいて、本実施形態に係る車両用シートS及びシートフレームSaの構成について説明する。
【0034】
本実施形態の車両用シートSは、
図1に示すように、シートクッション1と、シートクッション1の上面側に配置されたシートバック2と、シートバック2の上面側に配置されたヘッドレスト3とから主に構成されており、車両用シートSの内部には
図2に示す骨格となるシートフレームSaを備える。
【0035】
なお以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートSの着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。「シート幅方向」とは、車両用シートSの横幅方向を意味し、車両用シートSの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、「上下方向」とは、車両用シートSの高さ方向を意味し、車両用シートSを正面から見たときの上下方向と一致している。
【0036】
シートクッション1は、乗員を下方から支持する着座部であって、
図2に示す骨格となるクッションフレーム10に、シートクッションパッド1aを載置して、シートクッションパッド1aを表皮1bによって被覆して構成されている。
【0037】
シートバック2は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、
図2に示す骨格となるシートバックフレーム20に、シートバックパッド2aを載置して、シートバックパッド2aを表皮2bで被覆して構成されている。
【0038】
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーにヘッドレストパッド3aを載置して、ヘッドレストパッド3aを表皮3bで被覆して構成されている。
【0039】
クッションフレーム10は、シートクッション1の骨格となる略矩形状の枠体からなり、
図2に示すように、左右側方に配置されたクッションサイドフレーム11と、各クッションサイドフレーム11の前方側の上面に架設された板状フレームとしてのパンフレーム12と、各クッションサイドフレーム11の後方側端部の近くに架設された連結部材としてのフレーム連結パイプ13と、各クッションサイドフレーム11の前後方向の略中央を連結するSバネ14a、Sバネ14bを備えている。
【0040】
Sバネ14a及びSバネ14bは、シートクッション1に着座する乗員を下方から支持する受圧部材である。Sバネ14aと、Sバネ14aよりもシート前方に位置するSバネ14bとはそれぞれ、両サイドのクッションサイドフレーム11に架設し保持されている。
【0041】
クッションサイドフレーム11は、前後方向に延出する板金部材からなり、左側のクッションサイドフレーム11と、右側のクッションサイドフレーム11とは、互いに平行な状態で左右方向に離間している。
【0042】
クッションサイドフレーム11とシートバックフレーム20との間には、
図2に示すように、シートクッション1に対してシートバック2を回動可能に連結するリクライニング機構15が設けられている。
【0043】
リクライニング機構15は、公知の機構からなり、リクライニング機構15の回動軸となる連結シャフト16と、シートバックフレーム20を起立状態に付勢する渦巻きバネ17と、渦巻きバネ17の延出端部を係止するバネ係止部材18とを備えている。
【0044】
連結シャフト16は、クッションサイドフレーム11及びシートバックフレーム20の左右両端部を連結する断面略円形状のパイプ部材からなる。
【0045】
連結シャフト16は、シートバックフレーム20の左右両端側の下方端部に設けられた不図示のシャフト貫通孔と、クッションサイドフレーム11の左右両端側の後方端部に設けられた不図示のシャフト挿通孔とを嵌通して連結されている。
【0046】
渦巻きバネ17は、渦巻き形状の線状部材からなり、クッションサイドフレーム11の左右外側面の後方端部に設けられている。渦巻きバネ17の一端部は、バネ係止部材18に掛け止めされることによって、シートバックフレーム20の左右外側の下方端部に固定されており、渦巻きバネ17の他端部は、クッションサイドフレーム11の左右外側面に設けられた不図示のバネ係止部に掛け止めされて固定されている。
【0047】
バネ係止部材18は、板金部材を折り曲げた略L字形状からなり、バネ係止部材18の上方端部が、シートバックフレーム20に固定され、下方端部には、左右外側に折り曲げられた折り曲げ部18aが設けられ、折り曲げ部18aに渦巻きバネ17の一端が掛け止めされて構成されている。
【0048】
なお、クッションサイドフレーム11の外側に不図示の操作レバーが取り付けられており、この操作レバーを操作することで、連結シャフト16が回転し、シートクッション1に対してシートバック2が回動する機構となっている。
【0049】
シートバックフレーム20は、
図2に示すように、略矩形状の枠体となっており、上側に略逆U字形状に形成された中空円筒体の上部フレーム21と、左右側方に上部フレーム21と連結して配設された左右のサイドフレーム22と、各サイドフレーム22の内側面の略中央に架設されたSバネ23a及びSバネ23bと、各サイドフレーム22の内側面の下端部に架設された下部フレーム30とを備えている。なお、サイドフレーム22と下部フレーム30とは一体として構成されていてもよい。
【0050】
