(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記縫い付け部分は、前記エアバッグモジュールと前記シートフレームとを固定するボルトよりもシート幅方向における内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シート。
前記縫い付け部分は、前記エアバッグモジュールと前記シートフレームとを固定するボルトよりもシート後方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用シート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係るクッションパッド及び車両用シートについて、
図1乃至
図10を参照しながら説明する。
以下、エアバッグモジュールの被取付部の一例としてサイドフレーム10を適用し、所謂「サイドエアバッグモジュール」に適用する場合について説明するが、これに限られるものではく、エアバッグモジュールの被取付部は、車両の他のフレームであってもよいし、他の部分のエアバッグモジュールに適用してもよい。
【0018】
本明細書において、案内部材は、表皮よりも伸縮性に乏しいシート状部材であって、エアバッグモジュールの格納箇所の表皮等に設けられた破断部に一端が縫合されて、エアバッグ展開時に掛かる力を破断部に伝達して、エアバッグの展開を促進する力布や、エアバッグ展開時にエアバッグ膨張に伴う力によりクッションパッド等の他の部材が破損しないよう、エアバッグモジュールと他の部材との間に配置される力布等を含む。
【0019】
本実施の形態に係る車両用シートSは、
図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されている。
【0020】
車両用シートSの中には、
図2に示すようなシートフレームFが設けられている。
本実施形態に係るシートフレームFは、シートバックS1のフレームであるシートバックフレーム1と、着座部S2のフレームである着座フレーム2とから構成されている。
この着座フレーム2とシートバックフレーム1は、リクライニング機構3を介して連結されている。
また、シートバックフレーム1及び着座フレーム2の外側には、クッション及びトリムカバーが設けられることで、シートバックS1及び着座部S2が構成される。
【0021】
シートバックS1は、
図1,
図2に示すように、シートバックフレーム1と、シートバックフレーム1上に載置されるクッションパッド5と、シートバックフレーム1及びクッションパッド5を覆う表皮材としてのトリムカバー4と、を有して構成されている。
また、トリムカバー4の破断部40に一端が縫い付けられた力布32を備えている。この力布32は、インナー力布とも呼ばれるもので、エアバッグモジュール6のシート前方からシート幅方向内側に向かって引き込まれている。
【0022】
シートバックフレーム1は、
図1,
図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するサイドフレーム10と、このサイドフレーム10の上端部を連結する上部フレーム21と、下端部を連結する下部フレーム22とにより枠状に構成されている。
上部フレーム21には、ピラー支持部23が設けられ、ピラー支持部23には、図示しないヘッドレストフレームが設けられる。ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレストS3が構成される。
【0023】
サイドフレーム10は、板金をプレス加工して成形され、
図4に示すように、ほぼ平板状の側板11と、この側板11の前端部を内側にU字状に折り返してなる前縁部12と、後端部をL字型に内側に屈曲させた後縁部13とを有している。
サイドフレーム10には、エアバッグモジュール6が固定されている。
【0024】
エアバッグモジュール6は、公知の構成からなり、
図4に簡単に模式的に図示してある。
エアバッグモジュール6は、クッションパッド5によって形成された空間7に格納されるように構成されている。
【0025】
本実施形態に係るエアバッグモジュール6は、公知のエアバッグモジュールを使用すればよいが、簡単に下記に一例を示す。
エアバッグモジュール6は、インフレータ61、取付ブラケット62、エアバッグ63等を有して構成されている。
【0026】
インフレータ61は、インフレータ用ブラケット64で保持された状態で、取付ブラケット62に取付けられるとともに、このインフレータ61の上端部はエアバッグ63内部に挿入されている。
また、エアバッグ63の基部は、インフレータ用ブラケット64に取付けられている。
【0027】
なお、インフレータ用ブラケット64は、筒状の部材であり、その内部にインフレータ61が挿入されて保持されている。
そして、これらの各部材が直接的及び間接的に取付けられた取付ブラケット62は、サイドフレーム10を構成する側板11の外側面(座面配設される側と逆側を向く面)に取付けられる。
また、衝撃センサ等の関連機器と回路構成するのに必要なハーネス,コネクタは、この周辺に配設されるが、配設方法及び配設位置は、公知の技術を用いているため説明は省略する。
【0028】
このように構成されたエアバッグモジュール6は、車体ドアの外側から車体内へと大きな荷重が加わり(所謂「側方衝突」が起き)、各種センサより当該信号が発信されると、インフレータ61からガスが放出されてエアバッグ63が膨張し、シート側方外部(乗員の側方)に展開する。
【0029】
なお、本実施形態においては、インフレータ61等が配設された取付ブラケット62をサイドフレーム10に取付ける、所謂「ケースレスエアバッグモジュール」の構成例を示した。
しかし、これに限られることはなく、取付ブラケット62の締付けボルトを外部に突出させて全体をモジュールケースの内部に収容する構成としてもよい。
【0030】
この場合、モジュールケースとしては、例えば、開閉可能なリッドをケース本体にヒンジ接続したもの、または、V溝等による脆弱部を前部面に設けたケース本体とロアプレートとからなるハウジングにより、エアバッグの膨張圧で開放可能なものが備え付けられるとよい。
【0031】
表皮材としてのトリムカバー4は、公知の材料からなり、座面中央から左右の土手面を被包する前面マチ部41と周側面から背面に至る側面マチ部42とを縫い合わせ、更に、不図示の背面マチ部を不図示のスライドファスナーで側面マチ部42に対して開閉自在に連結することにより袋状に縫製されている。
【0032】
トリムカバー4には、前面マチ部41と側面マチ部42との土手部において膨出した頂点に、破断部40が形成されている。
