(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非ブリッジ部よりも硬度が高い前記孔間ブリッジ部では、周方向に隣接する2つの前記孔部の間の全域において、前記非ブリッジ部よりも硬度が高い請求項1又は2に記載のロータ。
前記非ブリッジ部よりも硬度が高い前記孔間ブリッジ部は、前記電磁鋼板の軸方向における一方側の面に凹部が形成されることにより前記非ブリッジ部よりも板厚が薄くされており、
軸方向に隣り合う2枚の前記電磁鋼板は、前記凹部が互いに軸方向反対向きとなるように積層されている請求項5に記載のロータ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ロータの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のロータ1は、例えばハイブリッド車両や電気自動車等において車輪の駆動力源として用いられる回転電機に備えられる。この回転電機は、ケース等の非回転部材に固定されたステータと、そのステータの径方向内側に回転可能に支持されたロータ1とを備えている。ステータは、ステータコアと、このステータコアに巻装されたコイルとを備えている。そして、ステータから発生する磁界により、界磁としてのロータ1が回転する。
【0011】
図1に示すように、ステータ(図示せず)に対向配置されるロータ1は、ロータコア3と、このロータコア3に埋め込まれた永久磁石6とを備えている。すなわち、本実施形態のロータ1は、永久磁石埋込型のロータとして構成されている。このような永久磁石埋込型のロータ1は、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクをも利用することができるため、小型化・高回転化・軽量化等の観点から好ましく利用される。
【0012】
ロータコア3は、軸方向Lに積層された複数の電磁鋼板30を有する。電磁鋼板30は、円環板状に形成されている。また、電磁鋼板30は、その大部分において、基準厚さT0(
図7等を参照)の板厚を有している。基準厚さT0は、例えば0.1mm〜0.5mmとすることができ、0.35mm程度が一般的である。本実施形態のロータコア3は、軸方向Lの一方側から、第一端部領域Re1、中央領域Rc、及び第二端部領域Re2の3つの軸方向領域に区分されている。第一端部領域Re1及び第二端部領域Re2は、それぞれ、ロータコア3全体を基準として例えば1/100〜1/5程度の軸方向長さの領域として設定される。本実施形態では、第一端部領域Re1に属する電磁鋼板30と第二端部領域Re2に属する電磁鋼板30とは同一の立体形状とされているとともに、中央領域Rcに属する電磁鋼板30は、各端部領域Re1,Re2に属する電磁鋼板30とは異なる立体形状とされている。この点に関しては、後述する。
【0013】
永久磁石6は、ロータコア3を軸方向Lに貫通する状態で、ロータコア3に埋め込まれている。
図2に仮想線にて示すように、本実施形態の永久磁石6は、軸方向Lに直交する平面における断面形状(以下、単に「断面形状」と言う。)が長方形状をなしている。そして、周方向Cに並べて配置されて径方向内側に向かって凸となるV字状をなす一対の永久磁石6の各組により、各磁極Pが構成されている。
【0014】
各磁極Pを構成する一対の永久磁石6は、同じ極性(N極又はS極)の磁極面6aを径方向外側に向けて配置されている。周方向Cに隣り合う2つの磁極Pは互いに逆の極性を有しており、一方の磁極Pに属する一対の永久磁石6と他方の磁極Pに属する一対の永久磁石6とは、異なる極性(N極/S極)の磁極面6aを径方向外側に向けて配置されている。
【0015】
なお、磁極面6aは、磁化方向(着磁方向)に直交する外面であり、永久磁石6の磁束が主に出入りする面である。本実施形態では、長方形状の断面形状を有する永久磁石6は、それぞれ短辺に平行な方向に磁化されている。従って、本実施形態では、永久磁石6の外周面(軸方向Lに直交する断面の外縁を形成する4つの面)のうち、上記長方形の長辺を形成する2面が、磁極面6aとなっている。本実施形態では、永久磁石6の外周面のうちの残余の2面(磁化方向に平行な外面であって、本実施形態では上記長方形の短辺を形成する2面)を、非磁極面6bと言う。一対の磁極面6aどうしは互いに平行であり、一対の非磁極面6bどうしも互いに平行である。各磁極面6aと各非磁極面6bとは、本例では直角をなす状態で交差している。
【0016】
図1及び
図2に示すように、電磁鋼板30は、複数の孔部31を各磁極Pに有する。ここで、孔部31は、永久磁石6が挿入される磁石挿入孔32を少なくとも含む。本実施形態では2つ一組の永久磁石6によって各磁極Pが構成されるため、電磁鋼板30は、少なくとも2つの磁石挿入孔32を含む複数の孔部31を各磁極Pに有する。各磁極Pにおいて、2つ一組の磁石挿入孔32は、径方向内側に向かって凸となるV字状をなすように配置されている。本実施形態の磁石挿入孔32は、磁石収容部32Aと延設バリア部32Bとを含む。磁石収容部32Aは、永久磁石6を収容して保持する部位である。
