特許第6572958号(P6572958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572958
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】車両のパワートレイン装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-216072(P2017-216072)
(22)【出願日】2017年11月9日
(65)【公開番号】特開2019-86121(P2019-86121A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】景山 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】永井 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】石山 貴士
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 拓也
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−217492(JP,A)
【文献】 特開2016−056838(JP,A)
【文献】 特開2012−013144(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/047018(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するための駆動源と、該駆動源からの動力が伝達される変速機と、該駆動源により機械的に駆動される機械式オイルポンプと、該駆動源とは別の電動モータにより駆動される電動式オイルポンプとを備えた、車両のパワートレイン装置であって、
上記変速機に設けられ、上記車両の発進時に、締結油圧室への作動油の供給により締結される車両発進用摩擦締結要素と、
上記機械式オイルポンプの吐出圧の大きさによって、上記電動式オイルポンプより吐出されたオイルを上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給可能な第1状態と、該オイルを第1潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給可能な第2状態とに切り換えられる切換バルブとを備え、
上記切換バルブは、上記機械式オイルポンプの作動時に上記第2状態にされるとともに、該第2状態にされているときには、上記機械式オイルポンプより吐出されたオイルを上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給可能に構成され、
上記切換バルブが上記第2状態にされているときに上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給される上記オイルの圧力を調整する調圧手段と、
上記機械式オイルポンプの作動時に、該機械式オイルポンプからのオイルを、上記切換バルブを経由しないで上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給するための第2潤滑油供給回路に配設された潤滑制御弁とを更に備え、
上記潤滑制御弁は、ライン圧と上記調圧手段により調整された調整圧力との差圧に応じて作動するとともに、該差圧が所定閾値よりも大きいときには、上記第2潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素へ供給されるオイルの流量が、該差圧が上記所定閾値以下であるときに比べて多くなるように作動するよう構成されていることを特徴とする車両のパワートレイン装置。
【請求項2】
請求項記載の車両のパワートレイン装置において、
上記第1潤滑油供給回路は、上記第2潤滑油供給回路の下流端の近傍に接続されていることを特徴とする車両のパワートレイン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパワートレイン装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を駆動するための駆動源(エンジン、モータ等)と、該駆動源からの動力が伝達される変速機と、該駆動源により機械的に駆動される機械式オイルポンプと、該駆動源とは別の電動モータにより駆動される電動式オイルポンプとを備えた、車両のパワートレイン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記電動式オイルポンプは、上記駆動源の停止中(つまり機械式オイルポンプの停止中)に作動して、上記変速機において必要な油圧を確保している。
【0003】
上記特許文献1では、電動式オイルポンプの吐出油路に、該吐出油路を、該電動式オイルポンプから吐出された作動油を変速機構用油圧系へ供給する油圧供給油路と、変速機構の冷却/潤滑系へ供給する冷却系油路とのいずれか一方に接続する切換バルブ(ソレノイド弁)を設けておき、機械式オイルポンプの停止中に電動式オイルポンプを作動させるとともに、変速機構用油圧系への供給油圧に応じて切換バルブを制御するようにしている。これによって、機械式オイルポンプ停止後の車両の再発進性能の低下、及び、再発進時のクラッチ焼き付き防止の両立を図るようにしている。
【0004】
また、車両の発進時に、締結油圧室への作動油の供給により、解放状態からスリップ状態を経由して完全締結状態になる発進クラッチを備えた変速機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−031144号公報
【特許文献2】特開2003−166558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2のように、変速機に、発進クラッチのような車両発進用摩擦締結要素が設けられている場合、その車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時には、該車両発進用摩擦締結要素の冷却及び潤滑のために多量の潤滑油を必要とし、機械式オイルポンプからのオイル(潤滑油)の供給だけでは、車両発進用摩擦締結要素への潤滑油が不足する可能性がある。機械式オイルポンプを大型化すると、多くの潤滑油を必要としないとき(例えば車両発進用摩擦締結要素が完全締結状態にあるとき)にも、多量の潤滑油が車両発進用摩擦締結要素に供給される可能性があり、この場合、車両発進用摩擦締結要素の回転部材による潤滑油の攪拌ロスが増大して燃費の悪化を招いてしまう。
【0007】
そこで、車両の発進時においては、機械式オイルポンプに加えて、電動式オイルポンプを作動させて、電動式オイルポンプからもオイルを車両発進用摩擦締結要素に供給することが考えられる。この場合、上記特許文献1に記載のような切換バルブ(例えばソレノイド弁)を設けて、該切換バルブの制御により、機械式オイルポンプの停止中には、電動式オイルポンプからのオイルを車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給し(但し、作動油の圧力は、スリップ直前の低い圧力にする)、機械式オイルポンプの作動時において、車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時には、電動式オイルポンプからのオイルを車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給するように切り換える。
【0008】
