特許第6572890号(P6572890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6572890ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572890
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20190902BHJP
   C07D 213/127 20060101ALI20190902BHJP
   C07D 213/71 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C07D401/12
   C07D213/127
   C07D213/71
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-527835(P2016-527835)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(86)【国際出願番号】JP2015066688
(87)【国際公開番号】WO2015190506
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-119690(P2014-119690)
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】山本 康仁
(72)【発明者】
【氏名】大上 雅良
(72)【発明者】
【氏名】萩原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 幸周
(72)【発明者】
【氏名】水野 玄
(72)【発明者】
【氏名】津▲崎▼ 康則
(72)【発明者】
【氏名】新井 健一
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/113600(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/113957(WO,A1)
【文献】 KELLY, J. et al.,Synthesis of Isomeric 3-Piperidinyl and 3-Pyrrolidinyl Benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridines: Sulfona,Bioorganic & Medicinal Chemistry,1998年,6,pp.673-686
【文献】 FILE REGISTRY ON STN,RN 51567-94-3, ENTERED STN: 16 NOV 1984
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(2):
【化6】

(式中、Rは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
で示されるスルホン酸化合物と、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドからなる群より選択されるスルホニル化剤とを反応させる工程、次いで
(B)工程(A)で得られた反応液に、一般式(3):
【化7】

(式中、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアリールアルキル基である)
で示されるアミン化合物を添加し、反応させる、一般式(4):
【化8】

(式中、R、Rは、前記と同義である)
で示されるスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項2】
が、置換基を有していてもよいピリジル基である、請求項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項3】
が、置換基を有していてもよいアラルキル基である、請求項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項4】
一般式(3)で示されるアミン化合物が、下記式(5):
【化9】

で示されるアミン化合物である、請求項のいずれか1項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項5】
反応温度が、10〜80℃で行われることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項6】
有機溶媒として、ニトリル系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒、芳香族アミン系溶媒、またはそれらの混合物を使用する、請求項のいずれか1項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項7】
有機溶媒として、アセトニトリル、塩化メチレン、ピリジンまたはそれらの混合物を使用する、請求項のいずれか1項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【請求項8】
塩基として、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンまたはピリジンを使用する、請求項のいずれか1項に記載のスルホンアミド化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ芳香族スルホン酸化合物とパーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドとから得られる混合スルホン酸無水物、および得られた混合スルホン酸無水物とアミンとを反応させることによるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法に関する。本発明のヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法は、従来よりも安全な方法であり、収率も高く副生成物が少ない工業的にも非常に有用な方法である。また本発明の製造方法によって得られるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物は、医薬中間体および原体として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物は、医農薬品および有機材料として、あるいはそれらの原料および中間体として、様々な分野で有用な化合物である。中でも近年、医薬品として有用であることが報告され、現在もなお、安全で簡便な製造方法が望まれている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
これまでヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の合成法として、ヘテロ芳香族スルホニルクロリドとアミンとの反応によるスルホンアミド化合物を製造する方法が数多く報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
また、ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の合成法として、ヘテロ芳香族スルホン酸と、5塩化リン(PCl)またはオキシ塩化リン(POCl)を用いてヘテロ芳香族スルホニルクロリドとしたのちに、アミンとの反応によるスルホンアミド化合物を製造する方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の合成法としては、ヘテロ芳香族チオールを出発物質として、次亜塩素酸ナトリウムまたはトリクロロイソシアヌル酸でヘテロ芳香族スルホニルクロリドとしたのちにアミンとの反応によるスルホンアミド化合物を製造する方法が報告されている(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照)。
【0006】
一方で、ヘテロ芳香族スルホン酸とp−ニトロベンゼンスルホン酸との混合スルホン酸無水物を、アミンと反応させてヘテロ芳香族スルホンアミド化合物を合成する方法が報告されている。(例えば、非特許文献5参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2010−125831号公報
【特許文献2】WO2011−028741号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Tetrahedron Letters, 2007, Vol.48, No.50, 2185-2188
【非特許文献2】Journal of Medicinal Chemistry, 1980, Vol.23, No.12, 1376-1380
【非特許文献3】Journal of Organic Chemistry, 2006, Vol.71, 1080-1084
【非特許文献4】Synthetic Communication, 2007, Vol.37, 2039-2050
【非特許文献5】Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1998, Vol.6, 678-686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまでヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の合成に使用されているヘテロ芳香族スルホニルクロリドは、水に不安定であり取り使いも難しく長期保存も好ましくない。また、大量に使用する場合入手が困難であり、熱安定性も低く、加熱により異常な発熱を伴って分解する危険な化合物であり工業的に使用する化合物として好ましくない。
また、5塩化リン(PCl)およびオキシ塩化リン(POCl)は毒性が高く、また環境へ悪影響を及ぼすことから、さらにチオールは悪臭があることから、これらを使用する方法は工業的な製法として好ましくない。更に酸化剤の使用も、その処理等で操作が煩雑となる点で工業的な製法として好ましくない。
【0010】
また、ヘテロ芳香族スルホン酸とp−ニトロベンゼンスルホン酸との混合スルホン酸無水物を、アミンと反応させてヘテロ芳香族スルホンアミド化合物を合成する方法では、目的物であるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物以外に、p−ニトロベンゼンスルホンアミド化合物が副生成物として大量に生成し、除くのにカラムクロマトグラフィー等の煩雑な後処理が必要となっている。
【0011】
このように、ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の合成方法として、安全で、環境への影響が少なく、更に、副生物が少なく、後処理が容易な方法が望まれていた。
【0012】