【0017】
延設バリア部32Bは、ロータコア3内を流れる磁束に対して磁気抵抗(フラックスバリア)として機能する部位である。延設バリア部32Bは、例えば樹脂や接着剤等(以下、単に「樹脂等」と言う。)を用いて磁石挿入孔32内に永久磁石6を固定するために、樹脂等を充填するための部位としても機能する。延設バリア部32Bは、磁石収容部32Aの両端部において、当該磁石収容部32Aからその長手方向(概ね、ロータ1の周方向C)に連続するように設けられている。
【0018】
電磁鋼板30は、磁石挿入孔32(ここでは特に、両端の延設バリア部32B)において永久磁石6を位置決めするための位置決め用突部34を有する。位置決め用突部34は、永久磁石6の非磁極面6bに沿って突出している。位置決め用突部34は、三角形状の断面形状を有するように形成されている。位置決め用突部34は、永久磁石6の磁極面6a(或いは、磁石挿入孔32における永久磁石6の磁極面6aに対向する対向面32f;
図3を参照)よりも、磁石挿入孔32の内部側に向かって突出するように形成されている。別の言い方をすれば、位置決め用突部34は、電磁鋼板30を軸方向Lに沿って見た場合に、一対の磁極面6aのそれぞれの端部から各磁極面6aの接線方向に延ばした仮想線に挟まれた領域に突出するように形成されている。本実施形態のように永久磁石6が矩形状に形成される場合には、位置決め用突部34は、永久磁石6の磁極面6aのそれぞれに沿う一対の仮想線どうしの間に突出するように形成される。
【0019】
位置決め用突部34は、その1面(対向面34f)が永久磁石6の非磁極面6bに対して面接触又は微小隙間を隔てて対向するように配置されている。そして、1つの磁石挿入孔32において、2つ一組の位置決め用突部34が、それぞれの対向面34fが永久磁石6の長さ分の距離を隔てて配置されている。こうして、2つ一組の位置決め用突部34により、磁石挿入孔32内で永久磁石6が位置決めされる。
【0020】
本実施形態の磁石挿入孔32は、逃がし孔32Cをさらに含む。逃がし孔32Cは、磁石収容部32Aの両端部において、当該磁石収容部32Aからその短手方向に(概ね、ロータ1の径方向内側に向かって)連続するように設けられている。この逃がし孔32Cは、磁石収容部32Aへの永久磁石6の挿入時における角当たりを防止するとともに、挿入後においては永久磁石6の角部への応力集中を防止するために設けられている。この逃がし孔32Cの存在により、磁石挿入孔32内への樹脂等の充填性が向上するという利点も得られる。
【0021】
電磁鋼板30は、外周側ブリッジ部36と孔間ブリッジ部37とを各磁極Pに有する。外周側ブリッジ部36は、孔部31の1つとロータコア3の外周面3aとの間に形成されている。本実施形態では、外周側ブリッジ部36は、磁石挿入孔32(ここでは特に、径方向外側の延設バリア部32B)とロータコア3の外周面3aとの間に形成されている。外周側ブリッジ部36は、周方向Cに沿って延在して、内側磁路形成部40の周方向Cの端部と外側磁路形成部45の周方向Cの端部とを橋絡している。本実施形態では、ロータコア3の外周面3aが「ステータ対向面」に相当し、外周側ブリッジ部36が「ステータ側ブリッジ部」に相当する。
【0022】
孔間ブリッジ部37は、周方向Cに隣接する2つの孔部31の間に形成されている。本実施形態では、孔間ブリッジ部37は、周方向Cに隣接する2つの磁石挿入孔32(ここでは特に、径方向内側の延設バリア部32B)どうしの間に形成されている。孔間ブリッジ部37は、径方向Rに沿って延在して、内側磁路形成部40の周方向Cの中央部と外側磁路形成部45の周方向Cの中央部とを橋絡している。
【0023】
電磁鋼板30は、内側磁路形成部40と外側磁路形成部45とを各磁極Pに有する。内側磁路形成部40は、永久磁石6の磁極面6aに沿って延びるように形成されている。内側磁路形成部40は、磁石挿入孔32よりも径方向内側において、V字状に配置された一対の永久磁石6のそれぞれの磁極面6aに沿って延びるように形成されている。本実施形態では、内側磁路形成部40が「磁路形成部」に相当する。内側磁路形成部40は、主に、永久磁石6の磁極面6aに沿って流れる磁束(いわゆるq軸磁束)の通り道となる。
【0024】
内側磁路形成部40は、主磁路領域41と副磁路領域42とを含む。主磁路領域41は、内側磁路形成部40における磁路幅(磁極面6aに直交状態で交差する方向の幅)が最小となる部位(最小幅部41n)によって規定される領域である。具体的には、主磁路領域41は、最小幅部41nと同じ幅で、磁極面6aに沿って延びる帯状領域である。主磁路領域41は、V字状に配置された一対の永久磁石6のそれぞれの磁極面6aに沿って一定幅の帯状に延びるように形成されている。
【0025】