しかし、このような構成では、ソレノイド弁のような高価な切換バルブが必要になるとともに、切換バルブの制御も必要になるという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な回路構成で、機械式オイルポンプの停止中における電動式オイルポンプからのオイル(作動油)の車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室への供給と、機械式オイルポンプの作動時でかつ車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時における電動式オイルポンプからのオイル(潤滑油)の車両発進用摩擦締結要素への供給とを行うことが可能な車両のパワートレイン装置を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両を駆動するための駆動源と、該駆動源からの動力が伝達される変速機と、該駆動源により機械的に駆動される機械式オイルポンプと、該駆動源とは別の電動モータにより駆動される電動式オイルポンプとを備えた、車両のパワートレイン装置を対象として、上記変速機に設けられ、上記車両の発進時に、締結油圧室への作動油の供給により締結される車両発進用摩擦締結要素と、上記機械式オイルポンプの吐出圧の大きさによって、上記電動式オイルポンプより吐出されたオイルを上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給可能な第1状態と、該オイルを第1潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給可能な第2状態とに切り換えられる切換バルブとを備え、上記切換バルブは、上記機械式オイルポンプの作動時に上記第2状態にされるとともに、該第2状態にされているときには、上記機械式オイルポンプより吐出されたオイルを上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給可能に構成され、上記切換バルブが上記第2状態にされているときに上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給される上記オイルの圧力を調整する調圧手段と、上記機械式オイルポンプの作動時に、該機械式オイルポンプからのオイルを、上記切換バルブを経由しないで上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給するための第2潤滑油供給回路に配設された潤滑制御弁とを更に備え、上記潤滑制御弁は、ライン圧と上記調圧手段により調整された調整圧力との差圧に応じて作動するとともに、該差圧が所定閾値よりも大きいときには、上記第2潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素へ供給されるオイルの流量が、該差圧が上記所定閾値以下であるときに比べて多くなるように作動するよう構成されている、という構成とした。
【0011】
上記の構成により、機械式オイルポンプの吐出圧の大きさによって、切換バルブが第1状態と第2状態とに切り換えられる。すなわち、機械式オイルポンプの停止中においては、機械式オイルポンプの吐出圧が0であり、機械式オイルポンプの作動時には、所定の大きさのライン圧となるので、この大きさの違いにより、機械式オイルポンプの停止中において、少なくとも、電動式オイルポンプの作動時には、切換バルブが第1状態とされる一方、機械式オイルポンプの作動時には切換バルブが第2状態とされるように、切換バルブを切り換えることが可能になる。この結果、その切り換えのために、ソレノイド弁のような高価な切換バルブは不要となり、切換バルブの制御も不要になる。よって、簡素な回路構成で、機械式オイルポンプの停止中における電動式オイルポンプからのオイル(作動油)の車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室への供給と、機械式オイルポンプの作動時でかつ車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時における電動式オイルポンプからのオイル(潤滑油)の車両発進用摩擦締結要素への供給との切り換えを行うことが可能になる。
【0012】
また、車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時に、第1潤滑油供給回路と第2潤滑油供給回路との両方により十分な量の潤滑油を車両発進用摩擦締結要素に供給することができるようになる。このスリップ時に、ライン圧と調圧手段による調整圧力との差圧が所定閾値よりも大きくなるように、該所定閾値を設定しておくことで、潤滑制御弁によって、第2潤滑油供給回路により車両発進用摩擦締結要素へ供給されるオイルの流量を多くすることができる。一方、車両発進用摩擦締結要素が完全締結状態になった以降は、基本的に、上記差圧が上記所定閾値以下になるので、潤滑制御弁によって、第2潤滑油供給回路により車両発進用摩擦締結要素へ供給されるオイルの流量を少なくすることができる。したがって、機械式オイルポンプから車両発進用摩擦締結要素に供給される潤滑油の量を、簡単な構成で調整することができる。よって、車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時には、十分な量の潤滑油を車両発進用摩擦締結要素に供給しながら、完全締結状態にあるときのように多くの潤滑油を必要としないときは、車両発進用摩擦締結要素への潤滑油の供給量を少なくすることができる。このように車両発進用摩擦締結要素への潤滑油の供給量を少なくすることで、車両発進用摩擦締結要素の回転部材による潤滑油の攪拌ロスを低減して、燃費の悪化を防止することができる。
【0013】
上記車両のパワートレイン装置において、上記第1潤滑油供給回路は、上記第2潤滑油供給回路の下流端の近傍に接続されている、ことが好ましい。
【0014】
このことで、第1潤滑油供給回路が、第2潤滑油供給回路においてオイルの圧力が比較的低い部分に接続されることになり、電動式オイルポンプから潤滑油を第1潤滑油供給回路から第2潤滑油供給回路を経由して車両発進用摩擦締結要素に供給する際に、その供給圧力を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の車両のパワートレイン装置によると、機械式オイルポンプの吐出圧の大きさによって、電動式オイルポンプより吐出されたオイルを車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給可能な第1状態と、該オイルを第1潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給可能な第2状態とに切り換えられる切換バルブと、上記切換バルブが上記第2状態にされているときに上記車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室に作動油として供給されるオイルの圧力を調整する調圧手段と、上記機械式オイルポンプの作動時に、該機械式オイルポンプからのオイルを、上記切換バルブを経由しないで上記車両発進用摩擦締結要素に潤滑油として供給するための第2潤滑油供給回路に配設された潤滑制御弁とを備え、上記潤滑制御弁は、ライン圧と上記調圧手段により調整された調整圧力との差圧に応じて作動するとともに、該差圧が所定閾値よりも大きいときには、上記第2潤滑油供給回路により上記車両発進用摩擦締結要素へ供給されるオイルの流量が、該差圧が上記所定閾値以下であるときに比べて多くなるように作動するよう構成されていることにより、簡素な回路構成で、機械式オイルポンプの停止中における電動式オイルポンプからのオイル(作動油)の車両発進用摩擦締結要素の締結油圧室への供給と、機械式オイルポンプの作動時でかつ車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時における電動式オイルポンプからのオイル(潤滑油)の車両発進用摩擦締結要素への供給とを行うことが可能になる。また、車両発進用摩擦締結要素の特にスリップ時には、十分な量の潤滑油を車両発進用摩擦締結要素に供給しながら、完全締結状態にあるときのように多くの潤滑油を必要としないときは、車両発進用摩擦締結要素への潤滑油の供給量を少なくすることができ、このように車両発進用摩擦締結要素への潤滑油の供給量を少なくすることで、車両発進用摩擦締結要素の回転部材による潤滑油の攪拌ロスを低減して、燃費の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る、車両のパワートレイン装置の骨子図である。