本発明の課題は、ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物を、収率良く、安全に取得することができる、簡便かつ工業的にも好適な製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明者らは、ヘテロ芳香族スルホンアミド化合物を合成する方法について、鋭意検討を行った結果、ヘテロ芳香環スルホン酸化合物とパーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドとから合成される混合スルホン酸無水物と、アミンとを反応させることにより、短時間で選択性良く反応が進行し、副反応の少ない、安全で高収率・高純度なヘテロ芳香族スルホンアミドを得る、工業的にも優れた製造法を見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は、
1) 一般式(2):
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、ヘテロアリール基である)
で示されるスルホン酸化合物と、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物およびパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドからなる群より選択されるスルホニル化剤とを反応させることによる、一般式(1):
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、Rは、前記と同義であり、Rは、パーフルオロアルキル基である)で示される混合スルホン酸無水物の製造方法;
2) 一般式(3):
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアリールアルキル基である)で示されるアミン化合物と、一般式(1)で示される混合スルホン酸無水物とを、反応させることによって得られる一般式(4):
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R、Rは、前記と同義である)で示されるスルホンアミド化合物の製造方法;並びに、
3)(A)一般式(2):
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、Rは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
で示されるスルホン酸化合物と、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドからなる群より選択されるスルホニル化剤とを反応させる工程、次いで
(B)工程(A)で得られた反応液に、一般式(3):
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアリールアルキル基である)
で示されるアミン化合物を添加し、反応させる工程を含む、一般式(4):
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、R、Rは、前記と同義である)
で示されるスルホンアミド化合物の製造方法に関する。
【0029】
また、本発明は、一般式(1):
【0030】
【化8】
【0031】
(式中、R、Rは、前記と同義である)で示される混合スルホン酸無水物を提供するものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、穏和な条件下、簡便、かつ工業的に好適な方法により、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物と、一般式(3)で示されるアミン化合物から、高収率、選択性良く、高純度な一般式(4)で示されるスルホンアミド化合物を製造することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一般式(4)で示されるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物は、塩基の存在下、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸とパーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドとから、一般式(1)で示される混合スルホン酸無水物を合成し(反応A)、その後、得られた混合スルホン酸無水物と一般式(4)で示されるアミンを反応させる(反応B)ことにより得ることが出来る(下記〔反応式I〕参照;ただし、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物を使用した例のみ示す。)。
【0034】
【化9】
【0035】
(式中、R、RおよびRは前記と同義である。)
【0036】
本発明において、以下の用語は、他に断りのない限り、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、以下に記載の意味を有する。
【0037】
「アルキル基」は、直鎖状または分岐状の飽和脂肪族炭化水素の一価の基を意味する。典型的には、炭素数1〜10のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基またはデシル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはヘキシル基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基またはイソブチル基である。
【0038】
「パーフルオロアルキル基」および「パーフルオロアルキルスルホン酸」の「パーフルオロアルキル」部分は、上記「アルキル基」の水素がすべてフッ素原子に置き換わったアルキル基を意味する。典型的には、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基(パーフルオロエチル基)、ヘプタフルオロプロピル基(パーフルオロプロピル基)、ノナフルオロブチル基(パーフルオロブチル基)、ウンデカフルオロペンチル基(パーフルオロペンチル基)、トリデカフルオロヘキシル基(パーフルオロヘキシル基)等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基であり、より好ましくは、トリフルオロメチル基である。
【0039】
「アルケニル基」は、直鎖状または分岐状の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、不飽和脂肪族炭化水素の一価の基を意味する。典型的には、炭素数2〜10のアルケニル基、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基またはデセニル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基またはヘキセニル基であり、より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基または2−ブテニル基である。
【0040】
「アルキニル基」は、直鎖状または分岐状の、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む、不飽和脂肪族炭化水素の一価の基を意味する。典型的には、炭素数2〜10のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基またはデシニル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基またはヘキシニル基であり、より好ましくは、炭素数2〜4のアルキニル基、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、3−ブチニル基または2−ブチニル基である。
【0041】
「シクロアルキル基」は、環状の飽和脂肪族炭化水素の一価の基を意味する。典型的には、炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基またはシクロデシル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘブチル基またはシクロオクチル基であり、より好ましくは、炭素数3〜6のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基である。
【0042】
「アリール基」は、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素の一価の基を意味する。典型的には、炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基または2−ナフチル基である。
【0043】
「ヘテロアリール基」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、単環式または縮合多環式芳香族複素環化合物の一価の基を意味する。典型的には、5〜10員のヘテロアリール基、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基;チエニル基、ベンゾチエニル基;フリル基、ベンゾフラニル基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、5〜6員のヘテロアリール基、例えば、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−ピラゾリル基、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジニル基、4−ピリダジニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チアゾリル基または4−チアゾリル基である。
【0044】
「アラルキル基」は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する。ここで「アリール基」および「アルキル基」は、前記と同義である。典型的には、炭素数7〜14のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基またはナフチルエチル基等(各種異性体を含む)が挙げられ、好ましくは、炭素数7〜10のアラルキル基、例えば、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、3−フェニルプロピル基または4−フェニルブチル基である。
【0045】