なお、最小幅部41nは、典型的には、一対の磁石挿入孔32のそれぞれにおける、対応する永久磁石6の磁極面6aに平行で且つ径方向内側の逃がし孔32Cの底部に接する仮想平面どうしの交線と、ロータコア3の内周面3bとの間に形成される。通常、最小幅部41nの位置は、各磁極Pにおける周方向Cの中央部となる。この場合、最小幅部41nの幅は、概ね、上記仮想平面どうしの交線とロータコア3の内周面3bとの間の径方向幅である。また、直交状態は、まさに直交している状態又は実質的に直交している状態(例えば直交している状態に対して±5°の範囲内の状態)を意味する。
【0026】
副磁路領域42は、磁路幅が最小幅部41nよりも大きい部位において主磁路領域41よりも磁石挿入孔32側に位置する領域である。上述したように、主磁路領域41は最小幅部41nによって規定され、最小幅部41nは逃がし孔32Cに基づいて定まる。このため、副磁路領域42は、磁石挿入孔32よりも径方向内側であって、永久磁石6の磁極面6aに平行で且つ径方向内側の逃がし孔32Cの底部に接する仮想平面よりも径方向外側に位置する領域となる。副磁路領域42は、V字状に配置された一対の永久磁石6のそれぞれの磁極面6aに沿って延びる、逃がし孔32Cや位置決め用突部34の形状に応じた異形領域となっている。
【0027】
外側磁路形成部45は、一対の永久磁石6とロータコア3の外周面3aとの間において、周方向Cに沿って延びるように形成されている。外側磁路形成部45は、主に、永久磁石6の磁化方向に沿って流れる磁束(いわゆるd軸磁束)の通り道となる。
【0028】
このように、電磁鋼板30は、開口として形成される孔部31(磁石挿入孔32)を除く実体部分として、位置決め用突部34と、外周側ブリッジ部36と、孔間ブリッジ部37と、内側磁路形成部40と、外側磁路形成部45とを、各磁極Pに有する。本実施形態では、これらのうち、位置決め用突部34、外周側ブリッジ部36、及び孔間ブリッジ部37以外の部分(内側磁路形成部40及び外側磁路形成部45)を、非ブリッジ部Nと言う。また、非ブリッジ部Nであって、さらに内側磁路形成部40のうちの副磁路領域42の一部以外の部分を、一般部Gと言う。非ブリッジ部Nと一般部Gとは、副磁路領域42の一部を含むか否かで若干の違いこそあれ、互いにほぼ同一視し得る概念である。
【0029】
なお、ロータコア3は複数の磁極Pを有して構成されるため、電磁鋼板30は、複数の位置決め用突部34と、複数の外周側ブリッジ部36と、複数の孔間ブリッジ部37と、複数の内側磁路形成部40と、複数の外側磁路形成部45とを有する。複数の内側磁路形成部40は、実体的には周方向Cに一体化されて、全体として環状となっている。
【0030】
本実施形態において、一部の電磁鋼板30では、
図3に示すように、複数の孔間ブリッジ部37の少なくとも一部の硬度が非ブリッジ部N(ここでは特に一般部G)の硬度よりも高くされている。なお、
図3では、非ブリッジ部N(一般部G)よりも硬度を高くする領域をハッチングで示している。本実施形態では、ロータコア3の中央領域Rc(
図1を参照)に属する電磁鋼板30において、複数の孔間ブリッジ部37の少なくとも一部の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。また、本実施形態では、電磁鋼板30には磁極P毎に1つの孔間ブリッジ部37が設けられているところ、全ての磁極Pにおいて孔間ブリッジ部37の少なくとも一部の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。すなわち、電磁鋼板30に設けられる複数の孔間ブリッジ部37の全ての硬度が、一般部Gの硬度よりも高くされている。
【0031】
さらに、各孔間ブリッジ部37は、その全体において、一般部Gよりも硬度が高くされている。すなわち、周方向Cに隣接する2つの孔部31(磁石挿入孔32)の間の全域(径方向R及び周方向Cの両方向に沿う全域)において、孔間ブリッジ部37の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。
【0032】
中央領域Rcに属する電磁鋼板30の孔間ブリッジ部37は、電磁鋼板30の軸方向Lにおける一方側の面である第一主面30aの所定位置に第一凹部51を形成することによって、第一凹部51の深さ分、一般部Gよりも板厚が薄くされる(
図4を参照)。第一凹部51は、例えばプレス加工等の機械加工を施すことによって形成することができる。すなわち、電磁鋼板30の所定位置を軸方向Lに圧縮することによって基準厚さT0の電磁鋼板30に第一凹部51が形成され、当該第一凹部51の形成位置に、基準厚さT0よりも薄い第一厚さT1の第一薄板部56が現出する。第一薄板部56は、基準厚さT0の電磁鋼板30が軸方向Lに圧縮される際に高硬度化している。こうして、この第一薄板部56によって、一般部Gよりも硬度が高くて板厚が薄い孔間ブリッジ部37が構成される。なお、孔間ブリッジ部37の硬度は、一般部Gの硬度の例えば1.05倍〜2.5倍程度であって良く、第一厚さT1は、基準厚さT0の例えば40%〜95%程度の厚さであって良い。
