(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のスイッチと前記水平偏波用アンテナとの間と、前記第3のスイッチと前記垂直偏波用アンテナとの間とのいずれか一方には、電力を90°遅らせる移相器が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、円偏波を出力するためには水平偏波用アンテナに接続される出力端子に供給される電力と水平偏波用アンテナに接続される出力端子に供給される電力とに90°の位相差を設ける必要がある。しかしながら、上述のような構成では、水平偏波用アンテナに至る配線パターン(入力側端子から一方の出力側端子までの配線パターン)と垂直偏波用アンテナに至る配線パターン(入力側端子から他方の出力側端子までの配線パターン)とが非対称になる。そうすると、配線の経路差に起因する位相差を考慮して配線パターン設計を行う必要があるが、このような位相差は設計段階では予測することが困難であるため、配線パターンの調整を含めた試作等を行う必要があり、配線パターン設計が煩雑になってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、水平偏波や垂直偏波等の偏波の切り替えを可能としつつ配線パターン設計の簡素化を図り得るアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、水平偏波用アンテナ(41)および垂直偏波用アンテナ(42)の少なくとも一方を用いて偏波の切り替えを行うアンテナ装置(40a)であって、電波の出力時に外部からの電力が供給される1つの一側端子(61)と複数の他側端子(62■65)とを有し、前記複数の他側端子のいずれか1つと前記一側端子とを導通させる第1のスイッチ(60,60a)と、第1分配他側端子(93)および第2分配他側端子(94)
と第1分配一側端子および第2分配一側端子とを有し、前記第1のスイッチ
の第3の他側端子を介して
前記第1分配一側端子に供給される電力を前記第1分配他側端子および前記第2分配他側端子に対して90°の位相差にて分配
し、前記第2分配一側端子が終端抵抗に接続される分配器(90)と、前記第1のスイッチの第1の他側端子および前記水平偏波用アンテナを導通する状態と前記分配器の前記第1分配他側端子および前記水平偏波用アンテナを導通する状態とのいずれかに切り替える第2のスイッチ(70)と、前記第1のスイッチの第2の他側端子および前記垂直偏波用アンテナを導通する状態と前記分配器の前記第2分配他側端子および前記垂直偏波用アンテナを導通する状態とのいずれかに切り替える第3のスイッチ(80)と、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチの導通状態を制御する制御部(21)と、を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、1つの一側端子および複数の他側端子を有する第1のスイッチと、第1のスイッチを介して供給される電力を第1分配他側端子および第2分配他側端子に対して90°の位相差にて分配する分配器と、第1のスイッチの第1の他側端子および水平偏波用アンテナを導通する状態と分配器の第1分配他側端子および水平偏波用アンテナを導通する状態とのいずれかに切り替える第2のスイッチと、第1のスイッチの第2の他側端子および垂直偏波用アンテナを導通する状態と分配器の第2分配他側端子および垂直偏波用アンテナを導通する状態とのいずれかに切り替える第3のスイッチと、各スイッチの導通状態を制御する制御部と、が設けられている。
【0010】
これにより、制御部による各スイッチの制御により、一側端子を介して電力が供給された状態で、第1のスイッチの第1の他側端子と水平偏波用アンテナとが導通されると、水平偏波用アンテナを介して水平偏波の電波が出力され、第1のスイッチの第2の他側端子と垂直偏波用アンテナとが導通されると、垂直偏波用アンテナを介して垂直偏波の電波が出力される。また、制御部による各スイッチの制御により、第1のスイッチを介して分配器に電力が供給されると、水平偏波用アンテナを介して出力される水平偏波の電波と垂直偏波用アンテナを介して出力される垂直偏波の電波とが90°の位相差となることから、円偏波の電波が出力される。特に、第1のスイッチと水平偏波用アンテナおよび垂直偏波用アンテナとの間に第2のスイッチおよび第3のスイッチがそれぞれ配置され、第1のスイッチと第2のスイッチおよび第3のスイッチとの間に分配器が配置される配線パターンとなるため、水平偏波用アンテナに至る配線パターンと垂直偏波用アンテナに至る配線パターンとを対称に配置することができる。したがって、水平偏波や垂直偏波等の偏波の切り替えを可能としつつ、配線パターン設計の簡素化を図り得るアンテナ装置を実現することができる。
【0011】
請求項2の発明では、分配器は、第1のスイッチの第3の他側端子に接続される第1分配一側端子を介して第1分配他側端子に供給される電力を、第1分配一側端子を介して第2分配他側端子に供給される電力よりも90°遅れた位相差とし、第1のスイッチの第4の他側端子に接続される第2分配一側端子を介して第2分配他側端子に供給される電力を、第2分配一側端子を介して第1分配他側端子に供給される電力よりも90°遅れた位相差とする。
【0012】
このため、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相を、垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相よりも90°遅らせることで、右旋円偏波の電波を出力することができる。また、垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相を、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相よりも90°遅らせることで、左旋円偏波の電波を出力することができる。これにより、水平偏波および垂直偏波だけでなく、右旋円偏波および左旋円偏波の2種類の円偏波にも切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明では、第2のスイッチと水平偏波用アンテナとの間と、第3のスイッチと垂直偏波用アンテナとの間とのいずれか一方には、電力を90°遅らせる移相器が設けられる。
【0014】
