特許第6572906号(P6572906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特許6572906光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット
<>
  • 特許6572906-光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット 図000003
  • 特許6572906-光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット 図000004
  • 特許6572906-光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット 図000005
  • 特許6572906-光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット 図000006
  • 特許6572906-光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572906
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニット
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20190902BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20190902BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20190902BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20190902BHJP
   G02B 1/16 20150101ALI20190902BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20190902BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20190902BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190902BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20190902BHJP
【FI】
   B32B7/023
   B32B27/20 Z
   B32B9/00 A
   G02B1/14
   G02B1/16
   G02B5/20
   G02F1/13357
   F21S2/00 400
   F21V9/00 100
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-559066(P2016-559066)
(86)(22)【出願日】2015年11月10日
(86)【国際出願番号】JP2015081637
(87)【国際公開番号】WO2016076322
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2014-231621(P2014-231621)
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】原田 元気
(72)【発明者】
【氏名】井田 勇人
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−256802(JP,A)
【文献】 特開2010−164690(JP,A)
【文献】 特開2014−145902(JP,A)
【文献】 特開2009−231273(JP,A)
【文献】 特開2014−040572(JP,A)
【文献】 特開2003−075605(JP,A)
【文献】 特開2005−214640(JP,A)
【文献】 特開平06−016851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 5/20− 5/28
G02B 1/10− 1/18
G02F 1/13357
F21K 9/00− 9/90
F21S 2/00−45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムと、バリア複合層と、を備え、
前記光学フィルムは、第1透明フィルム基材と、該第1透明フィルム基材の上に配置され、凹凸形状を有するマット層と、を有し、
前記マット層の静摩擦係数が0.3以下であり、
前記マット層の最大高さ粗さRzが0.05μm以上8μm以下であり、
前記バリア複合層は、第2透明フィルム基材と、バリア層と、を有し、
前記バリア複合層は、前記光学フィルムにおける前記第1透明フィルム基材の前記マット層側とは反対側の面上に配置され、接着層によって前記光学フィルムと貼り合わされている、光学バリアフィルム。
【請求項2】
前記マット層が、バインダー樹脂と微粒子とを含み、
前記微粒子の平均粒子径が0.5μm以上10μm以下である、請求項1に記載の光学バリアフィルム
【請求項3】
前記マット層が、四級アンモニウム塩材料、導電性高分子、及び金属酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の光学バリアフィルム
【請求項4】
前記マット層の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学バリアフィルム
【請求項5】
前記バリア複合層の前記バリア層が、前記光学フィルム側に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学バリアフィルム。
【請求項6】
