特許第6573038号(P6573038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573038誤操作防止機能を備えたエレベーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6573038
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】誤操作防止機能を備えたエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20190902BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H04L12/28 200Z
   H04L12/28 100S
   B66B5/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-555993(P2018-555993)
(86)(22)【出願日】2018年7月13日
(86)【国際出願番号】JP2018026577
【審査請求日】2018年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 明彦
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−067848(JP,A)
【文献】 国際公開第01/74701(WO,A1)
【文献】 特開平7−53146(JP,A)
【文献】 特表2007−519379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/955
B66B 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設けられた複数のエレベーターにそれぞれ対応し、第1プロトコルに対して同じアドレスを有し、第2プロトコルに対して異なるアドレスを有した複数の監視装置と、
前記複数の監視装置の各々からの前記第1プロトコルの情報を通過させず、前記複数の監視装置の各々からの前記第2プロトコルの情報を通過させる中継装置と、
を備えたエレベーターシステム。
【請求項2】
前記複数の監視装置は、前記第1プロトコルにより保守用端末と情報をやり取りする請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記複数の監視装置は、前記第2プロトコルにより前記中継装置を介して外部の装置と情報をやり取りする請求項1に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、誤操作防止機能を備えたエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムを開示する。当該エレベーターシステムによれば、制御の対象となるエレベーターを間違えることなく、監視装置から外部への情報の送信を維持し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2007−67848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいては各機器のアドレスの設定が煩雑となる。このため、各機器のアドレスの設定を間違えることもある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、簡単な設定で、制御の対象となるエレベーターを間違えることなく、監視装置から外部への情報の送信を維持することができるエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターシステムは、建築物に設けられた複数のエレベーターにそれぞれ対応し、第1プロトコルに対して同じアドレスを有し、第2プロトコルに対して異なるアドレスを有した複数の監視装置と、前記複数の監視装置の各々からの前記第1プロトコルの情報を通過させず、前記複数の監視装置の各々からの前記第2プロトコルの情報を通過させる中継装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、中継装置は、複数の監視装置の各々からの第1プロトコルの情報を通過させない。中継装置は、複数の監視装置の各々からの第2プロトコルの情報を通過させる。このため、簡単な設定で、制御の対象となるエレベーターを間違えることなく、監視装置から外部への情報の送信を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムの構成図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われる監視センター装置への通報を説明するための図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われるエレベーターの制御を説明するための図である。
図4】実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われる第2プロトコルのアドレスの割り当ての例を説明するための図である。
図5】実施の形態1におけるエレベーターの監視装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターシステムの構成図である。
【0011】
図1のエレベーターシステムは、複数の制御装置1と複数の監視装置2と中継装置3と受信装置4と監視センター装置5とを備える。
【0012】
複数の制御装置1の各々は、建築物に設けられた複数のエレベーターの各々に対応する。複数の制御装置1の各々は、複数のエレベーターの各々を全体的に制御し得るように設けられる。
【0013】
複数の監視装置2の各々は、複数のエレベーターの各々に対応する。複数の監視装置2の各々は、複数の制御装置1の各々に電気的に接続される。複数の監視装置2の各々は、複数の制御装置1の各々からの情報に基づいて複数のエレベーターの状態を監視し得るように設けられる。
【0014】
例えば、中継装置3は、ルータである。中継装置3は、複数の監視装置2の各々に電気的に接続される。中継装置3は、複数の監視装置2の各々からの情報を外部の装置に中継し得るように設けられる。
【0015】
受信装置4は、中継装置3からの情報を受信し得るように設けられる。
【0016】
監視センター装置5は、受信装置4が受信した情報に基づいて複数のエレベーターの状態を把握し得るように設けられる。
【0017】
複数のエレベーターの各々の保守が行われる際、保守用端末6は、複数の監視装置2の各々と中継装置3との間の配線を介して監視装置2に接続される。保守用端末6は、監視装置2と複数のエレベーターの各々の保守に必要な情報をやり取りする。
【0018】
次に、図2を用いて、監視センター装置5への通報を説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われる監視センター装置への通報を説明するための図である。
【0019】
図2に示されるように、複数の監視装置2は、第1プロトコルに対して同じアドレスを有する。例えば、複数の監視装置2は、IPv4アドレス「aaa」を有する。
【0020】
複数の監視装置2は、第2プロトコルに対して異なるアドレスを有する。例えば、複数の監視装置2の一方は、IPv6アドレスAAAを有する。例えば、複数の監視装置2の一方は、IPv6アドレスABBを有する。
【0021】
例えば、保守用端末6は、IPv4アドレスcccを有する。例えば、保守用端末6は、IPv6アドレスACCを有する。
【0022】
中継装置3は、複数の監視装置2の各々からの第1プロトコルの情報を通過させないように設けられる。中継装置3は、複数の監視装置2の各々からの第2プロトコルの情報を通過させるように設けられる。例えば、中継装置3は、IPv6プレフィックスAの情報を通過させ得るように設けられる。
【0023】