【0033】
一方、外周側ブリッジ部36の硬度は、非ブリッジ部N(ここでは特に一般部G)の硬度に等しくされている。すなわち、外周側ブリッジ部36の硬度は、孔間ブリッジ部37とは異なり、一般部Gの硬度よりも高くされない。また、板厚の観点からは、外周側ブリッジ部36の板厚は、非ブリッジ部N(一般部G)の板厚に等しくされ、孔間ブリッジ部37とは異なり、一般部Gの板厚よりも薄くされない。外周側ブリッジ部36は、電磁鋼板30そのものの板厚(基準厚さT0)を有するように形成される(
図4を参照)。
【0034】
また、一部の電磁鋼板30では、
図3に示すように、位置決め用突部34の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。本実施形態では、ロータコア3の中央領域Rcに属する電磁鋼板30において、位置決め用突部34の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。また、本実施形態では、全ての位置決め用突部34の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。さらに、各位置決め用突部34は、その全体において、一般部Gよりも硬度が高くされている。板厚の観点からは、ロータコア3の中央領域Rcに属する電磁鋼板30において、全ての位置決め用突部34の板厚が、その全体において、一般部Gの板厚よりも薄くされている。
【0035】
さらに本実施形態では、位置決め用突部34に加え、副磁路領域42のうち位置決め用突部34の基部34bから連続する部分の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされている。言い換えれば、一般部Gよりも硬度を高くする領域が、位置決め用突部34だけに留まらず、永久磁石6の磁極面6a又はそれに対向する対向面32fの仮想延長線を超えて、径方向内側に位置する副磁路領域42の一部にまで拡大されている。なお、当該高硬度化領域は、主磁路領域41にまでは達していない。
【0036】
中央領域Rcに属する電磁鋼板30の位置決め用突部34は、例えば電磁鋼板30の第一主面30aの所定位置に第二凹部52を形成することによって、第二凹部52の深さ分、一般部Gよりも板厚が薄くされる(
図5を参照)。第二凹部52は、第一凹部51と同様に、例えばプレス加工等の機械加工を施すことによって形成することができる。第二凹部52は、第一凹部51と同時に形成しても良いし、第一凹部51とは別々に形成しても良い。電磁鋼板30の所定位置を軸方向Lに圧縮することによって基準厚さT0の電磁鋼板30に第二凹部52が形成され、当該第二凹部52の形成位置に、基準厚さT0よりも薄い第二厚さT2の第二薄板部57が現出する。第二薄板部57は、基準厚さT0の電磁鋼板30が軸方向Lに圧縮される際に高硬度化している。こうして、この第二薄板部57によって、一般部Gよりも硬度が高くて板厚が薄い位置決め用突部34が構成される。なお、位置決め用突部34の硬度は、一般部Gの硬度の例えば1.05倍〜2.5倍程度であって良く、第二厚さT2は、基準厚さT0の例えば40%〜95%程度の厚さであって良い。
【0037】
位置決め用突部34の硬度は、孔間ブリッジ部37の硬度と同じであっても良いし、異なっていても良い。また、第二薄板部57の第二厚さT2は、第一薄板部56の第一厚さT1と同じであっても良いし、異なっていても良い。本実施形態では、一例として、第一厚さT1と第二厚さT2とが等しく、位置決め用突部34と孔間ブリッジ部37とで硬度が等しい場合(さらに、基準厚さT0の50%程度の厚さの場合)の例を図示している。
【0038】
なお、磁石挿入孔32の打ち抜きは、第一凹部51及び第二凹部52の形成後に行っても良いし、第一凹部51及び第二凹部52の形成前に行っても良い。或いは、第一凹部51及び第二凹部52の形成と同時に磁石挿入孔32を打ち抜いても良い。
【0039】
図4及び
図5に示すように、中央領域Rcに属する各電磁鋼板30は、第一凹部51及び第二凹部52が軸方向Lに同じ向きとなるように積層されている。かかる積層態様であれば、第一凹部51及び第二凹部52を有する電磁鋼板30を例えば機械加工によって連続的に形成するとともにそのまま順次積層させるだけで、容易に電磁鋼板30の積層体を形成することができる。
【0040】
このように、本実施形態では、中央領域Rcに属する電磁鋼板30において、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の硬度が一般部Gの硬度よりも高くされる一方で、外周側ブリッジ部36の硬度は一般部Gの硬度に等しくされている。板厚の観点からは、中央領域Rcに属する電磁鋼板30において、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の板厚が一般部Gの板厚よりも薄くされる一方で、外周側ブリッジ部36の板厚は一般部Gの板厚に等しくされている。