左右のサイドフレーム22は、板金部材を左右内側に折り曲げた略コ字形状からなり、上下方向に延出し、互いに平行な状態で左右方向に離間している。左右のサイドフレーム22は、上側から下側に連続して前方に徐々に張り出すような形で形成されており、前方端部から左右内側に折り曲げられた前方折り曲げ部22aと、後方端部から左右内側に折り曲げられた後方折り曲げ部22bとを備えている。
【0051】
左右のサイドフレーム22の左右内側面には、左右内側に窪んだ凹部22cが設けられており、凹部22cには、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。
【0052】
Sバネ23a及びSバネ23bはそれぞれ、乗員の背や腰部を後方から支持する受圧部材である。本実施形態では受圧部材が金属の弾性部材により構成されることとするがこれに限られるものではなく、例えば受圧部材は樹脂、織物等から構成されてもよく、弾性変形しなくともよい。また、Sバネ23aと、Sバネ23aよりもシート下方に位置するSバネ23bはそれぞれ、左右両端部が凹部22cの貫通穴に挿入され掛け止めされることにより、左右のサイドフレーム22と連結されている。
【0053】
下部フレーム30は、板金部材を前方側に折り曲げた略コ字形状からなり、
図2に示すように、左右方向に延出するフレーム本体部31と、左右両端を折り曲げて形成されたフレーム折り曲げ部32とから構成される。
【0054】
フレーム折り曲げ部32は、サイドフレーム22の内側面と当接するように配置され、フレーム折り曲げ部32の上方端部とサイドフレーム22の下方端部とが溶接固定されている。
【0055】
フレーム折り曲げ部32には、左右方向に貫通した不図示のシャフト貫通孔が設けられており、連結シャフト16がシャフト貫通孔を嵌通して連結される。フレーム折り曲げ部32の外側面には、バネ係止部材18が締結ボルト38により固定されている。
【0056】
フレーム本体部31は、
図2に示すように、前方側に突出する上端フランジ部33aと下端フランジ部33bとを備えている。上端フランジ部33a及び下端フランジ部33bは、それぞれフレーム本体部31の上端部及び下端部に設けられ、左右方向に延出している。
【0057】
次に、
図3乃至
図8に基づいて、シートバックパッド2a及びシートクッションパッド1aの構成について説明する。
【0058】
<シートバックパッド2aの構成>
まず、
図3乃至
図5に基づいて、シートバックパッド2aの詳細について説明する。
図3に示されるように、シートバックパッド2aは、乗員の上体下部を支持する下部クッション領域40、乗員の上体上部を支持する上部クッション領域42、乗員の上体右側部を支持する右側部クッション領域44、乗員の上体左側部を支持する左側部クッション領域46を備え、各領域は溝部48により区切られている。また、上部クッション領域42の上面には、ヘッドレスト3のピラーが挿通されるヘッドレスト用貫通孔52が形成されている。そして、シートバックパッド2aには、シート前面側の表皮2bを吊り込むための吊り込みワイヤ54が埋設されている。
【0059】
下部クッション領域40は、それぞれ異なる材料により成形される下部第1クッション領域40a及び下部第2クッション領域40bを備え、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bとの境を境界部41とする。ここで、下部第1クッション領域40aは、下部第2クッション領域40bの上に位置している。例えば、下部第1クッション領域40aは、乗員の腰椎を支持する腰椎支持領域であり、この場合に境界部41は腰椎支持領域よりも上に位置することとなる。
【0060】
また、上記の下部第1クッション領域40a及び下部第2クッション領域40bは、発泡成形時の硬度、密度、反発弾性率等の性能が異なるように成形される同一の原料からなる部材としてもよいし、発泡成形時の硬度、密度、反発弾性率等の性能が異なる原料でそれぞれ成形した部材としてもよいし、構造の異なる3次元網状弾性体等としてもよい。例えば、下部第1クッション領域40a及び下部第2クッション領域40bは、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のうちそれぞれ異なる合成樹脂原料により成形されることとしてよい。
【0061】
また、下部第1クッション領域40aの硬度が、下部第2クッション領域40bの硬度よりも高くなるように両者の材料を選択することとしてよい。この場合の一例としては、下部第1クッション領域40aをPP(ポリプロピレン)ビーズ発泡により成形し、下部第2クッション領域40bをポリウレタンフォームにより成形することとしてよい。このように、下部第1クッション領域40aの硬度を、下部第2クッション領域40bの硬度よりも高くすることにより、乗員の腰椎を支持する領域を硬く、乗員の腰椎よりも上側の上体を支持する領域を柔らかくすることができる。これにより、乗員の姿勢を安定させるように支持可能となると共に、乗員の肩周辺等の上体上部はシートに沈み込むようになるため、負担が軽減し、着座感を向上させることができる。
【0062】
なお、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bの境界部41は、