前記バリア複合層の前記第2透明フィルム基材が、前記光学フィルム側に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学バリアフィルム。
【請求項7】
前記バリア層が、SiOx(1.0≦x≦2.0)で表されるシリコン酸化物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学バリアフィルム
【請求項8】
色変換層と、該色変換層を挟むように配置される二つの光学バリアフィルムとを備え、
前記二つの光学バリアフィルムの少なくとも一方が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学バリアフィルムである、色変換フィルム。
【請求項9】
光源と、導光板と、該導光板上に配置された請求項8に記載の色変換フィルムと、
を備え、
前記色変換フィルムは、前記マット層が前記導光板と接するように配置されている、バックライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム、それを用いた光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、電圧の印加に基づいて光を透過又は遮断して映像を表示する装置である。液晶ディスプレイは外部の光源を必要とするので、例えば、発光ダイオードを用いたバックライトが、液晶ディスプレイ用の光源として用いられている。
【0003】
発光ダイオードを用いたバックライトでは、赤色、緑色及び青色の3色の発光ダイオードを用いて白色光を合成する方法、或いは、色変換材料を通すことによって青色光を白色光へ変換する方法などが試みられている。このうち、色変換材料を用いる方法では、例えば、YAG蛍光体によって変換された白色光は、幅広い発光スペクトルを持つので、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタとのマッチングに劣り、この結果、液晶ディスプレイの色再現領域が狭くなっている。また、YAG蛍光体による白色光への変換は、多くの消費電力を要している。
【0004】
ところが、色変換材料を用いる方法であっても、コアーシェル発光ナノ結晶が色変換材料として用いられると、青色光が、赤色、緑色及び青色の鋭い発光スペクトルからなる白色光に変換される。このため、液晶ディスプレイの色再現領域が拡大され、また、白色光への変換のための消費電力が低減される(例えば、特許文献1を参照)。コアーシェル発光ナノ結晶は、例えば、バインダー樹脂と混合された後に、色変換フィルムとしてバックライトユニットに組み込まれることができる。
【0005】
コアーシェル発光ナノ結晶は、空気及び水蒸気による酸化を受けると、その色変換性能が劣化するので、空気および水蒸気から色変換フィルムを保護するためのバリア層を設けることが必要となる。また、コアーシェル発光ナノ結晶からなる色変換フィルムが、バックライトユニットに組み込まれる場合には、色変換フィルムと接触する他の部材とのブロッキング(貼り付き)が懸念されるので、バックライトには、凹凸形状を有する光拡散シート(マット層)が設けられている(例えば、特許文献2〜4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−528118号公報
【特許文献2】特許第3790571号公報
【特許文献3】特許第5323709号公報
【特許文献4】特開2003−270410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ブロッキングを抑えるための凹凸形状を有するマット層は、これに対向する部材と重ね合わされると、マット層及びこれと対向する他の部材の表面が傷付く場合があった。また、このような凹凸形状を有するマット層を有する色変換フィルムが複数枚重ねられた状態で輸送等されると、マット層などが同様に傷付く場合があった。更に、バックライトユニットの製造工程において、マット層などに塵埃等の異物が存在すると、マット層などの表面に傷が付く場合があった。マット層及びこれに対向する他の部材の表面が傷付くと、ディスプレイの表示性能が低下する。
【0008】
本発明は、マット層を備える光学フィルムであって、マット層に対向する他の部材とのブロッキングを防止した上で、マット層及びこれに対向する他の部材の表面に傷が付きにくい光学フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、この光学フィルムを含み、更に、バリア性に優れる光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る光学フィルムは、透明フィルム基材と、該透明フィルム基材の上に配置され、凹凸形状を有するマット層と、を備え、マット層の静摩擦係数が0.3以下であり、マット層の最大高さ粗さRzが0.05μm以上8μm以下である。この光学フィルムによれば、適切な凹凸形状を有するマット層が設けられるので、アンチブロッキング性に加えて、傷付け防止性が得られる。即ち、マット層に対向する他の部材とのブロッキング(貼り付き)が防止された上で、マット層及びこれに対向する他の部材の表面に傷が付きにくい光学フィルムが得られる。
【0010】
上記の光学フィルムでは、マット層が、バインダー樹脂と微粒子とを含み、微粒子の平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。この光学フィルムによれば、微粒子の平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であるので、アンチブロッキング性と傷付け防止性とを備える適切な凹凸形状を有するマット層が得られる。
【0011】
上記の光学フィルムでは、マット層が、四級アンモニウム塩材料、導電性高分子、及び金属酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。この光学フィルムによれば、マット層に導電性材料が添加されるので、マット層に帯電防止性能が付与される。このため、マット層への塵埃等の混入が減少し、バックライトユニットの製造工程などにおいて、マット層などの表面に生じる傷付きが減少する。
