特許第6572968号(P6572968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6572968アイドルモード端末バランシングを用いた通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572968
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】アイドルモード端末バランシングを用いた通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/08 20090101AFI20190902BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20190902BHJP
   H04W 36/22 20090101ALI20190902BHJP
   H04W 36/26 20090101ALI20190902BHJP
【FI】
   H04W28/08
   H04W92/20
   H04W36/22
   H04W36/26
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-506950(P2017-506950)
(86)(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公表番号】特表2017-527208(P2017-527208A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2015003724
(87)【国際公開番号】WO2016021137
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】1414129.5
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シババケッサ−,シバパサリングハム
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/014859(WO,A1)
【文献】 特表2013−502083(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/188392(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局であって、
基地局によって運用される第1のセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合を取得し、隣接する基地局によって運用される第2のセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合を取得する手段と、
前記第1及び第2の割合を互いに比較することにより、前記第1のセル及び前記第2のセル内にキャンプオンしているアイドルモードUEに負荷不均衡があるか否かを判断する手段と、
前記第1のセル及び前記第2のセル内にキャンプオンしているアイドルモードUEに負荷不均衡があるか否か応じて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段と、
を備え
前記基地局の前記第1のセル及び前記隣接する基地局の前記第2のセルの前記アイドルモードUEに負荷不均衡があるとき、前記実行する手段は、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートするように構成され、
前記実行する手段は、前記隣接する基地局から前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを受信した場合、該許容範囲に従って、前記優先順位パラメーターの変更を要求する
基地局
【請求項2】
基地局であって、
該基地局によって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合を求める手段と、
隣接する基地局によって運用される少なくとも1つのセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合を受信する手段と、
前記第1及び第2の割合に基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段と、
を備え
前記実行する手段は、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートするように構成され、
前記実行する手段は、前記隣接する基地局から前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを受信した場合、該許容範囲に従って、前記優先順位パラメーターの変更を要求する
基地局。
【請求項3】
基地局であって、
該基地局によって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合を求める手段と、
前記第1の割合を1つ又は複数の隣接する基地局に送信する手段と、
前記第1の割合と、前記1つ又は複数の隣接する基地局のいずれかによって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合との間に不均衡がある場合に、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段
と、
を備え
前記実行する手段は、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートするように構成され、
前記実行する手段は、前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを前記隣接する基地局に送信する
基地局。
【請求項4】
基地局を構成するためのコンピューター実施可能命令であって、
基地局によって運用される第1のセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合と、隣接する基地局によって運用される第2のセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合とを取得し
記第1及び第2の割合を互いに比較することにより、前記第1のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEと前記第2のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEとに負荷不均衡があるか否かを判断し、