図2】上記パワートレイン装置の変速機の各変速段時における摩擦締結要素の締結状態を示す締結表である。
図3】上記変速機の油圧制御回路の一部であって、第1及び第2切換バルブの周辺を示す回路図である。
図4】上記油圧制御回路における、第2ブレーキに作動油を供給する作動油供給回路と、第2ブレーキに潤滑油を供給する第1及び第2潤滑油供給回路とを示す回路図である。
図5】切換バルブが第1状態にあって、電動式オイルポンプより吐出されたオイル(作動油)が作動油供給回路に供給されている状態を示す図3相当図である。
図6】切換バルブが第2状態にあって、機械式オイルポンプより吐出されたオイル(作動油)が作動油供給回路に供給され、かつ、電動式オイルポンプより吐出されたオイル(潤滑油)が第1潤滑油供給回路に供給されている状態を示す図3相当図である。
図7】潤滑制御弁の第1制御ポートにライン圧の作動油が供給され、かつ、潤滑制御弁の第2制御ポートに、調圧ソレノイド弁による調整圧力(第2所定圧力よりも低い圧力)の作動油が供給されている状態を示す図4相当図である。
図8】潤滑制御弁の第1制御ポートにライン圧の作動油が供給され、かつ、潤滑制御弁の第2制御ポートに、調圧ソレノイド弁による調整圧力(第2所定圧力以上の圧力)の作動油が供給されている状態を示す図4相当図である。
図9】潤滑制御弁の第1及び第2制御ポートに作動油が供給されていない状態を示す図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る、車両のパワートレイン装置1を示す。このパワートレイン装置1は、車両を駆動するための駆動源としてのエンジン2と、該エンジン2からの動力が伝達される変速機3とを備えている。尚、上記駆動源としては、エンジンに限らず、モータ等であってもよい。
【0019】
本実施形態では、上記車両は、アイドルストップシステムを備えている。このアイドルストップシステムにおいては、上記車両の停車時に所定の停止条件が成立したときに、エンジン2を自動停止させかつエンジン2の自動停止状態で所定の再始動条件が成立したときにエンジン2を自動で再始動させるアイドルストップ制御が実行される。尚、上記車両の運転者の操作によりアイドルストップ制御の実行を禁止することも可能である。
【0020】
変速機3は、自動変速機であって、前進8段及び後退1段を達成するものである。変速機3は、筒状の変速機ケース11と、該変速機ケース11内に配設され、エンジン2からの動力が入力される変速機構10とを有している。
【0021】
変速機構10は、変速機3の入力部に相当する入力軸12と、変速機3の出力部に相当する出力ギヤ13とを有している。入力軸12は、エンジン2の出力軸に直接接続される。すなわち、本実施形態では、エンジン2の出力軸と変速機3の入力軸12との間にトルクコンバータは設けられていない。また、本実施形態では、エンジン2及び変速機3は、エンジン2の出力軸及び入力軸12が上記車両の車幅方向に延びるように、互いに結合された状態で上記車両に搭載される。出力ギヤ13は、変速機ケース11内における反エンジン2側(図1の右側)の部分に配設されている。出力ギヤ13に伝達された上記動力は、入力軸12と平行に延びるカウンタ軸上に配設されたカウンタ軸入力ギヤ及びカウンタ軸出力ギヤを介して、デファレンシャル機構の入力ギヤに伝達される。そして、上記動力は、そのデファレンシャル機構を介して、上記車両の駆動輪(前輪)に伝達される。
【0022】
また、変速機構10は、入力軸12の軸方向(変速機3の軸方向でもある)に並ぶ、第1プラネタリギヤセットPG1(以下、第1ギヤセットPG1という)、第2プラネタリギヤセットPG2(以下、第2ギヤセットPG2という)、第3プラネタリギヤセットPG3(以下、第3ギヤセットPG3という)、及び、第4プラネタリギヤセットPG4(以下、第4ギヤセットPG4という)を有している。これら第1ギヤセットPG1、第2ギヤセットPG2、第3ギヤセットPG3及び第4ギヤセットPG4は、入力軸12と出力ギヤ13との間において、エンジン2側からこの順に並んでいて、入力軸12から出力ギヤ13への複数の動力伝達経路を形成する。入力軸12、出力ギヤ13及び第1〜第4ギヤセットPG1〜PG4は、同一軸線上に配置されている。
【0023】
さらに、変速機構10は、第1〜第4ギヤセットPG1〜PG4により形成される上記複数の動力伝達経路の中から1つを選択して動力伝達経路を切り換えるための5つの摩擦締結要素(第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2)を有している。
【0024】
第1ギヤセットPG1は、回転要素として、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1及び第1キャリヤC1を有する。第1ギヤセットPG1は、シングルピニオン型であって、第1キャリヤC1に支持されかつ第1ギヤセットPG1の周方向に互いに間隔をあけて配置された複数のピニオンP1が第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1の両方に噛み合わされている。
【0025】
第2ギヤセットPG2は、回転要素として、第2サンギヤS2、第2リングギヤR2及び第2キャリヤC2を有する。第2ギヤセットPG2も、シングルピニオン型であって、第2キャリヤC2に支持されかつ第2ギヤセットPG2の周方向に互いに間隔をあけて配置された複数のピニオンP2が第2サンギヤS2及び第2リングギヤR2の両方に噛み合わされている。
【0026】
第3ギヤセットPG3は、回転要素として、第3サンギヤS3、第3リングギヤR3及び第3キャリヤC3を有する。第3ギヤセットPG3も、シングルピニオン型であって、第3キャリヤC3に支持されかつ第3ギヤセットPG3の周方向に互いに間隔をあけて配置された複数のピニオンP3が第3サンギヤS3及び第3リングギヤR3の両方に噛み合わされている。
【0027】
第4ギヤセットPG4は、回転要素として、第4サンギヤS4、第4リングギヤR4及び第4キャリヤC4を有する。第4ギヤセットPG4も、シングルピニオン型であって、第4キャリヤC4に支持されかつ第4ギヤセットPG4の周方向に互いに間隔をあけて配置された複数のピニオンP4が第4サンギヤS4及び第4リングギヤR4の両方に噛み合わされている。
【0028】
第1サンギヤS1と第4サンギヤS4とが常時連結され、第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とが常時連結され、第2キャリヤC2と第4キャリヤC4とが常時連結され、第3キャリヤC3と第4リングギヤR4とが常時連結されている。入力軸12は、第1キャリヤC1と常時連結され、出力ギヤ13は、第2キャリヤC2及び第4キャリヤC4と常時連結されている。
【0029】
第1クラッチCL1は、入力軸12及び第1キャリヤC1と第3サンギヤS3との間を断接するよう構成されている。第1クラッチCL1は、変速機ケース11内におけるエンジン2側の端部でかつ変速機ケース11の周壁11aの近傍に配置されている。
【0030】
第2クラッチCL2は、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2と第3サンギヤS3との間を断接するよう構成されている。第2クラッチCLは、第1リングギヤR1の径方向外側でかつ変速機ケース11の周壁11aの近傍に配置されている。
【0031】
第3クラッチCL3は、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3との間を断接するよう構成されている。第3クラッチCL3は、第2リングギヤR2の径方向外側でかつ変速機ケース11の周壁11aの近傍に配置されている。
【0032】
第1ブレーキBR1は、第1サンギヤS1及び第4サンギヤS4と変速機ケース11との間を断接するよう構成されている。第1ブレーキBR1は、変速機ケース11内における反エンジン2側の端部でかつ変速機ケース11の周壁11aの近傍に配置されている。
【0033】