これにより、水平偏波および垂直偏波だけでなく、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相が等しくなる場合の斜め偏波や水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相との位相差が180°になる場合の斜め偏波にも切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
【0015】
請求項4の発明では、移相器による移相を行う導通状態と移相器による移相を解除する導通状態とのいずれかに切り替える移相器用スイッチの導通状態が制御部により制御される。
【0016】
このため、移相器による移相によって、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相とを等しくして斜め偏波の電波を出力する状態から、移相器による移相の解除によって、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相との位相差を90°にして円偏波の電波を出力する状態に切り替えることができる。また、移相器による移相によって、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相との位相差を180°にして斜め偏波の電波を出力する状態から、移相器による移相の解除によって、水平偏波用アンテナに供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナに供給される電力の位相との位相差を90°にして円偏波の電波を出力する状態に切り替えることができる。これにより、水平偏波、垂直偏波および斜め偏波だけでなく、円偏波にも切り替えることができ、利便性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るアンテナ装置を備える携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波(電磁波)を媒介としてRFIDタグ(非接触通信媒体)Tに記憶されている情報を読み書きするRFIDタグリーダライタとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0019】
図1(A)(B)に示すように、携帯端末10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケース11aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等のキー操作部25や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、下側ケース11bには、下方に向けて開口する読取口12が形成されている。
【0020】
図2(A)に示すように、携帯端末10の筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。メモリ22には、RFIDタグTを非接触通信にて読み取る読取処理を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、バイブレータ26、ブザー27、外部インタフェース28などが接続されている。
【0021】
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。また、外部インタフェース28は、外部機器等との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、図略の電源部が設けられており、この電源部やバッテリ等によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0022】
また、制御部21には、情報コード読取部30および非接触通信部40が接続されている。
まず、情報コード読取部30について、
図2(B)を用いて説明する。
情報コード読取部30は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図2(B)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ33、結像レンズ32、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード等)を読み取るように機能する。
【0023】
この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ32を通って受光センサ33に受光される。読取口12と受光センサ33との間に配される結像レンズ32は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(
図2(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0024】
次に、非接触通信部40について、
図3を用いて説明する。
非接触通信部40は、制御部21と協働してRFIDタグTとの間で電波(電磁波)による非接触通信(無線通信)を行ない、RFIDタグTに記憶されるデータの読取り、或いはRFIDタグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この非接触通信部40は、公知の電波方式で伝送を行う回路として制御部21とともにアンテナ装置40aとして構成されるもので、
図3にて概略的に示すように、水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42と送受信部43およびアンテナ切替部50とを備えている。
【0025】
水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42は、互いの偏波面が直交する公知のアンテナであって、それぞれ水平偏波の電波および垂直偏波の電波を出力可能に構成されている。なお、水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42は、例えば、2点給電のパッチアンテナとして構成されてもよいし、クロスダイポールアンテナとして構成されてもよい。
【0026】
送受信部43は、制御部21により制御されて、送信データに応じた電波の出力時に、所定の電力をアンテナ切替部50を介して水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42の少なくともいずれか一方に供給し、受信データの受信時に、この受信データに応じた電力がアンテナ切替部50を介して供給されるように構成されている。具体的には、送受信部43は、送信回路、受信回路、整合回路などを備えるように構成されている。