【0012】
上記の光学フィルムでは、マット層の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下であることが好ましい。この光学フィルムによれば、マット層の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下になるので、好適な帯電防止性能が発現する。
【0013】
本発明の一形態に係る光学バリアフィルムは、バリア層と、上記の光学フィルムとを備え、バリア層は、光学フィルムにおける透明フィルム基材のマット層側とは反対側の面上に配置される。この光学バリアフィルムによれば、マット層によって、アンチブロッキング性と傷付け防止性とが発現する上に、バリア層によって、空気及び水蒸気の侵入が適切に低減する。
【0014】
本発明の一形態に係る光学バリアフィルムは、透明フィルム基材及びバリア層を有するバリア複合層と、上記の光学フィルムとを備え、バリア複合層は、光学フィルムにおける透明フィルム基材のマット層側とは反対側の面上に配置される。この光学バリアフィルムによれば、マット層によって、アンチブロッキング性と傷付け防止性とが発現する上に、バリア複合層によって、空気及び水蒸気の侵入が適切に低減する。バリア複合層は、バリア層に比べて、工程上で発生する傷、欠陥が少なく、より空気及び水蒸気の侵入を低減する。
【0015】
上記の光学バリアフィルムでは、バリア層が、SiOx(1.0≦x≦2.0)で表されるシリコン酸化物を含むことが好ましい。この光学バリアフィルムによれば、バリア層が、好適な原子比のシリコン酸化物を含むので、そのバリア性が長期間に亘って維持される。
【0016】
本発明の一形態に係る色変換フィルムは、色変換層と、該色変換層を挟むように配置される二つの光学バリアフィルムとを備え、二つの光学バリアフィルムの少なくとも一方が、上記の光学バリアフィルムである。この色変換フィルムによれば、アンチブロッキング性と傷付け防止性とが発現する上に、バリア層によって空気及び水蒸気の侵入が適切に低減されて、色変換フィルムにおける色変換性能が長期間に亘って維持される。
【0017】
本発明の一形態に係るバックライトユニットは、光源と、導光板と、該導光板上に配置された色変換フィルムと、を備え、色変換フィルムは、マット層が導光板と接するように配置されている。このバックライトユニットによれば、色変換フィルムが接する導光板が傷付くことを抑制することができる。また、バリア層自身が傷付くことも抑制されることから、色変換層に空気及び水蒸気の侵入が適切に低減されて、バックライトユニットから長期間に亘って良好な白色光を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マット層を備える光学フィルムであって、マット層に対向する他の部材とのブロッキングを防止した上で、マット層及びこれに対向する他の部材の表面に傷が付きにくい光学フィルムが提供される。また、本発明によれば、この光学フィルムを含み、更に、バリア性に優れる光学バリアフィルム、色変換フィルム、及びバックライトユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る光学フィルムの模式断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る光学バリアフィルムの模式断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る別の光学バリアフィルムの模式断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る色変換フィルムの模式断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るバックライトユニットの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
(光学フィルム)
図1は、本発明の実施形態に係る光学フィルムの模式断面図である。光学フィルム1は、第1透明フィルム基材10とマット層11とを備える。第1透明フィルム基材10は、第1面10Aと、第1面10Aに対向する第2面10Bを有する。マット層11は、凹凸形状を有する凹凸面11Aと下面11Bとを有する。マット層11の下面11Bと第1透明フィルム基材10の第2面10Bとが貼り合わされて、マット層11が、第1透明フィルム基材10上に設けられる。
【0022】
<第1透明フィルム基材>
本発明で用いられる第1透明フィルム基材10は、例えば、有機高分子フィルムからなることができる。具体的には、第1透明フィルム基材10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、及びエチレンビニルアルコールなどの有機高分子からなることができる。
【0023】
第1透明フィルム基材10の厚みは、例えば、5μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましい。第1透明フィルム基材10の厚みが5μmより小さくなると、第1透明フィルム基材10の強度が低下して、第1透明フィルム基材10を用いたバックライトユニット作製工程などにおいて、第1透明フィルム基材10の取り扱いが困難となる。一方、第1透明フィルム基材10の厚みが300μmより大きくなると、ロールtoロール方式による成膜工程時において、第1透明フィルム基材10の取り扱いが困難となる。
【0024】
<マット層>