第2ブレーキBR2は、第3リングギヤR3と変速機ケース11との間を断接するよう構成されている。第2ブレーキBR2は、第3リングギヤR3の径方向外側でかつ変速機ケース11の周壁11aの近傍に配置されている。
【0034】
上記各摩擦締結要素は、該各摩擦締結要素の締結油圧室への作動油の供給により締結される。図2の締結表に示すように、5つの摩擦締結要素から3つの摩擦締結要素を選択的に締結することにより、前進の1速〜8速及び後退速が形成される。尚、図2の締結表では、○印が、摩擦締結要素が締結していることを示し、空欄が、摩擦締結要素が締結を解除(解放)していることを示す。
【0035】
具体的には、第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結により、1速が形成される。第2クラッチCL2、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結により、2速が形成される。第1クラッチCL1、第2クラッチCL2及び第2ブレーキBR2の締結により、3速が形成される。第2クラッチCL2、第3クラッチCL3及び第2ブレーキBR2の締結により、4速が形成される。第1クラッチCL1、第3クラッチCL3及び第2ブレーキBR2の締結により、5速が形成される。第1クラッチCL1、第2クラッチCL2及び第3クラッチCL3の締結により、6速が形成される。第1クラッチCL1、第3クラッチCL3及び第1ブレーキBR1の締結により、7速が形成される。第2クラッチCL2、第3クラッチCL3及び第1ブレーキBR1の締結により、8速が形成される。第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結により、後退速が形成される。6速では、入力軸12の回転速度と出力ギヤ13の回転速度が同じになる。
【0036】
図3に示すように、パワートレイン装置1は、エンジン2により機械的に駆動される機械式オイルポンプ4と、車両を駆動するための駆動源(エンジン2)とは別の電動モータ5aにより駆動される電動式オイルポンプ5とを更に備ている。
【0037】
上記アイドルストップ制御によるエンジン2の自動停止中に、第1速時に締結される摩擦締結要素である第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結状態又は締結準備状態が維持されるように、これら摩擦締結要素の締結油圧室に、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが作動油として供給される。これにより、エンジン2が再始動したときに、上記車両の運転者による発進操作(アクセルペダルの踏み込み操作)に応じて速やかに該車両を発進させることが可能になる。
【0038】
本実施形態では、上記アイドルストップ制御によるエンジン2の自動停止中に、第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1が完全締結状態とされ、第2ブレーキBR2が締結準備状態とされる。第2ブレーキBR2は、車両発進用摩擦締結要素に相当する。すなわち、車両の発進時には、第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1が締結された状態で、機械式オイルポンプ4から第2ブレーキBR2の締結油圧室21(図4参照)への作動油の供給により、第2ブレーキBR2が、締結準備状態からスリップ状態を経由して完全締結状態にされる。
【0039】
尚、上記アイドルストップ制御がなされていない車両の停車時においては、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが、第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結油圧室に作動油として供給されて、第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1が完全締結状態とされ、第2ブレーキBR2が締結準備状態とされる。そして、車両の発進時には、第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1が締結された状態で、機械式オイルポンプ4から第2ブレーキBR2の締結油圧室21(図4参照)への作動油の供給により、第2ブレーキBR2が、締結準備状態からスリップ状態を経由して完全締結状態にされる。
【0040】
上記締結準備状態とは、ここでは、第2ブレーキBR2の締結油圧室21に、スリップ直前の低い圧力の作動油を供給して、第2ブレーキBR2における複数の摩擦板23(図4参照)同士のクリアランスを小さい状態(好ましくは0)にしておくことを言う。この状態から作動油の圧力の上昇により直ちにスリップ状態にすることができる。尚、本実施形態では、後述のスプリング25(図4参照)によっても、上記クリアランスを小さい状態にするようにしている。
【0041】
エンジン2の再始動により機械式オイルポンプ4が作動したときには、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが作動油として、第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2の締結油圧室に供給される。そして、車両の発進時には、機械式オイルポンプ4からの作動油の供給により、第2ブレーキBR2がスリップ状態を経由して完全締結状態になる。
【0042】
本実施形態では、エンジン2の再始動により機械式オイルポンプ4が作動しても、電動式オイルポンプ5は作動し続け、第2ブレーキBR2がスリップ状態にある間とその後に完全締結状態になってから所定期間が経過するまでの間とを含む期間において作動して、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルを、後述の第1潤滑油供給回路32により第2ブレーキBR2(特に摩擦板23)に潤滑油として供給する。尚、上記アイドルストップ制御がなされていない車両の停車状態からの発進時においても、電動式オイルポンプ5は、第2ブレーキBR2がスリップ状態にある間とその後に完全締結状態になってから上記所定期間が経過するまでの間とを含む期間において作動する。
【0043】
図4に簡略化して示すように、第2ブレーキBR2は、変速機3の軸方向に並んで配設された複数の摩擦板23と、ピストン24と、該ピストン24を挟んで両側にそれぞれ設けられた締結油圧室21及び解放油圧室22とを有している。複数の摩擦板23のうち1つおきに配置された摩擦板23aは、変速機ケース11に連結され、残りの摩擦板23bは第3リングギヤR3に連結されている。第2ブレーキBR2がスリップ状態にあるとき、摩擦板23aと摩擦板23bとが互いに摺動する。ピストン24は、第2ブレーキBR2を締結する際に、締結油圧室21への作動油の供給により、摩擦板23a及び摩擦板23bを互いに係合するように変速機3の軸方向に押圧する。
【0044】
第2ブレーキBR2は、摩擦板23aと摩擦板23bとを互いに接触する程度の付勢力でもって付勢するスプリング25を更に有している。このスプリング25の付勢力と上記締結準備状態における作動油の供給とによって、早期にスリップ状態に移行させることができるようになる。そして、第2ブレーキBR2の締結油圧室21に供給される作動油の圧力が第1所定圧力以上であれば、第2ブレーキBR2が完全締結状態になる。上記第1所定圧力は、ライン圧よりも低い圧力に設定される。一方、締結油圧室21から作動油がドレンされかつ解放油圧室22に作動油(ライン圧)が供給されると、第2ブレーキBR2が解放状態になる。上記ライン圧は、機械式オイルポンプ4の吐出圧レギュレータバルブ7(図3参照)により所定の大きさに調整された圧力であって、変速機3で必要とされる全ての作動油及び潤滑油の元圧となる圧力である。
【0045】
