(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572924
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20190902BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20190902BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20190902BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20190902BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20190902BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q1/38
H01Q13/08
H01Q13/10
H01Q1/52
H01Q21/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-38909(P2017-38909)
(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公開番号】特開2018-148290(P2018-148290A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】外間 尚記
(72)【発明者】
【氏名】柴田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】原 康之
【審査官】
久々宇 篤志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0056544(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0122006(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0134021(US,A1)
【文献】
特開2015−33049(JP,A)
【文献】
特開2001−274719(JP,A)
【文献】
特開2012−38863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 1/38
H01Q 1/52
H01Q 13/08
H01Q 13/10
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の配線層とグランドパターンを有する第3の配線層とを含む複数の配線層を有する基板と、
前記基板の前記第1の配線層に搭載されたICチップと、
前記ICチップから給電され、前記基板と垂直な方向に放射する複数のパッチアンテナ導体を含む第1のアンテナ素子と、
前記ICチップから給電され、前記基板と水平な第1の水平方向に放射する第2のアンテナ素子と、を備え、
前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部は、前記ICチップと重なるよう、前記第2の配線層に形成され、
前記第2のアンテナ素子は、前記グランドパターンを切り欠いた複数のグランドクリアランス領域内にそれぞれ設けられ、前記グランドパターンに接続された導体パターンを含む複数のスロットアンテナによって構成され、
前記グランドパターンは、前記グランドクリアランス領域を少なくとも三方から囲む第1のグランドパターンと、スリットを介して前記第1のグランドパターンを少なくとも三方から囲む第2のグランドパターンとを含むことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記複数のパッチアンテナ導体は、一方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数のスロットアンテナは、前記一方向に配列されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記一方向は、前記基板と水平であって前記第1の水平方向と略直交する第2の水平方向であることを特徴とする請求項2又は3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記ICチップから給電され、前記第2の水平方向に放射する第3のアンテナ素子をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置に関し、特に、通信可能な角度範囲の広いアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの携帯型電子機器の無線通信において使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しており、これに伴って、アンテナの放射導体とこれに給電を行うICチップとを接続する配線距離による損失が問題となっている。特許文献1に記載されたアンテナ装置は、放射導体とICチップを同一の基板に重ねて搭載することによって、両者を接続する配線の配線長を短縮し、損失を減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−097526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたアンテナ装置は、1又は複数のパッチアンテナが基板上に形成されているだけであることから、ビームの放射方向が基板に対して垂直な方向を中心とした範囲に限定されるという問題があった。このため、例えばミリ波のように指向性を必要とする周波数帯域を利用する場合には、通信可能な角度が狭いという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、指向性を必要とする周波数帯域を用いる場合であっても、より広い角度で通信可能なアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるアンテナ装置は、基板と、前記基板に搭載されたICチップと、前記ICチップから給電され、前記基板と垂直な方向に放射する複数のパッチアンテナ導体を含む第1のアンテナ素子と、前記ICチップから給電され、前記基板と水平な第1の水平方向に放射する第2のアンテナ素子とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、基板と垂直な方向に放射する第1のアンテナ素子だけでなく、基板と水平な方向に放射する第2のアンテナ素子を備えていることから、ミリ波のように指向性を必要とする周波数帯域を利用する場合であっても、より広い角度で通信を行うことが可能となる。