前記第1及び第2の割合の間に不均衡があるとき、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートすることにより、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行し、
前記隣接する基地局から前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを受信した場合、該許容範囲に従って、前記優先順位パラメーターの変更を要求する、
ように基地局を構成するためのコンピューター実施可能命令を含む、
プログラム。
【請求項5】
基地局によって実行される方法であって、該方法は、
前記基地局によって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合を求めることと、
隣接する基地局によって運用される少なくとも1つのセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合を受信することと、
前記第1及び第2の割合に基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行することと、
を含み、
前記アイドルモードUE負荷バランシング動作では、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートし、前記隣接する基地局から前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを受信した場合、該許容範囲に従って、前記優先順位パラメーターの変更を要求する、
方法。
【請求項6】
基地局によって実行される方法であって、該方法は、
前記基地局によって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードユーザー機器(UE)によって占められる容量の割合である第1の割合を求めることと、
前記第1の割合を1つ又は複数の隣接する基地局に送信することと、
前記第1の割合と、前記1つ又は複数の隣接する基地局のいずれかによって運用されるセルの容量のうち、アイドルモードUEによって占められる容量の割合である第2の割合との間に不均衡がある場合に、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行することと、
を含み、
前記アイドルモードUE負荷バランシング動作では、優先順位パラメーターに対する変更を前記隣接する基地局と双方でネゴシエートし、前記優先順位パラメーターの許容範囲の指示を含むメッセージを前記隣接する基地局に送信する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動電気通信ネットワークに関し、特に、限定はしないが、3GPP標準規格又はその均等物若しくは派生物に従って動作するネットワークに関する。本発明は、限定はしないが、特に、隣接する基地局セル間のアイドルモードユーザー機器の負荷バランシングに関連している。
【背景技術】
【0002】
セルラー通信ネットワークでは、移動デバイス又はユーザー機器(UE)は、ユーザーがセルラーネットワークによってカバーされているエリア内で移動すると、セル間でローミングする。UEがどのセルで登録すべきかを判断するために、UEは、異なるセルから受信された信号の種々の測定を一定の間隔で行い、それらの測定値と、サービングセルによって提供されたセル選択パラメーターとに基づいて、ネットワーク内の自らの現在位置を前提に、移動デバイスにサービスを提供するのに最も適したセルを選択する。セル選択プロセスは、最も強い信号強度を有するセルに基づくだけでなく、セルによって提供されるサービス、それゆえ、セル優先順位にも基づく。例えば、UEによって測定された最も強力な信号はレガシーGSMセルからのものである場合があるが、UEは、より高い優先度のE−UTRANセルを、そのセルの信号強度が適切なサービスを提供するのに十分であることを条件に選択することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このセル選択プロセスに伴う問題は、その結果として、他のセルが十分に活用されてないにもかかわらず、幾つかのセルが最大限に利用されている可能性があることである。この問題は、ほとんど利用できない無線リソース及び処理負荷を利用可能な基地局セル間で共有するために、負荷バランシングを実行することによって対処される。接続モードUEの場合、これは、UEに提供されるサービスの連続性を確保するために、基地局セル間でのUEの協調的なハンドオーバーを伴う。アイドルモードUEの場合、アイドルモードUEに別のセル又は基地局を再選択させるために、各基地局は単に自らのセル選択/再選択パラメーターを調整する。
【0004】
しかしながら、これまでに、基地局間でアイドルモードUEを分散させる標準化された方法は提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、同じ又は異なる位置登録エリア(TA:TrackingArea)において同じ又は異なる無線アクセス技術(RAT:RadioAccessTechnology)の基地局間でアイドルモードUEの負荷バランシングを実行するための技法を提供することを目的としている。
【0006】
一態様によれば、本発明は、第1の基地局によって運用される第1のセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を取得し、第2の基地局によって運用される第2のセル内のアイドルモードUE負荷を取得する手段と、第1のセル内のアイドルモードUE負荷を第2のセル内のアイドルモードUE負荷と比較して、第1のセル及び第2のセル内にキャンプオンしているアイドルモードUEに負荷不均衡があるか否かを判断する手段と、第1のセル及び第2のセル内にキャンプオンしているアイドルモードUEに負荷不均衡があるか否か応じて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段とを備える、通信ノードを提供する。通信ノードは、基地局、コアネットワークの中央コーディネーターノードとすることとしてもよい。
【0007】
他の一態様によれば、本発明は、基地局であって、該基地局によって運用されるセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を求める手段と、隣接する基地局によって運用される少なくとも1つのセルに関するアイドルモードUE負荷を受信する手段と、隣接する基地局によって運用されるセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷と、基地局によって運用されるセルに関する求められたアイドルモードUE負荷とに基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段とを備える、基地局を提供する。