マット層11を作製するためのマット層組成物は、例えば、バインダー樹脂と微粒子とを含む。マット層11の凹凸面11Aの凹凸形状は、例えば、微粒子によって形成される。第1透明フィルム基材10上にマット層11が設けられると、光学フィルム1が、例えば、バックライトユニット用の部材として用いられたときに、光学フィルム1に対向する他の部材とのブロッキング(貼り付き)が好適に防止される。また、光学フィルム1において、第1透明フィルム基材10上にマット層11が設けられると、光学フィルム1に対向する他の部材、及びマット層11の凹凸面11Aに対する傷付け防止効果が増大する。マット層11の厚みは、例えば、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。マット層11の厚みは、JIS K5600に則り、質量法により測定される。マット層11が、この範囲の厚みを有すると、マット層11の凹凸面11Aにおいて凹凸形状が形成し易くなる。マット層11の凹凸面11Aの凹凸形状は、微粒子による方法以外にも、例えば、エンボス加工を施すことによっても形成される。また、この凹凸形状は、例えば、バインダー樹脂などの樹脂を相分離させて、マット層11に海島構造を作ることによっても形成される。このようなエンボス加工や相分離等の方法により凹凸形状を形成する場合、マット層11は微粒子を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0025】
本発明で用いられるマット層11では、その静摩擦係数が0.3以下である。マット層11の静摩擦係数は、より好ましくは0.25以下である。マット層11の静摩擦係数が0.3を超えると、光学フィルム1に対向する他の部材、及びマット層11の凹凸面11Aに対しての傷付け防止効果が低下する。マット層11の静摩擦係数は、例えば、バインダー樹脂の種類、並びに、微粒子の材質、粒径及び配合量などの変更によって調整される。
【0026】
また、本発明で用いられるマット層11では、その最大高さ粗さRzが0.05μm以上8μm以下である。マット層11の最大高さ粗さRzは、より好ましくは5μm以下である。マット層11の最大高さ粗さRzが0.05μmより小さくなると、光学フィルム1に対向する他の部材とのブロッキングが起こり易くなる。一方、最大高さ粗さRzが8μmより大きくなると、光学フィルム1に対向する他の部材、及びマット層11の凹凸面11Aに対しての傷付け防止効果が低下する。マット層11の最大高さ粗さRzは、例えば、微粒子の粒径及び配合量によって調整される。
【0027】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、例えば、光学的透明性に優れた樹脂であることができる。バインダー樹脂は、より具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び電離放射線硬化性樹脂などからなることができる。バインダー樹脂は、アクリル系樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂は、耐光性及び光学特性などに優れる。
【0028】
<微粒子>
微粒子は、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機微粒子、及び、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、アクリルウレタン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる有機微粒子であることができる。微粒子は、有機微粒子であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、又はシリコーン樹脂からなる有機微粒子であることがより好ましい。有機微粒子では、球状粒子が得られやすく、また、所望の凹凸形状への形状制御が容易である。微粒子は、上記の1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用されることができる。
【0029】
微粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.5μmより小さいと、マット層11と他のバックライトユニット部材などとのブロッキングが発生しやすくなる傾向がある。一方、平均粒子径が10μmを超えると、微粒子の表面凹凸が大きくなるので、他部材の傷付け防止性が低下する傾向がある。微粒子の配合量は、マット層11の固形分全量を規準として2質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。配合量が2質量%未満であると、マット層11と他のバックライトユニット部材などとのブロッキングが発生しやすくなる傾向がある。一方、配合量が80質量%を超えると、他部材の傷付け防止性が低下する傾向がある。微粒子の材質、量、粒径などによって、光学フィルム1のヘーズが制御される。
【0030】
<イソシアネート硬化剤>
マット層11には、イソシアネート硬化剤が添加されてもよい。イソシアネート硬化剤が添加されると、バインダー樹脂に水酸基を有する樹脂を選んだ場合に、マット層11を熱硬化させることが出来る。硬化剤は、イソシアネート系であれば特に限定されないが、アクリル系ポリオール樹脂の水酸基と架橋することが可能な、ヘキサメチレンジイソシアネート系、キシリレンジイソシアネート系などの脂肪族イソシアネートをベースにしたもの、トルエンジイソシアネート系、ジフェニルメタンジイソシアネート系などの芳香族イソシアネートをベースにしたものが好適に使用される。
【0031】
<導電性材料>
マット層11には、導電性材料が添加されてもよい。導電性材料が添加されると、マット層11の表面抵抗値が低下する。マット層11の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下になると、帯電防止性能が好適に発現するので、マット層11への塵埃等の混入が減少し、バックライトユニットの製造工程などにおいて、マット層11などの表面に生じる傷付きが減少する。導電性材料は、例えば、四級アンモニウム塩、金属酸化物粒子、及び導電性高分子などを含むことができる。
【0032】