【0008】
本発明において、前記複数のパッチアンテナ導体は、一方向に配列されていることが好ましい。これによれば、位相制御によってビームの放射方向を制御することが可能となる。
【0009】
本発明において、前記基板は、第1及び第2の配線層を含む複数の配線層を有し、前記ICチップは、前記第1の配線層に搭載され、前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部は、前記ICチップと重なるよう、前記第2の配線層に形成されることが好ましい。これによれば、基板の面積を縮小することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記複数の配線層は、グランドパターンを有する第3の配線層をさらに有し、前記第2のアンテナ素子は、前記グランドパターンを切り欠いた複数のグランドクリアランス領域内にそれぞれ設けられた複数のスロットアンテナによって構成されることが好ましい。これによれば、基板の厚みを拡大することなく、基板と平行な方向にビームを放射することが可能となる。
【0011】
本発明において、前記グランドパターンは、前記グランドクリアランス領域を囲む第1のグランドパターンと、スリットを介して前記第1のグランドパターンを囲む第2のグランドパターンとを含むことが好ましい。これによれば、第2のアンテナ素子の利得を向上させることが可能となる。
【0012】
本発明において、前記複数のスロットアンテナは、前記一方向に配列されていることが好ましい。これによれば、第2のアンテナ素子についても、位相制御によってビームの放射方向を制御することが可能となる。
【0013】
本発明によるアンテナ装置は、フレキシブル基板を介して前記基板に接続された別の基板をさらに備え、前記第2のアンテナ素子は、前記フレキシブル基板を介して前記ICチップから給電され、前記別の基板と垂直な方向に放射する複数の別のパッチアンテナ導体を含んでいても構わない。このように、フレキシブル基板を介して2つの基板を接続すれば、2つの基板が成す角度を自由に設定することが可能となる。
【0014】
本発明において、前記複数の別のパッチアンテナ導体は、前記一方向に配列されていることが好ましい。これによれば、第2のアンテナ素子についても、位相制御によってビームの放射方向を制御することが可能となる。
【0015】
本発明において、前記一方向は、前記基板と水平であって前記第1の水平方向と略直交する第2の水平方向であることが好ましい。これによれば、前記一方向を長手方向とする基板を用いることによって、ビームを2方向に放射することが可能となる。
【0016】
本発明によるアンテナ装置は、前記ICチップから給電され、前記第2の水平方向に放射する第3のアンテナ素子をさらに備えていても構わない。これによれば、電磁波が3方向に放射されるため、よりいっそう広い角度で通信を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明によれば、ミリ波のように指向性を必要とする周波数帯域を用いる場合であっても、より広い角度で通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるアンテナ装置100を上面側から見た略斜視図である。
【
図2】
図2は、アンテナ装置100を下面側から見た略斜視図である。
【
図3】
図3は、配線層113の構成を示す略平面図である。
【
図4】
図4は、マザーボードMにアンテナ装置100を接続した状態を示す略斜視図である。
【
図5】
図5は、配線層113の第1の変形例を示す略平面図である。
【
図6】
図6は、スリットSLの効果を説明するためのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、配線層113の第2の変形例を示す略平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態によるアンテナ装置200を上面側から見た略斜視図である。
【
図9】
図9は、アンテナ装置200を下面側から見た略斜視図である。
【
図10】
図10は、マザーボードMにアンテナ装置200を接続した状態を示す略斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3の実施形態によるアンテナ装置300の構成を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
図1及び
図2は、本発明の第1の実施形態によるアンテナ装置100の構成を示す略斜視図であり、
図1は上面側から見た図、
図2は下面側から見た図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施形態によるアンテナ装置100は、基板110と、基板110に搭載されたICチップ120と、基板110に接続されたフレキシブル基板131,132とを備えている。基板110は、x方向を長手方向、y方向を短手方向、z方向を厚み方向とする多層基板であり、上面に位置する配線層111及び下面に位置する配線層112の他、内部に1又は2以上の配線層を備えている。フレキシブル基板131,132には、それぞれコネクタ133,134が搭載されている。
【0022】