【0008】
他の一態様によれば、本発明は、基地局であって、該基地局によって運用されるセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を求める手段と、セルに関する求められたアイドルモードUE負荷を1つ又は複数の隣接する基地局に送信する手段と、基地局によって運用されるセルに関する求められたアイドルモードUE負荷と、1つ又は複数の隣接する基地局のいずれかによって運用されるセルに関するアイドルモードUE負荷との間に負荷不均衡がある場合に、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段とを備える、基地局を提供する。
【0009】
他の一態様によれば、本発明は、第1の基地局によって運用される第1のセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を受信する手段と、第2の基地局によって運用される第2のセル内のアイドルモードUE負荷を受信する手段と、第1のセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷と、第2のセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷とに基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する手段とを備える、中央コーディネーターを提供する。
【0010】
他の一態様によれば、本発明は、第1の基地局によって運用される第1のセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷と、第2の基地局によって運用される第2のセル内のアイドルモードUE負荷とを取得し、第1のセル内のアイドルモードUE負荷を第2のセル内のアイドルモードUE負荷と比較して、第1のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEと第2のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEとに負荷不均衡があるか否かを判断し、第1のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEと第2のセル内にキャンプオンするアイドルモードUEとに負荷不均衡があるか否か応じて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行する、ようにプログラマブル通信ノードを構成するためのコンピューター実施可能命令を含む、コンピューター実施可能命令製品を提供する。
【0011】
他の一態様によれば、本発明は、基地局によって実行される方法であって、該方法は、基地局によって運用されるセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を求めることと、隣接する基地局によって運用される少なくとも1つのセルに関するアイドルモードUE負荷を受信することと、隣接する基地局によって運用されるセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷と、基地局によって運用されるセルに関する求められたアイドルモードUE負荷とに基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行することとを含む、方法を提供する。
【0012】
他の一態様によれば、本発明は、基地局によって実行される方法であって、該方法は、基地局によって運用されるセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を求めることと、セルに関する前記求められたアイドルモードUE負荷を1つ又は複数の隣接する基地局に送信することと、基地局によって運用されるセルに関する求められたアイドルモードUE負荷と、1つ又は複数の隣接する基地局のいずれかによって運用されるセルに関するアイドルモードUE負荷との間に負荷不均衡がある場合に、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行することとを含む、方法を提供する。
【0013】
第1の基地局によって運用される第1のセル内のアイドルモードユーザー機器(UE)負荷を受信することと、第2の基地局によって運用される第2のセル内のアイドルモードUE負荷を受信することと、第1のセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷と、第2のセルに関する受信されたアイドルモードUE負荷とに基づいて、アイドルモードUE負荷バランシング動作を実行することと、を含む、中央コーディネーターによって実行される方法を提供する。
【0014】
ここで、例として、添付の図面を参照しながら、本発明の複数の実施形態が説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の移動電気通信システムを示す概略図である。
図2図1に示されるシステムの一部を形成する基地局を示す概略図である。
図3図1に示されるシステムの一部を形成するユーザー機器を示す概略図である。
図4】2つの基地局間のアイドルモードUE負荷の不均衡に対処するために、セル又は周波数優先順位の変更をネゴシエートする2つの基地局によって使用される手順を示すタイミング図である。
図5】2つの基地局間のアイドルモードUE負荷の不均衡に対処するために、それらの2つの基地局によってセル又は周波数優先順位を変更するのに使用される代替の手順を示すタイミング図である。
図6】第2の実施形態の移動電気通信システムを示す概略図である。
図7】基地局がアイドルモードUE負荷をモビリティ管理エンティティに通知する方法を示すタイミング図である。
図8図6に示されるシステムの一部を形成するモビリティ管理エンティティを示す概略図である。
図9図6に示されるシステムの一部を形成する中央コーディネーターを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例1
第1の実施形態
概説