「ヘテロアリールアルキル基」は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。ここで「ヘテロアリール基」および「アルキル基」は、前記と同義である。典型的には、6〜14員のヘテロアリールアルキル基、例えば、ピロリルメチル基、ピロリルエチル基、イミダゾリルメチル基、イミダゾリルエチル基、ピラゾリルメチル基、ピラゾリルエチル基、トリアゾリルメチル基、トリアゾリルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基、ピリミジニルメチル基、ピリミジニルエチル基、ピリダジニルメチル基、ピリダジニルエチル基、インドリルメチル基、インドリルエチル基、キノリルメチル基、キノリルメチルエチル基;チエニルメチル基、チエニルエチル基、ベンゾチエニルメチル基、ベンゾチエニルエチル基;フリルメチル基、フリルエチル基、ベンゾフラニルメチル基、ベンゾフラニルエチル基;オキサゾリルメチル基、オキサゾリルエチル基、イソオキサゾリルメチル基、イソオキサゾリルエチル基、チアゾリルメチル基、チアゾリルエチル基、イソチアゾリルメチル基、イソチアゾリルエチル基、オキサジアゾリルメチル基、オキサジアゾリルエチル基、チアジアゾリルメチル基、チアジアゾリルエチル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、6〜10員のヘテロアリールアルキル基、例えば、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、2−ピリミジニルメチル基、5−ピリミジニルメチル基、2−インドリルメチル基、5−インドリルメチル基、2−ベンゾフラニルメチル基、5−インドリルメチル基、2−ベンゾチエニルメチル基または5−ベンゾチエニルメチル基である。
【0046】
「パーフルオロアルキルスルホン酸ハライド」等の「ハライド」は、ハロゲン原子を意味し、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、好ましくは、塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは、塩素原子である。
【0047】
一般式(1)、(2)および(4)において、Rは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す。
【0048】
本発明において「置換基を有していてもよい」とは、他に断りのない限り、後に続く基が、少なくとも1つの置換基を有する場合と置換基を有していない場合(すなわち、非置換である場合)との双方を包含することを意味する。例えば、「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」は、「置換基を有していないヘテロアリール基」または「置換基を有するヘテロアリール基」である。
【0049】
本発明の好ましい実施態様では、一般式(1)において、Rは、置換基を有していてもよいピリジル基である。
【0050】
における「置換基を有していてもよいヘテロアリール基(特には、ピリジル基)」は、好ましくは、5〜10員のヘテロアリール基(特には、ピリジル基);あるいはハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選択される1つ、2つまたは3つの置換基で置換された5〜10員のヘテロアリール基(特には、ピリジル基)である。2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0051】
本発明において、「ハロゲン原子」または「ハロ」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。好ましくは、フッ素原子、塩素原子または臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。
【0052】
本発明において「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、基−OR(ここで、Rは、前記と同義の炭素数1〜4のアルキル基である)を意味する。炭素数1〜4のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基またはイソブチルオキシ基が挙げられる。
【0053】
「置換基を有していないヘテロアリール基」としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基またはキノリル基等のヘテロアリール基(これらの基は、各種異性体を含む。)が挙げられ、好ましくは、2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基である。
【0054】
「置換基を有するヘテロアリール基」としては、例えば、2−(3−メチル)フリル基、2−(4−メチル)フリル基、2−(3−エチル)フリル基、2−(4−エチル)フリル基、2−(3−フルオロ)フリル基、2−(3−クロロ)フリル基、2−(3−ヒドロキシ)フリル基、2−(3−メトキシ)フリル基、2−(3−アミノ)フリル基、2−(3−ニトロ)フリル基、2−(3−シアノ)フリル基、2−(3−メチル)ピリジル基、2−(4−メチル)ピリジル基、2−(3−エチル)ピリジル基、2−(4−エチル)ピリジル基、2−(3−フルオロ)ピリジル基、2−(4−クロロ)ピリジル基、2−(3−ヒドロキシ)ピリジル基、2−(3−メトキシ)ピリジル基、2−(3−アミノ)ピリジル基、2−(3−ニトロ)ピリジル基、2−(3−シアノ)ピリジル基、2−(3,5−ジクロロ)ピリジル基、3−(2−クロロ)ピリジル基、2−(3−メチル)ピロリル基または2−(3−メチル)チエニル基等が挙げられ、好ましくは、2−(3−メチル)フリル基、2−(3−フルオロ)フリル基、2−(3−メチル)ピリジル基、2−(3−フルオロ)ピリジル基、2−(3−ニトロ)ピリジル基、2−(3−シアノ)ピリジル基または2−(3,5−ジクロロ)ピリジル基である。
【0055】
一般式(3)および(4)において、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアリールアルキル基である。
【0056】
における「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有していてもよいアルケニル基」、「置換基を有していてもよいアルキニル基」または「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」の置換基の例としては、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素数1〜10のアルコキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;シアノ基;またはニトロ基等が挙げられる。2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0057】
における「置換基を有していてもよいアリール基」、「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」、「置換基を有していてもよいアラルキル基」または「置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基」の置換基の例としては、ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基;炭素数2〜10のアルケニル基;炭素数2〜10のアルキニル基;置換基を有していてもよいアリール基;置換基を有していてもよいヘテロアリール基;置換基を有していてもよいアラルキル基;置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基;炭素数2〜11のアシル基;炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基;炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキル基;炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルコキシ基;炭素数6〜14のアリールオキシ基;炭素数7〜14のアラルキルオキシ基;炭素数1〜4のハロアルキル基;置換基を有していてもよいアミノ基;シアノ基;またはニトロ基等が挙げられる。2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。また隣接する環原子に置換された2つの置換基は、かかる環原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0058】
前記置換基の例における「置換基を有していてもよいアリール基」、「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」、「置換基を有していてもよいアラルキル基」または「置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基」の置換基の例としては、ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基;炭素数2〜10のアルケニル基;炭素数2〜10のアルキニル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数1〜4のハロアルキル基;シアノ基;またはニトロ基等が挙げられる。2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0059】
本発明において「炭素数1〜10のアルコキシ基」は、基−OR(ここで、Rは、前記と同義の炭素数1〜10のアルキル基である)を意味する。炭素数1〜10のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基またはデシルオキシ基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基またはヘキシルオキシ基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基またはイソブチルオキシ基である。
【0060】
同様に「炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基」は、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素数1〜10のアルコキシ基を意味する。ここで「炭素数1〜10のアルコキシ基」は、前記と同義である。好ましくは、炭素数2〜8のアルコキシアルコキシ基であり、より好ましくは、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、例えば、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基またはエトキシエトキシ基である。
【0061】
同様に「炭素数2〜11のアシル基」は、基−C(=O)−R(ここで、Rは、前記と同義の炭素数1〜10のアルキル基である)を意味する。炭素数2〜11のアシル基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基またはデカノイル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基またはピバロイル基である。