破断部40は、前面マチ部41と側面マチ部42の端部を、通常の使い勝手に耐えられる強度を保ちつつ、エアバッグ63の膨張による引張力で裂断可能なように、相互に縫製されている。
【0033】
本実施形態に係るクッションパッド5は、シートバック側パッド51、側方パッド52を少なくとも有して構成されている。
つまり、本実施形態においては、少なくとも、シートバック側パッド51と側方パッド52とは、分割形成されており、これらシートバック側パッド51と側方パッド52との間には、間隙が形成される。
なお、この間隙を「スリットP」と記す。このスリットPが、非連続部に相当する。
【0034】
また、このスリットPは、シートバック側パッド51及び側方パッド52間に形成された切れ込み(スリット等)を指すが、これは、「両者間には切れ込みは存在して移動可能に形成されるが、接着や連結等、固定・固着されてはいない状態」を指す。つまり、物理的には正確に連続していない、つまり、分離した状態ではあるが、密接な状態も包含し、所謂「接触している又は接している」状態も包含する。
このスリットPは、シートの前後方向に切り込まれた状態の間隙が上下方向に延びた形状となる。
【0035】
そして、
図4に示すように、側方パッド52の前端がシートバック側パッド51側が後方となるように斜めに切欠かれ、このスリットPの外側端部に、断面V字状の溝が形成されている。この溝には、前面マチ部41と、側面マチ部42の端部と、力布32の端部と、の縫合部が埋設される。
なお、本実施形態においては、表皮形状維持部材8を備えているために、破断部40からエアバッグモジュール6のシート幅方向外側からシート後方に向かって引き込まれる所謂アウター力布は、必ずしも必要なものではないため、使用していない例を示した。もちろん、アウター力布を備える構成であってもよい。
つまり、このスリットPの外側端部には破断部40が配置されるよう構成されており、これによりスリットPと破断部40(所謂「ティアライン」)が連続することとなる。
【0036】
また、エアバッグモジュール6は、シートバック側パッド51の内壁と側方パッド52の内壁とで囲まれた空間7に格納される。
なお、側方パッド52の構成は、本発明の主要構成であるため、シートバック側パッド51及びエアバッグモジュール6との関連性も含め、後に詳述する。
【0037】
力布32は、エアバッグ63展開膨出時にかかる力を破断部40に伝達する案内部材として配置されるものである。
力布32は、伸縮性の小さい布状素材からなり、上記の通りエアバッグ63の膨張による応力を破断部40に伝達する役割を果たす。
【0038】
力布32は、トリムカバー4よりも伸縮性の乏しいシート状の部材であって、エアバッグモジュール6格納場所付近に形成された破断部40にその一端が縫合され、エアバッグ展開膨出時に掛かる力を破断部40に伝達する。
そして、これらがエアバッグ63の展開を促進する力、及びエアバッグ63展開時の膨張力に伴う力により、クッションパッド5等の他の部材が破損しないよう、エアバッグモジュール6と他の部材との間に配置される。
【0039】
力布32は、破断部40側の辺と破断部40逆側の辺とが略平行で、破断部40側の辺が長く形成された略台形の布からなる。破断部40逆側の辺は、矩形状に突出した複数のトリムプレート取付部36が形成されており、これらトリムプレート取付部36には、トリムプレート37が各々縫着されている。
力布32の破断部40側の辺は、破断部40で、トリムカバー4の前面マチ部41と、側面マチ部42の端部と共縫いされている。
なお、トリムプレート37は、硬質樹脂製からなる矩形の板体である。
【0040】
力布32は、
図4に示すように、破断部40より空間7へ引き込まれている。
力布32の他端のトリムプレート37は、クリップ部材50を介してサイドフレーム10の前縁部12に係止されている。
【0041】
(側方パッド52の構成と効果について)
図3及び
図4により、本実施形態に係る側方パッド52の構成、及びシートバック側パッド51及びエアバッグモジュール6との関連性を説明する。
図3及び
図4に示すように、エアバッグモジュール6は、空間7に配設されている。
この空間7は、シートバック側パッド51の内壁及び側方パッド52の内壁によって囲まれた空間である。
そして、この空間7は、シートの外側方向に開口している。
また、この空間7のシート外側方向に開口する開口部を被覆するように、樹脂製の表皮形状維持部材8が側方パッド52の内壁部にインサート成形されている。
【0042】
側方パッド52(及びシートバック側パッド51)は、発泡体によりクッション部分が形成されており、このクッション部分がトリムカバー4に被覆されて構成されている。
この発泡体としては、ポリプロピレンビーズ発泡体、ポリエチレンビーズ発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体、アクリロニトリル・スチレン発泡体、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタンフォーム材等、若しくはこれらを組合わせて使用される。
【0043】
本実施形態に係る表皮形状維持部材8は、表面層83と、形状保持部材84と、クッションパッド85と、がエアバッグモジュール6側から順次積層され、インサート成形されてなる。
表面層83は、ポリエステル長繊維不織布からなり、形状保持部材84のエアバッグモジュール6側の面に固定され、シート使用時の雑音防止及び表皮形状維持部材8成形後の金型からの離型性向上の役割を果たす。
形状保持部材84は、樹脂成形品やプレスフェルトからなり、エアバッグモジュール6の形状が、シート表面まで影響しないようにする表皮形状維持部材8本来の目的を達成する部材である。形状保持部材84は、ある程度の剛性を有し、エアバッグモジュール6の動作を阻害しないものであれば、樹脂成形品やプレスフェルト以外のものから構成してもよい。
クッションパッド85は、側方パッド52と形状保持部材84との間の隙間を、サイドフレーム10及び形状保持部材84の形状に合わせて埋めると同時に、シートのエアバッグモジュール6側方の部分の弾力性を保つ役割を果たす。
なお、表面層83と形状保持部材84とを逆に配置し、形状保持部材84をエアバッグモジュール6側に配置してもよい。
【0044】
本実施形態に係る表皮形状維持部材8は、側方被覆部としての開口被覆部81と後方被覆部としての後方屈曲部82とで構成されている。
開口被覆部81は、空間7のシート外側方向開口部を被覆するように配設される略矩形平板状の被覆部81aと、この被覆部81aの上下方向に延びる二辺のうちの一方側の辺81c(後方に配設される側の辺)の上下端部より上下方向に各々延出する略矩形状の延出部81b,81bと、で構成されている。