【0041】
永久磁石6から出た磁束は、その大部分が磁極Pの中心(いわゆるd軸方向)に集中してステータへと流れる一方、孔間ブリッジ部37を通って流れる漏れ磁束も一部存在する。また、永久磁石6の両側には延設バリア部32Bが設けられているが、本発明者らは、当該延設バリア部32Bに位置決め用突部34が突出形成されることで、延設バリア部32B及び位置決め用突部34を通って流れる漏れ磁束も存在し得ることを見出した。この位置決め用突部34の存在に起因する漏れ磁束の存在の可能性は、本発明者らによる鋭意研究の結果として得られた新知見である。これらの点を考慮し、本実施形態では、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の硬度を一般部Gの硬度よりも高くするとともに、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の板厚を一般部Gの板厚よりも薄くしている。
【0042】
孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34を、例えばプレス加工等によって電磁鋼板30の対応部分を圧縮して形成すれば、高硬度化した当該部位に残留応力が残り、その残留応力によって磁気特性が低下する。その際、同時に、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の板厚が薄くなるので、これらの部位において、磁路断面積を小さくして磁気抵抗を大きくすることができ、漏れ磁束を低減することができる。よって、これらの相乗効果により、漏れ磁束を大幅に低減することができる。その結果、ステータへと向かう有効磁束を増大させることができ、高トルク化を図ることができる。
【0043】
ところで、永久磁石6から出た磁束のうち、外周側ブリッジ部36を通って流れる漏れ磁束も一部存在することが、従来から良く知られている。このため、漏れ磁束をさらに低減することだけを考慮すれば、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34と同様に、外周側ブリッジ部36の硬度をも高くする(板厚を薄くする)ことが考えられる。これに対して、本実施形態では、外周側ブリッジ部36の硬度及び板厚は一般部Gの硬度及び板厚にそれぞれ等しくされている。
【0044】
外周側ブリッジ部36を、例えばプレス加工等によって電磁鋼板30の対応部分を圧縮して形成すれば、当該部位に残留応力が残り、その残留応力によってヒステリシス損が大きくなる。その結果、鉄損が増大してしまう。特に、鉄損はロータ1の表面付近での損失が支配的であるため、ロータコア3の外周面3aに隣接する外周側ブリッジ部36におけるヒステリシス損の増大は、鉄損の増大に大きな影響を与える。さらに、コギングトルクやトルクリップルが増大して、騒音や振動が生じる場合もある。これらの点を考慮し、本実施形態では、外周側ブリッジ部36の硬度を一般部Gの硬度よりも高くすることなく一般部Gの硬度に等しくし、外周側ブリッジ部36の板厚を一般部Gの板厚よりも薄くすることなく一般部Gの板厚に等しくしているのである。これにより、鉄損の増大や、騒音や振動の発生を抑制することができる。
【0045】
一方、ロータコア3の第一端部領域Re1又は第二端部領域Re2(
図1を参照)に属する電磁鋼板30では、
図6〜
図8に示すように、外周側ブリッジ部36だけでなく、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の硬度及び板厚も、一般部Gの硬度及び板厚にそれぞれ等しくされている。各電磁鋼板30内での漏れ磁束を極力低減することだけを考慮すれば、ロータコア3を構成する全ての電磁鋼板30において、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の硬度を高くし、板厚を薄くすることが考えられる。しかし、発明者らは、そのように構成した場合であっても、ロータコア3の両端部付近では、孔間ブリッジ部37等を通っては漏洩しなくなった磁束が必ずしも有効磁束としてステータ側には流れずに、軸方向Lに漏洩してしまう場合があることを見出した。この行き場を失った磁束の軸方向Lへの漏洩の可能性も、本発明者らによる鋭意研究の結果として得られた新知見である。
【0046】
この点を考慮し、本実施形態では、ロータコア3の第一端部領域Re1又は第二端部領域Re2に属する電磁鋼板30では、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34を含むすべての部位において、硬度及び板厚をそれぞれ等しくしているのである。これにより、軸方向Lへの漏れ磁束を低減することができ、ロータ1全体としての有効磁束を増大させることができ、さらなる高トルク化を図ることができる。