【0062】
同様に「炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基」は、基−C(=O)−OR(ここで、Rは、前記と同義の炭素数1〜10のアルキル基である)を意味する。炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基またはデシルオキシカルボニル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基またはヘキシルオキシ基であり、より好ましくは、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基である。
【0063】
同様に「炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキル基」は、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基を意味する。ここで「炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基」および「炭素数1〜10のアルキル基」は、前記と同義である。好ましくは、炭素数3〜11のアルコキシカルボニルアルキル基であり、より好ましくは、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基(すなわち、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基)、例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルエチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルエチル基またはtert−ブトキシカルボニルエチル基である。
【0064】
同様に「炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルコキシ基」は、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜10のアルコキシ基を意味する。ここで「炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基」および「炭素数1〜10のアルコキシ基」は、前記と同義である。好ましくは、炭素数3〜11のアルコキシカルボニルアルコキシ基であり、より好ましくは、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜4のアルコキシ基(すなわち、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルコキシ基)、例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、プロポキシカルボニルメトキシ基、イソプロポキシカルボニルメトキシ基、ブトキシカルボニルメトキシ基、tert−ブトキシカルボニルメトキシ基、メトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、プロポキシカルボニルエトキシ基、イソプロポキシカルボニルエトキシ基、ブトキシカルボニルエトキシ基またはtert−ブトキシカルボニルエトキシ基である。
【0065】
同様に「炭素数6〜14のアリールオキシ基」は、基−OR′(ここで、R′は、前記と同義の炭素数6〜14のアリールである)を意味する。炭素数6〜14のアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基またはアントリルオキシ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数6〜10のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基または2−ナフチルオキシ基である。
【0066】
同様に「炭素数7〜14のアラルキルオキシ基」は、基−OR″(ここで、R″は、前記と同義のアラルキル基である)を意味する。典型的には、炭素数7〜14のアラルキルオキシ基、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基、フェニルブチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基またはナフチルエチルオキシ基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、2−フェネチルオキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基または3−フェニルブチルオキシ基である。
【0067】
同様に「炭素数1〜4のハロアルキル基」は、1つ以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基を意味する。ここで「ハロ」および「炭素数1〜4のアルキル基」は、前記と同義である。炭素数1〜4のハロアルキル基の例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜2のフルオロアルキル基、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基またはペンタフルオロエチル基である。
【0068】
前記置換基の例における「置換基を有していてもよいアミノ基」は、アミノ基または1もしくは2の置換基を有するアミノ基を意味する。置換基の例としては、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基;または炭素数2〜10のアシル基等が挙げられる。2の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、一般式(1)、(3)および(4)におけるRは、置換基を有していてもよいアラルキル基である。本発明の特に好ましい実施態様では、一般式(1)、(3)および(4)におけるRは、置換基を有していてもよい、ベンジル基である。
【0070】
における「置換基を有していてもよいアラルキル基(特に、ベンジル基)」としては、アラルキル基(特に、ベンジル基);またはハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数7〜14のアラルキルオキシ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選択される1つ、2つまたは3つの置換基で置換されたアラルキル基(特に、ベンジル基)が挙げられる。ここで、2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。また隣接する環原子に置換された2つの置換基は、かかる環原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0071】
における「置換基を有していてもよいアラルキル基(特に、ベンジル基)」は、好ましくは、炭素数7〜10のアラルキル基(特に、ベンジル基);あるいはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選択される1つ、2つまたは3つの置換基で置換された炭素数7〜10のアラルキル基(特に、ベンジル基)である。2以上の置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0072】
における「置換基を有していてもよいアラルキル基(特に、ベンジル基)」は、より好ましくは、炭素数7〜10のアラルキル基(特に、ベンジル基);あるいは置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基で置換された炭素数7〜10のアラルキル基(特に、ベンジル基)である。
【0073】
における置換基を有していてもよいアラルキル基は、更に好ましくは、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基または4−フェニルブチル基;ビフェニル−4−イルメチル基、2’−エトキシビフェニル−4−イルメチル基、3’−エトキシビフェニル−4−イルメチル基、4’−エトキシビフェニル−4−イルメチル基、2’−(1−プロペニル)ビフェニル−4−イルメチル基、2’−(1−プロペニル)ビフェニル−4−イルメチル基、3’−(1−プロペニル)ビフェニル−4−イルメチル基、4’−(1−プロペニル)ビフェニル−4−イルメチル基、2’−(1−プロピニル)ビフェニル−4−イルメチル基、3’−(1−プロピニル)ビフェニル−4−イルメチル基または4’−(1−プロピニル)ビフェニル−4−イルメチル基;4−(チアゾール−2−イル)ベンジル基、3−(チアゾール−2−イル)ベンジル基、2−(チアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(チアゾール−4−イル)ベンジル基、4−(4−メチルチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(5−メチルチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(5−フルオロチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(5−クロロチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−(5−トリフルオロメチルメチルチアゾール−2−イル)ベンジル基、4−((1H)−ピラゾール−1−イル)ベンジル基、3−((1H)−ピラゾール−1−イル)ベンジル基、2−((1H)−ピラゾール−1−イル)ベンジル基、4−(3−メチル−(1H)−ピラゾール−1−イル)ベンジル基、4−(5−メチル−(1H)−ピラゾール−1−イル)ベンジル基、4−(オキサゾール−1−イル)ベンジル基、3−(オキサゾール−1−イル)ベンジル基、2−(オキサゾール−1−イル)ベンジル基、4−(5−メチルオキサゾール−1−イル)ベンジル基または4−(4−メチルオキサゾール−1−イル)ベンジル基である。
【0074】
における、「パーフルオロアルキル基」としては、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基等(各種異性体を含む)が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基であり、より好ましくは、トリフルオロメチル基またはノナフルオロブチル基であり、特に好ましくは、トリフルオロメチル基である。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、一般式(3)で示されるアミン化合物は、一般式(5):
【化10】

で示されるアミン化合物である。
【0076】