つまり、一方側の辺81cの上端から上方に延出した延出部81bと、一方側の辺81cの下端から下方側に延出した延出部81bとが、各々形成されている。
【0045】
上下一対の延出部81bを結んでできる仮想の棒状体の部分が、エアバッグ63展開時に、開口被覆部81がシート側方に開くためのヒンジ部としての役割を果たす。
つまり、エアバッグ63展開時には、エアバッグ63の展開力を受けて、開口被覆部81全体が、シート側方へ広がろうとするが、開口被覆部81のシート後方側は、厚肉の後方屈曲部82に一体的に連続しており、シート側方への移動が抑制される。その結果、開口被覆部81のシート前方側の自由端が、開口被覆部81の後端である辺81cをヒンジ軸として、シート側方へ押し広げられるのである。
【0046】
そして、一方側の辺81cから略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の後方屈曲部82が形成されている。
後方屈曲部82は、
図4のように、クッションパッド85が厚肉になっており、開口被覆部81よりも厚肉に形成されている。
開口被覆部81は、側方パッド52の空間7のシート外側方向開口部を被覆する位置にインサート成形されているとともに、後方屈曲部82は、開口被覆部81の車両後方側からシート後方部内側方向へ略垂直に屈曲して回り込むように側方パッド52にインサート成形される。
なお、本実施形態においては、この後方屈曲部82は、空間7の内部形状に合わせ、かつエアバッグモジュール6との干渉を回避するように、断面階段形状として形成されている。
【0047】
後方屈曲部82は、シート幅方向内側に、シート後方に屈曲する外側屈曲部82a,外側屈曲部82aから連続し、シート幅方向外側よりもシート幅方向内側が後方に位置するように傾斜する斜面82b,斜面82bのシート幅方向内側の端部がシート幅方向内側に屈曲する内側屈曲部82c,内側屈曲部82cから連続し、シート幅方向内側に延出するサイドフレーム後縁部当接部82dと、が形成されている。
外側屈曲部82a,斜面82b,内側屈曲部82c,サイドフレーム後縁部当接部82dにより、後方屈曲部82がサイドフレーム10の後縁部13に当接する位置に段差が形成され、後縁部13への表皮形状維持部材8の位置決めが可能となる。
【0048】
また、シート幅方向内側に延出するサイドフレーム後縁部当接部82dのシート前方の面は、後縁部13のシート後方の面に当接可能となっており、表皮形状維持部材8のシート前後方向の位置決めが可能となる。
なお、段差の形状は、これに限られることはなく、空間7の形状(クッションパッド5の形状)等に合わせて異なった形状に設計されていてもよい。
空間7のシート幅方向外側の少なくとも一部は、トリムカバー4と、側方パッド52と、表皮形状維持部材8とが、シート側方外側から順に並ぶように積層された積層体により、被覆されている。
表皮形状維持部材8が、側方パッド52にインサート成形され、側方パッド52とトリムカバー4の側面マチ部42とは、接着剤で相互に接着されて積層体を構成しているので、トリムカバー4と、側方パッド52と、表皮形状維持部材8とを、一体として取り扱うことができ、作業性が高い。
また、トリムカバー4と、側方パッド52と、表皮形状維持部材8との中では、表皮形状維持部材が最も硬質の材料から形成され、最も剛性が高い。
【0049】
このように構成されているため、空間7のシート外側方向開口部に配設されるトリムカバー4の形状を維持することができる。
当該部分は、エアバッグモジュール6を配設するための空間7となっており、このため、この部分はシート外側方向に開口部が位置することとなる。
よって、この位置のトリムカバー4に波打ち等の外観異常が発生する懸念がある。
また、この位置のトリムカバー4や側方パッド52等が乗員の荷重等でずれる可能性を否定できない。
このように、外観の意匠性を維持するためにも、この位置に配設されるトリムカバー4の形状維持が求められる。
【0050】
このような問題は、本実施形態に係る所謂「ケースレス」のエアバッグモジュール6を配設する際には顕著である。
このため、このような問題点に鑑み、空間7のシート外側方向開口部に配設されるトリムカバー4の形状を維持する必要性が生じていたのであるが、本実施形態に係る構成であれば、側方パッド52にインサート成形された表皮形状維持部材8を構成する開口被覆部81で、空間7のシート外側方向開口部を被覆することができ、表皮形状維持部材8が存在するため、この位置に配設されるトリムカバー4の形状を維持することができる。
【0051】
更に、一方側の辺81c側から(延出部81b,81bから)略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の後方屈曲部82が形成されているため、破断部分の剛性が上がる。
また、表皮形状維持部材8がインサート成形されているため、エアバッグ63が展開した際に側方パッド52が破断して飛散することを防止することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る側方パッド52及びエアバッグモジュール6が構成されているため、エアバッグ63が展開膨出する際には、エアバッグ63は、側方パッド52に外側方向の力を加えながら展開膨出する。
このとき、スリットPの外側端部に形成された破断部40は、ティアラインであり脆弱な部分であるから、当該部分が破断して、エアバッグ63はスリットPを押し広げながら展開膨出する。
【0053】
つまり、破断部40が破断された側方パッド52は、表皮材形状維持部材8の後端側(屈曲部分から後方屈曲部82に渡る部分)をヒンジとしてエアバッグ63の押圧力により外側(
図4のOUT矢印方向)に展開する。
よって、エアバッグ63は円滑に展開膨出する。
【0054】
次いで、
図5により、表皮形状維持部材8と、インフレータ61との位置関係を説明する。
本実施形態においては、インフレータ61は、開口被覆部81と距離t1をもって離隔して配設されるとともに、後方屈曲部82と距離t2をもって離隔して配設されている。
これは、インフレータ61を保護するためである。
また、後方屈曲部82は、インフレータ61の配設位置よりも、距離t3の分シート内側方向へと延びるよう構成される。
これもまた、当該部分でインフレータ61が剥き出し(つまり、保護するものがなにもない状態)となることを防止し、インフレータ61を保護するためである。
【0055】
(改変例1)
次いで、
図6乃至
図8により、表皮形状維持部材8の改変例を示す。
本例においては、第二表皮形状維持部材108とし、他の構成は上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図6及び