図1は、移動(セルラー)電気通信システム1を概略的に示しており、そのシステムでは、ユーザー機器(UE)3−0、3−1、3−2、3−3及び3−4のユーザーが、基地局5−1a、5−1b又は5−2のうちの1つと、コアネットワーク7とを介して、他のユーザー(図示せず)と通信することができる。UEは、移動電話、タブレット、ラップトップ、マシンタイプ通信デバイス等とすることができる。図1に示されるシステムにおいて、基地局5−1a及び5−1bはE−UTRAN基地局であり、基地局5−1aは現在UE3−0をサービングし、基地局5−1bは現在UE3−1、3−2及び3−3をサービングしており、基地局5−3はUTRAN基地局であり、現在UE3−4をサービングしている。各基地局5は、複数の基地局セルを運用しており、各基地局セルは、UE3と対応する基地局5との間の無線通信のために利用可能である複数のアップリンク及びダウンリンク通信リソース(サブキャリア、タイムスロット等)を有する。しかしながら、この実施形態では、説明を簡単にするために、各基地局5が単一のセルを運用すると仮定される。基地局5は、UE3に送信されることになるデータ量に応じて、各UE3にダウンリンクリソースを割り振る。同様に、基地局5は、UE3が基地局5に送信しなければならないデータの量及びタイプに応じて、各UE3にアップリンクリソースを割り振る。
【0017】
後に更に詳細に説明されるように、この第1の実施形態では、基地局5は、基地局間で分散させるように、アイドルモードUE3負荷バランシングを実行するように構成される。これは、複数のステップを通して生じる。最初に、各基地局5は、そのセル内のアイドルモード負荷を測定するように構成される。すなわち、その基地局のセルにアイドルモードにおいてキャンプオンしているUE3の基地局5にかかる負荷である。その際、各基地局5は、その求めたアイドルモード負荷情報を隣接する基地局と交換し、交換された情報から、基地局5間にアイドルモードUE負荷不均衡があるか否かを判断する。そのような不均衡がある場合には、基地局5は、異なる基地局5にかかるアイドルモードUE負荷の不均衡を低減するために、セル(再)選択パラメーター(この場合には、セル固有又は周波数固有優先順位)を変更することを一方的に又は双方で決定し、アイドルモードUE3を基地局5間で移動させることができる。
【0018】
基地局
図2は、この実施形態において使用される基地局5の主要構成要素を示すブロック図である。図示されるように、基地局5は送受信機回路21を含み、送受信機回路は、1つ又は複数のアンテナ23を介して、UE3に対して信号を送受信するように動作可能であり、ネットワークインターフェース(E−UTRAN基地局5−1の場合S1インターフェース)24を介して、コアネットワーク7に対して信号を送受信するように動作可能である。また、基地局5は基地局インターフェース(E−UTRAN基地局5−1の場合X2インターフェース)25も有し、基地局インターフェースによって、基地局は、他の基地局5−1と直接通信できるようになる。コントローラー27が、メモリ29に記憶されたソフトウェア及びデータに従って送受信機回路21の動作を制御する。ソフトウェア及びデータは、数ある中でも、オペレーティングシステム31、アイドル負荷決定モジュール32、基地局通信モジュール33、アイドル負荷不均衡判断モジュール34及び優先順位設定モジュール35を含む。
【0019】
アイドル負荷決定モジュール32は、アイドルモードにおいて動作しているUE3によって引き起こされる基地局セルにかかる負荷を求めるように構成される。この負荷を求めるための技法が後に論じられることになる。この求められた負荷は単に、基地局セルに現在キャンプオンしているアイドルモードUEの数を表すことができるか、又はアイドルモードUEによって占められる基地局セルの容量の割合を表す数とすることができる。基地局通信モジュール33は、その際、このアイドルモードUE負荷情報を隣接する基地局と共有する。隣接するE−UTRAN基地局の場合、この情報は、X2インターフェース25を介して共有され、他のタイプの基地局(他の無線アクセス技術(RAT)で動作している基地局)の場合、この情報は、コアネットワーク7を介してその情報を送信することによって、又は他の基地局への別の専用インターフェースを設けることによって共有することができる。
【0020】
以下の表は、アイドルモードUE負荷を他の基地局に通知するために1つの基地局から別の基地局に送信することができるアイドルモードUE負荷情報を含む、既存のリソースステータス更新メッセージへの追加を示す。同様の追加は、既存のリソースステータス要求メッセージ又はリソースステータス応答メッセージに対して行うことができる。
【0021】
【表1】
【0022】
また、基地局通信モジュール33は、隣接する基地局5から同様のアイドルモードUE負荷測定値を受信する。受信された測定値及びアイドル負荷決定モジュール32によって求められた測定値は全て、アイドル負荷不均衡判断モジュール34に渡され、アイドル負荷不均衡判断モジュールは、測定値を比較し、比較結果から、他の基地局のセルにキャンプオンしているアイドルモードUEに比べて、自らのセルに現在キャンプオンしているアイドルモードUEに不均衡があるか否かを判断する。アイドル負荷不均衡判断モジュール34が、不均衡があると判断する場合には、アイドルモードUEがキャンプオンすることになるセルを判断するために、優先順位設定モジュール35は、不均衡がある他の基地局5又は各他の基地局5と、アイドルモードUEによって使用されるそれぞれのセル内でアイドルモードUEによって使用されるべき新たなセル固有優先順位又は周波数固有優先順位について双方で合意することができる。代替的には、アイドル負荷不均衡判断モジュール34は、そのセル内で使用されるべき適切なセル固有優先順位又は周波数固有優先順位を一方的に決定するために、不均衡がある他の基地局5又は各他の基地局5に、他の基地局5をそれぞれトリガーするメッセージを送信することができる。自らのセル(再)選択優先順位を変更する基地局5は、その後、新たな優先順位を、そのセル内に現在キャンプオンしているUEに送信する。新たな優先順位は、そのセル内で(システム情報ブロック等において)ブロードキャストすることができるか、又は例えば、RRC接続解放メッセージにおいて特定のUEに送信することができる。これらのセル再選択パラメーターをUE3にいかに与えることができるかの更なる詳細に関して、読者は標準規格文書3GPP TS36.304 V12.1.0の5.2.4.1節を参照されたい。
【0023】
上記の説明において、基地局5は、理解するのを容易にするために、複数の別個のモジュール(アイドル負荷決定モジュール、基地局通信モジュール、アイドル負荷不均衡判断モジュール及び優先順位設定モジュール等)を有するように説明される。或る特定の応用例、例えば、本発明を実施するために既存のシステムが変更された場合には、これらのモジュールはこのようにして設けられてもよいが、他の応用例、例えば、最初から本発明の特徴を念頭において設計されるシステムでは、これらのモジュールはオペレーティングシステム又はコード全体の中に組み込むことができるので、これらのモジュールは別個の実体として区別可能でない場合もある。