【0027】
送信回路は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路を介してアンテナ切替部50に出力している。このようにしてアンテナ切替部50に送信信号が出力されると、その送信信号が電波(電磁波)として水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42の少なくともいずれか一方から外部に放射される。
【0028】
一方、水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42の少なくともいずれか一方にて受信されることでアンテナ切替部50を介して応答信号として受信された電波(電磁波)は、整合回路を介して受信回路に入力される。この受信回路は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ切替部50を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0029】
アンテナ切替部50は、送受信部43と水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42とを電気的に接続して偏波の切り替えを行う多偏波切替手段として機能するものでる。本実施形態では、アンテナ切替部50は、水平偏波および垂直偏波の2種類の直線偏波と右旋円偏波および左旋円偏波の2種類の円偏波との計4種類の偏波を切り替え可能に構成されている。アンテナ切替部50は、
図4に示すように、3つのスイッチ60,70,80と、分配器90とを備えている。
【0030】
スイッチ60は、
図4および
図5に示すように、電波の出力時に外部からの電力が供給される1つの一側端子61と4つの他側端子62〜65とを有する単極4接点スイッチ(SP4T)であって、各他側端子62〜65のいずれか1つと一側端子61とを導通させるように機能する。特に、本実施形態では、
図5からわかるように、制御部21により制御されて、各他側端子のいずれか1つと一側端子61とが導通するとき、残りの他側端子が終端抵抗に接続されるように構成されている。なお、
図5の例では、制御部21により制御されて、他側端子62と一側端子61とが接続され、残りの他の他側端子63〜65が50Ωの終端抵抗に接続される状態を図示している。なお、スイッチ60は、「第1のスイッチ」の一例に相当し得る。
【0031】
スイッチ70は、制御部21により制御されて、スイッチ60の他側端子62および水平偏波用アンテナ41を導通する状態と、後述する分配器90の端子93および水平偏波用アンテナ41を導通する状態とのいずれかに切り替えるスイッチとして機能するものである。このスイッチ70は、スイッチ60の他側端子62に接続される端子71と、分配器90の端子93に接続される端子72と、水平偏波用アンテナ41に接続される端子73とを有する単極2接点スイッチ(SPDT)であって、端子71および端子72のいずれか1つと端子73とを導通させるように機能する。このため、スイッチ70は、スイッチ60の他側端子62と水平偏波用アンテナ41とを導通する場合には、制御部21により制御されて、端子71と端子73とが導通され、分配器90の端子93と水平偏波用アンテナ41とを導通する場合には、制御部21により制御されて、端子72と端子73とが導通される。なお、スイッチ70は、「第2のスイッチ」の一例に相当し、他側端子62は、「第1の他側端子」の一例に相当し得る。
【0032】
スイッチ80は、制御部21により制御されて、スイッチ60の他側端子63および垂直偏波用アンテナ42を導通する状態と、後述する分配器90の端子94および垂直偏波用アンテナ42を導通する状態とのいずれかに切り替えるスイッチとして機能するものである。このスイッチ80は、スイッチ60の他側端子63に接続される端子81と、分配器90の端子94に接続される端子82と、垂直偏波用アンテナ42に接続される端子83とを有する単極2接点スイッチ(SPDT)であって、端子81および端子82のいずれか1つと端子83とを導通させるように機能する。このため、スイッチ80は、スイッチ60の他側端子63と垂直偏波用アンテナ42とを導通する場合には、制御部21により制御されて、端子81と端子83とが導通され、分配器90の端子94と垂直偏波用アンテナ42とを導通する場合には、制御部21により制御されて、端子82と端子83とが導通される。なお、スイッチ80は、「第3のスイッチ」の一例に相当し、他側端子63は、「第2の他側端子」の一例に相当し得る。
【0033】
分配器90は、4つの端子91〜94を有し、端子91または端子92から供給される電力を端子93および端子94に対して90°の位相差にて分配する90°ハイブリッド回路として構成されている。そして、端子91はスイッチ60の他側端子64に接続され、端子92はスイッチ60の他側端子65に接続され、端子93はスイッチ70の端子72に接続され、端子94はスイッチ80の端子82に接続されている。なお、他側端子64は、「第3の他側端子」の一例に相当し、他側端子65は、「第4の他側端子」の一例に相当し得る。また、端子91は、「第1分配一側端子」の一例に相当し、端子92は、「第2分配一側端子」の一例に相当し、端子93は、「第1分配他側端子」の一例に相当し、端子94は、「第2分配他側端子」の一例に相当し得る。
【0034】
特に、本実施形態では、分配器90は、端子91を介して端子93に供給される電力を、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差とし、端子92を介して端子94に供給される電力を、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差とするように構成されている。
【0035】
そして、
図4に示すように、スイッチ60の端子62とスイッチ70の端子71とが配線パターン51により接続され、スイッチ60の端子63とスイッチ80の端子81とが配線パターン52により接続される。また、スイッチ60の端子64と分配器90の端子91とが配線パターン53により接続され、スイッチ60の端子65と分配器90の端子92とが配線パターン54により接続される。また、分配器90の端子93とスイッチ70の端子72とが配線パターン55により接続され、分配器90の端子94とスイッチ80の端子82とが配線パターン56により接続される。
【0036】