図7に示すように、本例に係る第二表皮形状維持部材108は、樹脂成形品又はプレスフェルトからなる形状保持部材184と、ポリエステル長繊維不織布からなる表面層183と、クッションパッド185と、がエアバッグモジュール6側から順次積層され、インサート成形されてなる。
本例における第二表皮形状維持部材108は、第二開口被覆部181と第二後方屈曲部182とを有して構成されている。
形状保持部材184は、第二開口被覆部181を構成する部分が、略矩形枠状に形成され、枠の内側の開口部分を通して、表面層183がエアバッグモジュール6側に露出している。
【0056】
本例に係る第二開口被覆部181は、空間7のシート外側方向開口部を被覆するように配設される第二被覆部181aと、この第二被覆部181aの後方側の上下端部より上下方向に各々延出する略矩形状の第二延出部181b,181bと、で構成されている。
つまり、第二被覆部181aの後方側の上端から上方に延出した第二延出部181bと、第二被覆部181aの後方側の下端から下方側に延出した第二延出部181bとが、各々形成されている。
【0057】
そして、後端側で上下方向に延びる第二の辺181c側から略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の第二後方屈曲部182が形成されている。
つまり、第二開口被覆部181は、空間7のシート外側方向開口部の内周縁部分を被覆する位置にインサート成形されているとともに、第二後方屈曲部182は、第二開口被覆部181の車両後方側からシート後方部内側方向へ略垂直に屈曲して回り込むようにインサート成形される。
なお、本実施形態においては、この第二後方屈曲部182は、空間7の内部形状に合わせ、かつエアバッグモジュール6との干渉を回避するように、断面階段形状として形成されている。
この形状は、これに限られることはなく、空間7の形状(クッションパッド5の形状)等に合わせて異なった形状に設計されていてもよい。
【0058】
このように構成されているため、第二表皮形状維持部材108が骨格となり、空間7のシート外側方向開口部を被覆する位置のトリムカバー4は、一定のテンションをもって形状が維持される。
このため、上記実施形態同様に、空間7のシート外側方向開口部に配設されるトリムカバー4の形状を維持することができる。
【0059】
更に、後方側の第二の辺181c側から(第二延出部181b,181bから)略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の第二後方屈曲部182が形成されているため、破断部分の剛性が上がることも上記実施形態と同様であり、第二表皮形状維持部材108がインサート成形されているため、エアバッグ63が展開した際に側方パッド52が破断して飛散することを防止することができるという効果も上記実施形態と同様である。
【0060】
次いで、
図7のC部拡大図を
図8に示す。
図8に示すように、形状保持部材184の枠部の内側の辺のうち、前後方向に離隔して配設される辺184d,184dの端部はエッジのない状態に加工されている。
特に、エアバッグ63展開時に展開経路に位置する前方側に配設される辺184dはエッジのない状態に加工されていると好適である。
このように、辺184d,184dの端部がエッジレスに形成されているため、エアバッグ63の展開膨出時に、エアバッグ63が辺184dのエッジに圧接して摩擦を受けることを有効に防止することができる。
【0061】
(改変例2)
次いで、
図9及び
図10により、表皮形状維持部材8の他の改変例を示す。
本例においては、第三表皮形状維持部材208とし、他の構成は上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図9及び
図10に示すように、本例に係る第三表皮形状維持部材208は、樹脂成形品又はプレスフェルトからなる形状保持部材184´と、ポリエステル長繊維不織布からなる表面層183と、クッションパッド185と、がエアバッグモジュール6側から順次積層され、インサート成形されてなる。
本例における第三表皮形状維持部材208は、第三開口被覆部281と第三後方屈曲部282とを有して構成されている。
形状保持部材184´は、第二開口被覆部181を構成する部分が、略コ字状に形成され、コ字形状の内側の開口部分を通して、表面層183がエアバッグモジュール6側に露出している。
【0062】
本例に係る第三開口被覆部281は、空間7のシート外側方向開口部を被覆するように配設されるシート前方側に開口する略コ字形状平板の第三被覆部281aと、この第三被覆部281aの後方側の上下端部より上下方向に各々延出する略矩形状の第三延出部281b,281bと、で構成されている。
つまり、第三被覆部281aの後方側の上端から上方に延出した第三延出部281bと、第三被覆部281aの後方側の下端から下方側に延出した第三延出部281bとが、各々形成されている。
【0063】
そして、後端側で上下方向に延びる第三の辺281c側から略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の第三後方屈曲部282が形成されている。
つまり、第三開口被覆部281は、空間7のシート外側方向開口部の上下部分を被覆する位置にインサート成形されているとともに、第三後方屈曲部282は、第三開口被覆部281の車両後方側からシート後方部内側方向へ略垂直に屈曲して回り込むようにインサート成形される。
なお、本実施形態においては、この第三後方屈曲部282は、空間7の内部形状に合わせ、かつエアバッグモジュール6との干渉を回避するように、断面階段形状として形成されている。
この形状は、これに限られることはなく、空間7の形状(クッションパッド5の形状)等に合わせて異なった形状に設計されていてもよい。
【0064】
このように構成されているため、この第三表皮形状維持部材208が骨格となり、空間7のシート外側方向開口部を被覆する位置のトリムカバー4は、一定のテンションをもって形状が維持される。
このため、上記実施形態同様に、空間7のシート外側方向開口部に配設されるトリムカバー4の形状を維持することができる。
【0065】
更に、後方側の第三の辺281c側から(第三延出部281b,281bから)略垂直に屈曲して、シート内側方向に延びる略矩形状の第三後方屈曲部282が形成されているため、破断部分の剛性が上がることも上記実施形態と同様であり、第三表皮形状維持部材208がインサート成形されているため、エアバッグ63が展開した際に側方パッド52が破断して飛散することを防止することができるという効果も上記実施形態と同様である。
【0066】
(他の例)
以下、他の例のエアバッグモジュール装備シートについて、
図1,
図11〜
図19を参照しながら説明する。
エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材の端部側をサイドフレームに取付けるエアバッグモジュール装備シートに関する。
【0067】
シートフレームの一例として、樹脂製のサイドフレームに好適に用いられるが、金属性等他の素材からなるサイドフレームにも適用可能である。
本明細書において、「一体形成して備える」とは、樹脂を一体の型に流し込んで部材を一体に成型する場合や、金属製の部材を折り曲げる等の加工により、一体に形成する場合を含む。
【0068】
シートバックS1は、
図1,
図11,
図12に示すように、シートバックフレーム1と、シートバックフレーム1上に載置されるクッションパッド5と、シートバックフレーム1及びクッションパッド5を覆うカバー部材としての表皮であるトリムカバー4と、トリムカバー4の破断部40に一端が縫い付けられた第一の力布31及び第二の力布32を主要構成要素とする。
【0069】
サイドフレーム10は、樹脂成形体からなり、前端の辺が湾曲して前端の下側部分が前方に張り出した略D字状の略板体からなる。
図12,
図13に示すように、板部としてのほぼ平板状の側板11と、この側板11の前端部を内側にU字状に折り返してなる前縁部12と、後端部をL字型に内側に屈曲させた後縁部13とを有している。側板11と後縁部13とが連続する部分の内面には、
図13に示すように、内面が湾曲した形状になるように隆起させた隅肉部13aが形成されている。
前縁部12には、
図11,
図13,
図14に示すように、略シート上下方向に延びる前縁部12の延長方向の2か所に、第二の力布32の端部を内部に保持する保持部14が形成されている。
【0070】
保持部14は、側板11の前端がU字状にシートS内側に向かって折り曲げられたU字状部14aと、U字状部14aのシートS内側の端部からシートS後方に向かって延出し、側板11に対向する面からなる板部対向部としての側板対向部14bと、側板対向部14bのシートS後方の端部から略垂直に、シートS外側に向かって折り曲げられて、側板11に対して垂直に近い角度を持った面からなる第一の返し部14cと、第一の返し部14cのシートS外側の端部から略垂直に、シートS前方に向かって折り曲げられて、側板対向部14bに略平行な面からなる規制部としての第二の返し部14dと、を備えている。第二の返し部14dは、端部をU字状部14aに向け、側板対向部14bと側板11との間に延在している。
【0071】
第二の返し部14dの先端及びトリムプレート37は、
図14に示すように、角が面取り加工され、第二の力布32の損傷を抑制可能に形成されている。
また、
図14に示すように、トリムプレート37は、第二の力布32の端部側の部分により、トリムプレート37の長尺方向に垂直な面の外周であって、保持部14内に収容されている部分のほぼ全面が覆われている。このように構成しているため、保持部14の内側の面とトリムプレート37が直接接触することが抑制され、異音発生が抑制される。
側板対向部14bと第二の返し部14dは、トリムプレート37の厚みよりも若干大きい距離をおいて相互に平行に延びており、側板対向部14bと第二の返し部14dの間に、第二の力布32を縫着したトリムプレート37を、側板対向部14bと第二の返し部14dに平行に保持可能に構成されている。
【0072】
側板11のシートS内側の面であって、第二の返し部14dに対向する位置には、
図14に示すように、シートS内側及び第二の返し部14d側に向かって盛り上がり、厚みが厚肉となった厚肉部19が、第二の力布32に対向して沿うように設けられている。このように構成することにより、保持部14の支持剛性が向上する。また、厚肉部19は、第二の力布32に沿うように設けられるため、第二の力布32とトリムプレート37を組み付ける際のガイドとしても機能する。
前縁部12は、乗員の背面を支持するシートS前側の位置にあるため、前縁部12は、シートS内側方向へ突出しないことが望ましい。そこで、保持部14は、トリムプレート37の保持面となる側板対向部14bと第二の返し部14dを、シートSの前後方向に沿うように配置し、サイドフレーム10の前方の端部となる前縁部12がシートS内側に突出することを抑制している。
【0073】
保持部14の上端14u及び下端14lは、
図13,
図15に示すように、シートS水平方向に切断されたような形状の端面となっている。また、U字状部14aは、サイドフレーム10の延長方向の全域に亘って形成されており、保持部14の上端14u及び下端14lにおいて、端部を備えていない。
保持部14の上端14uは、上方に向かって開放されているが、保持部14の下端14lは、樹脂材料からなる壁が蓋となって閉塞されている。
従って、保持部14の上端14uでは、側板対向部14b,第一の返し部14c,第二の返し部14dのみが端部を有している。このように構成することにより、保持部14は、前縁部12の延長方向において、第一の返し部14cが、前縁部12上で突出することとなり、第二の力布32の端部及びトリムプレート37の取付位置となる保持部14が確認し易くなるため、取付作業性が向上する。
また、前縁部12の上端14uより僅かに上方の位置及び下端14lより僅かに下方の位置には、U字状部14aが、湾曲面の外側に向かって盛り上がるように形成され、厚みが厚くなった厚肉部17が設けられている。このように構成することにより、保持部14の剛性が向上する。
【0074】
後縁部13には、
図13に示すように、略シート上下方向に延びる後縁部13の延長方向中央の1か所に、第一の力布31の端部を内部に保持する
図16の保持部15が形成されている。
【0075】
保持部15は、
図16に示すように、側板11の後端がL字状にシートS内側に向かって折り曲げられたL字状部15aと、L字状部15aのシートS内側の端部からシートS前方に向かって延出し、側板11に対向する面からなる板部対向部としての側板対向部15bと、側板対向部15bのシートS前方の端部から略垂直に、シートS外側に向かって折り曲げられて、側板11に対して略垂直の面からなる規制部及び第一の返し部としての返し部15cと、を備えている。
L字状部15aは、成形時に、繊維をほぼ一方方向に揃えて固めた公知のシート状CFRP(カーボン繊維強化プラスチック)材を積層することにより形成されている。CFRP材の繊維方向は、エアバッグモジュール6展開時にL字状部15aに力が掛かる方向であり、
図16に示す通り、保持部15に収納されるトリムプレート33の面に平行で、シートS幅方向である。
返し部15cの先端及びトリムプレート33は、
図16に示すように、角が面取り加工され、第一の力布31の損傷を抑制可能に形成されている。
また、