【0024】
ユーザー機器
図3は、図1に示される各UE3の主要構成要素を概略的に示す。図示されるように、UE3は、1つ又は複数のアンテナ73を介して、基地局5に対して信号を送受信するように動作可能である送受信機回路71を含む。また、UE3はコントローラー75を含み、コントローラーはUE3の動作を制御し、送受信機回路71に接続され、更にはスピーカー77、マイクロフォン79、ディスプレイ81及びキーパッド83に接続される。コントローラー75は、メモリ85内に記憶されるソフトウェア命令に従って動作する。図示されるように、これらのソフトウェア命令は、数ある中でも、オペレーティングシステム87、報告モジュール89、信号測定モジュール90及びセル(再)選択モジュール91を含む。
【0025】
この実施形態では:信号測定モジュール90は、UE3が現在登録されている基地局5から受信されたセル(再)選択パラメーターに従って、UE3の範囲内のセルから受信された信号に関する測定を行うように動作可能である。報告モジュール89は、サービング基地局5に、指定されたイベントの発生を折り返し報告するように動作可能である。セル(再)選択モジュール91は、UE内に事前に構成されるか(初期選択時)、又は現在サービングしている基地局から受信されたセル(再)選択パラメーターに基づいて、周波数及び利用可能なセルに優先順位を付け、アイドル動作モードにおいて動作しているときにUEがキャンプオンすることができる適切なセルを選択する役割を担う。
【0026】
セル再選択パラメーター
UE3がアイドルモードにあるとき、UEは、UEが登録/キャンプオンすることになるセルについて、自ら決定を下す。セル(再)選択パラメーターは、他のキャリア周波数より好ましいキャリア周波数を識別する周波数固有優先順位を含む。また、そのパラメーターは、UEが現在キャンプオンしているセルに関連付けられる少なくとも現在のキャリア周波数に関して、同じ周波数上で同様に動作している他のセルの優先順位を識別するセル固有優先順位を含む。また、UEが現在キャンプオンしているセルに関連付けられるキャリア周波数とは異なる周波数上で動作している他のセルに関するセル固有優先順位も与えられる場合がある。
【0027】
双方動作
上記で論じられたように、基地局5のアイドル負荷不均衡判断モジュール34が、自らと、隣接するセルのうちの1つ又は複数との間のアイドルモードUE負荷に不均衡があると判断する場合には、アイドルモードUEがアイドルモードにおいてキャンプオンすることになるセルを判断するために、優先順位設定モジュール35は、不均衡がある他の基地局5とそれぞれ、それぞれのセル内でアイドルモードUEによって使用されるべき新たなセル固有優先順位又は周波数固有優先順位について双方で合意することができる。標準化されたLTE UEについてこれを達成するために、3GPP標準規格において、基地局がトリガーし、優先順位について合意できるようにする新たなX2クラス1手順(応答を要求する手順)が規定される必要がある。そのような手順が図4に示されており、図4は、第1の基地局(eNB1)が第2の基地局(eNB2)に優先順位設定変更要求を送信し、第2の基地局が、それに応答して、第1の基地局に優先順位設定確認応答メッセージを返送することを示している。
【0028】
通常、第1の基地局(eNB1)は、自らのアイドルモードUE負荷と、別の基地局(それは第2の基地局(eNB2)である)にかかる対応する負荷との間に不均衡があることを識別する基地局5になる。2つの基地局間で送信されるメッセージは、セル固有又は周波数固有(再)選択優先順位をネゴシエートし、それについて合意するために使用され、それにより、それらの基地局間でアイドルモード負荷不均衡が協調的に対処される。
例えば、第1の基地局が、そのアイドルモードUE負荷が現在、例えば、全容量の50%であり、第2の基地局にかかるアイドルモードUE負荷が現在、例えば、全容量の20%であると判断する場合には、第1の基地局(eNB1)は、使用される自らのセル又は周波数に関連付けられる優先順位を下げ、第2の基地局(eNB2)が使用されるセル又は周波数の優先順位を上げるべきであるという点で第2の基地局(eNB2)と合意しようと試みることができ、それにより、第2の基地局(eNB2)は、使用されるeNB1のセル又は周波数の新たな優先順位より高い優先順位を有するようになる。その後、各基地局5は、そのセル内で新たな優先順位を出力し、2つのセル内のUEに、第1の基地局のセルに優先して第2の基地局のセルを再選択させ(当然、UE3が第2の基地局の範囲内にあることを条件とする)、それは、2つの基地局間のアイドルモードUE不均衡を低減するのを助けることになる。
【0029】
基地局5は、不均衡の状況が存在するか否かを定期的に考慮するようにプログラムすることができるか、又は例えば、自らのアイドルモードUE負荷が所定の閾値を超えるときに、考慮するようにトリガーすることができることは当業者には理解されよう。上記の手順を開始する決定は、例えば、第1の基地局が、自らのアイドルモードUE負荷が、第2の基地局にかかるアイドルモードUE負荷より所定の量だけ大きいか、又は小さいと判断するか否かに基づいて行うことができる。
【0030】
以下の表は、第1の基地局(eNB1)から隣接する基地局(eNB2)に送信することができる例示的な優先順位設定変更要求を示す。
【0031】
【表2】
【0032】
図示されるように、そのメッセージは、2つの基地局によって運用される関連するセルのためのセルIDと、eNB2に関して提案される新たな優先順位パラメーター(「eNB2優先順位パラメーター」IEにおいて規定される)とを含む。そのメッセージはオプションで、第1の基地局(eNB1)が自らのセルのために設定した新たな優先順位パラメーター(「eNB1優先順位パラメーター」IEにおいて規定される)を含むことができる。優先順位パラメーターIEは、現在値と比べた場合の、セル固有又は周波数固有セル再選択優先順位の変更を規定することができ、以下の形を有することができる。
【0033】
【表3】
【0034】
ただし、「EARFCN」は周波数固有優先順位パラメーターであり、「セル優先順位」はセル固有優先順位パラメーターであり、整数値は、対応する基地局セルの場合に、対応する優先順位レベルが変更されるべき量を示す(又は代替の実施形態では、整数値は、提案される実際の変更された優先順位レベルを規定することができる)。
【0035】
以下の表は、優先順位設定に対して提案された変更が第2の基地局(eNB2)によって容認される場合に、eNB2による応答においてeNB1に送信することができる例示的な優先順位設定変更確認応答メッセージを示す。