四級アンモニウム塩は、−Nの構造を有する。四級アンモニウム塩は、四級アンモニウムカチオン(N )とアニオン(X)とを備えることによって、マット層11に導電性を発現させる。四級アンモニウム塩のアニオン(X)は、例えば、Cl、Br、I、F、HSO、SO2−、NO、PO3−、HPO2−、HPO、SO、及びOHなどであることができる。四級アンモニウム塩としては、四級アンモニウム塩を官能基として分子内に含むアクリル系材料が好適に用いられる。このアクリル系材料は、例えば、四級アンモニウム塩(−N)を官能基として分子内に含む多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、あるいは、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物などであることができる。
【0033】
金属酸化物粒子は、例えば、酸化ジルコニウム、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、リン含有酸化スズ(PTO)、スズ含有酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、アルミニウム含有酸化亜鉛、酸化スズ、リチウム塩、アンチモン含有酸化亜鉛及びインジウム含有酸化亜鉛から選択される1種又は2種以上の金属酸化物を主成分とする材料からなることができる。
【0034】
導電性高分子は、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5−チエニレン)、及びこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物からなることができる。
【0035】
なお、上述のバインダー樹脂及び微粒子を有するマット層組成物には、導電性材料に加えて、例えば、硬化剤、光重合開始剤、レベリング剤、滑剤、及び溶剤などが更に含まれていてもよい。
【0036】
<マット層の作製>
マット層11の作製工程では、初めに、マット層組成物が、第1透明フィルム基材10上に塗工される。この塗工には、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、及びディップコーターなどが用いられる。
【0037】
マット層組成物が第1透明フィルム基材10上に塗工された後には、乾燥処理が施されて、マット層組成物の塗膜中に残留する溶剤が除去される。乾燥処理としては、例えば、加熱、及び熱風などの送風が行われる。
【0038】
乾燥処理が施されたマット層組成物の塗膜に対しては、再度の加熱による硬化処理あるいは電離放射線照射による硬化処理などが施され、これによりマット層11が形成される。電離放射線は、例えば、紫外線及び電子線であることができる。紫外線は、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、及びキセノンアーク等の光源から発生される。また、電子線は、例えば、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、及び高周波型などの各種電子線加速器から発生される。
【0039】
(光学バリアフィルム)
図2は、本発明の実施形態に係る光学バリアフィルムの模式断面図である。光学バリアフィルムは、例えば、図2の(a)〜(c)にそれぞれ示されるような3形態を備えることができる。
【0040】
図2(a)の第1光学バリアフィルム2aは、バリア層12と光学フィルム1とを備える。第1光学バリアフィルム2aは、バリア層12上に光学フィルム1が設けられた構成を有し、第1透明フィルム基材10の第1面10Aが、バリア層12に貼り合わされる。
【0041】
図2(b)の第2光学バリアフィルム2bは、バリア複合層13、接着層14、及び光学フィルム1を備える。バリア複合層13は、第2透明フィルム基材15とバリア層12とからなる。第2光学バリアフィルム2bでは、バリア複合層13、接着層14、及び光学フィルム1が、この順で設けられ、バリア複合層13のバリア層12と光学フィルム1の第1透明フィルム基材10とが、接着層14によって貼り合わされる。
【0042】
図2(c)の第3光学バリアフィルム2cは、バリア複合層13、接着層14、及び光学フィルム1を備える。第3光学バリアフィルム2cでは、バリア複合層13、接着層14、及び光学フィルム1が、この順で設けられ、バリア複合層13の第2透明フィルム基材15と光学フィルム1の第1透明フィルム基材10とが、接着層14によって貼り合わされる。
【0043】
図3は、本発明の実施形態に係る別の光学バリアフィルムの模式断面図である。光学バリアフィルムは、例えば、図3の(a)及び(b)にそれぞれ示されるような2形態を更に備えることができる。
【0044】
図3(a)の第4光学バリアフィルム3aは、二つのバリア複合層13、二つの接着層14、及び光学フィルム1を備える。第4光学バリアフィルム3aでは、バリア複合層13、接着層14、別のバリア複合層13、別の接着層14、及び光学フィルム1が、この順で設けられる。バリア複合層13の第2透明フィルム基材15と、別のバリア複合層13の第2透明フィルム基材15とが、接着層14によって貼り合わされ、また、別のバリア複合層13のバリア層12と光学フィルム1の第1透明フィルム基材10とが、別の接着層14によって貼り合わされる。
【0045】
図3(b)の第5光学バリアフィルム3bは、二つのバリア複合層13、二つの接着層14、及び光学フィルム1を備える。第5光学バリアフィルム3bでは、バリア複合層13、接着層14、別のバリア複合層13、別の接着層14、及び光学フィルム1が、この順で設けられる。バリア複合層13のバリア層12と、別のバリア複合層13のバリア層12とが、接着層14によって貼り合わされ、また、別のバリア複合層13の第2透明フィルム基材15と光学フィルム1の第1透明フィルム基材10とが、別の接着層14によって貼り合わされる。
【0046】