本発明は、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物へ、有機溶媒の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下で、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドを反応させて混合スルホン酸無水物(1)を合成し(反応A)、続いて、得られた混合スルホン酸無水物(1)に一般式(3)で示されるアミン化合物を反応させてスルホンアミド化合物(4)を合成する(反応B)方法によって行われる。反応Aで得られた混合スルホン酸無水物(1)は、単離することなく、反応Bに使用することができる。
【0077】
本発明で使用される一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物は、市販品でもよいし、公知の方法で合成することも出来る。本発明で用いられるヘテロ芳香族スルホン酸化合物は、例えば、ピリジン−2−スルホン酸、ピリジン−3−スルホン酸、ピリジン−4−スルホン酸、4−メチルピリジン−2−スルホン酸、1H−ピロール−2−スルホン酸、チオフェン−2−スルホン酸、チオフェン−3−スルホン酸、フラン−2−スルホン酸またはフラン−3−スルホン酸であり、実施例では市販品を用いた。
【0078】
本発明で使用されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドは、市販のもので十分であるが、好ましくは、純度95%以上であり、更に好ましくは、純度98%以上である。本発明で用いられるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物は、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ペンタフルオロエタンスルホン酸無水物、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸無水物またはノナフルオロブタンスルホン酸無水物であり、本発明で用いられるパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドは、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸クロリド、ペンタフルオロエタンスルホン酸クロリド、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸クロリドまたはノナフルオロブタンスルホン酸クロリドであり、実施例では市販品を用いた。
【0079】
パーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドの使用量は、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物1モルに対して、例えば、0.5〜10モル、好ましくは、0.5〜5モル、より好ましくは0.8〜2モル、特に好ましくは、0.8〜1.5モルである。
【0080】
本発明の反応(反応A)は、塩基の存在下にて行うことができる。本発明の反応において使用される塩基としては、反応に影響を及ぼさない塩基であれば良く、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族アミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の芳香族アミンであり、好ましくは、芳香族アミンであり、より好ましくは、ピリジンまたはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンである。
【0081】
塩基の使用量は、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物1モルに対して、例えば、0.01〜10モル、好ましくは、0.05〜5モル、より好ましくは0.1〜2モルである。また、塩基がピリジン等の場合は、溶媒として大量に用いることもできる。
【0082】
本発明の反応(反応B)は、塩基は特に必要としないが、反応Aで混合スルホン酸無水物を合成し、そのまま系中で反応Bを行う場合、反応Aで用いた塩基がそのまま残っていてもよい。
【0083】
本発明の反応(反応A)は、有機溶媒の存在下にて行うことができる。本発明の反応に使用される有機溶媒としては、反応に関与しない有機溶媒であればよく、例えば、アセトニトリルまたはベンゾニトリルのようなニトリル系有機溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピリドン、ジメチルイミダゾールまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンのようなアミド系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムまたは1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン系有機溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロペンタンのような脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THFまたは1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒;または、ピリジンのような本発明において塩基として使用する事のできる芳香族アミン系溶媒等を挙げることができ、好ましくは、芳香族炭化水素系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒、ニトリル系有機溶媒または芳香族アミン系溶媒であり、より好ましくは、ハロゲン系有機溶媒、ニトリル系有機溶媒、芳香族アミン系溶媒であり、特に好ましくは、塩化メチレン、アセトニトリル、ピリジンである。なお、これらの有機溶媒は、単独または二種以上を混合して使用してもよい。
【0084】
有機溶媒の使用量は、一般式(1)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物1gに対して、例えば、1〜200mL、好ましくは、2〜100mL、より好ましくは、5〜50mLである。
【0085】
本発明の反応(反応B)は、有機溶媒の存在下にて行うことができる。本発明の反応に使用される有機溶媒としては、反応に関与しない有機溶媒であればよく、反応Aと同じ有機溶媒が挙げられる。また、反応Aで混合スルホン酸無水物を合成し、そのまま系中で反応Bを行う場合、反応Aで用いた有機溶媒をそのまま使用でき、また新たに加えてもよい。
【0086】
本発明で使用される、一般式(3)で示されるアミン化合物は、市販品でもよいし、公知の方法で合成することも出来る。本発明の実施例で示されるアミン化合物は、例えば、特許文献1で示される方法で合成できる。
【0087】
アミン化合物の使用量は、一般式(2)で示されるヘテロ芳香族スルホン酸化合物1モルに対して、例えば、0.5〜10モル、好ましくは、0.8〜5モル、より好ましくは0.9〜2モルである。
【0088】
本発明の反応(反応AおよびB)における反応温度は、例えば、−20〜200℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜80℃にて行なわれる。
【0089】
本発明の反応(反応AおよびB)における反応圧力は、特に制限されないが、常圧下で行なうことが好ましい。
【0090】
本発明の製造装置は、特に制限されず、例えば、反応容器、加熱(冷却)装置、蒸留装置(例えば、ディーンスタークトラップ等)等、一般的な製造装置にて行なうことができる。
【0091】
本発明の方法で得られた、一般式(3)で示されるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物は、更に蒸留、分液、抽出、晶析、再結晶およびカラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、更に精製することも出来る。
【実施例】
【0092】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0093】
得られた目的物は、IR、NMRスペクトル分析等で構造確認を行った。更に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、反応収率(内部標準化法)、および化学純度の測定を行った。
【0094】
[実施例1]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0095】
【化11】
【0096】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約2Lのガラス製容器に、ピリジン900mL、ピリジン−3−スルホン酸60.0g(0.377mol、和光純薬工業株式会社製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン5.99g(0.049mol)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物104g(0.369mol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、30℃で1時間攪拌した。続いて、反応混合物に同温度で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩76.7g(0.366mmol)を少量ずつ分割して添加し、30℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に酢酸エチル1500mL、および、水1260mLを加え、分液した。得られた有機層を2分割し、それぞれを飽和塩化アンモニウム水溶液、および、水600mLで順次洗浄し、有機層を合わせて減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル630mLを加え、0℃で1時間攪拌した。析出した固体を濾過し、ジイソプロピルエーテル75mLで洗浄し、白色固体92.7gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、白色固体中には標記の目的化合物が84.9g(純度91.6%)含まれていた(4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン基準の収率74%)。
【0097】
得られた標記化合物の物性値は、以下の通りであった。
【0098】
CI−MS(m/z); 315 [M+1]
H−NMR(DMSO, δ(ppm)); 4.11 (2H, s), 6.53 (1H, dd, J=1.7Hz), 7.33 (2H, d, J=8.8Hz), 7.56-7.61 (4H, m), 7.70-7.74 (1H, m), 8.12-8.45 (2H, m), 8.47 (1H, s), 8.92-8.93 (1H, m).