このように、アンテナ切替部50は、スイッチ60と水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42との間にスイッチ70およびスイッチ80がそれぞれ配置され、スイッチ60とスイッチ70およびスイッチ80との間に分配器90が配置される配線パターンとなる。このため、水平偏波用アンテナ41に至る配線パターンと垂直偏波用アンテナ42に至る配線パターンとを対称に配置することができる。なお、水平偏波用アンテナ41に至る配線パターンは、直接スイッチ60およびスイッチ70を接続する配線パターン51と、分配器90を介してスイッチ60およびスイッチ70を接続する配線パターン53、55とである。また、垂直偏波用アンテナ42に至る配線パターンは、直接スイッチ60およびスイッチ80を接続する配線パターン52と、分配器90を介してスイッチ60およびスイッチ80を接続する配線パターン54、56とである。
【0037】
次に、水平偏波および垂直偏波と右旋円偏波および左旋円偏波との計4種類の偏波を切り替える際の制御部21によるアンテナ切替部50の制御について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0038】
まず、水平偏波を利用してRFIDタグTを読み取る場合について、
図6(A)を参照して説明する。この場合、制御部21により制御されて、
図6(A)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子62とが導通され、スイッチ70において端子71と端子73とが導通されることで、スイッチ60の一側端子61と水平偏波用アンテナ41とが導通される。この導通状態では、制御部21により制御された送受信部43からスイッチ60の一側端子61を介して電波出力用の電力が供給されることで、水平偏波の電波が出力され、この出力に応じてRFIDタグTから受信した電波に基づいてRFIDタグTの情報が読み取られる。
【0039】
次に、垂直偏波を利用してRFIDタグTを読み取る場合について、
図6(B)を参照して説明する。この場合、制御部21により制御されて、
図6(B)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子63とが導通され、スイッチ80において端子81と端子83とが導通されることで、スイッチ60の一側端子61と垂直偏波用アンテナ42とが導通される。この導通状態では、制御部21により制御された送受信部43からスイッチ60の一側端子61を介して電波出力用の電力が供給されることで、垂直偏波の電波が出力され、この出力に応じてRFIDタグTから受信した電波に基づいてRFIDタグTの情報が読み取られる。
【0040】
次に、右旋円偏波を利用してRFIDタグTを読み取る場合について、
図7(A)を参照して説明する。この場合、制御部21により制御されて、
図7(A)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子64とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通される。この導通状態では、制御部21により制御された送受信部43からスイッチ60の一側端子61を介して電波出力用の電力が供給されることで、端子91を介して端子93に供給される電力が、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差となる。これにより、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相が垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも90°遅れるために、右旋円偏波の電波が出力され、この出力に応じてRFIDタグTから受信した電波に基づいてRFIDタグTの情報が読み取られる。
【0041】
次に、左旋円偏波を利用してRFIDタグTを読み取る場合について、
図7(B)を参照して説明する。この場合、制御部21により制御されて、
図7(B)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子65とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通される。この導通状態では、制御部21により制御された送受信部43からスイッチ60の一側端子61を介して電波出力用の電力が供給されることで、端子92を介して端子94に供給される電力が、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差となる。これにより、垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相が水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相よりも90°遅れるために、左旋円偏波の電波が出力され、この出力に応じてRFIDタグTから受信した電波に基づいてRFIDタグTの情報が読み取られる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置40aでは、1つの一側端子61および4つの他側端子62〜65を有するスイッチ60と、スイッチ60を介して供給される電力を端子93および端子94に対して90°の位相差にて分配する分配器90と、スイッチ60の他側端子62および水平偏波用アンテナ41を導通する状態と分配器90の端子93および水平偏波用アンテナ41を導通する状態とのいずれかに切り替えるスイッチ70と、スイッチ60の他側端子63および垂直偏波用アンテナ42を導通する状態と分配器90の端子94および垂直偏波用アンテナ42を導通する状態とのいずれかに切り替えるスイッチ80と、各スイッチ60,70,80の導通状態を制御する制御部21と、が設けられている。
【0043】
これにより、制御部21による各スイッチ60,70,80の制御により、一側端子61を介して電力が供給された状態で、スイッチ60の他側端子62と水平偏波用アンテナ41とが導通されると、水平偏波用アンテナ41を介して水平偏波の電波が出力され、スイッチ60の他側端子63と垂直偏波用アンテナ42とが導通されると、垂直偏波用アンテナ42を介して垂直偏波の電波が出力される。また、制御部21による各スイッチ60,70,80の制御により、スイッチ60を介して分配器90に電力が供給されると、水平偏波用アンテナ41を介して出力される水平偏波の電波と垂直偏波用アンテナ42を介して出力される垂直偏波の電波とが90°の位相差となることから、円偏波の電波が出力される。特に、スイッチ60と水平偏波用アンテナ41および垂直偏波用アンテナ42との間にスイッチ70およびスイッチ80がそれぞれ配置され、スイッチ60とスイッチ70およびスイッチ80との間に分配器90が配置される配線パターンとなるため、水平偏波用アンテナ41に至る配線パターンと垂直偏波用アンテナ42に至る配線パターンとを対称に配置することができる。このため、水平偏波用アンテナ41に至る配線パターンと垂直偏波用アンテナ42に至る配線パターンとを等長配線とすることができ、配線の経路差に起因する位相差を考慮する必要もないので、配線パターン設計が煩雑になることもない。したがって、水平偏波や垂直偏波等の偏波の切り替えを可能としつつ、配線パターン設計の簡素化を図り得るアンテナ装置を実現することができる。