この場合、複数の監視装置2の一方は、第2プロトコルにより複数の制御装置1の一方からの情報を中継装置3と受信装置4とを介して監視センターに送信する。複数の監視装置2の他方は、第2プロトコルにより複数の制御装置1の他方からの情報を中継装置3と受信装置4とを介して監視センターに送信する。
【0024】
次に、図3を用いて、エレベーターの制御を説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われるエレベーターの制御を説明するための図である。
【0025】
図3に示されるように、複数の保守用端末6の一方は、第1プロトコルにより複数の監視装置2の一方を介して複数の制御装置1の一方に情報を送信する。当該情報は、中継装置3を通過しない。このため、当該情報は、複数の制御装置1の他方に届くことはない。
【0026】
図示されないが、複数の保守用端末6の他方は、第1プロトコルにより複数の監視装置2の他方を介して複数の制御装置1の他方に情報を送信する。当該情報は、中継装置3を通過しない。このため、当該情報は、複数の制御装置1の一方に届くことはない。
【0027】
次に、図4を用いて、第2プロトコルのアドレスの割り当ての例を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベーターシステムで行われる第2プロトコルのアドレスの割り当ての例を説明するための図である。
【0028】
図4に示されるように、複数の監視装置2の一方は、ルータ要請の情報を送信する。中継装置3は、当該ルータ要請の情報に基づいてプレフィックスAの情報を複数の監視装置2の一方に送信する。複数の監視装置2の一方は、プレフィックスAの情報と自らのMACアドレスAAとに基づいてIPv6のアドレスAAAを生成する。
【0029】
図示されないが、複数の監視装置2の他方は、ルータ要請の情報を送信する。中継装置3は、当該ルータ要請の情報に基づいてプレフィックスAの情報を複数の監視装置2の他方に送信する。複数の監視装置2の他方は、プレフィックスAの情報と自らのMACアドレスBBとに基づいてIPv6のアドレスABBを生成する。
【0030】
図示されないが、保守用端末6は、ルータ要請の情報を送信する。中継装置3は、当該ルータ要請の情報に基づいてプレフィックスAの情報を保守用端末6に送信する。保守用端末6は、プレフィックスAの情報と自らのMACアドレスCCとに基づいてIPv6のアドレスACCを生成する。
【0031】
以上で説明した実施の形態1によれば、中継装置3は、複数の監視装置2の各々からの第1プロトコルの情報を通過させない。中継装置3は、複数の監視装置2の各々からの第2プロトコルの情報を通過させる。このため、簡単な設定で、制御の対象となるエレベーターを間違えることなく、監視装置2から外部への情報の送信を確実に維持することができる。このため、保守時における保守員の安全性および通常時におけるエレベーターの利用者の安全性の双方を確保することができる。
【0032】
また、複数の監視装置2は、第1プロトコルの同じアドレスにより保守用端末6と情報をやり取りする。このため、複数の監視装置2に対し、第1プロトコルのアドレスの設定の間違いを抑制することができる。
【0033】
この際、監視装置2において、第1プロトコルのアドレスは、監視装置2に設定すればよい。この場合、エレベーターが設置された現場において、監視装置2に対する第1プロトコルのアドレスの設定を不要とすることができる。
【0034】
また、複数の監視装置2は、第2プロトコルの異なるアドレスにより中継装置3を介して外部の装置と情報をやり取りする。このため、外部の装置において、情報を送信した監視装置2に対応したエレベーターを容易に特定することができる。
【0035】
次に、図5を用いて、監視装置2の例を説明する。
図5は実施の形態1におけるエレベーターの監視装置のハードウェア構成図である。
【0036】
監視装置2の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ7aと少なくとも1つのメモリ7bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア8を備える。
【0037】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ7aと少なくとも1つのメモリ7bとを備える場合、監視装置2の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ7bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ7aは、少なくとも1つのメモリ7bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、監視装置2の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ7aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ7bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0038】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア8を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、監視装置2の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、監視装置2の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0039】
監視装置2の各機能について、一部を専用のハードウェア8で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御装置1と情報をやり取りする機能については専用のハードウェア8としての処理回路で実現し、制御装置1と情報をやり取りする機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ7aが少なくとも1つのメモリ7bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0040】
このように、処理回路は、ハードウェア8、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで監視装置2の各機能を実現する。
【0041】
図示されないが、制御装置1の各機能も、監視装置2の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。中継装置3も、監視装置2の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。監視センター装置5の各機能も、監視装置2の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターを監視するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 制御装置、 2 監視装置、 3 中継装置、 4 受信装置、 5 監視センター装置、 6 保守用端末、 7a プロセッサ、 7b メモリ、 8 ハードウェア
【要約】
簡単な設定で、制御の対象となるエレベーターを間違えることなく、監視装置から外部への情報の送信を維持することができるエレベーターシステムを提供する。エレベーターシステムは、建築物に設けられた複数のエレベーターにそれぞれ対応し、第1プロトコルに対して同じアドレスを有し、第2プロトコルに対して異なるアドレスを有した複数の監視装置と、前記複数の監視装置の各々からの前記第1プロトコルの情報を通過させず、前記複数の監視装置の各々からの前記第2プロトコルの情報を通過させる中継装置と、を備えた。
図1
図2
図3
図4
図5