図3及び図4に示すように、変速機3の油圧制御回路30は、第2ブレーキBR2(締結油圧室21及び解放油圧室22)に作動油を供給する作動油供給回路31と、第2ブレーキBR2に潤滑油を供給する第1潤滑油供給回路32及び第2潤滑油供給回路33とを有している。尚、第2ブレーキBR2以外の摩擦締結要素への作動油供給回路及び潤滑油供給回路の記載は省略する。第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1の締結油圧室への作動油供給回路は、図3及び図4の「A」の箇所からそれぞれ分岐して、該各締結油圧室への供給及び非供給を切り換えるON/OFFソレノイド弁を介して、第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1の締結油圧室にそれぞれ向かう。
【0046】
また、油圧制御回路30には、機械式オイルポンプ4の吐出圧の大きさによって、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルを第2ブレーキBR2の締結油圧室21に作動油として供給可能な第1状態と、該オイルを第1潤滑油供給回路32により第2ブレーキBR2に潤滑油として供給可能な第2状態とに切り換えられる切換バルブ70が設けられている。
【0047】
本実施形態では、一対のシフトバルブ(第1及び第2シフトバルブ71,81)により、切換バルブ70が構成されている。
【0048】
機械式オイルポンプ4より吐出されたオイル(レギュレータバルブ7によりライン圧とされたオイル)は、切換バルブ70(第1及び第2シフトバルブ71,81)に供給されるとともに、切換バルブ70を経由しないで第2潤滑油供給回路33に供給される。
【0049】
電動式オイルポンプ5より吐出されたオイル(オリフィス8を通過したオイル)は、第1及び第2シフトバルブ71,81に供給される。電動式オイルポンプ5より吐出されたオイル(オリフィス8を通過したオイル)の圧力は、ライン圧よりも低い圧力であって、エンジン2の自動停止中に第1クラッチCL1及び第1ブレーキBR1を完全締結状態にすることが可能な圧力に設定されている。
【0050】
第1シフトバルブ71は、スリーブ72内に収容されたスプール73を有している。このスプール73は、スリーブ72の一側の端壁部72a(図3の左側の端壁部)に当接する第1位置と、スリーブ72の他側の端壁部72b(図3の右側の端壁部)に当接する第2位置との間で、スプール73の軸方向に移動可能となっている。
【0051】
スリーブ72における上記第1位置側の端部には、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイル(ライン圧のオイル)が供給される第1制御ポート74が設けられている。一方、スリーブ72における上記第2位置側の端部には、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイル(ライン圧よりも低い圧力のオイル)が供給される第2制御ポート75が設けられている。機械式オイルポンプ4及び電動式オイルポンプ5の作動時、並びに、機械式オイルポンプ4のみの作動時には、スプール73が上記第2位置に位置する。一方、電動式オイルポンプ5のみの作動時には、スプール73が上記第1位置に位置する。尚、機械式オイルポンプ4も電動式オイルポンプ5も停止しているときには、スプール73はどちらの位置に位置していてもよい。
【0052】
スリーブ72には、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが供給されるポート76と、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが供給されるポート77と、作動油供給回路31に接続されたポート78とが設けられている。
【0053】
スプール73が上記第1位置に位置するときには、ポート77とポート78とが連通状態となり、ポート76とポート78とが非連通状態となる。一方、スプール73が上記第2位置に位置するときには、ポート76とポート78とが連通状態となり、ポート77とポート78とが非連通状態となる。
【0054】
第2シフトバルブ81は、スリーブ82内に収容されたスプール83を有している。このスプール83は、スリーブ82の一側の端壁部82a(図3の左側の端壁部)に当接する第1位置と、スリーブ82の他側の端壁部82b(図3の右側の端壁部)に当接する第2位置との間で、スプール83の軸方向に移動可能となっている。スリーブ82内における上記第1位置側の端部には、スプール83を上記第2位置側へと付勢する圧縮コイルスプリング84が設けられている。
【0055】
スリーブ82における上記第2位置側の端部には、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイル(ライン圧のオイル)が供給される制御ポート85が設けられている。機械式オイルポンプ4の停止時に、スプール83は圧縮コイルスプリング84により上記第2位置に位置する。このとき、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが供給されるポート86と、第1潤滑油供給回路32に接続されたポート87とが非連通状態となる。一方、機械式オイルポンプ4の作動時には、制御ポート85へのライン圧のオイルの供給により、スプール83は上記第1位置に位置し、このとき、ポート86とポート87とが連通状態となる。
【0056】
したがって、機械式オイルポンプ4の停止時、つまり機械式オイルポンプ4の吐出圧が0であるときには、第1シフトバルブ71のスプール73が上記第1位置に位置しかつ第2シフトバルブ81のスプール83が上記第2位置に位置することになる。このとき、切換バルブ70としては、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルを作動油供給回路31(延いては、第2ブレーキBR2の締結油圧室21)に作動油として供給可能な第1状態となっている。これにより、電動式オイルポンプ5が作動すれば、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが、作動油供給回路31に供給されることになる。また、第1潤滑油供給回路32に対しては、電動式オイルポンプ5が作動しても、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが供給されることはない。
【0057】
一方、機械式オイルポンプ4の作動時(エンジン2の作動時)、つまり機械式オイルポンプ4の吐出圧がライン圧であるときには、第1シフトバルブ71のスプール73が上記第2位置に位置しかつ第2シフトバルブ81のスプール83が上記第1位置に位置することになる。このとき、切換バルブ70としては、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルを第1潤滑油供給回路32により第2ブレーキBR2に潤滑油として供給可能な第2状態となっている。これにより、電動式オイルポンプ5が作動すれば、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが、第1潤滑油供給回路32に供給されることになる。また、作動油供給回路31に対しては、電動式オイルポンプ5が作動しても、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが供給されることはない。
【0058】
また、切換バルブ70は、エンジン2の作動により上記第2状態にされているとき、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルを作動油供給回路31により第2ブレーキBR2の締結油圧室21に作動油として供給可能に構成されている。
【0059】
電動式オイルポンプ5の電動モータ5aは、後述のコントロールユニット100により制御されて、アイドルストップ制御によるエンジン2の自動停止中に作動する。このエンジン2の自動停止中は、機械式オイルポンプ4が停止した状態にあるので、図5に示すように、切換バルブ70が第1状態(第1シフトバルブ71のスプール73が上記第1位置に位置しかつ第2シフトバルブ81のスプール83が上記第2位置に位置する状態)となり、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが、作動油供給回路31に供給される。