【0044】
特に、分配器90は、スイッチ60の他側端子64に接続される端子91を介して端子93に供給される電力を、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差とし、スイッチ60の他側端子65に接続される端子92を介して端子94に供給される電力を、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差とする。
【0045】
このため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相を、垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも90°遅らせることで、右旋円偏波の電波を出力することができる。また、垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相を、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相よりも90°遅らせることで、左旋円偏波の電波を出力することができる。これにより、水平偏波および垂直偏波だけでなく、右旋円偏波および左旋円偏波の2種類の円偏波にも切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として、
図8に示すアンテナ切替部50aのように、分配器90の端子92が終端抵抗(例えば、50Ω)に接続されるように構成されてもよい。この場合、スイッチ(第1のスイッチ)60aは、3つの他側端子62〜64を有する単極3接点スイッチ(SP3T)として構成され、各他側端子のいずれか1つと一側端子61とが導通するときに残りの他側端子が終端抵抗に接続されるような構成は不要となる。
【0047】
この構成では、スイッチ70の端子71と端子73とが導通されてスイッチ60aの他側端子62と水平偏波用アンテナ41とが導通されると、水平偏波用アンテナ41を介して水平偏波の電波が出力され、スイッチ80の端子81と端子83とが導通されてスイッチ60aの他側端子63と垂直偏波用アンテナ42とが導通されると、垂直偏波用アンテナ42を介して垂直偏波の電波が出力可能な状態となる。そして、
図8に示すように、スイッチ60aの一側端子61および他側端子64、スイッチ70の端子72および端子73、スイッチ80の端子82および端子83がそれぞれ導通されると、端子91を介して端子93に供給される電力が、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、右旋円偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0048】
すなわち、この変形例に係る構成では、上記第1実施形態に係る構成よりも簡素な構成にて、水平偏波および垂直偏波と右旋円偏波との3種類の偏波に切り替える構成を実現することができる。
【0049】
なお、上記変形例において、分配器90の端子91が終端抵抗57に接続され、端子92とスイッチ60aの他側端子64とが接続される構成とすることで、スイッチ60aの一側端子61および他側端子64、スイッチ70の端子72および端子73、スイッチ80の端子82および端子83がそれぞれ導通されると、端子92を介して端子94に供給される電力が、端子91を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、左旋円偏波の電波が出力可能な状態となる。この構成では、水平偏波および垂直偏波と左旋円偏波との3種類の偏波に切り替える構成を実現することができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置について、
図9および
図10を参照して説明する。
本第2実施形態に係るアンテナ装置40aは、水平偏波および垂直偏波に2種類の斜め偏波を加えた4つの偏波を切り替え可能に構成される点が、上記第1実施形態に係るアンテナ装置と異なる。したがって、第1実施形態のアンテナ装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、水平偏波および垂直偏波に2種類の斜め偏波を加えた4つの偏波を切り替え可能とするため、
図9に示すアンテナ切替部50bが採用されている。特に、本実施形態では、2種類の斜め偏波として、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相が垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも180°遅れることによる斜め偏波(以下、第1の斜め偏波ともいう)と、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相とが等しくなることによる斜め偏波(以下、第2の斜め偏波ともいう)とが想定されている。
【0052】
アンテナ切替部50bは、上記アンテナ切替部50に対して、スイッチ70と水平偏波用アンテナ41との間に、電力を90°遅らせる移相器100が設けられるように構成されている。
【0053】
このような構成では、スイッチ60において一側端子61と他側端子62とが導通されてスイッチ70において端子71と端子73とが導通されることで、上記第1実施形態と同様に、スイッチ60の一側端子61と水平偏波用アンテナ41とが導通されて、水平偏波の電波が出力可能な状態となる。なお、この導通状態では、移相器100による位相の遅れは偏波の切り替えに影響しない。また、スイッチ60において一側端子61と他側端子63とが導通されてスイッチ80において端子81と端子83とが導通されることで、上記第1実施形態と同様に、スイッチ60の一側端子61と垂直偏波用アンテナ42とが導通されて、垂直偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0054】