【0047】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、各孔間ブリッジ部37の全体が高硬度化(かつ薄板化)されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図9に示すように、各孔間ブリッジ部37の一部のみが高硬度化されても良い。位置決め用突部34に関しても同様であり、各位置決め用突部34の一部のみが高硬度化されても良い。
【0048】
(2)上記の実施形態では、電磁鋼板30が、孔部31として磁石挿入孔32だけを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図10に示すように、電磁鋼板30が、磁石挿入孔32とは別に磁気バリア孔33を有しても良い。この場合、磁石挿入孔32と磁気バリア孔33との両方が孔部31に含まれる。孔間ブリッジ部37は、磁石挿入孔32(径方向内側の延設バリア部32B)と磁気バリア孔33との間に形成される。また、例えば磁気バリア孔33が2つ設けられる
図11の例では、孔間ブリッジ部37は、磁石挿入孔32(径方向内側の延設バリア部32B)と磁気バリア孔33との間、及び磁気バリア孔33どうしの間に形成される。なお、磁気バリア孔33は、ロータコア3内を流れる磁束に対して、延設バリア部32Bとは別に磁気抵抗(フラックスバリア)として機能する。磁気バリア孔33には、永久磁石6は挿入されない。
【0049】
(3)上記の実施形態では、全ての孔間ブリッジ部37が高硬度化(かつ薄板化)されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図11に示すように、各磁極Pに複数の孔間ブリッジ部37が存在する場合において、一部の孔間ブリッジ部37のみが高硬度化されても良い。位置決め用突部34に関しても同様であり、一部の位置決め用突部34のみが高硬度化されても良い。なお、上記の実施形態のように各磁極Pに1つの孔間ブリッジ部37だけが存在する場合において、一部の磁極Pに含まれる孔間ブリッジ部37のみが高硬度化されても良い。
【0050】
(4)上記の実施形態では、中央領域Rcに属する電磁鋼板30の孔間ブリッジ部37だけが高硬度化(かつ薄板化)され、第一端部領域Re1又は第二端部領域Re2に属する電磁鋼板30の孔間ブリッジ部37が高硬度化(かつ薄板化)されない構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば軸方向Lの位置によらずに全ての電磁鋼板30で、孔間ブリッジ部37が高硬度化されても良い。位置決め用突部34に関しても同様であり、全ての電磁鋼板30で、位置決め用突部34が高硬度化されても良い。
【0051】
(5)上記の実施形態では、中央領域Rcに属する各電磁鋼板30が、第一凹部51及び第二凹部52が軸方向Lに同じ向きとなるように積層されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図12及び
図13に示すように、軸方向Lに隣り合う2枚の電磁鋼板30は、各凹部51,52が互いに軸方向反対向きとなるように積層されても良い。このような構成であれば、孔間ブリッジ部37どうし及び位置決め用突部34どうしがそれぞれ背中合わせに当接することになるので、それらの部位の機械的強度を高めることができる。よって、例えば高圧で樹脂等を充填する際にも、それらの部位における変形を抑制することができる。
【0052】
(6)上記の実施形態では、孔間ブリッジ部37が、電磁鋼板30の第一主面30aの所定位置に第一凹部51を形成することによって高硬度化かつ薄板化されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図14に示すように、電磁鋼板30の両面(第一主面30a及び第二主面30bの両方)の所定位置に第一凹部51をそれぞれ形成する(例えば両面が窪むようにプレス加工を施す)ことによって、孔間ブリッジ部37が薄板化されても良い。位置決め用突部34に関しても同様であり、例えば
図15に示すように、電磁鋼板30の両面(第一主面30a及び第二主面30bの両方)の所定位置に第二凹部52をそれぞれ形成することによって、位置決め用突部34が薄板化されても良い。
【0053】
(7)上記の実施形態では、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34が電磁鋼板30に対してプレス加工等の機械加工を施すことによって高硬度化かつ薄板化される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、電磁鋼板30に対して例えば化学的処理を施すことによって孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34を高硬度化しても良い。この場合、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の板厚は、一般部Gの板厚と等しいまま(基準厚さT0のまま)であっても良い。