IR(KBr cm-1); 459, 487, 546, 561, 592, 615, 629, 650, 698, 719, 743, 766, 810, 900, 937, 1029, 1060, 1116, 1163 (S=O), 1194, 1209, 1250, 1321, 1333, 1393, 1419, 1466, 1526 (C=N), 1582, 1612, 2666, 2779, 2843, 3047, 3126, 3142, 3436 (N-H).
元素分析;Calcd: C, 57.31%; H, 4.49%; N, 17.82%
Found: C, 57.04%; H, 4.24%; N, 17.71%.
【0099】
[実施例2]
N−ベンジルピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0100】
【化12】
【0101】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約25mLのガラス製容器に、ピリジン23.9mL、ピリジン−3−スルホン酸1.59g(9.99mmol、和光純薬工業株式会社製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.159g(1.30mmol)を混合し、攪拌しながら純度98%以上トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.76g(9.8mmol、東京化成工業株式会社製)を30℃で滴下し、同温度で2時間攪拌した。続いて、反応混合物に同温度で、ベンジルアミン1.04g(0.97mmol、東京化成工業株式会社製)を30分間掛けて添加し、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に酢酸エチル40mLおよび水33mLを加えて分液した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液33mLおよび水33mLで順次洗浄後、有機層を減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル4.8mLを加えて減圧濃縮する操作を2回繰り返し、更に、ジイソプロピルエーテル17mlを加えて室温で攪拌した。析出した固体をろ過し、ジイソプロピルエーテル75mLで洗浄し、室温で真空乾燥させて、橙褐色の固体1.88gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより定量分析したところ、得られた固体中には、標記の目的化合物が1.52g(純度81.1%)含まれていた(ベンジルアミン基準の定量収率63%)。
【0102】
次に、得られた純度81.1%のN−ベンジルピリジン−3−スルホンアミド1.00g(純分0.81g、3.3mmol)に、4Nの水酸化ナトリウム水溶液3.0ml、水3.0mlおよびトルエン3.2gを加え、室温にて1時間撹拌した。不溶物をろ過した後に分液し、得られた水層をトルエン1mlで洗浄した。水層に5Nの塩酸をpHが3〜4の範囲となるまで添加し、室温で30分間撹拌した。析出した固体をろ過し、水で洗浄した後50℃にて真空乾燥させ、淡褐色の粉末0.78gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、得られた粉末中には目的物のN−ベンジルピリジン−3−スルホンアミドが99.7%ほど含まれていた(ベンジルアミン基準の収率59%)。
【0103】
得られたN−ベンジルピリジン−3−スルホンアミドの物性値は、以下の通りであった。
【0104】
CI−MS(m/z); 249 [M+1].
H−NMR(DMSO, δ(ppm)); 4.07 (2H, s), 7.20-7.29 (5H, m), 7.55-7.59 (1H, m), 8.10-8.13 (1H, m), 8.43 (1H, s), 8.77 (1H, dd, J=1.6Hz, 4.8Hz), 8.90 (1H, dd, J=0.7Hz, 2.4Hz).
IR(KBr cm-1); 463, 529, 544, 587, 611, 629, 696, 747, 806, 817, 857, 903, 928, 992, 1028, 1036, 1072, 1111, 1123, 1168 (S=O), 1196, 1231, 1320, 1339, 1421, 1456, 1484, 1496, 1584, 1954, 2698, 2785, 2859, 3036, 3063, 3440 (N-H).
元素分析;Calcd: C, 58.05%; H, 4.87%; N, 11.28%
Found: C, 58.08%; H, 4.87%; N, 11.27%.