また、第1の斜め偏波に切り替える場合には、
図10(A)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子64とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通される。この導通状態では、端子91を介して端子93に供給される電力が、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、さらに、スイッチ70を介して供給される電力が移相器100により90°遅れた位相となる。このため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相が垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも180°遅れることによる第1の斜め偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0055】
また、第2の斜め偏波に切り替える場合には、
図10(B)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子65とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通される。この導通状態では、端子92を介して端子94に供給される電力が、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、さらに、スイッチ70を介して供給される電力が移相器100により90°遅れた位相となる。このため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相とが等しくなることによる第2の斜め偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0056】
このように、本実施形態に係るアンテナ装置では、水平偏波および垂直偏波だけでなく、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相が等しくなる場合の斜め偏波(第2の斜め偏波)や水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相との位相差が180°になる場合の斜め偏波(第1の斜め偏波)にも切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態の変形例として、アンテナ切替部50bは、上記アンテナ切替部50に対して、スイッチ80と垂直偏波用アンテナ42との間に、電力を90°遅らせる移相器100が設けられるように構成されてもよい。このようにしても、水平偏波および垂直偏波だけでなく、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相が等しくなる場合の斜め偏波や水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相との位相差が180°になる場合の斜め偏波にも切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
【0058】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置について、
図11〜
図13を参照して説明する。
本第3実施形態に係るアンテナ装置40aは、移相器用スイッチ110を備える点が、上記第2実施形態に係るアンテナ装置と異なる。したがって、第2実施形態のアンテナ装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、水平偏波および垂直偏波と2種類の斜め偏波とに2種類の円偏波を加えた6つの偏波を切り替え可能とするため、
図11に示すアンテナ切替部50cが採用されている。このアンテナ切替部50cは、上記アンテナ切替部50bに対して、新たに移相器用スイッチ110を備えるように構成されている。
【0060】
移相器用スイッチ110は、制御部21により制御されて、移相器100による移相を行う導通状態と移相器100による移相を解除する導通状態とのいずれかに切り替えるスイッチとして機能するものである。この移相器用スイッチ110は、スイッチ70の端子73に接続される端子と、水平偏波用アンテナ41に接続される端子と、移相器100に接続される2つの端子とを有する双極2接点スイッチ(DPDT)とし構成されている。
【0061】
このため、移相器用スイッチ110は、移相器100による移相を行う場合には、制御部21により制御されて、スイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが移相器100を介して接続され、移相器100による移相を解除する場合には、制御部21により制御されて、スイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが直接接続される。
【0062】
このような構成では、スイッチ60において一側端子61と他側端子62とが導通されてスイッチ70において端子71と端子73とが導通されることで、上記第2実施形態と同様に、スイッチ60の一側端子61と水平偏波用アンテナ41とが導通されて、水平偏波の電波が出力可能な状態となる。また、スイッチ60において一側端子61と他側端子63とが導通されてスイッチ80において端子81と端子83とが導通されることで、上記第2実施形態と同様に、スイッチ60の一側端子61と垂直偏波用アンテナ42とが導通されて、垂直偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0063】
また、第1の斜め偏波に切り替える場合には、
図12(A)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子64とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通され、移相器用スイッチ110の制御によりスイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが移相器100を介して導通される。この導通状態では、端子91を介して端子93に供給される電力が、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、さらに、スイッチ70を介して供給される電力が移相器100により90°遅れた位相となる。このため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相が垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも180°遅れることによる第1の斜め偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0064】