【0054】
(8)上記の実施形態では、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の両方が高硬度化(かつ薄板化)されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば位置決め用突部34は高硬度化されずに孔間ブリッジ部37だけが高硬度化されても良い。この場合、孔間ブリッジ部37の硬度は、“全ての”非ブリッジ部Nの硬度よりも高くされることになる。
【0055】
(9)上記の実施形態では、永久磁石6が長方形状の断面形状を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、永久磁石6の断面形状は、例えばU字状、V字状、及び蒲鉾状等、任意の形状であって良い。磁石挿入孔32の断面形状も、永久磁石6の断面形状に応じて決定される。
【0056】
(10)上記の実施形態では、ロータ1が、ステータに対して径方向内側に配置されるインナーロータである構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ロータ1は、ステータに対して径方向外側に配置されるアウターロータであっても良い。この場合、ステータ側(径方向内側)に設けられる内周側ブリッジ部の硬度が非ブリッジ部N(一般部G)の硬度に等しく、且つ、孔間ブリッジ部37及び位置決め用突部34の硬度が非ブリッジ部N(一般部G)の硬度よりも高くされると良い。
【0057】
(11)上記の実施形態では、本開示に係る技術を、車両用の駆動力源として用いられる回転電機に備えられるロータ1に適用した例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばエレベータの駆動用やコンプレッサの駆動用等、あらゆる用途で用いられる回転電機に備えられるロータに対しても、同様に、本開示に係る技術を適用することが可能である。
【0058】
(12)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0059】
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係るロータは、好適には、以下の各構成を備える。
【0060】
軸方向(L)に積層された複数の電磁鋼板(30)を有するロータコア(3)と、前記ロータコア(3)に埋め込まれた永久磁石(6)と、を備え、ステータに対向配置されるロータ(1)であって、
前記電磁鋼板(30)は、前記永久磁石(6)が挿入される磁石挿入孔(32)を少なくとも含む複数の孔部(31)を各磁極(P)に有するとともに、前記孔部(31)の1つと前記ロータコア(3)のステータ対向面(3a)との間のブリッジ部であるステータ側ブリッジ部(36)と、周方向(C)に隣接する2つの前記孔部(31)の間のブリッジ部である孔間ブリッジ部(37)と、これらのブリッジ部以外の部分である非ブリッジ部(N)と、を有し、
前記複数の電磁鋼板(30)の少なくとも一部において、前記ステータ側ブリッジ部(36)の硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度に等しく、且つ、複数の前記孔間ブリッジ部(37)の少なくとも一部の硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度よりも高い。
【0061】
この構成によれば、ステータ側ブリッジ部(36)の硬度と非ブリッジ部(N)の硬度とが等しくされ、言い換えればステータ側ブリッジ部(36)の硬度は非ブリッジ部(N)の硬度よりも高くされない。このため、ロータ(1)のステータ側の表面付近に位置するステータ側ブリッジ部(36)に残留応力が残ることはなく、当該部位におけるヒステリシス損が通常に比べて大きくなることもない。よって、鉄損の増大を抑制することができる。一方、孔間ブリッジ部(37)に関しては、複数の孔間ブリッジ部(37)の少なくとも一部の硬度が非ブリッジ部(N)の硬度よりも高くされるので、当該部位において、磁気抵抗を大きくすることができる。よって、漏れ磁束を低減することによって有効磁束を増大させることができ、高トルク化を図ることができる。以上より、鉄損の増大を抑制しつつ、漏れ磁束を低減して高トルク化を図ることができる。
【0062】
一態様として、
複数の前記孔間ブリッジ部(37)の全ての硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度よりも高いことが好ましい。
【0063】