図3に示す例では、シート正面視において波状としたが、これに限られずその他の曲線状、直線状、又は2以上の異なる曲線、直線の組み合わせからなる複合形状(例えば折線等)に形成しても構わない。
【0063】
さらに、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bとの境界部41は、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bとをそれぞれ成形した後に貼り合わせて構成される接合部としてもよいし、下部第1クッション領域40aとの下部第2クッション領域40bの成形において一方の層が他方の層に浸透することにより形成される含浸層であってもよい。またさらに、境界部41は、下部第1クッション領域40aの成形材料と、下部第2クッション領域40bの成形材料とが混じり合って硬化した相溶部であってもよい。
【0064】
また、
図3乃至
図5に示されるように、下部第1クッション領域40a及び下部第2クッション領域40bの裏面(シート後方側の面)には、プレスフェルト50が貼合されている。プレスフェルト50は、境界部41とシート上下方向において重なる位置に配される。これにより、境界部41の周辺の強度を高めることができる。
【0065】
なお、上部クッション領域42、右側部クッション領域44、左側部クッション領域46については、下部第1クッション領域40a又は下部第2クッション領域40bと同じ材料により成形されてもよいし、いずれとも異なる材料により成形されてもよい。
【0066】
ここで
図5に基づいて、境界部41と、受圧部材であるSバネ23a及びSバネ23bとの位置関係について説明する。
図5に示されるように、境界部41とSバネ23aとが、シート上下方向において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。ここで、前方端部41aは、境界部41のシート前方側における端部であり、後方端部41bは境界部41のシート後方側における端部である。
図5に示す例においては、前方端部41aと後方端部41bとはシート上下方向において略同じ位置にあり、前方端部41aと後方端部41bとのいずれもSバネ23aの少なくとも一部とシート上下方向において重なる位置に配置されている。
【0067】
なお、
図5に示す例においては、境界部41がSバネ23aとシート上下方向において重なる位置に配置されていることとしたが、境界部41はSバネ23bとシート上下方向において重なる位置に配置されていることとしても構わない。なお、境界部41とSバネ23a及びSバネ23bの配置の他の構成例については後述する。
【0068】
図5に示すように、境界部41とSバネ23aとがシート上下方向において対向する位置に配置されていることにより、乗員の荷重を受けた境界部41をSバネ23aにより支持することができる。そして、境界部41は、下部第1クッション領域40aの硬度から下部第2クッション領域40bの硬度に変化する部位であるところ、上記のようにSバネ23aにより支持したことで、境界部41の周辺における硬度変化を緩和させることができる。
【0069】
<シートクッションパッド1aの構成>
次に、
図6乃至
図8に基づいて、シートクッションパッド1aの詳細について説明する。
図6及び
図7に示されるように、シートクッションパッド1aは、乗員の大腿部を支持する前方クッション領域60、乗員の臀部を支持する後方クッション領域62、乗員の右脚部を支持する右側部クッション領域64、乗員の左脚部を支持する左側部クッション領域66を備え、各領域は溝部68により区切られている。
【0070】
前方クッション領域60は、それぞれ異なる材料により成形される前方第1クッション領域60a及び前方第2クッション領域60bを備え、前方第1クッション領域60aと前方第2クッション領域60bとの境を境界部61とする。ここで、前方第2クッション領域60bは、前方第1クッション領域60aよりも前方に位置している。例えば、前方第1クッション領域60aは、乗員の坐骨結節を支持する坐骨結節支持領域であり、この場合に境界部61は坐骨結節支持領域よりも前に位置することとなる。
【0071】
また、上記の前方第1クッション領域60a及び前方第2クッション領域60bは、発泡成形時の硬度、密度、反発弾性率等の性能が異なるように成形される同一の原料からなる部材としてもよいし、発泡成形時の硬度、密度、反発弾性率等の性能が異なる原料でそれぞれ成形した部材としてもよいし、構造の異なる3次元網状弾性体等としてもよい。例えば、前方第1クッション領域60a及び前方第2クッション領域60bは、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のうちそれぞれ異なる合成樹脂原料により成形することとしてよい。
【0072】
また、前方第1クッション領域60aの硬度が、前方第2クッション領域60bの硬度よりも高くなるように両者の材料を選択することとしてよい。この場合の一例としては、前方第1クッション領域60aをPP(ポリプロピレン)ビーズ発泡により成形し、前方第2クッション領域60bをポリウレタンフォームにより成形することとしてよい。このように、前方第1クッション領域60aの硬度を、前方第2クッション領域60bの硬度よりも高くすることにより、乗員の坐骨結節を支持する領域を硬く、乗員の坐骨結節よりも前方を支持する領域を柔らかくすることができる。これにより、乗員の姿勢を安定させるように支持可能となると共に、乗員の大腿部の前方はシートに沈み込むようになるため、負担が軽減し、着座感を向上させることができる。