【0105】
[実施例3]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−2−スルホンアミドの合成
【0106】
【化13】
【0107】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約50mLのガラス製容器に、ピリジン23.9mL、ピリジン−2−スルホン酸1.59g(10.0mmol、東京化成工業製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン159mg(1.30mmol)を室温で混合し、攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物2.76g(9.80mmol、東京化成工業製)を30℃で滴下し、同温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩2.03g(9.70mmol)を滴下し、1時間攪拌した。一晩室温で放置した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に酢酸エチル39.8mLおよび水33.4mLを加え、分液した。得られた有機層を20%塩化アンモニウム水溶液および水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル4.78mLを加えて減圧濃縮する操作を2回繰り返した。得られた残渣に、更にジイソプロピルエーテル16.7mLを加えて固形物を粉砕し、分散させた後、減圧濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄して、真空乾燥して、淡褐色固体2.66gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、白色固体中には標記化合物が2.46g(92.5%)含まれていた(4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン基準の収率80.7%)。
【0108】
得られた標記化合物の物性値は、以下の通りであった(同様にして合成した標記化合物のデータを示す)。
【0109】
CI−MS(m/z); 315 [M+1].
H−NMR(DMSO, δ(ppm)); 4.20 (2H, s), 6.53 (1H, dd, J=2.4Hz, 1.8Hz), 7.35 (2H, d, J=8.7Hz), 7.62-7.65 (1H, m), 7.72-7.74 (3H, m), 7.90-7.92 (1H, m), 8.02-8.04 (1H, m), 8.44-8.45 (2H, m), 8.71-8.73 (1H, m).
IR(KBr cm-1); 417, 462, 495, 552, 593, 619, 648, 658, 720, 741, 760, 777, 809, 850, 892, 916, 936, 992, 1017, 1031, 1047, 1090, 1122, 1156, 1176 (S=O), 1203, 1232, 1253, 1296, 1316, 1331, 1361, 1398, 1410, 1429, 1443, 1452, 1526 (C=N), 1564, 1578, 1612, 1683, 1734, 1780, 1898, 2934, 3070, 3113, 3133, 3281, 3441 (N-H).
元素分析;Calcd: C, 57.31%; H, 4.49%; N, 17.82%
Found: C, 57.33%; H, 4.61%; N, 17.73%.
【0110】
[実施例4]
N−ブチルピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0111】
【化14】
【0112】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約50mLのガラス製容器に、ピリジン23.9mL、ピリジン−3−スルホン酸1.59g(10.0mmol、和光純薬工業製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン159mg(1.30mmol)を室温で混合し、攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物2.76g(9.80mmol、東京化成工業製)を30℃で滴下し、同温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃でn−ブチルアミン709mg(9.70mmol、和光純薬工業製)を30分間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌した。一晩室温で放置した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に酢酸エチル39.8mL、および、水33.4mLを加え、分液した。得られた有機層を20%塩化アンモニウム水溶液および水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた残渣に、ジイソプロピルエーテル4.78mLを加えて減圧濃縮する操作を2回繰り返し、暗褐色油状物1.63gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、濃縮液中には標記化合物が1.34g(82.4%)含まれていた(n−ブチルアミン基準の収率64.5%)。
【0113】
得られた標記化合物の物性値は、以下の通りであった(同様にして合成した標記化合物のデータを示す)。
【0114】
CI−MS(m/z); 215 [M+1].
H−NMR(DMSO,δ(ppm));0.79 (3H, dd, J=7.3Hz), 1.18-1.27 (2H, m), 1.31-1.38 (2H, m), 2.79 (2H, ddd, J=5.7Hz), 7.63-7.67 (1H, m), 7.82 (1H, dd, J=5.2Hz), 8.15-8.18 (1H, m), 8.82 (1H, dd, J=4.8Hz, 1.6Hz), 8.94 (1H, dd, J=2.4Hz, 0.7Hz).
IR(KBr cm-1); 456, 572, 592, 622, 704, 742, 807, 866, 906, 981, 1026, 1085, 1109, 1122, 1166(S=O), 1196, 1225, 1323, 1381, 1417, 1467, 1575 (C=N), 2874, 2935, 2961, 3095, 3287, 3580.
元素分析;Calcd: C, 50.45%; H, 6.59%; N, 13.07%
Found: C, 50.16%; H, 6.58%; N, 12.95%.
【0115】
[実施例5]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0116】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、ピリジン4.77mL、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン31.8mg(0.260mmol)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸クロリド330mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、30℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物にアセトニトリル/水の混合溶液(7/3(V/V))を加えて均一溶液とし、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が246mg含まれていた(反応収率40.4%)。
【0117】
[実施例6]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0118】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、ピリジン4.77mL、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン31.8mg(0.260mmol)を混合し、攪拌しながら純度97%のノナフルオロブタンスルホン酸無水物1.18g(1.96mmol、シグマアルドリッチ製)を、30℃で滴下し、同温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で2時間攪拌した。反応終了後、反応混合物にアセトニトリル/水の混合溶液(7/3(V/V))を加えて均一溶液とし、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が296mg含まれていた(反応収率48.6%)。
【0119】
[実施例7]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0120】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、ピリジン4.77mL、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物553mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、30℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が570mg含まれていた(反応収率93.5%)。
【0121】