【0060】
機械式オイルポンプ4の作動時であって、第2ブレーキBR2がスリップ状態にある間とその後に完全締結状態になってから上記所定期間が経過するまでの間とを含む期間も、電動モータ5aが作動する(電動式オイルポンプ5が作動する)。このとき、図6に示すように、切換バルブ70が上記第2状態(第1シフトバルブ71のスプール73が上記第2位置に位置しかつ第2シフトバルブ81のスプール83が上記第1位置に位置する状態)とされ、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが、作動油供給回路31に供給されるとともに、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルが、第1潤滑油供給回路32に供給される。第2ブレーキBR2が完全締結状態になってから上記所定期間が経過したときには、電動式オイルポンプ5が停止する。電動式オイルポンプ5が停止しても、切換バルブ70の第2状態が維持され、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが作動油供給回路31に供給される。電動式オイルポンプ5の停止後は、第1潤滑油供給回路32にオイルが供給されることはない。尚、図5及び図6では、作動油及び潤滑油が流れる部分を太線で示す(図7図9においても同様)。
【0061】
図4に示すように、作動油供給回路31は、第2ブレーキBR2の締結油圧室21に供給される作動油の圧力を調整する調圧手段としての調圧ソレノイド弁41を有している。この調圧ソレノイド弁41は、リニアソレノイド弁で構成されている。
【0062】
調圧ソレノイド弁41の入力ポート41aには、電動式オイルポンプ5又は機械式オイルポンプ4より吐出されたオイル(作動油)が入力される。調圧ソレノイド弁41は、入力ポート41aから入力された作動油を、減圧された圧力又はそのままの圧力でもって出力ポート41bから出力する。調圧ソレノイド弁41での上記減圧時における余剰分の作動油は、ドレンポート41cからドレンされる。調圧ソレノイド弁41の出力ポート41bから出力された作動油が、締結油圧室21に供給されることになる。
【0063】
エンジン2の自動停止中は、調圧ソレノイド弁41によって、電動式オイルポンプ5より吐出された作動油(オリフィス8を通過した作動油)の圧力が減圧されて上記締結準備状態の圧力とされ、この圧力の作動油が出力ポート41bから出力される。こうして、エンジン2の自動停止中において、第2ブレーキBR2が締結準備状態とされる。
【0064】
機械式オイルポンプ4の作動時においては、調圧ソレノイド弁41によって、機械式オイルポンプ4より吐出された作動油の圧力(ライン圧)が減圧されるか又はそのままの圧力とされ、この圧力の作動油が出力ポート41bから出力される。この出力ポート41bから出力された作動油の圧力(調圧ソレノイド弁41により調整された調整圧力)は、0からライン圧までの範囲内で変化する。出力ポート41bから出力された作動油は、後述の潤滑制御弁61の第2制御ポート63にも供給される。
【0065】
調圧ソレノイド弁41は、第2ブレーキBR2の締結油圧室21への作動油の供給及び非供給を切り換えるとともに、上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際には、締結油圧室21への作動油の圧力(上記調整圧力)を、上記締結準備状態の圧力から上記第1所定圧力にまで徐々に上昇させた後に、該第1所定圧力よりも高いライン圧に上昇させるよう構成されている。調圧ソレノイド弁41は、締結油圧室21に作動油を供給しないときには、上記調整圧力を0にする。このとき、締結油圧室21の作動油はドレンされる。また、調圧ソレノイド弁41は、上記発進時以外で第2ブレーキBR2を締結させる際には、上記調整圧力を0から一気にライン圧にする。
【0066】
作動油供給回路31には、第2ブレーキBR2の解放油圧室22への作動油の供給及び非供給を切り換える解放切換弁43を更に有している。この解放切換弁43は、ON/OFFソレノイド弁55の作動に応じて作動して、解放油圧室22への作動油の供給及び非供給を切り換える。
【0067】
具体的に、ON/OFFソレノイド弁55の入力ポート55aには、機械式オイルポンプ4の作動時には、ライン圧の作動油が入力され、ON/OFFソレノイド弁55がONされると、ライン圧の作動油がそのまま出力ポート55bから出力される。一方、ON/OFFソレノイド弁55がOFFされると、作動油の流通が遮断されて、出力ポート55bから作動油が出力されない。第2ブレーキBR2を締結する変速段(1速乃至5速及び後退速)では、ON/OFFソレノイド弁55がOFFされ、第2ブレーキBR2を解放する変速段(6速乃至8速)では、ON/OFFソレノイド弁55がONされる。また、エンジン2の自動停止中は、ON/OFFソレノイド弁55がOFFされる。
【0068】
解放切換弁43は、スリーブ44内に収容されたスプール45を有している。このスプール45は、スリーブ44の一側の端壁部44a(図4の左側の端壁部)に当接する第1位置と、スリーブ44の他側の端壁部44b(図4の右側の端壁部)に当接する第2位置との間で、スプール45の軸方向に移動可能となっている。スリーブ44内における上記第2位置側の端部には、スプール45を上記第1位置側へと付勢する圧縮コイルスプリング46が設けられている。
【0069】
スリーブ44における上記第1位置側の端部には、ON/OFFソレノイド弁55の出力ポート55bと接続された制御ポート47が設けられている。ON/OFFソレノイド弁55がOFFされているときには、制御ポート47にライン圧の作動油が供給されず、これにより、スプール45は、圧縮コイルスプリング46の付勢力により、上記第1位置に位置する。一方、ON/OFFソレノイド弁55がONされているときには、制御ポート47にライン圧の作動油が供給されることで、スプール45は、圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗して、上記第2位置に位置する。
【0070】
スプール45が上記第2位置に位置するとき(ON/OFFソレノイド弁55がONされているとき)には、第2ブレーキBR2の解放油圧室22と接続されたポート48が、ライン圧の作動油が供給されるポート49と連通することになり、これにより、解放油圧室22にライン圧の作動油が供給される。一方、スプール45が上記第1位置に位置するとき(ON/OFFソレノイド弁55がOFFされているとき)には、解放油圧室22と接続されたポート48が、ドレンポート50と連通することになり、これにより、解放油圧室22の作動油がドレンされる。
【0071】
電動式オイルポンプ5の電動モータ5a、調圧ソレノイド弁41及びON/OFFソレノイド弁55の作動は、コントロールユニット100により制御される。このコントロールユニット100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、コンピュータプログラム(OS等の基本制御プログラム、及び、OS上で起動されて特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)を実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されて上記コンピュータプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
【0072】
コントロールユニット100には、上記車両の走行状態に応じて変速機3の変速段を自動的に切り換えるための各種情報(例えば、上記車両のシフトレバーのレンジ位置の情報、上記車両のアクセル開度の情報、上記車両の車速の情報等)や、上記アイドルストップ制御を実行するための各種情報が入力される。そして、コントロールユニット100は、入力した上記情報に基づいて、電動モータ5a、調圧ソレノイド弁41及びON/OFFソレノイド弁55の作動を制御するとともに、上記アイドルストップ制御を実行する。また、コントロールユニット100は、上記情報に基づいて、第2ブレーキBR2以外の摩擦締結要素への作動油供給回路及び潤滑油供給回路にそれぞれ設けられた弁の作動を制御する。