この構成によれば、最大個数の孔間ブリッジ部(37)の硬度を高くすることで、漏れ磁束をより一層低減することができ、さらなる高トルク化を図ることができる。
【0064】
一態様として、
前記非ブリッジ部(N)よりも硬度が高い前記孔間ブリッジ部(37)では、周方向(C)に隣接する2つの前記孔部(31)の間の全域において、前記非ブリッジ部(N)よりも硬度が高いことが好ましい。
【0065】
この構成によれば、より広い範囲で孔間ブリッジ部(37)の硬度を高くすることで、漏れ磁束をより一層低減することができ、さらなる高トルク化を図ることができる。
【0066】
一態様として、
前記ロータコア(3)が、軸方向一方側から、第一端部領域(Re1)、中央領域(Rc)、第二端部領域(Re2)の3つの軸方向領域に区分され、
前記中央領域(Rc)に属する前記電磁鋼板(30)では、前記ステータ側ブリッジ部(36)の硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度に等しく、且つ、複数の前記孔間ブリッジ部(37)の少なくとも一部の硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度よりも高く、
前記第一端部領域(Re1)又は前記第二端部領域(Re2)に属する前記電磁鋼板(30)では、前記ステータ側ブリッジ部(36)及び前記孔間ブリッジ部(37)の両方の硬度が前記非ブリッジ部(N)の硬度に等しいことが好ましい。
【0067】
ロータコア(3)の軸方向両端部に位置する第一端部領域(Re1)及び第二端部領域(Re2)では、孔間ブリッジ部(37)の硬度が非ブリッジ部(N)の硬度よりも高くされると、当該孔間ブリッジ部(37)を通じた漏れ磁束が低減される反面、その分だけ軸方向(L)への漏れ磁束が増大してしまう。この点に鑑み、上記のように第一端部領域(Re1)又は第二端部領域(Re2)に属する電磁鋼板(30)においてステータ側ブリッジ部(36)及び孔間ブリッジ部(37)の両方の硬度を非ブリッジ部(N)の硬度に等しくすることで、軸方向(L)への漏れ磁束を低減することができる。よって、ロータ(1)全体として、有効磁束をより一層増大させることができ、さらなる高トルク化を図ることができる。
【0068】
一態様として、
前記非ブリッジ部(N)よりも硬度が高い前記孔間ブリッジ部(37)は、前記非ブリッジ部(N)よりも板厚が薄いことが好ましい。
【0069】
この構成によれば、孔間ブリッジ部(37)の板厚を非ブリッジ部(N)の板厚よりも薄くすることで、孔間ブリッジ部(37)の部分における磁路断面積を小さくして磁気抵抗を大きくすることができる。よって、この点からも漏れ磁束を低減することによって有効磁束を増大させることができる。その結果、孔間ブリッジ部(37)の高硬度化との相乗効果により、さらなる高トルク化を図ることができる。
【0070】
一態様として、
前記非ブリッジ部(N)よりも硬度が高い前記孔間ブリッジ部(37)は、前記電磁鋼板(30)の軸方向(L)における一方側の面に凹部(51)が形成されることにより前記非ブリッジ部(N)よりも板厚が薄くされており、
軸方向(L)に隣り合う2枚の前記電磁鋼板(30)は、前記凹部(51)が互いに軸方向反対向きとなるように積層されていることが好ましい。
【0071】
この構成によれば、該当する各電磁鋼板(30)において、軸方向(L)における一方側の面の所定位置に例えばプレス加工等によって凹部(51)を形成するだけで、非ブリッジ部(N)よりも硬度が高く板厚が薄い孔間ブリッジ部(37)を簡単に設けることができる。この場合において、軸方向(L)に隣り合う2枚の電磁鋼板(30)を、凹部(51)が互いに軸方向反対向きとなるように積層することで、板厚が薄くされた孔間ブリッジ部(37)どうしが背中合わせに当接することになる。このため、例えば軸方向(L)に隣り合う2枚の電磁鋼板(30)を凹部(51)が軸方向(L)に同じ向きとなるように積層する構成に比べて、軸方向(L)に隣り合う2枚の電磁鋼板(30)内における、孔間ブリッジ部(37)の連続する板厚が厚くなる。よって、高トルク化のために板厚が薄くされる孔間ブリッジ部(37)の機械的強度を高めることができる。
【0072】
一態様として、
V字状に配置された一対の前記永久磁石(6)によって各磁極(P)が構成され、
各磁極(P)において、一対の前記永久磁石(6)が鈍角をなすように配置されているとともに、一対の前記永久磁石(6)の間に前記孔間ブリッジ部(37)が設けられていることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、V字状に配置された一対の永久磁石(6)の間の孔間ブリッジ部(37)を高硬度化することで、d軸の渦電流損を低減することができ、鉄損の増大を抑制することができる。
【0074】
本開示に係るロータは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。