[実施例8]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0122】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、ピリジン4.77mL、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン31.8mg(0.260mmol)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物553mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、60℃で1時間攪拌した。続いて、反応混合物に60℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が577mg含まれていた(反応収率94.5%)。
【0123】
[実施例9]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0124】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、塩化メチレン4.77mL、ピリジン633mg(8.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物553mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、30℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物に30℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物にアセトニトリル/水の混合溶液(7/3(V/V))を加えて均一溶液とし、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が494mg含まれていた(反応収率81.0%)。
【0125】
[実施例10]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0126】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、アセトニトリル4.77mL、ピリジン316mg(4.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物553mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、10℃で滴下し、同温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合物に10℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で2時間攪拌した。次に、反応混合物に、ピリジン158mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を10℃で滴下し、同温度で1時間攪拌し、更に、ピリジン158mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を10℃で滴下し、同温度で1時間攪拌した。20℃まで加温し、同温度で1時間攪拌した後、反応混合物にアセトニトリル/水の混合溶液(7/3(V/V))を加えて均一溶液とし、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が470mg含まれていた(反応収率77.1%)。
【0127】
[実施例11]
N−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]ピリジン−3−スルホンアミドの合成
【0128】
攪拌装置および温度計を備えた内容積約10mLのガラス製容器に、アセトニトリル4.77mL、ピリジン633mg(8.00mmol、和光純薬工業株式会社製)、ピリジン−3−スルホン酸318mg(2.00mmol、和光純薬工業株式会社製)を混合し、攪拌しながら純度98%以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物553mg(1.96mmol、東京化成工業株式会社製)を、室温で滴下し、60℃で1時間攪拌した。続いて、反応混合物に60℃で、参考例2記載と同様の方法で合成した4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩407mg(1.94mmol)を少量ずつ分割して添加し、同温度で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行ったところ、目的物が598mg含まれていた(反応収率98.1%)。
【0129】
[参考例1]
4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリルの合成
撹拌装置、温度計および上部冷却管を備えた内容積約1Lのガラス製容器に、4−フルオロベンゾニトリル121g(1.00mol)、ピラゾール81.9g(1.20mol)、炭酸カリウム165g(1.19mol)、ジメチルスルホキシド320mLを室温で混合し、115℃から120℃の間で7時間反応させた後、室温で一晩放置した。水500mLおよびトルエン500mLを加えて撹拌した後、ろ過し、ろ液を分液後、水層をトルエン300mLで再抽出し、得られた混合有機層を合わせて内容量が223gとなるまで減圧濃縮した。ジイソプロピルエーテル300mLを加え、氷浴中で30分間撹拌した後、ろ過し、ろ物を50℃で乾燥させて、標記化合物148gを淡黄色固体として得た。(4−フルオロベンゾニトリル基準の収率87.7%)。
【0130】
得られた標記化合物の物性値は、以下の通りであった(同様にして合成した標記化合物のデータを示す)。
【0131】
CI−MS(m/z); 170 [M+1].
H−NMR(CDCl3,δ(ppm)); 6.53-6.55 (1H, m), 7.74-7.78 (3H, m), 7.84 (1H, dd, J=2.1Hz), 7.86 (1H, dd, J=2.1Hz), 8.00 (1H, d, J=2.6Hz)。
IR(KBr cm-1); 446, 546, 573, 607, 652, 714, 750, 771, 814, 836, 884, 913, 936, 962, 1032, 1044, 1053, 1128, 1177, 1186, 1200, 1253, 1316, 1344, 1393, 1407, 1438, 1514, 1529, 1611, 1657, 2228 (CN), 3067, 3138, 3154, 3421.
元素分析 ; Calcd: C, 70.99%; H, 4.17%; N, 24.84%
Found: C, 71.17%; H, 4.28%; N, 24.88%.
【0132】
[参考例2]
4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアミン塩酸塩の合成
撹拌装置および温度計を備えた内容積約2Lのガラス製容器に、4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル70.0g(0.414mol)、エタノール826mLを加え、容器内をアルゴンで置換した。次に、濃塩酸40.2mL(0.482mol)、5%パラジウム炭素7g(約50%含水品、NEケムキャット製、STDタイプ)を加え、反応器内を水素で置換した。微加圧の水素雰囲気下、26℃〜38℃で7.5時間ほど反応させ、容器内を窒素で置換した後、2.5日ほど室温放置した。水500mLを加えた後、セライトろ過し、ろ液を液量が497gとなるまで濃縮した後、エタノール165mLを加え、液量が371gとなるまで濃縮した。再びエタノール165mLを加え、液量が198gとなるまで濃縮した後、アセトニトリル180mLを添加し、約5℃にて一晩放置した後、ろ過し、不溶物をアセトニトリル90mLで洗浄した。得られたろ物を1時間ほど風乾させた後、50℃で減圧乾燥し、標記化合物61.0gを白色固体として得た。(4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル基準の収率70.3%)。
【0133】
得られた標記化合物の物性値は、以下の通りであった(同様にして合成した標記化合物のデータを示す)。
【0134】
CI−MS(m/z); 174 [M+1].
H−NMR(DMSO, δ(ppm)); 4.05 (2H, s), 6.56 (1H, dd, J=2.4Hz, 1.8Hz), 7.63 (2H, d, J=8.6Hz), 7.76 (1H, d, J=1.6Hz), 7.88-7.91 (2H, m), 8.53-8.55 (4H, m).
IR(KCl cm-1); 448, 461, 538, 613, 635, 654, 725, 750, 766, 795, 835, 882, 915, 939, 971, 1034, 1055, 1079, 1120, 1208, 1219, 1254, 1318, 1338, 1382, 1397, 1414, 1444, 1470, 1485, 1532, 1597, 1615, 1673, 1728, 1919, 2047, 2224, 2359, 2554, 2584, 2696, 2758, 2897, 2971, 3000, 3113, 3134, 3412.
元素分析 ; Calcd: C, 57.28%; H, 5.77%; N, 20.04%
Found: C, 57.30%; H, 5.77%; N, 20.08%.
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、ヘテロ芳香族スルホン酸化合物とパーフルオロアルキルスルホン酸無水物またはパーフルオロアルキルスルホン酸ハライドとから得られる混合スルホン酸無水物、および得られた混合スルホン酸無水物とアミンとを反応させることによるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法に関する。本発明のヘテロ芳香族スルホンアミド化合物の製造方法は、従来よりも安全な方法であり、収率も高く副生成物が少ない工業的にも非常に有用な方法である。また本製造によって得られるヘテロ芳香族スルホンアミド化合物は、医薬中間体および原体として有用な化合物である。