【0036】
【表4】
【0037】
以下の表は、優先順位設定に対して提案された変更が第2の基地局(eNB2)によって拒否される場合に、eNB2によってeNB1に送信することができる例示的な優先順位設定変更失敗メッセージを示す。
【0038】
【表5】
【0039】
図示されるように、この場合、第2の基地局(eNB2))によって第1の基地局(eNB1)に返送されるメッセージは、第2の基地局の優先順位パラメーターへの提案された変更を拒否し、代わりに、失敗メッセージは、第2の基地局が許可する優先順位の許容範囲の指示を含む(「eNB2優先順位パラメーター変更範囲」IEにおいて規定される)。これは、第2の基地局が他の基地局と優先順位について合意していた場合があるために生じることがある。以下の表は、この優先順位パラメーター変更範囲IEがとることができる形を示す。
【0040】
【表6】
【0041】
図示されるように、そのメッセージは、周波数固有優先順位パラメーター(EARFCN)及びセル固有優先順位パラメーター(セル優先順位)に関する優先順位レベルへの変更に関する上限及び下限を規定する。このメッセージを受信するのに応答して、今度は、規定された「変更範囲」内にある第2の基地局のセルに関する優先順位設定を用いて、第1の基地局(eNB1)は、更なる優先順位設定変更要求によって応答することができ、その場合に、第2の基地局(eNB2)は、提案された設定を容認する優先順位設定変更確認応答メッセージによって応答することになる(上記の表3に示される)。また、第1の基地局は、アイドルモードUEの所望の負荷バランシングが達成されるように、自らの提案された変更を、そのセル固有又は周波数固有優先順位パラメーターに再設定することができる。
【0042】
一方的動作
上記で論じられたように、基地局5のアイドル負荷不均衡判断モジュール34が、自らと、隣接するセルのうちの1つ又は複数との間のアイドルモードUE負荷に不均衡があると判断するとき、優先順位設定モジュール35は、不均衡がある他の基地局にそれぞれ、そのセルにおいて使用されるのに適したセル固有優先順位又は周波数固有優先順位を一方的に決定するように他の基地局5の各々をトリガーするメッセージを送信することができる。他の基地局5にこの一方的な決定を行わせるトリガーが、隣接する基地局間で送信される既存のメッセージにおいて(3GPP TS36.423 V12.2.0において規定されるような、リソースステータス更新メッセージ又はリソースステータス要求若しくはリソースステータス応答メッセージ等において)規定することができるか、又は新たなクラス−2 X2手順(応答を要求しない手順)を規定することができる。図5は、そのようなX2クラス−2手順を示しており、第1の基地局(eNB1)が、アイドルモードUE負荷不均衡トリガーメッセージを第2の基地局(eNB2)に送信することを示す。第1の基地局(eNB1)は、自らのアイドルモードUE負荷と、第2の基地局にかかる対応する負荷との間に不均衡があることを識別する基地局5になる。図5に示されるように、このトリガーメッセージを受信するのに応答して、第2の基地局(eNB2)は、そのセル内で送信するセル(再)選択パラメーター内で、自らのセルの(及び他のセルに関する)セル固有優先順位又は周波数固有優先順位を一方的に変更する。また、第1の基地局(eNB1)も、そのセル内で送信するセル(再)選択パラメーター内で、そのセルのセル固有優先順位又は周波数固有優先順位を一方的に変更することができる。
【0043】
以下の表は、第2の基地局を上記で論じられたように動作させるために、第1の基地局によって第2の基地局に送信することができる新たなトリガーメッセージの形を示す。図示されるように、第1の基地局は、トリガーメッセージ内に、自らのセル内のアイドルモードUE負荷(サービングセル情報(ServedCellInformation))及び隣接する基地局の他のセルに関して自らが有するアイドルモードUE負荷情報を含む。
【0044】
【表7】
【0045】
しかしながら、このトリガーは、単に、メッセージタイプ、第1の基地局識別子(不均衡を識別する基地局に関する)、及び第2の基地局に関して過小負荷又は過大負荷条件が存在するか否かの指示を含むことができることに留意されたい。このトリガーを受信すると、第2の基地局は、第1の基地局の優先順位に対して、その優先順位を上げることによって(第1の基地局セルにかかる負荷に比べて過小負荷であるとき)、又はその優先順位を下げることによって(第1の基地局セルにかかる負荷に比べて過大負荷であるとき)、不均衡を修正することになる。
【0046】
実施例2
第2の実施形態
上記の第1の実施形態では、アイドルモード負荷バランシングは、基地局5間で分散されるように制御される。第2の実施形態では、そのプロセスは、中央コーディネーター(CC)を介して制御される。
【0047】
図6は、第2の実施形態による、移動(セルラー)電気通信システム1を概略的に示す。同じ参照符号は、図1に示される部品に対応する部品を示しており、再び詳細には説明されない。図示されるように、この実施形態では、コアネットワーク7は、中央コーディネーター(CC)8と複数のモビリティ管理エンティティ(MME)9とを含む。MME9は、E−UTRAN基地局5−1の場合の主要制御ノードであり、接続モードにあるときの基地局5間のUE3のモビリティ、ユーザー認証、位置登録エリア管理、ローミング制御等の手順を制御する。コアネットワーク7は、UTRAN及びGERANタイプの基地局のための対応する機能を実行する複数の類似の制御ノード(SGSNノード等、図示せず)も有する。
【0048】
この実施形態では、基地局5は単に、自らのアイドルモードUE負荷を求め、これを、ネットワークインターフェース24(E−UTRAN基地局5−1の場合、S1インターフェース)を介して、その制御するMME(複数の場合もある)9又はSGSN(複数の場合もある)に送信する。この手順が図7に示される。以下の表は、幾つかの実施形態においてこの報告メッセージがとる形を示す。
【0049】
【表8】
【0050】