図16に示すように、トリムプレート33は、第一の力布31の端部側の部分により、トリムプレート33の長尺方向に垂直な面の外周がほぼ全周覆われている。このように構成しているため、保持部15の内側の面とトリムプレート33が直接接触することが抑制され、異音発生が抑制される。
【0076】
L字状部15aと返し部15cは、トリムプレート33の厚みよりも若干大きい距離をおいて相互に平行に延びており、L字状部15aと返し部15cの間に、第一の力布31を縫着したトリムプレート33を、L字状部15aと返し部15cに平行に保持可能に構成されている。
後縁部13周辺には、比較的スペースがあるため、保持部15は、トリムプレート33の保持面となるL字状部15aと返し部15cを、シートSの幅方向に沿うように配置している。
【0077】
第一の力布31の端末は、ボルト18よりもシートS後方に配置されている。このように構成していることにより、第一の力布31の端末及びトリムプレート33の取付作業性の悪化が抑制される。また、ボルト18と第一の力布31の端末及びトリムプレート33との位置関係の設定によっては、エアバッグモジュール6展開時に、第一の力布31の端末及びトリムプレート33が回転することを、ボルト18により抑制することも可能である。
【0078】
保持部15の上端15u及び下端15lは、
図13,
図16に示すように、シートS水平方向に切断されたような形状の端面となっている。また、L字状部15aは、サイドフレーム10の延長方向の全域に亘って形成されており、保持部15の上端15u及び下端15lにおいて、端部を備えていない。
保持部15の上端15uは、上方に向かって開放されているが、保持部15の下端15lは、樹脂材料からなる壁が蓋となって閉塞されている。
従って、保持部15の上端15uでは、側板対向部15b,返し部15cのみが端部を有している。このように構成することにより、保持部15は、後縁部13の延長方向において、側板対向部15bが、後縁部13上で突出することとなり、第一の力布31の端部及びトリムプレート33の取付位置となる保持部15が確認し易くなるため、取付作業性が向上する。
【0079】
また、隅肉部13aのうち、保持部15に隣接した部分は、他の隅肉部13aの部分よりも厚肉に形成された厚肉部13bとなっている。厚肉部13bは、
図12に示すように、シートS後方側のクッションパッド5がシートS内側がシートS後方に後退するように凹んだ凹部5aに対向するように配置されている。このように構成することにより、厚肉部13b周辺構造が大型化することを抑制できる。
また、側板11のシートS内側の面には、上方の保持部14の隣接した位置から保持部15に隣接した位置にかけてと、下方の保持部14の隣接した位置から保持部15に隣接した位置にかけての2箇所に、第一の力布31,第二の力布32の取付に支障のない程度で、直線状にビード16を形成し、保持部14,15を補強する。なお、保持部14,15を補強する手段は、ビードに限定されず、他の剛性向上のための手段によってもよい。
【0080】
サイドフレーム10には、エアバッグモジュール6が固定されている。
本実施形態のエアバッグモジュール6は、モジュールケースを有しないケースレスエアバッグモジュールからなる。エアバッグモジュール6は、
図12に示すように、インフレータ61と、折り畳まれたエアバッグ63と、インフレータ61を保持するリテーナ6cと、エアバッグ63を包むラップ材6dを備えている。
インフレータ61の外周部は、シートS内側に向かって立設されたボルト18により、リテーナ6c及びサイドフレーム10に固定されている。なお、インフレータ61は、ボルト以外のインフレータ取付部材によりサイドフレーム10に固定されていてもよい。
【0081】
インフレータ61は、エアバッグ63内に配設され、エアバッグ63は、インフレータ61から噴出されるガスによってシートS前方に展開するようになっている。
エアバッグ63は、布袋等からなるラップ材6dによって折り畳み状態に保持されており、このラップ材6dは、エアバッグ63が展開する場合に、容易に破けるようになっている。
なお、本実施形態では、エアバッグモジュール6を、ケースレスのものから構成しているが、これに限定されるものでなく、モジュールケースを備えたものとして構成してもよい。
クッションパッド5には、
図12に示すように、エアバッグモジュール6を格納するための空間7が形成されている。
【0082】
トリムカバー4は、公知の材料からなり、
図17のように、座面中央から左右の土手面を被包する前面マチ部41と周側面から背面に至る側面マチ部42とを縫い合わせ、更に、不図示の背面マチ部を不図示のスライドファスナーで側面マチ部42に対して開閉自在に連結することにより袋状に縫製されている。
トリムカバー4には、前面マチ部41と側面マチ部42との土手部において膨出した頂点に、破断部40が形成されている。破断部40は、前面マチ部41と側面マチ部42の端部を、通常の使い勝手に耐えられる強度を保ちつつ、エアバッグの膨張による引張力で裂断可能なように、相互に縫製されている。
【0083】
第一の力布31(インナー側力布),第二の力布32(アウター側力布)は、伸縮性の小さい布状素材からなり、エアバッグの膨張による応力を破断部40に伝達する役割を果たす。
第一の力布31は、
図17に示すように、引張力が掛かる方向に長くなった略矩形の布からなり、一端は、破断部40で、トリムカバー4の前面マチ部41と側面マチ部42の端部及び第二の力布32の一端と共縫いされている。第一の力布31の他端にはトリムプレート33が縫い付けられている。
【0084】
第二の力布32は、
図17に示すように、破断部40側の辺34と破断部40逆側の辺35とが略平行で、破断部40側の辺34が長く形成された略台形の布からなる。破断部40逆側の辺35は、矩形状に突出したトリムプレート37取付用の取付部36が、二つ設けられている。
第二の力布32の破断部40側の辺34は、破断部40で、トリムカバー4の前面マチ部41と側面マチ部42の端部及び第一の力布31の一端と共縫いされている。第二の力布32逆側の辺35の取付部36には、それぞれ、
図17に示すように、トリムプレート37が縫い付けられている。
【0085】
トリムプレート33,37は、硬質樹脂製からなる矩形の板体である。トリムプレート33,37は、第一の力布31,第二の力布32の端末の形状を保持するために用いられる力布の端末形状保持部材である。第一の力布31,第二の力布32の端末にトリムプレート33,37が固定されていることにより、第一の力布31,第二の力布32の端末を保持部14,15に差込む際の作業性が向上する。本実施形態では、第一の力布31,第二の力布32の端末にトリムプレート33,37を固定しているが、これに限定されるものではなく、トリムプレート33,37を用いずに、第一の力布31,第二の力布32の端末を複数回折り返して縫製したものや、複数重に巻回して縫製したもの、複数重に巻回して縫製したものを一方向に押し潰したものを、保持部14,15に挿入してもよい。