また、第2の斜め偏波に切り替える場合には、
図12(B)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子65とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通され、移相器用スイッチ110の制御によりスイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが移相器100を介して導通される。この導通状態では、端子92を介して端子94に供給される電力が、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差となり、さらに、スイッチ70を介して供給される電力が移相器100により90°遅れた位相となる。このため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相とが等しくなることによる第2の斜め偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0065】
また、右旋円偏波に切り替える場合には、
図13(A)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子64とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通され、移相器用スイッチ110の制御によりスイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが移相器100を介すことなく直接導通される。この導通状態では、端子91を介して端子93に供給される電力が、端子91を介して端子94に供給される電力よりも90°遅れた位相差となるため、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相が垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相よりも90°遅れることで、右旋円偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0066】
また、左旋円偏波に切り替える場合には、
図13(B)に示すように、スイッチ60において一側端子61と他側端子65とが導通され、スイッチ70において端子72と端子73とが導通され、スイッチ80において端子82と端子83とが導通され、移相器用スイッチ110の制御によりスイッチ70の端子73と水平偏波用アンテナ41とが移相器100を介すことなく直接導通される。この導通状態では、端子92を介して端子94に供給される電力が、端子92を介して端子93に供給される電力よりも90°遅れた位相差となるため、垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相が水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相よりも90°遅れることで、左旋円偏波の電波が出力可能な状態となる。
【0067】
このように、本実施形態に係るアンテナ装置では、移相器100による移相によって、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相とを等しくして斜め偏波の電波を出力可能な状態から、移相器100による移相の解除によって、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相との位相差を90°にして円偏波の電波を出力可能な状態に切り替えることができる。また、移相器100による移相によって、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相との位相差を180°にして斜め偏波の電波を出力可能な状態から、移相器100による移相の解除によって、水平偏波用アンテナ41に供給される電力の位相と垂直偏波用アンテナ42に供給される電力の位相との位相差を90°にして円偏波の電波を出力可能な状態に切り替えることができる。これにより、水平偏波、垂直偏波および斜め偏波だけでなく、円偏波にも切り替えることができ、利便性をさらに向上させることができる。
【0068】
なお、移相器用スイッチ110に代えて、
図14に示す2つの移相器用スイッチ120,130を用いてもよい。移相器用スイッチ120は、電波の出力時に電力が供給される1つの端子121と、移相器100に接続される端子122と、移相器用スイッチ130に直接接続される端子123とを有する単極2接点スイッチ(SPDT)であって、制御部21により制御されて、両端子122,123のいずれか1つと端子121とを導通させるように機能する。移相器用スイッチ130は、水平偏波用アンテナ41に接続される端子131と、移相器100に接続される端子132と、移相器用スイッチ120に直接接続される端子133とを有する単極2接点スイッチ(SPDT)であって、制御部21により制御されて、両端子132,133のいずれか1つと端子131とを導通させるように機能する。
【0069】
このようにしても、制御部21により制御された移相器用スイッチ120,130の導通状態に応じて、移相器100による移相を行う導通状態と移相器100による移相を解除する導通状態とのいずれかに切り替えることができる。なお、
図14では、移相器用スイッチ120において端子123と端子121とが導通され、移相器用スイッチ130において端子133と端子131とが導通されることで、移相器100による移相の解除した導通状態を示している。
【0070】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係るアンテナ装置は、上述したRFIDタグリーダライタとしての機能および情報コードリーダとしての機能を兼ね備えた携帯型の情報端末に搭載されることに限らず、例えば、RFIDタグTを読み取る機能のみを有する情報端末に搭載されてもよいし、さらに他の機能を有する情報端末に搭載されてもよい。また、本発明に係るアンテナ装置は、携帯型の情報端末に搭載されることに限らず、据え置き型の情報端末に搭載されてもよい。