図示されるように、基地局5は、位置登録エリアごとに(基地局5は、異なる位置登録エリアに割り当てられる複数のセルを運用することができるので、位置登録エリア識別子(TAI)によって指示される)、アイドルモードUE負荷を与える。MME9(又はSGSN)は、異なる基地局5からこのアイドルモードUE負荷情報を収集し、これらを中央コーディネーター8に報告する。コアネットワーク7は、数多くのMME9及びSGSNを有し、それぞれがネットワーク7のそれぞれ異なる部分において基地局及びUEを制御する。MME/SGSNはそれぞれ、自らが制御する基地局5から受信するアイドルモードUE負荷情報を、中央コーディネーター8に報告する。このようにして、中央コーディネーター8は、無線アクセス技術(RAT)ごとに、かつ位置登録エリア(TA)ごとに、セルごとのアイドルモードUE負荷情報を受信することになる。中央コーディネーター8は、その後、ネットワークの異なる部分におけるアイドルモードUE負荷を比較することができ、ネットワーク内のアイドルモードUEを均衡させようと試みるために、セルごとに周波数固有優先順位及び/又はセル固有優先順位を設定することができる。中央コーディネーターは、セル間、基地局間又は位置登録エリア間の負荷を均衡させるために、アイドルモードUE負荷バランシングを実行することができるように、セルごとに、基地局ごとに、又は位置登録エリアごとにアイドルモードUE負荷を比較することができる。中央コーディネーター8によって行われる変更を用いて、各RATのセルごとに所望のアイドルモードUE負荷を達成しようと試みることもできるか、又は使用されるRATにかかわらず、所与の位置登録エリア(TA)の各セルにおける所望のアイドルモードUE負荷を達成しようと試みることもでき、その他も試みることができる。中央コーディネーター8が行うセル固有優先順位への変更及び周波数固有優先順位への変更は、その後、MME/SGSCを介して、各基地局5に返送される。各基地局5内の優先順位設定モジュール35は、その後、基地局5がそのセル内で送信するセル(再)選択パラメーターに変更を加える。このようにして、ネットワークにわたるアイドルモードUE負荷が中央コーディネーター8によって制御される。当業者は理解するように、この実施形態では、基地局5は、アイドル負荷不均衡判断モジュール34を必要としない(この判断は、中央コーディネーター8によって実行されているため)。
【0051】
モビリティ管理エンティティ
図8は、この実施形態において使用されるMME9の主要構成要素を示すブロック図である(SGSNは類似の構造を有することになる)。図示されるように、MME5は、送受信機回路121を含み、送受信機回路は、基地局インターフェース123を介して基地局5に対して信号を送受信するように動作可能であり、ネットワークインターフェース124を介して中央コーディネーター8に対して信号を送受信するように動作可能である。また、MME9は、メモリ129に記憶されるソフトウェア及びデータに従って送受信機回路121の動作を制御するコントローラー127も有する。ソフトウェア及びデータは、数ある中でも、オペレーティングシステム131、基地局通信モジュール132、制御コーディネーター通信モジュール133、並びにセル優先順位及び周波数優先順位設定モジュール134を含む。
【0052】
基地局通信モジュール132は、基地局5と通信し、各基地局によって運用される各セルに関連するアイドルモードUE負荷情報を受信する。制御コーディネーター通信モジュール133は、アイドルモードUE負荷情報を中央コーディネーター8に転送し、ネットワーク内の異なるセルのための任意の更新されたセル優先順位及び周波数優先順位を折り返し受信する。それに応答して、セル優先順位及び周波数優先順位設定モジュール134は、それぞれのセル内で出力するためのセル及び周波数優先順位を更新するメッセージを異なる基地局に送出する。
【0053】
中央コーディネーター
図9は、この実施形態において使用される中央コーディネーター8の主要構成要素を示すブロック図である。図示されるように、中央コーディネーター8は送受信機回路141を含み、送受信機回路は、ネットワークインターフェース143を介してMME/SGSNに対して信号を送受信するように動作可能である。また、中央コーディネーターは、メモリ149に記憶されるソフトウェア及びデータに従って送受信機回路141の動作を制御するコントローラー147も有する。ソフトウェア及びデータは、数ある中でも、オペレーティングシステム151、MME/SGSN通信モジュール153、アイドルモードUE負荷不均衡判断モジュール155、並びにセル優先順位及び周波数優先順位設定モジュール157を含む。
【0054】
MME/SGSN通信モジュール153は、MME及びSGSNから、各位置登録エリア内のセルごとのアイドルモードUE負荷報告を受信する。アイドルモードUE負荷不均衡判断モジュール155は、受信された負荷情報を解析し、ネットワーク内のアイドルモードUE負荷の任意の不均衡を検出する。セル優先順位及び周波数優先順位設定モジュールは、その後、これらのアイドルモードUE負荷不均衡を低減するのを助けることになる、ネットワーク内で使用される現在のセル優先順位及び周波数優先順位に対する適切な変更を決定する。MME/SGSN通信モジュール153は、その後、セル優先順位及び周波数優先順位に対して決定された変更を、それぞれの基地局に対して今後送信するために、それぞれのMME/SGSNに送信する。
【0055】
アイドルモードUE負荷決定
アイドルモードUE負荷決定は、複数の異なる方法において実行することができる。これらの方法のうちの幾つかが、ここで説明されることになり、上記の実施形態のいずれかにおいて使用することができる。
【0056】
1つのオプションは、基地局がページング要求を送信することであり、ページング要求は、全てのアイドルモードUEに応答するように要求する。この技法は、各セルにかかる現在のアイドルモードUE負荷の正確な推定値を与える。しかしながら、この技法は、エアインターフェースを介しての多数のシステムリソースを必要とし、それゆえ、定期的に使用するのは望ましくない。
【0057】
セル内のアイドルモードUE負荷を求める別のオプションは、セルにかかる稼動中の接続モードUE負荷の所定のパーセンテージとして、アイドルモードUE負荷を推定することである。詳細には、各基地局5は、あらかじめ、そのセルごとに、現在のアイドルモードUE負荷のどのUE負荷が、異なる実際の接続モードUE負荷になるかを(例えば、上記のページング技法を用いて)判断することができる。その後、このデータを解析することができ、稼動中の接続モードUE負荷とアイドルモードUE負荷との間の統計的相関が求められる。複数の事業者が1つのセルを共有する場合には、統計的解析に基づいて、事業者ごとに異なるパーセンテージを適用することができる。
【0058】
別のオプションは、基地局が以下のようなUE関連シグナリングからこれを学習することである:
RRC接続確立理由から(Attch、Detach及びTAUはMOシグナリングを使用する)−EMM−REGISTERED STATEにおけるATTACH及びTAU結果から学習する−しかし、RRC IDLE MODEに対応する。
SRB0(CCCH)/SRB1(DCCH)/SRB2(DCCH)割当てから学習する。