【0073】
本実施形態では、解放切換弁43のスプール45が上記第1位置に位置するとき、つまり、第2ブレーキBR2を締結する変速段では、ライン圧の作動油が供給されるポート49が、第2潤滑油供給回路33(詳しくは、後述の大径オリフィス配設油路33a)に配設された潤滑制御弁61の第1制御ポート62と接続されたポート51と連通し、これにより、潤滑制御弁61の第1制御ポート62にライン圧の作動油が供給されることになる。一方、解放切換弁43のスプール45が上記第2位置に位置するとき、つまり、第2ブレーキBR2を解放する変速段では、潤滑制御弁61の第1制御ポート62に接続されたポート51が、ドレンポート52と連通し、これにより、第1制御ポート62の作動油がドレンされる。
【0074】
第2潤滑油供給回路33は、互いに並列に接続された大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bを有している。大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bには、オリフィス径が互いに異なる大径オリフィス34及び小径オリフィス35がそれぞれ配設されている。これにより、大径オリフィス配設油路33aを流れる潤滑油の流量の方が、小径オリフィス配設油路33bを流れる潤滑油の流量よりも多くなる。
【0075】
大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bには、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルが、切換バルブ70を経由しないで、減圧弁38により減圧された状態で、潤滑油として供給される。減圧弁38は、機械式オイルポンプ4より吐出されたオイルの圧力を、ライン圧から、予め設定された設定圧力(潤滑に適した圧力)にまで減圧する。
【0076】
大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bは、これらの下流端で互いに集合して集合油路33cとされ、この集合油路33cにより、潤滑油が第2ブレーキBR2(特に摩擦板23)に供給される。集合油路33cは、変速機ケース11の周壁11aを通って第2ブレーキBR2近傍に位置する油路開口に達する。尚、集合油路33cにもオリフィス36が配設されている。このオリフィス36のオリフィス径は、大径オリフィス配設油路33aに配設された大径オリフィス34のオリフィス径よりも大きく、大径オリフィス配設油路33aを流れる潤滑油の流量と、小径オリフィス配設油路33bを流れる潤滑油の流量とを足し合わせた流量と略同じ流量の潤滑油が集合油路33cを流れるようになっている。
【0077】
ここで、第1潤滑油供給回路32は、第2潤滑油供給回路33の下流端の近傍、つまり、集合油路33cの上記油路開口の近傍に接続されている。このようにすることで、第1潤滑油供給回路32が、第2潤滑油供給回路33においてオイルの圧力が比較的低い部分に接続されることになり、電動式オイルポンプ5から潤滑油を第1潤滑油供給回路32から第2潤滑油供給回路33を経由して第2ブレーキBR2に供給する際に、その供給圧力を低減することができる。尚、第1潤滑油供給回路32は、第2潤滑油供給回路33の集合油路33cであれば、どこに接続してもよい。
【0078】
大径オリフィス配設油路33aに、潤滑制御弁61が配設されている。この潤滑制御弁61の2つのポート64,65に大径オリフィス配設油路33aの上流側部分と下流側部分とがそれぞれ接続されており、潤滑制御弁61の作動により、これら上流側部分と下流側部分とが連通されるか、又は、遮断される。
【0079】
潤滑制御弁61は、スリーブ67内に収容されたスプール68を有している。このスプール68は、スリーブ67の一側の端壁部67a(図3の左側の端壁部)に当接する第1位置と、スリーブ67の他側の端壁部67b(図3の右側の端壁部)に当接する第2位置との間で、スプール68の軸方向に移動可能となっている。スリーブ67内における上記第2位置側の端部には、スプール68を上記第1位置側へと付勢する圧縮コイルスプリング69が設けられている。
【0080】
潤滑制御弁61のスプール68が上記第2位置に位置するときには、2つのポート64,65が互いに連通し、これにより、大径オリフィス配設油路33aの上流側部分と下流側部分とが連通される(大径オリフィス配設油路33aが連通状態となる)。一方、スプール68が上記第1位置に位置するときには、2つのポート64,65が互いに非連通となり、これにより、大径オリフィス配設油路33aの上流側部分と下流側部分とが遮断される(大径オリフィス配設油路33が遮断状態となる)。
【0081】
スリーブ67における上記第1位置側の端部に、上記第1制御ポート62が設けられている。一方、スリーブ67における上記第2位置側の端部には、調圧ソレノイド弁41の出力ポート41bと接続された第2制御ポート63が設けられている。潤滑制御弁61(スプール68)は、第1制御ポート62における作動油の圧力と第2制御ポート63における作動油の圧力との差圧に応じて作動する。詳細には、潤滑制御弁61は、第1制御ポート62における作動油の圧力をスプール68の押圧力に換算した値から、第2制御ポート63における作動油の圧力をスプール68の押圧力に換算した値を引いた値と、圧縮コイルスプリング69の付勢力との大小関係に応じて作動する。
【0082】
上記のように、第2ブレーキBR2を締結する変速段では、潤滑制御弁61の第1制御ポート62に、解放切換弁43よりライン圧の作動油が供給される。一方、第2制御ポート63には、調圧ソレノイド弁41より上記調整圧力の作動油が供給される。上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際においては、上記調整圧力が、上記締結準備状態の圧力から上記第1所定圧力にまで徐々に上昇した後に、ライン圧に一気に上昇する。このとき、潤滑制御弁61は、上記調整圧力が、上記第1所定圧力以上に設定されかつ上記ライン圧未満の値に設定された第2所定圧力よりも低いときには、図7に示すように、スプール68が上記第2位置に位置する一方、上記調整圧力が上記第2所定圧力以上であるときには、図8に示すように、スプール68が上記第1位置に位置するよう構成されている。このように潤滑制御弁61は、上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際において、ライン圧と上記調整圧力との差圧に応じて作動することになる。
【0083】
上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際において、上記調整圧力が上記締結準備状態の圧力から上記第1所定圧力にまで徐々に上昇することにより、第2ブレーキBR2が、解放状態からスリップ状態を経由して完全締結状態になる。この結果、上記駆動源の出力軸と変速機3の入力軸12との間にトルクコンバータが設けられていなくても、スムーズな発進が可能になる。
【0084】
このように上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際において、上記調整圧力が上記第2所定圧力よりも低いとき、つまり、上記差圧が所定閾値(本実施形態では、ライン圧−上記第2所定圧力)よりも大きいときには、スプール68が上記第2位置に位置するので、大径オリフィス配設油路33aが連通状態となる。これにより、図7に示すように、減圧弁38からの潤滑油は、大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bの両方を通って第2ブレーキBR2に供給される。
【0085】