バリア層12は、例えば蒸着薄膜層からなる。バリア層12を構成する材料は、例えば、金属及び金属酸化物であることができる。バリア層12のための金属は、例えば、アルミニウム、銅、及び銀であることができる。バリア層12のための金属酸化物は、例えば、イットリウムタンタルオキサイド、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、及びマグネシウム酸化物などから選択される少なくとも1種であることができる。金属酸化物は、シリコン酸化物であることが好ましい。シリコン酸化物は、安価であり、また、水蒸気などの侵入を遮断するバリア性能に優れる。シリコン酸化物を構成する酸素及びケイ素のO/Si比は、原子比で1.0以上2.0以下であることが望ましい。O/Si比が原子比で1.0より小さいと、架橋不足によりバリア性能が低下する。また、O/Si比が原子比で2.0より大きいと、バリア性能が低下する。シリコン酸化物からなるバリア層12は、例えば、蒸着法やスパッタ法といった方法により作製される。
【0047】
接着層14は、例えば、アクリル系材料或いはポリエステル系材料などからなる接着剤及び粘着剤を含むことができる。第2光学バリアフィルム2b、第3光学バリアフィルム2c、第4光学バリアフィルム3a、及び第5光学バリアフィルム3bの厚みを薄くするために、接着層14の厚みは、例えば10μm以下であることが望ましい。
【0048】
第1光学バリアフィルム2a、第2光学バリアフィルム2b、第3光学バリアフィルム2c、第4光学バリアフィルム3a、若しくは第5光学バリアフィルム3bでは、マット層11によって、アンチブロッキング性と傷付け防止性とが発現する上に、バリア層12又はバリア複合層13によって、空気及び水蒸気の侵入が適切に低減する。バリア複合層13は、バリア層12に比べて、更に、工程上で発生する傷、欠陥が少なく、より空気及び水蒸気の侵入を低減する。
【0049】
(色変換フィルム)
図4は、本発明の実施形態に係る色変換フィルムの模式断面図である。図4では、色変換フィルム4は、色変換層16と、二つの第2光学バリアフィルム2bとを備える。色変換フィルム4は、二つの第2光学バリアフィルム2bによって、色変換層16が挟まれる構成を有している。色変換層16は、第3面16Aと、第3面16Aとは反対側の第4面16Bとを有し、色変換層16の第3面16A及び第4面16Bに、第2光学バリアフィルム2bが貼り合わされている。
【0050】
図4に示された態様は、色変換フィルム4の一例であり、色変換フィルム4では、このほか、例えば、色変換層16の第3面16A及び第4面16Bに、同一の第1光学バリアフィルム2aが貼り合わされ、若しくは、第3面16A及び第4面16Bに、同一の第3光学バリアフィルム2cが貼り合わされてもよい。また、例えば、色変換層16の第3面16A及び第4面16Bに、同一の第4光学バリアフィルム3a、若しくは同一の第5光学バリアフィルム3bが貼り合わされてもよい。
【0051】
さらに、例えば、色変換層16の第3面16Aに、第1光学バリアフィルム2a、第2光学バリアフィルム2b、第3光学バリアフィルム2c、第4光学バリアフィルム3a、又は第5光学バリアフィルム3bのいずれか一つが貼り合わされる一方で、第4面16Bに、第3面16Aに貼り合された光学バリアフィルムと異なる第1光学バリアフィルム2a、第2光学バリアフィルム2b、第3光学バリアフィルム2c、第4光学バリアフィルム3a、又は第5光学バリアフィルム3bのいずれか一つが貼り合わされてもよい。色変換層16の第3面16A及び第4面16Bに貼り合わされる第1光学バリアフィルム2a、第2光学バリアフィルム2b、第3光学バリアフィルム2c、第4光学バリアフィルム3a、及び第5光学バリアフィルム3bの組み合わせは任意である。
【0052】
色変換層16は、光の特定波長を別波長に変換する。色変換層16は、例えば、コアーシェル発光ナノ結晶とバインダー樹脂とからなることが好ましい。コアーシェル発光ナノ結晶は、例えば、無機材料を含む材料から製造される。より好ましくは、コアーシェル発光ナノ結晶は、例えば、無機導体又は半導体材料を含む材料から製造される。
【0053】
半導体材料は、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族、及びIV族半導体を含む。半導体材料は、より具体的には、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al,Ga,In)(S,Se,Te)、及びAlCOのいずれか一種、又は、これらの2種以上の任意の組合せを含む。
【0054】
ナノ結晶は、例えば、p型又はn型のドーパントを含むことができる。また、ナノ結晶は、例えば、II−VI又はIII−V半導体を含むことができる。II−VI半導体ナノ結晶は、例えば、Zn、Cd、及びHgなどのII族の元素と、S、Se、Te、及びPoなどのVI族の元素との任意の組合せを含む。III−V半導体ナノ結晶は、例えば、B、Al、Ga、In、及びTlなどのIII族の元素と、N、P、As、Sb、及びBiなどのV族の元素との任意の組合せを含む。
【0055】
色変換フィルム4では、マット層11によって、アンチブロッキング性と傷付け防止性とが発現する上に、バリア複合層13によって、空気及び水蒸気の侵入が適切に低減されて、色変換フィルムにおける色変換性能が長期間に亘って維持される。
【0056】
(バックライトユニット)
図5は、本発明の実施形態に係るバックライトユニットの模式断面図である。図5において、バックライトユニット5は、光源21と、導光板22と、該導光板上に配置された色変換フィルム4と、反射板23とを備える。色変換フィルム4は、凹凸面4A(又は、凹凸面4B)(すなわち、マット層11)が導光板22と接するように配置されている。詳細には、色変換フィルム4の凹凸面4A上に導光板22及び反射板23がこの順で配置され、光源21は導光板22の側方(導光板22の面方向)に配置される。バックライトユニット5は、色変換フィルム4が接する導光板22が傷付くことを抑制することができる。また、バリア層自身が傷付くことも抑制されることから、色変換層に空気及び水蒸気の侵入が適切に低減されて、バックライトユニットから長期間に亘って良好な白色光を得ることができる。