入ってくる/出て行くハンドオーバーの数から学習する:eNBは入ってくるハンドオーバー及び出て行くハンドオーバーの数をカウントすることができる。また、eNBは、eNBが受信する新たなサービス要求関連接続確立メッセージとともに生じる接続解放の数を考慮に入れることができる。
アイドルモードモビリティ推定から学習する:Rel−8から、E−UTRAN基地局50−1は、LastVisitedCellInfo(最大16セル)を含むUE履歴情報を保持することができ、その情報をハンドオーバー時に転送することになる。Rel−12では、UEが、RRCConnectionSetupCompleteにおいてモビリティ状態(mobilityState)を報告することに合意している。また、RRC接続設定手順後に、UEは、アイドル(及びCONN)モード中の履歴情報を含む、モビリティ履歴情報を報告することができる。この情報を用いて、基地局5は、UEの移動速度を推定することができ、基地局が、UEのためのRRC接続解放を指示するとき、基地局は、その後、推定された速度に基づいて、このUEがそのセル内にどのくらいの時間とどまっているかを推定することができる。
「耐遅延(delay-tolerant)」アクセスを伴うUEの数から学習する:Rel−10では、MTC(マシンタイプ通信)UEのために、新たなEstablishmentCause「delayTolerantAccess」が導入された。また、Rel−11では、耐遅延アクセスのためにSIB14に拡張アクセス規制(EAB:ExtendedAccessBarring)が導入された。したがって、耐遅延アクセスをサポートする(主な)目的を考慮に入れるとき、それらのUEは、静止している(又は静止している可能性が高い)UEであり、例えば、スマートメータ等である。その際、基地局は、それらのUEが通常、同じセル内に留まることになると考えることができる。
【0059】
上記の負荷計算は、セル内のアイドルモードUE負荷の移動平均が追跡されるように、スライディング窓にわたって更新し、平均することができる。
【0060】
変更形態及び代替形態
上記で、詳細な実施形態が説明されてきた。当業者であれば理解するように、上記の実施形態において具現される発明から依然として利益を享受しながら、上記の実施形態に対して複数の変更形態及び代替形態を実施できる。
【0061】
上記の実施形態において、複数のソフトウェアモジュールが説明された。当業者は理解することになるように、ソフトウェアモジュールは、コンパイルされた形又はコンパイルされない形で与えられる場合があり、コンピューターネットワークを介しての信号として、又は記録媒体上で基地局又はUEに供給される場合がある。さらに、このソフトウェアの一部又は全てによって実行される機能は、1つ又は複数の専用のハードウェア回路を用いて実行される場合がある。しかしながら、ソフトウェアモジュールの使用によって、基地局5及びUE3の機能を更新するためにこれらの基地局及びUEを更新するのが容易になるため、ソフトウェアモジュールの使用が好ましい。
【0062】
上記の第2の実施形態では、MME/SGSNは、アイドルモードUE負荷を中央コーディネーターに単に転送した。代替の実施形態では、MME/SGSNは、アイドルモードUE負荷情報を処理し、MME/SGSNが不均衡を識別する場合にのみ中央コーディネーターに通知することができる。
【0063】
上記の第2の実施形態では、各基地局がアイドルモードUE負荷を、その制御しているMME又はMMEのプールに報告した。代替的には、基地局は、幾つかの実施形態において、このアイドルモードUE負荷情報を中央コーディネーターに直接報告するように構成することができる。
【0064】
上記の第2の実施形態では、基地局は、各セル内のアイドルモードUE負荷を報告し、そのセルが属する位置登録エリアを報告した(TAIを使用する)。これにより、中央コーディネーターは、所与の位置登録エリアの全てのセル内のアイドルモードUE負荷を求めることができるようになる。TAIを与えることへの代替形態として、基地局は、E−UTRANセルグローバル識別子を与えることができ、その識別子は、ネットワーク内でセルを大域的に識別する。これにより、中央コーディネーターは、各セルが属する位置登録エリアを示す他のあらかじめ記憶された情報から位置登録エリアを判断できるようになる。「位置登録エリア」という用語は、E−UTRANネットワークにおいて使用される用語であるが、UTRAN及びGERANネットワークでは、ネットワークの類似の分割が実行される(UMTSにおけるルーティングエリア又はロケーションエリア等)。当業者は理解するように、中央コーディネーターは、これらの他のRATネットワーク内のセルに対して、そのようなルーティングエリア又はロケーションエリアにわたって類似のアイドルモードUE負荷バランシングを実行することができる。
【0065】
上記の実施形態では、隣接する基地局のセル間のアイドルモードUE負荷を制御するために変更されたセル(再)選択パラメーターは、関連するセルのセル固有優先順位又は周波数固有優先順位であった。他の実施形態では、それ加えて、又はその代わりに、標準規格文書TS36.304 V12.1.0に記述されているような他のセル(再)選択パラメーターを使用することができる。
【0066】
本発明は、実施形態を通してこれまで説明されてきたが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。本発明の範囲内で本発明の構成及び細部に対して、当業者が理解することができる種々の変更を加えることができる。種々の他の変更は当業者には明らかであり、ここでは、これ以上詳しくは説明しない。
【0067】
本出願は、2014年8月8日に出願された英国特許出願第1414129.5号を基礎としており、この英国特許出願の優先権の利益を主張する。この英国特許出願の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0068】
3GPP用語の用語集
LTE−(UTRANの)ロングタームエボリューション
UE−ユーザー機器
DL−ダウンリンク−基地局から移動局へのリンク
UL−アップリンク−移動局から基地局へのリンク
MME−モビリティ管理エンティティ
HO−ハンドオーバー
RLC−無線リンク制御
RRC−無線リソース制御
E−UTRAN−発展型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク
UTRAN−ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク
GERAN−GSM/エッジ無線アクセスネットワーク
TA−位置登録エリア
RAT−無線アクセス技術
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9