【0086】
第一の力布31,第二の力布32は、
図12に示すように、破断部40より空間7へ引き込まれている。第一の力布31の他端のトリムプレート33は、サイドフレーム10の後縁部13の保持部15に保持され、第二の力布32の他端のトリムプレート37は、サイドフレーム10の前縁部12の保持部14に保持されている。
【0087】
図12,
図14に示すように、第二の力布32の端部は、トリムプレート37と一体で、保持部14に収容されることにより、サイドフレーム10に取付けられる。このとき、保持部14の第二の返し部14dは、トリムプレート37の長尺方向に垂直な方向の幅よりも長く形成され、第二の返し部14dが、トリムプレート37を覆うようになっている。
また、
図12,
図16に示すように、第一の力布31の端部は、トリムプレート33と一体で、保持部15に収容されることにより、サイドフレーム10に取付けられる。このとき、保持部15の返し部15cは、トリムプレート33の長尺方向に垂直な方向の幅よりも長く形成され、返し部15cが、トリムプレート33を覆うようになっている。
【0088】
第一の力布31,第二の力布32のサイドフレーム10への取付は、次の手順で行われる。
作業者はまず、第二の力布32の取付部36を、トリムプレート37と取付部36の境界で一回折り曲げ、トリムプレート37と取付部36とを、トリムプレート37の幅分重ねる。
【0089】
次いで、トリムプレート37と取付部36とを保持しながら、前縁部12の湾曲面の内側に当接させ、保持部14の上端14uの少し上方の位置に配置する。次いで、トリムプレート37を、前縁部12の湾曲面の内側に沿って下方にスライドさせ、保持部14に挿入する。トリムプレート37の進行方向の端部が、保持部14の下端14lの壁部に当接してそれ以上下方に進行不能となるまで押し込み、第二の力布32が取付けられたトリムプレート37とサイドフレーム10との連結を完了する。
すべての取付部36について、同様の作業を行い、第二の力布32のサイドフレーム10への取付を完了する。
【0090】
次いで、第一の力布31の端部を、トリムプレート33と端部の境界で一回折り曲げ、トリムプレート33と端部とを、トリムプレート33の幅分重ねる。
次いで、トリムプレート33と端部とを保持しながら、後縁部13の内側の面に当接させ、保持部15の上端15uの少し上方の位置に配置する。次いで、トリムプレート33を、後縁部13の内面に沿って下方にスライドさせ、保持部15に挿入する。トリムプレート33の進行方向の端部が、保持部15の下端15lの壁部に当接してそれ以上下方に進行不能となるまで押し込み、第一の力布31が取付けられたトリムプレート33とサイドフレーム10との連結を完了する。
【0091】
本実施形態では、サイドフレーム10に一体に設けられた保持部14,15に第一の力布31,第二の力布32の端部を取付けて、フックやリスティングワイヤのような別体の取付部材を用いないため、部品点数の削減が可能となり、コスト削減、保証部品の削減、組付け工数の削減が可能となる。
また、サイドフレーム10側に第一の力布31,第二の力布32の端部を取付けるために、フックやリスティングワイヤのような別体の取付部材を用いる必要がなく、第一の力布31,第二の力布32の端部の取付部の取付剛性を向上できる。その結果、第一の力布31,第二の力布32の端部によるエアバッグモジュール6展開時のエアバッグ展開方向の案内を、より安定させることができる。また、サイドフレーム10に一体に設けられた保持部14,15に第一の力布31,第二の力布32の端部を取付けるため、別体の取付部材を用いた場合に対比して、第一の力布31,第二の力布32の端部が取付けられる被取付部の変形が抑制される。
【0092】
前縁部12には、
図12〜
図15に示す保持部14を設けているが、保持部14の代わりに、
図18に示す保持部14´を設けてもよい。
保持部14´は、側板11´の前端がシートS内側に向かって隆起した隆起部14a´と、隆起部14a´の根元14b´からシートS前方に分岐し、シートS内側に向かって隆起部14a´に沿って隆起した規制部14c´と、規制部14c´のシートS内側の先端が、シートS後方に向かって突出した突起14d´と、を備えている。
【0093】
隆起部14a´から根元14b´をへて規制部14c´に至る部分は、トリムプレート37´を収納する溝となっている。
規制部14c´は、サイドフレームの長尺方向の全長に亘って形成されているが、隆起部14a´は、保持部14´のみに設けられており、保持部14´の上方及び下方に、隆起部14a´が設けられていないため、トリムプレート37´を、保持部14´の上方の規制部14c´のシートS後方側の内側面に当接させた後、スライドすることにより、保持部14´に容易に取付可能である。
【0094】
第二の力布32に取り付けられるトリムプレート37´は、
図18に示すように、硬質樹脂性の板体からなり、長尺方向に垂直な面で切断した断面は、細長い楕円の長尺方向の中央付近で切断した形状であって、端部には、トリムプレート37´の厚み方向に凹んだ断面L字状の凹部37a´を備え、このL字状の凹部37a´に隣接した部分は、他の部分よりも薄く形成された薄肉部37b´となっている。
薄肉部37b´には、第二の力布32の取付部36が取り付けられ、凹部37a´は、組付け時に、突起14d´に係合することにより、トリムプレート37´の保持部14´からの脱落が抑制可能になっている。
保持部14´のその他の構成は、保持部14と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
後縁部13には、
図12,
図13,
図16に示す保持部15を設けているが、保持部15の代わりに、
図19に示す保持部15´を設けてもよい。
保持部15´は、側板11´の後端がL字状にシートS内側に向かって垂直に屈曲した第一の壁部15a´と、第一の壁部15a´の根元15b´からシートS後方に分岐し、シートS内側に向かって第一の壁部15a´に沿って平行に起立した第二の壁部15c´と、第二の壁部15c´のシートS内側の先端が、シートS前方に向かって突出した突起15d´と、を備えている。
第一の壁部15a´から根元15b´をへて第二の壁部15c´に至る部分は、トリムプレート33´を収納する溝となっている。
【0096】
第二の壁部15c´は、サイドフレーム10´の長尺方向の全長に亘って形成されているが、第一の壁部15a´は、保持部15´のみに設けられており、保持部15´の上方及び下方に、第一の壁部15a´が設けられていないため、トリムプレート33´を、保持部15´の上方の第二の壁部15c´のシートS前方側の内側面に当接させた後、スライドすることにより、保持部15´に容易に取付可能である。