【0073】
なお、前方第1クッション領域60aと前方第2クッション領域60bの境界部61は、
図6に示す例では、シート上面視において波状としたが、これに限られずその他の曲線状、直線状、又は2以上の異なる曲線、直線の組み合わせからなる複合形状(例えば折線等)に形成しても構わない。
【0074】
さらに、前方第1クッション領域60aと前方第2クッション領域60bとの境界部61は、前方第1クッション領域60aと前方第2クッション領域60bとをそれぞれ成形した後に貼り合わせて構成される接合部としてもよいし、前方第1クッション領域60aとの前方第2クッション領域60bの成形において一方の層が他方の層に浸透することにより形成される含浸層であってもよい。また、さらに、境界部61は、前方第1クッション領域60aの成形材料と、前方第2クッション領域60bの成形材料とが混じり合って硬化した相溶部であってもよい。
【0075】
なお、後方クッション領域62、右側部クッション領域64、左側部クッション領域66については、前方第1クッション領域60a又は前方第2クッション領域60bと同じ材料により成形されてもよいし、いずれとも異なる材料により成形されてもよい。
【0076】
ここで
図8に基づいて、境界部61と、受圧部材であるSバネ14a及びSバネ14bとの位置関係について説明する。
図8に示されるように、境界部61とSバネ14bとが、シート前後方向において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。ここで、上方端部61aは、境界部41のシート上方側における端部であり、下方端部61bは境界部61のシート下方側における端部である。
図8に示す例においては、上方端部61aと下方端部61bとはシート前後方向において略同じ位置にあり、上方端部61aと下方端部61bとのいずれもSバネ14bの少なくとも一部とシート前後方向において重なる位置に配置されている。
【0077】
なお、
図8に示す例においては、境界部61がSバネ14bとシート前後方向において重なる位置に配置されていることとしたが、境界部61はSバネ14aとシート前後方向において重なる位置に配置されていることとしても構わない。
【0078】
図8に示すように、境界部61とSバネ14bとがシート前後方向において重なる位置に配置されていることにより、乗員の荷重を受けた境界部61をSバネ14bにより支持することができる。そして、境界部61では、前方第1クッション領域60aの硬度から前方第2クッション領域60bの硬度に変化する部位であるところ、上記のようにSバネ14bにより支持されていることで、境界部61の周辺における硬度の変化を緩和させることができる。
【0079】
<変形例>
次に、
図9乃至
図14に基づいてシートバックパッド2aの変形例について説明する。なお、
図9乃至
図14に示す例では、シートバックパッド2aの境界部41の構成に関し上述したシートバックパッド2aと相違するが、他の点では共通しているため、以下では相違点について説明し、共通点についての説明は省略する。
【0080】
図9には、第1の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図9に示されるように、第1の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、境界部41の前方端部41aと後方端部41bがシート上下方向において異なる高さに位置すると共に、前方端部41aと後方端部41bの接続面が段差構造をなしている(換言すれば、前方端部41aと後方端部41bが段差構造で(階段状に)接続されている)。なお、前方端部41aは、シート上下方向においてSバネ23aとSバネ23bとの間に位置し、後方端部41bは、シート上下方向においてSバネ23aと重なる位置にある。また、
図9に示される境界部41は、含浸層又は接合部として構成してよい。
【0081】
このように、境界部41を前方端部41aと後方端部41bのシート上下方向における高さが相違する段差構造とし、一方の端部(この例では後方端部41b)をSバネ23aと対向させることにより、シートバックパッド2aにおける境界部41と、その周囲との硬度変化を段階的にして、境界部とその周囲の硬度が急激に変化することを抑止できる。これにより、境界部41の周辺における硬度の変化を緩和させることができる。
【0082】
図10には、第2の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図10に示されるように、第2の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、境界部41の前方端部41aと後方端部41bがシート上下方向において異なる高さに位置すると共に、前方端部41aと後方端部41bの接続面が勾配構造をなしている(換言すれば、前方端部41aと後方端部41bが勾配構造で接続されている)。なお、前方端部41aは、シート上下方向においてSバネ23aとSバネ23bとの間に位置し、後方端部41bは、シート上下方向においてSバネ23aと重なる位置にある。また、
図10に示される境界部41は、含浸層又は接合部として構成してよい。
【0083】