基板110の上面に位置する配線層111には、x方向に配列された4つのパッチアンテナ導体141〜144が形成されている。パッチアンテナ導体141〜144はICチップ120により給電されて、z方向にビームを放射する第1のアンテナ素子として機能する。また、ICチップ120による給電信号の位相制御によって、z軸を中心としてビームの放射方向をx方向に傾けることが可能である。尚、パッチアンテナ導体の数は4つに限定されるものではないが、ビームの放射方向をx方向に傾けるためには、少なくとも2個以上のパッチアンテナ導体を用いる必要がある。
【0023】
基板110の下面に位置する配線層112には、ICチップ120が搭載されている。本実施形態においては、基板110の形状に合わせ、ICチップ120もx方向を長手方向とする形状を有している。ICチップ120は、パッチアンテナ導体141〜144の一部と重なる位置に搭載されている。これにより、ICチップ120とパッチアンテナ導体141〜144を異なる平面に配置する場合と比べて、基板110の平面サイズを縮小することが可能となる。
【0024】
さらに、基板110の内部には、
図3に示す配線層113が設けられている。配線層113には、大面積のグランドパターンGが形成されており、x方向に延在する長辺L1に沿ってグランドパターンGの一部が切り欠かれた3つのグランドクリアランス領域151〜153が定義されている。特に限定されるものではないが、グランドクリアランス領域151はy方向から見てパッチアンテナ導体141,142間に配置され、グランドクリアランス領域152はy方向から見てパッチアンテナ導体142,143間に配置され、グランドクリアランス領域153はy方向から見てパッチアンテナ導体143,144間に配置される。
【0025】
図3に示すように、各グランドクリアランス領域151〜153には導体パターン161,162が形成されている。導体パターン161はy方向に延在する細長いパターンであり、x方向にオフセットして配置されている。導体パターン161のy方向における一方の端部は、ICチップ120から給電信号が供給される給電点Pを構成する。導体パターン161のy方向における他方の端部は、長辺L1にて開放されている。また、導体パターン162はx方向に延在する細長いパターンであり、y方向にオフセットして長辺L1の近傍に配置されている。導体パターン162のx方向における一方の端部はグランドパターンGに接続され、導体パターン162のx方向における他方の端部は、開放されている。
【0026】
そして、導体パターン161,162は所定のインダクタンス成分を持つとともに、両者間には所定のキャパシタンス成分が生じることから、導体パターン161,162の長さ、幅、位置などを調整することにより、所定の周波数で共振するスロットアンテナを構成する。このようにして構成される複数のスロットアンテナは、y方向にビームを放射する第2のアンテナ素子として機能する。また、ICチップ120による給電信号の位相制御によって、y軸を中心としてビームの放射方向をx方向に傾けることが可能である。尚、スロットアンテナの数は3つに限定されるものではないが、ビームの放射方向をx方向に傾けるためには、少なくとも2個以上のスロットアンテナを用いる必要がある。
【0027】
このように、本実施形態によるアンテナ装置100は、z軸を中心としてビームを放射する第1のアンテナ素子(パッチアンテナ)と、y軸を中心としてビームを放射する第2のアンテナ素子(スロットアンテナ)を備えている。したがって、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子によって同じ信号を出力すれば、同じ信号を伝搬するビームがz方向及びy方向の両方に放射されることから、ミリ波のように指向性を必要とする周波数帯域を用いる場合であっても、より広い角度で通信を行うことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態においては、基板110の内層に位置する配線層113に第2のアンテナ素子が形成されていることから、第2のアンテナ素子を設けることによって基板110の平面サイズが拡大することもない。
【0029】
図4は、マザーボードMにアンテナ装置100を接続した状態を示す略斜視図である。
図4に示すマザーボードMは、x方向に延在する第1の部分M1と、y方向に延在する第2及び第3の部分M2,M3を有しており、フレキシブル基板131,132に搭載されたコネクタ133,134が第2の部分M2の端部に接続されている。このようなコネクタ133,134を用いてマザーボードMへの接続を行えば、アンテナ装置100の本体である基板110がマザーボードMと重ならないことから、マザーボードMの表面を有効に活用することが可能となる。
【0030】
図5は、配線層113の第1の変形例を示す略平面図である。
【0031】
図5に示す例では、グランドパターンGにスリットSLが設けられており、これによってグランドクリアランス領域151〜153を囲む第1のグランドパターンG1と、スリットSLを介して第1のグランドパターンG1を囲む第2のグランドパターンG2が定義されている点において、
図3に示した例とは相違している。スリットSLは、第1のグランドパターンG1と第2のグランドパターンG2を完全に分断するものではなく、両者は部分的に接続されているため、直流(DC)的にはいずれのパターンG1,G2にもグランド電位が与えられる。
【0032】
そして、このようなスリットSLによって第1のグランドパターンG1と第2のグランドパターンG2に分離すれば、
図5に示すY2方向への放射が低減される代わりに、
図5に示すY1方向への放射が増大する。これにより、
図3に示す構成に比べてアンテナ装置のゲインが高められる。
【0033】
図6は、スリットSLの効果を説明するためのシミュレーション結果を示すグラフである。
図6に示すように、スリットSLを設けることによって、ミリ波帯におけるゲインが向上することが分かる。
【0034】
図7は、配線層113の第2の変形例を示す略平面図である。
【0035】
図7に示す例では、グランドパターンGにグランドクリアランス領域154,155がさらに設けられている点において、