【0057】
導光板22及び反射板23は、光源21から照射された光を効率的に反射し、導くものであり、公知の材料が使用される。導光板22としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンフィルム等が使用される。導光板22に使用される材料は、大きな硬度を有しないことが多く、他の部材との接触により傷付きやすい傾向がある。特に、ポリカーボネートは透明性の高さと加工の容易さから一般に使用されるが、表面硬度が低く傷つきやすい。光源21には、例えば、青色発光ダイオード素子が複数個設けられている。この発光ダイオード素子は、紫色発光ダイオード、又はさらに低波長の発光ダイオードであってもよい。光源21から照射された光は、導光板22(D1方向)に入射した後、反射及び屈折等を伴って色変換層16(D2方向)に入射する。色変換層16を通過した光は、色変換層16を通過する前の光に色変換層16で発生した黄色光又は赤色光及び緑色光が混ざることで、白色光となる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
【0059】
[実施例1]
厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、第1透明フィルム基材を作製した。次いで、マット層組成物を第1透明フィルム基材上に塗布し、ワイヤーバーコーターによって塗膜を形成した。続いて、この塗膜を80℃の温度下に30秒間置く加熱処理を施して、塗膜を乾燥させた。この乾燥した塗膜に対して、60℃の温度下に2日間置くというエージングを行って、光学フィルムを作製した。マット層の厚みは、3μmであった。
【0060】
マット層組成物は、バインダー樹脂の100質量部、微粒子の10質量部、イソシアネート硬化剤の8.5質量部、四級アンモニウム塩材料の2質量部、及び溶剤の70質量部の混合によって作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径3μmのポリプロピレンを用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0061】
[実施例2]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径2μmのウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0062】
[実施例3]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径6μmのウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0063】
[実施例4]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径6μmのナイロン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0064】
[実施例5]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径8μmのシリコーン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0065】
[実施例6]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径0.8μmのアクリル系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0066】
[実施例7]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径10μmのアクリルウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0067】
[実施例8]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。マット層組成物は、バインダー樹脂の100質量部、微粒子の10質量部、イソシアネート硬化剤の8.5質量部、リチウム塩材料の4質量部、及び溶剤の70質量部の混合によって作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径2μmのウレタン系微粒子を用い、四級リチウム塩材料には、日本カーリット製のPEL−25(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0068】
[比較例1]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径15μmのアクリルウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0069】
[比較例2]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径20μmのアクリル系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0070】
[比較例3]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径10μmのウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0071】
[比較例4]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。また、実施例1と同様の手法により、マット層組成物を作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径15μmのウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0072】