一方、上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際において、上記調整圧力が上記第2所定圧力以上であるとき、つまり、上記差圧が上記所定閾値以下であるときには、スプール68が上記第1位置に位置することになり、大径オリフィス配設油路33aが遮断状態になる。これにより、図8に示すように、減圧弁38からの潤滑油は、小径オリフィス配設油路33bのみを通って第2ブレーキBR2に供給される。
【0086】
したがって、潤滑制御弁61は、上記車両の発進時に第2ブレーキBR2を締結させる際において、上記差圧が上記所定閾値よりも大きいときには、第2潤滑油供給回路33により第2ブレーキBR2へ供給される潤滑油の流量が、上記差圧が上記所定閾値以下であるときに比べて多くなるように作動することになる。すなわち、第2ブレーキBR2がスリップ状態にあるときに、第2ブレーキBR2(特に摩擦板23)において冷却及び潤滑に必要とされる十分な量の潤滑油を該第2ブレーキBR2に供給する。一方、第2ブレーキBR2が完全締結状態になった以降(詳細には、完全締結状態になってから上記所定期間が経過した以降)は、多くの潤滑油を必要としなくなるので、第2潤滑油供給回路33により第2ブレーキBR2に供給される潤滑油の流量を少なくする。
【0087】
上記のように、切換バルブ70が上記第2状態にされているときにおいて、電動式オイルポンプ5は、第2ブレーキBR2がスリップ状態にある間とその後に完全締結状態になってから上記所定期間が経過するまでの間とを含む期間において作動する。上記所定期間は、本実施形態では、上記調整圧力が上記第1所定圧力から上記第2所定圧力になる直前までの期間である。すなわち、機械式オイルポンプ4からの潤滑油を第2潤滑油供給回路33の大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33bの両方を介して第2ブレーキBR2に供給するときに、第1潤滑油供給回路32を介して更に多量の潤滑油を第2ブレーキBR2に供給するようにしている。上記調整圧力が上記第2所定圧力以上になると(上記差圧が上記所定閾値以下になると)、電動式オイルポンプ5が停止し、それ以降は、車両が停止するまで、電動式オイルポンプ5は停止された状態となる。電動式オイルポンプ5の停止状態では、第2ブレーキBR2へ供給される潤滑油は、第2潤滑油供給回路33の小径オリフィス配設油路33bを通る潤滑油のみとなる。これにより、第2ブレーキBR2の回転部材(特に摩擦板23b)による潤滑油の攪拌ロスを低減して、燃費の悪化を防止することができる。
【0088】
尚、上記第2所定圧力は、上記第1所定圧力と同じであってもよい。この場合、電動式オイルポンプ5は、第2ブレーキBR2がスリップ状態にある期間に作動し、完全締結状態になった以降は、停止された状態であってもよい。
【0089】
ここで、コントロールユニット100は、調圧ソレノイド弁41が第2ブレーキBR2の締結油圧室21への作動油の圧力を調整しているときの該調圧ソレノイド弁41への制御信号に基づいて、切換バルブ70が上記第2状態にされているときの電動式オイルポンプ5の作動を制御する。すなわち、上記制御信号により、上記調整圧力が分かるので、第2ブレーキBR2がスリップ状態にあるか否かが分かるとともに、上記所定期間も分かる。したがって、コントロールユニット100による調圧ソレノイド弁41の制御に同期して、電動式オイルポンプ5の作動を制御することができ、電動式オイルポンプ5の作動制御が容易になる。
【0090】
上記車両の発進時以外で第2ブレーキBR2を締結させる際には、上記調整圧力が0から一気にライン圧になり、これにより、スプール68も一気に上記第1位置に位置することになる。この結果、大径オリフィス配設油路33aが連通状態になることは基本的になく、減圧弁38からの潤滑油は、小径オリフィス配設油路33bのみを通って第2ブレーキBR2に供給される(図8参照)。
【0091】
また、第2ブレーキBR2の非締結時には、潤滑制御弁61の第1及び第2制御ポート62,63に作動油が全く供給されずにドレンされる(第1及び第2制御ポート62,63における作動油の圧力が共に0である)ので、図8に示すように、スプール68は圧縮コイルスプリング69により上記第1位置に位置することになり、このときも、減圧弁38からの潤滑油は、小径オリフィス配設油路33bのみを通って第2ブレーキBR2に供給される。第2ブレーキBR2の非締結時には、第2ブレーキBR2の締結油圧室21に作動油が供給されず、解放油圧室22に作動油が供給される。
【0092】
尚、エンジン2の自動停止中は、潤滑制御弁61の第1制御ポート62には、電動式オイルポンプ5より吐出された作動油が供給され、第2制御ポート63には、調圧ソレノイド弁41によって上記締結準備状態の圧力とされた作動油が供給される。このため、潤滑制御弁61のスプール68が上記第2位置に位置して、大径オリフィス配設油路33aが連通状態となる。しかし、機械式オイルポンプ4が作動していないので、第2潤滑油供給回路33(大径オリフィス配設油路33a及び小径オリフィス配設油路33b)に潤滑油が供給されることはない。また、エンジン2の自動停止中は、第1潤滑油供給回路32にも潤滑油が供給されない。
【0093】
したがって、本実施形態では、油圧制御回路30において、機械式オイルポンプ4の吐出圧の大きさによって、電動式オイルポンプ5より吐出されたオイルを第2ブレーキBR2の締結油圧室21に作動油として供給可能な第1状態と、該オイルを第1潤滑油供給回路32により第2ブレーキBR2に潤滑油として供給可能な第2状態とに切り換えられる切換バルブ70が設けられているので、機械式オイルポンプ4の作動及び停止に応じて、切換バルブ70を第1状態と第2状態とに切り換えることができる。この結果、その切り換えのために、ソレノイド弁のような高価な切換バルブは不要となり、切換バルブ70の制御も不要になる。よって、簡素な回路構成で、機械式オイルポンプ4の停止中における電動式オイルポンプ5からのオイル(作動油)の、第2ブレーキBR2の締結油圧室21への供給と、機械式オイルポンプ4の作動時でかつ第2ブレーキBR2の特にスリップ時における電動式オイルポンプ5からのオイル(潤滑油)の第2ブレーキBR2への供給を行うことが可能になる。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0095】
例えば、上記実施形態では、車両発進用摩擦締結要素を第2ブレーキBR2で構成した例を示したが、車両発進用摩擦締結要素は、1速で締結される摩擦締結要素であれば、いずれの摩擦締結要素であってもよい。上記実施形態の変速機3の構成では、車両発進用摩擦締結要素は、第1クラッチCL1又は第1ブレーキBR1であってもよい。但し、車両発進用摩擦締結要素は、クラッチ及びブレーキのうちでは、ブレーキで構成することが好ましい。このように車両発進用摩擦締結要素がブレーキで構成されている場合には、変速機ケース11の周壁11aから車両発進用摩擦締結要素(ブレーキ)に潤滑油を直接供給することができるので、油路の径を比較的大きくすることができる。この結果、車両発進用摩擦締結要素がスリップ状態にあるときに、十分な量の潤滑油を車両発進用摩擦締結要素に供給し易くなる。
【0096】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、車両を駆動するための駆動源と、該駆動源からの動力が伝達される変速機と、該駆動源により機械的に駆動される機械式オイルポンプと、該駆動源とは別の電動モータにより駆動される電動式オイルポンプとを備えた、車両のパワートレイン装置に有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 パワートレイン装置
2 エンジン(駆動源)
3 変速機
4 機械式オイルポンプ
5 電動式オイルポンプ
5a 電動モータ
31 作動油供給回路
32 第1潤滑油供給回路
33 第2潤滑油供給回路
41 調圧ソレノイド弁(調圧手段)
61 潤滑制御弁
70 切換バルブ
71 第1シフトバルブ
81 第2シフトバルブ
BR2 第2ブレーキ(車両発進用摩擦締結要素)
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9