このように、境界部41を前方端部41aと後方端部41bのシート上下方向における高さが相違する勾配構造とし、一方の端部(この例では後方端部41b)をSバネ23aと対向させることにより、シートバックパッド2aにおける境界部41と、その周囲との硬度変化を滑らかとし、境界部とその周囲の硬度が急激に変化することを抑止できる。これにより、境界部41の周辺における硬度の変化を緩和させることができる。
【0084】
図11には、第3の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図11に示されるように、第3の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、境界部41を上記の第2の変形例と同様の勾配構造としているが、以下の点で第2の変形例と相違する。すなわち、第3の変形例においては、境界部41の前方端部41aの部分に溝部58を設けており、さらに溝部58に表皮材を吊り込むためのワイヤ等の吊り込み部59を設けている点で第2の変形例と相違する。
【0085】
このように、第3の変形例においても第2の変形例と同様に、境界部41を前方端部41aと後方端部41bのシート上下方向における高さが相違する勾配構造とし、一方の端部(この例では後方端部41b)をSバネ23aと対向させることにより、シートバックパッド2aにおける境界部41と、その周囲との硬度変化を滑らかとし、境界部とその周囲の硬度が急激に変化することを抑止できる。これにより、境界部41の周辺における硬度の変化を緩和させることができる。さらに、第3の変形例では、境界部41の前方には溝部58が設けられており、乗員と境界部41とが当接しないようになっているため、乗員の境界部41における違和感を軽減できる。
【0086】
なお、上記の第1乃至第3の変形例においては、前方端部41aをSバネ23a及びSバネ23bとの間に配置し、後方端部41bをSバネ23aと上下方向において重なる位置に配することとしたが、前方端部41aをSバネ23a又はSバネ23bと上下方向において重なる位置に配置し、後方端部41bをSバネ23aとSバネ23bとの間に配置するようにしてもよい。
【0087】
図12には、第4の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図12に示されるように、第4の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、境界部41を上記の第3の変形例と同様の溝部58を設けた構造としているが、以下の点で第3の変形例と相違する。すなわち、第4の変形例においては、境界部41を下部第1クッション領域40aの材料と下部第2クッション領域40bの材料とが相溶した相溶部とした点で第3の変形例と相違する。
【0088】
このように、第4の変形例においては、境界部41をSバネ23aと対向させることにより、シートバックパッド2aにおける境界部41と、その周囲との硬度変化を滑らかとし、境界部とその周囲の硬度が急激に変化することを抑止できる。また、境界部41を相溶部として、境界部41の荷重の入力領域を大きくしたことにより、境界部41における乗員の違和感を軽減できる。また、第4の変形例では、境界部41に設けられた溝部58に設けられた吊り込み部59において表皮材を吊り込むことができる。これにより、境界部41において表皮材のたるみが防止されるため、境界部41における違和感を軽減できる。
【0089】
図13には、第5の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図13に示されるように、第5の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、下部第1クッション領域40aの後面(シート後方の面)を除く各面が下部第2クッション領域40bで覆われており、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bとの境界部41がシートバックパッド2aの前面に達していない。
図13に示す例においては、境界部41の後方端部41bのうち少なくとも一方がSバネ23aに対向する位置に設けられる。
図13に示す例では、境界部41の下側の後方端部41bがSバネ23bよりも下側に位置しているが、後方端部41bをSバネ23bに対向する位置に設けてもよい。
【0090】
また、
図13に示す例においては、下部第1クッション領域40aの後面を除く各面を下部第2クッション領域40bで覆うようにしたが、下部第1クッション領域40aの前面を除く各面を下部第2クッション領域40bで覆うようにして、境界部41がシートバックパッド2aの後面に達しないようにしても構わない。
【0091】
図14には、第6の変形例に係るシートバックパッド2aのV-V断面図を示す。
図14に示されるように、第6の変形例に係るシートバックパッド2aにおいては、下部第1クッション領域40aと下部第2クッション領域40bとの境界部41における前方端部41aをSバネ23bと対向する位置に設け、後方端部41bをSバネ23aと対向する位置に設けている。また、
図14に示す例に限らず、境界部41の前方端部41aをSバネ23aと対向する位置に設け、後方端部41bをSバネ23bに対向する位置に設けてもよい。
【0092】
なお、上記の第1乃至第6の変形例の構成を、シートクッションパッド1aの境界部61に対しても同様に適用してもよい。