図5に示した例とは相違している。グランドクリアランス領域154,155は、基板110のx方向における両端部に設けられている。つまり、グランドクリアランス領域154はy方向に延在する一方の短辺L2に沿って設けられ、グランドクリアランス領域155はy方向に延在する他方の短辺L3に沿って設けられている。また、グランドクリアランス領域154,155の内部にも、グランドクリアランス領域151〜153と同様の導体パターン161,162が形成されるとともに、その周囲にスリットSLが形成されている。
【0036】
グランドクリアランス領域154,155に形成されたスロットアンテナは、ICチップ120によって給電されてx方向にビームを放射する第3のアンテナ素子として機能する。これにより、y方向およびz方向のみならず、x方向にもビームが放射されることから、3方向(x方向、y方向およびz方向)にビームを放射することが可能となる。
【0037】
<第2の実施形態>
図8及び
図9は、本発明の第2の実施形態によるアンテナ装置200の構成を示す略斜視図であり、
図8は上面側から見た図、
図9は下面側から見た図である。
【0038】
図8及び
図9に示すように、本実施形態によるアンテナ装置200は、基板210及びフレキシブル基板220を備えているとともに、基板110の内層に位置する配線層113が省略されている点において、第1の実施形態によるアンテナ装置100と相違する。その他の構成は、第1の実施形態によるアンテナ装置100と同一であることから同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
基板210は、フレキシブル基板220を介して基板110に接続されている。フレキシブル基板220は、x方向に延在する長辺に沿って基板110と基板210を接続していることから、基板210は、基板110に対してx軸を中心に角度を任意に設定することが可能である。尚、
図8及び
図9においては、基板110と基板210の成す角度が90°である状態を示している。
【0040】
基板210の上面に位置する配線層211には、x方向に配列された4つのパッチアンテナ導体221〜224が形成されている。パッチアンテナ導体221〜224はICチップ120によって給電されて、y方向にビームを放射する第2のアンテナ素子として機能する。また、ICチップ120による給電信号の位相制御によって、y軸を中心としてビームの放射方向をx方向に傾けることが可能である。尚、パッチアンテナ導体の数は4つに限定されるものではないが、ビームの放射方向をx方向に傾けるためには、少なくとも2個以上のパッチアンテナ導体を用いる必要がある。
【0041】
第1の実施形態と異なり、本実施形態においてはフレキシブル基板131,132が用いられておらず、その代わりに、基板110の下面側に位置する配線層112には、ICチップ120の周囲を取り囲むように複数の外部端子170がアレイ状に配置されている。外部端子170は例えば半田ボールからなり、ICチップ120よりもz方向における高さが高くなるよう設計される。
【0042】
このように、本実施形態によるアンテナ装置200は、z軸を中心としてビームを放射する第1のアンテナ素子(パッチアンテナ)と、y軸を中心としてビームを放射する第2のアンテナ素子(パッチアンテナ)を備えている。したがって、第1の実施形態と同様、ビームがz方向及びy方向の両方に放射されることから、ミリ波のように指向性を必要とする周波数帯域を用いる場合であっても、より広い角度で通信を行うことが可能となる。
【0043】
図10は、マザーボードMにアンテナ装置200を接続した状態を示す略斜視図である。
図10に示す例では、マザーボードMの第2の部分M2の縁部にアンテナ装置200が接続されている。アンテナ装置200とマザーボードMの接続は、マザーボードMに設けられた図示しないランドパターンと外部端子170を接続することにより行う。ここで、ICチップ120は外部端子170の高さよりも薄いことから、アンテナ装置200をマザーボードMに実装しても、ICチップ120がマザーボードMと干渉することはない。
【0044】
<第3の実施形態>
図11は、本発明の第3の実施形態によるアンテナ装置300の構成を示す略斜視図である。
【0045】
図11に示すように、本実施形態によるアンテナ装置300は、基板310及びフレキシブル基板320を備えている点において、第2の実施形態によるアンテナ装置200と相違する。その他の構成は、第2の実施形態によるアンテナ装置200と同一であることから同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0046】
基板310は、フレキシブル基板320を介して基板110に接続されている。フレキシブル基板320は、y方向に延在する短辺に設けられていることから、基板310は、基板110に対してy軸を中心に角度を任意に設定することが可能である。尚、
図11においては、基板110と基板310の成す角度が90°である状態を示している。
【0047】
基板310の上面に位置する配線層311には、パッチアンテナ導体321が形成されている。パッチアンテナ導体321はICチップ120によって給電されて、x方向にビームを放射する第3のアンテナ素子として機能する。
図11に示す例では、基板310にパッチアンテナ導体321が1個のみ形成されているが、2以上のパッチアンテナ導体を形成しても構わない。
【0048】
かかる構成により、y方向およびz方向のみならず、x方向にもビームが放射されることから、3方向(x方向、y方向およびz方向)にビームを放射することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
100,200,300 アンテナ装置
110,210,310 基板
111〜113,211,311 配線層
120 ICチップ
131,132,220,320 フレキシブル基板
133,134 コネクタ
141〜144,221〜224,321 パッチアンテナ導体
151〜155 グランドクリアランス領域
161,162 導体パターン
170 外部端子
G グランドパターン
G1 第1のグランドパターン
G2 第2のグランドパターン
L1 長辺
L2,L3 短辺
M マザーボード
M1 第1の部分
M2 第2の部分
M3 第3の部分
P 給電点
SL スリット