[比較例5]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。マット層組成物は、バインダー樹脂の100質量部、イソシアネート硬化剤の8.5質量部、四級アンモニウム塩材料の2質量部、及び溶剤の70質量部の混合によって作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用い、四級アンモニウム塩材料には、共栄社化学製のライトエステルDQ100(商品名)を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0073】
[比較例6]
実施例1と同様の手法により、光学フィルムを作製した。マット層組成物は、バインダー樹脂の100質量部、イソシアネート硬化剤の8.5質量部、微粒子の10質量部、及び溶剤の70質量部の混合によって作製した。バインダー樹脂には、DIC社製のアクリディックA−814(商品名)を用い、微粒子には、平均粒径15μmのアクリルウレタン系微粒子を用い、イソシアネート硬化剤には、DIC社製のバーノックDN−980を用いた。溶剤は、酢酸エチルとした。
【0074】
(光学フィルムの評価)
本発明の実施形態に係る光学フィルムの評価結果を表1に示す。表1は、実施例及び比較例で得られた光学フィルムの静摩擦係数、最大高さ粗さRz、傷付け防止性、アンチブロッキング性、及び表面抵抗値を示す。
【0075】
<静摩擦係数>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムのマット層について、摩擦計を用いてマット層の静摩擦係数を測定した。摩擦計は、新東科学社製のミューズTYPE:94i−II(商品名)である。この摩擦計は、ハードクロム処理がなされた黄銅スライダを有する。
【0076】
<最大高さ粗さRz>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムについて、非接触表面・層断面形状計測システムを用いて、JIS B0601:2013に規定される最大高さ粗さRzを求めた。非接触表面・層断面形状計測システムには、菱化システム社製のR3300H Lite(商品名)を用い、光学フィルムのマット層の1mm×1mmの範囲における表面形状を計測した。
【0077】
<傷付け防止性>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムのマット層とポリカーボネートフィルムとを、互いに接するように重ねた状態で、25kgf/cmの荷重下に30秒間放置した。その後、光学フィルムとポリカーボネートフィルムとを目視および顕微鏡によって観察して、傷付け防止性を評価した。ポリカーボネートフィルムは、バックライトユニットの導光板を模して用意した。ポリカーボネートフィルムの厚みは188μmであった。光学フィルムのマット層及びポリカーボネートフィルムに傷が認められない観察結果を「A」と評価し、傷が認められる観察結果を「B」と評価し、傷が顕著に認められる観察結果を「C」と評価した。
【0078】
<アンチブロッキング性>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムのマット層とポリカーボネートフィルムとを、互いに接するように重ねた状態で、50kgf/cmの荷重下、且つ60℃の環境下に2時間放置した。その後、光学フィルムとポリカーボネートフィルムとを目視によって観察して、アンチブロッキング性を評価した。アンチブロッキング性は、フィルムの貼り付き難さを示す。ポリカーボネートフィルムは、バックライトユニットの導光板を模して用意した。ポリカーボネートフィルムの厚みは188μmであった。ブロッキングが認められない観察結果を「A」と評価し、ブロッキングが認められる観察結果を「B」と評価し、ブロッキングが顕著に認められる観察結果を「C」と評価した。
【0079】
<表面抵抗値>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムのマット層の表面について、高抵抗抵抗率計を用い、JIS K6911に準拠して表面抵抗値を測定した。高抵抗抵抗率計には、ダイアインスツルメンツ社製のハイレスターMCP−HT260(商品名)を用いた。
【0080】
【表1】
【0081】
比較例1〜6との対比の上に、実施例1〜8の結果は、マット層の静摩擦係数を0.3以下とし、JIS B0601:2013に規定される最大高さ粗さRzを0.05μm以上8μm以下とすると、アンチブロッキング性に加えて、傷付け防止性を備える光学フィルムが得られることを示す。この光学フィルムは、光学バリアフィルム、及び色変換フィルムに好適に使用されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、マット層を備える光学フィルムであって、マット層に対向する他の部材とのブロッキングを防止した上で、マット層及びこれに対向する他の部材の表面に傷が付きにくい光学フィルムが提供される。また、本発明によれば、この光学フィルムを含み、更に、バリア性に優れる光学バリアフィルム、色変換フィルム及びバックライトユニットが提供される。
【符号の説明】
【0083】
1…光学フィルム、2a…第1光学バリアフィルム、2b…第2光学バリアフィルム、2c…第3光学バリアフィルム、3a…第4光学バリアフィルム、3b…第5光学バリアフィルム、4…色変換フィルム、5…バックライトユニット、10…第1透明フィルム基材、10A…第1面、10B…第2面、11…マット層、11A…凹凸面、11B…下面、12…バリア層、13…バリア複合層、14…接着層、15…第2透明フィルム基材、16…色変換層、16A…第3面、16B…第4面、21…光源、22…導光板。
図1
図2
図3
図4
図5