第一の力布31に取り付けられるトリムプレート33´の構成は、トリムプレート37´と同様であるため、説明を省略する。
トリムプレート33´の薄肉部33b´には、第一の力布32の端部が取り付けられ、凹部33a´は、組付け時に、突起15d´に係合することにより、トリムプレート33´の保持部15´からの脱落が抑制可能になっている。
保持部15´のその他の構成は、保持部15と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
図11〜
図19に示した他の例は、例えば、エアバッグモジュール装備シートとして、シートバックフレームのサイドフレームにエアバッグモジュールを取り付け、トリムカバーの各端末と二枚の力布の片端末を共縫いしてトリムカバーの破断部を形成し、破断部からトリムカバーの内側に引き込んだ二枚の力布でエアバッグモジュールを包み込んで、このエアバッグモジュールを含むシートバック全体をトリムカバーで被包する特許第4560659号公報の課題を解決するものである。
つまり、特許第4560659号では、力布をバックパッドの開口縁から空洞部の内側に夫々引き込み、空洞の内側でトリムコードの引掛けフックをモジュールカバーの掛止めピンに掛け止めるだけでよいため、力布をコンパクトにかつ簡単に組み付けられる。
【0098】
しかし、特許第4560659号の引っ掛けフックのような取付部材を介して、エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材を、シートフレーム等の被取付部に取付ける構造では、部品点数が多く、組付け工数の削減が望まれていた。
図11〜
図19に示した他の例によれば、部品点数の削減を通じて組付け工数を削減可能で、エアバッグの展開力によって、エアバッグモジュール側と案内部材との連結部が変形することが抑制され、エアバッグモジュール側と案内部材との間の取付剛性の高いエアバッグモジュール装備シートを提供できるものである。
【0099】
図11〜
図19に示した他の例は、以下のようにも表現される。
(1) エアバッグを格納するエアバッグモジュールを装備したシートであって、
該シートの骨格を形成するシートフレームと、
該シートフレームに取り付けられる前記エアバッグモジュールと、
前記シートのカバー部材に取付けられ、前記エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材と、を備え、
前記シートフレームは、前記案内部材を保持する保持部を、前記シートフレームに一体形成して備える。
従って、別体の取付部材を用いないため、部品点数の削減が可能となり、組付け工数の削減が可能となる。
【0100】
(2) 前記保持部は、該保持部に保持される前記案内部材の移動を規制する規制部を備えている。
従って、案内部材が保持部から外れることを抑制でき、案内部材によるエアバッグ展開時のエアバッグ展開方向の案内を、より安定させることができる。
(3) 前記保持部は、前記シートフレームの端部が曲がったフランジ部に設けられている。
従って、保持部を剛性の高いフランジ部に設けるため、案内部材の取付剛性が向上する。
【0101】
(4) 前記シートフレームは、板部と、該板部の端部が曲がった前記フランジ部とを備え、
前記シートフレームの前記フランジ部の端部には、該フランジ部の端部から折れ曲がって前記板部に対向する面を形成する板部対向部と、該板部対向部から更に前記板部に向かって折れ曲がった第一の返し部と、が設けられ、
前記規制部は、前記第一の返し部からなり、
前記保持部は、前記フランジ部と、前記板部対向部と、前記第一の返し部とに囲まれた領域からなる。
従って、単純な構成で、案内部材をシートフレーム側に直接取付けるための取付部を実現することができる。
【0102】
(5) 前記シートフレームは、板部と、該板部の端部が曲がった前記フランジ部とを備え、
前記シートフレームの前記フランジ部の端部には、該フランジ部の端部から折れ曲がって前記板部に対向する面を形成する板部対向部と、該板部対向部から更に前記板部に向かって折れ曲がった第一の返し部と、該第一の返し部から更に前記板部対向部に対向し、該板部対向部と前記板部との間に設けられる第二の返し部と、が設けられ、
前記規制部は、前記第二の返し部からなり、
前記保持部は、前記板部対向部と、前記第一の返し部と、前記第二の返し部と、に囲まれた領域からなる。
従って、単純な構成で、案内部材をシートフレーム側に直接取付けるための取付部を実現することができる。
【0103】
(6) 前記フランジ部は、前記シートフレームの水平方向の端部に沿って、上下方向に延びるように設けられ、
前記保持部は、前記フランジ部の上下方向の一部に設けられ、
前記保持部の上方の端部は、上方に向かって開口し、
前記保持部の前記上方の端部よりも上方で、前記上方の端部に隣接する位置には、前記規制部が形成されていない。
案内部材を、保持部の上方からスライドすることにより保持部に取付けることができる。従って、エアバッグモジュール展開時に案内部材に掛かる力の方向と、案内部材を取付ける方向とが、角度をもつため、エアバッグモジュール展開時に案内部材に力が掛かっても、案内部材の取付口から案内部材が外れることを抑制でき、支持剛性を向上できる。
【0104】
(7) 前記保持部を構成する壁部には、繊維強化材料を含む材料が用いられ、
前記繊維強化材料の繊維方向が、前記エアバッグモジュールの展開時に前記保持部が前記案内部材により牽引される方向に沿っている。
従って、エアバッグモジュール展開時に案内部材を牽引する力がかかったときに、保持部が変形することを抑制できる。
【0105】
(8) 前記板部と前記フランジ部とが連続する部分には、隅肉部が形成され、前記保持部の前記隅肉部は、前記保持部以外の箇所の前記隅肉部よりも厚肉の厚肉部として形成されている。
従って、エアバッグモジュール展開時に案内部材を牽引する力がかかったときに、保持部が変形することを抑制できる。
【0106】
(9) 前記厚肉部は、前記保持部の上下方向に亘って形成され、前記板部及び前記フランジ部に対して傾斜している。
従って、厚肉部による支持剛性をより高めることができる。
(10) 前記案内部材の端部には、該端部の形状を保持する端末形状保持部材が固定され、前記規制部は、前記端末形状保持部材を被覆するように延びている。
従って、端末形状保持部材を備えることと、組付け時に規制部が端末形状保持部材を被覆することにより、案内部材の支持剛性を向上できる。
(11) 前記保持部の下方の端部には、該端部を塞ぐ壁が形成されている。
従って、案内部材が、保持部の下方から脱落することを抑制できる。